JP3674401B2 - 熱交換用伝熱管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ、石炭、下水処理、製紙スラッジ、その他産業廃棄物の高温燃焼排ガスから、蒸気や空気等の流体を介して熱エネルギを回収し発電を行う熱回収・利用システムにおける熱交換用電熱管に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみや産業廃棄物を焼却した時に発生する排ガスは、塩化水素ガスやナトリウム、カリウム等を含むNaCl,KClやNa2SO4他の塩基性塩を含んでいる。塩化水素や塩基性塩の腐食性は、その温度が高温になればなるほど大きくなる。そのため、都市ごみや産業廃棄物の燃焼排ガスから熱回収を行う廃熱ボイラにおいて、その熱交換チューブ内を流れる蒸気は、塩化水素や塩基性塩による腐食損傷の被害を少なく抑えるために、一般に、300℃以下に抑えられている。
【0003】
そこで、この腐食環境から、より高温の熱エネルギを回収するため、特開平10−274401号公報に開示されているように、耐熱金属からなるボイラチューブの外表面を、溶射法、物理的蒸着法または化学的蒸着法によるセラミックス皮膜で被覆して、熱交換チューブの耐高温腐食性を向上させた方法が考え出された。ボイラチューブは、金属を基体とするため、熱交換用チューブに必要な靭性を有し、そして、その表面に、一般に高温強度に優れ塩類との濡れ性も低くて卓抜した高温腐食性能を示すセラミックスを用いて、高温排ガス中における高度の腐食抵抗性を確保した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来の熱交換チューブでは、セラミックスと金属が溶射法や蒸着法により接着されているため、長時間、高温腐食雰囲気下に曝されると、セラミックスと金属の熱膨張率差の影響により、セラミックスが金属表面から剥離しやすくなる。そして、セラミックスが剥がれたところの金属部が腐食し始める。そのため、この方法は、熱交換チューブの腐食を確実に防止する方法としては不十分であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、熱伝導率を低下させることなく熱膨張差によるセラミックスと金属の剥離問題を解決するためになされたものであり、高温腐食雰囲気下に長時間曝しても、金属面が腐食することなく、従来のものよりも高温の熱回収ができる熱交換用伝熱管を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱交換用伝熱管は、高温ガス雰囲気中に設けられ 前記高温ガスから伝熱管内の被加熱流体に熱交換をする熱交換用伝熱管において、被加熱流体が流れる管は耐熱合金からなり、該耐熱合金管の外側を熱膨張緩衝材を介してセラミックス合金複合材料からなるカバー材で覆い、前記熱膨張緩衝材は、前記セラミックス合金複合材料製のカバー材および/または前記耐熱合金管に対し非接着構造で、前記耐熱合金管と前記熱膨張緩衝材の少なくとも一部が接触し、さらに、前記熱膨張緩衝材と前記セラミックス合金複合材料製カバー材の少なくとも一部が接触する三層構造からなり、前記カバー材を構成するセラミックス合金複合材料はAlとAlNを含み、AlNを1 wt %以上90 wt %以下、(A1+AlN+AlON)の合計割合が50 wt %以上100 wt %以下であることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
このように構成することにより、耐熱合金管とセラミックス合金複合材料製のカバー材は、高温雰囲気場に曝され、それぞれが管軸方向に熱膨張しても接着されていないため、耐熱合金管とセラミックス合金複合材料製のカバー材が相互の剪断力によって損傷することがない。また、耐熱合金管が半径方向に膨張しても、中間層の熱膨張緩衝材によって半径方向への伸びは吸収され、セラミックス合金複合材料製のカバー材が損傷することがない。さらに、熱膨張緩衝材とセラミックス合金複合材料製カバー材、あるいは、熱膨張緩衝材と耐熱合金管は接触していても接着していない構造となっているため、繰り返しあるいは長時間の熱膨張変形に関わる熱衝撃に強い構造となっている。よって、この三層構造によって、セラミックス合金複合材料製カバー材の外側に存在する高温流体の熱エネルギを、耐熱合金管の内部を流れる被加熱流体に、長時間安定して伝熱することができる。
【0008】
熱伝達率に関して、本発明の構造は、耐熱合金管と熱膨張緩衝材の少なくとも一部が接触し、さらに、熱膨張緩衝材とセラミックス合金複合材料製カバー材の少なくとも一部が接触する三層構造からなっているため、セラミックス合金複合材料製カバー材と耐熱合金管の間の熱伝導率が低下することを防ぐ。セラミックス合金複合材料製カバー材の内表面のほぼ全面、および、耐熱合金管の外表面のほぼ全面が中間層となる熱膨張緩衝材に接触することになれば、熱伝導率向上の点でより好ましい。もし、熱膨張緩衝材が無く、セラミックス合金複合材料製カバー材と耐熱合金管が接触することなく完全に離れていれば、すなわち間隙を有していれば、そこに気体の断熱層が形成され熱伝導率が急激に低下するので好ましくない。
【0009】
ここで、被加熱流体が流れる管体の材質である耐熱合金とは、例えば、ボイラ用炭素鋼・合金鋼、またはステンレス鋼、耐熱鋼、Ni系/Co系耐熱合金(インコネル、ハステロイ、ステライト等)などであり、このほか高融点金属であるクロム等も好適である。さらにまた、カバー材を構成するセラミック合金複合材料とは、酸化物、炭化物、窒化物、硼化物、珪化物、炭素等、およびそれらの混在物と、広範囲の選択が可能である。例としてあげれば、酸化物としてAl23やサイアロン(SiAlNO)、炭化物としてSiCやB4C,窒化物としてAlN,Si34,硼化物としてTiB2,珪化物としてMoSi等が適当である。
【0010】
また、本発明における前記熱膨張緩衝材は、硼素もしくは炭素またはアルミニウムを主成分とする繊維、粉体、フィルム、テープ等の材料を使用して、前記耐熱合金管の外表面または前記セラミックス合金複合材料製カバー材の内表面に形成された、空隙を有する熱膨張吸収層からなることを特徴としている(請求項2)。
【0011】
この構成により、耐熱合金管の管軸方向および半径方向の熱膨張に対して、吸収層の空隙の容積率が変化するため、熱膨張緩衝材が耐熱合金管とセラミックス合金複合材料製カバー材の熱膨張差を吸収することになり、熱衝撃によるセラミックス合金複合材料製カバー材の損傷を防ぐことができる。空隙を有する熱膨張吸収層は、耐熱合金管の外表面またはセラミックス合金複合材料製カバー材の内表面のいずれか一方側に形成されればよい。このような熱膨張吸収層は、硼素もしくは炭素またはアルミニウムを主成分とする繊維、粉体、フィルム、テープ等の材料を使用することによって形成することができる。
【0012】
また、本発明における前記カバー材を構成するセラミックス合金複合材料はAlとAlNを含み、AlNを1wt%以上90wt%以下、(Al+AlN+AlON)の合計割合が50wt%以上100wt%以下であることを特徴としている(請求項)。
【0013】
窒化アルミニウムであるAlNは、セラミックス材料の中でも、空気酸化に対する耐食性、溶鋼等の各種溶融金属に対する耐食性に優れた材料で、不活性雰囲気では、高炉スラグ等の各種溶融スラグに対する耐食性にも優れている。また、硬度が比較的高いので耐摩耗性にも優れ、さらに、極めて高い熱伝導度、低い熱膨張率、比較的低い弾性率を有するので熱衝撃に比較的強い特徴も持っている。このように、AlNは優れた耐食性と耐摩耗性、比較的優れた耐熱衝撃性を併せ持つ材料である。
【0014】
AlNと共に、金属アルミニウムであるAlも、熱伝導の極めてよい物質であり、熱衝撃の緩和に有利な金属であり、伝熱管の構成因子としては適している。セラミックス合金複合材料製カバー材の製造過程で、Alの多くは雰囲気のN2と反応してAlNに変わり、AlN中に未反応のAlが分散した構成になり、AlNが粒子間の結合力を強化する。
【0015】
この構成により、焼結体は熱衝撃を受けても、AlNが形状変形を防ぎ、AlNに囲まれたAlが熱衝撃を緩和する機能を持つ。そのため、この機能を維持するためには、AlNを少なくとも1wt%以上含有しなければならない。AlNの含有量が、1wt%未満では粒子間の結合力が小さくて不十分となり、また90wt%を超えるとセラミックス合金複合材料の特性がセラミックスに近づき、脆くなるため好ましくない。したがって、AlNの含有重量割合は1wt%以上90wt%以下とする。
【0016】
また、前記セラミックス合金複合材料には、AlやAlONがAlN中に分散している。(Al+AlN+AlON)の含有重量割合が、50wt%以上100wt%以下であれば、前記セラミックス合金複合材料製カバー材は熱変形特性を有しながら、高い熱衝撃性を維持することができる。また、アルミニウムを含む窒化物は、高温排ガス中に含まれている酸化物のダストに対する濡れ性が悪いので、相当量の濃度が含有されていればセラミックス合金複合材料製カバー材にダストが付き難くなるという特性を持っている。したがって、(Al+AlN+AlON)の含有重量割合が、50wt%以上有れば、そのダスト付着させない特性が有効に発揮することができる。また、本伝熱管の製造においてAlONを無くし、AlとAlNだけでその重量割合が50wt%以上100wt%以下であってもかまわない。
【0017】
なお、ここで、AlONとはAl,O,Nの固液体の総称で、例としては、Al1115N,AlON,Al1982884,Al2739N,Al1083,Al937,SiAl727,Si3Al34.55が挙げられる。
【0018】
また、本発明においては、前記耐熱合金管の外表面に硼素あるいは炭素を含む化合物からなる離型剤を塗布することを特徴としている(請求項)。
【0019】
離型剤を塗布することにより、耐熱合金管とセラミックス合金複合材料製カバー材間のすべりを良くし、両部材の熱膨張差による伸びがより滑らかになる。
【0020】
さらにまた、本発明においては、前記セラミックス合金複合材料の気孔率が2%以上60%以下であることを特徴としている(請求項)。
【0021】
セラミックス合金複合材料製カバー材の製造において、気孔率を2%未満にするためには、その製造過程において高温高圧雰囲気が必要になり、その製造コストが急激に上昇する。セラミックス合金複合材料中の気孔は、単純な円孔ではなくいびつな形をしている。そのサイズは、線間距離でサブミクロン以下のオーダーから中には数百ミクロンオーダーまである。
このような気孔を持つセラミックス合金複合材料において、気孔率が60%より大きいと塩基性塩を含むダストがセラミックス合金複合材料の中に浸透しやすくなり、耐熱合金管にまでその腐食影響が及ぶ。したがって、気孔率の下限は2%、上限は60%が好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係る熱交換用伝熱管の断面を示す(一部拡大断面図を併記してある)。耐熱合金からなる管体1の外側を熱膨張緩衝材2を介してセラミックス合金複合材料からなるカバー材3で覆い、これら3つの部材1、2、3で三層構造とするとともに、熱膨張緩衝材2はセラミックス合金複合材料製のカバー材3および/または耐熱合金管1に対して非接着構造とするものである。
【0023】
セラミックス合金複合材料からなるカバー材3の外表面外側を高温ガスが流れ、耐熱合金管1の内部を被加熱流体が通る。高温ガスの温度は400℃〜1200℃で、ガス雰囲気条件によって、カバー材3を構成するセラミックス合金複合材料が選択される。
【0024】
高温排ガス中には、HClおよび/またはSOxが含まれている。排ガス処理ラインに排ガス温度300℃以上の高温集塵装置が設置されているとき、除塵後の高温排ガスにも本発明の熱交換用伝熱管を用いることができる。本発明の熱交換用伝熱管内を流れる被加熱流体は、空気、水蒸気、CO2を2〜25vol%(湿ベース)含む燃焼排ガスを表し、本発明により、空気と前記燃焼排ガスは最高800℃、水蒸気は約550℃まで加熱することができる。また、被加熱流体は最高100ataまで加圧できることを確認した。耐熱合金管1の肉厚は3〜10mm,熱膨張緩衝材2の厚みは0.1〜8mmが好ましく、またセラミックス合金複合材料製カバー材3の厚みは、3〜20mmが好ましい。耐熱合金管1、熱膨張緩衝材2、セラミックス合金複合材料製カバー材3の厚みをそれぞれ上限値より大きくすると、熱交換器として実用上設計意義のある熱伝達率を得られなくなる。また、それぞれの下限値より小さくすると、伝熱管として熱衝撃に耐えられなくなり、破損しやすくなる。
【0025】
セラミックス合金複合材料製カバー材3は、図1に示すように、熱膨張緩衝材2に包まれた耐熱合金管1の外側を覆い、セラミックス合金複合材料製カバー材3と耐熱合金管1の間には熱膨張緩衝材2が介在した構造となっている。本発明の熱交換用伝熱管は、耐熱合金管1の外表面にセラミックスや耐食性合金を溶射や蒸着ほかの方法によって接着する方法は用いず、セラミックス合金複合材料製カバー材3をスリーブのように覆った形状を有しているので、高温に曝され耐熱合金管1が管軸方向および半径方向に膨張しても、熱膨張緩衝材2によってそれらが吸収され、セラミックス合金複合材料製カバー材3を損傷させることがない構造となっている。
なお、セラミックス合金複合材料製カバー材3および耐熱合金管1は、真円の必要はなく、偏心した円、楕円、角型、またはいびつな形状でも構わない。また、耐熱合金管1とセラミックス合金複合材料製カバー材3が、同心円である必要もない。さらに、耐熱合金管1の外側の表面粗さは、粗くても滑らかでも構わない。
【0026】
耐熱合金管1の外表面と熱膨張緩衝材2の内表面、および、セラミックス合金複合材料製カバー材3の内表面と熱膨張緩衝材2の外表面は、接触面積が多いほど、外部を流れる高温排ガスから耐熱合金管1内の被加熱流体への熱伝達は大きくなる。
【0027】
熱膨張緩衝材2には、硼素もしくは炭素またはアルミニウムを主成分とする材料を用いる。これらの材料を用いて、耐熱合金管1の外表面、あるいは、セラミックス合金複合材料製カバー材3の内表面に、空隙を有する熱膨張吸収層を形成する。この熱膨張吸収層を形成する材料としては、例えば炭素繊維や硼素、炭素を含むフィルム、あるいはアルミ箔などがよい。また、他に、プラスチックの微粉を耐熱合金管1に散布するか、あるいは炭素を含むテープの類を耐熱合金管1に巻きつけ、本発明の伝熱管を製造する熱工程でそれらの成分から低沸点媒体を揮発させ、炭素主体の材料を熱膨張緩衝材としても機能的には構わない。熱膨張緩衝材2は、耐熱合金管1とセラミックス合金複合材料製カバー材の間の熱膨張差を吸収するために用いるので、熱膨張緩衝材2には空隙があり、その容積率が変化することによってこの機能を果たす。
【0028】
セラミックス合金複合材料の中で、アルミニウム元素を主体とするAIN+Al+AlONから構成される材料は、性能面において本発明の伝熱管に最も好ましい。なぜなら、本発明では、セラミックス合金複合材料に、セラミックス特性の高温耐腐食性と合金特性の延性を望んでいるが、この点において、アルミニウム元素は他のセラミックス合金複合材料を成す主元素に比べ、延性の点で最適である。また、耐熱合金とセラミックス合金複合材料の接触面も、延性の優れたアルミニウム系セラミックス合金複合材料を使うことにより、膨張伸縮時に破損する割合が他のセラミックス合金複合材料より少なくなるというメリットを持っている。
【0029】
このアルミニウム元素を主体とするセラミックス合金複合材料は、例えば、低純度Al源粉末と高純度Al源粉末との混合粉末とを加圧成形し、この成形体を焼結することによって得られる。低純度Al源粉末は、例えば、金属AlまたはAl合金粉未で、Si、Mg等の合金元素を含むこともある。高純度Al源粉末は、例えば、Alを90wt%以上含む。これらの混合粉末を成形して得られた充填体を窒素雰囲気中で加熱する。粉末中のAlが溶融し(純粋のAlの融点は660℃であるが、Al−Mg合金は最大450℃まで融点が降下し、Al−Si合金では最大577℃まで融点が降下する)、680℃に達すると、ある量のAlは、雰囲気のN2と反応してAINに変わり、AIN中に少量の未反応のAlが分散した構成となる。セラミックス特性を有するAlNがAlの回りに皮膜を作るので、製品化されたAIN+Al+AlONのセラミックス合金複合材料製カバー材3は、Alの融点以上の高温に曝されても溶けてその形状を崩すことはない。また、成形時および加熱時の温度や圧力の設定により窒化の度合いを制御することができるので、高温排ガスと回収熱量の条件に応じて、セラミックス特性を強くするAIN濃度を調整することができる。もし、AINあるいはAlの濃度を成形、加熱時に設定値にすることができなければ、AINあるいはAlをセラミックス合金複合材料と耐熱合金の間に供給しても良い。
【0030】
アルミニウム元素を主体とするセラミックス合金複合材料には、AlN、Al以外にも耐熱性のよい物質であれば配合されてもよい。すなわち、TiO2,ZrO2,Cr23,Al23,SiO2,Y23,CeO2,Sc23の中から選択された1種または複数の酸化物、そしてまた、これらの酸化物中の少なくとも一つを含む複合酸化物が入ってもよい。また、BN,MgB2,CaB6,TiB2,ZrB2,AlB2の中から選択された1種または複数のホウ化物が入ってもよい。また、B4C,TiC,ZrC,Cr32,Al43,SiCの中から選択された1種または複数の炭化物が入ってもよい。また、TiN,ZrN,Cr2N,Si34の中から選択された1種または複数の窒化物が入ってもよい。Si22Oに代表される酸窒化物が入ってもよい。組成について、この発明ではいかなる組成であってもよい。また、AlONのAlの一部がSiで置換されてもよい。ただし、Si/Alのモル比で1.0以下であることが耐食性の観点から好ましい。
【0031】
高温に曝されたとき、耐熱合金管1の外表面とセラミックス合金複合材料製カバー材の内表面の相互のすべりを良くするために、耐熱合金管1の外表面に、BNあるいはB4C等の硼素あるいは炭素を含む化合物を塗布する。これは、セラミックス系材料と金属の接着をより効果的に防ぎ、それぞれのすべりを良好にする離型剤として機能する。塗布する厚みは、1〜60ミクロンが好ましい。
【0032】
高温排ガス中には、腐食性物質として、HClやSOxのガス体とNaClやKC1等の塩基性塩からなる凝縮体がある。この凝縮体は、小さいものでサブミクロンオーダー、大きいもので凝集体を形成する20ミクロン程度の大きさを持つ。本発明の熱交換用伝熱管を低コストに抑えるためには、セラミックス合金複合材料の気孔率を2%以上にすることが有効であるが、気孔率を大きくしすぎると、前記腐食性凝縮体がセラミックス合金複合材料の中に侵食し易くなり、経験的に60%より気孔率を大きくすると、本発明の効果を発揮することができないことが分かった。
【0033】
本発明による熱交換用伝熱管の側面形状およびその断面を、図2に示す。高温ガスが流れる雰囲気に熱交換用伝熱管はセットされ、被加熱流体は、耐熱合金管1の内部を一方端から入り他方端へ抜ける構造になっている。基本的には、高温ガスに曝される耐熱合金管1の外周は、熱膨張緩衝材2を介してセラミックス合金複合材料製カバー材3によって覆われている。熱膨張緩衝材2がセラミックス合金複合材料製カバー材3および/または耐熱合金管1に対して非接着構造となっていることは前述したとおりである。
【0034】
被加熱流体の管内流速は、これまでの廃棄物燃焼や石炭燃焼のボイラに準じるが、目的によっては、その流速を低速側や高速側に変化させることもある。熱交換用伝熱管の被加熱流体が流れる耐熱合金管1の管径は、被加熱流体が流れればいくらでもよいが、その中でも、排ガス中に管全周を曝すときは15Aから40Aにすることが製作上好ましい。熱交換用伝熱管の長さは、1mから6mが好ましい。熱交換用伝熱管が長くなると耐熱合金管1のたわみ量が大きくなり、カバー材3のセラミックス合金複合材料の割れが心配されるが、この場合、セラミックス合金禎合材料製カバー材3を外側から支える支柱を設け、耐熱合金管1のたわみ量を小さくすれば問題は解決される。また、図2からわかるように、短い伝熱管のセラミックス合金複合材料に覆われていない耐熱合金管1の両端を溶接で継ぎ足すことによって、長い伝熱管を作ることができる。
【0035】
また、本発明から得られる熱交換用伝熱管の別の構成例を図3、図4に示す。図3は、熱交換伝熱管の一端都を閉じ、被加熱流体を耐熱合金管1内に設けられた耐熱チューブ4を通じて流し、耐熱チューブ4と耐熱合金管1の間隙内を被加熱流体が折り返し流れるようにして加熱する構造で、被加熱流体に熱を与える高温ガスに曝される部分はすべてセラミックス合金複合材料製のカバー材3によって覆われている。この形式の場合、熱交換用伝熱管の外径は、φ30〜200mmが好ましい。
【0036】
図4は、被加熱流体が流れる耐熱合金管1をU字状に形成し、その曲がり部を含む外側部分をセラミックス合金複合材料製のカバー材3で覆った熱交換用伝熱管である。U字状の曲がり部は、直管形状の熱交換用伝熱管に比べ、耐熱合金とセラミックス合金複合材料の熱膨張変形が複雑なため、より多くの空隙5が必要になる。
【0037】
【実施例】
(1)都市ゴミや産業廃棄物を処理するゴミ焼却パイロットプラントにおいて、焼却炉を出た約950℃から約650℃の高温排ガス中に、以下の数種類の熱交換用伝熱管を挿入した。
▲1▼耐熱合金管:SUS304−15A
熱膨張緩衝材:Al箔の成分を主体とする層、厚み1〜2mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:Al+AlN+AlON−90wt%以上、肉厚−4〜10mm、気孔率40%
▲2▼耐熱合金管:SUS304−20A
熱膨張緩衝材:炭素繊維相当、厚み0.2〜2mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:Al+AlN+AlON−90wt%以上、肉厚−3〜8mm、気孔率20%
▲3▼耐熱合金管:SUS304−20A、外表面一BNコート
熱膨張緩衝材:炭素繊維相当、厚み0.2〜2mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:Al十AlN+AlON−90wt%以上、肉厚−3〜8mm、気孔率20%
▲4▼耐熱合金管:SUS304−20A
熱膨張緩衝材:炭素繊維相当、厚み1〜2mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:Al23−80wt%以上、肉厚−2〜4mm、気孔率30%
排ガスのN2以外の主成分は、O2:2〜16(vol,dry)%,HCl:200〜600(vol,dry)ppm,SOx:max300(vol,dry)ppm,CO2:4〜19(vol,dry)%で、都市ゴミや産業廃棄物を燃やしたときに生じる一般的な排ガス雰囲気である。
【0038】
暴露試験の結果、どの条件においても、セラミックス合金複合材料製カバー材には亀裂が発生しなかった。
また、1200時間の暴露試験後、各伝熱管を取り出しその断面を観測した結果、SUS外表面にBNを塗布した伝熱管▲3▼の断面は製作当初と変わりなく、BNコートとセラミックス合金複合材料製カバー材のすべりが、伝熱管▲1▼▲2▼に比べてより滑らかであることが分かった。
被加熱流体として入口温度280℃から400℃の水蒸気を用いたとき、▲1▼〜▲4▼のすべての条件において、熱交換用伝熱管群の出口で、540℃以上、100ataの可能性を見出した。
また、空気または廃棄物燃焼排ガスを被加熱流体としてしたとき、1000〜4000mmAqの空気および50〜400mmAqの廃棄物燃焼排ガスを最高800℃まで加熱可能なことを確認した。
但し、伝熱管▲4▼のセラミックス合金複合材料製カバー材は、熱伝導率が比較的低いAl23を主体としたため、伝熱管▲1▼〜▲3▼より熱伝達係数が低くなった。
【0039】
(2)都市ゴミを部分酸化し、約1000〜700℃の還元排ガス雰囲気に、
▲5▼耐熱合金管:ボイラ用耐熱管STBA28−20A
熱膨張緩衝材:炭素80wt%以上の繊維、厚み0.5〜3mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:Al+AIN−86wt%、Al23−6wt%、肉厚−4〜5mm、気孔率25%
▲6▼耐熱合金管:ボイラ用耐熱管STBA28−20A
熱膨張緩衝材:炭素80wt%以上の繊維、厚み1〜3mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:SiC−95wt%以上、肉厚−4〜5 mm、気孔率2%
の熱交換用伝熱管を挿入した。
被加熱流体は、水蒸気と空気である。
【0040】
CO濃度が5〜15(vol,dry)%存在する還元雰囲気で熱交換試験を行った結果、高温ガスが還元性ガスであったため、SiCやAINが酸化して劣化する現象がほとんど見られず、良好な熱交換を実施することができた。
【0041】
(3)石炭、下水汚泥脱水ケーキおよび乾操汚泥焼却炉の燃焼排ガス中に、
▲7▼耐熱合金管:ボイラ用耐熱管STBA28−40Aと65Aの2種類
熱膨張援衝材:炭素80wt%以上の微粉・繊維混在層、厚み0.2〜4mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:SiC−95wt%以上、肉厚−約7mm、同軸管形状(図3相当)
▲8▼耐熱合金管:ボイラ用耐熱管STBA28−20Aと50Aの2種類、
熱膨張緩衝材:硼素80wt%以上の微粉層、厚み0.3〜2mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:Al23−95wt%以上、肉厚−約4 mm、同軸管形状(図3相当),
▲9▼耐熱合金管:ボイラ用耐熱管STBA28−15Aと20Aの2種類、
熱膨張緩衝材:炭素80wt%以上の繊維、厚み0.4〜1mm
セラミックス合金複合材料製カバー材:Al+AIN−90%以上、肉厚−6〜8mm、U字管形状(図4相当)
の熱交換用伝熱管を挿入した。
【0042】
試験の結果、石炭、下水汚泥の燃焼排ガスには、数百(vol,dry)ppmのSOxが含まれるが、この条件においても伝熱管▲7▼〜▲9▼は腐食することなく、発電効率30%以上を達成する高温高圧水蒸気の回収、そしてまた、高温空気や高温燃焼排ガスの回収が可能なことを見出した。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の熱交換用伝熱管は、耐熱合金からなるチューブの優れた靭性と、その外表面を覆うカバー材を構成する、セラミックスと金属の両方の性質を有するセラミックス合金複合材料の優れた耐高温腐食性を併せ持ち、しかも両部材の間に熱膨張差を吸収する熱膨張緩衝材を設け、該熱膨張緩衝材がセラミックス合金複合材料製カバー材および/または耐熱合金管に対して非接着構造としたものであるので、セラミックス合金複合材料製カバー材の熱衝撃による損傷を防ぐことができ、その結果、廃棄物燃焼排ガス、石炭燃焼排ガス、下水汚泥燃焼排ガス、その他産業廃棄物燃焼排ガス中の高温腐食環境から、これまで未利用であった高温の熱を回収することを可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱交換用伝熱管の断面図である。
【図2】本発明の熱交換用伝熱管の側面図と断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 耐熱合金管
2 熱膨張緩衝材
3 セラミックス合金複合材料製カバー材
4 耐熱チューブ
5 空隙

Claims (4)

  1. 高温ガス雰囲気中に設けられ 前記高温ガスから伝熱管内の被加熱流体に熱交換をする熱交換用伝熱管において、
    被加熱流体が流れる管は耐熱合金からなり、該耐熱合金管の外側を熱膨張緩衝材を介してセラミックス合金複合材料からなるカバー材で覆い、
    前記熱膨張緩衝材は、前記セラミックス合金複合材料製のカバー材および/または前記耐熱合金管に対し非接着構造で、前記耐熱合金管と前記熱膨張緩衝材の少なくとも一部が接触し、さらに、前記熱膨張緩衝材と前記セラミックス合金複合材料製カバー材の少なくとも一部が接触する三層構造からなり、
    前記カバー材を構成するセラミックス合金複合材料はAlとAlNを含み、AlNを1 wt %以上90 wt %以下、(A1+AlN+AlON)の合計割合が50 wt %以上100 wt %以下であることを特徴とする熱交換用伝熱管。
  2. 前記熱膨張緩衝材は、硼素もしくは炭素またはアルミニウムを主成分とする繊維、粉体、フィルム、テープ等の材料を使用して、前記耐熱合金管の外表面または前記セラミックス合金複合材料製カバー材の内表面に形成された、空隙を有する熱膨張吸収層からなることを特徴とする請求項1記載の熱交換用伝熱管。
  3. 前記耐熱合金管の外表面に硼素あるいは炭素を含む化合物からなる離型剤を塗布することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換用伝熱管。
  4. 前記セラミックス合金複合材料の気孔率が2%以上60%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一に記載の熱交換用伝熱管。
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