JP3651314B2 - パワーウインド装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗車時および降車時にサッシュレスウインドを全開することにより狭い場所に車両を駐車する際の乗降性を改善するようにしたパワーウインド装置に関する。
【0002】
【従来技術】
このようなパワーウインド装置として次のような従来技術が知られている。
▲1▼特公平2−55593号公報には、単にドアの開閉に連動してウインドを自動昇降するパワーウインド装置が開示されている。
▲2▼実開平5−80826号公報には、ドアの開閉に連動してウインドを自動昇降するモードと自動昇降しないモードを乗員が選択できるようにしたパワーウインド装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のパワーウインド装置ではそれぞれ次のような問題がある。
(1)上記▲1▼の装置では、本来不必要な状況下でもドアの開閉に連動してウインドが自動昇降してしまい、運転者にとってかえって違和感を覚えさせることがある。たとえば、駐車場でいったんエンジンを停止して降車しようとしたとき、ドアを開けて車両を少し後へ移動する必要がある場合である。このような場合には、ドアを開いて後方を確認しながら車両を後退させが、ウインドを下降する必要性はない。あるいは、雨天時や降雪時には、換言すると天候によってはウインドを自動降下させたくないこともある。
(2)上記▲2▼の装置によれば、自動モードを選択しなければ上記(1)で説明した問題は解決できるが、自動モードの選択中は同様な問題が当然発生する。
【0004】
本発明の目的は、本来必要な場合にだけウインド自動昇降モードを有効化するようにしたパワーウインド装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明は、乗車時のドア開放操作に連動してそのドアに設けられたサッシュレスウインドを降下させるとともに、引き続くドア閉成操作に連動して降下されたサッシュレスウインドを上昇させ、降車時にドア開放操作に連動してそのドアに設けられたサッシュレスウインドを降下させるとともに、引き続くドア閉成操作に連動して降下されたサッシュレスウインドを上昇させる自動昇降モードを備えたパワーウインド装置に適用される。そして、上述の目的は次のような構成により達成される。すなわち、前記自動昇降モードでは、前記乗車時の最初のドア開放操作であるリモコン装置によりドアロック装置をアンロックして最初にサッシュレスウインドが設けられたドアを開く操作、および前記降車時の最初のドア開放操作であるイグニッションスイッチをオフした後に最初にサッシュレスウインドが設けられたドアを開く操作にのみ連動して前記サッシュレスウインドを降下させる一方、引き続くドア閉成操作に連動して前記サッシュレスウインドを上昇させる。
(2)請求項2の発明は、請求項1のパワーウインド装置において、前記自動昇降モードとして、第1の特定操作が検出されると前記自動昇降モードを無効化し、前記第1の特定操作が検出されない場合には前記自動昇降モードを有効化する常時自動昇降モードと、第2の特定操作が検出されると前記自動昇降モードを有効化し、前記第2の特定操作が検出されない場合には前記自動昇降モードを無効化する随時自動昇降モードとを含むことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2のパワーウインド装置において、前記第1の特定操作を前記ウインドがワンタッチで全閉駆動するオートアップスイッチ操作とし、前記第2の特定操作を前記ウインドがワンタッチで全開駆動するオートダウンスイッチ操作としたことを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のパワーウインド装置において、予め定めた無効化条件が成立したときに前記自動昇降モードを無効化し、それ以降の前記ドアに連動するウインド自動昇降動作を行わないようにすることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4のパワーウインド装置において、前記予め定めた無効化条件が発進準備状態を含むことを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のパワーウインド装置において、降車時に前記ウインドが前記自動昇降モードによって上昇駆動されたとき、前記ウインドの全閉状態を判別する判別手段と、この判別手段により全閉していないと判別されたときに警告する警告手段とを備えることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のパワーウインド装置において、前記ウインドを昇降させるためのスイッチ操作により前記自動昇降モードを無効化することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のパワーウインド装置において、車両の走行状態もしくは発進準備状態が検出されると前記自動昇降モードを無効化し、それ以降の前記ドアに連動するウインド自動昇降動作を行わないようにして達成される。
【0006】
【発明の効果】
(1)請求項1の発明によれば、乗車時のリモコン装置によりドアロック装置をアンロックして最初にサッシュレスウインドが設けられたドアを開く操作、および降車時のイグニッションスイッチをオフした後に最初にサッシュレスウインドが設けられたドアを開く操作にのみ連動してサッシュレスウインドを降下させる一方、引き続くドア閉成操作に連動してサッシュレスウインドを上昇させるようにしたので、サッシュレスウインドを降下するのにふさわしくない状態での自動降下を防止することができ、運転者に違和感を覚えさせることなく、しかも操作性がよいパワーウインド装置を提供することができる。
(2)請求項2の発明によれば、特定操作で自動昇降モードを無効とする常時自動昇降モードと、特定操作で自動昇降モードを有効化する随時自動昇降モードとを設定したので、操作性が向上する。
(3)請求項3の発明によれば、特定操作がウインドの手動アップダウン操作に関連した操作であり、操作に違和感を覚えることがない。
(4)請求項4や5の発明あるいは請求項8の発明によれば、発進準備前操作などの所定の条件下で自動昇降モードを無効化するようにしたので、ウインドの自動昇降にふさわしくない状況下でウインドの自動昇降を効果的に防止できる。
(5)請求項6の発明によれば、自動昇降モードによるウインドの閉め忘れが防止される。
(6)請求項7の発明によれば、運転者の意志により手動でウインド昇降操作が行われるとそれ以降の自動昇降モードを無効にしたので、自動昇降モードが無効となったことに対する意識付けができ、ウインドの開け忘れや閉め忘れを効果的に防止することができる。
【0007】
以上の課題を解決するための手段の項では、実施の形態の図に用いた符号を使用したが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明によるパワーウインド装置の一実施の形態を図1〜図10により説明する。図1は本発明によるパワーウインド装置が搭載された乗用車の運転席側ドアを開いて示す斜視図である。ドア1にはサッシュレスウインド2が設けられている。サッシュレスウインド2はアップ/ダウンスイッチ3を操作している間、昇降する。このアップ/ダウンスイッチ3にはオートアップ/ダウンスイッチ4も付設されており、オートアップ/ダウンスイッチ4を使用する場合は、アップ側へのワンタッチ操作(1動作)もしくはダウン側へのワンタッチ操作でサッシュレスウインド2を自動昇降できる。後述するように、この実施の形態では、オートアップ/ダウンスイッチ4をアップ側へあるいはダウン側へ所定時間以上(たとえば1.3秒以上)操作した場合に2種類の自動昇降モードの一方を選択できるようにしている。ドア1にはドアスイッチ5が取り付けられ、このドアスイッチ5でドア1の開閉を検出する。ドア1のロック、アンロックはキーレスエントリリモコン6からの信号によって行うことができる。リモコン6にはアンロックボタン6Uとロックボタン6Lが設けられており、乗車時はアンロックボタン6Uを操作してドアロックを解除(アンロック)する。降車時は、ロックボタン6Lを操作してドアをロックをする。
【0009】
図2はこの実施の形態におけるパワーウインド装置のシステム構成図である。制御部10には、パワーウインド機構部20と、パワーウインドスイッチ30と、キーレスエントリ受信機40と、画面制御部50と、ブザー60とが接続されている。図2のパワーウインドスイッチ30は図1のアップ/ダウンスイッチ3とオートアップ/ダウンスイッチ4を含むものであり、スイッチ操作と結線状態を表形式で示している。パワーウインド機構部20はパワーウインドモータ21と、ウインド上端位置検出スイッチ22と、モータ作動量検出センサ23とを備えている。キーレスエントリ受信機40はリモコン6からの信号を受信してドアロック駆動部60の駆動を制御する。キーレスエントリ受信機40は、アンロックボタン6Uの短時間操作によるアンロック信号を受信するとUNLOCK実施信号を出力し、アンロックボタン6Uの長時間操作(たとえば1.3秒)によるアンロック信号を受信するとUNLOCKボタン長押し信号をそれぞれ出力する。また、ロックボタン6Lの操作によるロック信号を受信するとUNLOCKキャンセル信号(LOCK実施信号)を出力する。
【0010】
制御部10には次のような入力信号が入力される。ウインド上端位置検出スイッチ22からウインド上端位置検出信号が、モータ作動量検出センサ23からモータ作動量検出信号がそれぞれ入力される。パワーウインドスイッチ30から、AUTO-SW信号と、DOWN-SW信号と、UP-SW信号とが入力される。キーレスエントリ受信機40からは、UNLOCK実施信号と、UNLOCKボタン長押し信号と、UNLOCKキャンセル信号とがそれぞれ入力される。ドアスイッチ5からドア開閉SW信号が入力される。図示しないイグニッションスイッチからはIGN-SW信号が、シフトポジションスイッチからはシフトポジションSW信号が、車速センサからは車速信号が、サイドブレーキスイッチからはサイドブレーキSW信号が入力される。
【0011】
この実施の形態のパワーウインド装置では、所定の作動条件が成立していれば、乗車時のドア1の開に連動してサッシュレスウインド2を下げ、ドア1の閉に連動してウインドを上げ、降車時のドアの開に連動してウインド2を下げ、ドアの閉に連動してウインド2を上げる。一般に、このようなドア1の開閉に連動するウインド2の動作モードをウインド自動昇降モードと呼ぶ。この実施の形態では次に説明する常時自動昇降モードと随時昇降モードの2つのモードが用意されている。
【0012】
▲1▼常時自動昇降モード:
自動昇降モードを常時設定しておき、不要なときに特定の操作により自動昇降モードをキャンセル(無効化)するモードである。
▲2▼随時自動昇降モード:
自動昇降モードを無効化しておき、必要に応じて特定の操作により自動昇降モードを有効化するモードである。
【0013】
ここで、上記の特定操作とは、乗車時はリモコン6のアンロックボタン6Uを所定時間以上操作し、降車時はオートアップ/ダウンスイッチ4を所定時間以上アップ側あるいはダウン側へ操作する操作である。これら常時自動昇降モードと随時自動昇降モードはたとえば、イグニッションスイッチのオン時、車載モニタ上に自動昇降モード設定画面を表示させ、この画面を通じていずれか一方のモードを運転者(ユーザー)が選択設定するように構成することができる。図2において、画面制御部50は、このようにしてモニタ画面で選択された常時自動昇降モードおよび随時自動昇降モードのいずれか一方の状態信号を制御部10へ入力するととともに、制御部10において記憶し、以降は運転者(ユーザー)が選択したモードに基づいて後述するように作動する。
【0014】
制御部10は上述した信号を入力して後述する処理プログラムを実行し、パワーウインドモータ21を駆動制御するとともに、ブザー60の鳴動を制御する。以下、図3〜図9を参照してこの実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0015】
(1)乗車時のウインド動作
図3および図4は乗車時のウインド動作処理手順を示す図である。ステップS1でUNLOCK実施信号の受信が判定されるとステップS2において、UNLOCKボタン長押し信号が受信されたか判定する。肯定判定されるとステップS3に進み、長押しフラグをオンするとともに、確認用のブザー60を鳴動する。ステップS2で UNLOCKボタン長押し信号の受信が判定されない場合には、ステップS4に進む。ステップS4でUNLOCKキャンセル信号が受信されたと判定されると、図4のステップS30に進んで長押しフラグをオフしてステップS1に戻る。
【0016】
ステップS4でUNLOCKキャンセル信号の入力が否定されると、ステップS5に進み、ドア開閉SW信号に基づいてドア1が閉から開に変化したか判定する。ステップS5でドア1が閉から開に変化したと判定されない場合にはステップS4に戻り、ドア閉から開の変化が判定されると、ステップS6に進む。ステップS6ではウインド自動昇降動作を禁止する条件1が成立しているか判定する。ここで、作動禁止条件1は次の3つの条件のいずれか1つが満足すると成立する。
▲1▼シフトポジションがPレンジ以外が検出されている
▲2▼車速信号が検出されている
▲3▼サイドブレーキの解除信号が検出されている
上記作動禁止条件1は、発進している、もしくは発進のための前準備操作である。
【0017】
ステップS6で作動禁止条件1が成立していると判定されると、ステップS7を通ってステップS30へ進む。ステップS7では、ウインド自動昇降モードが有効化されているときに限ってモード中止用のブザー60を鳴動して運転者にその旨を報知する。
【0018】
作動禁止条件1が成立していない場合にはステップS6が否定され、ステップS8において、常時自動昇降モードおよび随時自動昇降モードのいずれが設定されているかを判定する。常時自動昇降モードが設定されている場合はステップS9に進み、随時自動昇降モードが設定されている場合にはステップS10へ進む。ステップS9およびステップS10では、長押しフラグがオンしているかが判定される。常時自動昇降モードが設定されている場合、ステップS9で長押しフラグがオンしていると判定されると、すなわち、自動昇降モードがキャンセル(無効化)されていると判定すると、ステップS30に進んで長押しフラグをオフしてステップS1へ戻る。一方、随時自動昇降モードが設定されている場合、ステップS10で長押しフラグがオンしていないと判定されると、すなわち、自動昇降モードが有効化されていないと判定すると、ステップS30に進んで長押しフラグをオフしてステップS1へ戻る。
【0019】
常時自動昇降モード設定中にUNLOCK信号が所定時間以上操作されなかった場合、および随時自動昇降モード設定中にUNLOCK信号が所定時間以上操作された場合には、それぞれ自動昇降モードを有効化してステップS11以降の処理を実行する。
【0020】
図4において、ステップS11ではパワーウインドモータ21にウインド下降信号を出力してウインド2を下降、すなわち開く。ステップS12でモータ停止が検出されないと判定されると、ステップS13において、ドアが開から閉に変化したか判定する。変化していない場合にはステップS13は否定され、ステップS14において、パワーウインド自動昇降動作を禁止する条件2が成立しているか判定する。ここで、作動禁止条件2は次の4つの条件のいずれか1つが満足すると成立する。
▲1▼シフトポジションのPレンジ以外が検出されている
▲2▼車速信号が検出されている
▲3▼サイドブレーキの解除信号が検出されている
▲4▼パワーウインドスイッチの操作が検出されている
この禁止条件2は、上記禁止条件1に条件▲4▼を付加した条件である。
【0021】
作動禁止条件2が成立していなければステップS11に戻る。作動禁止条件2が成立していると判定されている場合、ステップS15でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作を判定する。ステップS15でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されていると判定されると、ステップS16において、パワーウインドスイッチ操作に応じてパワーウインドモータ21に駆動信号を出力してステップS30に進む。ステップS15でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されていないと判定されると、ステップS17に進み、ウインド2の下降動作を中止する。すなわち、パワーウインドモータ21への駆動信号の出力を中止してステップS30へ進む。
【0022】
ステップS12でモータ停止が検出されるとステップS18において、ドアが開から閉に変化したか判定する。変化していない場合にはステップS18は否定され、ステップS19において、パワーウインド自動昇降動作の禁止条件1が成立しているか判定する。作動禁止条件1が成立していなければステップS18に戻る。作動禁止条件1が成立していると判定されている場合、ステップS30に進む。
【0023】
ステップS13あるいはステップS18が肯定されると、換言するとウインド2が下降中に、もしくはモータ停止が検出された後に、ドア1の状態が開から閉へ変化した場合には、ステップS20へ進み、ウインド2の上昇駆動信号をパワーウインドモータ21へ出力する。ステップS21でモータ停止か否かを判定し、モータ21が停止していないと判定されるとステップS22に進み、作動禁止条件2が成立しているか判定する。作動禁止条件2が成立していると判定された場合、ステップS23でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作を判定する。ステップS23でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されていると判定されると、ステップS24において、パワーウインドスイッチ操作に応じてパワーウインドモータ21に駆動信号を出力してステップS30に進む。ステップS23でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されていないと判定されると、ステップS25に進み、ウインド2の上昇動作を中止する。すなわち、パワーウインドモータ21への駆動信号の出力を中止してステップS30へ進む。ステップS21でモータ停止と判定された場合はステップS30へ進む。
【0024】
(2)乗車時の具体的説明
以上の乗車時のウインド自動昇降動作をより具体的に説明する。
−常時自動昇降モード−
乗員により予め常時自動昇降モードが設定されている場合は、次の条件でウインド2の自動降下動作が開始する。
▲1▼UNLOCKキャンセル信号が入力されないこと(ステップS4が否定判定)
▲2▼ドア1が閉から開へ変化していること
▲3▼長押しフラグがオフであること(ステップS9が否定判定:UNLOCKボタン6Uが長時間操作されないこと)
▲4▼作動禁止条件1が成立していないこと(ステップS6が否定判定)
【0025】
乗員により予め常時自動昇降モードが設定されている場合であっても、UNLOCKボタン6Uが長時間操作されて長押しフラグがオンである場合には、自動昇降モードをキャンセル(無効化)する。
【0026】
−随時自動昇降モード−
一方、乗員により予め随時自動昇降モードが設定されている場合、次の条件でウインド2の自動降下動作が開始する。
▲1▼UNLOCKキャンセル信号が入力されないこと(ステップS4が否定判定)
▲2▼ドア1が閉から開へ変化していること
▲3▼長押しフラグがオンであること(ステップS10が肯定判定:UNLOCKボタン6Uが長時間操作されたこと)
▲4▼作動禁止条件1が成立していないこと(ステップS6が否定判定)
乗員により予め随時自動昇降モードが設定されている場合には、UNLOCKボタン6Uが長時間操作されて長押しフラグがオンされていなければ、自動昇降モードが有効とならない。
【0027】
以上が各自動昇降モードでウインド自動降下が開始する条件である。自動降下中の種々の動作を次に説明する。ウインド2の自動降下動作中にアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作が行われると、そのスイッチ操作に応じてウインド2が昇降される(ステップS16)。ウインド2の自動降下動作中にアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作以外の要件で禁止条件2が成立すると、すなわち、ウインド2の自動降下動作中に禁止条件1が成立すると、ウインド2の下降動作を中止する(ステップS17)。
【0028】
ウインド2の自動降下動作中に、および降下終了(全閉)後にドア1が閉じられるとウインド2が上昇を開始する(ステップS20)。ウインド2の自動上昇動作中にアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作が行われると、そのスイッチ操作に応じてウインド2が昇降される(ステップS24)。ウインド2の自動上昇動作中にアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作以外の要件で禁止条件2が成立すると、すなわち、ウインド2の自動上昇動作中に禁止条件1が成立すると、ウインド2の上昇動作を中止する(ステップS25)。
【0029】
ウインド2の降下終了後にドア1が閉められないで状態で作動禁止条件1が成立すると(ステップS19が肯定判定)長押しフラグをオフし、作動禁止条件1が成立しなければ(ステップS19が否定判定)ドア1が閉まるのを待つ。
【0030】
自動昇降モードにおいて、ドアを開いてウインド2が下降した後、長時間ドアが開けっ放しのときは、自動昇降モードをキャンセルしてもよい。この場合、ドア閉に連動するウインド2の上昇動作は行われない。また、作動禁止条件1として、リモコン6によるドアロック施錠が完了したことを含めたり、長押しフラグがオンしている状態で再度UNLOCKボタン6Uが長時間操作されたことを含めてもよい。
【0031】
随時自動昇降モードが設定されていて長押しフラグがオンされている場合は、運転者が意識的に自動昇降モードを選択しているので、次のような変形が可能である。
▲1▼ステップS6をスキップしてもよい。
▲2▼ステップS17において、ウインド2をすぐに停止せずに全開してから停止させてもよい。
▲3▼イグニッションスイッチがオフからオンされてエンジンが始動し、シフトレバーがPレンジからP,R以外のポジションに操作され、パーキングブレーキが解除されたときは、車両が前進するときであり、ステップS26において、ウインド2を全閉してもよい。すなわち、Rポジションに操作されたときは後進する可能性が高いので、ウインド2を直ちに停止するのがよい。
【0032】
(3)降車時のウインド動作
図5〜図9は降車時の処理手順を示す図である。ステップS41において、選択フラグをオフする。この選択フラグのオンオフについては後述するが、常時自動昇降モード設定中であれば、選択フラグがオフで降車時のウインド自動昇降モードが有効化され、選択フラグがオンで降車時のウインド自動昇降モードが無効化される。一方、随時自動昇降モード設定中であれば、選択フラグがオンで降車時のウインド自動昇降モードが有効化され、選択フラグがオフで降車時のウインド自動昇降モードが無効化される。
【0033】
ステップS42でイグニッションスイッチがオンからオフに状態変化したと判定されると、ステップS43においてタイマ作動を開始する。このタイマはたとえば15分間計時を行い、この間、イグニッションスイッチがオフされた後であってもパワーウインド装置を使用可能とする。ただし、ドア1が開から閉状態に変化するとタイマ作動を終了する。ステップS44で作動禁止条件3が成立しているか否かが判定される。ここで、作動禁止条件3は次の4つの条件のいずれか1つが満足すると成立する。
▲1▼シフトポジションのPレンジ以外が検出されている
▲2▼車速信号が検出されている
▲3▼サイドブレーキの解除信号が検出されている
▲4▼イグニッションスイッチのオンが検出されている
この作動禁止条件3は上述した作動禁止条件1に上記▲4▼を加えたものであり、走行中であること、または発進準備中(走行可能状態)を示す。
【0034】
(自動下降動作処理)
ステップS44が否定されるとステップS45に進む。ステップS45でドアが開かれていると判定されると、ステップS46で自動昇降モードを判定する。ステップS46で常時自動昇降モードと判定され、かつステップS47で選択フラグがオフと判定されると、ステップS48でパワーウインドモータ21にウインド下降駆動信号を出力し、ウインド2を下降、すなわち開く。
【0035】
次いでステップS49で作動禁止条件4が成立しているか判定する。ここで、作動禁止条件4は次の5つの条件のいずれか1つが満足すると成立する。
▲1▼シフトポジションのPレンジ以外が検出されている
▲2▼車速信号が検出されている
▲3▼サイドブレーキの解除信号が検出されている
▲4▼イグニッションスイッチのオンが検出されている
▲5▼パワーウインドスイッチの操作が検出されている
この作動禁止条件4は上述した作動禁止条件3に上記▲5▼を加えたものである。
【0036】
ステップS49が否定されるとステップS50でタイマカウントが終了したかを判定し、終了していないと判定されるときはステップS51に進む。ステップS51において、ドア1の開から閉への状態変化が判定される。ドア1が閉まるまではステップS51が否定されてステップS53へ進む。ステップS53でモータ21の停止が検出されるまではステップS48へ戻り、ウインド2が全開した場合、つまりステップS53が肯定された場合は図7のステップS81へ進む。図7については後述する。
イグニッションスイッチをオフして降車した後であって、ウインド2の下降中にドア1が閉められた場合には、ステップS52でタイマ作動を終了してステップS61(図6参照)へ進む。
【0037】
(ウインド自動上昇動作処理)
図6において、ステップS61では、パワーウインドモータ21にウインド上昇駆動信号を出力し、ウインド2の上昇を開始する。ステップS62で作動禁止条件4が成立しているか判定し、ステップS62が否定されるとステップS63においてモータ21の停止が検出されたか判定する。モータ停止が検出されるまでステップS61へ戻る。モータ停止が検出されると、ステップS64でウインド2が全閉か判定し、全閉していない場合にはステップS65で警報用のブザー60を鳴動してステップS54に進んでタイマ作動を終了した後、ステップS41に戻る。ステップS62で作動禁止条件4の成立が判定されるとステップS62Aを通ってステップS66へ進む。ステップS62Aでは、モータ21を停止し、随時自動昇降モード設定中の場合はモード中止用のブザー60を鳴動する。ステップS66でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されたと判定されると、ステップS67において、アップ/ダウンスイッチ操作に応じてウインド2を昇降する。ステップS66でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作がされていないと判定されると、ステップS54でタイマ作動を終了してステップS41へ戻る。
【0038】
なお、ステップS65の判定は、図2のウインド上端位置検出スイッチ22の信号に基づいて行うことができる。あるいは、モータ作動量検出センサ23からのウインド駆動量信号に基づいて行うことができる。たとえば、ウインド作動開始位置に対する作動量が全閉位置に対して不足しているか否かにより判定することができる。モータ作動量検出センサ23としては、ホールセンサなどを使用できる。
【0039】
(ウインド上昇待機処理)
図7において、ステップS81でタイマカウントの終了が判定されないと、ステップS82でドア1の閉状態が判定される。ステップS82でドア1が閉状態と判定された場合、ステップS93において、タイマ作動を終了し、ステップS94において、自動昇降モードを判定する。ステップS94で常時自動昇降モードと判定され、かつ、ステップS95で選択フラグがオフと判定されると、すなわち、常時自動昇降モードが有効化されている場合には、図6のステップS61へ進み、ウインド2を自動上昇させる。ステップS94で常時自動昇降モードであると判定され、かつ、ステップS95で選択フラグがオンと判定されると、すなわち、常時自動昇降モードが無効化されている場合には、ステップS54に進み、タイマ作動を終了してステップS41へ戻る。
【0040】
ステップS82でドア1の閉状態が判定されないと、ステップS83でイグニッションスイッチがオンか判定し、オンでないと判定されるとステップS84で作動禁止条件1が成立しているかが判定される。ステップS84で作動禁止条件1が成立していないと判定されると、ステップS85において、アップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されたかを判定する。ステップS85が肯定されるとステップS86に進み、アップ/ダウンスイッチ操作に応じてウインド2を昇降させてステップS87へ進む。ステップS85でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されていないと判定されるとステップS81に戻る。
【0041】
ステップS87において、自動昇降モードが常時自動昇降モードであると判定されると、ステップS88に進み、オートアップ/ダウンスイッチ4をアップ側に所定時間以上操作されたかを判定する。否定されるとステップS81へ戻り、肯定されるとステップS89において、選択フラグをオンするとともに、確認用のブザー60を鳴動してステップS81に戻る。
【0042】
図7において、ステップS81でタイマカウントの終了が判定された場合、ステップS54(図5)に進み、タイマ作動を終了してステップS41(図5)に戻る。ステップS83でイグニッションスイッチがオンと判定された場合には、ステップS83Aを通ってステップS54に進む。ステップS83Aでは、随時自動昇降モードが設定されている場合にのみ、モード中止用のブザー60を鳴動する。
【0043】
(ウインド下降中に作動禁止条件が成立した場合)
図5において、イグニッションスイッチをオフした後にドア1を開いてウインド2の下降動作中(ステップS48)に、ステップS49で作動禁止条件4が成立していると判定されると、ステップS110でウインド2の下降を止めて自動昇降モード途中中止用のブザー60を鳴動する。ステップS111でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されたと判定されると、ステップS112において、アップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作に応じてウインド2を昇降させてステップS111へ戻る。ステップS111でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されていないと判定されると、ステップS113でイグニッションスイッチがオンか判定する。オンでないと判定されると図7のステップS71へ進み、オンと判定されるとステップS54でタイマ作動を終了させ、ステップS41へ戻る。イグニッションスイッチをオフした後にドア1を開いてウインド2の下降動作中に、ステップS50でタイマカウント終了が判定されると、ステップS54を通ってステップS41へ戻る。
【0044】
(イグニッションスイッチオフ後であってドア開放前の動作処理)
図5において、ステップS44で作動禁止条件3の成立が否定され、ステップS45でドア1の開状態が否定され、図8のステップS101でタイマカウント終了が否定され、ステップS102でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作が肯定されると、つまり、イグニッションスイッチをオフしてドアを開放前に(ウインド2の自動下降前に)アップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されると、ステップS103でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作に応じてウインド2を昇降させてステップS104へ進む。ステップS101でタイマカウントの終了が判定されると、ステップS115を通ってステップS41へ戻る。このステップS115では、随時自動昇降モードが設定されている場合に限ってモード中止用のブザー60を鳴動させる。このブザー60の鳴動により自動昇降モードがキャンセルされたことを報知する。
【0045】
(モード有効化、無効化処理)
図8のステップS104において、自動昇降モードが常時自動昇降モードであると判定されると、ステップS105に進み、オートアップ/ダウンスイッチ4がアップ側に所定時間以上操作されたかを判定する。否定されるとステップS44へ戻り、肯定されるとステップS106において、選択フラグをオンとするとともに、確認用のブザー60を鳴動してステップS44に戻る。ステップS104において、自動昇降モードが随時自動昇降モードであると判定されると、ステップS107に進み、オートアップ/ダウンスイッチ4がダウン側に所定時間以上操作されたかを判定する。否定されるとステップS44へ戻り、肯定されるとステップS108において、選択フラグがオンか否かを判定する。オンと判定されれば、ステップS109で選択フラグをオフする(随時自動昇降モードを無効化する)とともに、モード中止用のブザー60を鳴動してステップS44に戻る。ステップS108で選択フラグがオンでないと判定されると、ステップS106に進み、選択フラグをオンする(随時自動昇降モードを有効化する)とともに、確認用のブザー60を鳴動してステップS44に戻る。
【0046】
(ウインド下降前に作動禁止条件3が成立した場合)
図5のステップS44において作動禁止条件3が成立していると判定されと、ステップS44Aを通ってステップS70に進む。ステップS44Aでは、随時自動昇降モードが設定されている場合にのみ、モード中止用のブザー60を鳴動する。ステップS70においてイグニッションスイッチがオンしていると判定される場合は、ステップS54に進み、タイマ作動を終了してステップS41に戻る。ステップS44において作動禁止条件3が成立していると判定され、かつ、ステップS70においてイグニッションスイッチがオンしていないと判定される場合、ステップS71(図7参照)に進む。
【0047】
(通常タイマ動作処理)
図9はイグニッションスイッチオフ後の所定時間内だけパワーウインド装置の使用を可能とする通常のタイマ動作処理である。図9において、ステップS71でタイマカウントの終了が判定されないと、ステップS72でドア1の閉状態が判定される。ステップS72でドア1の閉状態が判定されないと、すなわち、ドア1の開状態が判定されると、ステップS73でイグニッションスイッチがオンか判定し、オンでないと判定されるとステップS74でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されたかを判定する。ステップS74が肯定されるとステップS75に進み、アップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作に応じてウインド2を昇降させてステップS71へ戻る。ステップS74でアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4が操作されていないと判定される場合もステップS71に戻る。ステップS71でタイマカウントの終了が判定された場合、ステップS72でドア1が閉状態と判定された場合、ステップS73でイグニッションスイッチがオンと判定された場合には、それぞれステップS54に進み、タイマ作動を終了してステップS41に戻る。
【0048】
なお、ステップS75では自動昇降モードを無効化しない。その理由は、自動昇降モードにおいてドア1の開から閉の状態変化待機中において、パワーウインドスイッチ3,4を誤って操作した場合を想定している。つまり、誤ったパワーウインドスイッチ操作でウインド2を駆動してドアを開けて降車するとき、運転者は自動昇降モードがキャンセルされたことを認識しないので、ウインド2が自動的に全閉されると勘違いすることがあるからである。
【0049】
(随時自動昇降モードによるウインド動作処理)
図5において、ステップS44で作動禁止条件3の成立が否定され、ステップS45でドア1の開状態が肯定され、ステップS46で随時自動昇降モードと判定されるとステップS81(図7参照)へ進む。また、ステップS53でモータ停止が検出された場合、すなわち、ウインド2が全開したと判定された場合にも、ステップS81へ進むことは前述したとおりであるが、随時自動昇降モードに関連して図7を簡単に説明する。
【0050】
図7において、ステップS81でタイマカウントの終了が判定されないと、ステップS82でドア1の閉状態が判定される。ステップS82でドア1が閉状態と判定された場合、ステップS93において、タイマ作動を終了し、ステップS94において、自動昇降モードを判定する。ステップS94で随時自動昇降モードと判定され、かつ、ステップS96で選択フラグがオンと判定されると、すなわち、随時自動昇降モードが有効化されている場合には、図6のステップS61へ進み、ウインド2を自動上昇させる。ステップS94で随時自動昇降モードであると判定され、かつ、ステップS96で選択フラグがオフと判定されると、すなわち、随時自動昇降モードが無効化されている場合には、ステップS54に進み、タイマ作動を終了してステップS41へ戻る。
【0051】
(自動モード有効化、無効化処理)
ステップS87において、自動昇降モードが随時自動昇降モードであると判定されると、ステップS90に進み、オートアップ/ダウンスイッチ4がダウン側に所定時間以上操作されたかを判定する。否定されるとステップS81へ戻り、肯定されるとステップS91において、選択フラグがオンか否かを判定する。オンと判定されると、ステップS92で選択フラグをオフする(随時自動昇降モードを無効化する)とともに、モード中止用のブザー60を鳴動してステップS81に戻る。ステップS91で選択フラグがオンではないと判定されると、ステップS89に進み、選択フラグをオンする(随時自動昇降モードを有効化する)とともに、確認用のブザー60を鳴動してステップS81に戻る。
【0052】
(4)降車時の具体的説明
以上の降車時のウインド自動昇降動作をより具体的に説明する。
−常時自動昇降モード設定時−
乗員により予め常時自動昇降モードが設定されている場合は、次の条件でウインド2の自動降下動作が開始する。
▲1▼イグニッションスイッチがオンからオフされた直後であること(ステップS42が肯定判定)
▲2▼作動禁止条件3が成立していないこと(ステップS44が否定判定)
▲3▼ドア1が開かれたこと(ステップS45が肯定判定)
▲4▼選択フラグがオフであること(ステップS47が否定判定)
【0053】
ここで、上記条件▲2▼の作動禁止条件3は、上述したように「▲1▼シフトポジションのPレンジ以外が検出されていること、▲2▼車速信号が検出されていること、▲3▼サイドブレーキの解除信号が検出されていること、▲4▼イグニッションスイッチのオンが検出されていること」のいずれか一つである。これらの条件はいずれも、走行中あるいは発進する前段階で行われる操作である。したがって、イグニッションスイッチをオフした後で作動禁止条件3が成立した場合は、ウインドが降下前であれ、自動降下中であれ、自動上昇中であれ、自動昇降モードを無効化する(ステップS44A,S110,S62A)。つまり、イグニッションスイッチがオフされている場合に図9の通常タイマ処理に移行するので、ドア1の開閉に連動するウインド自動昇降動作は実質的に行われない。
【0054】
ウインド2の自動降下動作中にイグニッションスイッチがオンされたことに起因して作動禁止条件4が成立すると、ウインド2の下降動作を中止する(ステップS110)。ウインド2の自動降下動作中にアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作が行われたことに起因して禁止条件4が成立すると、そのスイッチ操作に応じてウインド2が昇降される(ステップS112)。
【0055】
ウインド2の自動降下動作中にドア1が閉じられるとウインド2が上昇を開始する(ステップS61)。ウインド2の自動上昇動作中にアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作が行われると、そのスイッチ操作に応じてウインド2が昇降される(ステップS67)。ウインド2の自動上昇動作中にアップ/ダウンスイッチ3もしくはオートアップ/ダウンスイッチ4の操作以外の要件で禁止条件4が成立すると、すなわち、ウインド2の自動上昇動作中に禁止条件1が成立すると、ウインド2の上昇動作を中止する(ステップS62A)。
【0056】
ウインド2の自動降下動作が終了して(ステップS53が肯定判定)ドア1の閉状態が検出され(ステップS82が肯定判定)、さらに、選択フラグがオフのときに(ステップS95が否定判定)ウインド2の上昇が開始する(ステップS61)。
【0057】
−随時自動昇降モード設定時−
乗員により予め随時自動昇降モードが設定されている場合、オートアップ/ダウンスイッチ4をダウン側へ所定時間以上操作したときに自動昇降モードが有効化される(ステップS90,91,89またはステップS107,108,106)。したがって、イグニッションスイッチをオフして降車するとき、すでにウインド2は全開されており、ドア1の開に連動してウインド自動下降動作は不要である。そして、次の条件が成立するとウインド2の自動上昇動作が開始される。
▲1▼イグニッションスイッチがオンからオフされた直後であること(ステップS42が肯定判定)
▲2▼作動禁止条件3が成立していないこと(ステップS44が否定判定)
▲3▼ドア1が開から閉ざされたこと(ステップS82が肯定判定)
▲4▼選択フラグがオンであること(ステップS96が肯定判定)
【0058】
ここで、上記条件▲2▼の作動禁止条件3は、上述したように「▲1▼シフトポジションのPレンジ以外が検出されていること、▲2▼車速信号が検出されていること、▲3▼サイドブレーキの解除信号が検出されていること、▲4▼イグニッションスイッチのオンが検出されていること」のいずれか一つである。これらの条件はいずれも、走行中あるいは発進する前段階で行われる操作である。したがって、イグニッションスイッチをオフした後で作動禁止条件3が成立した場合は、ウインドが降下前であれ、自動上昇中であれ、自動昇降モードを無効化する。
【0059】
このように構成されたパワーウインド装置にあっては次のような作用効果がある。
(1)乗車時は、リモコン装置によりドアロック装置をアンロックして最初にドアを開いたときにだけウインドを降下させるようにし、降車時は、イグニッションスイッチをオフした後に初めてドアを開いたときにだけウインドを降下させるようにしたので、上記以外の時点でドアが開かれてもウインドは自動降下しない。したがって、狭い駐車場で乗員が実際に乗降する時にだけウインドを自動降下させることができる。
(2)走行状態だけではなく発進準備操作により自動昇降モードを無効化するようにしたので、狭い駐車場で乗員が実際に乗降する可能性が高い時にだけウインドを自動降下させることができる。
(3)オートアップ/ダウンスイッチ操作により自動昇降モードを無効化するようにしたので、運転者の意志でウインド開閉操作が行われるときのように、周囲の環境などに応じて自動昇降が不要である可能性が高い状況下では運転者の意志が尊重され、違和感のないパワーウインド装置が提供される。
(4)ドアを開けて後方を見ながら後退する時には自動昇降モードが無効化されるので、運転者に違和感を与えない。
(5)自動昇降モードが設定されている場合、乗員は降車時にウインドが自動的に全閉するものとしてウインドを確認せずに車両から離れる場合があるが、自動昇降モードでウインドが上昇駆動されてもウインドが全閉しないときは警告するようにしたので、ウインドを開けたまま車両を離れてしまうことを抑制できる。
【0060】
以上では、乗車時には、UNLOCKボタン6の所定時間以上の操作により、自動昇降モードの有効化、もしくは無効化を行うようにしたが、車両の外から操作できるものであれば他の操作部材でもよい。たとえば、ドアアウタパネルのキーシリンダをUNLOCK側へ所定時間以上保持する操作、あるいは、2回連続してUNLOCK側へ操作する行為でもよい。また、降車時には、オートアップ/ダウンスイッチの長時間操作で自動昇降モードの有効化、無効化を行うようにしたが、その他の操作部材の操作によってもよい。しかし、オートアップ/ダウンスイッチを使用する場合には、運転者の操作意図に合った機能を選択できるので、操作に違和感を覚えることが少ない。
【0061】
さらに、ブザーに代えて、ランプの点滅などを利用してもよい。なお、ブザー等の警告・告知手段において、「確認用」「モード中止用」「警告用」と区別し、その鳴動パターンやその音量あるいは点滅パターン等を異ならせておくことが望ましい。また、上述した実施形態においては、運転者(ユーザー)が必要なときに自動昇降モードを有効にできる随時自動昇降モードの時において、運転者が特定の操作をして自らの意志で自動昇降モードにしたにも拘わらず、装置側が自動昇降モードをキャンセルするような場合において、ブザーを鳴動するようにしたが、これに限らず、常時自動昇降モードの時でも、特に降車時において、すなわち、ステップS62A,S83A,S85A,S115においては、装置側が自動昇降モードをキャンセルするような場合でも、ブザーを鳴動するようにしてもよく、自動昇降モードがキャンセルされたのを運転者(ユーザー)が知らずに車両から離れることをより確実に抑制できる。さらにこれらの警告・告知手段の作動・非作動、あるいは鳴動・点滅パターン等の種々の設定を車載モニタ上で設定できるようにしてもよい。ただし、「警告用」に関しては、 その主旨からして「非作動」が選択できないようにするのが望ましい。
【0062】
自動昇降モードを無効化する条件として、作動禁止条件1〜4を設定したが、雨滴センサにより雨を検知したとき、ワイパ操作スイッチがオンされたことを検出して、自動昇降モードを無効化するようにしてもよい。あるいは、雨以外でも強風時、降雪時など、自動的にウインド2を下降させるのが適切でないときに自動昇降モードを無効化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパワーウインド装置が適用される車両の運転席ドアを開いて示す斜視図
【図2】図1のパワーウインド装置の制御ブロック図
【図3】図1に示したパワーウインド装置の乗車時の処理手順を示すフローチャート
【図4】図3の手順に引き続く乗車時の処理手順を示すフローチャート
【図5】図1に示したパワーウインド装置の降車時の処理手順を示すフローチャート
【図6】図5の手順に引き続く降車時の処理手順を示すフローチャート
【図7】図5の手順に引き続く降車時の処理手順を示すフローチャート
【図8】図5の手順に引き続く降車時の処理手順を示すフローチャート
【図9】図5の手順に引き続く降車時の処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
1:ドア 2:サッシュレスウインド
3:アップ/ダウンスイッチ 4:オートアップ/ダウンスイッチ
5:ドアスイッチ 6:リモコン装置
10:制御部 20:パワーウインド機構部
30:パワーウインドスイッチ 40:キーレスエントリ受信機
50:画面制御部 60:ドアロック駆動部

Claims (8)

  1. 乗車時のドア開放操作に連動してそのドアに設けられたサッシュレスウインドを降下させるとともに、引き続くドア閉成操作に連動して降下されたサッシュレスウインドを上昇させ、
    降車時にドア開放操作に連動してそのドアに設けられたサッシュレスウインドを降下させるとともに、引き続くドア閉成操作に連動して降下されたサッシュレスウインドを上昇させる自動昇降モードを備えたパワーウインド装置において、
    前記自動昇降モードでは、前記乗車時の最初のドア開放操作、および前記降車時の最初のドア開放操作にのみ連動して前記サッシュレスウインドを降下させる一方、引き続くドア閉成操作に連動して前記サッシュレスウインドを上昇させ
    前記乗車時の最初のドア開放操作は、リモコン装置によりドアロック装置をアンロックして最初にサッシュレスウインドが設けられたドアを開く操作であり、
    前記降車時の最初のドア開放操作は、イグニッションスイッチをオフした後に最初にサッシュレスウインドが設けられたドアを開く操作であることを特徴とするパワーウインド装置。
  2. 請求項1のパワーウインド装置において、
    前記自動昇降モードは、第1の特定操作が検出されると前記自動昇降モードを無効化し、前記第1の特定操作が検出されない場合には前記自動昇降モードを有効化する常時自動昇降モードと、
    第2の特定操作が検出されると前記自動昇降モードを有効化し、前記第2の特定操作が検出されない場合には前記自動昇降モードを無効化する随時自動昇降モードを含むことを特徴とするパワーウインド装置。
  3. 請求項2のパワーウインド装置において、
    前記第1の特定操作は前記ウインドをワンタッチで全閉駆動するオートアップスイッチ操作であり、
    前記第2の特定操作は前記ウインドをワンタッチで全開駆動するオートダウンスイッチ操作であることを特徴とするパワーウインド装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のパワーウインド装置において、
    予め定めた無効化条件が成立したときに前記自動昇降モードを無効化し、
    それ以降の前記ドアに連動するウインド自動昇降動作を行わないようにすることを特徴とするパワーウインド装置。
  5. 請求項4のパワーウインド装置において、
    前記予め定めた無効化条件は発進準備状態を含むことを特徴とするパワーウインド装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のパワーウインド装置において、
    降車時に前記自動昇降モードにより前記ウインドが上昇駆動されたとき、前記ウインドの全閉状態を判別する判別手段と、
    この判別手段により全閉していないと判別されたときに警告する警告手段とを備えることを特徴とするパワーウインド装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のパワーウインド装置において、
    前記ウインドを昇降させるためのスイッチ操作により前記自動昇降モードを無効化することを特徴とするパワーウインド装置。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載のパワーウインド装置において、
    車両の走行状態もしくは発進準備状態が検出されると前記自動昇降モードを無効化し、
    それ以降の前記ドアに連動するウインド自動昇降動作を行わないようにすることを特徴とするパワーウインド装置。
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