JP3750492B2 - 車両用ドアロック自動解除装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のドアの閉鎖時にドアの施解錠を行う車両用ドアロック装置に併設され、車両のドアロックを自動解除する車両用ドアロック自動解除装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の降車性を向上させるために降車時を適宜の手段で判定し、ドアロック状態をアンロック状態に切り換える車両用ドアロック自動解除装置が知られている。例えば、自動変速機付き車両(A/T車)においては、降車時の判定にあたり、シフトレバーをパーキングポジション(P)にシフトしたことで降車時を判定し、これに連動してドアアンロック状態に切り換えている。この種の装置は、主に、車速感応ドアロック装置と組み合わせて装着されることが多く、この場合、車速感応で自動的にドアロックした後、降車時に、パーキング連動ドアアンロックでき、降車時の煩わしい手動でのドアアンロック操作を排除できる。なお、シフト位置がパーキング位置で、パーキングブレーキスイッチのオン時にドアアンロックさせるドアロック自動解除装置の一例が実公平3−45507号公報に開示される。
【0003】
しかし、パーキング連動ドアアンロック式の装置の場合、パーキング時に必ずしも降車するとは限らず、降車しない場合は自動アンロックの作動音がするため、これが煩わしく感じられる。
そこで、専用のスイッチを設置するか、または制御装置(ECU)内部メモリを書き換えること(いわゆるソフトウエアスイッチ)によって、パーキング連動ドアアンロックの有無を切換えできる車両用ドアロック自動解除装置が提案されている。ここでは専用のスイッチを用いたことにより、ドライバーの意志により即座にパーキング連動ドアアンロックの有無の切り替えが可能となり、使い勝手が改善された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の専用のスイッチを用いドライバーの意志によりパーキング連動ドアアンロックの有無を切換えできる装置の場合、専用スイッチを設けるという点でコストアップが生じる。更に、ソフトウエアスイッチによる切換えの場合は、内部メモリを書き換える操作が必要であり、これはドライバーの選択を待って対処する場合が多く、即座に対応できないというデメリットがある。
本発明は、上述の課題に基づき、ドライバーの意志によりパーキング連動ドアアンロックの有無を切換えでき、コストアップを抑えることのできる車両用ドアロック自動解除装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、パワーウインドーを有した車両のドアのロックを自動解除する車両用ドアロック自動解除装置において、前記車両の変速機のシフトレバーがパーキング位置にあることを検出するパーキング位置検出手段と、前記パワーウインドーの作動を禁止する禁止信号を発するパワーウインドーロックスイッチと、前記パーキング位置の検出時で前記パワーウインドーの作動禁止信号の解除時に前記ドアをアンロックに切換え制御する制御手段を備えたことを特徴としている。
パワーウインドーロックスイッチよりのパワーウインドーの作動を禁止する禁止信号の解除が検出され、パーキング位置検出手段よりパーキング位置が検出された時に、制御手段は降車時と判断し、ドアをアンロックに切換える。ここではパワーウインドーロックスイッチによる作動禁止信号の解除操作がドライバーの降車意志と一致することを利用でき、この降車意志の確認に応じて、瞬時にパーキング連動ドアアンロックの有無を切換えできる。特に、既存のパワーウインドーロックスイッチをドライバーの降車意志確認用のスイッチとして兼用するので、コストアップを防止できる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の車両用ドアロック自動解除装置において、前記変速機は自動変速機であることを特徴としている。
この場合、自動変速機のシフトレバーに付設される変速位置検出手段をパーキング位置検出手段として利用でき、自動変速機付き車両(A/T車)の既存機器を有効利用でき、この点でもコストアップを防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1、図2には本発明の一実施形態としての車両用ドアロック自動解除装置を適用した車両用ドアロック装置1を示した。この車両用ドアロック装置1は4ドアの自動変速機付きのA/T車両(以後単に車両と記す)Cにパワーウインドー装置20と共に装着されている。
この車両用ドアロック装置1は、前後左右の各ドア2に装着されるドアラッチ3と、ドアラッチ3に図示しないリンクを介し連結されるドアハンドル4及びインサイドハンドル5と、ドアラッチ3に図示しない他のリンクを介し連結される施解錠用のドアロックアクチュエータ(以後単にアクチュエータと記す)6と、パワーウインドー装置20の制御部としても共用されるボデーコントロールユニット(以後単にコントローラと記す)8と、パワーウインドー装置20と共用されるパワーウインドーロックスイッチ(Srock)11とを備える。
【0008】
車両の前後左右の各ドア2はドアラッチ3を図示しないストライカに噛み合わせることでドアを閉鎖でき、そのドアの外側からの開放時にはドアハンドル4を、内側からの開放時にはインサイドハンドル5を使用するように構成される。更に、ドアラッチ3に接続されたアクチュエータ6は内蔵するソレノイドSL1〜4の働きで施解錠作動、すなわち、ドアロック、ドアアンロック作動できる。
アクチュエータ6の駆動源を成すソレノイドSL1〜4は各駆動回路17を介しコントローラ8のドアロック制御部a−1に接続される。
車両Cの前後左右の各ドア2は図示しないウインドガラスを備え、各ウインドガラスはパワーウインドー装置20により開閉操作される。パワーウインドー装置20は前後左右の各ドア2のウインドガラスをウインドモータ16で昇降操作でき、各ウインドモータ16はスイッチ回路(RL1〜RL4)15を介しコントローラ8のパワーウインドー制御部a−2に接続される。
【0009】
図1、図2に示すように、コントローラ8は車室側の図示しない基部に取付けられる。このコントローラ8は図示しない入力ポートにイグニッションスイッチ(以後単にIGスイッチと記す)12と、前後左右の各ドア2のウインドスイッチ(SW1〜SW4)7と、パワーウインドー作動禁止信号Ron及び解除信号Roffを出力するパワーウインドーロックスイッチ(Srock)11と、車両Cの自動変速機TMの変速段を切り換えるシフトレバー10に取り付けられ、現在の変速段信号を出力する変速段検出スイッチ13と、車速Vc信号を出力する車速センサ14とを接続する。一方、図示しない出力ポートには、各ウインドモータ16のスイッチ回路(RL1〜RL4)15と、ドア施解錠用のアクチュエータ(SL1〜SL4)6の各駆動回路(r1〜r4)17を接続する。
【0010】
変速段検出スイッチ13はニュートラルN、ドライブD、後退R及びパーキングPの各変速段信号Hn,Hd,Hr,HPを出力する、所謂、インヒビタスイッチでよく、パーキング信号HPを出力するパーキング位置検出手段としての機能を有する。パワーウインドーロックスイッチ(Srock)11は切換えスイッチでよく、通常位置より押圧位置に押し込むとパワーウインドー作動禁止信号Ron(オン信号)を発し、再度押し込み通常位置に復帰させると解除信号Roff(オフ信号)を出力するよう形成される。
スイッチ回路(RL1〜RL4)15は図示しないパワートランジスタから成る開放用と閉鎖用の各スイッチ素子を並列に備え、これら開閉用の各スイッチ素子にコントローラ8より昇降信号su,sdが選択的に入力された際に各ウインドモータ16を正転あるいは逆転させて、ウインドガラスを昇降作動するように構成される。
【0011】
各駆動回路(r1〜r4)17はリレー素子を備え、各リレー素子にコントローラ8より励磁信号であるドアロック信号(図示しないラッチ位置センサで予めドアアンロックが検出されている場合)が入力されると、各アクチュエータ6のソレノイド(SL1〜SL4)を駆動してドアラッチ3内をドアロック状態に切換え、次の励磁信号であるドアアンロック信号(図示しないラッチ位置センサで予めドアロックが検出されている場合)が入力されると各ソレノイド(SL1〜SL4)を再度駆動してドアラッチ3内をドアアンロック状態に切換えるように構成される。
【0012】
コントローラ8は車両用ドアロック装置1とパワーウインドー装置20の各制御部として共用され、ドアロック制御部a−1とパワーウインドー制御部a−2として機能する。
【0013】
パワーウインドー制御部a−2は、パワーウインドー作動禁止信号Ronの入力時には、各ウインドスイッチ(SW1〜SW4)7の操作に応じた各スイッチ回路(RL1〜RL4)15への昇降信号su,sdの出力を阻止し、一方、解除信号Roffの入力時には入力した昇降信号su,sdに応じて各スイッチ回路(RL1〜RL4)15を介し各ウインドモータ16を正転あるいは逆転させよう機能し、ウインドガラスを開閉操作する。
【0014】
ドアロック制御部a−1は、車速Vcが走行判定値Vα以上で前後左右の各駆動回路(r1〜r4)17を介し各ドア施解錠用のアクチュエータ(SL1〜4)6をドアロック作動させ、施錠処理し、解錠にあたり、パワーウインドーロックスイッチ11の解除信号Roffの入力には、ドライバーの降車意志ありとして各駆動回路(r1〜r4)17を介して、各ドア施解錠用のアクチュエータ(SL1〜SL4)6を駆動し、ドアラッチ3内をドアアンロックに切換えるよう機能し、ドアロック状態を解除する。
【0015】
次に、図1の車両用ドアロック装置1の動作について説明する。
コントローラ8は、ドアロック制御部a−1の基本制御部分とパワーウインドー制御部a−2の制御とを図示しないメインルーチンで実行し、特に、パーキング位置信号HPの入力時に、ドアロック制御部a−1の割込み制御部分を図3のドアアンロック制御ルーチンに沿って実行する。
コントローラ8はIGスイッチ12のオン時(乗車時)に、まず、ドアロック制御部a−1の制御に入る。
【0016】
ここでは、車速センサ14より読み取った車速Vcが走行判定値Vα以上に成るのを待ち、上回ると前後左右の各駆動回路(r1〜r4)17を介し各ドア施解錠用のアクチュエータ(SL1〜SL4)6をドアロック作動させる。この際、コントローラ8は予め、図示しないラッチ位置センサでドアアンロックを検出している場合にのみ、励磁信号であるドアロック信号を前後左右の各駆動回路(r1〜r4)17に出力する。
この後、コントローラ8は図示しないラッチ位置センサでドアロックを検出した上で、ドアアンロックの判断に備え、パワーウインドーロックスイッチ11からの信号がパワーウインドー作動禁止信号Ronあるいは解除信号Roffかを監視し、しかも、変速段検出スイッチ13からのパーキング位置信号HPの入力を監視する。
【0017】
次いで、コントローラ8はパワーウインドー制御部a−2として機能し、現在のパワーウインドー作動禁止信号Ronの入力時には、各ウインドスイッチ(SW1〜SW4)7の開閉信号を受けてもこれをキャンセルし、各スイッチ回路(RL1〜RL4)15への出力を阻止し、各ドア2のウインドガラスを開閉するウインドモータ16を非作動に保持する。これにより、後席乗車の子供がいたずら等により誤ってドアの開閉をすることを防止できる。逆に、駐車時や降車時等に運転者の意志でパワーウインドーロックスイッチ11を操作し、パワーウインドーの作動禁止を解除する解除信号Roffの出力時には、各ウインドスイッチ(SW1〜SW4)7の操作に応じた昇降信号su,sdを受け各スイッチ回路(RL1〜RL4)15が各ドア2のウインドモータ16を正転あるいは逆転駆動し、ウインドガラスを昇降操作できる。
【0018】
更に、コントローラ8はこのような図示しないメインルーチンの途中で、変速段検出スイッチ13からのパーキング位置信号HPの入力を検出すると、このパーキング位置信号HPの割込み制御を図3に示したドアアンロック制御ルーチンに沿って実行する。
ここで、ステップs1では、パーキング位置信号HPの入力を再確認し、非入力時には、そのまま図示しないメインルーチンに戻り、入力時にはステップs2に進む。
【0019】
ステップs2では現在のパワーウインドーロックスイッチ11の出力信号が解除信号Roff(オフ信号)ではステップs3に、パワーウインドー作動禁止信号Ron(オン信号)ではそのまま今回制御を終了する。
ステップs3では解除信号Roffの出力時であることより、ドライバーの降車意志ありと見做してドアアンロック(解錠)処理に入り、各駆動回路(r1〜r4)17を介して各ドア施解錠用のアクチュエータ(SL1〜4)6を駆動し、各ドアラッチ3内をドアアンロック状態、すなわち、解錠状態に切換え,今回制御を終了し図示しないメインルーチンに戻る。
【0020】
このように、パーキング位置信号HPの入力でパーキング連動のドアアンロック(ドアロック自動解除)の制御に入り、パワーウインドーロックスイッチ11が解除信号Roff(オフ信号)を出力していると、ドライバーに降車意志があると見做し、瞬時にドアアンロックに切換え保持し、乗員の降車を降車性よく行えるようにする。
ここで、車両用ドアロック装置1を搭載する車両の運転にあたりドライバーは大人だけの乗車の場合では、パワーウインドーロックスイッチ11をオフに保持する。これにより、コントローラ8に解除信号Roffを出力しておき、パワーウインドー装置20の各ドア2のウインドスイッチ(SW1〜SW4)7を自由に操作させ、パーキング連動ドアアンロック(ドアロック自動解除)を許可状態に保持し、降車性を確保する。
【0021】
一方、後席に子供が乗車するような場合には、パワーウインドーロックスイッチ11をオンに保持する。これによりコントローラ8にパワーウインドー作動禁止信号Ronを出力しておき、パーキング連動ドアアンロック(ドアロック自動解除)を禁止状態に保持し、子供のいたずら防止にも対応可能となり、より安全性を確保できる。しかも、図1の車両用ドアロック装置1は自動変速機付き車両Cに既存のパワーウインドーロックスイッチ11をドライバーの降車意志の判断用のスイッチとして兼用するので、コスト低減を図れる。
図1の車両用ドアロック装置1では、車速Vcが走行判定値Vα以上でドアロックするものとして説明したが、場合により別途、図1に2点鎖線で示すようなロックスイッチ9を運転席のドア2(図1では(d)を付記した)の内壁側に取り付けておき、ドライバーの意志でドアロックするように構成してもよく、この場合も同様の作用効果を得られる。
【0022】
上述のところにおいて、車両は4ドアの車両Cに搭載されるとして説明したが、これ以外の複数ドアの各車両に適用でき、この場合も同様の作用効果が得られる。更に、車両は自動変速機付きのA/T車両として説明したが、場合によりパーキング位置を有するその他の変速機付きの各車両にも本発明を適用でき、この場合も同様の作用効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明は、パワーウインドーロックスイッチによる作動禁止信号の解除操作がドライバーの降車意志と一致することを利用でき、この降車意志の確認に応じて、瞬時にパーキング連動ドアアンロックの有無を切換えでき、特に、既存のパワーウインドーロックスイッチをドライバーの降車意志確認用のスイッチとして兼用するので、コストアップを防止できる。
【0024】
請求項2の発明は、自動変速機のシフトレバーに付設される変速位置検出手段をパーキング位置検出手段として利用でき、自動変速機付き車両(A/T車)の既存機器を有効利用でき、この点でもコストアップを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車両用ドアロック自動解除装置を付設した車両用ドアロック装置の概略構成図である。
【図2】図1の車両用ドアロック装置の制御機能を示すブロック図である。
【図3】図1の車両用ドアロック装置のコントローラが行うドアアンロック制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1 車両用ドアロック装置(車両用ドアロック自動解除装置)
2 ドア
8 コントローラ(制御手段)
10 シフトレバー
11 パワーウインドーロックスイッチ
13 パーキング位置検出手段
20 パワーウインドー装置
C 車両
HP パーキング位置
Ron 禁止信号
Roff 解除信号
TM 変速機
Claims (2)
- パワーウインドーを有した車両のドアのロックを自動解除する車両用ドアロック自動解除装置において、
前記車両の変速機のシフトレバーがパーキング位置にあることを検出するパーキング位置検出手段と、前記パワーウインドーの作動を禁止する禁止信号を発するパワーウインドーロックスイッチと、前記パーキング位置の検出時で前記パワーウインドーの作動禁止信号の解除時に前記ドアをアンロックに切換え制御する制御手段を備えたことを特徴とする車両用ドアロック自動解除装置。 - 請求項1記載の車両用ドアロック自動解除装置において、
前記変速機は自動変速機であることを特徴とする車両用ドアロック自動解除装置。
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