JP3650850B2 - 道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、橋梁、特に道路高架橋等の繋目に使用する伸縮装置の改良に関するものであって、伸縮装置の機能を損なうことなく、従来の欠点を取り除くものである。特にコンクリート製及び鋼製の伸縮装置部嵩上げ施工が、安価・簡単・短時間で済み、交通の開放がかなり短時間で可能となり、嵩上げできる高さに制限がない一方で、路面舗装との高低差も殆ど無く仕上げることができ、路面の平滑・均一性が達成でき、耐久性に優れ、長い期間の車両走行による破損あるいは欠陥の発生が少なく、環境上の問題のない技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、高速道路等の高架道路や道路橋では、気温の変化によるその伸縮や、振動による応力に対処するために所定の距離毎に伸縮装置が設けられてあり、小間隔の隙間が形成されている。
具体的には、例えばフィンガージョイントの場合、図1に示すように道路基盤1の対接部に道路の伸縮、振動、荷重などに対処する目的で間隙を構成し、安全対策上鋼製のフィンガージョイント3を設置している。そして、このフィンガージョイント3の噛合するフィンガー4、4間にも前記目的で遊間5、5を設けてある。
【0003】
鋼製フィンガージョイント3は、図1に示すように道路基盤に連なり設置された基盤張出部1aとフィンガープレート3aからなり、フィンガープレート3aは、対向方面に一体的に突出した該基盤張出部1a上に固定される。フィンガープレート3aは、先端に櫛形のフィンガー4を有し、対向するフィンガー4が間隙をおいて相互に噛合し得るようにされている。なお、図2にフィンガージョイントの平面構造図A及びX−X’断面構造図Bを示す。
【0004】
このフィンガージョイント3は上記したように普通鋼製櫛形のフィンガー4が対向するように設けられ、道路の伸縮、振動、荷重の変異などに対応できるとともに、安全対策及び荷重の均一化を図っている。しかし、そのフィンガージョイント3はどうしても道路の路面の不連続点となるため、長期間の車両の走行に伴いその磨耗が生じたりして走行車両に不快感を与えるばかりでなく、走行車両の荷重、振動などの衝撃などによる悪影響により、その破損などを進行させたり、騒音を発生させるなどして安全上及び環境上の問題を生ずることとなる。
【0005】
高架上あるいは架橋上の本体の路面がいかに素晴らしく施工されていても、路面の不連続点としての伸縮装置であるフィンガージョイント3における欠陥あるいは破損は上記したような問題を引き起こす原因となり、高架本体あるいは架橋本体の耐久性を損なうばかりでなく、騒音の発生及び拡大を助長し、環境上の問題も大きいこととなる。
したがって、フィンガージョイント3を設置するに当たっては設計製作上入念に検討されて設置されねばならないが、特にその据え付け施工に当たっては欠陥部のないもの、将来の補修維持にあたり利点のあるものが望まれる。
【0006】
従来のフィンガージョイントの主な欠陥あるいは破損は、一方では現場据付時の施工不備からくると考えられる例もあり、例えば次のようなものが挙げられる。(1)フィンガージョイントと前後の各路面との高さが一致していない、すなわち平坦性にかけることから、通行車両の荷重による衝撃を発生せしめて破損を助長する。(2)フィンガージョイント自体の相互間に高低差があること。これは製作及び据付け時の施工の不良によったりする。またフィンガージョイントの材質が道路路面とはその磨耗性などが異なることから長期間の車両走行に伴って、フィンガージョイント部分のみが早く磨耗したり、鋼製のためサビたりして、損壊磨耗する。
【0007】
(3)フィンガージョイントと路盤の舗装又はコンクリートの接続部の施工不良すなわち、フィンガージョイントの手前側まで一端舗装あるいはコンクリートの打止めを行ったあと、再度フィンガージョイントを設置したのちフィンガージョイントまでを舗装し直すことにより、部分的な施工不良が生じ、長期間の車両走行で路面が破損したり、それに接続するフィンガージョイント部分が磨耗する。
【0008】
このようにフィンガージョイントはどうしても道路の路面の不連続点となるため、長期間の車両の走行に伴いその磨耗が生じたり、欠陥が生じたりするが、このようなフィンガージョイント部に生じた磨滅などによる欠陥あるいは破損は、道路交通に開放された後に生じているものであることから、その補修に当たっては大きな困難に問題が存在する。つまり、補修工事に当たっては、交通を全面的に遮断することは許されない現状から、夜間に工事を行ったり、短時間で施工したり、簡単に施工できる必要もある。さらにその補修にあたっては、交通の一部を遮断して行っても危険性が伴い、理想的な施工は望めず、時間、コストの面からも相当な無駄を生ずる可能性もあることから、施工管理及び安全性の面からも大きな問題がある。
【0009】
こう言ったことから、その補修を簡単にかつ短時間で済ませるためこれまではそのフィンガージョイントの破損部あるいは磨滅部を金属、たとえば鋼材片を溶接して一時的な嵩上げなどの補修を行ってきている。ところがこのような溶接による方法においては、図3のフィンガージョイントの断面図で示すように、フィンガージョイントの破損あるいは磨滅部に鋼材板からなる嵩上げ材7を2点溶接9することにより補修されるのが一般的であり、その場合長期間大量の車両通行の影響で図3に示すように嵩上げ材7と鋼製フィンガー3との間に隙間8を生じたりする。このように溶接補修では、長期間大量の車両通行の影響でその補修部にさらなる欠陥を生ずることとなる。例えば、溶接された鋼材片が長期間の荷重などにより、変形し、その変形した鋼材片上を車両が通行することにより、大きな騒音を発生するようになったり、変形した鋼材片が千切れて飛び散り交通事故を誘発するなどである。
【0010】
また、従来のコンクリート打継による補修方法として図8の(A),(B)にジグザグジョイント21の平面図及び断面図を示すごとく、補修にコンクリート17を使用することは、長期間大量の車両通行に対する耐衝撃性、鋼製フィンガーのたわみに対する追従性、柔軟性、曲げ疲労に対する耐久性、接着性などの点で満足できない。つまり、コンクリート17では車両荷重などによりすぐ割れるなどしてしまったり、剥がれてしまう。
さらに、最近道路の重量制限緩和改定が図られ、例えば車両への最大積載重量を20トンから25トンへというように緩和措置を講ずるためには、床版増厚補強法といったコンクリートの打ち重ねによる耐荷重の上昇がなされる。そして路面が厚く積み上げられるため、フィンガージョイント部分の嵩上げが必要となってきている。
上記したように、フィンガージョイントの補修などは交通事情なども考えると、頻繁な補修は困難であり、この点でも耐久性のあるかつ簡単な補修法の開発が求められ、さらに安全面でも問題のない補修法の開発が求められている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、耐久性のあるかつ簡単な補修法の開発を目指して鋭意研究した結果、樹脂モルタルで伸縮装置、例えばフィンガージョイントの嵩上げをすることにより、短時間でかつ簡単な施工条件で嵩上げ施工をなしうることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、欠陥あるいは床版増厚補強工の施工に伴い、路面高さの変更の必要性が発生した既設橋梁伸縮装置の嵩上げを行う際に採用されるものであり、
(1)一方の部材と他方の部材が遊間を介して伸縮する咬合構造の道路橋伸縮装置で、かつ表面部が欠陥あるいは磨滅した既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工において、その道路橋伸縮装置の咬合構造の各部材の外形に沿って型枠を取り付け、その型枠内に常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを充填・硬化せしめて嵩上げ施工を行うことを特徴とする道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法、及び
(2)一方の部材と他方の部材が遊間を介して伸縮する咬合構造の道路橋伸縮装置で、かつ床版増厚補強の施工に伴う既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工において、その道路橋伸縮装置の咬合構造の各部材の外形に沿って型枠を取り付け、その型枠内に常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを充填・硬化せしめて嵩上げ施工を行うことを特徴とする道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法、である。
なお、上記においては、(a)伸縮装置が、鋼製のフィンガージョイント構造であること、(b)伸縮装置が、コンクリート製のジグザグジョイント構造であること、また(c)伸縮装置の嵩上げ工程が、少なくとも下地処理、プライマー処理、型枠取り付け処理、樹脂モルタル打設処理、及び最後に養生処理することからなることが好ましい形態である。
また、(d)型枠取り付け処理は、片面又は両面粘着テープ、合成プラスチックフィルム、又は金属板を用いて行うことができる。
【0012】
本発明の伸縮装置部施工方法は、伸縮装置を常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを用いて嵩上げ処理することを大きな特徴としている。この樹脂モルタルを用いての嵩上げ処理を効果的となすため、主に下地処理、プライマー処理、型枠取り付け処理、樹脂モルタル打設処理、そして最後に養生処理からなる工程をとることが好ましい。
以下、各処理工程及び施工方法について、伸縮装置としてフィンガージョイントを例にとり簡単に説明するが、ジグザグジョイント21(図6参照)についても同様に施工されるものであり、本発明の目的及び特徴を達成しうる限り、様々な改変が許容される。
【0013】
フィンガージョイントは、その下地処理が施されるが、この下地処理は必要に応じて行うことにしてもよい。
下地処理は、フィンガージョイント表面と常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルとの接着性を確保するためになされる。下地処理は、まずフィンガージョイント表面の錆や汚れ等をできるだけ完全に除去するため、ディスクグラインダー又はサンドグラインダーにて表面を薄くみがくことで行うことができる。
また、アクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを嵩上げ材料として用いる場合、表面の湿気は好ましくないのでできるだけ完全に除去することが好ましく、例えばガスバーナーなどで完全に乾燥させるなどすることが好ましい。 フィンガージョイント表面と常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルとの接着性を確保する処理であれば、広く公知の手法を選択して適宜用いることができる。
【0014】
下地処理されたフィンガージョイントは、次にプライマー塗布処理などのプライマー処理される。本発明では、プライマー処理は必要に応じ行うことにしてもよい。プライマーとしては、メタクリル樹脂用プライマーが使用できる。プライマーとしては、公知のものあるいは市販されているもののなかから選んで用いることができ、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂などが挙げられる。
アクリル樹脂、メタクリル樹脂などの樹脂用プライマーに用いられる合成樹脂成分としては、例えば炭素数1〜18の飽和又は不飽和アルキル基をもち、該基はヒドロキシ基、エポキシ基などの官能性基を任意に有していてもよいアクリル酸エステル単量体及び/又は炭素数1〜18の飽和又は不飽和アルキル基をもち、該基はヒドロキシ基、エポキシ基などの官能性基を任意に有していてもよいメタクリル酸エステル単量体を主成分として得られるものが挙げられる他、その他の当該分野で一般にメタクリル樹脂用プライマーとして配合して用いられるものが挙げられる。常温重合型(硬化型)メタクリル樹脂は特に好ましい。
【0015】
ここで炭素数1〜18のアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
また炭素数1〜18のメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0016】
アクリル樹脂、メタクリル樹脂系プライマーの重合触媒としては、有機過酸化物と促進剤の組み合わせよりなる公知のレドックス系触媒が使用出来る。有機過.酸化物としては、ベンゾイルバーオキサイド、メチルエチルケトンバーオキサイド、アセチルアセトンバーオキサイド、メチルシクロヘキサノンバーオキサイド、シクロヘキサンバーオキサイドなどがあげられる。促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルーP−トルイジンに代表される第三級アミンやナフチン酸コバルト、ナフチン酸マンガン、ナフチン酸亜鉛に代表される金属塩があげられる。好ましい例としては、ベンゾイルバーオキサイドとN,N−ジメチルーP−トルイジンの組み合わせがあげられる。
【0017】
この他プライマー処理としては、例えば、溶剤洗浄、酸化又はエッチングなどの化学処理、プラズマ処理などを採用することもできる。
特に好ましいプライマーとしては、例えばトーメンコンストラクション株式会社から入手できる「パーミタイト(商品名)」、例えば「パーミタイトメタル用(商品名)」、「パーミタイト#1201(商品名)」などが挙げられ、これらのものは、例えば0.2kg/m2〜0.5kg/m2、特に好適には約0.3kg/m2の割合で用いることができる。プライマー塗布は、例えばはけ又はローラーなどを用いて行うことができる。
こうしてプライマーの塗布されたフィンガージョイントは、次に型枠取り付けがなされる。型枠は、フィンガージョイントの櫛状の側面部の形状に沿うように取り付けられる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例によつて具体的に説明する。
まず、道路橋の代表的な伸縮装置の構造を、図1並びに図6に示す。
図1は、一般的にフィンガージョイントと呼ばれ、比較的大きな伸縮量を有する橋梁の伸縮装置として用いられる。この伸縮装置は、櫛形(フィンガー形)の鋼製板を、橋梁端部のコンクリート製台座(後打コンクリート)上にアンカーで固定された構造となっており、この櫛形の鋼製板を隣接する橋梁端部に所定の空隙を空けて向き合わせて設置し、橋梁の伸縮を吸収する形式である。本伸縮装置は該鋼製板の櫛形部が片持構造であり、車両通行による輪荷重や衝撃による変形・折損等の損傷を受けやすい構造であるため、効果的な補修方法の開発が望まれている。図2に本伸縮装置の平面構造図A及び断面構造図Bを示す。
図中、1は道路基盤(橋梁床版又は後打コンクリート)、2はフィンガージョイント側面、3はフィンガージョイント、4はフィンガー、5は伸縮装置遊間、6は既設アスファルト舗装である。
【0019】
図6は、ジグザグジョイント構造の伸縮装置の一例である「ガイトップジョイント」(商品名:中外道路株式会社製)で、小伸縮量の橋梁の伸縮装置に一般的に用いられている。この伸縮装置は、橋梁端部にジグザグ形又は波形の鋼製板15を型枠として設置し、内部にコンクリート16を打設・硬化せしめることによりジグザグジョイント21と呼ばれる伸縮装置を形成する構造となっており、この鋼製板15は、予め工場にて溶接されたアンカーにより、コンクリート16に固定されている。伸縮装置21は、路面にコンクリート16が露出した構造であるため、車両の走行により摩耗わだちが発生しやすく、効果的な補修方法の開発が望まれている。図7に伸縮装置の平面構造図A及び断面構造図Bを示す。
図中、5は伸縮装置遊間、6は既設アスファルト舗装である。
【0020】
次に図4においては、フィンガージョイント3に、図9においてはジグザグジョイント21にそれぞれ型枠11、型枠材18を取り付ける場合を斜視構造図として模式的に示す。
型枠11をフィンガージョイント3に取り付ける場合、プライマーの硬化完了後、例えば粘着テープの粘着面をフィンガージョイント3の側面2の形状に沿って押圧して貼付し、これによって粘着テープ製の型枠11が製作される。
【0021】
粘着テープとしては、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウレタンフォームなどの基材フィルム上に粘着材を塗布してあるものが用いることができ、公知あるいは市販のものの中から選んで用いることができる。
さらに、両面粘着テープとして知られたものも用いることができ、その場合例えばポリウレタンフォーム製両面粘着テープを用いる場合、まず該テープの片方の面の保護シールを剥がし、フィンガージョイントの側面2に貼付した後、該テープの他の面の保護シールを剥がし、そこに型枠材料、例えば塩化ビニルフィルムなどのプラスチックフィルムをフィンガージョイントの櫛状の側面部の形状に沿うように貼付せしめられる。必要に応じ、型枠材料の天端(上端)10を熱線カッターなどで切断して、所要の高さとすることができる。この高さは嵩上げされる高さにすることが好ましい。ポリウレタン製両面粘着テープを用いた場合で、そのテープ高さが計画嵩上げ高さより高い場合、熱線カッターで切断することができる。
【0022】
粘着テープに用いられる粘着剤としては、公知あるいは市販のものの中から選んで用いることができるが、例えば天然ゴム、ポリイソプレンなどの合成ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックポリマーゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシルなどのポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシルなどのポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、あるいはコモノマーとしてアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが配合されたもの、シリコーンゴム、ポリビニルブチルエーテルなどが挙げられる。これらは単独でも、それぞれを配合して用いることができ、また所要の性状が得られるように選ぶことができる。
粘着テープの基材としては、公知あるいは市販のものの中から選んで用いることができるが、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、紙、セルロース、アセテート、4ーフッ化エチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ガラスクロス、布、例えば綿布、織物、ポリカーボネート、ポリスチレン、クロロプレン、含浸紙、アルミ箔、鋼材箔、ブリキ板、銅板、アルミ板、ブリキ箔、ブリキフィルムなどが挙げられる。
本発明で用いられる特に好ましい粘着テープの例としては、例えば住友スリーエム株式会社から入手しうるスコッチ工業用テープなどが挙げられる。
【0023】
嵩上げ高さが約20〜30mmを越える場合、例えば、約25mmを越える場合には、両面粘着テープをまず該テープの片方の面の保護シールを剥がし、フィンガージョイントの側面2に貼付した後、該テープの他の面の保護シールを剥がし、そこに型枠材料、例えば銅板をフィンガージョイントの側面2の型に合わせて曲げたものを設置することが好ましい。特には50mmを越える場合には型枠材料として銅板を用いることが必要になる。
また、型枠材料は、両面粘着テープを用いず木製又はプラスチック製のキャンバー(楔)19(図9)を用いて固定することも好ましい。
【0024】
型枠取り付けが済んだフィンガージョイント3(図4)並びにジグザグジョイント21(図9)には、つぎに常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタル13(図5、図10)の打設処理がなされる。
この樹脂モルタル13は、車両の走行に伴って発生する衝撃や剪断力及び鋼製フィンガーのたわみ等に対して十分な耐久性を有することや、アスファルト舗装12との間で急激な段差を発生させないことが必要で、アスファルトあるいは同様な舗装材料と同程度又はそれ以上の耐久性を有していることが求められる。
本発明で用いられる常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタル13からなる嵩上げ材料は、車両走行時の衝撃荷重に対して耐久性があり、走行車両の発進や制動に伴い発生する水平力などにより鋼製フィンガー4との間で問題となる接着性や一体性があり、剪断耐久性に優れ、鋼製フィンガー4のキャンチレバー構造などのため、車両走行に伴い生ずる鋼製フィンガーのたわみ挙動にも追随できる柔軟性及び曲げ疲労に対する耐久性を有している。
【0025】
樹脂モルタルとしては、上記した常温重合型(硬化型)のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルが好ましく用いられる。
前記アクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルは、十分に細骨材と樹脂とが混練されたものを、取り付けられた型枠天端10の高さまで打設されることができ、そうすることが路面を平らにする上で好ましい。
【0026】
前記アクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルの混練は、例えばトーメンコンストラクション株式会社から入手できる「ドーロガード」を用いた場合、調合骨材1袋に対してメタクリル樹脂1缶のセットを専用の練りタル内に投入して、ハンドミキサーにて混練することによりなされる。材料が、混練後短時間で硬化する場合は、素早く打設して仕上げる。
【0027】
本発明に係るアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルに用いられる合成樹脂成分としては、例えば炭素数1〜18の飽和又は不飽和アルキル基を持ち、該基はヒドロキシ基、エポキシ基などの官能性基を任意に有していてもよいアクリル酸エステル単量体及び/又は炭素数1〜18の飽和又は不飽和アルキル基を持ち、該基はヒドロキシ基、エポキシ基などの官能性基を任意に有していてもよいメタクリル酸エステル単量体などを主成分として得られるものが挙げられる。
【0028】
炭素数1〜18のアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
炭素数1〜18のメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0032】
アクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルの中でも、特にメタクリル樹脂モルタルが好ましく、例えばトーメンコンストラクション株式会社から入手できる「ドーロガード(商品名)」が挙げられる。その中でも、例えば、「ドーロガード P−01S(商品名)」は、混練後約30〜約60分で完全に硬化し、耐候性及び耐磨耗性に優れ、低粘度で施工性に優れ、更に様々な強度及び弾性度を持ったものにすることができ、さらに耐衝撃性もあり好ましい。
【0033】
調合細骨材(フィラー)としては、硬質の天然又は人工の骨材が用いられ、公知あるいは市販のものの中から選んで用いることができる。骨材としては、樹脂モルタル又は樹脂コンクリートを製造するために混和されるものが挙げられ、例えば砂、珪砂、砂利、砕砂、砕石、石粉、シャモット、スラグ滓、高炉スラグ骨材やフェロニッケルスラグ骨材などのスラグ骨材、あるいはこれらに類似の材料が挙げられ、炭酸カルシウムなどの無機材料、ガラス繊維、プラスチック繊維、炭素繊維、セラミックス、重量骨材など、そして細骨材のほかに粗骨材も含まれてよい。これらの骨材は、本発明の目的に合うものを選ぶこともできよう。
【0034】
本発明では、樹脂モルタルの施工性の点から低粘度、例えば約5〜2000cpsのもの、特に500〜800cpsの樹脂が好ましく使用でき、自由にその常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタル打設成形体の硬度、弾性を調整できる物が好ましい。
こうしてアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルの打設されたフィンガージョイントは、必要に応じ、滑り止め用の撒き砂を約0.1kg/m2〜約1.0kg/m2、好ましくは約0.3kg/m2程度施されて、養生処理される。
フィンガージョイントの嵩上げ処理は通常約5時間〜約8時間、メタクリル樹脂モルタル「ドーロガード」を用いた場合、約2時間30分から約3時間30分で作業を終えることが出来る。
【0035】
次に本発明の施工方法による補修工事の実施例1及び実施例2を説明する。
(実施例1)
高速道路での橋梁補修工事において道路面計画高さが変更になったため、伸縮装置部を本発明にて15mmの嵩上げを行った。伸縮装置の形式は、図1、図4に示す櫛形の鋼製板によるフィンガージョイント3であった。
まず、サンドペーパーを取り付けたディスクグラインダーにてフィンガージョイント3表面の錆や付着油脂分等を取り除き、強固な下地面を露出させた。次に、接着剤として、メタクリル樹脂プライマー「パーミタイト メタル用」(商品名:トーメンコンストラクション株式会社製)を0.3kg/m2塗布し硬化させた。プライマー硬化完了後、フィンガージョイント鋼製板側面2に型枠材料11としてポリエステル製の両面粘着テープ「スコッチ工業用テープ」(商品名:住友スリーエム株式会社製)を所定高さに合わせて貼付した。
型枠材料取り付け完了後、型枠内の鋼製フィンガージョイント3上に常温硬化型のメタクリル樹脂モルタル「ドーロガードキットAS」を所定高さに混練・打設した。また、同メタクリル樹脂モルタル打設後、滑り止め用として粒径1.2mm〜2.3mmのスピネル骨材(商品名:太平洋金属株式会社製)を1.0kg/m2散布した。常温硬化型のメタクリル樹脂モルタルは、打設完了後1時間の養生の後、交通開放を行った。本実施例においては幅60cm、幅員4mの伸縮装置を、8時間作業で6箇所行った。1パーティー、1箇所当たりの平均作業時間は約2.5時間であった。図5に本実施例における、施工平面図(A)及び断面図(B)を示す。図中、12は計画アスファルト舗装、13は嵩上げ樹脂モルタル、例えばメタクリル樹脂モルタル、14はプライマー、例えばメタクリル樹脂プライマーである。
表1、表2にそれぞれ、本実施例において使用したメタクリル樹脂プライマー「パーミタイト メタル用」及びメタクリル樹脂モルタル「ドーロガードキットAS」の性能・規格を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
(実施例2)
一般国道の連続高架橋での床版補修工事において道路面計画高さが変更になったため、伸縮装置部を本発明にて50mmの嵩上げを行った。伸縮装置の形式は、図7〜図10に示すジグザグジョイント21構造の「ガイトップジョイント」(商品名:中外道路株式会社製)であった。
まず、ダイヤモンドカップを取り付けたディスクグラインダーにて伸縮装置のコンクリート面を研磨し、清浄で乾燥した強固なコンクリート下地面を露出させた。次に、接着剤として浸透性メタクリル樹脂プライマー「パーミタイト#1201」(商品名:トーメンコンストラクション株式会社製)を0.3kg/m2塗布し、コンクリート中に含浸・硬化させた。プライマーの硬化完了後、伸縮装置端部の波形鋼製板側面に型枠材料15として、厚さ0.4mmの銅板を所定高さに設置し、木製キャンバー19を遊間に打ちつけ固定した(図9)。型枠材料取り付け完了後、型枠内の伸縮装置上に常温硬化型のメタクリル樹脂モルタル「ドーロガードP−01S」を所定高さに打設した。また、同メタクリル樹脂モルタル打設後、滑り止め用として粒径1.2mm〜2.3mmのセラミック粉砕骨材を1.0kg/m2散布した。常温硬化型のメタクリル樹脂モルタル13(図10)は、打設完了後1時間の養生の後硬化が完了した。本実施例においては幅85cm〜100cm、幅員4mの伸縮装置を、8時間作業で4箇所行った。1パーティー、1箇所当たりの平均作業時間は約3.5時間であった。図10に本実施例における、施工平面図(A)及び(B)断面図を示し、図中、12は計画アスファルト舗装、15は型枠材料、16はコンクリート、18は形枠材料である。
表3、表4にそれぞれ、本実施例において使用したメタクリル樹脂プライマー「パーミタイト#1201」及び常温硬化型のメタクリル樹脂モルタル「ドーロガード P−01S」の性能・規格を示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
次に本工法の作用効果を示す室内試験結果について、作用効果試験1、2及び表5〜表7によって説明する。
(作用効果試験1)
伸縮装置の嵩上げ用材料として4種類の材料を選定し、これらについて表5に示す内容の試験を行い各材料の性能比較を行った。
〔1〕.常温硬化型のメタクリル樹脂モルタル「ドーロガードキットAS」
〔2〕.マグネシューム・リン酸セメント
〔3〕.エポキシ樹脂モルタル
〔4〕.アスファルトモルタル
【0042】
【表5】
各材料の接着強さ試験結果は、表6に示す通りであった。また、耐衝撃性及び耐摩耗性試験結果は、表7に示す通りであった。
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
以上の結果より、嵩上げ材料としての下地接着性、耐摩耗性及び耐衝撃性に関して、常温硬化型のメタクリル樹脂モルタルが最も優れていることが確認された。
【0045】
(作用効果試験2)
伸縮装置上に施工した嵩上げ材料は、車両の通行に伴い繰り返しのせん断荷重を受ける。この繰り返しせん断荷重に対する耐久性の確認を行うため、繰り返しせん断試験を行った。繰り返しせん断試験結果は、表8に示すとおりであった。
【0046】
【表8】
以上の結果より、常温硬化型のメタクリル樹脂モルタルは200万回の繰り返しせん断試験においても破壊せず、嵩上げ材料として十分な耐久性を有していることが確認された。
【0047】
【発明の効果】
以上述べた説明から明らかなように、本発明によると、以下のように優れた作用効果が得られる。
〔1〕道路橋伸縮装置、例えば鋼製のフィンガージョイントの嵩上げ処理を、既設のフィンガージョイントに型枠を設置し常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを流し入れ硬化せしめて行うと、従来の金属板を現場にて溶接する場合に比べて、その施工が短時間、例えばそれらの樹脂モルタルの硬化は約30分〜約60分で済み、交通の開放がかなり短時間で可能となる。
フィンガージョイント継手部が約4mの場合では総て施工を完了するまでの所要時間は約2.5時間〜約3.5時間程度であり、従来法の金属板溶接の場合、現場で鉄板を切断、曲がり調整のうえ溶接作業を行うため、総て施工を完了するまでの所要時間は約6時間〜8時間程度費やす必要があるのに比べ、非常に短時間である。
〔2〕金属板溶接による嵩上げ処理の場合、可能な嵩上げ高さはせいぜい20〜35mm程度であるのに対し、本発明による型枠に常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを流し入れる方法ではこのような制限はなく、また既設の道路面高さに合わせて高低差なく仕上げることが可能である。
〔3〕コンクリート製伸縮装置の嵩上げ処理を行おうとする場合は、従来、伸縮装置部のコンクリートを約50〜100mm程度はつりとった後、所定高さに型枠を設置し超早強セメントコンクリートを型枠内に打設するか、又は、伸縮装置全体をはつり撤去し、新たな伸縮装置に取り替える方法にて対処を行っていた。しかしながら、これらの方法による場合は、新・旧コンクリートの打ち継ぎ目の接着性に対する不安やコンクリートの硬化に約1時間30分程度、特に冬季等の低温時の場合は温度養生を行った上で約1時間〜約2時間30分程度の硬化時間を要するため施工時間が長くなること、また、コスト面でも割高となることなどに対し、本発明による嵩上げの場合は、嵩上げ用のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルの硬化性が優れていることなどから、下地コンクリートとほぼ完全に一体化し、しかも厚さ約1mm程度からの伸縮装置の嵩上げが可能である。また、硬化時間が通常で約30分〜1時間程度、低温時においても温度養生を必要とせず約1時間〜1時間30分程度で交通開放が可能であるため、コスト的にも非常に割安となる。
〔4〕本発明に用いる常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルは、強度や弾性係数、柔軟性等の物性を自由に設定することが可能であり、鋼製フィンガージョイントのごとく撓み性の高い構造から実施例2に示すコンクリート製伸縮装置のごとく剛性の高い構造まで、嵩上げを行うことが可能である。
〔5〕本発明に用いる常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルは、耐摩耗性が高く通常の舗装コンクリートと同等又はそれ以上のすべり抵抗性を有している。また、耐衝撃性が高く、長期間の車両の走行による破損あるいは欠陥の発生が少ないとともに、金属板溶接の場合のように走行車両による衝撃音が発生することはなく、市街部などで環境上の利点が大きい。
〔6〕本発明の施工方法は、極めて簡単かつ安価に伸縮装置の嵩上げを行うことができ、さらに短時間で行うことができ、熟練を要することがないので、人件費が大幅に節減できコスト上のメリットも非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィンガージョイント構造の伸縮装置の斜視構造図を示す。
【図2】フィンガージョイントの平面構造図A及び断面構造図Bを示す
【図3】従来方法の金属板溶接法により補修されたフィンガージョイント断面構造図を示す。
【図4】本発明の施工方法に従ってフィンガージョイントに型枠を取り付ける場合を斜視構造図として模式的に示す。
【図5】本発明の施工方法により補修されたフィンガージョイントの平面図A及び断面構造図Bを示す。
【図6】ジグザグジョイント構造の伸縮装置の1例の斜視構造図を示す。
【図7】ジグザグジョイントの平面構造図A及び断面構造図Bを示す。
【図8】従来方法の超早強コンクリート打継法により補修されたジグザグジョイント断面構造図を示す。
【図9】本発明の施工方法に従ってジグザグジョイントに型枠を取り付ける場合を斜視構造図として模式的に示す。
【図10】本発明の施工方法により補修されたジグザグジョイントの平面図A及び断面構造図Bを示す。
【符号の説明】
1 道路基盤(橋梁床版又は後打コンクリート)
2 フィンガージョイント側面
3 フィンガージョイント
4 フィンガー(鋼製)
5 伸縮装置遊間
6 既設アスファルト舗装
7 伸縮装置の嵩上げ用鋼材板
8 隙間部
9 溶接部
10 型枠材の天端(上端)
11 型枠材、例えばポリウレタン両面テープ
12 計画アスファルト舗装
13 嵩上げ樹脂モルタル、例えばメタクリル樹脂モルタル
14 プライマー
15 鋼製板(型枠材料)
16 コンクリート
17 嵩上げ用後打コンクリート、
18 型枠材料、例えば銅板
19 型枠固定用キャンバー、例えば木製楔
21 ジグザグジョイント
1a 基盤張出部
3a フィンガープレート
Claims (2)
- 一方の部材と他方の部材が遊間を介して伸縮する咬合構造の道路橋伸縮装置で、かつ表面部が欠陥あるいは磨滅した既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工において、その道路橋伸縮装置の咬合構造の各部材の外形に沿って型枠を取り付け、その型枠内に常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを充填・硬化せしめて嵩上げ施工を行うことを特徴とする道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
- 一方の部材と他方の部材が遊間を介して伸縮する咬合構造の道路橋伸縮装置で、かつ床版増厚補強の施工に伴う既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工において、その道路橋伸縮装置の咬合構造の各部材の外形に沿って型枠を取り付け、その型枠内に常温硬化型のアクリル樹脂モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを充填・硬化せしめて嵩上げ施工を行うことを特徴とする道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
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