JPH0874207A - 道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法 - Google Patents

道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法

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JPH0874207A
JPH0874207A JP23056694A JP23056694A JPH0874207A JP H0874207 A JPH0874207 A JP H0874207A JP 23056694 A JP23056694 A JP 23056694A JP 23056694 A JP23056694 A JP 23056694A JP H0874207 A JPH0874207 A JP H0874207A
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文明 徳岡
Makoto Fukutomi
眞 福富
Takeo Konishi
偉夫 小西
Mikio Takasu
幹夫 高須
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一方の部材と他方の部材が遊間を介して伸縮
する構造の道路橋伸縮装置部の嵩上げ施工を、安価・簡
単・短時間で行い、交通の開放を短時間で可能とする技
術の提供。 【構成】 表面部が欠陥あるいは磨滅した既設道路橋伸
縮装置の嵩上げ施工、床版増厚補強に伴う既設道路橋伸
縮装置の嵩上げ施工において、道路橋伸縮装置の各部材
の外形に沿って型枠を取り付け、その型枠内に樹脂モル
タルを充填・硬化せしめて嵩上げ施工を行う。伸縮装置
嵩上げ工程は、少なくとも下地処理、プライマー処理、
型枠取り付け処理、樹脂モルタル打設処理、及び最後に
養生処理をすることよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、橋梁、特に道路高架橋
等の繋目に使用する伸縮装置の改良に関するものであっ
て、伸縮装置の機能を損なうことなく、従来の欠点を取
り除くものである。特にコンクリート製及び鋼製の伸縮
装置部嵩上げ施工が、安価・簡単・短時間で済み、交通
の開放がかなり短時間で可能となり、嵩上げできる高さ
に制限がない一方で、路面舗装との高低差も殆ど無く仕
上げることができ、路面の平滑・均一性が達成でき、耐
久性に優れ、長い期間の車両走行による破損あるいは欠
陥の発生が少なく、環境上の問題のない技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、高速道路等の高架道路や道路橋では、気温の変化に
よるその伸縮や、振動による応力に対処するために所定
の距離毎に伸縮装置が設けられてあり、小間隔の隙間が
形成されている。具体的には、例えばフィンガージョイ
ントの場合、図1に示すように道路基盤1の対接部に道
路の伸縮、振動、荷重などに対処する目的で間隙を構成
し、安全対策上鋼製のフィンガージョイント3を設置し
ている。そして、このフィンガージョイント3の噛合す
るフィンガー4、4間にも前記目的で遊間5、5を設け
てある。
【0003】鋼製フィンガージョイント3は、図1に示
すように道路基盤に連なり設置された基盤張出部1aと
フィンガープレート3aからなり、フィンガープレート
3aは、対向方面に一体的に突出した該基盤張出部1a
上に固定される。フィンガープレート3aは、先端に櫛
形のフィンガー4を有し、対向するフィンガー4が間隙
をおいて相互に噛合し得るようにされている。なお、図
2にフィンガージョイントの平面構造図A及びX−X’
断面構造図Bを示す。
【0004】このフィンガージョイント3は上記したよ
うに普通鋼製櫛形のフィンガー4が対向するように設け
られ、道路の伸縮、振動、荷重の変異などに対応できる
とともに、安全対策及び荷重の均一化を図っている。し
かし、そのフィンガージョイント3はどうしても道路の
路面の不連続点となるため、長期間の車両の走行に伴い
その磨耗が生じたりして走行車両に不快感を与えるばか
りでなく、走行車両の荷重、振動などの衝撃などによる
悪影響により、その破損などを進行させたり、騒音を発
生させるなどして安全上及び環境上の問題を生ずること
となる。
【0005】高架上あるいは架橋上の本体の路面がいか
に素晴らしく施工されていても、路面の不連続点として
の伸縮装置であるフィンガージョイント3における欠陥
あるいは破損は上記したような問題を引き起こす原因と
なり、高架本体あるいは架橋本体の耐久性を損なうばか
りでなく、騒音の発生及び拡大を助長し、環境上の問題
も大きいこととなる。したがって、フィンガージョイン
ト3を設置するに当たっては設計製作上入念に検討され
て設置されねばならないが、特にその据え付け施工に当
たっては欠陥部のないもの、将来の補修維持にあたり利
点のあるものが望まれる。
【0006】従来のフィンガージョイントの主な欠陥あ
るいは破損は、一方では現場据付時の施工不備からくる
と考えられる例もあり、例えば次のようなものが挙げら
れる。(1)フィンガージョイントと前後の各路面との
高さが一致していない、すなわち平坦性にかけることか
ら、通行車両の荷重による衝撃を発生せしめて破損を助
長する。(2)フィンガージョイント自体の相互間に高
低差があること。これは製作及び据付け時の施工の不良
によったりする。またフィンガージョイントの材質が道
路路面とはその磨耗性などが異なることから長期間の車
両走行に伴って、フィンガージョイント部分のみが早く
磨耗したり、鋼製のためサビたりして、損壊磨耗する。
【0007】(3)フィンガージョイントと路盤の舗装
又はコンクリートの接続部の施工不良すなわち、フィン
ガージョイントの手前側まで一端舗装あるいはコンクリ
ートの打止めを行ったあと、再度フィンガージョイント
を設置したのちフィンガージョイントまでを舗装し直す
ことにより、部分的な施工不良が生じ、長期間の車両走
行で路面が破損したり、それに接続するフィンガージョ
イント部分が磨耗する。
【0008】このようにフィンガージョイントはどうし
ても道路の路面の不連続点となるため、長期間の車両の
走行に伴いその磨耗が生じたり、欠陥が生じたりする
が、このようなフィンガージョイント部に生じた磨滅な
どによる欠陥あるいは破損は、道路交通に開放された後
に生じているものであることから、その補修に当たって
は大きな困難に問題が存在する。つまり、補修工事に当
たっては、交通を全面的に遮断することは許されない現
状から、夜間に工事を行ったり、短時間で施工したり、
簡単に施工できる必要もある。さらにその補修にあたっ
ては、交通の一部を遮断して行っても危険性が伴い、理
想的な施工は望めず、時間、コストの面からも相当な無
駄を生ずる可能性もあることから、施工管理及び安全性
の面からも大きな問題がある。
【0009】こう言ったことから、その補修を簡単にか
つ短時間で済ませるためこれまではそのフィンガージョ
イントの破損部あるいは磨滅部を金属、たとえば鋼材片
を溶接して一時的な嵩上げなどの補修を行ってきてい
る。ところがこのような溶接による方法においては、図
3のフィンガージョイントの断面図で示すように、フィ
ンガージョイントの破損あるいは磨滅部に鋼材板からな
る嵩上げ材7を2点溶接9することにより補修されるの
が一般的であり、その場合長期間大量の車両通行の影響
で図3に示すように嵩上げ材7と鋼製フィンガー3との
間に隙間8を生じたりする。このように溶接補修では、
長期間大量の車両通行の影響でその補修部にさらなる欠
陥を生ずることとなる。例えば、溶接された鋼材片が長
期間の荷重などにより、変形し、その変形した鋼材片上
を車両が通行することにより、大きな騒音を発生するよ
うになったり、変形した鋼材片が千切れて飛び散り交通
事故を誘発するなどである。
【0010】また、従来のコンクリート打継による補修
方法として図8の(A),(B)にジグザグジョイント
21の平面図及び断面図を示すごとく、補修にコンクリ
ート17を使用することは、長期間大量の車両通行に対
する耐衝撃性、鋼製フィンガーのたわみに対する追従
性、柔軟性、曲げ疲労に対する耐久性、接着性などの点
で満足できない。つまり、コンクリート17では車両荷
重などによりすぐ割れるなどしてしまったり、剥がれて
しまう。さらに、最近道路の重量制限緩和改定が図ら
れ、例えば車両への最大積載重量を20トンから25ト
ンへというように緩和措置を講ずるためには、床版増厚
補強法といったコンクリートの打ち重ねによる耐荷重の
上昇がなされる。そして路面が厚く積み上げられるた
め、フィンガージョイント部分の嵩上げが必要となって
きている。上記したように、フィンガージョイントの補
修などは交通事情なども考えると、頻繁な補修は困難で
あり、この点でも耐久性のあるかつ簡単な補修法の開発
が求められ、さらに安全面でも問題のない補修法の開発
が求められている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐久性の
あるかつ簡単な補修法の開発を目指して鋭意研究した結
果、樹脂モルタルで伸縮装置、例えばフィンガージョイ
ントの嵩上げをすることにより、短時間でかつ簡単な施
工条件で嵩上げ施工をなしうることを見だし、本発明を
完成した。すなわち本発明は、新設あるいは欠陥あるい
は床版増厚補強工の施工に伴い、路面高さの変更の必要
性が発生した既設橋梁伸縮装置の嵩上げを行う際に採用
されるものであり、 (1)一方の部材と他方の部材が遊間を介して伸縮する
構造の道路橋伸縮装置で、かつ表面部が欠陥あるいは磨
滅した既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工において、その
道路橋伸縮装置の各部材の外形に沿って型枠を取り付
け、その型枠内に樹脂モルタルを充填・硬化せしめて嵩
上げ施工を行うことを特徴とする遊間を介して伸縮する
道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。 (2)一方の部材と他方の部材が遊間を介して伸縮する
構造の道路橋伸縮装置で、かつ床版増厚補強の施工に伴
う既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工において、その道路
橋伸縮装置の各部材の外形に沿って型枠を取り付け、そ
の型枠内に樹脂モルタルを充填・硬化せしめて嵩上げ施
工を行うことを特徴とする遊間を介して伸縮する道路橋
伸縮装置の嵩上げ施工方法。 (3)遊間を介して伸縮する一方の部材と他方の部材が
咬合構造であることを特徴とする(1)又は(2)記載
の道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。 (4)伸縮装置が、鋼製のフィンガージョイント構造で
あることを特徴とする(3)記載の道路橋伸縮装置の嵩
上げ施工方法。 (5)伸縮装置が、コンクリート製のジグザグジョイン
ト構造であることを特徴とする(3)記載の道路橋伸縮
装置の嵩上げ施工方法。 (6)伸縮装置の嵩上げ工程が、少なくとも下地処理、
プライマー処理、型枠取り付け処理、樹脂モルタル打設
処理、及び最後に養生処理することからなることを特徴
とする(1)〜(5)のいずれか一記載の伸縮装置の嵩
上げ施工方法。 (7)樹脂モルタル打設処理が、常温硬化型樹脂モルタ
ルを用いてなされる(1)〜(6)のいずれか一記載の
伸縮装置の嵩上げ施工方法。 (8)樹脂モルタル打設処理が、アクリル樹脂モルタ
ル、メタクリル樹脂モルタル、エポキシ樹脂モルタル、
ポリウレタン樹脂モルタル、及びポリエステル樹脂モル
タルから成る群から選ばれたものを用いてなされる
(1)〜(7)のいずれか一記載の伸縮装置の嵩上げ施
工方法。 (9)樹脂モルタル打設処理が、アクリル樹脂モルタ
ル、又はメタクリル樹脂モルタルを用いてなされる
(1)〜(8)のいずれか一記載の伸縮装置の嵩上げ施
工方法。 (10)型枠取り付け処理が、片面又は両面粘着テープ、
合成プラスチックフィルム、又は金属板を用いてなされ
る(1)〜(9)のいずれか一記載の伸縮装置の嵩上げ
施工方法。 (11)型枠取り付け処理が、片面又は両面粘着テー
プ、合成プラスチックフィルム、又は金属板を貼付した
ものを用いてなされる(1)〜(10)のいずれか一記
載の伸縮装置の嵩上げ施工方法。である。
【0012】本発明の伸縮装置部施工方法は、伸縮装置
を樹脂モルタルを用いて嵩上げ処理することを大きな特
徴としている。この樹脂モルタルを用いての嵩上げ処理
を効果的となすため、主に下地処理、プライマー処理、
型枠取り付け処理、樹脂モルタル打設処理、そして最後
に養生処理からなる工程をとることが好ましい。以下、
各処理工程及び施工方法について、伸縮装置としてフィ
ンガージョイントを例にとり簡単に説明するが、ジグザ
グジョイント21(図6参照)についても同様に施工さ
れるものであり、本発明の目的及び特徴を達成しうる限
り、様々な改変が許容される。
【0013】フィンガージョイントは、その下地処理を
施されるが、この下地処理は必要に応じて行うことにし
てもよい。下地処理は、フィンガージョイント表面と樹
脂モルタルとの接着性を確保するためになされる。下地
処理は、まずフィンガージョイント表面の錆や汚れ等を
できるだけ完全に除去するため、ディスクグラインダー
又はサンドグラインダーにて表面を薄くみがくことで行
うことができる。また、アクリル樹脂モルタル又はメタ
クリル樹脂モルタルを嵩上げ材料として用いる場合、表
面の湿気は好ましくないのでできるだけ完全に除去する
ことが好ましく、例えばガスバーナーなどで完全に乾燥
させるなどすることが好ましい。フィンガージョイント
表面と樹脂モルタルとの接着性を確保する処理であれ
ば、広く公知の手法を選択して用いることができよう。
【0014】下地処理されたフィンガージョイントは、
次にプライマー塗布処理などのプライマー処理される。
本発明では、プライマー処理は必要に応じ行うことにし
てもよい。プライマーとしては、メタクリル樹脂用プラ
イマーが使用できる。プライマーとしては、公知のもの
あるいは市販されているもののなかから選んで用いるこ
とができ、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂などが
挙げられる。アクリル樹脂、メタクリル樹脂などの樹脂
用プライマーに用いられる合成樹脂成分としては、例え
ば炭素数1〜18の飽和又は不飽和アルキル基をもち、
該基はヒドロキシ基、エポキシ基などの官能性基を任意
に有していてもよいアクリル酸エステル単量体及び/又
は炭素数1〜18の飽和又は不飽和アルキル基をもち、
該基はヒドロキシ基、エポキシ基などの官能性基を任意
に有していてもよいメタクリル酸エステル単量体を主成
分として得られるものが挙げられる他、その他の当該分
野で一般にメタクリル樹脂用プライマーとして配合して
用いられるものが挙げられる。常温重合型(硬化型)メ
タクリル樹脂は特に好ましい。
【0015】ここで炭素数1〜18のアクリル酸エステ
ルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル
酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
また炭素数1〜18のメタクリル酸エステルとしては、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、
メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが
挙げられる。
【0016】アクリル樹脂、メタクリル樹脂系プライマ
ーの重合触媒としては、有機過酸化物と促進剤の組み合
わせよりなる公知のレドックス系触媒が使用出来る。有
機過.酸化物としては、ベンゾイルバーオキサイド、メ
チルエチルケトンバーオキサイド、アセチルアセトンバ
ーオキサイド、メチルシクロヘキサノンバーオキサイ
ド、シクロヘキサンバーオキサイドなどがあげられる。
促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−
ジメチルーP−トルイジンに代表される第三級アミンや
ナフチン酸コバルト、ナフチン酸マンガン、ナフチン酸
亜鉛に代表される金属塩があげられる。好ましい例とし
ては、ベンゾイルバーオキサイドとN,N−ジメチルー
P−トルイジンの組み合わせがあげられる。
【0017】この他プライマー処理としては、例えば、
溶剤洗浄、酸化又はエッチングなどの化学処理、プラズ
マ処理などを採用することもできる。特に好ましいプラ
イマーとしては、例えばトーメンコンストラクション株
式会社から入手できる「パーミタイト(商品名)」、例
えば「パーミタイトメタル用(商品名)」、「パーミタ
イト#1201(商品名)」などが挙げられ、これらの
ものは、例えば0.2kg/m2〜0.5kg/m2、特
に好適には約0.3kg/m2の割合で用いることがで
きる。プライマー塗布は、例えばはけ又はローラーなど
を用いて行うことができる。こうしてプライマーの塗布
されたフィンガージョイントは、次に型枠取り付けがな
される。型枠は、フィンガージョイントの櫛状の側面部
の形状に沿うように取り付けられる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例によつて具体的に説明
する。まず、道路橋の代表的な伸縮装置の構造を、図1
並びに図6に示す。図1は、一般的にフィンガージョイ
ントと呼ばれ、比較的大きな伸縮量を有する橋梁の伸縮
装置として用いられる。この伸縮装置は、櫛形(フィン
ガー形)の鋼製板を、橋梁端部のコンクリート製台座
(後打コンクリート)上にアンカーで固定された構造と
なっており、この櫛形の鋼製板を隣接する橋梁端部に所
定の空隙を空けて向き合わせて設置し、橋梁の伸縮を吸
収する形式である。本伸縮装置は該鋼製板の櫛形部が片
持構造であり、車両通行による輪荷重や衝撃による変形
・折損等の損傷を受けやすい構造であるため、効果的な
補修方法の開発が望まれている。図2に本伸縮装置の平
面構造図A及び断面構造図Bを示す。図中、1は道路基
盤(橋梁床版又は後打コンクリート)、2はフィンガー
ジョイント側面、3はフィンガージョイント、4はフィ
ンガー、5は伸縮装置遊間、6は既設アスファルト舗装
である。
【0019】図6は、ジグザグジョイント構造の伸縮装
置の一例である「ガイトップジョイント」(商品名:中
外道路株式会社製)で、小伸縮量の橋梁の伸縮装置に一
般的に用いられている。この伸縮装置は、橋梁端部にジ
グザグ形又は波形の鋼製板15を型枠として設置し、内
部にコンクリート16を打設・硬化せしめることにより
ジグザグジョイント21と呼ばれる伸縮装置を形成する
構造となっており、この鋼製板15は、予め工場にて溶
接されたアンカーにより、コンクリート16に固定され
ている。伸縮装置21は、路面にコンクリート16が露
出した構造であるため、車両の走行により摩耗わだちが
発生しやすく、効果的な補修方法の開発が望まれてい
る。図7に伸縮装置の平面構造図A及び断面構造図Bを
示す。図中、5は伸縮装置遊間、6は既設アスファルト
舗装である。
【0020】次に図4においては、フィンガージョイン
ト3に、図9においてはジグザグジョイント21にそれ
ぞれ型枠11、型枠材18を取り付ける場合を斜視構造
図として模式的に示す。型枠11をフィンガージョイン
ト3に取り付ける場合、プライマーの硬化完了後、例え
ば粘着テープの粘着面をフィンガージョイント3の側面
2の形状に沿って押圧して貼付し、これによって粘着テ
ープ製の型枠11が製作される。
【0021】粘着テープとしては、塩化ビニル、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウ
レタンフォームなどの基材フィルム上に粘着材を塗布し
てあるものが用いることができ、公知あるいは市販のも
のの中から選んで用いることができる。さらに、両面粘
着テープとして知られたものも用いることができ、その
場合例えばポリウレタンフォーム製両面粘着テープを用
いる場合、まず該テープの片方の面の保護シールを剥が
し、フィンガージョイントの側面2に貼付した後、該テ
ープの他の面の保護シールを剥がし、そこに型枠材料、
例えば塩化ビニルフィルムなどのプラスチックフィルム
をフィンガージョイントの櫛状の側面部の形状に沿うよ
うに貼付せしめられる。必要に応じ、型枠材料の天端
(上端)10を熱線カッターなどで切断して。所要の高
さとすることができる。この高さは嵩上げされる高さに
することが好ましい。ポリウレタン製両面粘着テープを
用いた場合で、そのテープ高さが計画嵩上げ高さより高
い場合、熱線カッターで切断することができる。
【0022】粘着テープに用いられる粘着剤としては、
公知あるいは市販のものの中から選んで用いることがで
きるが、例えば天然ゴム、ポリイソプレンなどの合成ゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン
−スチレンブロックポリマーゴム、スチレン−エチレン
−ブチレン−スチレンブロックポリマーゴム、ブチルゴ
ム、ポリイソブチレンゴム、ポリアクリル酸ブチル、ポ
リアクリル酸2−エチルヘキシルなどのポリアクリル酸
エステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ブチル、
ポリメタクリル酸2−エチルヘキシルなどのポリメタク
リル酸エステル、ポリメタクリル酸、あるいはコモノマ
ーとしてアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、
酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが配合さ
れたもの、シリコーンゴム、ポリビニルブチルエーテル
などが挙げられる。これらは単独でも、それぞれを配合
して用いることができ、また所要の性状が得られるよう
に選ぶことができる。粘着テープの基材としては、公知
あるいは市販のものの中から選んで用いることができる
が、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリイミド、紙、セルロース、ア
セテート、4ーフッ化エチレン、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル、ガラスクロス、布、例えば綿布、織物、ポリカ
ーボネート、ポリスチレン、クロロプレン、含浸紙、ア
ルミ箔、鋼材箔、ブリキ板、銅板、アルミ板、ブリキ
箔、ブリキフィルムなどが挙げられる。本発明で用いら
れる特に好ましい粘着テープの例としては、例えば住友
スリーエム株式会社から入手しうるスコッチ工業用テー
プなどが挙げられる。
【0023】嵩上げ高さが約20〜30mmを越える場
合、例えば、約25mmを越える場合には、両面粘着テ
ープをまず該テープの片方の面の保護シールを剥がし、
フィンガージョイントの側面2に貼付した後、該テープ
の他の面の保護シールを剥がし、そこに型枠材料、例え
ば銅板をフィンガージョイントの側面2の型に合わせて
曲げたものを設置することが好ましい。特には50mm
を越える場合には型枠材料として銅板を用いることが必
要になる。また、型枠材料は、両面粘着テープを用いず
木製又はプラスチック製のキャンバー(楔)19(図
9)を用いて固定することも好ましい。
【0024】型枠取り付けが済んだフィンガージョイン
ト3(図4)並びにジグザグジョイント21(図9)に
は、つぎに樹脂モルタル13(図5、図10)の打設処
理がなされる。この樹脂モルタル13は、車両の走行に
伴って発生する衝撃や剪断力及び鋼製フィンガーのたわ
み等に対して十分な耐久性を有することや、アスファル
ト舗装12との間で急激な段差を発生させないことが必
要で、アスファルトあるいは同様な舗装材料と同程度又
はそれ以上の耐久性を有していることが求められる。本
発明で用いられる樹脂モルタル13からなる嵩上げ材料
は、車両走行時の衝撃荷重に対して耐久性があり、走行
車両の発進や制動に伴い発生する水平力などにより鋼製
フィンガー4との間で問題となる接着性や一体性があ
り、剪断耐久性に優れ、鋼製フィンガー4のキャンチレ
バー構造などのため、車両走行に伴い生ずる鋼製フィン
ガーのたわみ挙動にも追随できる柔軟性及び曲げ疲労に
対する耐久性を有していることが好ましい。
【0025】樹脂モルタルとしては、公知あるいは市販
のものの中から選んで用いることができるが、上記した
性状の嵩上げ材料から選ぶのが好ましく、常温重合型
(硬化型)樹脂モルタルが好ましく用いられ、例えばメ
タクリル樹脂系モルタルを用いることができる。樹脂モ
ルタルは、十分に細骨材と樹脂とが混練されたものを、
取り付けられた型枠天端10の高さまで打設されること
ができ、そうすることが路面を平らにする上で好まし
い。
【0026】樹脂モルタルの混練は、例えばトーメンコ
ンストラクション株式会社から入手できる「ドーロガー
ド」を用いた場合、調合骨材1袋に対してメタクリル樹
脂1缶のセットを専用の練りタル内に投入して、ハンド
ミキサーにて混練することによりなされる。材料が、混
練後短時間で硬化する場合は、素早く打設して仕上げ
る。
【0027】樹脂モルタルとしては、例えばアクリル樹
脂モルタル、メタクリル樹脂モルタル、エポキシ樹脂モ
ルタル、ポリウレタン樹脂モルタル、ポリエステル樹脂
モルタルなどが挙げられる。アクリル樹脂モルタル、メ
タクリル樹脂モルタルなどの樹脂モルタルに用いられる
合成樹脂成分としては、例えば炭素数1〜18の飽和又
は不飽和アルキル基を持ち、該基はヒドロキシ基、エポ
キシ基などの官能性基を任意に有していてもよいアクリ
ル酸エステル単量体及び/又は炭素数1〜18の飽和又
は不飽和アルキル基を持ち、該基はヒドロキシ基、エポ
キシ基などの官能性基を任意に有していてもよいメタク
リル酸エステル単量体などを主成分として得られるもの
が挙げられる他、その他の当該分野で一般にコンクリー
トやモルタルに配合して用いられるものが挙げられる。
【0028】炭素数1〜18のアクリル酸エステルとし
ては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、ア
クリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウ
リル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。炭素数
1〜18のメタクリル酸エステルとしては、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリ
ル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸
ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0029】エポキシ樹脂などの樹脂モルタルに用いら
れる合成樹脂成分としては、例えばビスフェノールAと
エポクロルヒドリンから得られるビスフェノールA型エ
ポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、
ビスフェノールF型エポキシ化合物などを主成分として
得られるものが挙げられる他、その他の当該分野で一般
にコンクリートやモルタルに配合して用いられるものが
挙げられる。樹脂モルタルとしては、特に常温重合型
(硬化型)エポキシ樹脂モルタルが好ましく用いられ
る。
【0030】ポリウレタン樹脂などの樹脂モルタルに用
いられる合成樹脂成分としては、例えば2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)、キ
シレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート及びエチレングリ
コール、1,4−ブタンジオールなどのジオールから得
られる化合物を主成分として得られるものが挙げられる
他、その他の当該分野で一般にコンクリートやモルタル
に配合して用いられるものが挙げられる。樹脂モルタル
としては、特に常温重合型(硬化型)ポリウレタン樹脂
モルタルが好ましく用いられる。
【0031】ポリエステル樹脂などの樹脂モルタルに用
いられる合成樹脂成分としては、例えばテレフタル酸、
イソフタル酸などのジカルボン酸とエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオールなどのジオールから得られ
るポリエチレンテレフタレートなどのエステルを主成分
として得られるものが挙げられる他、その他の当該分野
で一般にコンクリートやモルタルに配合して用いられる
ものが挙げられる。樹脂モルタルとしては、特に常温重
合型(硬化型)ポリエステル樹脂モルタルが好ましく用
いられる。
【0032】樹脂モルタルとしては、特にメタクリル樹
脂モルタルは好ましいもので、例えばトーメンコンスト
ラクション株式会社から入手できる「ドーロガード(商
品名)」、例えば、「ドーロガード P−01S(商品
名)」は、混練後約30〜約60分で完全に硬化し、耐
候性及び耐磨耗性に優れ、低粘度で施工性に優れ、更に
様々な強度及び弾性度を持ったものにすることができ、
さらに耐衝撃性もあり好ましい。樹脂モルタルとして
は、特に常温重合型(硬化型)メタクリル樹脂モルタル
は好ましいものである。
【0033】調合細骨材(フィラー)としては、硬質の
天然又は人工の骨材が用いられ、公知あるいは市販のも
のの中から選んで用いることができる。骨材としては、
樹脂モルタル又は樹脂コンクリートを製造するために混
和されるものが挙げられ、例えば砂、珪砂、砂利、砕
砂、砕石、石粉、シャモット、スラグ滓、高炉スラグ骨
材やフェロニッケルスラグ骨材などのスラグ骨材、ある
いはこれらに類似の材料が挙げられ、炭酸カルシウムな
どの無機材料、ガラス繊維、プラスチック繊維、炭素繊
維、セラミックス、重量骨材など、そして細骨材のほか
に粗骨材も含まれてよい。これらの骨材は、本発明の目
的に合うものを選ぶこともできよう。
【0034】本発明では、樹脂モルタルとして施工性の
点から低粘度、例えば約5〜2000cpsのもの、特
に500〜800cpsの樹脂が好ましく使用でき、自
由にその樹脂モルタル打設成形体の硬度、弾性を調整で
きる物が好ましい。こうして樹脂モルタルの打設された
フィンガージョイントは、必要に応じ、滑り止め用の撒
き砂を約0.1kg/m2〜約1.0kg/m2、好まし
くは約0.3kg/m2程度施されて、養生処理され
る。フィンガージョイントの嵩上げ処理は通常約5時間
〜約8時間、メタクリル樹脂モルタル「ドーロガード」
を用いた場合、約2時間30分から約3時間30分で作
業を終えることが出来る。
【0035】次に本発明の施工方法による補修工事の実
施例1及び実施例2を説明する。 (実施例1)高速道路での橋梁補修工事において道路面
計画高さが変更になったため、伸縮装置部を本発明にて
15mmの嵩上げを行った。伸縮装置の形式は、図1、
図4に示す櫛形の鋼製板によるフィンガージョイント3
であった。まず、サンドペーパーを取り付けたディスク
グラインダーにてフィンガージョイント3表面の錆や付
着油脂分等を取り除き、強固な下地面を露出させた。次
に、接着剤として、メタクリル樹脂プライマー「パーミ
タイト メタル用」(商品名:トーメンコンストラクシ
ョン株式会社製)を0.3kg/m塗布し硬化させ
た。プライマー硬化完了後、フィンガージョイント鋼製
板側面2に型枠材料11としてポリエステル製の両面粘
着テープ「スコッチ工業用テープ」(商品名:住友スリ
ーエム株式会社製)を所定高さに合わせて貼付した。型
枠材料取り付け完了後、型枠内の鋼製フィンガージョイ
ント3上にメタクリル樹脂モルタル「ドーロガードキッ
トAS」を所定高さに混練・打設した。また、メタクリ
ル樹脂モルタル打設後、滑り止め用として粒径1.2m
m〜2.3mmのスピネル骨材(商品名:太平洋金属株
式会社製)を1.0kg/m散布した。メタクリル樹
脂モルタルは、打設完了後1時間の養生の後、交通開放
を行った。本実施例においては幅60cm、幅員4mの
伸縮装置を、8時間作業で6箇所行った。1パーティ
ー、1箇所当たりの平均作業時間は約2.5時間であっ
た。図5に本実施例における、施工平面図(A)及び断
面図(B)を示する。図中、12は計画アスファルト舗
装、13は嵩上げ樹脂モルタル、例えばメタクリル樹脂
モルタル、14はプライマー、例えばメタクリル樹脂プ
ライマーである。表1、表2にそれぞれ、本実施例にお
いて使用したメタクリル樹脂プライマー「パーミタイト
メタル用」及びメタクリル樹脂モルタル「ドーロガー
ドキットAS」の性能・規格を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】(実施例2)一般国道の連続高架橋での床
版補修工事において道路面計画高さが変更になったた
め、伸縮装置部を本発明にて50mmの嵩上げを行っ
た。伸縮装置の形式は、図7〜図10に示すジグザグジ
ョイント21構造の「ガイトップジョイント」(商品
名:中外道路株式会社製)であった。まず、ダイヤモン
ドカップを取り付けたディスクグラインダーにて伸縮装
置のコンクリート面を研磨し、清浄で乾燥した強固なコ
ンクリート下地面を露出させた。次に、接着剤として浸
透性メタクリル樹脂プライマー「パーミタイト#120
1」(商品名:トーメンコンストラクション株式会社
製)を0.3kg/m塗布し、コンクリート中に含浸
・硬化させた。プライマーの硬化完了後、伸縮装置端部
の波形鋼製板側面に型枠材料15として、厚さ0.4m
mの銅板を所定高さに設置し、木製キャンバー19を遊
間に打ちつけ固定した(図9)。型枠材料取り付け完了
後、型枠内の伸縮装置上にメタクリル樹脂モルタル「ド
ーロガードP−01S」を所定高さに打設した。また、
メタクリル樹脂モルタル打設後、滑り止め用として粒径
1.2mm〜2.3mmのセラミック粉砕骨材を1.0
kg/m散布した。メタクリル樹脂モルタル13(図
10)は、打設完了後1時間の養生の後硬化が完了し
た。本実施例においては幅85cm〜100cm、幅員
4mの伸縮装置を、8時間作業で4箇所行った。1パー
ティー、1箇所当たりの平均作業時間は約3.5時間で
あった。図10に本実施例における、施工平面図(A)
及び(B)断面図を示し、図中、12は計画アスファル
ト舗装、15は型枠材料、16はコンクリート、18は
形枠材料である。表3、表4にそれぞれ、本実施例にお
いて使用したメタクリル樹脂プライマー「パーミタイト
#1201」及びメタクリル樹脂モルタル「ドーロガー
ド P−01S」の性能・規格を示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】次に本工法の作用効果を示す室内試験結果
について、作用効果試験1、2及び表5〜表7によって
説明する。 (作用効果試験1)伸縮装置の嵩上げ用材料として4種
類の材料をを選定し、これらについて表5に示す内容の
試験を行い各材料の性能比較を行った。 .メタクリル樹脂モルタル「ドーロガードキットA
S」 .マグネシューム・リン酸セメント .エポキシ樹脂モルタル .アスファルトモルタル
【0042】
【表5】 各材料の接着強さ試験結果は、表6に示す通りであっ
た。また、耐衝撃性及び耐摩耗性試験結果は、表7に示
す通りであった。
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】 以上の結果より、嵩上げ材料としての下地接着性、耐摩
耗性及び耐衝撃性に関して、メタクリル樹脂モルタルが
最も優れていることが確認された。
【0045】(作用効果試験2)伸縮装置上に施工した
嵩上げ材料は、車両の通行に伴い繰り返しのせん断荷重
を受ける。この繰り返しせん断荷重に対する耐久性の確
認を行うため、繰り返しせん断試験を行った。繰り返し
せん断試験結果は、表8に示すとおりであった。
【0046】
【表8】 以上の結果より、メタクリル樹脂モルタルは200万回
の繰り返しせん断試験においても破壊せず、嵩上げ材料
として十分な耐久性を有していることが確認された。
【0047】
【発明の効果】以上述べた説明から明らかなように、本
発明によると、以下のように優れた作用効果が得られ
る。 .道路橋伸縮装置、例えば鋼製のフィンガージョイン
トの嵩上げ処理を、既設のフィンガージョイントに型枠
を設置し樹脂モルタルを流し入れ硬化せしめて行うと、
従来の金属板を現場にて溶接する場合に比べて、その施
工が短時間、例えば樹脂モルタルの硬化は約30分〜約
60分で済み、交通の開放がかなり短時間で可能とな
る。フィンガージョイント継手部が約4mの場合では総
て施工を完了するまでの所要時間は約2.5時間〜約
3.5時間程度であり、従来法の金属板溶接の場合、現
場で鉄板を切断、曲がり調整のうえ溶接作業を行うた
め、総て施工を完了するまでの所要時間は約6時間〜8
時間程度費やす必要があるのに比べ、非常に短時間であ
る。 .金属板溶接による嵩上げ処理の場合、可能な嵩上げ
高さはせいぜい20〜35mm程度であるのに対し、本
発明による型枠に樹脂モルタルを流し入れる方法ではこ
のような制限はなく、また既設の道路面高さに合わせて
高低差なく仕上げることが可能である。 .コンクリート製伸縮装置の嵩上げ処理を行おうとす
る場合は、従来、伸縮装置部のコンクリートを約50〜
100mm程度はつりとった後、所定高さに型枠を設置
し超早強セメントコンクリートを型枠内に打設するか、
又は、伸縮装置全体をはつり撤去し、新たな伸縮装置に
取り替える方法にて対処を行っていた。しかしながら、
これらの方法による場合は、新・旧コンクリートの打ち
継ぎ目の接着性に対する不安やコンクリートの硬化に約
1時間30分程度、特に冬季等の低温時の場合は温度養
生を行った上で約1時間〜約2時間30分程度の硬化時
間を要するため施工時間が長くなること、また、コスト
面でも割高となることなどに対し、本発明による嵩上げ
の場合は、嵩上げ材樹脂モルタルの硬化性が優れている
ことなどから、下地コンクリートとほぼ完全に一体化
し、しかも厚さ約1mm程度からの伸縮装置の嵩上げが
可能である。また、硬化時間が通常で約30分〜1時間
程度、低温時においても温度養生を必要とせず約1時間
〜1時間30分程度で交通開放が可能であるため、コス
ト的にも非常に割安となる。 .本発明に用いる樹脂モルタルは、強度や弾性係数、
柔軟性等の物性を自由に設定することが可能であり、鋼
製フィンガージョイントのごとく撓み性の高い構造から
実施例2に示すコンクリート製伸縮装置のごとく剛性の
高い構造まで、嵩上げを行うことが可能である。 .本発明に用いる樹脂モルタルは、耐摩耗性が高く通
常の舗装コンクリートと同等又はそれ以上のすべり抵抗
性を有している。また、耐衝撃性が高く、長期間の車両
の走行による破損あるいは欠陥の発生が少ないととも
に、金属板溶接の場合のように走行車両による衝撃音が
発生することはなく、市街部などで環境上の利点が大き
い。 .本発明の施工方法は、極めて簡単かつ安価に伸縮装
置の嵩上げを行うことができ、さらに短時間で行うこと
ができ、熟練を要することがないので、人件費が大幅に
節減できコスト上のメリットも非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィンガージョイント構造の伸縮装置の斜視構
造図を示す。
【図2】フィンガージョイントの平面構造図A及び断面
構造図Bを示す
【図3】従来方法の金属板溶接法により補修されたフィ
ンガージョイント断面構造図を示す。
【図4】本発明の施工方法に従ってフィンガージョイン
トに型枠を取り付ける場合を斜視構造図として模式的に
示す。
【図5】本発明の施工方法により補修されたフィンガー
ジョイントの平面図A及び断面構造図Bを示す。
【図6】ジグザグジョイント構造の伸縮装置の1例の斜
視構造図を示す。
【図7】ジグザグジョイントの平面構造図A及び断面構
造図Bを示す。
【図8】従来方法の超早強コンクリート打継法により補
修されたジグザグジョイント断面構造図を示す。
【図9】本発明の施工方法に従ってジグザグジョイント
に型枠を取り付ける場合を斜視構造図として模式的に示
す。
【図10】本発明の施工方法により補修されたジグザグ
ジョイントの平面図A及び断面構造図Bを示す。
【符号の説明】
1 道路基盤(橋梁床版又は後打コンクリート) 2 フィンガージョイント側面 3 フィンガージョイント 4 フィンガー(鋼製) 5 伸縮装置遊間 6 既設アスファルト舗装 7 伸縮装置の嵩上げ用鋼材板 8 隙間部 9 溶接部 10 型枠材の天端(上端) 11 型枠材、例えばポリウレタン両面テープ 12 計画アスファルト舗装 13 嵩上げ樹脂モルタル、例えばメタクリル樹脂モル
タル 14 プライマー 15 鋼製板(型枠材料) 16 コンクリート 17 嵩上げ用後打コンクリート、 18 型枠材料、例えば銅板 19 型枠固定用キャンバー、例えば木製楔 21 ジグザグジョイント 1a 基盤張出部 3a フィンガープレート
フロントページの続き (72)発明者 小西 偉夫 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目一番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 高須 幹夫 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目一番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の部材と他方の部材が遊間を介して
    伸縮する構造の道路橋伸縮装置で、かつ表面部が欠陥あ
    るいは磨滅した既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工におい
    て、その道路橋伸縮装置の各部材の外形に沿って型枠を
    取り付け、その型枠内に樹脂モルタルを充填・硬化せし
    めて嵩上げ施工を行うことを特徴とする遊間を介して伸
    縮する道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
  2. 【請求項2】 一方の部材と他方の部材が遊間を介して
    伸縮する構造の道路橋伸縮装置で、かつ床版増厚補強の
    施工に伴う既設道路橋伸縮装置の嵩上げ施工において、
    その道路橋伸縮装置の各部材の外形に沿って型枠を取り
    付け、その型枠内に樹脂モルタルを充填・硬化せしめて
    嵩上げ施工を行うことを特徴とする遊間を介して伸縮す
    る道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
  3. 【請求項3】 遊間を介して伸縮する一方の部材と他方
    の部材が咬合構造であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
  4. 【請求項4】 伸縮装置が、鋼製のフィンガージョイン
    ト構造であることを特徴とする請求項3記載の道路橋伸
    縮装置の嵩上げ施工方法。
  5. 【請求項5】 伸縮装置が、コンクリート製のジグザグ
    ジョイント構造であることを特徴とする請求項3記載の
    道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
  6. 【請求項6】 伸縮装置の嵩上げ工程が、少なくとも下
    地処理、プライマー処理、型枠取り付け処理、樹脂モル
    タル打設処理、及び最後に養生処理することからなるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載の道路橋
    伸縮装置の嵩上げ施工方法。
  7. 【請求項7】 樹脂モルタル打設処理が、常温硬化型樹
    脂モルタルを用いてなされる請求項1〜6のいずれか一
    記載の道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
  8. 【請求項8】 樹脂モルタル打設処理が、アクリル樹脂
    モルタル、メタクリル樹脂モルタル、エポキシ樹脂モル
    タル、ポリウレタン樹脂モルタル、及びポリエステル樹
    脂モルタルから成る群から選ばれたものを用いてなされ
    る請求項1〜7のいずれか一記載の道路橋伸縮装置の嵩
    上げ施工方法。
  9. 【請求項9】 樹脂モルタル打設処理が、アクリル樹脂
    モルタル又はメタクリル樹脂モルタルを用いてなされる
    請求項1〜8のいずれか一記載の道路橋伸縮装置の嵩上
    げ施工方法。
  10. 【請求項10】 型枠取り付け処理が、片面又は両面粘
    着テープ、合成プラスチックフィルム、又は金属板を用
    いてなされる請求項1〜9のいずれか一記載の道路橋伸
    縮装置の嵩上げ施工方法。
  11. 【請求項11】 型枠取り付け処理が、片面又は両面粘
    着テープ、合成プラスチックフィルム、又は金属板を貼
    付した複合板を用いてなされる請求項1〜10のいずれ
    か一記載の道路橋伸縮装置の嵩上げ施工方法。
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