JP5291328B2 - 伸縮装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば道路橋の床版の目地に設置される伸縮装置及びその製造方法に関する。
都市部の高速道路は多くの区間が高架化されており、車線数の多い区間や、本線にランプが接続する区間では、複数の道路橋が並列して構築されている。並列する道路橋の床版の間には、延長方向に延びる縦目地が設けられている。また、各道路橋の延長方向に隣り合う床版の間には、幅方向に延びる横目地が設けられている。これらの縦目地や横目地には、伸縮装置が設置されている。橋脚の沈下や床版の伸縮等に起因して床版間に相対変位が生じた場合、伸縮装置が変形することにより、床版表面の路面に急激な段差や隙間が生じる不都合を防止している。
多くの伸縮装置は、床版間の変位に伴って変形するゴム製部材を有し、このゴム製部材の表面が車両の走行面となっている。ゴム製部材の表面は、降雨等により水で濡れると車両タイヤが滑り易いことから、従来、ゴム製部材の表面に排水用の溝を設けることが多く行われている。しかしながら、ゴム製部材の表面に溝を設けただけでは、滑り止め効果が十分ではなかった。
そこで、従来、滑り止め効果を高めるため、ゴム製部材の表面に硬質粒子を設けた伸縮装置が提案されている。この種の伸縮装置としては、図6に示すように、離隔をおいて対向する2つの床版110,110の端部に、ゴム製の継手本体102の両端部をボルト105で夫々固定したものがある(例えば、特許文献1参照)。継手本体102は連続した単一のゴムマトリックスで形成されており、その全ての表面に、硬質砂岩等からなる硬質粒子103を埋没させている。継手本体102は、床版110に固定される両端部102aが厚肉に形成されている一方、床版110間の隙間に位置する中央部102bが薄肉に形成され、この中央部102bが下方に撓んで凹形状をなしている。この伸縮装置100は、継手本体102の表面近傍に埋没された硬質粒子103で滑り抵抗を増大することにより、車両のスリップ事故等を防止している。
一方、ゴム製部材の表面に硬質粒子を配置した他の伸縮装置としては、図7に示すように、ゴム製基材121の表面に積層されて接着剤からなるプライマー層122と、このプライマー層122上に接着されたウレタン樹脂層123と、このウレタン樹脂層123上に積層されたエポキシ樹脂層124と、ウレタン樹脂層123及びエポキシ樹脂層124中に固着されたセラミック粒子125とで構成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。この伸縮装置120は、ゴム製基材121とウレタン樹脂層123とエポキシ樹脂層124を、この順に弾性率が高くなるように配置することにより、セラミック粒子125を強固に保持してタイヤのグリップ力を高めて、滑り止め効果を向上させるようにしている。
特開2000−64213号公報 特開2007−23592号公報
しかしながら、特許文献1の伸縮装置100は、継手本体102が単一のゴムマトリックスで形成され、かつ、中央部102bが薄肉に形成されているので、両床版110,110が互いに遠ざかる方向に変位すると、継手本体102の中央部102bに大きな伸び変形が生じる。したがって、継手本体102のゴムマトリックスと硬質粒子103との間に応力が集中し、硬質粒子103が脱落し易いという問題がある。また、継手本体102の凹形状の中央部102bに雨水が溜まり、滑り抵抗の低下を招き易いという問題がある。また、凹形状の中央部102bを通過する車両に衝撃を与え、乗り心地の悪化を招くと共に、周辺に振動や騒音を与える問題がある。さらに、伸縮装置100が縦目地に使用された場合、車両のタイヤの進行方向が、継手本体102の凹形状の中央部102bに沿うように規制され、所謂「ハンドルが取られる」状態となって運転者に不安感を与えるという問題がある。特に、走行車両が2輪車である場合、タイヤの進行方向が規制されると転倒事故に至る恐れがある。
また、特許文献2の伸縮装置120は、最下層のゴム製基材121の弾性率よりも最上層のエポキシ樹脂層124の弾性率が大幅に大きいので、床版間の相対変位に伴ってゴム製基材121が変形した場合、ゴム製基材121からエポキシ樹脂層124までの間の各層間の境界のうち、いずれかの境界に応力が集中する。したがって、走行車両の繰り返し荷重により、境界に剥離が生じる恐れがある。また、弾性率が大きいエポキシ樹脂層124に割れが生じる恐れがある。
そこで、本発明の課題は、車両の走行に伴う衝撃や騒音の発生を防止でき、また、床版間の相対変位に伴って変形しても、硬質粒子の脱落や構成部材間の剥離や部材の割れが無くて、滑り止め効果を安定して発揮できる伸縮装置と、その製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の伸縮装置は、隙間をおいて対向する一対の床版の端部に夫々固定される一対の固定部材と、
両端部が上記一対の固定部材に夫々固定され、中央部の厚みが両端部の厚みよりも大きく形成されていると共に、上側面が平坦に形成された弾性部材と、
弾性基体と、この弾性基体の表面部分に担持された複数の硬質粒子とを有し、上記弾性部材の上側面に、少なくとも幅方向に互いに離隔をおいて固定された複数の滑り止め部材と
を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、一対の床版の間が固定部材を介して弾性部材で掛け渡され、この弾性部材上を車両が走行する。この弾性部材の上側面に固定された滑り止め部材の硬質粒子により、走行車両のタイヤに対して摩擦抵抗が生じて滑り止め効果が発揮される。ここで、弾性部材は、中央部が両端部よりも大きい厚みを有するので、一対の床版の相対変位に伴って変形したとき、中央部の変形量が比較的小さい。さらに、滑り止め部材は、弾性部材の上側面に、少なくとも幅方向に互いに離隔をおいて固定されているので、幅方向に連続して形成されるよりも、弾性部材の変形に伴う変形量が少ない。これらにより、滑り止め部材の弾性基体に生じる応力が効果的に低減されるので、この弾性基体の表面部分に担持された硬質粒子が脱落し難くなり、その結果、変形した後においても良好な耐久性を有する伸縮装置が得られる。
また、上記弾性部材は、中央部の厚みが両端部の厚みよりも大きいので、中央部の伸び代が従来の継手本体よりも大きくなり、これにより、従来の継手本体のように中央部を予め凹形状に撓ませる必要が無くて、車両走行面が形成される上側面を平坦にすることが可能になっている。したがって、車両走行面が凹形状に形成された従来の伸縮装置におけるような、雨水が溜まって滑り抵抗の低下を招く不都合を防止できる。また、従来の伸縮装置のように走行車両に衝撃を与える不都合や、車両の走行に伴う衝撃によって周辺に振動や騒音を与える不都合を防止できる。また、この伸縮装置が縦目地に使用された場合、弾性部材は、従来の伸縮装置のように走行車両のタイヤの進行方向を規制することが無い。したがって、車両の運転者に不安感を与える不都合や、2輪車の転倒事故を防止できる。
また、滑り止め部材は、硬質粒子を弾性基体に担持しているので、この弾性基体と弾性部材を概ね同じ硬度にすることにより、ゴム基材上に複数層を介して支持されたエポキシ樹脂層に硬質粒子を担持した従来の伸縮装置のような、変形後に層の境界に剥離が生じる不都合を防止できる。また、従来の硬質粒子を担持するエポキシ樹脂層のように、変形により割れが生じる不都合を防止できる。
このように、本発明の伸縮装置によれば、一対の床版の間に相対変位が生じて弾性部材が変形しても、滑り止め部材の硬質粒子の脱落を防止でき、構成部材間の剥離や部材の割れを防止できて、滑り抵抗を安定して発揮することができる。
一実施形態の伸縮装置は、上記滑り止め部材の弾性基体の硬度は、上記弾性部材の硬度よりも大きい。
上記実施形態によれば、床版間の相対変位に伴って弾性部材が変形したとき、この弾性部材の上側面に固定された弾性基体の変形量を効果的に低減できる。したがって、弾性基体の表面に担持された硬質粒子の脱落を防止できる。
一実施形態の伸縮装置は、上記滑り止め部材の弾性基体の硬度は、上記弾性部材の硬度の1.1倍以上2.0倍以下である。
上記実施形態によれば、弾性部材が変形する際、弾性部材と弾性基体との間に剥離を生じることなく、弾性基体の変形を抑制して硬質粒子の脱落を防止できる。ここで、弾性基体の硬度が弾性部材の硬度の1.1倍未満であると、弾性基体と弾性部材の変形量が略同じになり、硬質粒子の脱落防止効果が少なくなる。一方、弾性基体の硬度が弾性部材の硬度の2.0倍を越えると、弾性部材の変形時に、弾性部材と弾性基体との境界に過大な応力集中が生じて剥離が生じる恐れがある。
上記弾性部材及び弾性基体の硬度は、JIS K6253タイプAに規定された測定方法により測定するのが好ましい。この規定に基づく測定方法により測定された硬度によれば、弾性部材は45度以上55度以下の範囲が好ましく、弾性基体は50度以上80度以下であるのが好ましい。弾性部材の硬度が45度を下回ると、通常の使用状態における変形量が過大となる一方、弾性部材の硬度が55度を上回ると、床版間の変位に追従できなくて破損が生じる恐れがある。また、弾性基体の硬度が50度を下回ると、弾性部材の変形モードと略同じ変形モードとなり、硬質粒子の脱落防止効果が得られなくなる。一方、弾性基体の硬度が80度を上回ると、変形時に弾性部材との境界に過大な応力集中が生じる恐れがある。また、硬さが過剰となって、変形時に割れや欠けが生じる恐れがある。
一実施形態の伸縮装置は、上記滑り止め部材の少なくとも一つは平面視において四角形状に形成され、上記弾性部材の上側面にタイル状に配置されている。
上記実施形態によれば、弾性部材が不均一に変形した場合においても、滑り止め部材の弾性基体と弾性部材との境界に作用する応力を分散させることができる。したがって、弾性基体の変形量を少なくできて、硬質粒子の脱落や、弾性部材と弾性基体との境界の剥離を防止できる。
また、タイル状に配置された滑り止め部材間に、弾性部材の露出面を底とする溝を形成できるので、降雨時等に排水を行うことができ、滑り止め効果を更に向上できる。
なお、上記実施形態において、四角形状とは、正方形、長方形、菱形、台形及び平行四辺形等の種々の形状を含む。また、タイル状とは、滑り止め部材を、直交する行列方向に配列する状態や、行又は列のいずれかを千鳥状にずらして配列する状態や、姿勢を平面においてランダムに異ならせてモザイク状に配列する状態等を含む。
一実施形態の伸縮装置は、上記滑り止め部材の硬質粒子は、上記弾性基体の厚み方向における個数が1つであり、かつ、上記弾性基体の単位表面積あたりの密度が0.1g/cm以上0.5g/cm以下である。
上記実施形態によれば、滑り止め部材の硬質粒子は、弾性基体の厚み方向における担持個数が1つであるので、厚み方向に複数個の硬質粒子を担持するよりも、硬質粒子の弾性基体に接する面積を大きくできて、硬質粒子を強固に弾性基体に固定することができる。また、弾性基体の単位表面積あたりの硬質粒子の密度を0.1g/cm以上0.5g/cm以下とすることにより、滑り止め効果が適切に得られると共に、弾性基体に強固に固定することができる。ここで、硬質粒子の密度が0.1g/cmを下回ると滑り止め効果が不十分となり、硬質粒子の密度が0.5g/cmを上回ると硬質粒子同士の接触する度合いが大きくなって硬質粒子の弾性基体への固定が不十分となる。
一実施形態の伸縮装置は、上記滑り止め部材の硬質粒子の粒径は、1.0mm以上5.0mm以下である。
上記実施形態によれば、十分な滑り止め効果が得られると共に、硬質粒子を弾性基体の表面部分に厚み方向に1個担持させることができる。硬質粒子の粒径が1.0mmを下回ると、滑り止め効果が不十分となり、硬質粒子の粒径が5.0mmを上回ると、車両のタイヤの損傷や、車両走行に伴う振動や騒音を生じる恐れがあり、また、弾性基体に適切な密度で厚み方向に1個担持させることが困難となる。
本発明の伸縮装置の製造方法は、接着剤が表面に塗布された硬質粒子を、弾性基体材料の表面に散布する工程と、
上記硬質粒子を加圧して、この硬質粒子を上記弾性基体材料の表面部分に実質的に全て埋没させる工程と、
上記硬質粒子が埋没された複数の弾性基体材料を、表面が金型の底面に接するように金型内に互いに離隔をおいて配置する工程と、
上記弾性基体材料の裏面に表面が接するように、弾性部材材料を金型内に配置する工程と、
上記金型を介して上記弾性基体材料及び弾性部材材料を加圧及び加熱することにより、上記硬質粒子と弾性基体材料とを加硫接着し、かつ、上記弾性基体材料及び弾性部材材料を夫々加硫すると共に互いに加硫接着して、上記硬質粒子が埋没された弾性基体と弾性部材との一体構造を形成する工程と、
上記一体構造を金型から取り出す工程と、
上記一体構造の弾性基体の表面部分を除去することにより、上記硬質粒子の一部を弾性基体の表面から露出させる露出工程と
を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、接着剤が表面に塗布された硬質粒子を、弾性基体材料の表面部分に実質的に全て埋没させた後、この弾性基体材料を金型の底に配置し、この弾性基体材料の上に弾性部材材料を配置して加圧及び加熱する。弾性基体材料及び弾性部材材料を加圧及び加熱すると、弾性基体材料が軟化し、硬質粒子が弾性基体材料内で移動可能になる。ここで、弾性基体材料の表面を金型の底面に接するように配置しているので、例えばセラミック等で形成される硬質材料を、例えばゴム等で形成される弾性基体材料内で重力の作用方向に移動させて、効果的に弾性基体の表面部分に集めることができる。こうして、弾性基体の表面部分に硬質粒子を密に配置することができる。この後、硬質粒子が表面部分に密に配置された弾性基体の表層を除去して、上記硬質粒子の一部を弾性基体の表面から露出させると共に、硬質粒子の他の部分を弾性基体に強固に固定することができる。こうして、弾性基体の表面から一部が露出した硬質粒子により、走行車両のタイヤを確実にグリップして良好な滑り止め効果を奏することができると共に、硬質粒子の他の部分を弾性基体に強固に固定して脱落し難くできて、良好な耐久性を有する伸縮装置を製造することができる。
一実施形態の伸縮装置の製造方法は、上記露出工程は、上記弾性基体の表面部分をワイヤブラシで除去して行う。
上記実施形態によれば、ワイヤブラシにより弾性基体の表層を効果的に除去して、弾性基体の表面から、硬質粒子の一部を効果的に露出させることができる。
本発明の伸縮装置によれば、弾性部材が変形した後においても、硬質粒子を弾性基体から脱落し難くでき、その結果、滑り止め効果に加えて耐久性を奏することができる。また、車両走行面となる弾性部材の上側面を平坦にできるので、雨水が溜まって滑り抵抗の低下を招く不都合や、走行車両に衝撃を与える不都合や、車両の走行に伴う衝撃によって周辺に振動や騒音を与える不都合を防止できる。また、縦目地に使用された場合、車両の進行方向を規制して車両の運転者に不安感を与える不都合や、2輪車の転倒事故を防止できる。さらに、一対の床版の間に相対変位が生じて弾性部材が変形しても、滑り止め部材の硬質粒子の脱落を防止でき、構成部材間の剥離や部材の割れを防止できて、滑り止め効果を安定して発揮することができる。
また、本発明の伸縮装置の製造方法によれば、弾性基体の表面部分に硬質粒子を密に配置することができ、更に、最表層の硬質粒子の一部を弾性基体の表面から露出させると共に、硬質粒子の他の部分を弾性基体に強固に固定して、良好な滑り止め効果と耐久性を有する伸縮装置を製造できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の伸縮装置が設置された目地構造を示す幅方向の断面図であり、図2は、本実施形態の伸縮装置の主要部を示す幅方向の断面図であり、図3は、本実施形態の伸縮装置を示す平面図である。
本実施形態の伸縮装置1は、並列して構築された2つの道路橋2,3の床版21,31の間に設置されており、各床版21,31の間の延長方向に形成される縦目地に設置されている。この伸縮装置1は、離隔をおいて対向する一対の床版21,31の端部に固定された固定部材11,11と、この一対の固定部材11,11に両端部が夫々固定された弾性部材13と、この弾性部材13の上側面に固定された複数の滑り止め部材14,14,・・・とを備える。複数の滑り止め部材14,14,・・・の相互間には、行列方向に延びる排水溝15が形成されている。本実施形態の伸縮装置1は、560mmの幅を有し、各床版21,31間に形成された230mmの離隔を掛け渡すように設置されている。
固定部材11は、曲げ加工された鋼板で形成されており、一対の固定部材11が弾性部材13に固定された状態で、下方に向かうにつれて幅が狭まるテーパ断面を形成している。詳しくは、固定部材11は、弾性部材13の上側面の縁端から側面に沿って鉛直下方に延びる上端鉛直部11aと、この鉛直部11aの下端に連なり、下方に向かうにつれて弾性部材13の幅方向内側に向かって傾斜した傾斜部11bと、この傾斜部11bの下端部に連なり、鉛直下方に延びる下端鉛直部11cとで構成されている。固定部材11の内側面は、加硫接着により、弾性部材13の端部の外側面に固定されている。固定部材11と弾性部材13との加硫接着は、カーボンブラック、シリカ及び酸化チタン等が添加されたクロロプレン系の合成樹脂接着剤を用いることができる。また、固定部材11や弾性部材13の材料に応じて、カーボンブラック、シリカ及び酸化チタン等が添加された種々のゴム系樹脂接着剤を用いることができる。
固定部材11の傾斜部11bには、定着部材としてのアンカー鉄筋16が固定されている。このアンカー鉄筋16は異形鉄筋で形成されており、一端が傾斜部11bの上部に溶接で固定されて、鉛直部11aと略直角をなして水平に延びている。アンカー鉄筋16の他端部は、下方に屈曲して鉤型に形成されている。
固定部材11の傾斜部11b及び下端鉛直部11cには、更なる定着部材としてのアンカープレート17が固定されている。アンカープレート17は、幅広の大略L字形状の鋼板で形成されており、固定部材11の傾斜部11bの幅と略同じ大きさの幅を有して下端鉛直部11cの下端近傍まで延在する台形部17aと、この台形部の下端部の側面から幅方向外側に延びる水平部17bとを有する。
上記アンカー鉄筋16及びアンカープレート17は、図3に示すように、互いに平行にかつ、縦目地の延在方向に向かって交互に配列されている。また、各固定部材11に固定されたアンカー鉄筋16及びアンカープレート17は、一対の固定部材11の間で互いに同じ縦目地方向の位置に配置されている。すなわち、アンカー鉄筋16が、一対の固定部材11に、平面視において一直線上に配置されていると共に、アンカープレート17もまた、一対の固定部材11に、平面視において一直線上に配置されている。
弾性部材13は、中央部13aの厚みが両側部13b,13bの厚みよりも大きく形成されていると共に、上側面が水平に形成されている。この弾性部材13の下側面は、両端から中央に向かって下方に湾曲した凸形状に形成されている。詳しくは、弾性部材13の下側面が、縦目地の幅方向に対称の傾斜面で形成され、下方に向かうにつれて幅が狭まると共に、最下端が目地と平行に尾根状に連なった逆切妻屋根状の形状を有する。弾性部材13の幅方向両側の側面は、略鉛直に延びる平面で形成されている。弾性部材13は、542mmの幅を有し、両端の厚み(すなわち幅方向両側の側面の高さ)が35mmである一方、最も大きい中央の厚みが156mmに形成されている。この弾性部材13は、JIS K6253タイプAに規定された測定方法による45度以上55度以下の硬さに設定されている。弾性部材13はクロロプレンゴムで形成されている。なお、弾性部材13は、天然ゴムで形成されてもよく、あるいは、クロロプレンゴム以外に、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリウレタン等の合成ゴムを使用してもよい。これらの合成ゴムは、公知の種々の加硫剤、加硫促進剤、軟化剤及び充填剤等を配合することができる。
弾性部材13の上側面には、平面視において長方形の滑り止め部材14,14,・・・が、直交する行列をなしてタイル状に配置されている。図4は、滑り止め部材14を拡大して示した断面図である。滑り止め部材14は弾性基体41を有し、この弾性基体41は弾性部材13と実質的に同じ材料及び配合剤によるクロロプレンゴムで形成されている。弾性基体41は、90mmの幅と190mmの長さと20mmの厚みを有する板状体で形成されている。この弾性基体41の表面部分に複数の硬質粒子42が担持されている。硬質粒子42は、弾性基体41の厚み方向に1個担持されており、かつ、弾性基体41の表面から1.0mm以上5.0mm以下の深さに、好ましくは、2.0mm以上3.3mm以下の深さに担持されている。また、この硬質粒子42は、一部が弾性基体41の表面から突出しており、この突出部分の高さは粒径の20〜50%に設定されている。ここで、突出部分の高さが粒径の20を下回ると、硬質粒子42が車両タイヤに噛み込む長さが不足して、滑り止め効果が不十分となる。一方、突出部分の高さが粒径の50%を上回ると、硬質粒子42が弾性基体41に付着する面積が過小となって硬質粒子42が脱落し易くなる。硬質粒子42は、弾性基体41の単位表面積あたり0.1g/cm以上0.5g/cm以下の密度に担持させている。ここで、硬質粒子42の密度が0.1g/cmを下回ると滑り止め効果が不十分となり、硬質粒子42の密度が0.5g/cmを上回ると硬質粒子42同士の接触する度合いが大きくなって硬質粒子42の弾性基体41への固定が不十分となる。
弾性基体41は、弾性部材13と同様に、45度以上55度以下の硬さに設定されている。滑り止め部材14の弾性基体41の裏面は、弾性部材13の上側面に加硫接着されている。
滑り止め部材14の硬質粒子42は、酸化鉄を主成分としてマグネシウムやアルミニウムの酸化物を含むセラミックからなる。なお、セラミックとしては、炭化ケイ素やアルミナからなるものを用いてもよい。また、セラミック以外に、硅砂、ガラス片及び陶片等で硬質粒子を形成してもよい。硬質粒子42は、不定形状を有すると共に、1.0mm以上5.0mm以下の粒径を有する。ここで、硬質粒子42の粒径が1.0mmよりも小さいと滑り止め効果が不十分となる。一方、硬質粒子42の粒径が5.0mmを越えると、車両のタイヤの損傷や、車両走行に伴う振動や騒音を生じる恐れがあり、また、弾性基体に適切な密度で厚み方向に1個担持させることが困難となる。特に、硬質粒子42の粒径は、2.0mm以上3.3mm以下であるのが、滑り止め効果と、タイヤの損傷、騒音及び振動の防止効果とを両立できる点で好ましい。
滑り止め部材14の硬質粒子42は、加硫接着により、弾性基体41に固定されている。硬質粒子42と弾性基体41との加硫接着は、カーボンブラック及び酸化亜鉛が添加されたポリオレフィン系接着剤を用いることができる。また、接着剤としては、公知の他の接着剤を用いることもできる。
複数の滑り止め部材14,14,・・・の相互間に形成された排水溝15は、目地方向に延びる縦溝15a,15bと、目地直角方向に延びる横溝15cとを有する。縦溝15a,15bのうち、固定部材11の下端鉛直部11cと略同じ幅方向位置にある縦溝15aは、他の縦溝15bよりも深く形成されている。本実施形態では、浅い縦溝15bの深さを約20mmに設定する一方、深い縦溝15aの深さを約30mmに設定している。浅い縦溝15bは、弾性部材13の上側面が底面となる一方、深い縦溝15aは、弾性部材13の上側部分を切削してなる切削溝の底が底面となっている。
本実施形態の伸縮装置1は、以下のようにして製造する。
まず、準備段階として、伸縮装置1を構成する部材を作成する。すなわち、プレス機を用いて鋼板に曲げ加工を行い、所定形状の固定部材11を作成する。この後、固定部材11の傾斜部11bの外側面に、全周隅肉溶接によってアンカー鉄筋16を固定する。また、固定部材11の傾斜部11b及び下端鉛直部11cに、隅肉溶接によってアンカープレート17を固定する。続いて、固定部材11の内側面にサンドブラスト処理を施して、弾性部材13との接着面に対して、錆びや付着物を除去して清浄化すると共に、粗面化して接着力の増大を図る。この後、固定部材11の内側面に、クロロプレン系の加硫接着剤を塗布する。加硫接着剤には、カーボンブラック、シリカ及び酸化チタン等の配合剤を含むものが好ましい。なお、弾性部材13の材料に応じて、種々の加硫接着剤を用いることができる。
また、弾性部材13の材料としての未加硫ゴムシートを、クロロプレンに各種配合剤を添加して混練し、シート状に成形して作成する。
また、滑り止め部材14の弾性基体41の材料を、クロロプレンに各種配合剤を添加して混練し、薄肉の直方体ブロック状に成形して作成する。この弾性基体材料141の表面に、図5(a)に示すように、セラミックからなる硬質粒子42を散布する。硬質粒子42の表面には、カーボンブラック及び酸化亜鉛等の添加剤が添加されたポリオレフィン系の接着剤を予め塗布しておく。なお、硬質粒子42に塗布する接着剤には他の添加剤を用いることができ、また、弾性基体材料141及び硬質粒子42の材料に応じて種々の接着剤を用いることができる。引き続いて、板状のプレス体によって硬質粒子42を加圧して、図5(b)に示すように弾性粒子42を弾性基体材料141の中に実質的に全て埋没させる。こうして、弾性基体材料141に硬質粒子42を担持させて、滑り止め部材のプリフォーム142を形成する。
上記固定部材11、弾性部材13用の未加硫ゴムシート、及び、滑り止め部材のプリフォーム142を作成した後、プレス機を用いて上記部材を互いに固定すると共に、ゴム材料の加硫を行う。プレス機の金型は、下部金型と上部金型とで内部にキャビティを形成すると共に、このキャビティ内に固定部材11を収容した状態で未加硫ゴムシート及びプリフォーム142を加圧及び加熱するインサート金型である。下部金型は、キャビティを形成する凹部の底面が平坦面に形成されている一方、上部金型は、キャビティを構成する凹部の天面が2つの傾斜面で形成されていて、伸縮装置の使用状態と上下逆向きに成形を行うように形成されている。下部金型及び上部金型には、電気抵抗や熱媒体でキャビティ内を加熱する加熱装置が設けられている。
まず、図5(c)に示すように、下部金型51の底面51aに、複数の滑り止め部材のプリフォーム142を直交行列状に配置する。このプリフォーム142は、硬質粒子42の担持側である表面がキャビティの底面51aに接するように配置する。続いて、プリフォーム142の裏面に加硫接着剤を塗布した後、図5(d)に示すように、プリフォーム142の上に、複数の弾性部材13用の未加硫ゴムシート131を層状に配置する。複数の未加硫ゴムシート131,131,・・・の間には、加硫接着剤を塗布する。この後、図5(e)に示すように、固定部材11がセットされた上部金型52を下部金型51に向かってプレス駆動して型締めを行うと共に、加熱装置による加熱を行う。型締めに伴う加圧力は0.5〜1.0N/mmに設定すると共に、加熱装置による加熱温度は150℃前後に設定する。金型51,52による加圧と加熱で、未加硫ゴムシート131及び弾性基体材料141に加硫を行うと共に、未加硫ゴムシート131の相互間と、未加硫ゴムシート131と弾性基体材料141との加硫接着を行う。また、弾性基体材料141と硬質粒子42との加硫接着を行う。さらに、固定部材11と弾性部材13との加硫接着を行う。ここで、滑り止め部材のプリフォーム142を、表面が下部金型の底面51aに接するように配置しているので、加熱されて軟化した弾性基体材料141内において硬質粒子42を重力で下方に移動させて、この弾性基体材料141の表面に硬質粒子42を均一に並べることができる。
金型51,52による加圧及び加熱を所定時間行った後、上部金型52を下部金型51から遠ざけて型開きを行い、硬質粒子42が埋没された弾性基体41と弾性部材13との一体構造を下部金型51から取り出す。この後、図5(f)に示すように、一体構造の弾性基体41の表面層を、回転するワイヤブラシ55によって除去することにより、弾性基体41の表面に硬質粒子42の一部を露出させる。なお、弾性基体の表面層の除去には、ワイヤブラシ55以外に樹脂製ブラシ等を用いることができる。この後、弾性基体41の相互間を切削し、弾性基体41の側面を内壁面とすると共に弾性部材13の上側面(切削面)を底とする縦溝15a,15b及び横溝15cを形成する。こうして、伸縮装置1が完成する。なお、弾性部材13の縦溝15a,15b及び横溝15cは、下部金型51に溝の反転形状の突起を設け、この突起でプリフォーム142の相互間と弾性部材13の上側面に対応する未加硫ゴムシート131とを加圧して成形してもよい。
以上のようにして製造した伸縮装置1は、以下のようにして道路橋2,3の床版21,31に設置する。
まず、床版21,31の互いに対向する縁部をハツリ工により除去して、舗装材22,32の表面よりも低い段部23,33を形成する。これにより、一方の床版21の下面に設けられた鋼板から延びる定着筋25を露出させる。他方の床版31は、段部33の表面にアンカー筋35を埋め込む。この後、伸縮装置1を床版21,31の離隔を掛け渡すように設置し、弾性部材13の上側面が舗装材22,32の表面と同一レベルになるように調節する。この後、一方の固定部材11のアンカー鉄筋16及びアンカープレート17を、一方の床版21の定着筋25に仮留めする。この仮留め部に、アンカー鉄筋16及びアンカープレート17と定着筋25とに直交する通し筋26,26を配置する。また、他方の固定部材11のアンカー鉄筋16及びアンカープレート17を、他方の床版31のアンカー筋35に仮留めする。この仮留め部に、アンカー鉄筋16及びアンカープレート17とアンカー筋35とに直交する通し筋36,36を配置する。
この後、床版21,31の段部23,33の下方の側面と、一対の固定部材11,11の下端鉛直部11c,11cの下端との間に型枠を設置し、各床版21,31の段部23,33にコンクリートを打設して、段部23,33の固定部材11,11の外側に後打ちコンクリート24,34を形成する。後打ちコンクリート24,34の硬化後、型枠を撤去して、伸縮装置1の取り付けが完成する。
以上のようにして床版21,31間の縦目地に設置された伸縮装置1は、床版21,31間を移動する車両や、上側面を走行する車両に対して良好な滑り止め効果を奏することができる。すなわち、伸縮装置1の表面に設けられた滑り止め部材14,14,・・・の硬質粒子42により、車両のタイヤとの間に適切な摩擦抵抗力を与えることができ、車両タイヤの滑り止め効果を発揮することができる。また、滑り止め部材14,14,・・・相互間に、複数の縦溝15a,15b及び横溝15cを形成したので、降雨時においても滑り止め部材14から速やかに排水を行い、滑り止め効果を発揮することができる。
道路橋2,3の沈下や床版21,31の収縮等に起因して、床版21,31に相対変位が生じた場合、伸縮装置1の弾性部材13が変形して相対変位を吸収する。このとき、弾性部材13は、中央部13aが両端部13b,13bよりも大きい厚みを有するので、中央部13aの変形量が比較的小さい。さらに、滑り止め部材14の弾性基体41は、弾性部材13の上側面に互いに離隔をおいて固定されているので、変形量が弾性部材13よりも小さい。これらにより、滑り止め部材14の弾性基体41に生じる応力が効果的に低減するので、硬質粒子を継手本体に直接担持させた従来の伸縮装置よりも、弾性基体41から硬質粒子42が脱落し難くなり、その結果、変形した後においても良好な耐久性と滑り止め効果が得られる。
また、上記弾性部材13は、中央部13aの厚みが両端部13bの厚みよりも大きいので、中央部13aの伸び代を従来の継手本体よりも大きくでき、これにより、従来の継手本体のように中央部を予め凹形状に撓ませる必要が無くて、車両走行面となる上側面を平坦に形成することが可能になっている。したがって、車両走行面が凹形状に形成された従来の伸縮装置におけるような、雨水が溜まって滑り抵抗の低下を招く不都合を防止でき、また、走行車両に衝撃を与える不都合や、車両の走行に伴う衝撃によって周辺に振動や騒音を与える不都合を防止できる。また、この伸縮装置1の弾性部材13は、従来の伸縮装置のように走行車両のタイヤの進行方向を規制することが無い。したがって、車両の運転者に不安感を与える不都合や、2輪車の転倒事故を防止できる。
また、滑り止め部材14の硬質粒子42を、弾性部材13と実質的に同じ材料の弾性基体41に担持しているので、ゴム基材上に複数層を介して支持したエポキシ樹脂層に硬質粒子を担持する従来の伸縮装置のような、変形後に層の境界に剥離が生じる不都合を防止できる。また、従来のエポキシ樹脂層におけるように、変形により割れが生じる不都合を防止できる。
また、滑り止め部材14を平面視において長方形に形成し、弾性部材13の上側面に直交する行列方向にタイル状に配置しているので、一対の床版21,31間に、目地方向において不均等に鉛直方向の相対変位が生じた場合においても、滑り止め部材14の弾性基体41と弾性部材13との境界に作用する応力を分散させることができる。したがって、弾性基体41の変形量を少なくできて、硬質粒子42の脱落や、弾性部材13と弾性基体41との境界の剥離を防止できる。
なお、滑り止め部材14は、長方形以外に、正方形、菱形、台形及び平行四辺形等の種々の四角形状に形成してもよい。また、滑り止め部材14は、全てを四角形状に形成する必要は無く、四角形状の滑り止め部材14の周囲を取り囲む枠状や、他の形状の滑り止め部材を混在させてもよい。また、四角形状の滑り止め部材は、縦と横の寸法比率が異なるものを混在させてもよい。また、滑り止め部材14は、直交する行列方向に配列する以外に、行又は列のいずれかを千鳥状にずらして配列してもよく、あるいは、姿勢を平面においてランダムに異ならせてモザイク状に配列してもよい。さらに、滑り止め部材14は、四角形状以外の円形状や多角形状に形成してもよい。
また、滑り止め部材14の相互間に、弾性部材13の上側面よりも深く形成された深い縦溝15a,15aを設けたので、床版21,31間の相対変位時に、弾性部材13の深い縦溝15aに対応する部分の変形量が大きくなる。特に、鉛直方向の相対変位が生じたとき、深い縦溝15aが固定部材11の下端鉛直部11cと略同じ幅方向位置にあることから、弾性部材13が深い縦溝15aの近傍部分で大きく変形する。これにより、弾性部材13の深い縦溝15a,15a相互間の変形量が抑制され、特に、弾性部材13の表面部分の変形量が大幅に抑制される。その結果、滑り止め部材14の弾性基体41に生じる応力が抑制され、弾性基体41と硬質粒子42との間の応力集中が抑制されて、硬質粒子42の脱落を効果的に防止できる。なお、深い縦溝15aの数は2つに限られず、1つまたは3つ以上であってもよい。
また、滑り止め部材14の硬質粒子42は、弾性基体41の厚み方向に1個担持させているので、硬質粒子42の弾性基体41に接する面積を大きくできて、硬質粒子42を強固に弾性基体41に固定することができる。その結果、硬質粒子42の脱落を防止でき、特に、弾性部材13の変形後における硬質粒子42の脱落を防止できる。また、硬質粒子42を、弾性基体41の単位表面積あたり0.1g/cm以上0.5g/cm以下の密度に担持させているので、滑り止め効果が適切に得られると共に、弾性基体41に確実に固定することができる。また、滑り止め部材14の硬質粒子42は、粒径が1.0mm以上5.0mm以下であるので、滑り止め効果が十分に得られると共に、弾性基体41の表面部分に厚み方向に1個担持させることができる。したがって、弾性部材13が変形しても、安定して滑り効果を発揮することができる。さらに、硬質粒子42の一部を、粒径の20〜50%の高さで弾性基体41の表面から突出させているので、硬質粒子42を車両のタイヤに適切に噛み込ませて良好な滑り止め効果を発揮させることができ、しかも、タイヤから力を受けても硬質粒子42を弾性基体41に固定して脱落を防止することができる。
また、本実施形態の伸縮装置1は、工場で製造することができるので、高精度の伸縮装置1を効率的に製造することができる。また、現場で伸縮装置1を組み立てる必要が無いので、伸縮装置1の設置工事を従来よりも簡易し、工期を短縮できて、施工費用の削減を行うことができる。
上記伸縮装置1の滑り止め効果を確認するため、滑り止め部材14の表面の滑り抵抗値(BPN)を測定した。滑り抵抗値は、ASTM E−303に準拠し、英国式ポータブルスキッドレジスタンステスター(滑り抵抗性試験機)を用いて湿潤状態で測定した。その結果、滑り止め部材14は、湿潤状態の滑り抵抗値が62BPNであり、優れた滑り止め効果を有することが確認された。
上記実施形態において、弾性基体41を弾性部材13と同じ硬さに設定したが、弾性基体41の硬さを弾性部材13の硬さよりも大きく設定することにより、滑り止め部材14の硬質部材42の脱落をさらに防止することができる。
弾性部材13及び弾性基体41のゴム材料としてクロロプレンを用いる場合、弾性基体41の材料に配合する配合剤や配合量を弾性部材13と異ならせて、弾性基体41の硬度を弾性部材の硬度よりも大きくする。例えば、弾性基体41の材料に配合する加硫剤、加硫促進剤又は補強剤の量を弾性部材13よりも大きくする。これにより、弾性部材13の硬度を45度以上55度以下とする一方、弾性基体41の硬度を50度以上80度以下とする。好ましくは、弾性基体41の硬度を弾性部材13の硬度を1.1倍以上2.0倍以下とする。
このように、弾性部材13よりも硬度が大きい弾性基体41で滑り止め部材14を形成することにより、滑り止め部材14の硬質粒子42の脱落を少なくできる。詳しくは、床版21,31間に相対変位が生じると弾性部材13が変形して変位を吸収するが、弾性部材13の上側面に固定された弾性基体41は弾性部材13よりも硬度が大きいので、弾性基体41の変形量が弾性部材13の変形量よりも小さくなる。換言すれば、弾性部材13の硬さが比較的小さくて柔軟性が高いので、弾性部材13の弾性基体41の固定位置の近傍部分が、弾性基体41に拘束されて、弾性部材13の他の部分よりも変形量が小さくなる。その結果、弾性基体41の変形量が小さくなり、弾性基体41と硬質粒子42との接着部分に作用する応力が小さくなるので、硬質粒子42の脱落を効果的に防止することができる。
上記弾性部材13及び弾性基体41は、いずれもクロロプレンをゴム材料とし、配合剤の量を調整することで弾性基体41の硬度を弾性部材13の硬度よりも大きくしたが、上記弾性部材13及び弾性基体41は互いに異なるゴム材料を用いてもよい。
また、上記実施形態では、伸縮装置1を各床版21,31間の縦目地に配置したが、伸縮装置1は、各床版21,31の延長方向に所定間隔をおいて形成される横目地に配置してもよい。
また、固定部材11は、曲げ加工された鋼板で形成したが、炭素繊維製の板や、強化樹脂製の板で形成してもよい。また、上記固定部材11は、上端鉛直部11aと、傾斜部11bと、下端鉛直部11cとを有したが、固定部材11をL字状断面に形成してもよい。
また、弾性部材13の下側面の形状は、逆切妻屋根状に限定されず、円弧状断面や多角形断面であってもよい。要は、弾性部材13の中央部の厚みを、両端部の厚みよりも大きく形成すればよい。
また、本明細書において、加硫とは、硫黄に限られず、例えば金属酸化物や塩基性物質により、ゴム材料の架橋を行うことを広くいう。
また、上記実施形態の伸縮装置1は、鋼製やコンクリート製等の種々の道路橋に設置することができる。
実施形態の伸縮装置が設置された目地構造を示す断面図である。 伸縮装置の主要部を示す断面図である。 伸縮装置を示す平面図である。 滑り止め部材を拡大して示した断面図である。 伸縮装置の製造方法を示す工程図である。 従来の伸縮装置を示す図である。 従来の他の伸縮装置を示す図である。
符号の説明
1 伸縮装置
2,3 道路橋
11 固定部材
11a 固定部材の上端鉛直部
11b 固定部材の傾斜部
11c 固定部材の下端鉛直部
13 弾性部材
13a 弾性部材の中央部
13b 弾性部材の端部
15 排水溝
15a 深い縦溝
15b 浅い縦溝
15c 横溝
16 アンカー鉄筋
17 アンカープレート
21,31 床版

Claims (8)

  1. 隙間をおいて対向する一対の床版の端部に夫々固定される一対の固定部材と、
    両端部が上記一対の固定部材に夫々固定され、中央部の厚みが両端部の厚みよりも大きく形成されていると共に、上側面が平坦に形成され、上記一対の床版の相対変位に伴って変形する弾性部材と、
    単層で形成された弾性基体と、この弾性基体の表面部分に、一部が弾性基体の表面から露出すると共に他の部分が弾性基体内に埋没して担持された複数の硬質粒子とを有し、上記弾性部材の上側面に、少なくとも幅方向に、互いの間に上記弾性部材の上側面よりも深く形成された溝が介在するように離隔をおいて固定された複数の滑り止め部材と
    を備えることを特徴とする伸縮装置。
  2. 請求項1に記載の伸縮装置において、
    上記滑り止め部材の弾性基体の硬度は、上記弾性部材の硬度よりも大きいことを特徴とする伸縮装置。
  3. 請求項2に記載の伸縮装置において、
    上記滑り止め部材の弾性基体の硬度は、上記弾性部材の硬度の1.1倍以上2.0倍以下であることを特徴とする伸縮装置。
  4. 請求項1に記載の伸縮装置において、
    上記滑り止め部材の少なくとも一つは平面視において四角形状に形成され、上記弾性部材の上側面にタイル状に配置されていることを特徴とする伸縮装置。
  5. 請求項1に記載の伸縮装置において、
    上記滑り止め部材の硬質粒子は、上記弾性基体の厚み方向に単層、かつ、上記弾性基体の平面方向に0.1g/cm以上0.5g/cm以下の密度で担持されていることを特徴とする伸縮装置。
  6. 請求項5に記載の伸縮装置において、
    上記滑り止め部材の硬質粒子の粒径は、1.0mm以上5.0mm以下であることを特徴とする伸縮装置。
  7. 接着剤が表面に塗布された硬質粒子を、弾性基体材料の表面に散布する工程と、
    上記硬質粒子を加圧して、この硬質粒子を上記弾性基体材料の表面部分に実質的に全て埋没させる工程と、
    上記硬質粒子が埋没された複数の弾性基体材料を、表面が金型の底面に接するように金型内に互いに離隔をおいて配置する工程と、
    上記弾性基体材料の裏面に表面が接するように、弾性部材材料を金型内に配置する工程と、
    上記金型を介して上記弾性基体材料及び弾性部材材料を加圧及び加熱することにより、上記硬質粒子と弾性基体材料とを加硫接着し、かつ、上記弾性基体材料及び弾性部材材料を夫々加硫すると共に互いに加硫接着して、上記硬質粒子が埋没された弾性基体と弾性部材との一体構造を形成する工程と、
    上記一体構造を金型から取り出す工程と、
    上記一体構造の弾性基体の表層を除去することにより、上記硬質粒子の一部を弾性基体の表面から露出させる露出工程と
    を備えることを特徴とする伸縮装置の製造方法。
  8. 請求項7に記載の伸縮装置の製造方法において、
    上記露出工程は、上記弾性基体の表層をワイヤブラシで除去して行うことを特徴とする伸縮装置の製造方法。
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