JPH084265A - コンクリートあるいはモルタル下地表面の滑止め舗装施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 全工程数、特に養生工程数の削減により施工
能率の向上を図りつつ、交通の衝撃を吸収緩和すること
により、繰り返し衝撃によるコンクリート下地表層と共
に滑止め舗装体が剥離することなく、滑止め骨材の劣化
を抑制して、滑止め舗装体としての耐久性の増進を図る
ことができるようにする。 【構成】 コンクリート下地１の表面１ａに施工したプ
ライマー２の上に、硬化性樹脂３ａと骨材３ｂとからな
る混合物３を流し込んで、骨材３ｂを沈降させるととも
に樹脂３ａを表層に浮き上がらせ、この混合物３の樹脂
３ａが硬化する前に均一に散布した滑止め骨材４をその
浮き上がった樹脂３ａに接着させ、次いで、樹脂３ａの
養生硬化後に、必要に応じて艶消しなどの補強樹脂５を
施工し養生硬化させるといった工程によって滑止め舗装
材を施工する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば建築物のコンク
リートやモルタル下地の床あるいは屋上などを通路とし
て供するに際し、表面に滑止め舗装を施すコンクリート
あるいはモルタル下地（以下、「コンクリート下地と記
す」）表面の滑止め舗装施工方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コンクリート下地表面の滑止め舗装施工
方法として従来から実施されている方法に、つぎのよう
なものが知られている。図４は従来の方法により施工さ
れたコンクリート下地表面の滑止め舗装材の拡大断面構
造であり、以下、施工工程を順を追って説明する。ま
ず、施工面であるコンクリート下地２０の表面２０ａに
対する前処理を行なった上で、コンクリート下地２０の
表面２０ａの強度を確保するためおよび接着性を確保す
るために、プライマー２１を施工する（第１および第２
工程）。このプライマー２１における溶剤飛散や硬化な
どの所定の養生が終了した後にタックコート２２を所定
厚さに施工し、そのタックコート２２上に、例えばエポ
キシ樹脂などの硬化性樹脂２３ａと珪砂または珪砂と砕
石などの高強度骨材２３ｂとを重量比において１：５〜
１０に配合してなる混合物２３を敷き均し転圧する（第
３〜第５工程）。

【０００３】ついで、この混合物２３における硬化性樹
脂２３ａの養生硬化後に超微粒骨材入りのエポキシ樹脂
など後述する滑止め骨材接着用硬化性樹脂の吸い込みを
防止するための吸い込み防止樹脂２４を塗布し、この吸
い込み防止樹脂２４の養生硬化を待って、エポキシ樹脂
など滑止め骨材接着用硬化性樹脂２５を塗布する（第６
工程〜第９工程）。そして、この硬化性樹脂２５が硬化
する前にその表面にエメリー、コランダムなどの割れお
よび摩耗の少ない適宜粒径の滑止め骨材２６を散布し
て、これら滑止め骨材２６の下半部分を硬化性樹脂２５
に埋め込ませて接着させる（第１０工程）。次に、上記
硬化性樹脂２５の養生硬化を待って、余剰の滑止め骨材
２６を除去した上で、必要に応じてエポキシ樹脂などの
艶消しや色付き補強樹脂２７を施工し養生硬化させる
（第１１工程〜第１４工程）、といったように、第１工
程〜第１４工程を経て全体の施工厚さが３〜５ｍｍの所
定のコンクリート下地表面の滑止め舗装体を完成する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
コンクリート下地表面の滑止め舗装施工方法において
は、施工作業の待ち時間の大きい養生工程が多い上に、
全工程数も多いために、施工能率が非常に悪く、工程の
削減による施工時間の短縮化が強く望まれている。

【０００５】そこで、上記のような工程数の多い従来の
コンクリート下地表面の滑止め舗装施工方法に代わる施
工方法として、次のような簡略施工方法も提案されるに
至っている。図５はその簡略施工方法により施工された
コンクリート下地表面の滑止め舗装材の拡大断面構造で
あり、以下、施工工程を順を追って説明する。まず、コ
ンクリート下地２０の施工表面２０ａに対する前処理を
行なった上で、プライマー２１を施工する（第１および
第２工程）。このプライマー２１における溶剤飛散や硬
化などの所定の養生が終了した後に、エポキシ樹脂など
滑止め骨材接着用硬化性樹脂２５を塗布する（第３工程
および第４工程）。

【０００６】次に、上記骨材接着用硬化性樹脂２５が硬
化する前にその表面にエメリー、コランダムなどの割れ
および摩耗の少ない適宜粒径の滑止め骨材２６を散布し
て、これら滑止め骨材２６を硬化性樹脂２５に接着させ
る（第５工程）。ついで、上記硬化性樹脂２５の養生硬
化を待って、余剰の滑止め骨材２６を除去した上で、必
要に応じてエポキシ樹脂などの艶消しや色付き補強樹脂
２７を施工し養生硬化させる（第６工程〜第９工程）と
いったように、第１工程〜第９工程を経て所定のコンク
リート下地表面の滑止め舗装体を完成する。

【０００７】上記した従来の簡略施工方法では、養生工
程数および全工程数ともに減少し、施工能率の向上が図
れ、軽歩行には耐え得るものの、車両等の通行に伴う重
交通衝撃を吸収緩和することができず、コンクリート下
地に伝達するため、コンクリート下地はプライマーによ
り補強しているものの、繰り返し衝撃により破壊され、
コンクリート下地表層と共に剥離を起こし、本来の滑止
め性能が劣化あるいは消失してしまうばかりでなく、滑
止め舗装体としての耐久性に問題が発生しやすいもので
あった。

【０００８】本発明は上記の実情に鑑みてなされたもの
で、工程数、特に養生工程数の削減により施工能率の向
上を図りつつ、滑止め舗装体による衝撃吸収により滑止
め舗装体の剥離を抑制して、耐久性の増進を図ることが
できるコンクリート下地表面の滑止め舗装施工方法を提
供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るコンクリート下地表面の滑止め舗装施
工方法は、コンクリート下地の表面に対して研磨、清掃
等の前処理を行なった上でプライマーを施工する工程
と、上記プライマーの所定の養生終了後に、硬化性樹脂
と骨材とを該骨材が沈降し硬化性樹脂が表層に浮き上が
るような配合比からなる混合物を流し込む工程と、その
混合物の上記硬化性樹脂が硬化する前に滑止め骨材を均
一に散布して、該滑止め骨材により上記混合物の骨材を
押し込むとともに浮き上がり硬化性樹脂で滑止め骨材を
接着させる工程と、上記混合物の硬化性樹脂の養生硬化
後に余剰の滑止め骨材を除去する工程とを備えたことを
特徴とするものである。

【００１０】上記施工方法に使用する混合物における硬
化性樹脂と骨材との配合比は、請求項２のように、重量
比において、１：１〜７に設定することが好ましい。

【００１１】また、上記施工方法において、プライマー
として、請求項３のように、湿潤面、油潤面等の下地の
状況に応じて選択されるエポキシ樹脂またはウレタン樹
脂などの専用プライマーをを施工することが好ましい場
合がある。

【００１２】さらに、上記施工方法において、請求項４
のように、上記滑止め骨材の表面に、補強樹脂を施工
し、これを養生硬化させる工程を付加してもよい。補強
樹脂を施工、養生硬化することにより散布骨材の接着を
補強したり、埃などの付着も抑制する効果がある。

【００１３】

【作用】本発明によれば、プライマーの上に流し込んだ
混合物における硬化性樹脂の浮き上がりを利用して、そ
の浮き上がり樹脂で滑止め骨材を接着させるようにした
ので、従来の施工方法で必要としていたタックコート、
吸い込み防止樹脂および骨材接着樹脂材料とそれらの塗
布工程を省略することが可能であるとともに、それら樹
脂に対する養生工程も不要となり、施工工程数の減少、
特に作業の待ち時間の大きい養生工程の削減によって施
工能率の向上が図れる。それでいて、滑止め骨材の硬化
性樹脂に対する接触面積を十分に大きく確保して、車両
等の通行に伴う重交通衝撃を吸収緩和することにより、
衝撃がコンクリート下地に伝達されず、繰り返し衝撃に
よるコンクリート下地表層と共に破壊され剥離すること
なく、かつ、コンクリート層が露出摩耗し、埃が発生し
て環境を汚染するといったような劣化がほとんど起こら
ず、したがって、長期間にわたって本来の滑止め効果を
安定よく保持させることができる。

【００１４】特に、混合物における硬化性樹脂と骨材と
の配合比を、請求項２のように、重量比において、１：
１〜７に設定すれば、硬化性樹脂の浮き上がりによる滑
止め骨材の接着を確実、強固なものにできる。また、プ
ライマーとして、湿潤面、油潤面等の下地の状況に応じ
て選択されるエポキシ樹脂またはウレタン樹脂などの専
用プライマーをを施工する場合は、屋外での使用や厨房
の床あるいは機械工場の床などとして使用する場合に有
効である。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面にもとづいて
説明する。図１〜図３は本発明の一実施例によるコンク
リート下地表面の滑止め舗装施工方法を工程順に示す要
部の拡大断面構造であり、図３は施工されたコンクリー
ト下地表面の滑止め舗装材の拡大断面構造となる。

【００１６】まず、図１に示すように、コンクリート下
地１の施工表面１ａに対する前処理を行なった上で、コ
ンクリート下地１の表面１ａの強度を確保するためおよ
び接着性を確保するためにプライマー２を施工する（第
１および第２工程）。なお、プライマー２としては、屋
外通路や厨房の床とする場合、湿潤面、油潤面等の下地
の状況に応じて選択されるエポキシ樹脂またはウレタン
樹脂などの専用プライマーを施工することが望ましい。

【００１７】次に、図２に示すように、上記プライマー
２における溶剤飛散や硬化などの所定の養生が終了した
後に、硬化性樹脂３ａと骨材３ｂを配合してなる混合物
３を上記プライマー２上に３〜５ｍｍの厚さに流し込
む。この混合物３における硬化性樹脂３ａとしては、エ
ポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ビニルエステル樹脂の中から選択されたものが
使用され、かつ、骨材３ｂとしては、珪砂または珪砂と
砕石（７号砕石：２．５〜５ｍｍ）などの高強度骨材が
使用される。また、両者３ａ，３ｂの配合比は、重量比
において１：１〜７の範囲で、流し込んだとき、骨材３
ｂが下方へ沈降し硬化性樹脂３ａが表層に浮き上がるよ
うに設定されている。そして、この混合物３の硬化性樹
脂３ａが硬化する前に、エメリーやコランダム等の割
れ、摩耗の少ない適宜粒径、このましくは、０．５〜
５．０ｍｍの滑止め骨材４を均一に散布する（第３工程
〜第５工程）。このようにして、均一散布された滑止め
骨材４により上記混合物３の骨材３ｂが樹脂３ａ内に押
し込まれるとともに、浮き上がり樹脂３ａに滑止め骨材
４が強固に接着されることになる。

【００１８】ついで、上記混合物３の硬化性樹脂３ａの
養生硬化後に余剰の滑止め骨材４を、たとえば箒で掃き
つつ掃除機で吸い取るといった手段により除去した上、
上記滑止め骨材４の上面全域に、図３に示すように、補
強樹脂５を施工し、かつ、これを養生硬化させる（第６
工程〜第９工程）。ここで、補強樹脂５としては、上記
混合物３における硬化性樹脂３ａと同様に、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂の中から選択されたものが使用さ
れ、中でも、屋外通路の場合は路面からの照返し防止の
ためにミクロン単位の超微粒骨材やアスファルトなどの
艶消し剤を混入してなる艶消し補強樹脂が好ましい。屋
内の通路は装飾のために着色剤を混入してなる色付き補
強樹脂であっても、単に滑止め骨材４の飛散防止のため
の透明な補強樹脂であってもよく、また、補強樹脂５は
施工しなくてもよい。

【００１９】なお、上記実施例では、主として、建築物
の内部における通路を構成するように現場で打設形成さ
れたコンクリート下地表面の滑止め舗装を現場において
施工する場合について説明したが、工場生産されたコン
クリート製通路ユニットを現場に搬入して列状に設置す
ることによって所定の通路を形成する場合の各コンクリ
ート製通路ユニットの表面を工場生産の段階で、上述の
ように、滑止め舗装する場合にも適用できるのはもちろ
んである。

【００２０】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、プライ
マーの上に、硬化性樹脂と骨材からなり、流し込みにと
もなって骨材が沈降し樹脂が表層に浮き上がるような配
合の混合物を流し込むようにしたので、この混合物にお
ける硬化性樹脂の浮き上がりを利用して、その浮き上が
り樹脂で滑止め骨材を接着させることが可能となる。こ
れによって、従来の施工方法で必要としていたタックコ
ート、吸い込み防止樹脂材料および骨材接着樹脂材料の
使用およびそれらの塗布工程を省略することができると
ともに、それら樹脂に対する養生工程も不要とすること
ができる。したがって、施工工程数の減少、特に作業の
待ち時間の大きい養生工程の削減を図れ、施工能率を大
幅に向上することができる。それでいて、滑止め骨材の
硬化性樹脂に対する接触面積を十分に大きく確保して、
車両等の通行に伴う重交通衝撃を吸収緩和することによ
り衝撃がコンクリート下地に伝達せず、繰り返し衝撃に
よるコンクリート下地表層と共に破壊され剥離すること
なく、かつ、コンクリート層が露出摩耗して埃が発生し
環境を汚染するといった劣化がほとんど起こらず、した
がって、長期間にわたって本来の滑止め効果を安定よく
保持させ、滑止め舗装体としての耐久性を著しく増進す
ることができるという効果を奏する。

【００２１】特に、混合物における硬化性樹脂と骨材と
の配合比を、請求項２のように、重量比において、１：
１〜７に設定すれば、硬化性樹脂の浮き上がりによる滑
止め骨材の接着を確実、強固なものにできる。また、プ
ライマーとして、湿潤面、油潤面等の下地の状況に応じ
て選択されるエポキシ樹脂またはウレタン樹脂などの専
用プライマーを施工する場合は、屋外での使用や厨房あ
るいは機械工場の床などとして使用する場合に有効であ
り、さらに、請求項４のように、上記滑止め骨材の表面
に補強樹脂を施工し、これを養生硬化させる工程を付加
する場合は、屋外通路としての使用時における艶消し剤
の混入による照り返し防止、屋内外通路としての使用時
における着色剤の混入による装飾性の付与などといった
ように、適用場所に応じて種々の付加機能を持たせるこ
とができるとともに、滑止め骨材の飛散防止にも有効で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるコンクリート下地表面
の滑止め舗装施工方法の第１および第２工程の完了した
状態を示す要部の拡大断面構造図である。

【図２】同上実施例の第３〜第５工程の完了した状態を
示す要部の拡大断面構造図である。

【図３】同上実施例の第６〜第９工程の完了した状態、
つまり施工完了したコンクリート下地表面の滑止め舗装
材の要部の拡大断面構造図である。

【図４】従来のコンクリート下地表面の滑止め舗装施工
方法により施工されたコンクリート下地表面の滑止め舗
装材の要部の拡大断面構造である。

【図５】従来の簡略施工方法により施工されたコンクリ
ート下地表面の滑止め舗装材の要部の拡大断面構造であ
る。

【符号の説明】

１ コンクリート下地 １ａ コンクリート下地の表面 ２ プライマー ３ 混合物 ３ａ 硬化性樹脂 ３ｂ 骨材 ４ 滑止め骨材 ５ 補強樹脂

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリートあるいはモルタル下地の表
   面に対して研磨、清掃等の前処理を行なった上でプライ
   マーを施工する工程と、上記プライマーの所定の養生終
   了後に、硬化性樹脂と骨材とを該骨材が沈降し硬化性樹
   脂が表層に浮き上がるような配合比からなる混合物を流
   し込む工程と、その混合物の上記硬化性樹脂が硬化する
   前に滑止め骨材を均一に散布して、該滑止め骨材により
   上記混合物の骨材を押し込むとともに浮き上がり硬化性
   樹脂で滑止め骨材を接着させる工程と、上記混合物の硬
   化性樹脂の養生硬化後に余剰の滑止め骨材を除去する工
   程とを備えたことを特徴とするコンクリートあるいはモ
   ルタル下地表面の滑止め舗装施工方法。
2. 【請求項２】 上記混合物における硬化性樹脂と骨材と
   の配合比が、重量比において、１：１〜７に設定され、
   かつ、滑止め骨材の粒径が、０．５〜５．０ｍｍに設定
   されている請求項１のコンクリートあるいはモルタル下
   地表面の滑止め舗装施工方法。
3. 【請求項３】 上記プライマーは、湿潤面、油潤面等の
   下地の状況に応じて選択されるエポキシ樹脂またはウレ
   タン樹脂プライマーである請求項１のコンクリートある
   いはモルタル下地表面の滑止め舗装施工方法。
4. 【請求項４】 上記滑止め骨材の表面に、補強樹脂を施
   工し、これを養生硬化させる工程が付加されてなる請求
   項１のコンクリートあるいはモルタル下地表面の滑止め
   舗装施工方法。