JP3650043B2 - 電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法 - Google Patents
電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッドカーや電気自動車等の電動車両を走行させるモーターを駆動する電源装置の漏電を正確に検出する漏電検出装置と漏電検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動車両を走行させる電源装置は、出力を大きくするために電圧を高くする必要がある。出力が電圧と電流の積に比例するからである。たとえば、ハイブリッドカーや電気自動車を走行させる電源装置の出力電圧は200V以上と極めて高い。高電圧の電源装置は、漏電による弊害が大きいので、安全性を考慮してアースには接続されない。アースに接続されない電源装置は、漏電を防止するために、漏電抵抗を検出する必要がある。漏電抵抗は、電源装置とアースとの間の抵抗である。図1は、電源装置の漏電抵抗を検出する検出回路を示す。この図に示すように、漏電抵抗Rrは、検出回路13の接地抵抗RINで電源装置4をアースに接続して検出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
検出回路13の接地抵抗RINは、感電の危険をなくするためにできるかぎり大きな抵抗値とする必要がある。しかしながら、接地抵抗RINを大きくすることは、小さい抵抗値の漏電抵抗Rrを正確に検出するのを難しくする。たとえば、1MΩの接地抵抗RINで、5kΩの漏電抵抗Rrを検出する回路は、接地抵抗RINと電圧測定の誤差を0.5%よりも高い精度とする必要がある。さらに、5kΩの漏電抵抗Rrを測定誤差が10%以内となるように検出するためには、接地抵抗RINの抵抗値と電圧測定の誤差を0.05%よりも小さくする必要がある。測定誤差を0.05%よりも高くする検出回路は、部品コストを飛躍的に高騰させる。漏電抵抗を正確に検出するために、接地抵抗を小さくすると、感電の危険性が高くなる。感電の危険性を低くすることと漏電抵抗を正確に検出することは互いに相反する特性であって、両方を満足することは極めて難しい。
【0004】
本発明は、この難しい問題を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、感電の危険性を防止しながら漏電抵抗を正確に検出できる電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動車両の漏電検出装置は、電動車両に搭載されて電動車両を走行させるモーターに電力を供給する電源装置4の漏電を検出する。漏電検出装置は、電源装置4の漏電の有無を検出する第1漏電検出回路1と、漏電が検出された状態で、電源装置4の漏電抵抗Rrを検出する第2漏電検出回路2と、第1漏電検出回路1が電源装置4の漏電を検出すると、第2漏電検出回路2が漏電抵抗Rrを検出する状態に切り換える制御回路3とを備える。第1漏電検出回路1が電源装置4の漏電の有無を検出し、漏電が検出されると制御回路3が第2漏電検出回路2を漏電抵抗Rrを検出する状態に切り換え、第2漏電検出回路2が電源装置4の漏電抵抗Rrの大きさを検出する。
【0006】
第1漏電検出回路1は、一対の差動アンプ6を設けて、一対の差動アンプ6の出力電圧で漏電を検出することができる。一対の差動アンプ6は、片方の入力端子を電源装置4と並列に接続している直列抵抗7の中点に接続し、他方の入力端子をアースと電源装置4の両端に接続している分圧抵抗8の中間接続点8aに接続して、出力電圧の差から漏電を検出する。
【0007】
さらに、第1漏電検出回路1は、ひとつの差動アンプ6で漏電を検出することができる。この第1漏電検出回路1は、差動アンプ6の一方の入力端子を電源装置4と並列に接続している直列抵抗7の中点に接続し、他方の入力端子をアースに接続して、出力電圧の差から漏電を検出する。
【0008】
第2漏電検出回路2は、制御回路3にオンオフ制御される切換スイッチ9を設けて、この切換スイッチ9をオンに制御して電源装置4の漏電抵抗Rrを検出することができる。この第2漏電検出回路2は、好ましくは、切換スイッチ9と直列に接続している基準電源10と、漏電検出抵抗Rsと、この漏電検出抵抗Rsの両端の電圧を検出する電圧検出回路11とを備える。基準電源には、電源装置4の電池12の一部を併用することができる。
【0009】
さらに、第2漏電検出回路2は、電源装置4の+側出力端子に接続される+側第2漏電検出回路2Aと、−側出力端子に接続される−側第2漏電検出回路2Bとで構成することができる。この漏電検出装置は、好ましくは、第1漏電検出回路1で、電源装置4の+側と−側のどちら側で漏電が発生しているかを検出した後、漏電が発生している側の第2漏電検出回路2に切り換えて漏電抵抗Rrの大きさを検出する。
【0010】
電動車両の漏電検出方法は、電動車両に搭載されて電動車両を走行させるモーターに電力を供給する電源装置4の漏電を検出する。この漏電検出方法は、電源装置4の漏電の有無を第1漏電検出回路1で検出する漏電検出工程と、漏電が検出されると、電源装置4の漏電抵抗Rrの大きさを第2漏電検出回路2で検出する漏電抵抗検出工程とからなる。漏電検出工程において、第1漏電検出回路1で電源装置4の漏電の有無を検出し、漏電が検出されると判定されると、漏電抵抗検出工程において第2漏電検出回路2が漏電抵抗Rrの大きさを検出する。
【0011】
漏電検出工程において、第1漏電検出回路1は、電源装置4と並列に接続している直列抵抗7の中点と、アースと電源装置4の両端に接続している分圧抵抗8の中間接続点8aとの電圧差を比較して電源装置4の漏電を判定することができる。さらに、第1漏電検出回路1は、電源装置4と並列に接続している直列抵抗7の中点とアースとの電圧を検出して電源装置4の漏電を判定することができる。
【0012】
漏電抵抗検出工程において、切換スイッチ9が電源装置4を第2漏電検出回路2に接続し、第2漏電検出回路2で漏電抵抗Rrを検出することができる。さらに、漏電検出方法は、漏電検出工程において、第1漏電検出回路1で、電源装置4の+側と−側のどちら側で漏電が発生しているかを検出し、漏電抵抗検出工程において、漏電が発生している側の漏電抵抗Rrの大きさを第2漏電検出回路2で検出することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法を例示するものであって、本発明は漏電検出装置と方法を以下に特定しない。
【0014】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0015】
図2は、電動車両に搭載されて電動車両を走行させるモーターに電力を供給する電源装置4の漏電を検出する漏電検出装置を示す。この漏電検出装置は、電源装置4の漏電の有無を検出する第1漏電検出回路1と、漏電が検出された状態で、電源装置4の漏電抵抗Rrを検出する第2漏電検出回路2と、第1漏電検出回路1が電源装置4の漏電を検出すると、第2漏電検出回路2が漏電抵抗Rrを検出する状態に切り換える制御回路3とを備える。第1漏電検出回路1が電源装置4の漏電の有無を検出し、漏電が検出されると制御回路3が第2漏電検出回路2を漏電抵抗Rrを検出する状態に切り換え、第2漏電検出回路2が電源装置4の漏電抵抗Rrの大きさを検出する。
【0016】
第1漏電検出回路1は、入力スイッチ5と一対の差動アンプ6を備える。入力スイッチ5は、制御回路3でオンオフに制御される。入力スイッチ5は、電源装置4の漏電を検出するときに限ってオンに切り換えられる。一対の差動アンプ6は、片方の入力端子を直列抵抗7の中点に接続している。図の第1漏電検出回路1は、上側差動アンプ6Aの−側入力端子と、下側差動アンプ6Bの+側入力端子を直列抵抗7の中点に接続している。直列抵抗7は、互いに直列に接続している同じ抵抗値である2個の抵抗からなる。この直列抵抗7は、両端を電源装置4に接続して電源装置4と並列に接続される。
【0017】
差動アンプ6は、他方の入力端子を分圧抵抗8の中間接続点8aに接続している。分圧抵抗8は、トータルの抵抗値を同じとする2組を互いに直列に接続している。各組の分圧抵抗8は、抵抗値の比率を同じとする2個の抵抗を直列に接続している。図において上下の分圧抵抗8は、一方をアースに接続しているアース側抵抗R1と、一方を電源装置4に接続している電源側抵抗R2の抵抗値の比率R1/R2を同じにしている。したがって、電源装置4が漏電していない状態では、各々のアース側抵抗R1に発生する電圧が同じ電圧となって上下の差動アンプ6に入力される。2組の分圧抵抗8は互いに直列に接続されて、電源装置4と並列に接続される。2組の分圧抵抗8を互いに直列に接続している接続点はアースに接続され、各組の分圧抵抗8の両端は電源装置4の+−の出力端子に接続される。各組の分圧抵抗8は、アース側抵抗R1と電源側抵抗R2を接続している中間接続点8aを差動アンプ6の片方の入力端子に接続している。図において上側差動アンプ6Aは分圧抵抗8の中間接続点8aを+側入力端子に、下側差動アンプ6Bは分圧抵抗8の中間接続点8aを−側入力端子に接続している。
【0018】
分圧抵抗8のトータルの抵抗値と、直列抵抗7は、たとえば1〜10MΩと大きな抵抗値とする。直列抵抗7と分圧抵抗8をこのように大きな抵抗値とする漏電検出装置は、感電の危険性を少なくできる。
【0019】
第1漏電検出回路1は、以下の動作をして電源装置4の漏電を検出する。以下の動作説明において、直列抵抗7は各々2MΩ、アース側抵抗R1は1MΩ、電源側抵抗R2は9MΩ、電源装置4の出力電圧を200V、−側出力端子を0Vとする。
電源装置4に漏電がないとき、各点の電圧は以下のようになる。
(1) 直列抵抗7の中点の電圧
この点の電圧は、ふたつの直列抵抗7で電源装置4の出力電圧の200Vを分圧して100Vとなる。
(2) 分圧抵抗8の中間接続点電圧
この点の電圧も、ふたつの分圧抵抗8で電源装置4の出力電圧の200Vを分圧して100Vとなる。
(3) アース側抵抗R1の両端の電圧
各組の分圧抵抗8の両端の電圧が100Vとなり、この電圧がアース側抵抗R1と電源側抵抗R2の抵抗値の比率で分割される。アース側抵抗R1と電源側抵抗R2の抵抗値は1:9であるから、分圧抵抗8の両端の電圧である100Vは、10Vと90Vに分圧される。アース側抵抗R1の両端の電圧は10Vとなる。
【0020】
一対の差動アンプ6には10Vが入力されるので、各々の差動アンプ6の出力電圧は等しくなる。第1漏電検出回路1は、両差動アンプ6の出力電圧が等しいときに、電源装置4は漏電しないと判定する。
【0021】
電源装置4が漏電すると、電源装置4の+側または−側が漏電抵抗Rrを介してアースに接続される。仮に、電源装置4の+側が漏電すると仮定すると、電源装置4の+側に漏電抵抗Rrが接続される状態となる。漏電抵抗Rrは+側に接続している分圧抵抗8と並列に接続されて、+側の分圧抵抗8の抵抗値を小さくする。この状態になると、+側の分圧抵抗8の両端にかかる電圧が、−側の分圧抵抗8の両端の電圧よりも低くなる。2組の分圧抵抗8が電源装置4の出力電圧を分圧するからである。したがって、図において上側差動アンプ6Aの入力電圧が、下側差動アンプ6Bの入力電圧よりも小さくなり、上側差動アンプ6Aの出力電圧が下側差動アンプ6Bの出力電圧よりも低くなる。したがって、両差動アンプ6の出力電圧に差が発生する。第1漏電検出回路1は、両差動アンプ6の出力電圧が同じでないとき、電源装置4が漏電していると判別する。
【0022】
本発明は、第1漏電検出回路1を図2に示す回路に特定しない。図3は、ひとつの差動アンプ6で漏電を検出する第1漏電検出回路1を示す。この第1漏電検出回路1は、差動アンプ6の一方の入力端子を直列抵抗7の中点に接続し、他方の入力端子をアースに接続している。この第1漏電検出回路1は、差動アンプ6の出力電圧で電源装置4の漏電を検出する。それは、電源装置4が漏電するときと漏電しないときで、差動アンプ6の出力電圧が変化するからである。電源装置4が漏電しないとき、差動アンプ6の出力電圧は0Vとなる。電源装置4の−側が漏電すると差動アンプ6の出力電圧は+電圧となる。電源装置4の+側が漏電すると差動アンプ6の出力電圧は−電圧となる。
【0023】
第2漏電検出回路2は、電源装置4の+側出力端子に接続される+側第2漏電検出回路2Aと、−側出力端子に接続される−側第2漏電検出回路2Bとを備える。各々の第2漏電検出回路2は、制御回路3にオンオフ制御される切換スイッチ9と、この切換スイッチ9と直列に接続している基準電源10と、基準電源10と直列に接続している漏電検出抵抗Rsと、この漏電検出抵抗Rsの両端の電圧を検出する電圧検出回路11とを備える。第2漏電検出回路2は、切換スイッチ9をオンとする状態で、電源装置4の漏電抵抗Rrを検出する。
【0024】
漏電抵抗Rrは、以下の式で検出される。ただし、基準電源10の電圧をE、漏電検出抵抗Rs、電源検出回路の検出電圧をeとする。
Rr=Rs×[(E/e)−1]
【0025】
漏電抵抗Rrは、漏電検出抵抗Rsの抵抗値にほぼ等しい状態でより正確に検出される。漏電検出抵抗Rsは、直列抵抗7や分圧抵抗8よりも抵抗値を小さくして、低抵抗な漏電抵抗Rrを正確に検出する。低抵抗な漏電検出抵抗Rsは、切換スイッチ9をオンにするときに、一時的に電源装置4をアースに接続する。この状態において、電源装置4を危険な状態とすることはない。それは、漏電が発生した際に、漏電が発生している側の第2漏電検出回路2を電源装置4に接続することによって、漏電検出抵抗Rsがアースに接続されるからである。
【0026】
図4の第2漏電検出回路2は、電源装置4に内蔵される電池12の一部を基準電源に併用する。したがって、専用の基準電源を設ける必要がない。
【0027】
制御回路3は、入力スイッチ5と切換スイッチ9をオンオフに制御して、電源装置4の漏電を検出する。制御回路3は、通常の状態にあっては、入力スイッチ5と切換スイッチ9の両方をオフに保持する。電源装置4の漏電を検出するときにかぎって、制御回路3は最初に入力スイッチ5をオンに切り換える。このとき、切換スイッチ9はオフに保持される。制御回路3は、一定の周期で入力スイッチ5を一時的にオンに切り換える。この制御回路3はタイマーを内蔵しており、タイマーがセットアップされると入力スイッチ5を一時的にオンに切り換える。この漏電検出装置は、一定の周期で電源装置4の漏電を検出するので、走行中においても電源装置4の漏電を検出して安全に走行できる。ただ、制御回路3は、電動車両が特定の状態になったことを検出して、入力スイッチ5を一時的にオンに切り換えることもできる。たとえば、制御回路3は、イグニッションスイッチがオンに切り換えられることを検出して、入力スイッチ5をオンに切り換えて、電源装置4の漏電を検出する。この漏電検出装置は、電動車両を走行させる最初に、電源装置4の漏電を検出するので、使用する度に電源装置4の漏電を検出できる。
【0028】
図2と図3に示す第1漏電検出回路1は、電源装置4の漏電が+側で発生したか、あるいは−側で発生したかを識別できる。図2の第1漏電検出回路1は、電源装置4の+側で漏電が発生すると、上側差動アンプ6Aの出力電圧が下側差動アンプ6Bの出力電圧よりも低くなる。−側で漏電が発生すると、上側差動アンプ6Aの出力電圧が下側差動アンプ6Bの出力電圧よりも高くなる。したがって、両差動アンプ6の出力電圧から電源装置4の+側と−側の漏電を識別できる。図3の第1漏電検出回路1は、電源装置4の+側で漏電が発生すると、差動アンプ6の出力電圧が−電圧となり、−側で漏電すると差動アンプ6の出力電圧が+電圧となる。
【0029】
制御回路3は、電源装置4の漏電する側に接続している切換スイッチ9をオンに切り換えて、第2漏電検出回路2で漏電抵抗Rrを検出する。すなわち、第1漏電検出回路1で、電源装置4の+側で漏電が発生していると判定されると、+側切換スイッチ9Aをオンに切り換えて、+側第2漏電検出回路2Aで漏電抵抗Rrを検出する。このとき、−側切換スイッチ9Bは、オフの状態に保持する。また、電源装置4の−側で漏電が発生していると判定されると、−側切換スイッチ9Bをオンに切り換えて、−側第2漏電検出回路2Bで漏電抵抗を検出する。このとき、+側切換スイッチ9Aは、オフの状態に保持する。
【0030】
図5は、制御回路3が入力スイッチ5と切換スイッチ9をオンオフに制御して、電源装置4の漏電を検出するフローチャートを示す。このフローチャートは、以下のステップで漏電抵抗Rrを検出する。
[n=1のステップ]
イグニッションスイッチがオンになったかどうかを判定し、イグニッションスイッチがオンになると次にステップに進む。
[n=2のステップ]
イグニッションスイッチがオンになると、このステップで入力スイッチ5が一定の時間オンに切り換えられる。
[n=3のステップ]
このステップで第1漏電検出回路1は電源装置4の漏電の有無を検出する。
[n=4のステップ]
電源装置4が漏電していると判定されると、このステップで入力スイッチ5をオフにした後、切換スイッチ9をオンに切り換える。
[n=5〜6のステップ]
切換スイッチ9がオンに切り換えられると、第2漏電検出回路2が漏電抵抗を検出し、その後切換スイッチ9がオフに切り換えられる。
[n=7〜8のステップ]
n=3のステップで漏電していないと判定されると、入力スイッチ5をオフにした後、タイマーがセットアップするまでこのステップをループし、タイマーがセットアップすると、n=2のステップにジャンプする。
【0031】
【発明の効果】
本発明の電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法は、感電の危険性を防止しながら漏電抵抗を正確に検出できる特長がある。それは、本発明の電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法が、第1漏電検出回路で電源装置の漏電の有無を検出すると共に、漏電が検出されると、第2漏電検出回路で電源装置の漏電抵抗を検出しているからである。本発明の電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法は、第1漏電検出回路で電源装置の漏電が検出されたとき、すなわち電源装置が漏電しているときにかぎって、第2漏電検出回路で漏電抵抗を検出する。このため、漏電抵抗を検出する検出抵抗の抵抗値を小さくしてアースに接続しても電源装置を危険な状態とすることなく、感電の危険を少なくできる。このことは、検出抵抗を大きな抵抗値とすることなく、小さな抵抗値の検出抵抗を使用して、小さな抵抗値の漏電抵抗を検出することを実現できる。したがって、本発明の電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法は、感電の危険性を低くしながら、低抵抗な漏電抵抗を正確に検出できる。
【0032】
さらに、本発明の電動車両の漏電検出装置と漏電検出方法は、電圧測定の精度を高めることなく、簡単な回路構成で漏電抵抗を正確に検出できるので、部品コストを飛躍的に高騰させることなく、製造コストを低減できる特長もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電源装置の漏電抵抗を検出する検出回路を示す回路図
【図2】本発明の実施例の漏電検出装置の回路図
【図3】第1漏電検出回路の他の一例を示す回路図
【図4】本発明の他の実施例の漏電検出装置の回路図
【図5】本発明の実施例の漏電検出装置で電源装置の漏電を検出するフローチャート
【符号の説明】
1…第1漏電検出回路
2…第2漏電検出回路 2A…+側第2漏電検出回路
2B…−側第2漏電検出回路
3…制御回路
4…電源装置
5…入力スイッチ
6…差動アンプ 6A…上側差動アンプ
6B…下側差動アンプ
7…直列抵抗
8…分圧抵抗 8a…中間接続点
9…切換スイッチ 9A…+側切換スイッチ
9B…−側切換スイッチ
10…基準電源
11…電圧検出回路
12…電池
13…検出回路
Rr …漏電抵抗
Rs …漏電検出抵抗
R1 …アース側抵抗
R2 …電源側抵抗
RIN…接地抵抗
Claims (13)
- 電動車両に搭載されて電動車両を走行させるモーターに電力を供給する電源装置(4)の漏電を検出する漏電検出装置において、漏電検出装置が電源装置(4)の漏電の有無を検出する第1漏電検出回路(1)と、漏電が検出された状態で、電源装置(4)の漏電抵抗(Rr)を検出する第2漏電検出回路(2)と、第1漏電検出回路(1)が電源装置(4)の漏電を検出すると、第2漏電検出回路(2)が漏電抵抗(Rr)を検出する状態に切り換える制御回路(3)とを備え、第1漏電検出回路(1)が電源装置(4)の漏電の有無を検出し、漏電が検出されると制御回路(3)が第2漏電検出回路(2)を漏電抵抗(Rr)を検出する状態に切り換え、第2漏電検出回路(2)が電源装置(4)の漏電抵抗(Rr)の大きさを検出するようにしてなることを特徴とする電動車両の漏電検出装置。
- 第1漏電検出回路(1)が一対の差動アンプ(6)を備え、一対の差動アンプ(6)は、片方の入力端子を電源装置(4)と並列に接続している直列抵抗(7)の中点に接続し、他方の入力端子をアースと電源装置(4)の両端に接続している分圧抵抗(8)の中間接続点(8a)に接続しており、一対の差動アンプ(6)の出力電圧で漏電を検出する請求項1に記載される電動車両の漏電検出装置。
- 第1漏電検出回路(1)が差動アンプ(6)を備え、この差動アンプ(6)は、一方の入力端子を電源装置(4)と並列に接続している直列抵抗(7)の中点に接続し、他方の入力端子をアースに接続している請求項1に記載される電動車両の漏電検出装置。
- 第2漏電検出回路(2)が制御回路(3)にオンオフ制御される切換スイッチ(9)を備え、この切換スイッチ(9)がオンに制御されると電源装置(4)の漏電抵抗(Rr)を検出する請求項1に記載される電動車両の漏電検出装置。
- 第2漏電検出回路(2)が、切換スイッチ(9)と直列に接続している基準電源(10)と漏電検出抵抗(Rs)と、この漏電検出抵抗(Rs)の両端の電圧を検出する電圧検出回路(11)とを備える請求項4に記載される電動車両の漏電検出装置。
- 基準電源(10)に電源装置(4)の電池(12)の一部を併用する請求項5に記載される電動車両の漏電検出装置。
- 第2漏電検出回路(2)が、電源装置(4)の+側出力端子に接続される+側第2漏電検出回路(2A)と、−側出力端子に接続される−側第2漏電検出回路(2B)とを備える請求項1に記載される電動車両の漏電検出装置。
- 第1漏電検出回路(1)が、電源装置(4)の+側と−側のどちら側で漏電が発生しているかを検出すると共に、制御回路(3)が、漏電が発生している側の第2漏電検出路(2)に切り換えて漏電抵抗(Rr)の大きさを検出する請求項7に記載される電動車両の漏電検出装置。
- 電動車両に搭載されて電動車両を走行させるモーターに電力を供給する電源装置(4)の漏電を検出する漏電検出方法において、電源装置(4)の漏電の有無を第1漏電検出回路(1)で検出する漏電検出工程と、漏電が検出されると、電源装置(4)の漏電抵抗(Rr)の大きさを第2漏電検出回路(2)で検出する漏電抵抗検出工程とからなり、漏電検出工程において第1漏電検出回路(1)で電源装置(4)の漏電の有無を検出し、漏電していると判定されると、漏電抵抗検出工程において第2漏電検出回路(2)が漏電抵抗(Rr)の大きさを検出するようにしてなることを特徴とする電動車両の漏電検出方法。
- 漏電検出工程において、第1漏電検出回路(1)が、電源装置(4)と並列に接続している直列抵抗(7)の中点と、アースと電源装置(4)の両端に接続している分圧抵抗(8)の中間接続点(8a)との電圧差を比較して電源装置(4)の漏電を判定する請求項9に記載される電動車両の漏電検出方法。
- 漏電検出工程において、第1漏電検出回路(1)が電源装置(4)と並列に接続している直列抵抗(7)の中点とアースの電圧を検出して電源装置(4)の漏電を判定する請求項9に記載される電動車両の漏電検出方法。
- 漏電抵抗検出工程において、切換スイッチ(9)が電源装置(4)を第2漏電検出回路(2)に接続し、第2漏電検出回路(2)で漏電抵抗(Rr)を検出する請求項9に記載される電動車両の漏電検出方法。
- 漏電検出工程において、第1漏電検出回路(1)が、電源装置(4)の+側と−側のどちら側で漏電が発生しているかを検出し、漏電抵抗検出工程において、第2漏電検出回路(2)が、漏電が発生している側の漏電抵抗(Rr)の大きさを検出する請求項9に記載される電動車両の漏電検出方法。
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