JP5828396B2 - 直流電源とその地絡検出方法 - Google Patents
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直流回路において、直流電源(バッテリ)と直流電源で駆動される電気機器(インバータ、アクチュエータ、電気回路等)は、接地部分以外は完全に大地と絶縁されている必要がある。しかし、この絶縁が何らかの異常により破壊されると、その破壊箇所で電気が大地に向かって流れる地絡(漏電)が発生する。
地絡は、直流電源や電気機器に損傷を与えると共に、感電や火災の原因ともなる。そのため、電気回路における地絡検出手段が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1は、直流電位検出方式であり、回路の中性点を接地して電位の不平衡を検出するものである。
特許文献2,3は、交流電圧印加方式であり、交流電圧を重畳して地絡を検出するものである。
さらに、直流電源が750Vの電圧を超える高電圧バッテリである場合、電気設備基準における高圧に区分されるため、施設の制限が低圧(750V未満)に比較して厳しくなる。そのため、直流電源の不使用時には、直流電源の各部に発生する最大電圧を750V未満に抑えることが望まれていた。
低圧側電池モジュールの負極と接地極とを低圧側抵抗を介して接続する低圧側の接地ラインと、
高圧側電池モジュールの正極と接地極とを高圧側抵抗を介して接続する高圧側の接地ラインと、
低圧側と高圧側の電池モジュールを直列接続し、その間を遮断可能な中間遮断器と、
低圧側と高圧側の接地ラインに発生する電圧降下から地絡検出を検出する地絡検出装置と、を備え、
低圧側と高圧側の前記接地ラインは、接地極以外は互いに独立しており、
前記地絡検出装置は、
低圧側抵抗に発生する低圧側の電圧降下を検出する低圧側の電圧検出器と、
高圧側抵抗に発生する高圧側の電圧降下を検出する高圧側の電圧検出器と、
低圧側と高圧側の電圧降下を比較して地絡検出を検出する検出制御装置とを有する、ことを特徴とする直流電源が提供される。
前記低圧側と高圧側の接地ラインを同一の抵抗値に設定し、
中間遮断器を接続し、
低圧側抵抗に発生する低圧側の電圧降下と高圧側抵抗に発生する高圧側の電圧降下とを同時に検出し、
低圧側と高圧側の前記電圧降下の差が予め設定した閾値以下の場合には、地絡なしと判断し、
前記差が前記閾値を超える場合には、地絡ありと判断する、ことを特徴とする直流電源の地絡検出方法が提供される。
さらに、中間遮断器を接続するだけで地絡検出装置により地絡検出を検出するので、切替手段の周期的な切替えが不要である。
従って、コストが低く、制御が容易である。
また、直流電源が750Vの電圧を超える高電圧バッテリである場合でも、低圧側と高圧側の電池モジュールの間を遮断可能な中間遮断器を備えるので、その間を遮断することで、直流電源の不使用時には、直流電源の各部に発生する最大電圧を750V未満に抑えることができる。
この図において、本発明の直流電源10は、低圧側及び高圧側の電池モジュール12A,12B、低圧側及び高圧側の接地ライン14A,14B、中間遮断器16、及び地絡検出装置18を備える。
各電池モジュール12A,12Bを構成する電池セルのセル電圧は、例えば3.3Vであり、各電池モジュール12A,12Bは例えば300個の電池セルによりそれぞれ600Vの電圧を有する。なお、本発明はこの例に限定されず、電池セルのセル電圧、その積層数は任意に設定することができる。
また11は、直流電源10のラックフレームである。ラックフレーム11は、電気抵抗の小さい金属製であり、かつ接地極Gに低抵抗で接続されている。従って、ラックフレーム11の電圧電位は0Vと見なすことができる。
高圧側接地ライン14Bは、主遮断器1Bより電池モジュール12B側に設けられ、高圧側電池モジュール12Bの正極(+)と接地極Gとを高圧側抵抗15Bを介して接続する。
また、低圧側と高圧側の母線13A,13Bは、接地ライン14A,14B以外の箇所では接地極Gに接続されていないことが好ましい。
すなわちこの例で、低圧側抵抗15Aと高圧側抵抗15Bはそれぞれ、互いに抵抗値が等しい第1抵抗R1と、互いに抵抗値が等しい第2抵抗R2とからなり、それぞれの第1抵抗R1と第2抵抗R2は直列接続されている。
この例で、地絡検出装置18は、低圧側と高圧側の電圧検出器19A,19Bと、検出制御装置20とを有する。
低圧側電圧検出器19Aは、低圧側抵抗15A(この例では第2抵抗R2)に発生する低圧側の電圧降下VLを検出する。
高圧側電圧検出器19Bは、高圧側抵抗15B(この例では第2抵抗R2)に発生する高圧側の電圧降下VHを検出する。
検出制御装置20は、低圧側と高圧側の電圧降下VL,VHを比較して地絡検出を検出する。
この図において、本発明の地絡検出方法は、S1〜S6の各ステップ(工程)からなる。
S2では、低圧側抵抗15A(第2抵抗R2)に発生する低圧側の電圧降下VLと、高圧側抵抗15B(第2抵抗R2)に発生する高圧側の電圧降下VHとを同時に検出する。
S3では、低圧側と高圧側の電圧降下VL、VHの差ΔV(=VH−VL)と予め設定した閾値Xを比較する。閾値Xは、例えば、鉛蓄電池の電圧レベル(例えば12〜24V程度)に設定するのがよい。
S6で、「地絡と発生」と、その位置(高圧側又は低圧側)を通知又は表示する。
この図において、(A)は「地絡なし」、(B)は高圧側の地絡、(C)は低圧側の地絡を示している。
この際、ラックフレーム11の電圧電位は0Vであるので、低圧側と高圧側の母線13A,13Bには、それぞれ−600V、+600Vの電圧が発生する。
この場合、低圧側と高圧側の接地ライン14A,14Bの抵抗値R(=R1+R2)は等しく設定されているので、接地ライン14A,14Bを流れる電流Iは同一である。また、低圧側抵抗15Aと高圧側抵抗15Bの抵抗値R2は等しく設定されているので、低圧側抵抗15Aに発生する低圧側の電圧降下VL(=R2×I)と高圧側抵抗15Bに発生する高圧側の電圧降下VH(=R2×I)は、等しくなる。
従って、VH≒Vlとなり、S3で「地絡なし」と判断できる。
一方、図で実線の矢印で示す順で高圧側電池モジュール12Bの正極(+)から低圧側電池モジュール12Aの負極(−)まで流れる電流IAは、b−c間を流れる電流IBよりも大きく、この電流IAは、図のd−e間も流れる。
従って、低圧側抵抗15Aと高圧側抵抗15Bの抵抗値R2は等しいが、低圧側抵抗15Aに発生する低圧側の電圧降下VL(=R2×IA)は高圧側抵抗15Bに発生する高圧側の電圧降下VH(=R2×IB)より大きくなる。
従って、VL>VHとなり、S5で、「高圧側の地絡」と判断できる。
一方、図で実線の矢印で示す順で高圧側電池モジュール12Bの正極(+)から低圧側電池モジュール12Aの負極(−)まで流れる電流IBは、d−e間を流れる電流IAよりも大きく、この電流IBは、図のb−c間も流れる。
従って、低圧側抵抗15Aと高圧側抵抗15Bの抵抗値R2は等しいが、低圧側抵抗15Aに発生する低圧側の電圧降下VL(=R2×IA)は高圧側抵抗15Bに発生する高圧側の電圧降下VH(=R2×IB)より小さくなる。
従って、VL<VHとなり、S5で、「低圧側の地絡」と判断できる。
さらに、中間遮断器16を接続するだけで地絡検出装置18により地絡検出を検出するので、切替手段の周期的な切替えが不要である。
従って、コストが低く、制御が容易である。
また、直流電源10が750Vの電圧を超える高電圧バッテリである場合でも、低圧側と高圧側の電池モジュール12A,12Bの間を遮断可能な中間遮断器16を備えるので、その間を遮断することで、直流電源の不使用時には、直流電源10の各部に発生する最大電圧を750V未満(この例で600V)に抑えることができる。
10 直流電源、11 ラックフレーム、
12A 低圧側電池モジュール、12B 高圧側電池モジュール、
13A 低圧側母線、13B 高圧側母線、
14A 低圧側接地ライン、14B 高圧側接地ライン、
15A 低圧側抵抗、15B 高圧側抵抗、
16 中間遮断器、18 地絡検出装置、
19A 低圧側電圧検出器、19B 高圧側電圧検出器、
20 検出制御装置
Claims (5)
- 複数の電池セルが直列接続された低圧側及び高圧側の電池モジュールと、
低圧側電池モジュールの負極と接地極とを低圧側抵抗を介して接続する低圧側の接地ラインと、
高圧側電池モジュールの正極と接地極とを高圧側抵抗を介して接続する高圧側の接地ラインと、
低圧側と高圧側の電池モジュールを直列接続し、その間を遮断可能な中間遮断器と、
低圧側と高圧側の接地ラインに発生する電圧降下から地絡検出を検出する地絡検出装置と、を備え、
低圧側と高圧側の前記接地ラインは、接地極以外は互いに独立しており、
前記地絡検出装置は、
低圧側抵抗に発生する低圧側の電圧降下を検出する低圧側の電圧検出器と、
高圧側抵抗に発生する高圧側の電圧降下を検出する高圧側の電圧検出器と、
低圧側と高圧側の電圧降下を比較して地絡検出を検出する検出制御装置とを有する、ことを特徴とする直流電源。 - 前記低圧側抵抗と高圧側抵抗はそれぞれ、互いに抵抗値が等しい第1抵抗と、互いに抵抗値が等しい第2抵抗とからなり、それぞれの第1抵抗と第2抵抗は直列接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の直流電源。
- 請求項1に記載の直流電源の地絡検出方法であって、
前記低圧側と高圧側の接地ラインを同一の抵抗値に設定し、
中間遮断器を接続し、
低圧側抵抗に発生する低圧側の電圧降下と高圧側抵抗に発生する高圧側の電圧降下とを同時に検出し、
低圧側と高圧側の前記電圧降下の差が予め設定した閾値以下の場合には、地絡なしと判断し、
前記差が前記閾値を超える場合には、地絡ありと判断する、ことを特徴とする直流電源の地絡検出方法。 - 低圧側の電圧降下が高圧側の電圧降下より前記閾値を超えて大きい場合には、高圧側の地絡と判断し、
高圧側の電圧降下が低圧側の電圧降下より前記閾値を超えて大きい場合には、低圧側の地絡と判断する、ことを特徴とする請求項3に記載の直流電源の地絡検出方法。 - 前記差が前記閾値を超える場合には、中間遮断器を遮断する、ことを特徴とする請求項4に記載の直流電源の地絡検出方法。
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