JP3648622B2 - 薄板材の切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、材料の切断長さに制約がなく、全体構造を簡略化することができる薄板材の切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板等の薄板材は、シヤリング装置によって切断加工される。
【0003】
従来のシヤリング装置は、直線状の下刃、上刃を組み合わせて構成されており、上刃、下刃は、油圧シリンダを介して上下に開閉可能である。そこで、このものは、上刃、下刃の間に薄板状の材料を搬入し、上刃、下刃を閉じることにより、材料を一挙に切断することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術によるときは、シヤリング装置は、油圧駆動の上刃、下刃を介して材料を切断するから、材料の切断長さが上刃、下刃の刃長によって制約されてしまう上、高価な油圧装置が必要であり、全体構造が複雑になりがちであるという問題があった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、移動ベースと、移動ベースに搭載する左右各一対の回転刃とを設けることによって、材料の切断長さに実質的な制約がなく、油圧装置を不要にして全体構造を大幅に簡略化することができる薄板材の切断装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、架台フレームに沿って往復移動する移動ベースと、前後にオフセットする上部ホルダ、下部ホルダを一体に形成し、移動ベースに着脱可能に搭載するホルダと、偏心ボス、ねじ部材によるメタル軸受を介して上部ホルダ、下部ホルダの左右両端部にそれぞれ組み付ける左右各一対の回転刃とを備えてなり、回転刃は、上下に配列する各組が外周部分の重ね代を介して互いに接触し、偏心ボスを回転させることにより重ね代を調節することをその要旨とする。
【0007】
なお、各回転刃は、消極回転することができる。
【0008】
また、ホルダには、材料の切断部分をガイドする斜めのガイド面を形成してもよい。
【0009】
さらに、ホルダには、材料の切断部分を支持する支持ローラを付設してもよい。
【0010】
【作用】
かかる発明の構成によるときは、上下に配列する各組の回転刃は、外周部分の重ね代を介して接触しているから、回転刃の間に材料を挿入して回転刃を材料に沿って移動させると、材料を上下から挟み切るようにして連続的に切断することができる。なお、各回転刃は、たとえば合金工具鋼鋼材により円板状に形成し、上下に配列する各組は、厚さ相当だけ軸方向に互いにオフセットさせ、外径より僅かに小さい距離相当だけ径方向に互いにオフセットさせることにより、外周部分の重ね代を介してそれぞれの相対向する端面を接触させることができる。また、左右の回転刃は、移動ベースの移動方向により使い分け、材料を左右両方向に切断することができる。
【0011】
なお、共通のホルダを介して移動ベースに搭載する各回転刃は、ホルダを介して一挙に着脱することができ、互いの相対位置関係を一定に保持することができる。
【0012】
また、回転刃は、切断する材料の材質、厚さ等に合わせて重ね代を適切に調節することができる。なお、回転刃は、上下に配列する各組の一方または双方を径方向に移動調節して重ね代を調節すればよい。
【0013】
消極回転する回転刃は、材料を切断しながら回転し、材料の切断端面を美麗に仕上げることができる。
【0014】
斜めのガイド面を有するホルダは、ガイド面を介して材料の切断部分をガイドし、回転刃の後方に円滑に排出することができる。また、ホルダに付設する支持ローラは、材料の切断部分を支持し、材料の切断部分が不用意に屈曲したりすることを防止する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0016】
薄板材の切断装置は、架台フレーム15と、移動ベース11と、移動ベース11に搭載する左右各一対の回転刃21、21…とを主要部材としてなる(図1、図2)。
【0017】
移動ベース11は、上部のガイドローラ11a、11a、下部のスライダ11b、11bを介し、架台フレーム15に付設する上下のガイドレール12a、12bにより横移動可能に支持されている。架台フレーム15は、左右の支持フレーム16、16の上部に架設されており、ガイドレール12a、12bは、架台フレーム15の前面に互いに平行に固定されている。ただし、図1には、一方の支持フレーム16のみが図示されている。ガイドレール12aには、ガイドローラ11a、11aが転動自在に係合する溝12a1 が上面に形成されている。また、ガイドレール12bは、突条12c1 付きの支持レール12cを介して架台フレーム15に固定されている。
【0018】
移動ベース11には、連結ピン11c、11cを介し、タイミングベルト17の両端が連結されている。タイミングベルト17は、架台フレーム15上の左右のプーリ17a、17aを介してガイドレール12a、12bの間に張られており、タイミングベルト17の下側走行部分は、架台フレーム15に付設する支持ブラケット15aにより摺動自在に支持されている。なお、タイミングベルト17の両端は、それぞれ連結ピン11cに巻き付けて折り返し、止め具17b、17bを介して固定されている。また、一方のプーリ17aは、軸17c、カップリング17dを介してモータ17eに連結されており、軸17cは、軸受17fを介して架台フレーム15に回転自在に組み付けられている。
【0019】
そこで、移動ベース11は、モータ17eを介してタイミングベルト17を正逆に回転走行させることにより、ガイドレール12a、12bに沿って左右に往復移動させることができる。なお、モータ17eは、図示しない可変速駆動装置を介し、回転数を任意に調節設定することができる。
【0020】
回転刃21、21…は、共通のホルダ31を介して移動ベース11の前面に搭載されている。なお、ホルダ31は、連結部31cを介して前後にオフセットする上部ホルダ31a、下部ホルダ31bが一体に形成されている。
【0021】
上部ホルダ31aは、厚板状に形成され、上の回転刃21、21を収納する切欠き31a1 、31a1 が前面側の左右両端部に形成されている。ただし、各切欠き31a1 の下部は、連結部31cの上面に連続する滑らかな円弧部31a2 に形成されている(図1、図3)。また、連結部31cの下面は、下に山形に突出する緩やかな斜めのガイド面31a3 、31a3 に形成されている。なお、上部ホルダ31aには、取付用のボルト孔31a4 、31a4 …が各切欠き31a1 に形成されている。
【0022】
下部ホルダ31bは、連結部31cを介して上部ホルダ31aの前面側にオフセットしており、下の回転刃21、21を収納する切欠き31b1 、31b1 が後面側の左右両端部に形成されている。ただし、各切欠き31b1 の上部は、円弧部31a2 と対称形の滑らかな円弧部31b2 を介し、ガイド面31a3 の先端、連結部31cの上面に連続している。なお、下部ホルダ31bには、ガイド面31a3 、31a3 の下方に突出するようにして支持ローラ31b3 、31b3 …が横一列に付設されている。
【0023】
上部ホルダ31aの前面、下部ホルダ31bの後面は、距離dだけ後者が前者より前方に位置している(図1、図2)。また、ホルダ31は、ボルト孔31a4 、31a4 …に挿通するボルト31a5 、31a5 …を介し、下部ホルダ31bが移動ベース11より下に位置するようにして、移動ベース11の前面に固定されている。
【0024】
回転刃21、21…は、それぞれ偏心ボス22、ねじ部材23を介し、ホルダ31の切欠き31a1 、31b1 に組み付けられている(図3、図4)。ただし、上下に配列する各組の回転刃21、21は、上部ホルダ31aに対して前向きに組み付けられ、下部ホルダ31bに対して後向きに組み付けられている。すなわち、回転刃21、21…は、上下の一対を各組とし、ホルダ31の左右に各一対が配設されている。
【0025】
各偏心ボス22は、外フランジ22aを有し、軸心C1 から距離d2 だけ偏心してねじ孔22bが形成されている。上下の偏心ボス22、22は、それぞれ上部ホルダ31aの切欠き31a1 、下部ホルダ31bの切欠き31b1 に対し、前面側、後面側から回転可能に組み付けられており、セットねじ22cを介して回り止めされている。
【0026】
ねじ部材23は、偏心ボス22のねじ孔22bに適合する雄ねじを先端部に形成する軸部23aと、大径の蓋部23bとを有する。そこで、円板状の回転刃21は、ねじ部材23の軸部23aの雄ねじ部分を偏心ボス22のねじ孔22bにねじ込むことにより、ねじ部材23を介し、偏心ボス22の外フランジ22aと、ねじ部材23の蓋部23bとの間に回転自在に保持することができる。
【0027】
なお、ねじ部材23は、セットねじ23cを介し、偏心ボス22に対して回り止めされている。また、偏心ボス22、ねじ部材23は、回転刃21に対するメタル軸受を形成しており、ねじ部材23、回転刃21の共通の軸心C2 は、ねじ孔22bを介し、偏心ボス22の軸心C1 に対して距離d2 だけ偏心している。ただし、偏心ボス22は、その軸心C1 に対してねじ孔22bを偏心させるに代えて、軸心C1 上のねじ孔22bに対し、上部ホルダ31a、下部ホルダ31bに貫通させる円筒部分の外周を偏心させてもよい。
【0028】
各ねじ部材23の蓋部23bには、調節穴23b1 、23b1 が径上に対称に形成されており、各偏心ボス22の端面には、調節穴22d、22dが径上に対称に形成されている。ただし、調節穴23b1 、23b1 の間隔、調節穴22d、22dの間隔は、同一寸法に揃えられている。
【0029】
上下に配列する各組の回転刃21、21は、それぞれの端面が外周部分の重ね代δを介して接触している。なお、このときの回転刃21、21の接触部分は、上部ホルダ31a、下部ホルダ31bの前後の距離dの中間に位置しているものとする(図2)。
【0030】
回転刃21、21は、それぞれ偏心ボス22を回転させ、径方向に上下に移動させて重ね代δを調節することができる。すなわち、上部の回転刃21は、セットねじ22cを緩めてねじ部材23の調節穴23b1 、23b1 に図示しない工具を差し込み、ねじ部材23、偏心ボス22を一体に回転させることができ、下部の回転刃21は、セットねじ22cを緩めて偏心ボス22の調節穴22d、22dに工具を差し込み、偏心ボス22、ねじ部材23を一体に回転させることができる。ただし、重ね代δは、上下の回転刃21、21の少なくとも一方を上下に移動させて調節することができる。なお、重ね代δは、ホルダ31の連結部31cの上面を含むように設定するものとする(図4)。
【0031】
かかる薄板材の切断装置は、次のようにして作動する。
【0032】
支持フレーム16、16の前部の突出部16a、16a間には、材料Wを供給するために、スペーサ18a付きの支持テーブル18を架設する(図5)。また、支持フレーム16、16間には、前向きのシュート19を組み込んでおく。
【0033】
移動ベース11を介して回転刃21、21…を一方の支持フレーム16側に待機させ(図1、図5)、支持テーブル18上に薄板状の材料Wを供給し、上下の回転刃21、21の間に、回転刃21、21の接触部分より架台フレーム15側に所定長さL1 だけ材料Wを送り込む(図1の矢印K1 方向)。その後、移動ベース11を駆動し、回転刃21、21…を材料Wに向けて移動させると(同図の矢印K2 方向)、移動方向前方側の上下一対の回転刃21、21により、切断線Wa に沿って材料Wを幅L1 の切断部分W1 に直線切断することができる。
【0034】
このときの回転刃21、21は、材料Wに沿って相対移動するに従って消極回転し(図6の矢印Ka 、Kb 方向)、下の回転刃21は、切断された材料Wの先端部分を押し上げてホルダ31の連結部31cの上面に沿って進行させる(同図の一点鎖線)。また、上の回転刃21は、材料Wの切断部分W1 を押し下げて、連結部31cの下面のガイド面31a3 に沿って支持ローラ31b3 、31b3 …との間に進行させ(同図の二点鎖線)、支持ローラ31b3 、31b3 …は、切断部分W1 を下から支持することができる。なお、このようにして切断された切断部分W1 は、材料Wから切り離されると、シュート19を介して前方の容器Yに収納される(図5)。
【0035】
また、移動ベース11は、元の位置に復帰するとき、他方の上下一対の回転刃21、21を介して材料Wを切断する。すなわち、回転刃21、21…は、移動ベース11の往復移動ごとに左右の各一対を使い分けて材料Wを往復切断することができる。なお、上下の回転刃21、21の重ね代δ≒1.0mmに設定するとき、1.2mm厚の鋼板を切断速度約1.2m/sにより円滑に切断することができる。ただし、重ね代δや切断速度は、材料Wの材質、厚さ等によって最適に設定変更すればよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、架台フレームに沿って往復移動する移動ベースに回転刃を搭載することによって、上下に配列する各組の回転刃は、外周部分の重ね代を介して互いに接触し、材料に沿って移動させることにより材料を連続的に切断することができるから、材料の切断長さに実質的な制約がなく、油圧装置が全く不要であるから、全体構造を大幅に簡略化して装置コストを低減させることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成分解斜視説明図
【図2】 図1のX−X線矢視相当拡大断面図
【図3】 図2のY矢視相当図
【図4】 図3のZ−Z線矢視相当拡大断面図
【図5】 使用状態説明図
【図6】 動作説明図
【符号の説明】
W…材料
W1 …切断部分
δ…重ね代
11…移動ベース
15…架台フレーム
21…回転刃
31…ホルダ
31a3 …ガイド面
31b3 …支持ローラ
Claims (4)
- 架台フレームに沿って往復移動する移動ベースと、前後にオフセットする上部ホルダ、下部ホルダを一体に形成し、前記移動ベースに着脱可能に搭載するホルダと、偏心ボス、ねじ部材によるメタル軸受を介して前記上部ホルダ、下部ホルダの左右両端部にそれぞれ組み付ける左右各一対の回転刃とを備えてなり、該回転刃は、上下に配列する各組が外周部分の重ね代を介して互いに接触し、前記偏心ボスを回転させることにより重ね代を調節することを特徴とする薄板材の切断装置。
- 前記各回転刃は、消極回転することを特徴とする請求項1記載の薄板材の切断装置。
- 前記ホルダには、材料の切断部分をガイドする斜めのガイド面を形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の薄板材の切断装置。
- 前記ホルダには、材料の切断部分を支持する支持ローラを付設することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の薄板材の切断装置。
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JP22807299A JP3648622B2 (ja) | 1999-08-11 | 1999-08-11 | 薄板材の切断装置 |
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JP2001054814A JP2001054814A (ja) | 2001-02-27 |
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-
1999
- 1999-08-11 JP JP22807299A patent/JP3648622B2/ja not_active Expired - Fee Related
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