JP3647611B2 - 発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子 - Google Patents

発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,短い成形サイクルで成形可能であり,耐衝撃性や柔軟性に優れた発泡成形体を得るための,発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子に関する。
【0002】
【従来技術】
ポリスチレン樹脂からなる発泡成形体は,優れた緩衝性,断熱性を有し,成形も容易であるため,包装材,断熱材として多く用いられている。しかし,耐衝撃性や柔軟性が不充分であるため,欠けが発生し易く,例えば精密機器製品の包装などには適さないという問題がある。
一方,ポリプロピレン樹脂からなる発泡成形体は,柔軟性,耐衝撃性に優れた発泡成形体ではあるが,発泡成形体の成形時に大がかりな設備を必要とする。また,樹脂の性質上,発泡粒子の形態で製造メーカーから成形加工メーカーに輸送しなければならない。そのため,製造コストが上昇するという問題があった。
【0003】
近年,成形が容易で,ポリスチレン系発泡成形体よりも耐衝撃性及び柔軟性を改良したものとして,ゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体が,特開平3−182529号,特開平5−116227号,特開平7−11043号,及び特開平7−90105号等に提案されている。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかし,従来のものは,耐衝撃性及び柔軟性の改良の程度が不充分であったり,発泡成形体の製造工程,即ち発泡粒子の金型内への充填・加熱・冷却の各工程の内で冷却時間が相対的に長い。そのため,成形サイクルが長く,生産性が低い。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,発泡成形体の成形サイクルが短く,耐衝撃性,柔軟性に優れた発泡成形体を得ることができる発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,Z平均分子量が400,000以上であるスチレン系樹脂100重量部と,
1,4−シス構造の割合が70%以上のブタジエン重合体5〜20重量部と,ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性ブロック共重合体0.05〜5.0重量部と
からなり,
上記スチレン系樹脂の連続相中に上記ブタジエン重合体の分散粒子と上記熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子が粒子状に分散しているゴム変性スチレン系樹脂であって,
上記熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子は,その平均粒子径が0.01〜0.5μmであって,上記ゴム変性スチレン系樹脂中の鉱油の含有量が3.0重量%以下であり,
かつ沸点が80℃以下の揮発性発泡剤を1〜15重量%含有していることを特徴とする発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子である。
【0007】
本発明に使用されるゴム変性スチレン系樹脂のスチレン系樹脂は,ブタジエン重合体をスチレン,p−メチルスチレン,α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物に溶解させ,アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物あるいは過酸化ベンゾイル,t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物の存在下で,ラジカル重合させ,バルク重合,溶液重合,懸濁重合,バルク−懸濁重合法等を用いて得られるものである。
【0008】
上記スチレン系樹脂のスチレン系樹脂のZ平均分子量は,発泡成形体の強度が低下しないようにするため,400,000以上である。なお,上限は1,000,000である。
【0009】
本発明の発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子における,ゴム変性スチレン系樹脂中のブタジエン重合体は,1,4−シス構造の割合が70%以上,好ましくは90%以上のブタジエン重合体からなる。1,4−シス構造の割合が上記70%よりも低いブタジエン重合体を用いた場合には,発泡成形体の柔軟性や耐衝撃性が不充分になる。なお,その上限は99%とすることが好ましい。
【0010】
1,4−シス構造の割合が70%以上であるブタジエン重合体は,例えば希土類金属(原子番号21,39,57〜62)系触媒,好ましくはセリウム族(原子番号57〜62)系触媒の存在下で,ブタジエンの配位イオン重合を行うことにより得ることができる。希土類金属系触媒の基本構成は,(a)一般式MR3 (Mは希土類金属,Rは有機酸の反応残基である。)で表される希土類金属化合物,(b)有機アルミニウム化合物及び(c)ハロゲン化合物からなる。なお,上記の希土類金属化合物を構成する有機酸としては,例えばカルボン酸,アルコール,アミン等の希土類金属と置換可能な活性水素を有する有機化合物である(特開昭55−66903号及び特開昭60−23406号公報参照)。
【0011】
なお,本発明におけるシス構造の割合は,13C−NMRスペクトルの測定や赤外吸収スペクトル(Morrero法)の測定により決定することができる。
【0012】
上記ブタジエン重合体の含有量は,スチレン系樹脂100重量部に対して5〜20重量部である。5重量部未満の場合には,充分な柔軟性や耐衝撃性を有する発泡成形体が得られない。一方,20重量部を超える場合には使用割合に見合う強度向上が得られない上に,発泡成形体の表面が溶融する等の成形性が著しく悪化する。 なお,好ましくは8〜13重量部,更に好ましくは9〜12重量部である。
【0013】
ブタジエン重合体の分散粒子の平均粒子径は,スチレン重合用の重合槽の攪拌装置の形状,攪拌回転数,攪拌時間,重合温度等の要因により調整できる。
即ち,重合時にブタジエン重合体に対し剪断応力のかかる様な条件,例えば攪拌回転数を変えることによって,上記の範囲に調整することができる。
なお,ブタジエン重合体の分散粒子の平均粒子径は,透過型電子顕微鏡写真において,ブタジエン重合体粒子50〜100個の粒子径を測定し,次式により計算した値である。
平均粒子径=ΣNiD2 /ΣNiD
(ここに,Niはブタジエン粒子の個数,Dはブタジエン粒子の粒子径である。)
【0014】
次に,上記熱可塑性ブロック共重合体の含有量は,スチレン系樹脂100重量部に対して0.05〜5.0重量部である。0.05重量部未満では成形サイクルの短縮効果が不充分であり,5.0重量部を超えると発泡粒子を用いて発泡成形体を製造する際,成形品表面が溶融する等の成形性が著しく悪化する。
なお,好ましくは,0.3〜1.0重量部である。
【0015】
また,熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子の平均粒子径は,透過型電子顕微鏡写真において,熱可塑性ブロック共重合体粒子100〜200個の粒子径を測定し,次式により計算した値である。
平均粒子径=ΣNiD2 /ΣNiD
(ここに,Niは熱可塑性ブロック共重合体粒子の個数,Dは熱可塑性ブロック共重合体粒子の粒子径である。)
【0016】
また,上記熱可塑性ブロック共重合体は,スチレン,α−メチルスチレンなどのビニル芳香族炭化水素とブタジエン,イソプレンなどの共役ジエンから構成される。熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子の平均粒子径を上記の範囲とするためには,熱可塑ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の割合が,20〜60重量%とすることが好ましい。
【0017】
20重量%未満では,発泡成形体の外観が悪化する問題があり,一方60重量%を超えると,成形サイクル短縮効果が不充分となる問題がある。なお,更には30〜50重量%であることが好ましい。
【0018】
また,熱可塑性ブロック共重合体の平均粒子径を上記の範囲とするためには,熱可塑性ブロック共重合体が,直鎖状であることが好ましい。なお,上記熱可塑性ブロック共重合体は,例えば,市販のシェルジャパン社製,商品名カリフレックスTRとして入手できる。
【0019】
また,揮発性発泡剤は沸点が80℃以下のものを用いる。80℃を超えると
所望の発泡倍率まで発泡し難いという問題がある。なお,下限は−50℃である。
上記の揮発性発泡剤としては,プロパン,ノルマルブタン,イソブタン,ノルマルペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,シクロペンタン,ヘキサン,トリクロロフロロメタン,ジクロロジフロロメタン,ジクロロテトラフロロエタン,クロロメタン,クロロエタン,ジクロロメタン,メタノール,ジエチルエーテル等の,沸点が80℃以下の有機化合物を単独または2種類以上混合して用いることができる。
【0020】
上記揮発性発泡剤は,発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子中における含有量が1〜15重量%である。1重量%未満では発泡が不充分となって耐衝撃性,柔軟性にすぐれた発泡成形体を得難く,一方15重量%を超えると,発泡成形体とした時に収縮や変形が起きるおそれがある。
【0021】
次に,ゴム変性スチレン系樹脂中には,流動パラフィン,ホワイトオイル等の鉱油を,発泡成形体の柔軟性の調整の目的で添加することができる。鉱油の含有量は,ゴム変性スチレン樹脂中に3.0重量%以下とする。3.0重量%を超える場合は発泡成形体としたときに収縮や変形が起きるおそれがある。なお,更に好ましくは,2.0重量%以下である。
なお,鉱油は必ずしも添加する必要はない。
【0022】
また,ゴム変性スチレン系樹脂には,タルク,クレイ,炭酸カルシウム,酸化チタン等の無機充填剤,またステアリン酸アルミニウム,ステアリン酸亜鉛,p−t−ブチル安息香酸アルミニウム,エチレンビスステアリルアミド等の滑剤,またトリス(ジブロモプロピル)ホスフェート,ペンタブロモジフェニルエーテル,テトラブロモブタン,ジブロモエチルベンゾール,1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロデカン等の難燃剤,或いは酸化防止剤,帯電防止剤,紫外線吸収剤,カーボンブラック等が含有されていてもよい。
【0023】
次に請求項2に記載の発明のように,ブタジエン重合体の分散粒子は,その平均粒子径が1.5〜3.0μmとすることが好ましい。1.5μm未満では発泡成形体の耐衝撃強度が不充分であり,3.0μmを超える場合には安定的な気泡形成が行われ難く,発泡成形体が収縮しやすい等の問題が生じる。なお,更に好ましくは2.0〜2.8μmである。
【0024】
次に,請求項3に記載の発明のように,熱可塑性ブロック共重合体の,分散粒子はその平均粒子径が0.01〜0.1μmであることが好ましい。
平均粒子径が0.01μm未満では成形サイクルの短縮効果が不充分であり,0.5μmを超える場合には発泡成形体を製造する際,成形品表面が溶融する等の成形性が著しく悪化する。なお,更に好ましくは,0.01〜0.1μmである。
【0025】
次に,上記発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子を製造する方法としては,1,4−シス構造の割合が70%以上であるブタジエン重合体とスチレン単量体とをグラフト重合すると共にスチレン単量体を重合させてなるゴム変性スチレン樹脂と,ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性ブロック共重合体とを溶融状態で混練し,0.5〜10mg/個の大きさのゴム変性スチレン系樹脂の樹脂粒子を作製し,
次いで該樹脂粒子を密閉容器内で水性媒体に分散させた状態で,上記樹脂粒子内に揮発性発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子の製造方法がある。
【0026】
上記製造方法において,最も注目すべき点は,上記ゴム変性スチレン樹脂と熱可塑性ブロック共重合体とを溶融混練して作製した上記特定の大きさの樹脂粒子を,水性媒体中で分散させながら,該樹脂粒子中に揮発性発泡剤を含浸させることである。
上記の製造方法によれば,上記のごとき優れた発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子を容易,確実に製造することができる。
【0027】
上記ブタジエン重合体における1,4−シス構造の割合は70%以上である。その理由は上記と同様である。
また,上記ゴム変性スチレン樹脂は,上記ブタジエン重合体をスチレン単量体に溶解させてこれらを反応させることにより得られる。これにより,ブタジエン重合体とスチレン単量体とがグラフト重合し,またスチレン単量体同も重合反応し,ゴム変性スチレン系樹脂が得られる。
【0028】
次に,上記ゴム変性スチレン樹脂と上記熱可塑性ブロック共重合体とは,両者を溶融状態で混練して樹脂粒子とする。この樹脂粒子は,上記混練物を例えば押出機によって小径に押し出し,水中へ投入して急冷することにより作製する。
このとき樹脂粒子の大きさは,1個当り0.5〜10mgの重量とする。0.5mg未満では,樹脂粒子の生産性が悪化するという問題があり,一方10mgを超えると樹脂粒子内部まで発泡剤が含浸されにくいという問題がある。
また,上記大きさに切断する方法としては,ストランドカット,水中カット,ホットカット等の方法がある。
【0029】
次に,上記水性媒体中には,0.01〜2.0モル/リットルの電解質を含有していることが好ましい。
この場合には,美しく艶のある発泡成形体を成形することができる。
上記,電解質の濃度が,水性媒体中に0.01モル/リットル未満の場合には,樹脂粒子間における内部水分減少効果が充分に得られない。一方2.0モル/リットルを超えると,それに見合った内部水分減少効果が得られないばかりではなく,電解質の種類によっては懸濁安定性が著しく損なわれ塊状化しやすくなる場合がある。
【0030】
上記電解質は,水溶液中でイオン解離する物質であればよく,例えば,塩化リチウム,塩化ナトリウム,塩化マグネシウム,塩化カリウム,塩化カルシウム,塩化アンモニウム,硫酸ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸カリウム,硫酸カルシウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,硝酸マグネシウム,硝酸カリウム,硝酸カルシウム,硝酸アンモニウム,炭酸ナトリウム,炭酸マグネシウム,炭酸カリウム,炭酸カルシウム,炭酸アンモニウム等の無機塩類,あるいは酢酸カリウム,酢酸ナトリウム,オクタン酸ナトリウム,安息香酸ナトリウム,コハク酸二ナトリウム等の水に可溶なカルボン酸のアルカリ金属塩等があげられる。
【0031】
特にナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩は,少量の添加重量で内部水分の減少効果が大きく,発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子を容易に得ることができるので好ましく,また特には塩化ナトリウムや硫酸ナトリウムは上記効果が大きいうえ,工業的に安価に大量に入手できるので好ましい。
【0032】
電解質の添加時期は特に制限はなく,最初から添加しておいても,揮発性発泡剤含浸途中で添加してもよいが,通常は最初から添加する方が操作上好ましい。また,水性媒体の温度は,ゴム変性スチレン系樹脂粒子の凝結防止と揮発性発泡剤のゴム変性スチレン系樹脂への含浸性の点から60〜130℃が好ましい。
【0033】
次に,上記ゴム変性スチレン系樹脂粒子を水性媒体に分散させる懸濁剤としては,一般に市販されているものを利用しても,合成してもよく,例えばポリビニルアルコール,メチルセルロース,ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子,ピロリン酸マグネシウム,第3リン酸カルシウム等の難水溶性無機塩等を用いることができ,これらは界面活性剤を併用してもよい。なお,難水溶性無機塩を用いる場合は,ラウリルスルホン酸ナトリウム,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤を併用するのが好ましい。
【0034】
懸濁剤の使用量は,ゴム変性スチレン系樹脂粒子の全重量100重量部に対し,0.01〜5.0重量部が好ましく,上記した難水溶性無機塩とアニオン性界面活性剤との併用系では,それぞれゴム変性スチレン系樹脂粒子の全重量100重量部に対し難水溶性無機塩を0.05〜3.0重量部,アニオン性界面活性剤を0.0001〜0.5重量部とすることが好ましい。
【0035】
上記発泡性ゴム変性スチレン系樹脂を用いて発泡成形体を成形するに当たっては,例えば,まずスチーム等によりゴム変性スチレン系樹脂のガラス転移温度付近に加熱し所定の倍率まで発泡させて発泡粒とし,次いで金型内に該発泡粒を充填し,スチーム等の加熱により最終的な形状に成形する。
【0036】
【発明の実施の形態】
実施例1
表1の実施例1に示すように,スチレン樹脂とブタジエン重合体とからなるゴム変性スチレン樹脂と,熱可塑性ブロック共重合体とを混合し,30mm単軸押出機にて溶融状態で混練した後,水中カットダイにより1.4mg/個の球形の樹脂粒子を得た。
【0037】
該樹脂粒子600gを水性媒体としての脱イオン水900gと,懸濁剤としてのピロリン酸ナトリウム4.0g及び硫酸マグネシウム8.0g,界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.45g,電解質としての硫酸ナトリウム18.0gを,撹拌機付き3リットルのオートクレーブに入れた。
なお,上記懸濁剤として用いたピロリン酸ナトリウムと硫酸マグネシウムとは,両者が反応して実際の懸濁効果を発揮するピロリン酸マグネシウムと,副生物であると共に電解質として作用する硫酸ナトリウムとを生成する。
ここに,水性媒体中の電解質の濃度は,0.17モル/リットルである。
【0038】
次に,これらを,100℃まで1時間かけ昇温し,100℃に到達後,揮発性発泡剤としてのペンタン54gを添加した。そして,そのまま5時間100℃に保持した後,30℃まで冷却した。
【0039】
得られた発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子をオートクレーブより取り出し,硝酸で表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させ,水洗後,遠心分離装置にかけた。
次いで,上下に網目が0.1mmの金網を取り付けた内径10cm高さ25cmの金属製円筒形容器に発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子を入れ,毎分500リットルの流量で20℃の乾燥窒素を,円筒形容器の下部から10分間吹き込み乾燥させた。
【0040】
次に,この発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子100重量部と,ブロッキング防止剤0.1重量部及び帯電防止剤0.04重量部とを混合して,これらをコーティングした。そして,0℃で24時間熟成した。
【0041】
その後,発泡粒子とするために,30リットルバッチ式発泡機に投入し,圧力が0.1MPaのスチームを吹き込み加熱発泡させて,20kg/m3 のゴム変性スチレン系樹脂粒子の発泡粒子を得た。
こうして得られた発泡粒子を成形金型内に充填し,スチーム圧力0.07MPaで20秒間加熱し,次いで冷却後金型から取り出し,発泡成形体を得た。
【0042】
当実施例1のブタジエン重合体において,1,4−シス構造の割合,熱可塑性ブロック共重合体中のブタジエンの割合,平均粒子径中のブタジエン重合体の分散粒子の粒子径及び熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子の粒子径(表1中のブタジエン重合μm,ブロック共重合体μm),スチレン単量体の平均分子量,ゴム変性スチレン系樹脂中の鉱油含有量,発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子中の揮発性発泡剤の量,発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子中の内部水分量について表1に示した。
【0043】
上記の各分散粒子の粒子径,熱可塑性ブロック共重合体中のブタジエン含有量,ブタジエンゴムのシス割合,Z平均分子量,及び上記のようにして得られた発泡性樹脂粒子中の揮発性発泡剤の量,内部水分量,及び発泡成形体の表面外観,圧縮強度,曲げ強度,柔軟性,落球衝撃強度を下記の方法で評価した。
【0044】
(ゴム変性スチレン系樹脂中のブタジエン重合体の分散粒子,及び熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子の粒径測定)
透過型電子顕微鏡観察写真において,分散粒子100〜200個の粒子径を測定し,次式により計算した。
平均粒径=ΣNiD2 /ΣNiD
ここでNiはゴム粒子の個数,Dはゴム粒径である。
【0045】
(ブタジエン含有量及びブタジエンゴムのシス割合の決定)
ゴム変性スチレン系樹脂を重水素化クロロホルムに溶解させ10重量%の濃度に調整し,テトラメチルシランを内部標準(80.0ppm)に用いて,67.8MHzで13C−NMRスペクトルを測定しブタジエン含有量及びブタジエンゴムのシス割合を決定した。
【0046】
(スチレン系樹脂のZ平均分子量の測定)
ゴム変性スチレン系樹脂を0.25重量%のTHF溶液に調整し,不溶分をろ過により除去し,ゲルパーミエイションクロマトグラフィーを用いて測定した。
【0047】
(発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子中の揮発性発泡剤量の測定)
秤量した発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子のサンプルを120℃で4時間加熱した後再び秤量し,加熱前後による減少重量に対する加熱前のサンプル重量の割合を揮発分量とした。
【0048】
(発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子中の内部水分量)
カールフィッシャー法にて水分量を測定した。
【0049】
次に,得られた発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子から上記のごとくして製造した発泡成形体の物性,発泡成形体の成形時の冷却時間について,表2に示した。
また,その物性の評価,測定は次のように行なった。
【0050】
(表面外観)
発泡成形体の表面外観を目視により,下記基準にて評価した。
○;収縮,メルト,間隙がほとんどない。
△;収縮,メルト,間隙が見られる。
×;著しい収縮,メルト,間隙が見られる。
上記のメルトとは,発泡成形体の表面が加熱過多等により溶融してしまった状態をいう。
【0051】
(5%圧縮強度)
JIS Z 0234に準拠して,5%圧縮強度を求めた。
【0052】
(曲げ強度)
JIS K 9511に準拠して,曲げ強度を求めた。
【0053】
(50%破壊高さ)
得られた発泡成形体を縦200mm,横40mm,厚さ25mmに切断して試験片とし,重さ255gの鋼球を落下させてJIS K 7211に準拠して,50%破壊高さ(cm)を求めた。これにより,耐衝撃強度を評価した。
【0054】
(柔軟性)
得られた発泡成形体を縦200mm,横30mm,厚さ20mmに切断して試験片とし,軸径が100mmから10mmまでの円筒軸を用い,円筒軸の円周上面に試験片の中央部を当て,等速度,約5秒間で円筒軸に沿って両側から180゜折り曲げる。
軸径が100mmの円筒軸で試験を開始し,試験片が割れるまで軸径を小さくしていき,割れたときの1つ前の軸径の値を記録し,試験片10個の平均値(mm)から柔軟性を評価した。従って,値が小さいほど柔軟性に優れる。
【0055】
(冷却時間)
発泡成形体の成形機の金型に面圧計を取り付け,金型に発泡粒子を充填し,スチームにより加熱後(スチーム圧力0.07MPa,加熱時間20秒),5秒間水冷後,真空放冷開始から面圧が0.02MPa以下になるまでの時間を冷却時間とした。
【0056】
実施例2〜7及び比較例C1〜C5
それぞれ表1,表3に示すゴム変性スチレン系樹脂及び熱可塑性ブロック共重合体を用いる他は,実施例1と同様に行った。
以上の各実施例および各比較例の結果を表2,表4に示す。
【0057】
表1〜表4から次のことが分かる。
即ち,本発明の条件を満たしているすべての実施例は,落球衝撃強度(耐衝撃性),柔軟性を損なうことなく,発泡成形体製造時の冷却時間を短縮できることが分かる。
そして,ブタジエン重合体が添加されていない場合(比較例C1)や熱可塑性ブロック共重合体の添加量が少ない場合(比較例C2)は,冷却時間が長く,生産性が悪いことが分かる。
【0058】
一方,熱可塑性ブロック共重合体の添加量が多い場合(比較例C3)や,スチレン樹脂への分散性の悪い熱可塑性ブロック共重合体(熱可塑性ブロック共重合体中のブタジエン重合体の割合が高い)を添加して用いた場合(比較例C4)では,成形品外観が悪く,耐衝撃性(50%破壊高さ)に劣る発泡成形体しか得られないことが分かる。
また,鉱油含有量が4重量%のゴム変性スチレン系樹脂を用いた場合(比較例C5)では,発泡成形体とした時に著しい収縮を生じ成形性が悪いことが分かる。
【0059】
また,上記実施例1,比較例1に示した発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子の透過型電子顕微鏡写真を図1,図2に示した。
両図より,2〜3μmのブタジエン重合体のサラミ状分散粒子がスチレン系樹脂連続相中に分散していることが分かる。更に図1では,約0.05μmの熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子が分散していることが分かる。
【0060】
【表1】
Figure 0003647611
【0061】
【表2】
Figure 0003647611
【0062】
【表3】
Figure 0003647611
【0063】
【表4】
Figure 0003647611
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば,発泡成形体の成形サイクルが短く,耐衝撃性,柔軟性に優れた発泡成形体を得ることができる発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子の透過型電子顕微鏡観察による図面代用写真(倍率20,000倍)。
【図2】比較例1の発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子の透過型電子顕微鏡観察による図面代用写真(倍率20,000倍)。

Claims (3)

  1. Z平均分子量が400,000以上であるスチレン系樹脂100重量部と,
    1,4−シス構造の割合が70%以上のブタジエン重合体5〜20重量部と,
    ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる熱可塑性ブロック共重合体0.05〜5.0重量部と
    からなり,
    上記スチレン系樹脂の連続相中に上記ブタジエン重合体の分散粒子と上記熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子が粒子状に分散しているゴム変性スチレン系樹脂であって,
    上記熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子は,その平均粒子径が0.01〜0.5μmであって,上記ゴム変性スチレン系樹脂中の鉱油の含有量が3.0重量%以下であり,
    かつ沸点が80℃以下の揮発性発泡剤を1〜15重量%含有していることを特徴とする発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子。
  2. 請求項1において,上記ブタジエン重合体の分散粒子は,その平均粒子径が1.5〜3.0μmであることを特徴とする発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子。
  3. 請求項1又は2において,上記熱可塑性ブロック共重合体の分散粒子は,その平均粒子径が0.01〜0.1μmであることを特徴とする発泡性ゴム変性スチレン系樹脂粒子。
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