JP3646819B2 - 熱可塑性ポリエステル予備成形体及び成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明性、ガスバリヤ−性、耐熱性及び機械的特性に優れた食品あるいは飲料用等の容器や包装体として有利に使用しうる熱可塑性ポリエステル成形体及びそれを得るための予備成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂はその優れた透明性、機械的強度、耐熱性、ガスバリヤ−性等の特性により炭酸飲料、ジュ−ス、ミネラルウオ−タ等の容器や包装体の素材として採用されている。
しかしながら、近年 耐熱性、ガスバリヤ−性等の点でポリエチレンテレフタレ−ト樹脂製の容器より更に優れた特性を持つ素材が要望されるようになってきた。このような要求に対応するため ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂より耐熱性、ガスバリヤ−性等が優れているポリエチレンナフタレ−ト樹脂を容器等に使用することが検討されている。特開昭52−45466号公報には耐熱性、ガスバリヤ−性にすぐれたポリエチレンナフタレ−トからの中空容器が記載されている。また、特開平2−217222号公報には延伸指数が130cm以上に高延伸したポリエチレンナフタレ−トボトル及びその製造方法が記載されている。しかしながら、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂の場合には成形が難しく透明性に優れ肉厚分布が均一な中空成形体は得られていない。
また、特開昭64−85732号公報には2,6−ナフタレンジカルボン酸成分65〜98.5モル%及び他のジカルボン酸成分(テレフタル酸、イソフタル酸等)35〜1.5モル%とエチレングリコ−ルを主たるグリコル成分とするポリエチレンナフタレ−ト系コポリマ−からの耐熱ボトルが記載されている。しかしながら、第三成分が10モル%以上になると溶融重合樹脂は融点を示さず、また、結晶化速度が極端に遅くなり、実用的な条件下では結晶化が不可能となる。このため乾燥処理又は分子量の上昇及びアセトアルデヒド(AA)含有量の低下を目的とした固相重合処理が不可能である。
また、特開平2−274757号公報、特開平4−331255号公報には ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂とポリエチレンナフタレ−ト樹脂に両者の予備混練物を混合使用したり、また、両樹脂の溶融混練物を使用すると、耐熱性、透明性、ガスバリヤ−性に優れた組成物や容器等を与えることが示されている。しかしながら、このような混合物組成使用の場合には、得られた容器の透明性は悪く、AA含有量も高く、商品価値の低い中空成形体しか得られない。
また、両者の溶融混練組成物使用の場合には、透明性は良いが、AA含有量が非常に高く、耐熱性が非常に悪い中空成形体しか得られない。
そこで、透明性、耐熱性、成形性、ガスバリヤ−性等に優れた成形体や中空成形体をポリエチレンテレフタレ−ト樹脂とポリエチレンナフタレ−ト樹脂の混合物から作ることを鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は 耐熱性、ガスバリヤ−性、透明性及び機械的特性に優れた熱可塑性ポリエステル成形体及びそれを得ることができる予備成形体を提供する事である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(A)とポリエチレンナフタレ−ト樹脂(B)とが重量比90/10〜10/90で混合され、かつ前記(A)と(B)の290℃における溶融粘度差が4000ポイズ以下である組成物を溶融成形して得られた予備成形体又は成形体であって、該予備成形体又は成形体を形成する樹脂組成物の特性が以下のイ)〜ニ)の条件を満足することを特徴とする熱可塑性ポリエステル予備成形体又は成形体。
イ)予備成形体又は成形体の未延伸部について、示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した場合の昇温時結晶化ピーク温度(Tc1)が200℃以下である。
ロ)前記Tc1と予備成形体又は成形体中の(B)の重量百分率(BLD%)との関係が、
0.786(BLD%)+110.0≦Tc1≦0.786(BLD%)+145.0
であらわされる。
ハ)示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化発熱量(Qc)と結晶融解熱量(Qm)が、それぞれ、Qc≧15mj/mgとQm≧20mj/mgである。
ニ)アセトアルデヒド含有量が50ppm以下である。
及び前記の予備成形体を延伸ブロー成形して得られる中空成形体であり、該中空成形体を形成する組成物の特性が以下のホ)〜リ)の条件を満足することを特徴とする中空成形体。
ホ)中空成形体の口栓部について、示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化ピ−ク温度(Tc1)が200℃以下である。
ヘ)前記Tc1と中空成形体中の(B)の重量百分率(BLD%)との関係が、
0.786(BLD%)+110.0≦Tc1≦0.786(BLD%)+145.0
であらわされる。
ト)中空成形体の口栓部について示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化発熱量(Qc)と結晶融解熱量(Qm)とが、それぞれ、
Qc≧15mj/mg、Qm≧20mj/mgである。
チ)アセトアルデヒド含有量が50ppm以下である。
リ)ヘイズが8%以下である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレ−ト樹脂は、エチレンテレフタレ−ト単位を85モル%以上含む線状ポリエステル樹脂であり、好ましくは90モル%以上含む線状ポリエステル樹脂である。
共重合に使用されるジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0006】
共重合に使用されるグリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
【0007】
上記のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂は、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。
即ち、テレフタル酸とエチレングリコ−ル 及び/又は第三成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ル及び/又は第三成分を反応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度を増大させ、AA含有量を低下させるために固相重合を行ってもよい。
本発明で使用されるポリエチレンテレフタレ−ト樹脂の極限粘度は0.65〜1.20dl/g、好ましくは0.70〜0.90dl/gの範囲である。
【0008】
本発明で用いられるポリエチレンナフタレ−ト樹脂は、エチレンナフタレ−ト単位を80モル%以上含む線状ポリエステル樹脂である。共重合に用いられるジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0009】
共重合に使用されるグリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
【0010】
上記のポリエチレンナフタレ−ト樹脂は、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。
即ち、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコ−ル 及び/又は第三成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはジメチル−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トとエチレングリコ−ル及び/又は、第三成分を反応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。
更に極限粘度を増大させ、AA含有量を低下させる為に固相重合を行ってもよい。
本発明で使用されるポリエチレンナフタレ−ト樹脂の極限粘度は0.40〜0.90dl/g、好ましくは0.50〜0.85dl/gの範囲である。
【0011】
本発明の予備成形体、成形体及び中空成形体はポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(A)90〜10重量%、好ましくは80〜13重量%と、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂(B)10〜90重量%、好ましくは20〜87重量%とから構成される。この予備成形体や中空成形体中のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂含有量が90重量%以上を超えると、得られた予備成形体や中空成形体の耐熱性、ガスバリヤ−性が悪くなる。又、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂含有量が10重量%未満であると、成形性や延伸性に劣り、予備成形体や中空成形体の透明性が悪くなる。
【0012】
本発明におけるポリエチレンテレフタレ−ト樹脂及びポリエチレンナフタレ−ト樹脂の290℃での溶融粘度は、それぞれ、9000ポイズ以下であることが好ましく、9000ポイズ以上の場合には得られた予備成形体や中空成形体の透明性が悪くなり、AA含有量が非常に高くなる傾向がある。また、両樹脂の溶融粘度の差は4000ポイズ以下であることが必要であり、これ以上の差のある場合には得られた予備成形体や中空成形体の透明性が悪くなる。
【0013】
本発明の熱可塑性ポリエステルの予備成形体又は成形体及び中空成形体について示差走査熱量計(DSC)により測定した熱特性と成形体の透明性、耐熱性等の性質について更に検討を加えた結果、示差走査熱量計(DSC)による熱特性(1℃/分の昇温速度での)と成形体の透明性、耐熱性等の特性の間に関連があることを見出した。
【0014】
本発明の成形体の未延伸部、中空成形体においては口栓部の示差走査熱量計(DSC)で1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化ピーク温度(Tc1)は、200℃以下であり、且つ、成形体中のポリエチレンナフタレ−ト樹脂の重量百分率(BLD%)との関係が下記式
0.786(BLD%)+110.0≦Tc1≦0.786(BLD%)+145.0
を満足することが必要である。
【0015】
成形体の未延伸部や中空成形体口栓部の昇温時結晶化ピーク温度(Tc1)が、上記式の上限以上の温度である場合は、得られた成形体の耐熱性、ガスバリヤ−性が悪くなり、また、肉厚分布、機械的特性等も悪くなる。また、昇温時結晶化ピーク温度(Tc1)が上記式の下限以下の温度の場合は、得られた成形体の透明性が極端に低下し、また、肉厚分布も悪くなる。
【0016】
また、本発明の成形体の未延伸部や中空成形体口栓部の示差走査熱量計(DSC)で1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化発熱量(Qc)、及び結晶融解熱量(Qm)が、それぞれ、15mj/mg以上、及び20mj/mg以上であることが必要である。
成形体の未延伸部や中空成形体口栓部の上記の昇温時結晶化発熱量(Qc)、及び結晶化融解熱量(Qm)が、それぞれ15mj/mg未満、及び20mj/mg未満の場合は、得られた成形体の耐熱性、ガスバリヤ−性、機械的特性等が悪くなる。
【0017】
本発明における予備成形体とは、中空成形体用の予備成形体に限らず、押出成形されたシート状物、パイプ状物、筒状物などをも含み、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(A)、及び、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂(B)の溶融粘度、両樹脂の溶融粘度差、射出成形や押出成形時の温度、溶融時間、背圧、及びスクリュ−回転数等を適宜制御することによって得られる。
本発明の予備成形体成形時等に熱安定剤、熱酸化安定剤、帯電防止剤、耐候性安定剤、滑剤、顔料、染料、あるいは顔料分散剤などを本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0018】
本発明のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂とポリエチレンナフタレ−ト樹脂を均一に混合する方法として公知の種々の方法を用いることが出来るが、例えばダブルコ−ンブレンダ−、リボンブレンダ−等による方法が適用出来る。また、このような方法で混合した両樹脂を一軸押出機、二軸押出機、ベント式押出機等により溶融混練し造粒することも出来る。
【0019】
本発明の予備成形体は、例えば、上記に示した特性を持ったポリエチレンテレフタレ−ト樹脂とポリエチレンナフタレ−ト樹脂を均一に混合後、直接射出成形や押出成形して作ることが出来る。
本発明の成形体は公知の射出成形機等により成形された有底の予備成形体(パリソン)を延伸ブロ−成形機により延伸ブロ−成形する二段階方式(コ−ルドパリソン法)、あるいは予備成形体の成形と延伸ブロ−成形を同一機械で行う一段階方式(ホットパリソン法)の延伸ブロ−成形法、ダイレクトブロ−成形法、押出しブロ−成形法により製造することが出来る。また、成形体のAA含有量を低下させるためにはベント式射出成形機を用いるのがよい。
予備成形体がシート状物、パイプ状物、筒状物などの場合は、圧縮成形、真空成形などによって適宜、容器、包装体などに成形することができる。
【0020】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお主な特性値の測定法を以下に説明する。
(1)PET樹脂の極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
(2)PEN樹脂の極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/p−クロルフェノ−ル(1:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
【0021】
(3)PET樹脂及びPEN樹脂の溶融粘度(MV)
東洋精機製作所社製のキャピログラフ1B(キャピラリ−がL=10mm,D=1.0mm)を使用し、290℃、セン断速度=608sec-1 で測定した。
(4)アセトアルデヒド含有量(AA)
容器口栓部より試料を2〜3mm角に切り、試料/蒸留水=1g/2mlを窒素置換したガラスアンプルに入れて上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し濃度をppmで表示した。
(5)ヘイズ(霞度%)
成形容器の胴部(肉厚約0.4mm)より試料を切り取り、東洋精機製作所社製ヘイズメ−タ−でヘイズ(%)を測定した。
【0022】
(6)酸素透過量
米国MODERN CONTROLS社製酸素透過量測定器OX−TRAN100により、ボトル1本当たりの透過量として20℃、60%湿度で測定した。
(7)DSC測定(Tc1、Qc、Qm)
予備成形体、及び、容器口栓部天面からの測定用試料について、セイコ−電子工業(株)社製の示差走査熱量計RDC−220で測定。試料量は4.0mg、昇温速度は1℃/min で測定した。
【0023】
(8)耐熱性
成形した中空成形体に90℃の熱湯を充填後キャップをし、10分間放置する。その後20℃の水中で冷却後、水を抜き、入れ目量の変化より収縮率を求めた。
【0024】
実施例1〜5及び比較例1〜5
1)ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂
日本ユニペット(株)社製のIV=0.80(MV=3500ポイズ)又はIV=0.84(MV=4000ポイズ)のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂を使用した。
2)ポリエチレンナフタレ−ト樹脂
ジメチル−2,6−ナタレンジカルボキシレ−ト、テレフタル酸ジメチル及びエチレングリコ−ルから常法により製造した樹脂を使用した。共重合組成、IV、MV等は下記の表1に示した通りである。
【0025】
【表1】
【0026】
3)中空成形体の成形
上記のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂とポリエチレンナフタレ−ト樹脂を用いて名機製作所社製M−100射出成形機により予備成形体を成形した。次にこの予備成形体をCORPOPLAST社製のLB−01E成形機で二軸延伸ブロ−し、500mlの容器を作成した。
得られた容器の物性を比較例とともに表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2の結果より明らかな如く本発明の中空成形容器は優れた透明性、ガスバリヤ−性、耐熱性を示し、また、AA含有量も低い。
【0029】
実施例6〜9及び比較例6
1)ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂
日本ユニペット(株)社製のIV=0.79(MV=3400ポイズ)又はIV=0.84(MV=4000ポイズ)のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂を使用した。
【0030】
2)ポリエチレンナフタレ−ト樹脂
ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トとエチレングリコルから常法により製造した樹脂を使用した。IV、MVは以下の表3の通りである。
【0031】
【表3】
【0032】
3)中空成形体の成形
上記と同じ様にして500mlの容器を作成した。得られた容器の物性を比較例とともに表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
表4の結果より明らかな如く、本発明の中空成形容器は優れた透明性、ガスバリヤ−性、耐熱性を示し、また、AA含有量も低い。
【0035】
実施例10〜11及び比較例7
1)ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂
日本ユニペット(株)社製のIV=0.79(MV=3400ポイズ)又はIV=0.84(MV=4000ポイズ)のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂を使用した。
【0036】
2)ポリエチレンナフタレ−ト樹脂
ジメチル−2,6−ナタレンジカルボキシレ−ト、テレフタル酸ジメチル及びエチレングリコ−ルから常法により製造した樹脂を使用した。共重合組成、IV、MV等は下記の表5の通りである。
【0037】
【表5】
【0038】
上記のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂とポリエチレンナフタレ−ト樹脂を用いて名機製作所社製M−100射出成形機により予備成形体を成形した。次にこの予備成形体をCORPOPLAST社製のLB−01E成形機で二軸延伸ブロ−成形し、1500mlの容器を作成した。
得られた容器の物性を比較例とともに表6に示す。
【0039】
【表6】
【0040】
表6の結果より明らかな如く、本発明の中空成形容器は優れた透明性、ガスバリヤ−性、耐熱性を示し、また、AA含有量も低い。
【0041】
比較例8、9
1)ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂とポリエチレンナフタレ−ト樹脂との溶融混練組成物の作成
実施例1のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(IV=0.80)、および、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂(a)(IV=0.60)を用い、二軸押出機により280℃で、溶融滞留時間約5分の条件で溶融混練後押出し、造粒した。造粒ペレットのAA含有量は100ppmであった。
【0042】
2)中空成形体の成形
上記の造粒ペレットを用いて実施例1と同様にして成形し、500mlの容器を作成した。
得られた容器の物性を表7に示す。表7の結果より明らかなごとく、AA含有量が高く、耐熱性も悪い。
【0043】
【表7】
【0044】
実施例12及び比較例10
IV=0.70(MV=2200)のポリエチレンテレフタレ−ト樹脂と前記の二軸押出機で0.5mm厚みの未延伸シ−トを作成した。表8に結果を示す。表8の結果より明らかなごとく、本発明の未延伸シ−トは優れた物性を示す。
【0045】
【表8】
【0046】
このシ−トから真空成形機を用いて深さ20mmの容器を作り、約70℃のオ−ブン中に10分間放置し耐熱性を調べた。表8に示すとおり、本発明のシ−トからの容器の耐熱性は良好である。
【0047】
【発明の効果】
本発明による熱可塑性ポリエステル予備成形体又は成形体及び中空成形体は透明性、耐熱性、ガスバリヤ−性及び機械的特性に優れた容器や包装体を提供することができる。
Claims (2)
- ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(A)とポリエチレンナフタレ−ト樹脂(B)とが重量比90/10〜10/90で混合され、かつ前記(A)と(B)の290℃における溶融粘度差が4000ポイズ以下である組成物を溶融成形して得られた予備成形体又は成形体であって、該予備成形体又は成形体を形成する樹脂組成物の特性が以下のイ)〜ニ)の条件を満足することを特徴とする熱可塑性ポリエステル予備成形体又は成形体。
イ)予備成形体又は成形体の未延伸部について、示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した場合の昇温時結晶化ピーク温度(Tc1)が200℃以下である。
ロ)前記Tc1と予備成形体中の(B)の重量百分率(BLD%)との関係が、
0.786(BLD%)+110.0≦Tc1≦0.786(BLD%)+145.0
であらわされる。
ハ)示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化発熱量(Qc)と結晶融解熱量(Qm)が、それぞれ15mj/mg以上と20mj/mg以上である。
ニ)アセトアルデヒド含有量が50ppm以下である。 - 請求項1の予備成形体を延伸ブロー成形して得られる中空成形体であり、該中空成形体を形成する組成物の特性が以下のホ)〜リ)の条件を満足することを特徴とする中空成形体。
ホ)中空成形体の口栓部について、示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化ピ−ク温度(Tc1)が200℃以下である。
ヘ)前記Tc1と中空成形体中の(B)の重量百分率(BLD%)との関係が、
0.786(BLD%)+110.0≦Tc1≦0.786(BLD%)+145.0
であらわされる。
ト)中空成形体の口栓部について、示差走査熱量計(DSC)により1℃/分の昇温速度で測定した昇温時結晶化発熱量(Qc)と結晶融解熱量(Qm)とが、それぞれ、15mj/mg以上と20mj/mg以上である。
チ)アセトアルデヒド含有量が50ppm以下である。
リ)ヘイズが8%以下である。
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JPH09208711A (ja) | 1997-08-12 |
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