JP3594379B2 - ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明はポリエステル樹脂組成物とその製造方法に関し、さらに詳しくは、透明性、耐熱性、紫外線遮断性に優れた、延伸ボトルなどの成形体を得ることができるようなポリエステル樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、調味料、油、ジュース、炭酸飲料、ビール、日本酒、化粧品、洗剤などを充填する容器としてはガラス製容器が広く利用されてきた。
【0003】
しかしながら、ガラス製容器は製造コストが高いため、通常、使用後の空容器を回収して内容物を再充填することにより循環再利用されている。そしてこのようにガラス製容器を再循環利用する際には、ガラス製容器は重く運送経費が嵩むとともに、破損しやすいなどの欠点があった。
【0004】
ガラス容器のこれらの欠点を解消しようとして、ガラス容器から種々のプラスチック容器への転換が最近急速に進んでいる。その素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々のプラスチックが採用されており、これらのプラスチック素材のうちでポリエチレンテレフタレートなどの飽和結晶性ポリエステル樹脂は、機械強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、それより得られたボトルはジュース、清涼飲料、炭酸飲料、調味料、洗剤、化粧品などの容器の素材として広く採用されている。
【0005】
このような飽和結晶性ポリエステルからボトルを製造するには一般的に、飽和ポリエステルを射出成形してプリフォームを成形し、次いでこのプリフォームを所定形状の金型に挿入して延伸ブロー成形して口栓部と胴部とを有するボトルを得ている。
【0006】
このようにして得られるボトルのうち、特にジュース類などの飲料用途に用いられるボトルは、内容物の加熱殺菌に耐えることが可能な耐熱性が要求されるため、通常ブロー成形後さらにボトルを熱処理(ヒートセット)して耐熱性を向上させている。
【0007】
しかし、ポリエチレンテレフタレートを用いて製造されたボトルを加熱殺菌する場合には、現状で用いられているボトルの耐熱温度は、生産性を考慮すると90℃程度が限界である。
【0008】
さらに、耐熱性を上げるために、ポリエチレンテレフタレートに、よりガラス転移点の高い樹脂をブレンドすることにより耐熱性の向上を図る方法も検討された。たとえば、ポリエチレンナフタレートの高いガラス転移温度に着目し、ポリエチレンテレフタレートとのブレンドが試みられている。しかし、ポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレートとは、相溶性に劣り、単に両者をブレンドしただけでは、得られるブレンド物は白化し不透明となり、得られた成形品は透明性において著しく劣るという問題点があった。
【0009】
このため、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとから高い透明性を有するとともに優れた耐熱性を有するポリエステル樹脂組成物、およびその製造方法の出現が望まれていた。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、透明性、耐熱性、紫外線遮断性に優れた延伸ボトルを成形できるようなポリエステル樹脂組成物とその製造方法を提供することを目的としている。さらに、このポリエステル樹脂組成物より得られるプリフォームおよびポリエステル製ボトルを提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物の製造方法は、
下記一般式(1)で表される構成単位(a)と、
【0012】
【化4】
【0013】
下記一般式(2)で表される構成単位(b)と、
【0014】
【化5】
【0015】
下記一般式(3)で表される構成単位(c)と
【0016】
【化6】
【0017】
からなるポリエステル樹脂組成物を製造する方法であって、
一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレートと一般式(2)で表される構成単位(b)を有するポリエチレンナフタレートとをドライブレンド後、成形機内で260℃〜330℃において、30秒〜600秒間溶融混練し、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとをエステル交換反応させることにより、一般式(3)で表される構成単位(c)を、構成単位(a)または(b)のいずれか少ない方の構成単位の量を100モルとしたとき30〜200モルとなるように生成させることを特徴としている。
【0020】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るポリエステル樹脂組成物と該ポリエステル樹脂組成物の製造方法、該ポリエステル樹脂組成物より得られたポリエステルプリフォームおよびポリエステル製ボトルについて具体的に説明する。
【0021】
ポリエステル樹脂組成物
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される構成単位(a)と、
【0022】
【化7】
【0023】
下記一般式(2)で表される構成単位(b)と、
【0024】
【化8】
【0025】
下記一般式(3)で表される構成単位(c)とからなり、
【0026】
【化9】
【0027】
一般式(3)で表される構成単位(c)の量が、構成単位(a)または(b)のいずれか少ない方の構成単位の量を100モルとしたとき、この量に対して30〜200モルの量で含まれている。
【0028】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物中の一般式(1)で表される構成単位(a)は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体、およびエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体から導かれる。
【0029】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物中の一般式(2)で表される構成単位(b)は、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、およびエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体から導かれる。
【0030】
また、本発明に係るポリエステル樹脂組成物中の一般式(3)で表される構成単位(c)は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体から導かれる。
【0031】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸、およびエチレングリコール以外のジヒドロキシ化合物から導かれる構成単位を含んでいてもよい。テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、たとえば、フタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0032】
エチレングリコール以外のジヒドロキシ化合物としては、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェノル)プロパン等の芳香族ジオール類などが挙げられる。このテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸、およびエチレングリコール以外のジヒドロキシ化合物から導かれる構成単位は、20モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0033】
また、本発明に用いられるポリエステル樹脂組成物は、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエルスリトールなどの多官能化合物またはこれらの多官能化合物から誘導される構成単位を少量たとえば、3モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0034】
本発明に係る樹脂組成物は、一般式(3)で表される構成単位(c)が、構成単位(a)または(b)のいずれか少ない方の構成単位の量を100モルとしたときに、この量に対して30〜200モル、好ましくは40〜150モル、特に好ましくは50〜100モルの量で存在している。この量が、30モル未満のときは、得られるポリエステル樹脂組成物が白化し不透明になり、また200モル以上のときは、成形加工性または耐熱性が劣るようになる。
【0035】
さらに、本発明に係るポリエステル樹脂組成物には、架橋剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料あるいは染料などの各種配合剤を配合されていてもよい。
【0036】
このような組成を有している本発明のポリエステル樹脂組成物は透明性、耐熱性、紫外線遮断性に優れたものとなり、そのまま、あるいはシート状、板状、管状、中空状、容器などの種々の形状で用いることができる。
【0037】
ポリエステル樹脂組成物の製造方法
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、以下の方法により得ることができる。
【0038】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、たとえば、一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレートと、一般式(2)で表される構成単位(b)を有するポリエチレンナフタレートとを溶融混練して得られる。
【0039】
ここで用いられる一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成誘導体、エチレングリコールまたはそのエステル誘導体とを原料として得られる。このポリエチレンテレフタレートは一般式(1)で示される構成単位(a)を全構成単位中少なくとも80モル%以上有していることが望ましいが、一般式(1)で表される構成単位以外の構成単位を20モル%未満の量で含んでいてもよい。
【0040】
一般式(1)で表される構成単位以外の構成単位に用いられるジカルボン酸としては、具体的には、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0041】
一般式(1)で表される構成単位以外の構成単位に用いられるジヒドロキシ化合物としては、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェノル)プロパン等の芳香族ジオール類などが挙げられる。
【0042】
上記のような、ポリエチレンテレフタレートは、従来公知の製造方法によって製造することができる。
このようにして得られたポリエチレンテレフタレートは、実質上線状であり、このことは得られたポリエチレンテレフタレートが、o−クロロフェノールに溶解することによって確認される。
【0043】
このようなポリエチレンテレフタレートは、o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘度[η]が、通常0.6〜1.4dl/g、好ましくは、0.6〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.7〜0.95dl/gの範囲である。[η]が0.6dl/gより小さい場合には、得られるプリフォームおよびボトルの耐熱性、透明性および機械的強度が劣るようになり、一方、1.4dl/gより大きい場合にはプリフォームの成形性および延伸ブロー成形性に劣るようになる。
【0044】
なお、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度[η]は次の方法によって求められる。すなわち、試料ポリエチレンテレフタレートをo−クロロフェノールに1g/100mlの濃度で溶かし、25℃でウベローデ型毛細管粘度計を用いて溶液粘度の測定を行い、その後o−クロロフェノールを徐々に添加して、低濃度側の溶液粘度を測定し、それらのデータから0%濃度に外挿して求めた。
【0045】
また、ここで得られたポリエチレンテレフタレートの示差走査型熱量計(DSC)で10℃/分の速度で昇温した際の結晶融解温度(融点)は、通常210〜265℃、好ましくは220〜260℃の範囲にあり、ガラス転移温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃の範囲にある。
【0046】
また、ここで用いられる一般式(2)で表される構成単位を有するポリエチレンナフタレート(b)は2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体とエチレングリコールまたはそのエステル形成誘導体とを原料として得られる。このポリエチレンナフタレートには、一般式(2)で表される構成単位(b)を、全構成単位中70モル%以上、好ましくは80モル%以上含んでいることが望ましいが、一般式(2)で表される構成単位以外の構成単位を30モル%未満の量で含んでいてもよい。
【0047】
一般式(2)で表される構成単位以外の構成単位に用いられるジカルボン酸としては、具体的には、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0048】
一般式(2)で表される構成単位以外の構成単位に用いられるジヒドロキシ化合物としては、具体的には、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェノル)プロパン等が挙げられる。
【0049】
上記のような、ポリエチレンナフタレートは、従来公知の製造方法によって製造することができる。
このようにして得られたポリエチレンナフタレートは実質上線状であり、このことは、得られたポリエチレンナフタレートがフェノール/テトラクロロエタン(等重量混合溶液)混合溶液に溶解することによって確認される。
【0050】
ポリエチレンナフタレートのo−クロロフェノール中での25℃で測定した極限粘度[η]は、0.45〜1.00dl/g、好ましくは0.50〜0.90dl/g、さらに好ましくは0.55〜0.70dl/gの範囲にあることが望ましい。なお、ポリエチレンナフタレートの極限粘度[η]はポリエチレンテレフタレートの場合と同様にして測定される。
【0051】
本発明で用いられるポリエチレンナフタレートの示差走査型熱量計(DSC)で10℃/分の速度で昇温した際の昇温結晶化温度は、150℃以上、好ましくは160℃〜230℃、特に好ましくは170〜220℃の範囲にあるのが望ましい。
【0052】
これらのポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートを用いた本発明に係るポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、以下のような方法が挙げられる。
【0053】
▲1▼ 上記で得られた一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレートと一般式(2)で表される構成単位(b)を有するポリエチレンナフタレートとを、260℃〜330℃において、30秒〜600秒の間溶融混練機で溶融混練し、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとをエステル交換反応させることにより一般式(3)で表される構成単位(c)を、構成単位(a)または(b)のいずれか少量の構成単位(c)の量を100モルとしたとき、この量に対して30〜200モルの量で生成させてポリエステル樹脂組成物を製造する方法、
▲2▼ 上記で得られた一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレートと一般式(2)で表される構成単位(b)を有するポリエチレンナフタレートとを、ドライブレンドした後、射出成形機等の成形機内で、260℃〜330℃において、30秒〜600秒間溶融混練し、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとをエステル交換反応させることにより一般式(3)で表される構成単位(c)の量を、構成単位(a)または(b)のいずれか少量の構成単位の量を100モルとしたときに30〜200モルの量で生成させてポリエステル樹脂組成物を製造する方法。
【0054】
これらの場合のより具体的な製造方法を以下に説明する。
▲1▼の方法では、たとえば、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとを、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法が挙げられ、この場合、溶融混練時の温度は、260〜330℃、好ましくは270〜300℃であり、時間は通常30秒〜600秒、好ましくは60秒〜300秒間、特に好ましくは90〜240秒間である。
【0055】
▲2▼の方法では、たとえば、ペレット状のポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとを、ヘンシェルミキサー、v−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等によりドライブレンドした後、射出成形機、中空成形機、押出成形機等の成形機内において溶融混練する方法が挙げられるが、この場合、溶融混練時の温度は、260〜330℃、好ましくは270〜290℃であり、時間は通常30秒〜600秒、好ましくは60秒〜300秒間、特に好ましくは90秒〜240秒間である。
【0056】
また、本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、たとえば、一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレート、一般式(2)で表される構成単位(b)を有するポリエチレンナフタレートおよび一般式(3)で表される構成単位(c)を有する共重合ポリエステルを溶融混練しても調製することができる。ここで用いられる一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレートと一般式(2)で表される構成単位(b)を有するポリエチレンナフタレートは、それぞれ前述のものである。
【0057】
一般式(3)で表される構成単位(c)を有する共重合ポリエステルは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、2、6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエチレングリコール形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を原料として導かれる。
【0058】
この共重合ポリエステルは、一般式(3)で表される構成単位以外の構成単位を20モル%未満の量で含んでいてもよい。
このような共重合ポリエステルは従来公知の製造方法によって製造することができる。
【0059】
上記のようにして得られた共重合ポリエステルの極限粘度[η]は、0.5〜1.0dl/g、好ましくは0.6〜0.8dl/gの範囲内であることが望ましい。
【0060】
これらのポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートと共重合ポリエステルを用いた本発明に係るポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートと共重合ポリエステルとを混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。
【0061】
また、本発明に係るポリエステル樹脂組成物の製造方法では、上記の工程中あるいは工程後に、架橋剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料あるいは染料などの各種配合剤を配合してもよい。
【0062】
ポリエステルプリフォーム
本発明に係るポリエステルプリフォームは、上記のようなポリエステル樹脂組成物を従来公知の方法、たとえば射出成形、押出成形等することにより得ることができる。
【0063】
また、前述したようにポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレンナフタレートとをドライブレンドして該樹脂組成物を得る方法において、ドライブレンド後、直接プリフォーム成形用射出成形機内で溶融混練しプリフォームを得る方法もある。この方法は経済的な点から好ましい。
【0064】
ポリエステル製ボトル
本発明に係るポリエステル製ボトルは、ポリエステル樹脂組成物、あるいはポリエステルプリフォームを、たとえば、延伸ブロー成形することにより成形できる。
【0065】
延伸ブロー成形方法としては、このプリフォームの延伸適性温度の範囲内で上記のプリフォームを縦方向に延伸した後、さらに横軸方向にブロー成形することにより延伸する方法(二軸延伸ブロー方法)等を挙げることができる。
【0066】
たとえば、このような二軸延伸ブロー成形法によって本発明のポリエステル製ボトルを製造するには、通常の射出成形機により成形された有底パリソン、あるいは押出成形機により成形されたパリソンの一端を有底化して得られたパリソンを、本発明のポリエステル樹脂組成物の延伸適性温度である90〜140℃で吹き込み、成形金型内で縦方向に移動するロッドを加圧気体の吹込みにより縦軸方向に1.5〜3.5倍、好ましくは2〜3倍、および横軸方向に2〜5倍、好ましくは3〜4.5倍に延伸する方法を例示することができる。ここで使われる加圧気体としては、空気、窒素、水蒸気などが挙げられる。
【0067】
また、射出成形による成形方法としては、コールド・パリソンによる2ステージ方式あるいはホットパリソンによる1ステージ方式のいずれでもよい。
このようにして得られたボトルを、100〜250℃、好ましくは110〜200℃の金型温度で、一秒間以上、好ましくは3秒間以上ヒートセットすることにより耐熱性を向上させてもよい。
【0068】
本発明に係るポリエステル製ボトルは、特に透明性、耐熱性および紫外線遮断性に優れているので、種々の用途に利用することができ、たとえば、調味料、油、酒類、化粧品、洗剤等の容器として使用することができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、著しく透明性に優れ、しかも耐熱性に優れ、さらには紫外線を遮断することができる。
【0070】
さらに、本発明に係るポリエステル樹脂組成物の製造方法を用いれば、本発明に係るポリエステル樹脂組成物を好適に製造することができる。
また、本発明に係るポリエステルプリフォームおよびポリエステル製ボトルは、上記のようなポリエステル樹脂組成物から形成されるので、著しく透明性に優れ、しかも耐熱性に優れ、さらには紫外線を遮断することができる。
【0071】
【実施例】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその目的を損なわない範囲でこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0072】
なお、本発明において、ポリエステル樹脂組成物の一般式(3)で表される構成単位の量、ポリエステル製ボトルの透明性および耐熱性の測定は下記のようにして行った。
【0073】
<構成単位(C)の量>
本発明において、ポリエステル樹脂組成物中での構成単位(a)、(b)および(c)のモル比は次のように求められる。すなわち本発明のポリエステル樹脂組成物から得られた成形品、例えばボトル型のポリエステル容器の胴部等をカットして、重水素化クロロホルムに溶解した後、45℃にてFT−NMR(日本電子(株)製、NMRJMN−GX270型)を用いて測定する。チャート上には構成単位(a)EG(エチレングリコール単位)−TA(テレフタル酸単位)−EG−TAに基づくピーク(a)と、構成単位(b)EG−NDA(ナフタレンジカルボン酸単位)−EG−NDAに基づくピーク(b)と、構成単位(c)EG−TA−EG−NDAに基づくピーク(c)の3つのピークが出現し、このピーク面積を測定する。この際ピークの面積は、図1に示すように各ピークにベースラインを引き、このベースラインから上方の各ピークの面積を計算することにより決定する。これにより(a)、(b)、(c)単位のモル比を算出できる。
【0074】
本発明の組成物の一例をFT−NMR測定したときの代表的なチャートを図1に示す。
<ポリエステル製ボトルの透明性>
ポリエステル製ボトルの胴部をカットして、ヘイズメーター(日本電色(株)NDH−20D)を使用し、カット後のボトルの内外をシクロヘキサノールの溶媒で満たした後、ASTM D 1003に準ずる方法にて、曇価(ヘイズ)を3回測定し、その平均値をもって評価した。
【0075】
<ポリエステル製ボトルの耐熱性>
耐熱性は以下のようにガラス転移点を求めることにより評価した。
ポリエステル樹脂組成物から形成されたポリエステル製ボトルの胴部をカットして得られた試料片のガラス転移点を、示差走査型熱量計(Prkin Elmer製)を用い、10℃/分の速度で昇温し測定した。
【0076】
【実施例1】
ポリエチレンテレフタレート(o−クロロフェノール中、25℃、[η]=0.9dl/g、融点255℃)90重量部と、ポリエチレンナフタレート(フェノール/テトラクロロエタンの混合溶液(等重量混合溶液)中、25℃、[η]=0.6dl/g、融点265℃)10重量部とをタンブラーブレンダーを用いて混合した後、成形機(名機製作所(株)製M−100A)で成形し、ボトル成形用プリフォームを得た。このときの、成形温度は270〜290℃で、成形機内での樹脂の滞留時間は160秒であった。
【0077】
次に上記のようにして得られたプリフォームを成形機(CORPOPLAST社製LB−01)で成形して二軸延伸ボトルを得た。この時の延伸温度は110〜150℃で合った。また、延伸倍率は縦方向は3.0倍、横方向は3.2倍であった。得られた成形品の物性を表1に示す。
【0078】
【実施例2〜5】
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレンナフタレートの配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様に成形品を得た。
【0079】
【比較例1】
実施例1において、成形機内の滞留時間を20秒に変更した以外は、実施例1と同様に成形品を得た。
【0080】
【比較例2】
実施例2において、成形機内の滞留時間を20秒に変更した以外は、実施例2と同様に成形品を得た。
【0081】
【比較例3】
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートのみとした以外は、実施例1と同様に成形品を得た。
【0082】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】エステル交換率を算出するためのNMRチャートである。
Claims (1)
- 下記一般式(1)で表される構成単位(a)と、
一般式(1)で表される構成単位(a)を有するポリエチレンテレフタレートと一般式
(2)で表される構成単位(b)を有するポリエチレンナフタレートとをドライブレンド後、成形機内で260℃〜330℃において、30秒〜600秒間溶融混練し、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとをエステル交換反応させることにより、一般式(3)で表される構成単位(c)を、構成単位(a)または(b)のいずれか少ない方の構成単位の量を100モルとしたとき30〜200モルとなるように生成させることを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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