JP3465463B2 - ポリエステル組成物 - Google Patents

ポリエステル組成物

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圭二 藤村
宣一 小寺
嘉孝 衛藤
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル組成
物に関し、詳しくは透明性及び耐熱寸法安定性の優れた
成形品、特に中空成形品を与えるポリエステル組成物に
関するものである。 【0002】 【従来の技術】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートであるポリエステル(以下単にポリエステルと略
称する)は、その優れた透明性、機械的強度、耐熱性、
ガスバリアー性等の特性により、炭酸飲料、ジュース、
ミネラルウォータ等の容器の素材として採用されてお
り、その普及はめざましいものがある。これらの用途に
おいて、ポリエステル製ボトルに高温で殺菌した飲料を
熱充填したり、また飲料を充填後高温で殺菌したりする
が、通常のポリエステル製ボトルでは、このような熱充
填処理時等に収縮、変形が起こり問題となる。ポリエス
テル製ボトルの耐熱性を向上させる方法として、ボトル
口栓部を熱処理して結晶化度を高めたり、また延伸した
ボトルを熱固定させたりする方法が提案されている。特
に口栓部の結晶化が不十分であったり、また結晶化度の
ばらつきが大きい場合にはキャップとの密封性が悪くな
り、内容物の漏れが生ずることがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために種々の提案がなされている。例えばポリエチ
レンテレフタレートにカオリン、タルク等の無機核剤を
添加する方法(特開昭56−2342号、特開昭56−
21832号)、モンタン酸ワックス塩等の有機核剤を
添加する方法(特開昭57−125246号、特開昭5
7−207639号)があるが、これらの方法は異物や
くもりの発生を伴い実用化には問題がある。また、耐熱
性樹脂製ピースを口栓部に挿入する方法(特開昭61−
259946号、特開平2−269638号)が提案さ
れているが、ボトルの生産性が悪く、また、リサイクル
性にも問題がある。本発明は、上記従来のポリエステル
組成物の有する問題点を解決し、透明性、耐熱寸法安定
性の優れた成形品、特に容器等の中空成形品を得ること
ができるポリエステル組成物を提供することを目的とす
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリエステル組成物は、極限粘度が0.6
0〜0.90であり、主たる繰り返し単位がエチレンテ
レフタレートであるポリエステルのチップ(A)からな
る組成物(C)において、前記組成物(C)に含有され
る、極限粘度が0.60〜0.90であり、主たる繰り
返し単位がエチレンテレフタレートであり、粒径が10
メッシュ以下のポリエステルの微粉(B)の含有量が前
記組成物(C)中30ppm以下であり、前記組成物
(C)は290℃の温度に加熱溶融して成形した成形品
のTc1が155〜175℃、ヘーズが15%以下であ
ることを特徴とする。 【0005】上記の構成からなる本発明のポリエステル
組成物は、溶融成形することにより、容易に透明性、耐
熱寸法安定性の優れた成形品、特に容器等の中空成形品
を得ることができる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明のポリエステル組成
物の実施の形態を具体的に説明する。本発明で用いる、
極限粘度が0.60から0.90であり、主たる繰り返
し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステルの
チップ(A)は、エチレンテレフタレート単位を85モ
ル%以上含む線状ポリエステルのチップであり、好まし
くはポリエチレンテレフタレートからなるチップであ
る。 【0007】前記ポリエステルの共重合に使用されるジ
カルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、ジフェニールー4,4’−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカル
ボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オ
キシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、ア
ジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪
族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサン
ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘
導体などが挙げられる。 【0008】前記ポリエステルの共重合に使用されるグ
リコールとしては、ジエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジ
メタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳
香族グリコールなどが挙げられる。 【0009】前記のポリエステルは、従来から公知の製
造方法によって製造することができる。例えば、テレフ
タール酸とエチレングリコールおよび必要により上記共
重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した
後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはテ
レフタル酸ジメチルとエチレングリコールおよび必要に
より上記共重合成分を反応させてメチルアルコールを留
去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエス
テル交換法により製造される。 【0010】さらにポリエステルの極限粘度を増大さ
せ、アセトアルデヒド含量を低下させるために固相重合
を行ってもよい。このような製造工程の中で、溶融重合
ポリマーをチップ化する工程、固相重合工程、溶融重合
ポリマーチップや固相重合ポリマーチップを輸送する工
程等において、本来造粒時に設定した大きさのチップよ
りかなり小さな粒状体や粉等が発生する。ここでは、こ
のような微細な粒状体や粉等を微粉と称する。 【0011】このような微粉は結晶化を促進させる性質
を持っており、多量に存在する場合には、このようなポ
リエステルから成形した成形品特にボトルの透明性や耐
熱性等は非常に悪くなる傾向にあるとの知見を得た。こ
のような点を種々検討した結果、本発明に到達したので
ある。 【0012】本発明の、ポリエステルのチップ(A)の
極限粘度は0.60〜0.90、好ましくは0.68〜
0.87である。ポリエステルのチップ(A)の極限粘
度が0.60より小さい場合は、本発明のポリエステル
組成物を溶融成形して得られた成形品の透明性、耐熱
性、機械特性等に問題がある。また、極限粘度が0.9
0より大きい場合は成形品のアセトアルデヒド含量が多
くなり、飲料用ボトルには使用不可能である。 【0013】ポリエステルのチップ(A)の形状は、シ
リンダー型、角型、または扁平な板状等の何れでもよ
く、その大きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.5
〜4mmの範囲である。例えばシリンダー型の場合は、
長さは1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度である
のが実用的である。 【0014】本発明において、ポリエステルの微粉
(B)の極限粘度は0.60〜0.90、好ましくは
0.68〜0.87である。極限粘度が0.60より小
さい場合は得られた成形品の透明性、耐熱性等が悪くな
る。 【0015】また、前記微粉(B)のポリエステル組成
物中での含有量は30ppm以下であり、少ない方が好
ましい。微粉の含有量を下げるには、溶融ポリエステル
をチップ化し、冷却した後チップが落下しない程度で目
の粗い金網上を連続的に通過させながら空気流で吹き飛
ばす等の方法による。含有量はゼロであるのが一番よい
が、完全に除去するのは手間の点から現実的でない。3
0ppmより多い場合は成形品の部位により結晶化の程
度が大きく異なる。ボトルの場合は口栓部の結晶化に変
動を来たして、ボトルに内容物を充填、キャッピングし
た後内容物の漏洩が起こったり、ボトルの透明性が悪く
なる等の問題が生ずるおそれがある。 【0016】本発明のポリエステル組成物は、290℃
の温度に加熱溶融して成形した成形品のTc1を測定し
たときに、そのTc1が155〜175℃、ヘーズが1
5%以下であることが必要である。Tc1が155℃よ
り低い場合は、成形品とした場合の透明性が非常に悪く
なる。また、Tc1が175℃より高い場合は、成形品
の透明性は非常によいが、ボトルの場合口栓部の結晶化
度が低く、内容物を充填、キャッピング後内容物の漏れ
が起こることがある。また、成形品のヘーズが15%以
上となようなポリエステル組成物を使用した場合は、ボ
トルの場合透明性は非常に悪くなる。 【0017】本発明のポリエステル組成物は、公知のホ
ットパリソン法、またはコールドパリソン法等の方法に
よって透明性な、耐熱性に優れた中空成形品を製造する
ことができる。また、多層中空成形品を製造することも
好ましい。 【0018】本発明のポリエステル組成物には、必要に
応じて公知の核剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの各
種の添加剤を配合してもよい。 【0019】なお、本発明における、主な特性値の測定
法を以下に説明する。 【0020】(1)極限粘度(IV) 1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。 (2)Tc1(DSC測定) セイコー電子工業株式会社製の示差熱分析計(DS
C)、RDC−220で測定。下記(4)の成形板の2
mm厚みのプレートの中央部からの試料10mgを使用
し、昇温速度は20℃/分で測定する。 (3)ヘーズ(霞度%) 下記の成形板の5mm厚みのプレートを使用し、東洋精
機製作所製ヘーズメータを用いて測定する。 (4)成形品の成形 乾燥したポリエステル組成物を名機製作所製M−100
射出成型機により、シリンダー温度290℃において、
10℃に冷却した段付平板金型を用い成形する。段付平
板金型は2、3、4、5、6、7、8、9mmの厚みの
約3cm×約5cm角のプレートを階段状に備えたもの
である。測定は、3個の成形品の平均値である。2mm
厚みのプレートはDSCによるTc1測定に、また5m
m厚みのプレートはヘーズ(霞度%)測定に使用する。 (5)微粉の含量測定 500Kgのサンプルを10メッシュの標準篩いで篩分
し、この篩いを通過した微粉の重量を秤量する。 【0021】 【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 実施例1〜4、比較例1〜2 表1に示す特性値を有するポリエチレンテレフタレート
(PET)組成物を名機製作所製射出成型機M−100
を用いてプリフォームを成形し、これをCORPOPL
AST社製のLB−01E成形機により二軸延伸ブロー
し1500mlのボトルを作成した。このボトルに85
℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピング
をした後ボトルを倒し放置後、口栓部の変形、及び内容
物の漏洩を調べた。結果を表1に示す。表1の結果より
明らかな如く、本発明の組成物は優れた透明性、耐熱寸
法安定性の中空成形品が得られることがわかる。 【0022】 【表1】【0023】 【発明の効果】本発明のポリエステル組成物によれば、
透明性のよい、耐熱寸法安定性に優れた中空成形品を得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 衛藤 嘉孝 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−329889(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/00 - 67/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 極限粘度が0.60〜0.90であり、
    主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポ
    リエステルのチップ(A)からなる組成物(C)におい
    て、前記組成物(C)に含有される、極限粘度が0.6
    0〜0.90であり、主たる繰り返し単位がエチレンテ
    レフタレートであり、粒径が10メッシュ以下のポリエ
    ステルの微粉(B)の含有量が前記組成物(C)中30
    ppm以下であり、前記組成物(C)は290℃の温度
    に加熱溶融して成形した成形品のTc1が155〜17
    5℃、ヘーズが15%以下であることを特徴とするポリ
    エステル組成物。
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