JP3645408B2 - パーマネントウェーブ用剤組成物 - Google Patents
パーマネントウェーブ用剤組成物 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は新規のパーマネントウェーブ用剤(縮毛矯正剤を含む、以下同様)に関し、さらに詳しくは、パーマネントウェーブ用剤処理による毛髪損傷を防止し、また、毛髪に優れた風合いを与え、さらには、組成物自体の安定性を容易に確保することのできるパーマネントウェーブ用剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パーマネントウェーブ用剤処理は、パーマネントウェーブ用剤第1剤による毛髪ケラチンの還元処理、およびパーマネントウェーブ用剤第2剤による酸化処理からなっており、さらにパーマネントウェーブ用剤第1剤には、毛髪を膨潤させるために通常アルカリ剤が配合される。この様にパーマネントウェーブ用剤処理は、苛酷な条件下で毛髪に化学処理を施すために、毛髪にかなりの損傷を与えてしまう可能性がある。また、癖毛を直毛に矯正する、いわゆる縮毛矯正剤においても、同様な化学処理を施し、さらには矯正のために目の細かい櫛を用いて、毛髪に何度もコーミングが繰り返されるのが常法である。この物理的な作用によって、縮毛矯正処理は、毛髪にさらに損傷を与えることがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
その損傷を少しでも防止するために、あるいは、すすぎ時や乾燥後の毛髪の風合いを向上させるために、一般的に、油分、カチオン界面活性剤及びカチオン性ポリマー等のコンディショニング剤がパーマネントウェーブ用剤に配合され上市されている。また、同じ目的で高重合シリコーンをパーマネントウェーブ用剤に配合した例が特開平2−255608号に開示されているが、毛髪損傷防止効果や毛髪の風合い向上効果は不充分なものであり、高重合シリコーンを組成物中に安定して配合することはかなり困難であった。また、コンディショニング効果を高めるために、乳液あるいはクリーム基剤のパーマネントウェーブ用剤も上市されているが、これら乳液やクリーム基剤のパーマネントウェーブ用剤はその安定性を確保することが難しく、経時的に粘度が上昇したり、下降したりして製造時の粘度が変化したり、分離してしまうこともあった。
【0004】
本発明は、上記事情の下になされたものであり、パーマネントウェーブ用剤処理による毛髪損傷を防止し、また、毛髪に優れた風合いを与え、さらには、組成物自体の安定性を容易に確保することのできるパーマネントウェーブ用剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実状において本発明者は鋭意検討を重ねた結果、パーマネントウェーブ用剤第1剤とパーマネントウェーブ用剤第2剤の少なくともどちらか一方に、ポリアクリル酸および/またはポリアクリル酸塩、高重合シリコーン及びカチオン性ポリマーとしてアクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、カチオン化デキストラン及びカチオン化セルロースのうちの少なくとも一種を配合することにより、毛髪損傷防止効果や毛髪の風合い向上効果の優れたパーマネントウェーブ用剤を得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明に使用される成分(A)ポリアクリル酸および/またはポリアクリル酸塩にはカルボキシビニルポリマーやアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体も含まれ、その塩としてはナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのポリアクリル酸とポリアクリル酸塩は、1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用することができる。具体的な商品例としては、ジュンロンPWシリーズ、レオジックシリーズ(日本純薬社製)、カーボポールシリーズ、PEMULENシリーズ、ETDシリーズ(BFグッドリッチ社製)等が挙げられる。これらのポリアクリル酸とポリアクリル酸塩の配合量は、求める組成物の剤型によっても異なってくるが、パーマネントウェーブ用剤全量を100重量%として、0.01〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量%である。0.01重量%より少ない場合は、効果が充分に得られず、10重量%より多い場合は組成物の粘度が高くなりすぎて使用が困難なものとなってしまい好ましくない。
【0007】
本発明に使用される成分(B)高重合シリコーンとしては、例えば次の一般式(1)で表されるものが挙げられ、これらの高重合シリコーンを1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用してもよい。その配合量は、パーマネントウェーブ用剤全量を100重量%として、0.01〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.05〜5重量%である。0.01重量%より少ない場合は充分な効果が得られず、10重量%より多い場合は逆に毛髪の風合いを損ねてしまい好ましくない。
【0008】
【化1】
(式中、R1はメチル基または一部がフェニル基であり、R2はメチル基または水酸基である。またnの値は、100〜30,000である。)
【0009】
本発明に使用される成分(C)カチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストラン、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミン共重合体、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミン共重合体、ポリメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、ビニルピロリドン/ビニルイミダゾリニウムメチルクロリド共重合体およびジエチルメチルポリ(オキシプロピレン)アンモニウムクロリド等が挙げられ、中でもアクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、カチオン化デキストランおよびカチオン化セルロースが効果の面で好ましく、また、これらのカチオン性ポリマーを1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、その配合量は、パーマネントウェーブ用剤全量を100重量%として、0.01〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。0.05重量%より少ない場合は充分な効果が得られず、5重量%より多い場合は逆に毛髪の風合いを損ねてしまい好ましくない。
【0010】
本発明に使用される高級アルコールとは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコールおよび2−オクチルドデカノール等が挙げられ、これらの高級アルコールを1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用してもよい。その配合量は、パーマネントウェーブ用剤全量を100重量%として、0.01〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜15重量%である。0.01重量%より少ない場合は充分な効果が得られず、また30重量%より多くてもその効果は変わらずコスト的に無駄が生じてしまい好ましくない。
【0011】
パーマネントウェーブ用剤第1剤の主成分である還元性物質としては、チオグリコール酸および/またはそのアンモニウム塩、モノエタノールアミン塩およびアルカリ金属塩、システインおよびアセチルシステインの塩酸塩および硫酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらの還元性物質を1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、その配合量は求めるウェーブの効果に応じて、パーマネントウェーブ用剤第1剤全量を100重量%として1.0〜15重量%である。
【0012】
パーマネントウェーブ用剤第2剤の主成分である酸化性物質には、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムおよび過酸化水素等が挙げられる。その配合量は、パーマネントウェーブ用剤第2剤全量を100重量%として、1.0〜20重量%である。
【0013】
また、本発明のパーマネントウェーブ用剤第1剤には、通常パーマネントウェーブ用剤第1剤に配合されているアンモニアやモノエタノールアミン等の有機アルカリや、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム等の無機アルカリのようなアルカリ剤、ジチオジグリコール酸またはその塩のような反応調整剤、その他カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活 性剤、油分、紫外線 吸収剤、金属封鎖剤、保湿剤、防腐剤、多価アルコール、着色剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0014】
また、本発明のパーマネントウェーブ用剤第2剤には、通常パーマネントウェーブ用剤第2剤に配合されているクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸およびリン酸ナトリウム等のpH調整剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、油分、紫外線吸収剤、金属封鎖剤、保湿剤、防腐剤、多価アルコールおよび着色剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、特に断らない限りにおいて、記載の数値の単位は重量%である。
【0016】
【実施例】
実施例1〜12
本発明をパーマネントウェーブ用剤第1剤に適用した実施例1〜8を表1および表2に、またパーマネントウェーブ用剤第2剤に適用した実施例9〜12を表3および表4に示す。尚、これらパーマネントウェーブ用剤は常法により調製した。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
<保存安定性試験>
実施例1〜3および9並びに比較例1〜5の保存安定性試験を行った。各組成物を40℃の恒温槽中に3ヶ月間保存し、その時の各組成物の安定性を外観と粘度変化から評価した。
尚、評価基準を下記のように設定した。
○:分離せず、粘度変化もほとんどない。
△:分離はしないが、粘度変化が激しい。
×:分離する。
その結果を、表1および表3に示した。
【0022】
<官能比較試験>
表5に示すパーマネントウェーブ用剤第1剤と第2剤の組み合わせにて、比較試験1〜5を行った。
・比較試験法
以前にパーマやヘアカラーなどの化学的処理を受けていない、バージンヘアーの女性25名を5名ずつ5群に分け、各々比較試験1〜5の被験者とした。いずれの試験も毛髪を左右半分に分け、片方に実施例、もう片方に比較例を処理して判定するハーフヘッド比較法にて試験を行った。毛髪処理は常法に従った。
・評価方法
毛髪の風合い:各被験者のすすぎ時および乾燥後の毛髪の風合いを、評価者5名にて官能評価を行った。なお、評価基準を下記のように設定し、平均値を算出した。
毛髪損傷の防止効果:各被験者の試験前と試験後の毛髪を採取し走査型電子顕微鏡を用いて毛髪表面の観察を行い、前後の毛小皮の状態を評価した。なお、評価基準を下記のように設定し、平均値を算出した。
評価基準
0点:悪い
1点:やや悪い
2点:普通
3点:やや良い
4点:良い
その結果を表5に示す。
【0023】
【表5】
【0024】
表1および表3の結果から、本発明は安定性に優れたパーマネントウェーブ用剤組成物を提供することが示された。
また、表5の結果から、本発明品を用いた場合、比較例に比べて明らかに毛髪の風合いおよび毛髪損傷の防止効果が優れていることが示された。
さらに、表2および4に挙げる実施例においても、相手の組成物に何を選択しても、同様な効果が得られることが確認された。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、パーマネントウェーブ用剤処理による毛髪損傷を防止し、また、毛髪に優れた風合いを与え、さらには、組成物自体の安定性を容易に確保することのできるパーマネントウェーブ用剤が提供される。
Claims (2)
- 還元性物質を主成分とするパーマネントウェーブ用剤第1剤と酸化性物質を主成分とするパーマネントウェーブ用剤第2剤の少なくともどちらか一方に、下記成分(A)、(B)及び(C)
(A)ポリアクリル酸および/またはポリアクリル酸塩
(B)高重合シリコーン
(C)カチオン性ポリマーとしてアクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、カチオン化デキストラン及びカチオン化セルロースのうちの少なくとも一種を配合することを特徴とするパーマネントウェーブ用剤組成物。 - 高級アルコールを配合することを特徴とする請求項1記載のパーマネントウェーブ用剤組成物。
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