JP3644457B2 - 弁制御装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、弁ブロツクに設けられる複数の電磁弁を持ち、これらの電磁弁にそれぞれ属する電磁石コイルがコイル保持体に設けられている、液圧又は空気圧装置の制御用弁制御装置、及び自動車におけるその使用に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ロツク防止装置は、現在ではますます弁制御装置の標準装備になつている。この場合自動車の各車輪の制動動作は、この車輪に付属する入口弁及び出口弁を介して制御されるので、全部で８つの電磁弁が液圧装置を形成している。更に滑り防止調整装置用に別の電磁弁を設けることができる。これらの電磁弁の制御は、一般に弁制御装置の乗客室に設けられている電子制御装置により電磁石コイルを介して行われる。この場合電磁石コイルを電子制御装置に接続するために必要なケーブルハーネスが不利である。弁ブロツクに設けられる弁円蓋部上へ電磁石コイルがはめられ、電磁石コイル自体はコイル保持体に収容される。電磁石コイルの位置は弁円蓋部により規定されているので、コイル保持体は電磁石コイルに対して高いはめ合い精度を持つていなければならない。更に弁円蓋部内で動く弁ニードルの確実な反応を保証するため、コイル保持体は各電磁石コイルと弁ブロツクとの間の充分な磁気的接続も保証せねばならない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従つて本発明の課題は、最初にあけた種類の弁制御装置が簡単従つて安価に製造され、同時に各電磁石コイルと弁ブロツクとの確実な磁気的接続を保証するようにすることである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため本発明によれば、コイル保持体の弁ブロツクから遠い側にプリント基板が設けられて、電子制御装置を載せているので、ケーブルハーネスが不要になる。またコイル保持体の弁ブロツクに近い側が、電磁石コイルを受入れる複数のコイル穴を持ち、これらのコイル穴の深さが電磁石コイルの長さにほぼ等しい。更に各電磁石コイルのコイル穴底に近い端面に、複数の保持指片が一端を固定され、これらの保持指片の長さが電磁石コイルの長さの半分にほぼ等しく、これらの弾性保持指片の自由端にそれぞれ係合突起が設けられ、電磁石コイルをコイル保持体のコイル穴へ導入する際、電磁石コイルの弾性保持指片の保持突起が、コイル穴の周囲に設けられる溝へ弾性的に係合して、コイル穴からの電磁石の引抜きを防止し、弾性保持指片が、コイル穴へ導入された電磁石コイルを、電磁石コイルのコイル軸線に対して直角な面内であらゆる方向に僅かな程度移動可能にしている。
【０００５】
弾性はね素子により電磁石コイルが常に弁ブロツクへ押付けられ、それにより充分高い磁気的接続が保証される。第１及び第２の手段により可動的に保持される電磁石コイルによつて、弁円蓋部の間隔に関するコイル穴間の寸法差が打消されるので、コイル保持体はコイル穴間隔に関して高い寸法精度を持つ必要がない。
【０００６】
プリント基板がコイル保持体上に取付けられているので、電磁石コイルの接続線が直接プリント基板へ導かれて、そこで適当なろう付け接続部を形成するように、電磁石コイルがコイル保持体のコイル穴へ導入される。
【０００７】
第１及び第２の手段の特に有利な構成によれば、第１の手段が、一端を電磁石コイルに固定される複数の弾性保持指片から成り、これらの保持指片の自由端にそれぞれ係合突起が設けられ、電磁石コイルをコイル穴へ導入する際この係合突起が、第２の手段として構成されてコイル穴の周囲に設けられる溝へ弾性的に係合する。電磁石コイルのコイル穴底に近い端面に保持指片が固定され、この保持指片の長さが電磁石コイルの長さの半分にほぼ等しいのがよい。
【０００８】
本発明による弁制御装置は、自動車のロツク防止装置又は滑り防止調整装置に有利に使用することができる。
【０００９】
【実施例】
本発明の実施例を図面について以下に説明する。図面において同じか又は機能的に同じ部分又は素子には同じ符号がつけてある。
【００１０】
図１及び２に示す弁制御装置は８つの電磁石コイルを含み、これらの電磁石コイルはプリント基板６上に設けられる電子制御装置により制御される。このような弁制御装置はロツク防止装置又は滑り防止調整装置に使用される。これらの８つの電磁石コイルは４つずつ２列に設けられ、それぞれ２つの対向する電磁石コイルが、車両の１つの車輪に属するブレーキの入口弁及び出口弁を制御する。
【００１１】
図２によれば、弁制御装置１は電磁石コイル３を受入れるためコイル穴５を持つコイル保持体４を含んでいる。電磁石コイル３として、中心穴３ａを持つ環状コイルが使用され（図３参照）、図５によれば、このような電磁石コイル３は巻線３ｂと環状継鉄３ｃとにより構成され、注型材料３ｄで注型されている。このような電磁石コイル３はコイル保持体４のコイル穴５へ挿入され、同時に、コイル穴底５ａの面内で対向するコイル穴５の間に設けられる貫通穴１６（図１及び５参照）に接続線１１が通される。このように組立てられるコイル保持体４は、弁を持つ弁ブロツク２上へ載せられ、それにより弁円蓋部１３が電磁石コイル３の中心穴３ａ内へ達し、これらの電磁石コイル３が弁ブロツク２上にはまつて、電磁石コイル３の環状継鉄３ｃと弁ブロツク２との間に最適な磁気的接続が行われるようにしている（図２及び３）。
【００１２】
弁ブロツク２上への電磁石コイル３の確実な押付けを保証するため、図２，３及び５からわかるように、電磁石コイル３とコイル穴底５ａとの間にばね素子８が設けられている。図２，３，４及び５によれば、このばね素子８は弾性帽体として構成されているが、図６に示すように弾性スリーブとしても構成することができる。図２に示すようにコイル保持体４が弁ブロツク２と共に組立てられると、この弾性ばね素子８が常に押圧力を電磁石コイル３へ及ぼすので、環状継鉄３ｃが弁ブロツク２にはまり合い結合される。電磁石コイル３は、既に述べた部分３ｂ，３ｃ及び３ｄのほかに、図５及び７によれば保持スパイダ９ｂを持ち、電磁石コイル３の周囲に均一に分布する保持指片９がこの保持スパイダ９ｂにフランジ結合されている。この保持スパイダ９ｂは、弾性ばね素子８を介してコイル穴底５ａに接触する（図３も参照）電磁石コイル３の端面に設けられている。各電磁石コイル３に設けられる４つの保持指片９は、電磁石コイル３の縦軸線に対して平行に延び、一端を電磁石コイル端面に固定され、環状継鉄３ｃの周面に対してほぼ平行に延びている。それにより電磁石コイル３の本来の外径ｄは、保持指片９が設けられている個所において、直径Ｄに増大される（図５及び７参照）。このような電磁石コイル３をコイル穴５へ導入できるようにするため、コイル穴５は保持指片９の範囲でコイル穴壁に切欠きを持つているので、この範囲でコイル穴５の内経は保持指片９により規定される直径Ｄに等しくなつている。電磁石コイル３をコイル穴５へ導入する際、保持指片９の自由端の外側に設けられる係合突起９ａがコイル穴５の縁に当る。保持指片９は弾性的なので、電磁石コイル３を更に導入する際係合突起９ａが電磁石コイル３の周面へ押付けられる。さて電磁石コイル３が完全にコイル穴５へ導入されると、保持指片９の係合突起９ａがコイル穴５の穴壁に設けられている溝１０内で元の状態へ戻る。従つて電磁石コイルの組込み状態で、係合突起９ａが溝１０の端部へ当るので、図２からわかるように、コイル穴５からの電磁石コイル３の自動的な脱落が防止される。
【００１３】
電磁石コイル３の組込まれた状態における保持指片９の重要な利点は、弾性保持指片９のため電磁石コイル３が、その縦軸線に対して直角な方向に僅かな程度だけ移動可能なことである。それにより弁ブロツク２とコイル保持体４との間に生ずる寸法の不精確さか打消されるか、又はコイル保持体４特にコイル穴５が高い寸法精度を持つ必要がない。従つて電磁石コイル３の位置が弁ブロツク２の弁円蓋部の位置に合わされる。
【００１４】
各電磁石コイル３は２つの接続線１１を持ち、これらの接続線はコイル保持体４のコイル穴底５ａの範囲で貫通穴１６を通つてプリント基板６上まで導かれて、そこでろう付けされる（図２参照）。電磁石コイル装置のそれぞれ１つの列内にあるそれぞれ２つの電磁石コイル３の貫通穴１６は、図１に示すように１つの列内でまとめられている。
【００１５】
コイル保持体４のプリント基板６を保持する側の１つの縦辺で、プラグ条片１５が接続導線を介してプリント基板に接続されている。この弁制御装置１は機関室内に設けることができるので、乗客室内に設けられる中央電子装置への接続は接続ケーブルを介して行われ、この接続ケーブルのプラグは、コイル保持体４にフランジ結合されるプラグ筒１４にはめられて、位置ぎめされる（図１参照）。電磁弁用電子制御装置も通常は乗客室に設けられているので、今や接続ケーブルは不要になる。なぜならば、電子制御装置を持つプリント基板６もコイル保持体４に収容されるからである。
【００１６】
図２によれば、プリント基板６として、基板７により保持される可撓性プリント基板を使用することができる。このような基板７はアルミニウムから成つているのがよい。最後に、コイル保持体４のプリント基板６を保持する側はフード状蓋１２で覆われ、従つてこの蓋１２がコイル保持体４と共に完全なハウジングを形成する。
【００１７】
このような弁制御装置を自動車に使用する場合、弁制御装置を乗客室に適したように、即ち特に湿気の侵入に対して保護せねばならない。このため弁制御装置１は図２により弾性材料例えはシリコーンゲルで注型され、それにより残つているすべての空所が、コイル穴５の範囲及びプリント基板６の範囲を満たされる。注形材料の弾性により、電磁石コイル３は縦方向にもこれに対して直角な方向にも移動可能である。
【００１８】
本発明による弁制御装置は、ロツク防止装置及び滑り防止調整装置における使用に限定されず、電磁弁が使用される自動車のどこにも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】８つの電磁石コイルを持つ本発明の弁制御装面の平面図である。
【図２】図１による弁制御装置の断面図である。
【図３】図１による弁制御装置の電磁石コイル、ばね素子及び弁円蓋部の分解斜視図である。
【図４】図３によるばね素子の断面図である。
【図５】コイル穴へ電磁石コイルを挿入する際におけるコイル穴及び電磁石コイルの断面図である。
【図６】図５によるコイル穴に使用されるばね素子の断面図である。
【図７】保持指片及び接続線を持つ電磁石コイルの平面図である。
【符号の説明】
１ 弁制御装置
２ 弁ブロツク
３ 電磁石コイル
４ コイル保持体
５ コイル穴
５ａ コイル穴底
６ プリント基板
８ ばね素子
９，９ａ，９ｂ 第１の手段
１０ 第２の手段
１３ コイル軸線

Claims (3)

1. 弁ブロツク（２）に設けられる複数の電磁弁を持ち、これらの電磁弁にそれぞれ属する電磁石コイル（３）がコイル保持体（４）に設けられているものにおいて、
   ａ）コイル保持体（４）の弁ブロツク（２）から遠い側にプリント基板（６）が設けられて、電子制御装置を載せており、
   ｂ）コイル保持体（４）の弁ブロツク（２）に近い側が、電磁石コイル（３）を受入れる複数のコイル穴（５）を持ち、これらのコイル穴（５）の深さが電磁石コイル（３）の長さにほぼ等しく、
   ｃ）各電磁石コイル（３）と対応するコイル穴底（５ａ）との間に弾性ばね素子（８）が設けられて、電磁石コイル（３）を弁ブロツク（２）へ押付け、
   ｄ）各電磁石コイル（３）のコイル穴底（５）に近い端面に、複数の保持指片（９）が一端を固定され、これらの保持指片（９）の長さが電磁石コイル（３）の長さの半分にほぼ等しく、これらの弾性保持指片（９）の自由端にそれぞれ係合突起（９ａ）が設けられ、電磁石コイル（３）をコイル保持体（４）のコイル穴（５）へ導入する際、電磁石コイル（３）の弾性保持指片（９）の保持突起（９ａ）が、コイル穴（５）の周囲に設けられる溝（１０）へ弾性的に係合して、コイル穴（５）からの電磁石（３）の引抜きを防止し、
   ｅ）弾性保持指片（９）が、コイル穴（５）へ導入された電磁石コイル（３）を、電磁石コイル（３）のコイル軸線に対して直角な面内であらゆる方向に僅かな程度移動可能にしている
   ことを特徴とする、液圧又は空気圧装置の制御用弁制御装置。
2. 電磁石コイル（３）の接続線（１１）が直接プリント基板（６）へ導かれていることを特徴とする、請求項１に記載の弁制御装置。
3. 自動車のロツク防止装置又は滑り防止調整装置のため請求項１又は２に記載の弁制御装置の使用。

Images