JP3640879B2 - シート材搬送機構及びこのシート材搬送機構を備えた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プリント済みのシート材(シート状の紙、プラスチックシート等)を一旦積載部材としての中間トレイ上に排出した後、そのシート材を中間トレイ上からさらに他部へ搬出するシート材搬送機構、及びこれを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小型の画像形成装置、例えば、デスクサイド又は卓上の小型の複写機において、シート材を下方から上方に搬送しながら画像形成を行い、画像形成後のシート材に後処理(例えば、ステープル処理)を行うものが知られている。
【0003】
図7は、このような複写機の一部の概略構成を模式的に示す図である。
【0004】
給紙カセット1に収納されたシート材Pは、搬送経路2に沿って下方から上方に搬送される。そして搬送中に画像形成部3においてトナー像が転写され、さらに定着部4においてトナー像が定着されて画像形成が終了する。画像形成後のシート材Pは、さらに上方に搬送された後、搬送経路2に沿って横方向(同図では右向き)に進路を変え、搬送経路2の終端となる排出口2aから横方向に排出され、中間トレイ(積載部材)上に積載される。
【0005】
こうして中間トレイ5上の積載枚数が所定の枚数(例えば、ステープルする枚数)に達したら、画像形成を一旦停止して、ステープルを行う。そして、ステープル後のシート材Pは、中間トレイ5から排出時とは反対の横方向(同図では左向き)に向けて、搬送経路6の始端となる排出口6aに供給され、搬送経路6に沿って排出される。
【0006】
上述の複写機は、給紙カセット1と搬送経路2と中間トレイ5とで、U字形を横にしたような構成になっていて、全体を小型化、特に、上方から見たときの占有面積を小さく抑えることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような複写機においては、一般に、搬送経路6の搬出口(始端)6aが、搬送経路2の排出口(終端)2aよりも下方に位置する。その理由は、排出口2aから横方向に排出したシート材Pを中間トレイ5上に円滑に積載するには、中間トレイ5の配設高さを、排出口2aよりも下方に設定するのがよく、また、後処理後のシート材Pを中間トレイ5から排出するには、中間トレイ5の先端5aの高さが、搬送経路2の搬出口6aとほぼ同じ高さであることが好ましいからである。
【0008】
上述のように搬送経路6の搬出口6aを、搬送経路2の排出口2aよりも下方に配置した場合には、搬送経路6と搬送経路2とが途中で交差して略十字形の分岐点7が形成される。
【0009】
そして、このような略十字形の分岐点7が形成されると、搬送経路2,6を切り替えるための切替え部材の構成や動作が複雑となり、また、分岐点を通過するときにシート材Pが引っかかってジャム(紙詰まり)を起こしやすい。
【0010】
そこで、本発明は、シート材の搬送経路が略十字形に交差しないような構成にすることにより、切替え部材を省略し、又は切替え部材の構成や動作を簡単なものとし、しかも、ジャムの発生を防止するようにしたシート材搬送機構、及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るシート材搬送機構は、下方から搬送されてきたシート材を第1の搬送経路に沿って横方向に排出して積載部材上に積載し、その後、積載部材上のシート材を第2の搬送経路に沿って排出時とほぼ逆の横方向に搬出するようになっている。そして、このシート材搬送機構は、第1の搬送経路の終端に、シート材が横方向に排出される排出口を設け、第2の搬送経路の始端に、積載部材上のシート材が供給される搬出口を設け、これらは排出口及び搬出口について、排出口を搬出口よりも下方に配置するとともに、積載部材の少なくとも先端側を排出口から排出されるシート材を受け入れる下方の排出位置と、積載部材上のシート材を搬出口に供給する上方の搬出位置との間で移動可能とし、積載部材の少なくとも一部を排出位置と搬出位置との間で移動させる駆動手段を設けることを特徴としている。
【0012】
このような構成の本発明によれば、排出口を搬出口よりも下方に配置することにより、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが交差する分岐点を設けなくてすむので、シート材の搬送経路を切り替えるための切替え部材が不要であり、また、分岐点にシート材が引っかかって発生するジャムを防止することができる。さらに、積載部材の少なくとも一部を、下方の排出位置と上方の搬出位置とに移動させることで、排出口から排出したシート材を積載部材上に良好に積載し、また、積載部材上のシート材を搬出口に円滑に供給することができる。
【0015】
請求項2の発明に係るシート材搬送機構は、積載部材の少なくとも先端側が、ほぼ上下方向に揺動可能に支持されていることを特徴としている。
【0016】
このような構成の本発明によれば、積載部材の少なくとも先端側を揺動させることで、排出位置と搬出位置とに配置することができる。
【0017】
請求項3の発明に係るシート材搬送機構は、積載部材が昇降可能に支持されていることを特徴としている。
【0018】
このような構成の本発明によれば、積載部材を昇降させることで、排出位置と搬出位置とに配置することができる。
【0019】
請求項4の発明に係る画像形成装置は、シート材上にトナー像を形成する画像形成部と、トナー像をシート材上に定着する定着部と、トナー像定着後のシート材を積載部材上に排出し、その後、積載部材上からシート材を搬出するシート材搬送機構と、を備えた画像形成装置において、上述のシート材搬送機構が、上述の請求項1,2又は3の発明に係るシート材搬送機構であることを特徴としている。
【0020】
このような構成の本発明によれば、切替え部材を省略し又はその構成及び動作を簡略化することができ、また、シート材のジャムを防止又は抑制することができる。すなわち、画像形成装置全体として、構成の簡略化、及びジャムの発生を低減させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0022】
(画像形成装置)
図1及び図2は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す図である。ここで、図1は、画像形成装置としての複写機10の内部構成を正面側から見た概略図である。また、図2は、複写機10の外観形状、すなわち複写機本体11の外側から見た形状を示す斜視図である。
【0023】
まず、図1を主に、適宜、図2を参照しながら複写機10の構成の概略を説明し、これにつづいて構成の詳細を説明する。
【0024】
複写機10は、ほぼ直方体状に構成された複写機本体11を備えており、複写機本体11は、上下方向に3つの部分、すなわち、下から順に、下ハウジング12と、連結ハウジング13と、上ハウジング14とに大別される。そして、下ハウジング12の内側には、下から順に、給紙部15、画像形成部16、定着部17が設けられている。また、連結ハウジング13には、排紙部18、後処理部20が設けられている。これら給紙部15から後処理部20までは、画像形成対象となるシート材(例えば紙)Pが下方から上方に搬送されるのに対応して、下から上に順に配設されている。上ハウジング14の内側には、画像読取り部21が設けられている。上述の連結ハウジング13は、排紙部18の右方における下ハウジング12と上ハウジング14との間に、排紙空間Sを有している。
【0025】
つづいて、給紙部15から順に各部の構成の詳細を説明する。
【0026】
給紙部15は、複数枚のシート材Pが積層状態で収納される給紙カセット23と、給紙カセット23内のシート材Pを1枚ずつ給紙する給紙ローラ24と、ユーザーが手差しによってシート材を給紙するための手差しトレイ25と、手差しトレイ25にセットされたシート材を給紙する給紙ローラ26と、給紙ローラ24,26から供給されたシート材Pを一旦、停止させるとともに画像形成部16に同期をとって供給するレジストローラ27とを備えている。なお、給紙カセット23は、図2に示すように、ユーザーにとって手前側となる前方(矢印a方向)に引き出し可能に構成されていて、引き出した状態で、シート材Pの補給や、異なったサイズのシート材Pへの交換が行われるようになっている。また手差しトレイ25は、図1に示すように、基端側の軸25aを介して下ハウジング12によって揺動自在に支持されており、図1に示すほぼ水平な作動位置と、複写機本体11の左側面に沿ってほぼ直立する退避位置とをとるようになっている。
【0027】
画像形成部16は、像担持体としての感光体ドラム28と、感光体ドラム28表面を均一に帯電する一次帯電器30(帯電手段)と、帯電後の感光体ドラム28表面を露光して静電潜像を形成する露光器(露光手段、例えば、レーザースキャナユニット)31と、この静電潜像にトナーを付着させて現像する現像器(現像手段)32と、感光体ドラム28上のトナー像を上述のレジストローラ27から供給されてきたシート材Pに転写する転写帯電器(転写ローラ)33と、トナー像転写後に感光体ドラム28表面に残った残留トナーを除去するクリーナ34とを備えている。上述の露光器31は、後述の画像読取り部21が読み取った画像情報に基づいてON/OFF制御されるレーザー光によって感光体ドラム28表面を走査するようになっている。
【0028】
定着部17は、ヒータ35を内蔵する定着ローラ36と、この定着ローラ36に押圧されて定着ローラ36との間に定着ニップ部を構成する加圧ローラ37とを備えている。上述の画像形成部16において、表面にトナー像が転写されたシート材Pは、この定着部17において、定着ニップ部を通過する際に、加熱・加圧されて表面にトナー像が定着されるようになっている。
【0029】
排紙部18は、トナー像定着後のシート材Pの搬送経路を上方の後処理部20側と、右方の排紙空間S側とに切り換えるフラッパ38と、フラッパ38からのシート材Pを右方の排紙空間Sに向けて排出する排紙ローラ対40と、排紙空間Sの底部を構成する平面状の排紙板41とを備えている。排紙ローラ対40から排出されたシート材Pは、画像面(トナー像が定着された面)を下方に向けた、いわゆるフェースダウンで排紙板41上に積載されるようになっている。
【0030】
後処理部20は、給搬送ユニット42と、整合ユニット43と、排紙トレイ44と、後処理器としてのステープラ45(図2参照)とを備えている。
【0031】
給搬送ユニット42全体は、上述の排紙部18の上方に配設されている。図3に示すように、給搬送ユニット42は、第1の搬送経路46と、第2の搬送経路47と、ローラ部材48,49,50と、排紙ローラ対51とを備えている。給搬送ユニット42は、下方の排紙部18から搬送されてきたシート材Pを右方の整合ユニット43に排出し、また、整合ユニット43上に排出されたシート材Pを左方の排紙トレイ44上に搬出するようになっている。なお、給搬送ユニット42については、後に詳述する。
【0032】
整合ユニット43は、図1に示すように、給搬送ユニット42の右方に隣接するように配設され、上述の排紙板41の上方、すなわち排出空間Sの上部に位置している。整合ユニット43は、給搬送ユニット42から排出されてきたシート材Pを下方から支持する中間トレイ53と、中間トレイ53の上面(シート材積載面)に沿ってほぼ左右方向に移動可能な前寄せ部材54と、中間トレイ53の上面に沿ってほぼ前後方向に移動可能な幅寄せ部材55,56とを備えている。中間トレイ53は、図3に示すように、先端側(給搬送ユニット42側)が支点52aを中心にほぼ上下方向に揺動する可動板52となっている。可動板52の先端には、可動板52の上面から突出するストッパ52bが可動板52の上面から退避できるように取り付けられている。可動板52は、図3に示す下方の排出位置A(後述)と、ほぼ水平の搬出位置B(後述)との間を移動できるようになっている。そして、可動板52が搬出位置Bに移動した場合、ストッパ52bが回動して可動板52の上面から退避して、シート材Pの搬出を可能にする。なお、中間トレイ53については後に詳述する。
【0033】
前寄せ部材54は、中間トレイ53上にシート材Pが排出されるごとに左右方向の往復運動を繰り返し、左方移動時にシート材Pの先端を押圧して、シート材Pの後端をストッパ52bに当接させ、これにより、中間トレイ53上のシート材Pの搬送方向の位置を整合させるものである。一方、幅寄せ部材55,56は、中間トレイ53上にシート材Pが排出されるごとに相互に近接・離間を繰り返し、近接時にシート材Pの両端部をそれぞれ押圧し、これにより、中間トレイ53上のシート材Pの搬送方向に直交する方向(以下「幅方向」という。)の位置を整合させるものである。上述の幅寄せ部材55,56は、上述の整合動作の外に、中間トレイ53上のシート材Pを、前面側(手前側)に移動させて排紙トレイ44上に排出されるシート材Pの幅方向に位置をずらして仕分けを行ったり、さらには、同じく中間トレイ53上のシート材Pを、前面側のステープラ45に対応する位置に移動させ、そして、ステープル後のシート材Pを後方に移動させて元の位置に復帰させたりすることができるようになっている。
【0034】
排紙トレイ44は、給搬送ユニット42の左方に配設されていて、給搬送ユニット42から搬送されてきたシート材Pを左方に排出する排紙ローラ対57と、排出されたシート材Pを下方から支持する積載部58とを備えている。
【0035】
ステープラ45は、複数枚のシート材Pをステープルするためのものであり、図2に示すように、上述の給搬送ユニット42の前面側に配設されている。
【0036】
画像読取り部(画像読取り装置)21は、原稿Dがその画像面(画像情報)Gを下方に向けて載置される光透過性の原稿台60と、原稿Dを原稿台60に押圧する開閉自在な原稿押圧板61と、原稿台60上の原稿Dの画像面Gを光照射しながら左方から右方に移動する走査ユニット62と、画像面Gからの反射光をさらに反射させるミラー63,64,65と、反射光をCCD67に結像させるレンズユニット66と、光電変換するCCD67とを備えている。原稿読取り部21は、原稿Dを固定し、かつ走査ユニット62を移動させる、いわゆる固定読みを行うようになっている。この画像読取り部21で読み取った画像情報は、前述の露光器31に送られるようになっている。このような画像読取り部21が内部に配設された上ハウジング14の前面側には、ユーザーによって操作される操作パネル68が配設されている。
【0037】
このように構成された複写機10において、原稿台60上に載置された原稿Dは、走査ユニット62等によって走査され、これにより画像面(画像情報)Gが読み取られる。読み取られた画像情報は、画像形成部16の露光器31に送られる。
【0038】
一方、画像形成部16においては、感光体ドラム28が矢印方向に回転駆動され、その表面が一次帯電器34によって所定の極性・所定の電位に均一に帯電される。帯電後の感光体ドラム28表面は、露光器31によって画像情報に基づいた露光が行われ、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器32によってトナーが付着されてトナー像として現像される。こうして感光体ドラム28上に形成されたトナー像は、転写帯電器33によってシート材P表面に転写される。
【0039】
このシート材Pは、給紙部15の給紙カセット23又は手差しトレイ25から給紙ローラ24又は給紙ローラ26によって給紙された後、レジストローラ27によって一旦停止され、さらに、感光体ドラム28上のトナー像に同期するようにして感光体ドラム28と転写帯電器33との間の転写部に供給されたものである。
【0040】
トナー像転写後の感光体ドラム28は、表面に残った残留トナーがクリーナ34によって除去され、次の画像形成に供される。
【0041】
一方、トナー像転写後のシート材Pは、定着部17に搬送され、ここで定着ローラ36及び加圧ローラ37によって加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。
【0042】
こうしてトナー像が定着されたシート材Pは、後処理の有無によって排出先が以下のように異なる。
【0043】
まず、後処理がない場合の、トナー像定着後のシート材Pは、排紙部18のフラッパ38によって右方の排紙ローラ対40に導かれ、この排紙ローラ対40によって右方の排紙板41上に、画像面(トナー像が形成された面)を下方に向けた、いわゆるフェースダウンで排紙されて、次々と積載される。
【0044】
これに対して、後処理がある場合の、トナー像定着後のシート材Pは、フラッパ38の切り換えによって上方の後処理部20に搬送される。搬送されてきたシート材Pは、中間トレイ53上に排出される。中間トレイ53上に排出されたシート材Pは、その先端が前寄せ部材54によって左方に押され、後端がストッパ52bに突き当てられ、これにより、搬送方向の位置が整合される。排紙されたシート材Pは、これと同時に、幅寄せ部材55,56によって幅方向の両側端部が押圧され、これにより幅方向の位置が整合される。このような整合動作は、中間トレイ53上に次々に排出されるシート材Pに対して、同様に行われる。
【0045】
そして、ステープル処理を行う所定の枚数のシート材Pが中間トレイ53上に積載されると、シート材Pの中間トレイ上への排出が停止される。その後、シート材Pの幅方向両側端部に当接された状態の幅寄せ部材55,56が前方に移動して、シート材Pの後端の手前側をステープラ45に対応する位置に配置する。ステープラ45が動作して、所定の枚数のシート材Pが綴じられる。ステープル処理後のシート材Pは、給搬送ユニット42によって左方に搬出され、排紙トレイ44の排紙ローラ対57によって積載部58(図1参照)上に排出され、積載される。
【0046】
(シート材搬送機構)
次に、本発明に係るシート材搬送機構について詳述する。
【0047】
本発明に係るシート材搬送機構は、図3に示すように、第1の搬送経路46と、第2の搬送経路47と、中間トレイ(積載部材)53と、駆動手段としてのモータ59aとを備えている。
【0048】
第1の搬送経路46は、下方の排紙部18(図1参照)から搬送されてきたシート材Pの進行方向を徐々に中間トレイ53側に向ける湾曲部とこれに連続する水平部とを有しており、水平部の最右端、すなわち第1の搬送経路46の終端には排出口46aが設けられている。そして、この排出口46aには、上方にローラ部材49が、また下方にローラ部材50が配設されている。第1の搬送経路46は、下方から搬送されてきたシート材Pの進行方向を上方向から横方向に変える。こうして横方向に向きを変えたシート材Pは、ローラ部材49,50によって挟持され、排出口46aから横向きに排出されるようになっている。
【0049】
第2の搬送経路47は、上述の第1の搬送経路46の上方に配設されたほぼ水平な搬送経路である。第2の搬送経路47の始端(同図では、右端)には、中間トレイ53からシート材Pが供給される搬出口47aが設けられている。この搬出口47aは、上述の排出口46aのすぐ上方に配置されている。そして、搬出口47aには、上方にローラ部材48が、また下方に上述のローラ部材49が配設されている。すなわち本実施の形態では、3個のローラ部材48,49,50が上方から順に縦に並べて配設されており、このうちの前二者のローラ部材48,49が中間トレイ53上のシート材Pを第2の搬送経路47の搬出口47aから搬出するのに使用されるのに対し、後二者のローラ部材49,50はシート材Pを第1の搬送経路46の排出口46aから排出するのに使用されるようになっている。第2の搬送経路47の終端(図3では左端)には、シート材Pを左方の排紙トレイ44(図1参照)に向けて搬送する搬送ローラ対51が配設されている。
【0050】
中間トレイ53は、前述したように、先端側が支点52aを中心としてほぼ上下方向に揺動可能な可動板52となっている。可動板52は、図3に示す斜め下方に傾斜した排出位置Aとほぼ水平な搬出位置Bとの間で移動可能である。可動板52は、排出位置Aに配置されたときには、その先端が上述の排出口46aよりも少し下方に位置し、また、搬出位置Bに配置されたときには、その先端が上述の搬出口47aにほぼ一致する高さに位置するようになっている。なお、可動板52が搬出位置Bに配置されたときは、前述のストッパ52bは、退避して、中間トレイ53上のシート材Pの左方への移動を許容するように構成されている。
【0051】
モータ59aは、その出力軸(図示せず)に、前述の支点52aとなる軸が連結されている。モータ59aの正転及び逆転によって、可動板52が排出位置Aと搬出位置Bとをとるようになっている。なお、モータ59aの動作は、CPU(制御手段)59bによって制御されている。
【0052】
次に、上述構成のシート材搬送機構の動作を説明する。
【0053】
画像形成時には、中間トレイ53の可動板52は、図3に示す排出位置Aに配置されている。画像形成後、後処理(例えば、ステープル処理)が行われるシート材Pは、第1の搬送経路46に沿って搬送され、ローラ部材49を反時計回りに回転させることで、ローラ部材49,50間に挟持され、排出口46aから横方向に排出される。排出されたシート材Pは、中間トレイ53上に積載される。このとき、シート材Pの後端側は、排出位置Aに配置された斜めの可動板52上に載置される。シート材Pが排出され、中間トレイ53上に積載されるごとに前寄せ部材54と幅寄せ部材55,56(図1参照)によって積載位置が整合される。同様の、シート材Pの排出動作及び整合動作が、積載枚数がステープル処理を行う所定の枚数に達するまで繰り返される。そして、積載枚数が所定の枚数に達したら、画像形成を終了し、モータ59aを回転させて可動板52を排出位置Aから搬出位置Bに移動する。その後、前述のステープル処理を行う。
【0054】
ステープル処理後、前寄せ部材54を左方に移動して、シート材Pの後端側を搬出口47aに挿入し、ローラ部材48,49によってシート材Pの後端側を挟持する。その後、ローラ部材49を反時計回りに回転させることで、シート材Pを第2の搬送経路47に沿って横方向に排出し、さらに、搬送ローラ対51によって左方の排紙トレイ44に向けて搬送する。
【0055】
このような構成、動作のシート材搬送機構によれば、第1の搬送経路46の排出口46aを、第2の搬送経路47の搬出口47aよりも下方に配置することにより、第1の搬送経路46と第2の搬送経路47とが交差する分岐点を設けなくてすむので、シート材Pの搬送経路46,47を切り替えるための切替え部材が不要であり、また、分岐点にシート材Pが引っかかって発生するジャムを防止することができる。さらに、中間トレイ53の一部である可動板52を、下方の排出位置Aと上方の搬出位置Bとに移動させることで、排出口46aから排出されたシート材Pを中間トレイ53上に良好に積載し、また、中間トレイ53上のシート材Pを搬出口47aに円滑に供給することができる。
【0056】
上述の実施の形態において、シート材Pの排出口46aからの排出、及び搬出口47aからの搬出に際して、ローラ部材48,49,50のうちのローラ部材49のみを駆動するようにしたが、他のローラ部材48,50も駆動するようにしてもよい。
【0057】
また、可動板52を揺動させるための機構としては、上述の、モータ59aによって可動板52を直接、揺動させるもののほかに、例えば、カム(図示せず)によって可動板52を揺動させるようにしてもよい。
【0058】
図4、図5、図6に、シート材搬送機構のそれぞれ別の実施の形態を示す。なお、以下の説明では、図3に示す前述の実施の形態を実施の形態1とし、図4、図5、図6に示す実施の形態をこの順に、実施の形態2,3,4とする。そして、各実施の形態の共通部分については同じ符号を付して説明は適宜省略し、相違点について主に説明するものとする。
【0059】
図4に示す実施の形態2のものは、図3に示す実施の形態1のものが中間トレイ53の一部である可動板52を上下に揺動させていたのとは異なり、中間トレイ53全体を上下に揺動させている点が大きく異なる。
【0060】
中間トレイ53は、後端側に設けた支点53aを中心にその全体がほぼ上下方向に揺動し、排出位置Aと搬出位置Bとをとるように構成されている。外に、本実施の形態2では、第1の搬送経路46の排出口46aには、排出専用のローラ部材71,72を設け、また、第2の搬送経路47の搬出口47aを排出口46aの上方でかつ右方に設け、搬出専用のローラ部材73,74を設けている点が異なる。このうちローラ部材73は、搬出口47aに移動不能に配置され、他のローラ部材74は、中間トレイ53によって支持されている。したがって、中間トレイ53が下方の排出位置Aに配置されたときには、ローラ部材73とローラ部材74とに間にはシート材Pの排出を妨げない十分な空間が形成される。一方、中間トレイ53が搬出位置Bに配置されたときには、下方のローラ部材74が中間トレイ53とともに上昇して上方のローラ部材73との間にシート材Pの後端部を挟持することができる。
【0061】
本実施の形態2によれば、実施の形態1ではシート材Pの後端部を挟持するために、前寄せ部材54によってシート材を左方に移動させることが必要であったのとは異なり、中間トレイ53を下方の排出位置Aから上方の搬出位置Bに移動させることによって自動的にローラ部材73,74によってシート材Pの後端部を挟持することができる、という利点がある。
【0062】
図5に示す実施の形態3は、中間トレイ53上にシート材Pを排出するローラ部材を、図1に示す排紙部18の排出ローラ対40が兼用している。したがって、図1に示す、トナー像定着後のシート材Pを排出ローラ対40に導くシート材搬送経路が、第1の搬送経路46ということになる。さらに、本実施の形態3では、実施の形態1と同様、中間トレイ53の一部である可動板52を上下に揺動させて排出位置Aと搬出位置Bとに配置するようにしているが、実施の形態1よりも上下のストロークを大きくとる必要があるので、支点52aの位置を後方にずらして、可動板52の長さを長くしている。本実施の形態3では、上述の可動板52が、排出ローラ対40によって排出されるシート材Pの排出先を、前述の排紙板41と、中間トレイ53とに切り替える切替え部材として作用している。本実施の形態3では、図3の実施の形態1と比較して、排出位置Aと搬出位置Bとの高さの差が大きいので、シート材Pの排出及び搬出のためのローラ部材として実施の形態3では3個のローラ部材48,49,50ですんでいたのに対して、4個のローラ部材、すなわち、ローラ部材48,49、排出ローラ対40が必要となる。
【0063】
本実施の形態3によれば、第1の搬送経路46及びシート材Pを排出するためのローラ部材として、排紙部18の構成の一部を兼用することができるので、実施の形態1,2よりもさらに構成を簡略化して、給搬送ユニット42の収容スペースの省スペース化(画像形成装置の高さ方向の小型化)を図ることができ、画像形成装置の軽量化を図ることができる。なお、本実施の形態において、給搬送ユニット42の省スペースを行わない場合には、シート材Pの積載量を多くすることができる。
【0064】
図6に示す実施の形態4は、前述の実施の形態2の特徴、すなわち、中間トレイ53全体を排出位置Aと搬出位置Bとに配置する点と、上述の実施の形態3の特徴、すなわち、排紙部18の一部の構成を兼用することができる点とを組み合わせたものである。したがって両者の利点を有している。すなわち中間トレイ53を排出位置Aから搬出位置Bに移動させることでローラ部材73,74によりシート材Pの後端部を挟持することができ、また、実施の形態1,2よりもさらに構成を簡略化して、給搬送ユニット42の収容スペースの省スペース化を図ることができ、画像形成装置の小型化・軽量化を図ることができる。さらに、本実施の形態において、給搬送ユニット42の省スペース化を行わない場合には、シート材Pの積載量を多くすることができる。
【0065】
なお、上述の実施の形態2〜4は、実施の形態1の変形例に相当するものであるため、ジャムの防止等の実施の形態1と同様の作用・効果を奏するのはもちろんである。
【0068】
以上の実施の形態1〜4では、中間トレイ53の全体又はその一部の可動板52を下方の排出位置Aと上方の搬出位置Bとの間で移動させるのに、これらを揺動させていたが、これに代えて、例えば、中間トレイ53全体を昇降(上下方向に平行移動)させるようにしてもよい。この場合にも、上述の実施の形態1〜4とほぼ同等の効果をあげることができる。
【0069】
また、上述の実施の形態では、画像形成装置が電子写真方式の複写機である場合について説明したが、複写機に限らずプリンタやファクシミリについても、また、インクジェット方式のプリンタ等にも本発明を適用することができる。さらに、本発明のシート材搬送機構は、ADF(自動原稿送り装置)として、シート材としての原稿の搬送に使用することもできる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、排出口を搬出口よりも下方に配置することにより、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが交差する分岐点が不要となるので、搬送経路を切り替える部材が不要であり、また、従来の分岐点におけるジャムをなくすことができる。さらに、積載部材の少なくとも一部を、下方の排出位置と上方の搬出位置とに移動させることで、排出口から排出したシート材を積載部材上に良好に積載し、また、積載部材上のシート材を搬出口に円滑に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像形成装置(複写機)の概略構成図である。
【図2】 複写機の外観形状を示す斜視図である。
【図3】 シート材搬送機構の実施の形態1を示す概略構成図である。
【図4】 シート材搬送機構の実施の形態2を示す概略構成図である。
【図5】 シート材搬送機構の実施の形態3を示す概略構成図である。
【図6】 シート材搬送機構の実施の形態4を示す概略構成図である。
【図7】 従来の複写機の一部の概略構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10……複写機(画像形成装置)、16……画像形成部、46……第1の搬送経路、46a……排出口、47……第2の排出経路、47a……搬出口、53……中間トレイ(積載部材)、59a……モータ(駆動手段)、A……排出位置、B……搬出位置、P……シート材
Claims (4)
- 下方から搬送されてきたシート材を第1の搬送経路に沿って横方向に排出して積載部材上に積載し、その後、前記積載部材上のシート材を第2の搬送経路に沿って前記排出時とほぼ逆の横方向に搬出するシート材搬送機構において、
前記第1の搬送経路の終端に、前記シート材が横方向に排出される排出口を設け、
前記第2の搬送経路の始端に、前記積載部材上のシート材が供給される搬出口を設け、
前記排出口を前記搬出口よりも下方に配置するとともに、
前記積載部材の少なくとも先端側を前記排出口から排出されるシート材を受け入れる下方の排出位置と、前記積載部材上のシート材を前記搬出口に供給する上方の搬出位置との間で移動可能とし、
前記積載部材の少なくとも一部を前記排出位置と前記搬出位置との間で移動させる駆動手段を設けることを特徴とするシート材搬送機構。 - 前記積載部材の少なくとも先端側が、ほぼ上下方向に揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のシート材搬送機構。
- 前記積載部材が昇降可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のシート材搬送機構。
- シート材上にトナー像を形成する画像形成部と、前記トナー像を前記シート材上に定着する定着部と、トナー像定着後のシート材を積載部材上に排出し、その後、前記積載部材上からシート材を搬出するシート材搬送機構と、を備えた画像形成装置において、
前記シート材搬送機構が、請求項1,2又は3に記載のシート材搬送機構であることを特徴とする画像形成装置。
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