図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態の概要を示す正面視の説明図であり、図2は、その外観斜視図である。図1および図2においては、画像形成装置10の一例としての複写機を示している。以下、図1を主に、適宜、図2を参照しながら画像形成装置10の構成の概略を説明し、引き続き用紙整合装置の詳細を説明する。
画像形成装置10は、略直方体状に構成された機器本体11を備えている。機器本体11は、上下方向に3つの部分、すなわち、下から順に、下ハウジング12と、連結ハウジング13と、上ハウジング14とに大別される。そして、下ハウジング12の内側には、下から順に、給紙部15と、画像形成部16と、定着部17とが設けられている。また、連結ハウジング13には、排紙部18および後処理部20が設けられている。これら給紙部15から後処理部20までは、画像形成対象となる用紙Pが下方から上方に搬送されるのに対応して、下から上に順に配設されている。
上ハウジング14の内側には、画像読取り部21が設けられている。前記排紙部18の右方における下ハウジング12と上ハウジング14との間には、排紙空間Sが設けられている。また、上ハウジング14の上部には、原稿送り機構22(図2)が設けられている。
前記給紙部15は、複数枚の用紙Pが積層状態で収納される給紙カセット23と、この給紙カセット23内の用紙Pを1枚ずつ給紙する給紙ローラ24と、ユーザーが手差しによって用紙を給紙するための手差しトレー25と、手差しトレー25にセットされた用紙を給紙する給紙ローラ26と、これら給紙ローラ24,26のいずれかから供給された用紙Pを一旦、停止させるとともに画像形成部16に同期をとって供給するレジストローラ27とを備えている。なお、給紙カセット23は、図2に示すように、ユーザーにとって手前側となる前方(矢印a方向)に引き出し可能に構成されていて、引き出した状態で、用紙Pの補給や、異なったサイズの用紙Pへの交換が行われるようになっている。また手差しトレー25は、図1に示すように、基端側の軸25aを介して下ハウジング12に揺動自在に支持されており、図1に示す略水平な作動位置と、機器本体11の左側面に沿って略直立する退避位置との間で姿勢変更し得るようになっている。
前記画像形成部16は、像担持体としての感光体ドラム28と、この感光体ドラム28の周面を均一に帯電させる一次帯電器30と、帯電後の感光体ドラム28表面を露光して静電潜像を形成する、例えば、レーザースキャナからなる露光器31と、この静電潜像にトナーを付着させて現像する現像器32と、感光体ドラム28上のトナー像を前記レジストローラ27から供給されてきた用紙Pに転写する、転写ローラからなる転写帯電器33と、トナー像転写後に感光体ドラム28表面に残った残留トナーを除去するクリーナ34とを備えている。前記露光器31は、後述の画像読取り部21が読み取った画像情報に基づいて制御されるレーザー光によって感光体ドラム28の周面を走査するようになっている。
前記定着部17は、ヒータ35を内蔵する定着ローラ36と、この定着ローラ36に押圧されて定着ローラ36との間に定着ニップ部を構成する加圧ローラ37とを備えている。前記画像形成部16において、表面にトナー像が転写された用紙Pは、この定着部17において、加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される、いわゆる定着処理が施されるようになっている。
前記排紙部18は、トナー像定着後の用紙Pの搬送経路を上方の後処理部20側と、右方の排紙空間S側とに切り換えるフラッパ38と、このフラッパ38からの用紙Pを右方の排紙空間Sに向けて排出する排紙ローラ40と、排紙空間Sの底部を構成する平面状の排紙板41とを備えている。排紙ローラ40から排出された用紙Pは、画像面(トナー像が定着された面)を下方に向けた、いわゆるフェースダウンで排紙板41上に積層されるようになっている。
前記後処理部20は、給搬送ユニット42と、整合ユニット43と、胴外トレー44と、後処理器としてのステープラ45(図2)とを備えている。
前記給搬送ユニット42は、前記排紙部18(図1)の上方に配設されている。図3および図4は、給搬送ユニット42の一実施形態を示す正面視の説明図であり、図3は、用紙Pが整合ユニット43へ給紙される状態、図4は、用紙Pが胴外トレー44へ排紙される状態をそれぞれ示している。
図3および図4に示すように、給搬送ユニット42は、排紙部18から搬送されてきた用紙Pをガイドする切り換え可能な第1フラッパ46および第2フラッパ47と、これら第1および第2フラッパ46,47によってガイドされた用紙Pを右方の整合ユニット43に向けて排出する上排紙ローラ48および下排紙ローラ49と、整合ユニット43に排出された用紙Pの後端の位置を規制する、退避可能な用紙ストッパ51と、整合ユニット43上の用紙Pを左方の胴外トレー44(図1)に向けて搬送する搬送ローラ52とを備えて構成されている。
前記第1および第2フラッパ46,47は、図3および図4に示す姿勢の間で切り換え可能となっている。そして、図3に示す姿勢(胴内排紙姿勢)に姿勢設定されたときには、下方の排紙部18から搬送されてきた用紙Pを上下の排紙ローラ48,49に導くようになっている。また、図4に示す姿勢(胴外排紙姿勢)に姿勢設定されたときには、下排紙ローラ49と搬送ローラ52とによって右方から挟持搬送されてきた用紙Pを左方の胴外トレー44(図1)側に導くようになっている。
また、用紙ストッパ51は、図3に示す、基準面59から上方に突出した起立姿勢と、図4に示す、基準面59の下方に退避する退避姿勢との間で姿勢変更可能になっている。さらに、搬送ローラ52は、図3に示す、基準面59から下方に退避した退避位置と、図4に示す、基準面59から上方に突出した作動位置との間で位置変更可能になっている。そして、搬送ローラ52が退避位置にあるときは、上方の下排紙ローラ49との間に複数枚の用紙Pの後端が進入できるだけの間隙が形成されている。なお、下排紙ローラ49は、排紙ローラと搬送ローラとを兼用している。すなわち、下排紙ローラ49は、図3に示す状態のときは、上排紙ローラ48とともに用紙Pを胴内トレー(排紙トレー)53上に排出する一方、図4に示す状態のときは、搬送ローラ52とともに用紙Pを挟み込んで左方に搬送するようになっている。
このように、給搬送ユニット42は、下方の排紙部18から搬送されてきた用紙Pを右方の整合ユニット43に排出したり、整合ユニット43上に排出された用紙Pを左方の胴外トレー44上に排出する切換え機能を備えている。
前記画像読取り部21は、図1に示すように、原稿Dがその画像面Gを下方に向けて載置される光透過性の原稿台60と、原稿Dを原稿台60に押圧する開閉自在な原稿押圧板61と、原稿台60上の原稿Dの画像面Gに光を照射しながら左方から右方に移動する走査ユニット62と、画像面Gからの反射光をさらに反射させるミラー63,64,65と、反射光を後述のCCD67に結像させるレンズユニット66と、このレンズユニット66を介して給光された前記反射光を光電変換して電気信号に変えるCCD67とを備えている。
原稿読取り部21は、原稿Dを固定し、かつ走査ユニット62を移動させる、いわゆる固定読みを行うようになっている。この画像読取り部21で読み取った画像情報は、前述の露光器31に送られるようになっている。このような画像読取り部21が内部に配設された上ハウジング14の前面側には、ユーザーによって操作される操作パネル68(図2)が配設されている。
このように構成された画像形成装置10において、原稿台60上に載置された原稿Dは、走査移動する走査ユニット62等によって画像面Gの画像情報が読み取られる。読み取られた画像情報は、ディジタル化されて画像形成部16の露光器31に送られる。
一方、画像形成部16においては、感光体ドラム28が矢印方向に回転駆動され、その表面が一次帯電器34によって所定の極性・所定の電位に均一に帯電される。帯電後の感光体ドラム28の表面には、ディジタル化された画像情報に基づいた露光器31による露光処理が施され、これによって静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器32から供給されるトナーによってトナー像として現像される。こうして感光体ドラム28上に形成されたトナー像は、転写帯電器33によって用紙P表面に転写される。
この用紙Pは、給紙部15の給紙カセット23または手差しトレー25から給紙ローラ24または給紙ローラ26によって給紙された後、レジストローラ27によって一旦停止され、さらに、感光体ドラム28上のトナー像に同期するようにして感光体ドラム28と転写帯電器33との間の転写部に供給されるようになっている。
トナー像転写後の感光体ドラム28は、表面に残った残留トナーがクリーナ34によって除去され、次の画像形成に供される。一方、トナー像転写後の用紙Pは、定着部17に搬送され、ここで定着ローラ36および加圧ローラ37によって加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。こうしてトナー像が定着された用紙Pは、後処理の有無によって排出先が以下のように振分けられる。
まず、後処理がない場合の、トナー像定着後の用紙Pは、排紙部18のフラッパ38によって右方の排紙ローラ40に導かれ、この排紙ローラ40によって右方の排紙板41上に、画像面(トナー像が形成された面)を下方に向けた、いわゆるフェースダウンで排紙されて、次々と積載される。
これに対して、後処理がある場合の、トナー像定着後の用紙Pは、フラッパ38の切り換えによって上方の給搬送ユニット20に搬送される。搬送された用紙Pは、図3に示す胴内排紙姿勢に設定された第1,第2のフラッパ46,47によって上,下排紙ローラ48,49に導かれ、胴内トレー53上に排出される。このとき、搬送ローラ52は退避位置に、また用紙ストッパ51は起立位置に配置されている。胴内トレー53上に排出された用紙Pは、その先端がカーソル71の立設板712によって左方に押され、後端が用紙ストッパ51に突き当てられ、これにより、搬送方向の位置が整合される。排紙された用紙Pは、これと同時に、幅寄せ部材55,56によって左右の側端が押圧され、これにより幅方向の位置が整合される。このような整合動作は、胴内トレー53上に次々に排出される用紙Pに対して同様に行われる。
そして、ステープルを行う所定の枚数の用紙Pが胴内トレー53上に積載されると、用紙Pの排出が停止される。その後、用紙Pの左右の側端に当接された状態の幅寄せ部材55,56が前方に移動して、用紙Pの後端の手前側をステープラ45に対応する位置に用紙Pを位置決めする。引き続きステープラ45が動作して、所定の枚数の用紙Pが綴じられる。ステープル後の用紙Pの束は、幅寄せ部材55,56によって後方に移動され元の位置に復帰する。復帰した用紙Pの束は、図4に示すように、作動位置に配置された搬送ローラ52によって、その後端が下排紙ローラ49との間に挟持される。そして、用紙ストッパ51が図4に示す退避位置に設定され、また第1,第2のフラッパ46,47が図4に示す胴外排紙姿勢に設定され、さらに、下排紙ローラ49および搬送ローラ52が矢印方向に回転することにより、ステープル後の用紙Pは、左方に搬送され、胴外トレー44の排紙ローラ57によって積載部58(図1)上に排出され、積載される。
前記整合ユニット43は、図1に示すように、給搬送ユニット42の右方に隣接するように配設され、前記排紙板41の上方、すなわち排出空間Sの上部に位置している。かかる整合ユニット43は、給搬送ユニット42から排出されてきた用紙Pを下方から支持する胴内トレー53と、この胴内トレー53に排紙された用紙Pの搬送方向(図1の左右方向)の整合を行う搬送方向整合機構70と、胴内トレー53の上面に沿って前後方向に移動可能な第1幅寄せ部材55および第2幅寄せ部材56とを備えて構成されている。
前記搬送方向整合機構70は、胴内トレー53上に用紙Pが排出される毎に当該用紙Pおよびその束に左右方向の往復運動を行わせ、左方移動時に用紙Pの先端を押圧して、用紙Pの後端を用紙ストッパ51(図5)に当止させ、これによって胴内トレー53上の用紙Pの搬送方向の位置を整合させるものである。
一方、幅寄せ部材55,56は、胴内トレー53上に用紙Pが排出される毎に相互に近接・離間を繰り返し、近接時に用紙Pの幅方向の各端部を押圧し、これにより、胴内トレー53上の用紙Pの搬送方向に直交する方向(以下「幅方向」という。)の位置を整合させるものである。搬送方向整合機構70が整合動作を行う場合、用紙Pは、当該搬送方向整合機構70によって用紙ストッパ51に当止されて僅かに撓む位置まで移動され、これによって搬送方向の整合処理が行われるようになっている。また、前記幅寄せ部材55,56は、搬送方向整合機構70が整合動作を行うのと同期して互いに対向方向に所定回数の往復動を行い、これによる用紙Pの押圧挟持および挟持解除で当該用紙Pの幅方向の整合処理を行うようになっている。
また、前記幅寄せ部材55,56は、前記整合動作の外に、胴内トレー53上の用紙Pを、前面側(手前側)に移動させて胴外トレー44上に排出される用紙Pの幅方向に位置をずらして仕分けを行ったり、さらには、同じく胴内トレー53上の用紙Pを、ステープラ45に対応する位置に移動させ、ステープル処理後の用紙Pを後方に移動させて元の位置に復帰させる機能も備えている。
胴外トレー44は、給搬送ユニット42の図1における左方に配設されていて、給搬送ユニット42から搬送されてきた用紙Pを左方に排出する排紙ローラ57と、排出された用紙Pを下方から支持する積載部58とを備えている。
ステープラ45は、複数枚の用紙Pをステープルするためのものであり、図2に示すように、前記給搬送ユニット42の前面側に配設されている。
ついで、整合ユニット43の詳細を図5を基に、必要に応じて図6〜図12を参照しながら説明する。図5は、整合ユニット43の一実施形態を模式的に示す平面図である。図5に示すように、整合ユニット43は、画像形成装置本体11内に区画形成された胴内トレー53上に排出される定着処理済みの用紙Pを幅方向(図5の上下方向)で揃える第1幅寄せ部材55と、この第1幅寄せ部材55に対向するように配置された第2幅寄せ部材56と、用紙Pの幅方向の対辺P1,P2に直交する一辺(後端)P3が押し当てられる用紙ストッパ51と、この用紙ストッパ51に用紙Pを押し当てるように動作する搬送方向整合機構70とを備えて構成されている。
図6は、幅寄せ部材55,56の一実施形態を示す側面視の断面図である。図6に示すように、第2幅寄せ部材56は、第1幅寄せ部材55に設けられたガイド溝551に沿って幅方向(図6の左右方向)にスライドできるように当該第1幅寄せ部材55に取り付けられているとともに、第1幅寄せ部材55自体が第2幅寄せ部材56と一体に幅方向へ正逆移動できるようになっている。これによって、定着部17から連結ハウジング13(図1、図2)内を通って整合ユニット43に導入される用紙Pのサイズおよび幅方向の位置に柔軟に対応し得るようになっている。
図7は、第1幅寄せ部材55を駆動する第1幅寄せ部材駆動機構50を説明するための平面図である。第1幅寄せ部材駆動機構50は、胴内トレー53に内装され、第1幅寄せ用モータ80の回転をギヤ81,82を介して駆動プーリ83に伝達し、この駆動プーリ83,従動プーリ84およびテンションプーリ85,86に張設されたタイミングベルト87を駆動するようになっている。前記タイミングベルト87の従動プーリ84およびテンションプーリ85間における表面側には連結部材88が突設され、この連結部材88が第1幅寄せ部材55の適所に連結されることによって当該第1幅寄せ部材55を胴内トレー53に形成された幅方向に延びるガイド溝552(図5、図6)に沿って移動させ得るようになっている。
図8は、第2幅寄せ部材56を駆動する第2幅寄せ部材駆動機構101を説明するための平面図である。第2幅寄せ部材駆動機構101は、第1幅寄せ部材55の基部553上方に収容されており、第2幅寄せ用モータ102の回転をギヤ103,104,105を介して駆動プーリ106に伝達し、駆動プーリ106,従動プーリ107およびテンションプーリ108,110に張設されたタイミングベルト111を駆動し、このタイミングベルト111に連結部材112を介して接続された第2幅寄せ部材56を第1幅寄せ部材55上で移動させるようになっている。なお、第1幅寄せ部材55の上面554(図6)は、胴内トレー53の上面74と略面一になるように面設定されている。
図9および図10は、搬送方向整合機構70の一実施形態を示す斜視図であり、図9は、図1の把手部材70を斜め左方から見た状態、図10は、図1の把手部材70を斜め右方から見た状態をそれぞれ示している。また、図11は、搬送方向整合機構70を模式的に示した概略平面図であり、図12は、同概略正面図である。なお、図9および図10において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を左右方向といい、特に−X側を手前側、+X側を向い側、−Y方向を左方、+Y方向を右方という。
図9および図10に示すように、搬送方向整合機構70は、胴内トレー53の幅方向の略中央位置に設けられた左右方向に延びる長尺ガイド開口531を幅方向に横断するように当該長尺ガイド開口531に嵌め込まれた硬質の合成樹脂製のカーソル71と、このカーソル71に装着された、用紙Pの先端縁部を押え込む用紙押え機構72と、前記カーソル71を左右方向に移動させるカーソル駆動機構73と、用紙Pのサイズに応じてカーソル71の位置決めを行うとともに、前記カーソル駆動機構73によるカーソル71の往復動に応じて前記用紙押え機構72に所定の動作(用紙Pの先端縁部を押える動作)を行わせる位置決め機構74とを備えて構成されている。
前記カーソル71は、長尺ガイド開口531の幅方向の対向縁部間に架設される平板711と、この平板711の右縁部から立設された立設板712とからなっている。平板711の幅方向の各端面には、互いに反対方向に向けて突設された左右方向に延びる被案内凸条716が凸設されている一方、長尺ガイド開口531の幅方向の対向縁面には各被案内凸条716が摺接状態で嵌め込まれる左右方向に延びた案内凹溝532がそれぞれ設けられ、各被案内凸条716が対応した案内凹溝532にそれぞれ嵌め込まれることによって、カーソル71が長尺ガイド開口531内で左右方向に正逆移動し得るようになっている。
平板711の上面は、胴内トレー53の上面と面一であるかそれより僅かに低位に高さ設定され、これによって胴内トレー53に給紙された用紙Pが平板711と干渉することなく平板711の上方に位置し得るようになっている。
前記用紙押え機構72は、図10に示すように、用紙Pの先端縁部を押える硬質の合成樹脂製のカール押えガイド(用紙押えガイド)721と、このカール押えガイド721の適所(後述の被軸支筒体723)に形成されたピニオン724と、このピニオン724に噛合してカール押えガイド721を用紙押え姿勢と押え解除姿勢との間で姿勢変更させるラック部材(ラック)725とを備えて構成されている。
前記カール押えガイド721は、用紙Pの先端縁部を押える平板状の押えガイド本体722と、この押えガイド本体722の基端側に一体に形成された被軸支筒体723とからなっている。一方、カーソル71の立設板712の幅方向の略中央位置には、被軸支筒体723の略下半分が嵌め込まれる切込み溝713が凹設されているとともに、立設板712の上縁部には、この切込み溝713を挟んで幅方向一対のブラケット714が上方に向かって突設され、前記被軸支筒体723がこれら一対のブラケット714間に架設された水平軸715回りに回動自在に軸支されている。
そして、押えガイド本体722は、被軸支筒体723が水平軸715回りに正逆回動することによって、図9および図10に実線で示す用紙押え姿勢と、同二点鎖線で示す押え解除姿勢との間で姿勢変更可能になっている。前記ピニオン724は、かかるカール押えガイド721の被軸支筒体723の外周面に形成されている。
前記ラック部材725は、前記ピニオン724に噛合する複数の歯を備えたラック本体726と、このラック本体726の下縁部から下方に向けて延設された直方体状で縦長の摺動基部727とからなっている。摺動基部727は、幅方向の厚み寸法がラック本体726のそれと同一に設定されているのに対し、ラック本体726がピニオン724に噛合した状態で左側面がカーソル71の立設板712に当接させるべく左右方向の厚み寸法がラック本体726の左右方向の厚み寸法より厚めに設定されている。また、摺動基部727の右側面は、ラック本体726の右側面と面一に設定されている。
かかるラック部材725は、平面視でコ字状を呈したラック保持部材75が摺動基部727に被せられ、ビス止めその他でカーソル71の立設板712に固定されることにより、幅方向および左右方向への移動が規制された状態で昇降し得るようになっている。そして、ラック本体726の右側面の適所には、幅方向に長尺の長方形状のストッパ728がビス止めその他で固定され、このストッパ728によってラック部材725がラック保持部材75から下方に抜け落ちるのを防止している。
また、前記ラック本体726の頂部には、前側に向かって突設された上部係止ピン761が設けられているとともに、前記ラック保持部材75の前側の面には、係止ピン761と対向する下部係止ピン762が突設され、これら上下の係止ピン761,762間にコイルスばね76が架設されている。ラック部材725は、このコイルスばね76の付勢力によって常に下方に向けて付勢され、これによって普段はストッパ728がラック保持部材75の上縁部に当止している。
前記カーソル駆動機構73は、図9、図11および図12に示すように、胴内トレー53における長尺ガイド開口531の下方位置であって、幅方向の略中央部に駆動軸732が幅方向に延びるように横置きされた第1駆動モータ731と、この第1駆動モータ731の駆動軸732に同心で一体回転可能に接続された駆動プーリ733と、長尺ガイド開口531の右端下部で駆動プーリ733と対向するべく従動軸735回りに回転自在に軸支された従動プーリ734と、これら駆動プーリ733および従動プーリ734間に張設された第1ベルト736とを備えて構成されている。
第1ベルト736と前記カーソル71の平板711との間には、両者にねじ止め等で固定された連結部材737が介設され、第1駆動モータ731の正逆駆動で第1ベルト736が駆動プーリ733および従動プーリ734間を正逆周回することにより、カーソル71が従動プーリ734および連結部材737を介して正逆移動するようになっている。
前記位置決め機構74は、図9〜図12に示すように、胴内トレー53における長尺ガイド開口531の下方位置であって、前記第1駆動モータ731の手前側に駆動軸742が幅方向に延びるように横置きされた第2駆動モータ741と、この第2駆動モータ741の駆動軸742に同心で一体回転可能に接続された駆動プーリ743と、長尺ガイド開口531の右端下部で駆動プーリ743と対向するべく従動軸745(図10)回りに回転自在に軸支された従動プーリ744と、これら駆動プーリ743および従動プーリ744間に張設された第2ベルト746とを備えて構成されている。かかる位置決め機構74は、前記カーソル駆動機構73より若干下位に位置設定されている。
そして、前記第2ベルト746には、その往きベルトの上面側に図10および図12に示すようなカム77がねじ止めその他で固定されている。このカム77は、上方に膨出したカム本体771と、このカム本体771の左右の端部から互いに反対方向へ向けて突設された一対の突設端部775とからなっている。本実施形態においては、これらの突設端部775が第2ベルト746にねじ止めされることによりカム77が第2ベルト746に固定されているが、ねじ止めに限定されるものではなく、接着剤を介して固定したり、バンド状の締結具などを用いて固定してもよい。
前記カム本体771は、手前側から見て円弧状に形成された円弧頂部772と、この円弧頂部772から右方の突設端部775に向かって先下がりに緩やかに傾斜した右方傾斜面773と、円弧頂部772の左端部から左方の突設端部775に向かって垂下した垂直面774とを備えている。かかるカム本体771は、前記ラック部材725の摺動基部727の下面と当接し得るように寸法設定されている。
そして、上記のように構成されたカーソル駆動機構73および位置決め機構74は、図略の制御装置によって制御されつつ所定の動作を行うようになっている。すなわち、制御装置からは、まず、整合ユニット43に排紙される用紙Pのサイズ(排紙方向の長さ寸法)に応じた駆動信号が第1および第2駆動モータ731,741に向けて出力され、これによる第1および第2駆動モータ731,741の同期駆動により、カーソル71およびカム77がその用紙Pのサイズに応じた位置に移動させられる。
ついで、用紙Pが胴内トレー53上に排紙されて当該用紙Pの先端縁部がカーソル71の立設板712に当接すると、制御装置は、それを検出した上で第2駆動モータ741の停止状態を維持しつつ該第1駆動モータ731が短い周期(例えば0.5秒周期)で正逆駆動する制御信号を出力する。この制御信号に基づく第1駆動モータ731の正逆駆動によってカーソル71は第1ベルト736を介して左右に揺動するため、先端縁部がカーソル71の立設板712に当止した用紙Pは、左端縁部が当接している前記用紙ストッパ51(図5)との間で立設板712によって左右方向に揺さぶられ、これによって胴内トレー53上の用紙Pに対し左右方向(前後方向)の整合処理が施されることになる。
また、カーソル71の揺動に応じて当該カーソル71に装着され、かつ、その摺動基部727の下端面がカム77に当接したラック部材725も左右方向に揺動し、この揺動に応じてラック部材725が昇降するとともに、カール押えガイド721が水平軸715回りに正逆回動するが、以下この作用について図13を基に詳細に説明する。
図13は、カール押えガイド721の姿勢変更作用を説明するための説明図であり、(イ)は、押えガイド本体722が押え解除姿勢に姿勢設定された状態、(ロ)は、押えガイド本体722が用紙押え姿勢に向かいつつある状態、(ハ)は、押えガイド本体722が用紙押え姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
まず、用紙Pのサイズに応じてラック部材725が初期位置決めされた状態では、図13の(イ)に示すように、ラック部材725の摺動基部727がカム77の右方の突設端部775上に載置された状態になっている。そしてこの状態では、ラック部材725が最下位位置に位置することにより、ラック本体726に噛合したピニオン724が水平軸715回りに最大位相回転させられ、これによって押えガイド本体722が起立した状態になっている。
この状態で、用紙Pが胴内トレー53へ供給されるため、用紙Pに先端縁部が上方に向けて撓んだいわゆるカールが形成されていても、このカール部分はカーソル71の立設板712の上端部からさらに上方に延びた押えガイド本体722によって受けられるため、用紙Pの先端縁部が右方へカーソル71を遣り過してしまうような不都合が確実に防止される。
そして、用紙Pの先端が立設板712の位置に到達したことが検出されると、カーソル71は、制御装置からの制御信号に基づく第1駆動モータ731の駆動で第1ベルト736を介して左方へ移動され、これによってラック部材725は、図13の(ロ)に示すように、カム本体771の右方傾斜面773を擦り登っていくため、ラック本体726に噛合しているピニオン724が水平軸715回りに反時計方向に回動し、これによって用紙Pの先端縁部のカール部分を押え込んでいくことになる。
そして、ラック部材725がカム本体771の円弧頂部772に到達すると、押えガイド本体722は、図13の(ハ)に示すように、押えガイド本体722が略水平になった用紙押え姿勢に姿勢設定され、これによって用紙Pのカール部分は押えガイド本体722によって押さえ込まれるため、用紙Pのカールが矯正されることになる。
本発明に係る搬送方向整合機構(用紙整合装置)70は、以上詳述したように、下ハウジング12内の感光体ドラム28や露光器31、現像器32等からなる画像形成部16で転写され定着部17で定着処理が施されたトナー画像を有する用紙Pが排紙される胴内トレー53と、この胴内トレー53上に排紙された用紙Pの先端縁部に押し当てられるカーソル71とが機器本体11に設けられてなるものを前提とし、カーソル71には、用紙Pが胴内トレー53に排紙される都度、用紙Pの先端縁部を下方に向けて押える用紙押え機構72が設けられてなるものである。
したがって、機器本体11内から胴内トレー53に排紙された定着処理後の用紙Pは、排紙の都度その先端縁部が胴内トレー53に設けられたカーソル71に押し当てられ、これによって胴内トレー53上に順次積層される用紙Pの束は整合される。
そして、カーソル71には、用紙Pが胴内トレー53に排紙される都度、用紙Pの先端縁部を下方に向けて(すなわち胴内トレー53の方向に向けて)押える用紙押え機構72が設けられているため、用紙Pの先端に形成されたカールが著しい場合であっても、このカール部分が用紙押え機構72の作動によって胴内トレー53の方向に向けて押圧され、これによって用紙Pのカールが矯正される。
このように、カーソル71に用紙押え機構72を設けることにより、胴内トレー53に排紙された用紙Pの束は、カールが矯正された状態で実質的に整合処理されるため、胴内トレー53から取り出されたり、ステープラ45に供給された用紙Pの束について、先端縁部が不揃いになっているような不都合を確実に防止することができる。
また、カーソル71は、用紙Pが胴内トレー53に排紙される都度排紙方向に向けて往復動するように構成されているとともに、用紙押え機構72は、胴内トレー53上の用紙Pの先端縁部を押えるカール押えガイド721と、カーソル71の往復動に連動してカール押えガイド721を用紙押え姿勢と押え解除姿勢との間で姿勢変更させる連動手段とを備えているため、用紙Pは、胴内トレー53に排紙される都度、カーソル71の往復動によって先端がカーソル71の立設板712に当止した状態で前後方向に揺すられ、これによって先端が揃えられるばかりか、この状態でカール押えガイド721が連動手段の作用でカーソル71の往復動に連動して用紙Pのカール部分を押える用紙押え姿勢とこの押えを解除した押え解除姿勢との間で姿勢変更するため、用紙Pの先端のカールはカーソル71に当止した状態で強制的にカール押えガイド721によって押えられ、このカール矯正状態で先端縁部が揃えられる。したがって、従来のカール押えガイド721が存在しないものに比較し、胴内トレー53上での用紙Pの整合をより確実に行うことができる。
また、カール押えガイド721は、カーソル71に設けられた排紙方向に直交する水平軸715回りに回動可能に軸支され、連動手段(被軸支筒体723とラック本体726とを備えて構成されている)は、カーソル71の往復動に応じてカール押えガイド721を水平軸715回りに正逆回動させるようになっているため、連動手段によって用紙Pの先端がカーソル71に当止するまでカール押えガイド721を押え解除姿勢に姿勢設定することにより、用紙Pの先端をこの姿勢のカール押えガイド721によって確実に捕捉することができる。
ついで用紙先端捕捉後のカール押えガイド721を用紙押え姿勢に姿勢変更させることにより用紙P先端のカールを矯正することができる。このようにカール押えガイド721を水平軸715回りの回動で用紙押え姿勢と押え解除姿勢との間で姿勢変更させるようにしているため、他の構成のもの例えば上下動させるもの等に比べて連動手段の構造を簡単なものにすることができ、装置コストの低減化に貢献することができる。
また、カーソル71は、胴内トレー53に沿って左右方向に往復動可能に駆動プーリ733および従動プーリ734間に張設された第1ベルト736に装着され、この第1ベルト736と平行に往復動可能に第2ベルト746が駆動プーリ743および位置決め機構744間に張設されているとともに、前記連動手段は、カーソル71に昇降可能に設けられたラック部材725と、このラック部材725のラック本体726に噛合するべくカール押えガイド721の被軸支筒体723に同心で設けられたピニオン724と、ラック部材725との干渉で当該ラック部材725を昇降させるべく第2ベルト746に設けられたカム77とを備えて構成されているため、胴内トレー53に排紙される用紙Pのサイズに応じた第1駆動モータ731および第2駆動モータ741の同期駆動で、ラック部材725がカム77と常に干渉した状態にすることができる。
そして、この状態で第1駆動モータ731の正逆駆動により第1ベルト736をカム本体771の範囲内で往復動させることにより、カム本体771の右方傾斜面773と干渉したラック部材725が昇降するため、ラック部材725と噛合しているピニオン724が正逆回動し、このピニオン724の正逆回動によってカール押えガイド721が用紙押え姿勢と押え解除姿勢との間で姿勢変更することになる。
したがって、カール押えガイド721の姿勢変更と同期するように機器本体11内から胴内トレー53に向けて用紙Pを排紙することにより(すなわち、用紙Pが排紙されたときにはカール押えガイド721が押え解除姿勢になる一方、用紙Pの先端がカーソル71に当止した時点でカール押えガイド721が用紙押え姿勢になるように機器本体11からの用紙Pの排紙を同期させることにより)、用紙Pが胴内トレー53に排紙される度にカーソル71に当止した用紙Pの先端がカール押えガイド721によって強制的に下方に向けて押圧され、これによってたとえ用紙Pの先端に著しいカールが形成されていても、このカールは矯正されて略平になるため、カールが矯正されない場合に比較して用紙Pの整合を確実に行うことができる。
さらに、ラック部材725は、コイルスばね76の付勢力によって下方に向かうように付勢されているため、ラック部材725は、コイルスばね76の付勢力により常に下方に向けて付勢され、単に自重で下降させるようにしたものに比べて迅速に下降することができる。
そして、画像形成装置10は、上記のように構成された搬送方向整合機構70が装着されているため、搬送方向整合機構70の有する作用効果を享受し得るものすることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、カール押えガイド721を硬質の合成樹脂によって形成し、これによって押えガイド本体722が剛体として機能するようになされているが、こうする代わりに特に押えガイド本体722のみを容易に撓みえるように軟質の合成樹脂によって形成するとともに、この押えガイド本体722が先下がりに傾斜するまでカール押えガイド721を回動させるようにしてもよい。こうすることによって用紙押え姿勢に姿勢設定された押えガイド本体722が撓んだ状態で用紙Pのカール部分を押圧することが可能になり、用紙Pのカールの矯正をより確実に行うことができる。
(2)上記の実施形態においては、用紙Pに後処理としてステープラ45によるステープル処理を行うものについて説明したが、本発明が適用される後処理としてはステープル処理の他に、例えば、仕分け作業を挙げることができる。この仕分け作業は、胴外トレー44に用紙Pを排出するに先立ち、用紙Pを適当枚数ごとに、前後方向に順に移動させるものである。こうすることで、胴外トレー44上に排出される用紙Pは、適当枚数ごとに、前後方向の積載位置が異なることになり、後の用紙Pの仕分けが容易になる。また、後処理としては、用紙Pの束のクリップ止めや、テープの貼着、さらには穿孔作業等を挙げることができる。
(3)上記の実施形態においては、画像形成装置10が電子写真方式の複写機である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、各種のプリンタやファクシミリ装置、さらにはこれらの複合機についても本発明を適用することができる。
(4)上記の実施形態においては、搬送方向整合機構70を胴内トレー53に適用しているが、本発明は、搬送方向整合機構70を胴内トレー53に適用することに限定されるものではなく、例えば胴外トレー44等、用紙Pが排紙される各所のトレーに適用してもよい。
(5)図14は、搬送方向整合機構90の他の実施形態を示す説明図であり、(イ)は、用紙押え部材91が押え解除位置に位置設定された状態、(ロ)は、用紙押え部材91が用紙押え位置に向かいつつある状態、(ハ)は、用紙押え部材91が用紙押え位置に位置設定された状態をそれぞれ示している。この実施形態の搬送方向整合機構(用紙整合装置)90は、上記の実施形態におけるピニオン724およびラック本体726を備えた用紙押え機構72に代えて、側面視で逆L字形状を呈した用紙押え部材91が採用されている。この用紙押え部材91は、カーソル71の立設板712に沿って昇降可能に設けられた縦板92と、この縦板92の上縁部から左方に向けて延設された横板93とからなっている。
また、この実施形態においては、第2ベルト746に設けられるカム95は、上記の実施形態のカム77と同一形状であるが、このカム77とは左右が逆に第2ベルト746に取り付けられている点で上記の実施形態とは相違している。そして、かかるカム95は、先のカム本体771に対応するカム本体951と、同突設端部775に対応する突設端部955とを有している。カム本体951には、円弧頂部952および左方傾斜面953が設けられている。
このように構成された搬送方向整合機構90によれば、まず、用紙Pのサイズに応じて用紙押え部材91が初期位置決めされた状態では、図14の(イ)に示すように、用紙押え部材91の縦板92がカム95の円弧頂部952上に載置され、これによって横板93が上方位置に位置した状態になっている。
この状態で、用紙Pが胴内トレー53へ供給されると、たとえ用紙Pに先端縁部が上方に向けて撓んだいわゆるカールが形成されていても、このカール部分はカーソル71の立設板712の上端部からさらに上方に延びた縦板92および横板93によって受けられるため、用紙Pの先端縁部がカーソル71の右方へ遣り過してしまうような不都合が確実に防止される。
そして、用紙Pの先端が立設板712の位置に到達したことが検出されると、カーソル71は、制御装置からの制御信号に基づく第1駆動モータ731の駆動で第1ベルト736を介して左方へ移動され、これによって用紙押え部材91は、図14の(ロ)に示すように、カム本体951の右方傾斜面773を擦り下っていくため、用紙Pの先端縁部のカール部分は、横板93によって押え込まれていくことになる。
そして、用紙押え部材91がカム本体951の突設端部955に到達すると、横板93は、図14の(ハ)に示すように、カーソル71の立設板712の頂部に当止した状態になり、これによって用紙Pのカール部分は横板93によって押さえ込まれるため、用紙Pのカールが矯正されることになる。