JP3638545B2 - 車両の物入れ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両において、物入れとして小物等を収容可能とし、且つ必要に応じてクールボックスやヒートボックスとして用いることができるようにした構造簡素な車両の物入れ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両において、缶式、ペットボトル式の飲料容器を空調設備を用いて冷却等する技術は、従来から知られている。
従来技術として、例えば特開2000−135935号が提案され、この技術はインストルメントパネルの上面に、飲料容器を縦向きに保持するカップホルダーを設け、カップホルダーの底をインストルメントパネル内の空調用通路と連通させ、空調エアをカップホルダー内に供給し、飲料容器を空調エアで冷却するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来技術は、空調用エアを用いて飲料容器を冷却等するものであるが、飲料容器を保持するカップホルダーはインストルメントパネルの上面に上を向いて凹設されており、従って、カップホルダー以外には用い得ない構造である。
従って、カップホルダーとして用いない場合に、インストルメントパネルに上方に開口するように凹部として設けられたカップホルダーは、小物の出し入れを考慮すると小物入れ等としの物入れとして用いることができない。
【0004】
一方、インストルメントパネルには、ある程度の大きさの物を収容する物入れとして、グローブボックスが設けられるが、小銭や紙片、地図等の書類、眼鏡等の小物を一時的に収容する小物入れの必要性も高く、小物入れは車両の運転操作中に出し入れが容易であることから、インストルメントパネルの中央部に配設することが好ましい。
【0005】
ところで、車両の空調エアの吹出し口は、インストルメントパネルの両側及び中央部に配設されることが多い。
空調用の吹出し口をインストルメントパネルの中央部に設けた場合、前記した小物入れもインストルメントパネルの中央部に設けることが、小物の出し入れ上都合が良く、便利である。
一方、小物入れを用いて、閉栓状態では飲料がこぼれないペットボトルのような飲料容器を収納する場合もあり、この場合、飲料容器を冷却したり、保温したりすることができれば便利である。
【0006】
本発明は以上の課題を解決すべくなされたもので、本発明の目的とする処は、インストルメントパネルの前後方向を向くように小物入れを設置しつつ、小物入れの内部を空調用通路と連通、遮断して、小物入れの内部の冷気、温風を選択的に供給し、小物入れ内に飲料容器を収納した際にはこれを冷却、保温し、又空調エアの遮断時には、インストルメントパネル中央部に配置した出し入れがし易い小物入れとして、便利に利用可能である車両の物入れ構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1は、車室内に配設されたインストルメントパネル内に空調通路を内装し、インストルメントパネルの車室内を向く面の車幅方向の中央部に、空調用の吹出し口を設けた車両の物入れ構造において、前記インストルメントパネルの空調用吹出し口の下方に、車両の前方を奥壁とし、車室内に開口する物入れボックスを略々前後方向を向くように設け、前記空調用通路の一部に、前記物入れボックス内と該通路とを連通させる分岐通路を設け、該分岐通路に物入れボックス内と空調用通路と連通、遮断する切り替えバルブを設け、前記インストルメントパネルの前面に前記切り替えバルブを駆動する切り替えダイヤルを設け、該切り替えダイヤルの操作により切り替えバルブで空調用通路を開閉し、前記物入れボックス内に空調された冷・温風を任意に引き込み可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項1では、物入れとしてインストルメントパネルの中央部にあって、車室内に向いて開口しているので、小物入れとしてインストルメントパネル中央部の前面から小物の出し入れが行え、飲料容器を小物入れに収容し、内部を空調通路と連通させることで、クールボックス、保温ボックスとして利用することができる。物入れ内に空調された冷・温風を供給する空調通路の遮断、連通は、インストルメントパネル前面に設けた切り替えダイヤルの駆動で切り替えバルブを開閉することで行える。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、車両のインストルメントパネル中央部を、車室R内の後方から前方に見た正面図である。
図中1はインストルメントパネルであり、図では車幅方向の中央部のみを示しているが、車室内において、ダッシュボードの手前上部車幅方向に亘って設けられている。
図では、右側に各種計器類2を配置したメータハウジング3、左側上部にパッセンジャー用のエアバッグのリッド4、グローブボックスのリッド5等が配設されている。
【0010】
インストルメントパネル1の中央部には、図示例では上からカーナビゲーション装置のディスプレイ6、この下方に左右2個の横長の空調用吹出し口7,7、この下に物入れボックス8が開口を車室内側に向けて開口するように設けられており、この下方に空調の温度調整、風量調整等の調整ダイヤル9…(…は複数を表す。以下同じ)が配設されている。
かかる調整ダイヤル9…の下方には、前後方向にセンターコンソール10が設けられ、図はセンターコンソールの上部のオーディオ類等の設置部位を示している。
【0011】
図2は、図1の2−2線拡大断面図である。
図において11は空調ユニットで、これの車室R(図の右側が車室である)の内側に、前述のインストルメントパネル1が設けられており、インストルメントパネル1の裏面内部(車両の前方)に左右に空調用通路を構成する空調ダクト部材12が内装、設置されている。
空調ダクト部材12は、円筒状のダクト本体13(図6を参照)と、該本体13と連通し車室内方向に延びる中央通路14と、中央通路14の左右の吹出し通路15,15(図6を参照)と、左右の吹出し通路15,15との間に位置し、下方に後部が弯曲、垂下した分岐通路16とを備える。
【0012】
インストルメントパネル1の中央部の吹出し口7,7を備える中央部1aの前記した吹出し口7,7の下部(図では吹出し口を構成する接続管17の外観側面が示されている。)に収納のボックス8を配設する。
物入れボックス8は、車室内側に開口する入口開口18の面積が大きく、若干前方に前下傾するようにインストルメントパネル1内において前方に延びて深さを有し、深さは、例えば小型のペットボトルのような飲料容器19が首部を入口開口18から若干車室内方向の突出し、首部を容易に摘んで引出すことができるような深さに設定する。
【0013】
物入れボックス8は、若干前下傾した先の端部の奥壁片8a、上下の壁片8b,8c、左右の側壁片8d,8dを備え、前後に若干長い後方に向けて開放した箱状をなす。
物入れボックス8は、底片部を構成する奥壁片8aを、インストルメントパネル1の内部に設けた支持スティ20にネジ21で止められている。
物入れボックス8は、インストルメントパネル1の中央部1aの吹出し部の下方に設けた開口部1bに奥壁片8aを車両の前方に向けて挿入し、周辺部8eを開口部1bの周辺部に係合して入口開口18周辺部を固定した。
【0014】
物入れボックス8の底片部8c上には、滑り止め等のマット22を貼設し、車幅方向の中央部付近には、山形の突起を前後方向に設けて仕切り23とする。
物入れボックス8の下方には、左右に図ではダイヤル保持ケース24…を介して3個の円孔1c…を設け、該円孔1c…から調整ダイヤル9…の摘み9aをインストルメントパネル1の車室内側に突出させる。
【0015】
以上の物入れボックス8の上壁片8bの左右方向の中間部には、左右方向に長く、前後方向に幅狭の空調エア吹出し口25を設ける。
インストルメントパネル1内において、該吹出し口25の上方には、前記した弯曲、垂下せる分岐通路16の下向き開口16aが位置し、開口16aと吹出し口25との間には、上から接続ダクト26、バルブボディ27で連通、接続する。接続ダクト26、バルブボディ27は、上下方向を向く通路26a,27aを備え、開口16a、通路26a,27a、吹出し口25は上下に連通する。
【0016】
バルブボディ27内には、通路27a内を遮断し、開放する板状の切り替えバルブ28を支軸29により回転自在に設け、図では板状のバルブ28が上下を向き、通路27aを開放し、開口16a、通路26a,27a、吹出し口25を連通させている状態を示す。
図1で示したように、インストルメントパネル1の車室内側の面で、物入れボックス8の一側の外側には、切り替えバルブの操作ダイヤル30が設置されている。
【0017】
図3は、図1の3−3線拡大断面図である。
インストルメントパネル1の中央部1aの上部の左右に設けた吹出し口7,7は、インストルメントパネル1中央部1a上部内に、前後に設けた接続管17の前端部17aに裏面側から当接して接合されている。
吹出し口7,7内には空調エアの整流翼7a…が設けられており、接続管17は前記した空調用ダクト12の吹出し通路15,15の前端部と突き合せ、嵌合して接合されており、従って、空調用ダクト12の吹出し通路15,15とインストルメントパネル1の吹出し口7,7との間を接続管17,17で連通、接続する。
【0018】
前述の物入れボックス8を設けたインストルメントパネル1の中央部の高さ方向中間部分1dには、入口開口18の外側の一側、図1に示したように右ハンドルなので、運転者の操作側である右側の上部には、前記した切り替えダイヤル30が設置されている。
切り替えダイヤル30は、図3に示すように中間部分1dに設けた縦長スリット1eから一部が車室内に突出し、側面視が半円状をなし、外周はローレットや粗面とし、滑り止めとした。
【0019】
切り替えダイヤル30は、左右方向に架設した前記支軸31で回転自在であり、切り替えバルブ28の支軸29の一端部にアーム32の一端部を固定し、該アーム32の他端部をリンク33を介してピン33a,33bで切り替えダイヤル30の一部に突出したアーム部30aに枢着、連結する。
これ等の切り替えバルブ28の切り替え操作機構を構成するダイヤル30、アーム32、リンク33は、物入れボックス8の一側の外側に配設され、インストルメントパネル1内にダイヤル30に一部を除いて隠蔽されている。
図3において切り替えダイヤル30の下方に配設した34は、ハザードランプのスイッチである。
【0020】
図4は、図2の要部の拡大図で、切り替えバルブ28を開いた状態を示す図である。
接続ダクト26と物入れボックス8の上壁片8bの左右方向に長いスリット状空調エア吹出し口25との間には、通路の一部を構成する上下方向の通路27aを有するバルブボディ27が介設されており、バルブボディ27と接続ダクト26の周辺部に形成した各接合フランジ26b,27b間にはシール材35を介在させ、シール性を確保した。
【0021】
バルブボディ27の通路27a内に切り替えバルブ28が支軸29で回転自在に支持されており、図では板状の切り替えバルブ28の前後の部分は対称的なコ字形をなし、シール材36,36を挟持して備える。
切り替えバルブ28は上下方向を向いて通路27aを開放し、バルブ開の状態にあり、一端部が上の通路26a内に臨む。
空調ダクト12の前記した左右の吹出し通路15,15間に配置され、下方に弯曲、垂下した分岐通路16下端部の開口16a、この下の接続ダクト26の内部通路26a,バルブボディ27内に通路27aは開放、連通し、物入れボックス8の天井部を構成する上壁片8bに設けたスリット状空調エア吹出し口25は開放され、空調エア、例えば冷気が物入れボックス8内に供給される。
【0022】
これにより、物入れボックス8内に収納した飲料容器19…等は冷却され、クールボックスで冷やした飲料を乗員に提供することができる。又空調設備から暖気を空調して供給している場合には、物入れボックス8内には暖気が供給され、飲料容器を保温したり、暖める。
又飲料容器を収納していない場合においては、切り替えバルブを開放した状態で放置したとしても、物入れボックスの入口開口18は、車室内でインストルメントパネル1の中央部に開口しているので、この部分から空調エアが室内に放出されるだけなので、1種の空調用吹出し口としても用いることができる。
【0023】
図5は、切り替えバルブ28を閉じた状態を示す図4と同様の拡大断面図である。
図4の状態において、切り替えダイヤル30を矢印丸1の方向に下向きに回動させる。これにより支軸31は同方向に回転し、リンク33が図4の左方向に動き、アーム32を支軸29を支点として時計方向に回転させる。
これにより切り替えバルブ28は図4の状態から時計方向に回転し、図5に示したようにシール36,36は通路27a内に内周壁に弾接し、バルブボディ27内の通路27aを閉塞する。閉塞はシール材36,36により確実なされる。
【0024】
これにより、物入れボックス8内への空調エアの供給は遮断され、飲料容器を収納しない状態で、小銭、紙片、地図等の書類、眼鏡等の小物を収納する、車室内の乗員側に開口した出し入れし易い小物入れとして利用することができる。
図5において、前記した切り替えダイヤル30を、矢印丸2のように上向きに回動させることで該ダイヤル30を反時計方向に回動させ、リンク33を引張し、アーム32を介して支軸29を反時計方向に回転させ、切り替えバルブ28を開放方向に回転させ、閉塞していた通路27aを開放する。
【0025】
図6は、インストルメントパネル1内に内装される空調用ダクト12の要部の説明的斜視図である。
空調用ダクト12の中央部に分岐部12aを備え、分岐部12aから車室内方向に延びる中央通路14を備え、中央通路14には左右の吹出し通路15,15を備え、且つ左右の吹出し通路15,15の間には、下方に後部が弯曲、垂下した下向きの分岐通路16を備える。これ等の各通路を備えるダクトは、合成樹脂で各部全一体に、或いは各部の一部を別体として成形し、接合一体化等して構成する。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、車室内に配設されたインストルメントパネル内に空調通路を内装し、インストルメントパネルの車室内を向く面の車幅方向の中央部に、空調用の吹出し口を設けた車両の物入れ構造において、インストルメントパネルの空調用吹出し口の下方に、車両の前方を奥壁とし、車室内に開口する物入れボックスを略々前後方向を向くように設け、空調用通路の一部に、物入れボックス内と該通路とを連通させる分岐通路を設け、該分岐通路に物入れボックス内と空調用通路と連通、遮断する切り替えバルブを設け、インストルメントパネルの前面に切り替えバルブを駆動する切り替えダイヤルを設け、該切り替えダイヤルの操作により切り替えバルブで空調用通路を開閉し、物入れボックス内に空調された冷・温風を任意に引き込み可能とした。
【0027】
請求項1では、物入れとしてインストルメントパネルの中央部にあって、車室内に向いて開口しているので、小物入れとしてインストルメントパネル中央部の前面から小物の出し入れが行え、出し入れに便利であって、小物入れとして使い勝手性に優れるとともに、飲料容器を小物入れに収容し、切り替えバルブの切り替え操作で、小物入れの内部を空調通路と連通させ、小物入れをクールボックス、保温ボックスとして利用することができ、小物入れとして、又クールボックス等として二重に利用することができ、便利である。
【0028】
又本発明は、一つの収納体を物入れとクールボックス等の二種類に利用することができるので、インストルメントパネルの利用可能な空間が決して大きくない空間を車室内空間、車両の設備空間を有効に利用することができる。
更に本発明は、物入れとクールボックス等の機能を、一つの収納体で構成し、クールボックス機能への切り替えを、物入れボックス上方に配置した空調用通路と物入れボックス内空間と連通する空調通路の分岐通路に切り替えバルブを設けるだけで良く、構造が簡素である。
【0029】
しかも物入れボックスと空調用通路とは、上に空調用通路、これの下に物入れボックスと上下関係位置で配置されており、上下方向を向く分岐通路を開閉する構造なので、先ず分岐通路は短くてすみ、分岐通路は短く、直線状とすることができ、構造が簡素である。
そして、物入れとして、クールボックス等として各機能を切り替える切り替えバルブも、上下方向の分岐通路を横断するように開閉する構造となり、操作機構を含んで簡素なバルブ構造を採用することができる。
そして本発明は、インストルメントパネルの前面に切り替えバルブを駆動する切り替えダイヤルを設け、該切り替えダイヤルの操作により切り替えバルブで空調用通路を開閉し、物入れボックス内に空調された冷・温風を任意に引き込み可能としたので、インストルメントパネルの前面のダイヤル操作で、物入れボックス内への空調された冷・温風の導入を任意に行うことができ、操作性が良好であるとともに、物入れボックス内に飲料容器等を収納したままでも、インストルメントパネル前面の切り替えダイヤルの操作により、冷・温風の供給、遮断が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両のインストルメントパネル中央部を、車室内後方から前方に見た正面図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】図1の3−3線拡大断面図
【図4】図2の要部の拡大図で、切り替えバルブを開いた状態を示す図
【図5】切り替えバルブを閉じた状態を示す図4と同様の拡大断面図
【図6】インストルメントパネル内に内装される空調用ダクトの要部の説明的斜視図
【符号の説明】
1…インストルメントパネル、 7…空調用の吹出し口、 8…物入れボックス、 12…空調用通路、 16,26a,27a…分岐通路、28…切り替えバルブ、30…繰り替えダイヤル。
Claims (1)
- 車室内に配設されたインストルメントパネル内に空調通路を内装し、インストルメントパネルの車室内を向く面の車幅方向の中央部に、空調用の吹出し口を設けた車両において、
前記インストルメントパネルの空調用吹出し口の下方に、車両の前方を奥壁とし、車室内に開口する物入れボックスを略々前後方向を向くように設け、
前記空調用通路の一部に、前記物入れボックス内と該通路とを連通させる分岐通路を設け、該分岐通路に物入れボックス内と空調用通路と連通、遮断する切り替えバルブを設け、
前記インストルメントパネルの前面に前記切り替えバルブを駆動する切り替えダイヤルを設け、該切り替えダイヤルの操作により切り替えバルブで空調用通路を開閉し、
前記物入れボックス内に空調された冷・温風を任意に引き込み可能とした、
ことを特徴とする車両の物入れ構造。
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