JP3636965B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリダンダンシセルを備えたメモリに好適な半導体装置に関し、特に、ヒューズ切断判定の高速化及び省面積化を図った半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体記憶装置のメモリセルでは、製造工程においてその良/不良を判断し、不良である場合には、予め冗長的に形成されているリダンダンシセルと置換されている。この置換の際には、不要箇所となるメモリセルに接続されたヒューズが切断される。図7は2個のヒューズを組み込んだ従来の半導体装置の構造を示す回路図である。
【0003】
従来の半導体装置には、図7に示すように、電位レベルの調整が必要になる箇所に電源(電圧VCC)と接地との間に2個のヒューズF101及びF102が相互に直列に接続されている。そして、ヒューズF101及びF102の接続点にインバータIV101が接続されている。
【0004】
このように構成された従来の半導体装置においては、電源側に接続されたヒューズF101を切断すれば、インバータIV101の入力がロウとなるので、インバータIV101からハイが出力され、接地側に接続されたヒューズ102を切断すれば、インバータIV101の入力がハイとなるので、インバータIV101からロウが出力される。このようにして、確実に電位レベルの調整が可能である。
【0005】
しかし、近時、半導体装置の省面積化及び省電力化の要請が高まっているが、ヒューズの縮小は困難であり、また、図7に示す構成では、ヒューズを切断する前の状態において電流消費が大きいという欠点がある。
【0006】
そこで、近時、組み込むヒューズを1個のみとする半導体装置が主流となってきている。図8は1個のヒューズを組み込んだ従来の半導体装置の構造を示す回路図である。
【0007】
この従来の半導体装置においては、電位レベルの調整が必要になる箇所に電源(電圧VCC)と接地との間に1個のヒューズF101及び1個の切断判定用トランジスタTr101が相互に直列に接続されている。ヒューズF101と切断判定用トランジスタTr101との接続点(ノードN101)には、ラッチ回路L101が接続されている。
【0008】
また、ソースが定電流源I101に接続されたPチャネルトランジスタMP101並びにソースが接地GNDに接続されたNチャネルトランジスタMN101及びMN102が設けられている。トランジスタMP101及びMN102の各ドレイン並びにトランジスタMN101のドレイン及びゲートは共通接続されている。トランジスタMP101及びMN102のゲートには、ヒューズ判定信号S101がインバータIV110により反転されて入力される。ヒューズ判定信号S101は、通常動作時にはロウとなっており、ヒューズF101の判定を行う際にハイとなる信号である。このようなトランジスタMP101、MN101及びMN102、定電流源I101並びにインバータIV110から基準電圧発生回路101が構成されている。この基準電圧発生回路101中のトランジスタMP101及びMN102の接続点から基準電圧が発生され、切断判定用トランジスタTr101のゲートに供給される。トランジスタMN102は、フローティング防止用のトランジスタである。
【0009】
なお、基準電圧及び切断判定用トランジスタTr101のサイズは、切断判定用トランジスタTr101のオン抵抗がヒューズF101の抵抗値の2倍程度となるように設定されている。また、ラッチ回路L101には、ノードN101の電位レベルVCC/2をしきい値として出力信号を反転するインバータが設けられている。
【0010】
このように構成された従来の半導体装置においては、ヒューズF101が切断されているか否かを判定する場合、先ず、ヒューズ判定信号S101をロウからハイにする。こうすると、基準電圧発生回路101から基準電圧が発生して切断判定用トランジスタTr101がオンする。そして、ヒューズF101と切断判定用トランジスタTr101との抵抗比で決まる各接続点の電位が、ラッチ回路L101に入力され、ヒューズF101の切断の有無を示すデータがラッチされる。具体的には、ヒューズF101が切断され、ノードN101の電位がラッチ回路L101の入力しきい値を少しでも下回れば、ロウレベルがラッチされる。一方、ヒューズF101が切断されず、ノードN101の電位がラッチ回路L101の入力しきい値を少しでも上回れば、ハイレベルがラッチされる。
【0011】
しかし、ヒューズは一般にレーザ等で溶断されるので、ヒューズの切断は必ずしも完全に行われるわけではなく、不完全に切断され、図8に示す従来の半導体装置では、ノードN101が電源に数十kΩ程度の高抵抗で接続される場合が多い。このような場合、ノードN101の電位レベルは、ヒューズF101の抵抗値とトランジスタTr101のオン抵抗値との比で決まり、ノードN101の電位レベルがラッチ回路の入力しきい値を僅かでも上回っていれば、ヒューズが切断されたと判定されるが、温度変化、電圧変動又はヒューズ抵抗値の経時劣化等の要因で、その後に再度判定を行ったときには切断されていないと判定される虞がある。従って、このように、本来切断されているべきヒューズが不完全に切断された製品は選別工程等で確実に除去する必要があるが、従来の半導体装置ではそれが不可能であるという問題点がある。
【0012】
そこで、特開平10−62477号公報には、電源と接地との間に判定対象であるヒューズと抵抗素子とを直列に接続し、それらの接続点の電位レベルを調節可能とした半導体装置が掲載されている。図9は特開平10−62477号公報に掲載された従来の半導体装置の一例を示す回路図である。
【0013】
この従来の半導体装置においては、判定対象であるヒューズF111の一端が接地GNDに接続され、他端に抵抗素子112が接続されている。抵抗素子112の他端には、電圧VDDが供給される。ヒューズF111と抵抗素子112との接続点(ノードN111)にインバータIV111が接続されている。また、ノードN111とインバータIV111との間にドレインが接続されたNチャネルトランジスタ117が設けられており、このトランジスタ117のソースと接地GNDとの間に抵抗素子118が接続されている。トランジスタ117のゲートには、トランジスタ117のオン/オフを切り替えるための信号S111が入力される。
【0014】
このように構成された従来の半導体装置においては、通常状態では、信号S111はロウであるが、ヒューズF111が切断されているか否かを判定する場合、先ず、信号S111をロウからハイにして、トランジスタ117を導通させる。こうすると、ノードN111の電位レベルが引き下げられる。従って、ヒューズF111の切断が不完全な場合には、インバータIV111の入力レベルがしきい値を下回るので、ヒューズF111が切断されていないとしてこの製品を除去することが可能となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示す特開平10−62477号公報に掲載された従来の半導体装置では、抵抗素子112及び118に比較的大きい抵抗値が必要とされるので、金属層から形成すると装置全体が大きなものとなるという問題点があり、ポリシリコン層から形成すると専用の層が必要となって製造ばらつきが発生しやすくなるという問題点がある。また、ノードN111の電位レベルは瞬時には安定しないので、ヒューズF111の切断の有無の判定に時間がかかってしまうという問題点もある。
【0016】
更に、このようなヒューズはダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)等では多数設けられるが、その1個1個に対して抵抗素子112及び118が必要となるため、チップ面積が大きくなる。
【0017】
更にまた、抵抗素子112及び118とトランジスタ117とは別工程で製造されるので、それらの間の相対精度を高く維持することが困難である。
【0018】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ヒューズの切断判定を高速に行うことができ、装置自体を小型化することができ、高い相対精度を容易に得ることができる半導体装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体装置は、ヒューズの切断の有無により動作を切替える半導体装置において、前記ヒューズに接続された切断判定用トランジスタと、この切断判定用トランジスタの抵抗を少なくとも第1のオンレベルと第2のオンレベルに変化させて前記切断判定用トランジスタを流れる電流量を調整する電流量調整手段と、前記ヒューズと前記切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルを保持するラッチ回路とを有し、前記電流量調整手段は、前記切断判定用トランジスタのゲートに接続され基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、前記基準電圧を引き上げる電圧引上手段とを有し、前記基準電圧発生回路は、前記ヒューズの切断の有無を判定するときのみに前記基準電圧を発生させる電圧発生タイミング調整手段を有することを特徴とする。また、本発明に係る他の半導体装置は、ヒューズの切断の有無により動作を切替える半導体装置において、前記ヒューズに接続された切断判定用トランジスタと、この切断判定用トランジスタの抵抗を少なくとも第1のオンレベルと第2のオンレベルに変化させて前記切断判定用トランジスタを流れる電流量を調整する電流量調整手段と、前記ヒューズと前記切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルを保持するラッチ回路とを有し、前記電流量調整手段は、前記切断判定用トランジスタのゲートに接続され基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、前記基準電圧を引き下げる電圧引下手段とを有し、前記基準電圧発生回路は、前記ヒューズの切断の有無を判定するときのみに前記基準電圧を発生させる電圧発生タイミング調整手段を有することを特徴とする。更に、本発明に係る更に他の半導体装置は、ヒューズの切断の有無により動作を切替える半導体装置において、前記ヒューズに接続された切断判定用トランジスタと、この切断判定用トランジスタの抵抗を少なくとも第1のオンレベルと第2のオンレベルに変化させて前記切断判定用トランジスタを流れる電流量を調整する電流量調整手段と、前記ヒューズと前記切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルを保持するラッチ回路とを有し、前記電流量調整手段は、前記切断判定用トランジスタのゲートに接続され基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、前記基準電圧を引き上げる電圧引上手段と、前記基準電圧を引き下げる電圧引下手段とを有し、前記基準電圧発生回路は、前記ヒューズの切断の有無を判定するときのみに前記基準電圧を発生させる電圧発生タイミング調整手段を有することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、電流量調整手段により切断判定用トランジスタを流れる電流量が調整され、この結果、切断判定用トランジスタのオン抵抗に基づいてヒューズと切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルが上下する。このように電位レベルを上下させても、ヒューズが完全に切断されている場合又は全く切断されていない場合には影響はないが、ヒューズの切断が不完全な場合には、電位レベルの上昇/下降に応じて強制的に切断側/非切断側に割り振られることになる。このようにして、ヒューズが完全に切断されているか、全く切断されていないか、又は不完全に切断されているかをきわめて容易に判断することが可能となる。
【0022】
更に、前記基準電圧発生回路に、前記ヒューズの切断の有無を判定するときのみに前記基準電圧を発生させる電圧発生タイミング調整手段を設けることにより、通常動作時の不要な電力消費を防止することができる。
【0023】
更にまた、前記電圧引上手段と前記電圧引下手段とは互いに異なるタイミングで動作するものであってもよい。前記電圧引下手段に、前記切断判定用トランジスタのゲートにドレイン及びゲートが接続された第1のトランジスタと、この第1のトランジスタのソースにドレインが接続され接地にソースが接続された第2のトランジスタと、を設けることにより、基準電圧を引き下げる際に切断判定用トランジスタのゲートが直接接地されることを防止することができる。
【0024】
また、前記電圧引上手段及び前記電圧引下手段の少なくとも一方を複数個設けることにより、切断判定用トランジスタのオン抵抗を細かく調整することが可能となり、不完全に切断されたヒューズにおける切断の程度に関する情報を得ることが可能となる。
【0025】
また、前記ヒューズ及び前記切断判定用トランジスタを複数組設け、前記切断判定用トランジスタの各ゲートを共通接続することにより、DRAM等で繰り返し設けられたヒューズの切断判定を一括して行うことが可能となると共に、装置自体の小型化が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係る半導体装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る半導体装置の構造を示す回路図である。図2は第1の実施例におけるラッチ回路の構造を示す回路図である。
【0027】
第1の実施例においては、判定対象であるn個のヒューズF1、F2、・・・、Fnの一端に夫々切断判定用トランジスタTr1、Tr2、・・・、Trnが接続されている。切断判定用トランジスタTr1乃至Trnは、例えばNチャネルトランジスタから構成される。各ヒューズの非切断時の抵抗は、例えば数kΩ程度、各切断判定用トランジスタのオン抵抗は、例えば数10kΩ程度であり、切断判定用トランジスタのオン抵抗はヒューズの非切断時の抵抗より、例えば1桁以上大きいものとなっている。ヒューズF1乃至Fnの他端には電圧Vccが供給され、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの他端は接地GNDに接続されている。切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの各ゲートは共通接続されている。ヒューズF1乃至Fnと切断判定用トランジスタTr1乃至Trnとの接続点(ノードN1乃至Nn)には、夫々ラッチ回路L1、L2、・・・、Lnが接続されている。
【0028】
また、第1の実施例には、ソースが定電流源I1に接続されたPチャネルトランジスタMP1並びにソースが接地GNDに接続されたNチャネルトランジスタMN1及びMN2が設けられている。トランジスタMP1及びMN2の各ドレイン並びにトランジスタMN1のドレイン及びゲートは共通接続されている。トランジスタMP1及びMN2のゲートには、ヒューズ判定信号S1がインバータIV10により反転されて入力される。ヒューズ判定信号S1は、通常動作時にはロウとなっており、ヒューズF1乃至Fnの判定を行う際にハイとなる信号である。このようなトランジスタMP1、MN1及びMN2、定電流源I1並びにインバータIV10から基準電圧発生回路1が構成されている。この基準電圧発生回路1中のトランジスタMP1及びMN2の接続点から基準電圧が発生され、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの各ゲートに供給される。トランジスタMN2は、フローティング防止用のトランジスタである。
【0029】
更に、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの各ゲートとトランジスタMP1及びMN2の接続点との間にドレインが接続されたPチャネルトランジスタMP11が設けられている。トランジスタMP11のソースは定電流源I1に接続され、ゲートにはテストモード信号TEST2が供給される。トランジスタMP11の駆動能力は、例えばトランジスタMP11が導通状態のときの切断判定用トランジスタのオン抵抗が非導通状態の時のオン抵抗の1/2倍程度となるように設定されている。また、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの各ゲートとトランジスタMP1及びMN2の接続点との間にゲート及びドレインが接続されたNチャネルトランジスタMN11が設けられている。トランジスタMN11のソースには、ソースが接地されたNチャネルトランジスタMN21のドレインが接続されている。トランジスタMN21のゲートにはテストモード信号TEST1が供給される。トランジスタMN11及びMN21の駆動能力は、例えばトランジスタMN21が導通状態のときの切断判定用トランジスタのオン抵抗が非導通状態の時のオン抵抗の2倍程度となるように設定されている。テストモード信号TEST1は、後述の第1の判定を行う際にハイとなる信号であり、テストモード信号TEST2は、後述の第2の判定を行う際にロウとなる信号である。
【0030】
ラッチ回路L1乃至Lnには、図2に示すように、互いに直列に接続されたインバータIV1及びIV2が設けられている。インバータIV1及びIV2のしきい値は、例えば電圧VCC/2である。インバータIV1の入力端とヒューズFk及び切断判定用トランジスタTrk(1≦k≦n)間のノードNkとの間にトランスファゲートG1が接続されている。また、インバータIV1の入力端とインバータIV2の出力端との間にトランスファゲートG2が接続されている。更に、ヒューズ判定信号S1を反転するインバータIV3が設けられており、ヒューズ判定信号S1は、トランスファゲートG1を構成するPチャネルトランジスタ及びトランスファゲートG2を構成するNチャネルトランジスタの各ゲートに反転されることなくそのまま入力され、トランスファゲートG1を構成するNチャネルトランジスタ及びトランスファゲートG2を構成するPチャネルトランジスタの各ゲートには反転して入力される。このように構成されたラッチ回路に保持された値はインバータIV2の出力端に相当するノードNL1から出力される。
【0031】
次に、上述のように構成された第1の実施例の動作について説明する。
【0032】
ヒューズF1乃至Fnが切断されているか否かを判定する場合、先ず、ヒューズ判定信号S1をロウからハイにする。こうすると、基準電圧発生回路1から基準電圧が発生して切断判定用トランジスタTr1乃至Trnがオンする。そして、夫々ヒューズF1乃至Fnと切断判定用トランジスタTr1乃至Trnとの抵抗比で決まる各接続点の電位が、夫々ラッチ回路L1乃至Lnに入力され、ヒューズF1乃至Fnの切断の有無を示すデータがラッチされる。具体的には、ヒューズが切断され、ノードNkの電位がインバータIV1のしきい値を少しでも下回れば、ロウレベルがラッチされる。一方、ヒューズが切断されず、ノードNkの電位がインバータIV1のしきい値を少しでも上回れば、ハイレベルがラッチされる。しかし、これだけでは、前述のように、切断が不完全に行われたヒューズを検出することができない。
【0033】
そこで、本実施例では、ヒューズ判定信号S1がハイとなっている状態で、テストモード信号TEST1をハイとして第1の判定を行い、その後、ヒューズ判定信号S1がハイとなっている状態で、テストモード信号TESTをロウとすると共に、テストモード信号TEST2をロウとして第2の判定を行う。以下、これらの判定方法について説明する。図3は本発明の第1の実施例に係る半導体装置におけるヒューズの切断の判定方法を示すグラフ図である。
【0034】
第1の判定では、上述のように、ヒューズ判定信号S1がハイとなっている状態で、テストモード信号TEST1をハイとする。こうすると、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnのゲートに印加される基準電圧が引き下げられるので、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnのオン抵抗が高くなる。この結果、ノードN1乃至Nnの電圧レベルも上昇し、図3に二点鎖線で示すように、本来の電圧レベルが図3中において波線で挟まれた領域内にある不完全に切断されたヒューズに対しては、完全に切断されていないヒューズと同様に、ラッチ回路にハイレベルのデ−タがラッチされる。つまり、切断されていないと判定される。一方、ほぼ完全に切断されたヒューズに対しては、ノードの電位が上昇しないか、又は上昇してもその程度は僅かであるので、ラッチ回路にはロウレベルがラッチされる。
【0035】
従って、本来切断されるべきであるにも拘わらず、切断が不完全なためにその抵抗値が判定用トランジスタのオン抵抗より僅かに高くなっているようなヒューズについても、非切断の判定がされるので、その後の試験で不良品として排除することが可能である。
【0036】
第2の判定では、上述のように、ヒューズ判定信号S1がハイとなっている状態で、テストモード信号TEST1及びTEST2をロウとする。こうすると、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnのゲートに印加される基準電圧が引き上げられるので、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnのオン抵抗が低くなる。この結果、ノードN1乃至Nnの電位も下降し、図3に一点鎖線で示すように、本来の電圧レベルが図3中において波線で挟まれた領域内にある不完全に切断されたヒューズに対しては、完全に切断されたヒューズと同様に、ラッチ回路にロウレベルのデ−タがラッチされる。つまり、第2の判定では、第1の判定と異なり、切断されていると判定される。一方、切断されていないヒューズに対しては、ノードの電位が下降しても、その程度は僅かであるので、ラッチ回路にはハイレベルがラッチされる。
【0037】
切断が不完全なためにその抵抗値が判定用トランジスタのオン抵抗より僅かに低くなっているようなヒューズがある製品は、第1の判定によって不良品として排除することができるが、第1の判定のみでは、その不良の原因がどこにあるのかを明らかにすることができない。つまり、ヒューズの切断に不良があるのかヒューズの切断によって動作する回路に不良があるのかは判断できない。具体的には、メモリ素子におけるリダンダンシ回路では、置換先のメモリセルに不良があるのか、リダンダンシセルを選択するデコーダに不良があるのか、又はヒューズの切断に不良があるのか、は不明である。このような場合に、第2の判定を行うことにより、抵抗値が判定用トランジスタのオン抵抗より僅かに低くなっているようなヒューズに対しては、強制的に切断されているとの判定がなされるので、その後の試験で良品との判定が得られた場合には不良の原因がヒューズの切断にあるものと特定することが可能となる。
【0038】
このような第1及び第2の判定の結果に基づいて、各ヒューズの切断状態を下記表1に示すように判定することができる。
【0039】
【表1】
Figure 0003636965
【0040】
また、第2の判定によれば、本来切断されるべきでないにも拘わらず高抵抗化したヒューズの検出も可能となる。図6(a)は及び(b)は通常のエッチング工程を工程順に示す断面図、(c)はエッチングが過剰に行われたヒューズを示す断面図である。図6(a)に示すように、ヒューズとなる金属層11は、その製造工程で一旦保護膜12に覆われる。その後、図6(b)に示すように、レーザによる溶断が可能となるように、保護膜12がエッチングされ、金属層11が露出される。しかし、保護膜12のエッチングが過剰に行われると、図6(c)に示すように、金属層11が薄膜化されるので、このヒューズが切断されないものである場合、その部分の抵抗値が所定のものよりも高くなってしまい誤動作が生じる虞がある。
【0041】
同様に、レーザトリミング装置の誤動作及びプログラムミス(ヒューズの座標(位置)の指定ミス)等による誤切断によってもヒューズの抵抗値が部分的に高くなることがある。
【0042】
そして、これらの結果、ヒューズの抵抗値が、基準電圧の引き上げ及び引き下げのいずれも行わない通常判定時の切断判定用トランジスタの抵抗値よりも僅かに低いものとなっている場合であっても、第2の判定によれば、このような製品を不良品として排除することが可能となる。
【0043】
また、図9に示す従来の半導体装置をメモリ等の多数のヒューズ素子が設けられるものに適用する場合、スタンバイ電流を抑制するために抵抗素子112及びヒューズF111には極めて高い抵抗値が要求される。例えば、電源電圧が3V、スタンバイ電流のスペック値が100μA、ヒューズの本数が1000本の場合、抵抗素子112には全体で、次式で示すように、少なくとも30×106(Ω)もの抵抗値が要求される。
【0044】
【数1】
Figure 0003636965
【0045】
更に、他の内部回路の消費電流及びリーク電流を考慮すると、更に高い抵抗値が必要となるが、近時、抵抗層は金属層から形成されているので、十分な抵抗値を確保するためには、膨大な面積が必要となる。これに対し、本発明の第1の実施例では、抵抗素子が設けられていないので、このようなチップの省面積化に逆行するようなことはない。
【0046】
また、図9に示す従来の半導体装置においては、ヒューズF111が接続されたノードN111にトランジスタ117及び抵抗素子118を接続しなければ検査を行うことができない。このため、第1の実施例のように複数のヒューズを有する半導体装置に適用した場合、ヒューズの数に相当する抵抗素子及びトランジスタが必要になる。更に、電源側にも同様な回路を設ける場合には、その倍の抵抗素子及びトランジスタが必要になる。
【0047】
これに対して、第1の実施例においては、基準電圧発生回路1、引き上げ用及び引き下げ用のトランジスタMP11、MN1及びMN21並びに切断判定用トランジスタTr1乃至Trnがあれば、その他に抵抗分割に必要な素子は不要であるので、この点においても省面積化に好適である。
【0048】
更に、図9に示す従来の半導体装置において、抵抗素子112の抵抗値は固定値なので、プロセスパラメータの変動等により、装置内のNチャネルトランジスタのしきい値が上昇した場合には、ノードN111の電位レベルは変動しない。テストモード時であっても、トランジスタ117のオン抵抗は抵抗素子118の抵抗値と比較すると極めて小さいので、トランジスタ117のしきい値変動によるノードN111の電位レベルへの影響は極めて小さい。その一方で、インバータIV111のしきい値は変動するので、切断されていると判定される場合のヒューズの抵抗値(切断判定抵抗値)にばらつきが生じやすい。これに対し、第1の実施例では、Nチャネルトランジスタのしきい値が上昇すると、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの駆動能力が低下するが、トランジスタMN1のオン抵抗が上昇するため、基準電圧が上昇する。この結果、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnのゲート−ソース間電圧が上昇するため、全体として切断判定抵抗値の変動は相殺される。
【0049】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例では、基準電圧発生回路と切断判定用トランジスタのゲートとの間に複数のレベル引き上げ用Pチャネルトランジスタ及びレベル引き下げ用Nチャネルトランジスタが接続されている。図4は本発明の第2の実施例に係る半導体装置の構造を示す回路図である。なお、図4に示す第2の実施例において、図1に示す第1の実施例と同一の構成要素には、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0050】
第2の実施例には、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの各ゲートとトランジスタMP1及びMN2の接続点との間にドレインが接続されたn個のPチャネルトランジスタMP11−1乃至MP11−nが設けられている。トランジスタMP11−1乃至MP11−nのソースは定電流源I1に接続され、ゲートには、夫々テストモード信号TEST2−1乃至TEST2−nが供給される。
【0051】
また、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの各ゲートとトランジスタMP1及びMN2の接続点との間にゲート及びドレインが接続されたNチャネルトランジスタMN11−1乃至MN11−nが設けられている。トランジスタMN11−1乃至MN−nのソースには、夫々ソースが接地されたNチャネルトランジスタMN21−1乃至MN21−nのドレインが接続されている。NチャネルトランジスタMN21−1乃至MN21−nのゲートには、夫々テストモード信号TEST1−1乃至TEST1−nが供給される。テストモード信号TEST1−1乃至TEST1−nは、後述の第1の判定を行う際に適宜ハイとなる信号であり、テストモード信号TEST2−1乃至TEST2−nは、後述の第2の判定を行う際に適宜ロウとなる信号である。
【0052】
なお、トランジスタMP11−1乃至MP11−nの駆動能力は互いに等しくてもよく、異なっていてもよい。同様に、トランジスタMN21−1乃至MN21−nの駆動能力も互いに等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0053】
このように構成された第2の実施例においては、第1の判定を行う際には、第1の実施例と同様に、テストモード信号TEST1−1乃至TEST1−nの中から1以上の信号をハイとするが、その組み合わせにより基準電圧の引き下げの程度を調節することが可能となる。
【0054】
同様に、第2の判定を行う際には、テストモード信号TEST2−1乃至TEST2−nの中から1以上の信号をロウとするが、その組み合わせにより基準電圧の引き上げの程度を調節することが可能となる。
【0055】
従って、第1及び第2の判定のいずれにおいても、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnのオン抵抗を調節することが可能となる。即ち、図3における二点鎖線又は一点鎖線で示す電圧レベルの調節が可能となるので、不完全に切断されたヒューズの切断の程度を示す情報を得ることができる。
【0056】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例においては、基準電圧発生回路と基準電圧引き上げ用のトランジスタとが一体化されている。図5は本発明の第3の実施例に係る半導体装置の構造を示す回路図である。なお、図5に示す第3の実施例において、図1に示す第1の実施例と同一の構成要素には、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0057】
第3の実施例には、切断判定用トランジスタTr1乃至Trnの各ゲートにドレインが接続されたPチャネルトランジスタMP21乃至MP25が設けられている。トランジスタMP21乃至MP25のソースは定電流源I1に接続されている。また、夫々テストモード信号TEST11、TEST12、TEST13、TEST14、TEST15が反転して一の入力端に入力され、他の入力端にヒューズ判定信号S1が入力される2入力のデコード用NANDゲートG11、G12、G13、G14及びG15が設けられている。NANDゲートG11、G12、G13、G14及びG15の出力信号が、夫々トランジスタMP21乃至MP25のゲートに入力される。例えば、テストモード信号TEST11乃至TEST13はデフォルトでハイに設定され、テストモード信号TEST14及びTEST15はデフォルトでロウに設定されている。
【0058】
このように構成された第3の実施例においては、テストモード信号TEST11乃至TEST15をデフォルトのままとしてヒューズ判定信号S1をロウからハイにする。こうすると、トランジスタMP21乃至MP23がオン状態となり、トランジスタMP21乃至MP23とトランジスタMN1との接続点から基準電圧が発生して切断判定用トランジスタTr1乃至Trnがオンする。
【0059】
このとき、プロセスパラメータの変動によりヒューズの抵抗値が低く製造されている場合、及びトランジスタMN1及びMN2の駆動能力が低く製造されているような場合には、ノードN1乃至Nnの電位レベルが設計値よりも高くなる。このため、切断されていると判定される場合のヒューズの抵抗値(切断判定抵抗値)が設計値よりも高くなるので、つまり、より十分に切断されていなければ切断されていると判定されなくなるので、判定時間が長くなる。
【0060】
そこで、第3の実施例では、このような場合には、テストモード信号TEST14及びTEST15を適宜ハイに切替えることにより、基準電圧を引き上げ、切断判定用トランジスタのオン抵抗を低くする。この結果、ノードN1乃至Nnの電位レベルが下がってプロセスパラメータの変動によるヒューズの切断判定抵抗値の変動が相殺される。
【0061】
一方、ヒューズの抵抗値が高く製造されている場合、及びトランジスタMN1及びMN2の駆動能力が高く製造されているような場合には、テストモード信号TEST11乃至TEST13を適宜ロウに切替えることにより、切断判定用トランジスタのオン抵抗を高くする。この結果、ノードN1乃至Nnの電位レベルが上がってプロセスパラメータの変動によるヒューズの切断判定抵抗値の変動が相殺される。更に、ノードN1乃至Nnの電位レベルを最適なものに設定することにより、不要な消費電流を削除することも可能である。
【0062】
そして、ヒューズの切断判定が終了した後には、ヒューズオプション、ボンディングオプション又はマスク修正等によりテストモード信号TEST11乃至TEST15のデフォルトの設定を変更する。
【0063】
このような第3の実施例によれば、半導体装置の製造装置又は試作条件等の相違によりトランジスタの駆動能力及びヒューズの抵抗値(層抵抗)等にプロセスパラメータの変動が生じた場合であっても、初期の評価においてこれらに対応した最適な基準電圧を設定することが可能である。
【0064】
なお、テストモード信号、デコード用素子及び引き上げ用トランジスタ(Pチャネルトランジスタ)を増やせば、より一層微細な評価が可能となる。また、第3の実施例によっても第1及び第2の実施例での判定は可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、切断判定用トランジスタのオン抵抗が瞬時に定まり、ヒューズと切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルも早期に定まるので、ヒューズの切断判定を高速に行うことができる。また、ヒューズの切断判定に使用される抵抗素子が含まれておらず、トランジスタで構成することが可能であるため、装置自体を小型化することができると共に、高い相対精度を容易に得ることができる。
【0066】
また、請求項4に係る発明によれば、通常動作時の不要な電力消費を防止することができ、請求項6に係る発明によれば、基準電圧を引き下げる際に切断判定用トランジスタのゲートが直接接地されることを防止することができる。更に、請求項7に係る発明によれば、切断判定用トランジスタのオン抵抗を細かく調整することが可能となり、不完全に切断されたヒューズにおける切断の程度に関する情報を得ることができ、請求項8に係る発明によれば、DRAM等で繰り返し設けられたヒューズの切断判定を一括して行うことができ、より一層の装置自体の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る半導体装置の構造を示す回路図である。
【図2】第1の実施例におけるラッチ回路の構造を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る半導体装置におけるヒューズの切断の判定方法を示すグラフ図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る半導体装置の構造を示す回路図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係る半導体装置の構造を示す回路図である。
【図6】(a)は及び(b)は通常のエッチング工程を工程順に示す断面図、(c)はエッチングが過剰に行われたヒューズを示す断面図である。
【図7】2個のヒューズを組み込んだ従来の半導体装置の構造を示す回路図である。
【図8】1個のヒューズを組み込んだ従来の半導体装置の構造を示す回路図である。
【図9】特開平10−62477号公報に掲載された従来の半導体装置の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1;基準電圧発生回路
F1、F2、Fn;ヒューズ
Tr1、Tr2、Trn;切断判定用トランジスタ
L1、L2、Ln;ラッチ回路
MP1、MP11、MP11−1、MP11−n、MP21、MP22、MP23、MP24、MP25;Pチャネルトランジスタ
MN1、MN2、MN11、MN11−1、MN11−n、MN21、MN21−1、MN21−n;Nチャネルトランジスタ
S1;ヒューズ判定信号
TEST1、TEST1−1、TEST1−n、TEST2、TEST2−1、TEST2−n、TEST11、TEST12、TEST13、TEST14、TEST15;テストモード信号
G11、G12、G13、G14、G15;NANDゲート

Claims (7)

  1. ヒューズの切断の有無により動作を切替える半導体装置において、前記ヒューズに接続された切断判定用トランジスタと、この切断判定用トランジスタの抵抗を少なくとも第1のオンレベルと第2のオンレベルに変化させて前記切断判定用トランジスタを流れる電流量を調整する電流量調整手段と、前記ヒューズと前記切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルを保持するラッチ回路とを有し、前記電流量調整手段は、前記切断判定用トランジスタのゲートに接続され基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、前記基準電圧を引き上げる電圧引上手段とを有し、前記基準電圧発生回路は、前記ヒューズの切断の有無を判定するときのみに前記基準電圧を発生させる電圧発生タイミング調整手段を有することを特徴とする半導体装置。
  2. ヒューズの切断の有無により動作を切替える半導体装置において、前記ヒューズに接続された切断判定用トランジスタと、この切断判定用トランジスタの抵抗を少なくとも第1のオンレベルと第2のオンレベルに変化させて前記切断判定用トランジスタを流れる電流量を調整する電流量調整手段と、前記ヒューズと前記切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルを保持するラッチ回路とを有し、前記電流量調整手段は、前記切断判定用トランジスタのゲートに接続され基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、前記基準電圧を引き下げる電圧引下手段とを有し、前記基準電圧発生回路は、前記ヒューズの切断の有無を判定するときのみに前記基準電圧を発生させる電圧発生タイミング調整手段を有することを特徴とする半導体装置。
  3. ヒューズの切断の有無により動作を切替える半導体装置において、前記ヒューズに接続された切断判定用トランジスタと、この切断判定用トランジスタの抵抗を少なくとも第1のオンレベルと第2のオンレベルに変化させて前記切断判定用トランジスタを流れる電流量を調整する電流量調整手段と、前記ヒューズと前記切断判定用トランジスタとの接続点の電位レベルを保持するラッチ回路とを有し、前記電流量調整手段は、前記切断判定用トランジスタのゲートに接続され基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、前記基準電圧を引き上げる電圧引上手段と、前記基準電圧を引き下げる電圧引下手段とを有し、前記基準電圧発生回路は、前記ヒューズの切断の有無を判定するときのみに前記基準電圧を発生させる電圧発生タイミング調整手段を有することを特徴とする半導体装置。
  4. 前記電圧引上手段と前記電圧引下手段とは互いに異なるタイミングで動作することを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  5. 前記電圧引下手段は、前記切断判定用トランジスタのゲートにドレイン及びゲートが接続された第1のトランジスタと、この第1のトランジスタのソースにドレインが接続され接地にソースが接続された第2のトランジスタとを有することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
  6. 前記電圧引上手段及び前記電圧引下手段の少なくとも一方は複数個設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
  7. 前記ヒューズ及び前記切断判定用トランジスタは複数組設けられており、前記切断判定用トランジスタの各ゲートは共通接続されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置。
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