JP3630352B2 - 尿素含有水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、尿素含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、尿素を高濃度に含有する水を、効率的かつ経済的に処理し、水中及び大気中への有害物質の排出を防止することができる尿素含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒素化合物は、水中へ放出されると富栄養化の原因となり、窒素酸化物として大気中に放出されると、それ自体が健康に有害であるばかりでなく、光化学反応に関与してスモッグと呼ばれる二次的複合汚染現象の一因となる。このため、窒素化合物を含有する排水は、脱窒処理を行うとともに、処理工程中における窒素化合物の大気中への揮散も防止しなければならない。排水中の窒素の処理方法としては、生物処理法、硝化脱窒法、不連続点塩素法、イオン交換樹脂法、電気透析法、アンモニアストリッピング法などがある。
尿素を含有する排水は、希釈して放流される場合や、生物処理される場合があるが、生物処理法では分解時間が長くなり、処理装置の設置面積が大型化し、大量の余剰汚泥が発生するという問題がある。
尿素は、下記の式で示されるように、水溶液を加熱すると加水分解してアンモニアを生じることが知られている。
CO(NH+HO → 2NH+CO
また、J.W.Mellorにより、A Comprehensive Treatise on Inorganic and Theoretical Chemistry、第5巻(Longmans社、1967年発行)に、尿素が亜硝酸と反応すると窒素ガスと二酸化炭素に変換されることが報告されている。
CO(NH+2HNO → 2N+CO+3H
しかし、これらの反応を排水処理に利用する方法については知られていない。尿素を高濃度に含有する排水は、単に加熱処理するのみでは十分な処理水質が得られない。また、尿素をアンモニアに変換しても、排水中の窒素分としては減少しないため、さらに処理が必要となる。尿素と亜硝酸の反応は、尿素が高濃度に含まれる場合には多量の亜硝酸が必要となり、排水処理に経済的に利用することができない。
また、200〜300℃、20〜100kg/cmGのような高温、高圧条件下における湿式触媒酸化によれば、尿素含有水の処理は可能であるが、経済性が悪く、維持管理が難しいという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、尿素を高濃度に含有する排水の処理において、温度180℃以下、圧力10kg/cmGのような比較的ゆるやかな条件で処理することができ、尿素の分解処理に必要な酸化剤のコストを低減し、大気中へ有害な窒素化合物を排出することなく、尿素を無害な窒素ガスに変換して、処理水中の残留窒素を十分に低い濃度にまで低減することができる尿素含有水の処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、尿素含有水を加熱して尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、アンモニアを揮散により気相に移行して酸化により窒素ガスとし、水相に残存するアンモニアも酸化分解することにより、排水中の尿素を効率的に無害な窒素ガスまで分解処理し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(1)尿素含有水をpH1〜6に調整したのち、触媒の存在下に加熱処理して、尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する尿素分解工程、(2)尿素分解工程処理水を、中性又はアルカリ性にpHを調整したのち、水蒸気又は空気を吹きこみ、大部分のアンモニアを気相に移行するアンモニア揮散工程、(3)アンモニア揮散工程からの排出ガスを触媒と接触させて、アンモニアを窒素ガスと水に酸化分解する気相アンモニア分解工程、及び、(4)アンモニア揮散工程からの流出水に酸化剤を添加し、触媒の存在下にアンモニアを窒素ガスと水に酸化分解する液相アンモニア分解工程からなる尿素含有水の処理方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(2)尿素分解工程において、チタニア触媒又は貴金属担持チタニア触媒充填塔を用い、100〜180℃、SV=0.1〜10hr−1で処理する第(1)項記載の尿素含有水の処理方法、
(3)アンモニア揮散工程において、pH7以上、水温20℃以上、気液比(G/L)1,000〜5,000倍で空気ストリッピングする第(1)項記載の尿素含有水の処理方法、
(4)アンモニア揮散工程において、pH7以上、水温80℃以上、蒸気量/処理液量の比5〜20%で蒸気ストリッピングする第(1)項記載の尿素含有水の処理方法、
(5)気相アンモニア分解工程において、貴金属担持アルミナ酸化触媒充填塔を用い、200〜400℃、SV=10,000〜30,000hr−1で処理する第(1)項記載の尿素含有水の処理方法、
(6)気相アンモニア分解工程において、バナジウム−チタニア系還元触媒充填塔を用い、300〜400℃、SV=3,000〜10,000hr−1で副生したNOを還元処理する第(1)項記載の尿素含有水の処理方法、
(7)液相アンモニア分解工程において、酸化剤として、亜硝酸ナトリウム又は過酸化水素を添加する第(1)項記載の尿素含有水の処理方法、及び、
(8)液相アンモニア分解工程において、貴金属担持チタニア触媒充填塔を用い、100〜180℃、SV=0.1〜10hr−1で処理する第(1)項記載の尿素含有水の処理方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、尿素を含有する排水に適用することができる。図1は、本発明の工程系統図である。
第1工程の尿素分解工程において、尿素含有水をpH1〜6、好ましくはpH2〜5に調整したのち、触媒存在下に加熱することにより、次式のごとく尿素を水と反応して、アンモニアと二酸化炭素に分解する。
CO(NH+HO → 2NH+CO
尿素含有水のpHを1〜6とすることにより、生成した二酸化炭素はガスとして気相に移行するので、反応は速やかに進行する。加えて、水中に二酸化炭素が存在しなくなるため、液相アンモニア分解工程において、触媒に悪影響を及ぼすおそれがない。二酸化炭素の気相への移行のためには、尿素含有水のpHが1未満である必要はなく、尿素含有水のpHが1未満であると、設備に耐食性材料が必要となる。尿素含有水のpHが6を超えると、二酸化炭素は、重炭酸イオン、炭酸イオンとして水中に残り、それらのイオンが液相アンモニア分解工程において、触媒毒となるおそれがある。
尿素の分解に使用する触媒としては、例えば、チタニア、シリカアルミナ、アルミナなどの多孔質粒状触媒、及びこれらの粒状物に白金、ルテニウム、パラジウムなどの貴金属を担持した触媒などを挙げることができる。これらの中で、特にチタニア触媒及び貴金属担持チタニア触媒は、尿素のアンモニアへの分解反応における性能の安定性が高いので好ましい。尿素分解工程の反応温度は、100〜180℃であることが好ましく、150〜175℃であることがより好ましい。反応温度が100℃未満であると、反応が遅く、処理に長時間を要し、あるいはアンモニアへの分解率が十分に上がらないおそれがある。反応温度が180℃を超えると、耐圧強度の大きい反応装置が必要となる。反応温度が180℃以下であれば、圧力10kg/cmG未満で反応することが可能である。反応形式は、触媒充填塔へ通水することが好ましく、処理速度は、SV=0.1〜10hr−1であることが好ましく、SV=1〜3hr−1であることがより好ましい。上記の条件で反応すれば、通常はSVを0.1hr−1未満とする必要はなく、また、SVが小さすぎると反応装置が大型化する。SVが10hr−1を超えると、尿素のアンモニアへの分解が十分に進まないおそれがある。尿素分解工程において、通常90%以上の窒素分がアンモニアに変換される。反応条件の設定によっては、99%以上の変換率を達成することも可能となる。
【0006】
尿素の分解により生成したアンモニアを含む尿素分解工程処理水は、次いで第2工程のアンモニア揮散工程へ送り、アルカリ性領域において揮散処理して大部分のアンモニアを気相側に移行する。水中のアンモニアは、
【化1】
Figure 0003630352
で示される平衡状態にあり、pHを高くするか、温度を上昇することにより、平衡が右へ移行して、アンモニアの揮散が可能となる。本発明方法において、アンモニアの揮散には、空気ストリッピング法又は蒸気ストリッピング法のいずれをも用いることができる。
空気ストリッピング法は、アンモニア態窒素を含有する水のpHを高くして空気と接触させ、空気をキャリアガスとしてアンモニアを揮散させる方法である。水のpHは、7以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。水のpHが7程度であると、常温ではほとんどアンモニアを揮散することができないので、水を加熱しなければならないが、pHが9以上であるとアンモニアを容易に揮散することができ、さらにpH10となると常温でも80%以上のアンモニアを揮散することができる。水温は、20℃以上であることが好ましい。水温が20℃未満であると、アンモニアの揮散に必要な空気の量が増し、長時間を要するおそれがある。吹き込み空気量は、気液比(G/L)で1,000〜5,000倍であることが好ましい。気液比が1,000倍未満であると、アンモニアの揮散が不十分となるおそれがある。気液比は5,000倍あれば十分であり、通常は気液比が5,000倍を超える必要はない。空気ストリッピング法は、ガス中に酸素が含まれるので、後段のアンモニア含有ガスを処理する際の酸素源となり、好ましい。
【0007】
蒸気ストリッピング法は、アンモニア態窒素を含有する水を予熱し、水蒸気を吹き込んで、蒸気をキャリアガスとしてアンモニアを揮散させる方法である。蒸気ストリッピングは中性で行うことができるが、水のpHは7以上であることが好ましい。水のpHが7未満であると、蒸気ストリッピングによっても効率的にアンモニアを揮散させることは困難である。水温は、80℃以上であることが好ましい。水温が80℃未満であると、水蒸気の凝縮量が多くなり、蒸気ストリッピング法の効果を十分に発揮することができないおそれがある。吹き込み蒸気量は、蒸気量/処理液量の比で5〜20%であることが好ましい。蒸気量/処理液量の比が5%未満であると、アンモニアの揮散が不十分となるおそれがある。蒸気量/処理液量の比は20%あれば十分であり、通常は蒸気量/処理液量の比が20%を超える必要はない。蒸気ストリッピング法は、空気ストリッピング法に比べて放散ガス量が少なく、高濃度のアンモニア含有ガスを得ることができる。空気ストリッピング法によっても、蒸気ストリッピング法によっても、通常90%以上のアンモニアを揮散し、気相へ移行することができる。
【0008】
アンモニア揮散工程から排出されるアンモニアを含有するガスは、空気ストリッピング法の場合はそのまま、蒸気ストリッピング法の場合は酸素を供給するため空気を混合して、第3工程の気相アンモニア分解工程に送る。気相アンモニア分解工程においては、次式に示されるごとく、アンモニアを空気中の酸素により酸化して無害な窒素ガスとする。
4NH+3O → 2N+6H
アンモニアの気相酸化分解に用いる触媒としては、例えば、チタニア、シリカアルミナ、アルミナなどの多孔質粒状触媒に、白金、ルテニウム、パラジウムなどの貴金属を担持した触媒などを挙げることができる。これらの中で、特に白金担持触媒は、アンモニアの分解率が高いので好ましい。気相アンモニア分解工程の反応温度は、200〜400℃であることが好ましく、250〜300℃であることがより好ましい。反応温度が200℃未満であると、反応が遅く、処理に長時間を要し、あるいはアンモニアの分解率が十分に上がらないおそれがある。反応温度が400℃を超えると、設備に耐熱材料が必要となり、かつエネルギー消費量が多くなる。反応形式は、触媒充填塔へ通気することが好ましく、空塔速度は、SV=10,000〜30,000hr−1であることが好ましい。SVが10,000hr−1未満であると、反応装置が大型化する。SVが30,000hr−1を超えると、アンモニアの酸化分解が十分に進まないおそれがある。
【0009】
アンモニアの気相酸化分解反応の際に、次式で示される副反応などによりNOが副生する場合がある。
4NH+5O → 4NO+6H
副生したNOは、次式で示すごとく処理ガス中に残存するアンモニアにより、あるいはアンモニアを含有するガスを加え、還元して無害な窒素ガスとすることができる。
4NO+4NH+O → 4N+6H
NOのアンモニアによる還元反応に用いる触媒としては、例えば、バナジウム−チタニア系触媒、銅を担持したゼオライト触媒などを挙げることができる。NOのアンモニアによる還元反応の反応温度は、300〜400℃であることが好ましい。反応温度が300℃未満であると、反応が遅く、処理に長時間を要し、あるいはNOが十分に除去されないおそれがある。反応温度が400℃を超えると、設備に耐熱材料が必要となり、かつエネルギー消費量が多くなる。反応形式は、触媒充填塔へ通気することが好ましく、空塔速度は、SV=3,000〜10,000hr−1であることが好ましい。SVが3,000hr−1未満であると、反応装置が大型化する。SVが10,000hr−1を超えると、NOのアンモニアによる還元反応が十分に進まないおそれがある。
【0010】
アンモニア揮散工程から流出する水中には、なお少量のアンモニアが残存するので、第4工程の液相アンモニア分解工程において、酸化剤を添加して触媒の存在下にアンモニアを酸化分解する。添加する酸化剤に特に制限はなく、例えば、亜硝酸ナトリウム、過酸化水素、酸素、空気、オゾンなどを挙げることができる。アンモニアは、これらの酸化剤と下記の式のごとく反応して、無害な窒素ガスとなる。
NH+NaNO → N+HO+NaOH
2NH+3H → N+6H
4NH+3O → 2N+6H
4NH+2O → 2N+6H
酸化剤の添加量は、上記の式などから計算される反応当量に相当する量又はわずかに過剰量であることが好ましい。使用する触媒としては、例えば、チタニア、シリカアルミナ、アルミナなどの多孔質粒状触媒に、白金、ルテニウム、パラジウムなどの貴金属を担持した触媒などを挙げることができる。これらの中で、特に貴金属担持チタニア触媒は、アンモニアの分解率が高いので好ましい。液相アンモニア分解工程の反応温度は、100〜180℃であることが好ましく、150〜175℃であることがより好ましい。反応温度が100℃未満であると、反応が遅く、処理に長時間を要し、あるいはアンモニアの分解率が十分に上がらないおそれがある。反応温度が180℃を超えると、耐圧強度の大きい反応装置が必要となる。反応温度が180℃以下であれば、圧力10kg/cmG未満で反応することが可能である。反応形式は、触媒充填塔へ通水することが好ましい。処理速度は、SV=0.1〜10hr−1であることが好ましく、SV=1〜3hr−1であることがより好ましい。上記の条件で反応すれば、通常はSVを0.1hr−1未満とする必要はなく、また、SVが小さすぎると反応装置が大型化する。SVが10hr−1を超えると、アンモニアの分解が十分に進まないおそれがある。液相アンモニア分解工程において、通常95%以上のアンモニアが窒素ガスに変換され除去される。
本発明の尿素含有水の処理方法によれば、発生するアンモニアの大部分を揮散処理により気相に移行し、空気中の酸素により酸化分解して窒素ガスに変換するため、従来の液相において酸化剤を添加して酸化分解する方法に比べ、必要な酸化剤の量を大幅に低減することができる。また、液相において処理するアンモニアの量が減少するので、反応速度が気相処理の場合に比べて遅い液相処理の負荷量が低減され、液相処理設備を小型化し、かつ、処理水中の全窒素濃度を十分に低下することができる。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
尿素35,400mg/リットル及びアンモニア性窒素2,800mg/リットル(全窒素19,300mg/リットル)を含む水を調製し、pH2に調整したのち、白金0.5重量%を担持したチタニア触媒50mlを充填したカラムに、170℃において、50ml/hrすなわちSV1hr−1の流速で通液処理した。処理水中のアンモニア性窒素の濃度及び全窒素の濃度は、ともに18,000mg/リットルであり、尿素の窒素成分の大部分がアンモニア性窒素に変換された。なお、処理水中の亜硝酸性窒素の濃度は、1mg/リットル以下であった。
この処理水1,000mlを、pH10に調整したのち、内径50mm、高さ1,500mmのアクリル樹脂製カラムに直径3mmのガラスビーズを充填した揮散処理塔に入れ、60℃に加熱して、下部より散気管で空気を1,000リットル/hrの速度で吹き込み、1時間揮散処理を行った。処理水中に残留するアンモニア性窒素及び全窒素の濃度は、いずれも1,000mg/リットルであった。
γ−アルミナに白金0.5重量%を担持した酸化触媒を150ml充填したステンレス製反応器と、バナジウム−チタニア系還元触媒を500ml充填したステンレス製反応器とを直結し、揮散処理において発生した揮散ガスを330℃に加温したのち、酸化触媒に対し空塔速度(SV)20,000hr−1、還元触媒に対し空塔速度(SV)6,000hr−1の流速で通した。処理ガス中のアンモニア濃度は20ppm(容量比)、NOx濃度は20ppm(容量比)であった。
上記の揮散処理後の処理水に、亜硝酸ナトリウムを亜硝酸性窒素の濃度が1,000mg/リットルとなるよう添加し、pH6に調整したのち、白金0.5重量%を担持したチタニア触媒50mlを充填したカラムに、170℃において、100ml/hrすなわちSV2hr−1の流速で通液処理した。処理水中の全窒素濃度は、50mg/リットル以下となった。
比較例1
実施例1に用いた尿素及びアンモニア性窒素を含む水に、酸化剤として亜硝酸ナトリウムを添加し、1工程で処理することを試みた。
尿素35,400mg/リットル及びアンモニア性窒素2,800mg/リットル(全窒素19,300mg/リットル)を含む水を調製し、pH4に調整したのち、亜硝酸ナトリウムを95,000mg/リットル(亜硝酸性窒素19,300mg/リットル)となるように添加し、白金0.5重量%を担持したチタニア触媒50mlを充填したカラムに、160℃において、100ml/hrすなわちSV2hr−1の流速で通液処理した。処理水中のアンモニア性窒素の濃度は13,000mg/リットル、亜硝酸性窒素の濃度は13,000mg/リットル、全窒素の濃度は28,400mg/リットルであった。
最初の尿素及びアンモニア性窒素を含む水の全窒素に対して、処理水中の全窒素は47%も増加し、酸化剤として亜硝酸ナトリウムを添加し、1工程で処理することは全く不可能であることが分かった。
比較例2
実施例1に用いた尿素及びアンモニア性窒素を含む水を、pH7において、尿素分解工程により処理した。
尿素35,400mg/リットル及びアンモニア性窒素2,800mg/リットル(全窒素19,300mg/リットル)を含む水を調製し、pH7に調整したのち、白金0.5重量%を担持したチタニア触媒50mlを充填したカラムに、170℃において、50ml/hrすなわちSV1hr−1の流速で通液処理した。処理水中のアンモニア性窒素の濃度は13,500mg/リットルであり、全窒素の濃度は19,300mg/リットルであり、亜硝酸性窒素の濃度は1mg/リットル以下であった。尿素分解工程において、尿素含有水のpHが7であると、尿素の窒素成分のかなりの部分がアンモニア性窒素に変換されずに残存することが分かった。
【0012】
【発明の効果】
本発明方法によれば、温度180℃以下、圧力10kg/cm以下という比較的ゆるやかな条件で尿素含有水を処理することができる。本発明方法においては、発生するアンモニアの大部分を揮散処理により気相に移行し、空気中の酸素により酸化分解して窒素ガスに変換するため、従来の液相において酸化剤を添加して酸化分解する方法に比べ、必要な酸化剤の量を大幅に低減することができる。また、液相において処理するアンモニアの量が減少するので、反応速度が気相処理の場合に比べて遅い液相処理の負荷量が低減され、液相処理設備が小型化され、かつ、処理水中の全窒素濃度を十分に低下することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の工程系統図である。

Claims (1)

  1. (1)尿素含有水をpH1〜6に調整したのち、触媒の存在下に加熱処理して、尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する尿素分解工程、(2)尿素分解工程処理水を、中性又はアルカリ性にpHを調整したのち、水蒸気又は空気を吹きこみ、大部分のアンモニアを気相に移行するアンモニア揮散工程、(3)アンモニア揮散工程からの排出ガスを触媒と接触させて、アンモニアを窒素ガスと水に酸化分解する気相アンモニア分解工程、及び、(4)アンモニア揮散工程からの流出水に酸化剤を添加し、触媒の存在下にアンモニアを窒素ガスと水に酸化分解する液相アンモニア分解工程からなる尿素含有水の処理方法。
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