JP3565637B2 - アンモニア含有排水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンモニア含有排水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、高濃度にアンモニアを含有する排水を処理して、全窒素が10mg/リットル以下の処理水とする、経済的で効率よく高度処理を行うことができるアンモニア含有排水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
肥料工場排水、染料工場排水、半導体工場排水や発電所排水などには、アンモニアがかなりの量含まれている。アンモニアは、閉鎖性水域において富栄養化の源となるので、排水処理によって除去しなければならない。排水中のアンモニアの除去方法として、従来より、高温高圧下における空気酸化方法、ゼオライトを用いた吸着処理方法、亜硝酸アンモニウムとして熱分解処理する方法、生物学的硝化脱窒法などが知られている。
高温高圧下における空気酸化方法は、50kg/cm以上の高圧下でアンモニア含有排水に空気を吹き込み、アンモニアを分解して窒素ガスとして除去する方法である。この方法は、高圧を必要とするために、設備が高価なものとなる上に、爆発の危険を伴い、反応容器が腐食しやすくなるという欠点がある。
ゼオライトを用いた吸着処理方法は、ゼオライトの有するイオン交換能を利用し、ゼオライトにより排水中のアンモニアを吸着して除去する方法であるが、イオン交換平衡に達したゼオライトを再生する際、高濃度のアンモニア含有廃水が排出されるため、再度その処理が必要となる欠点がある。
亜硝酸アンモニウムとして熱分解処理する方法は、アンモニアを含有する排水に亜硝酸塩を添加して亜硝酸アンモニウムとしたのち、加温条件下で貴金属触媒と接触して分解し窒素ガスとして処理する方法である。この方法では、アンモニア性窒素にに対し当量の亜硝酸性窒素を加える必要があり、排水中に存在するアンモニアと当量の亜硝酸が必要となるため、アンモニアを高濃度に含有する排水についてはランニングコストが高くなるという欠点がある。
生物学的硝化脱窒素法は、硝化細菌によりアンモニアを亜硝酸性又は硝酸性窒素に酸化したのち、脱窒素細菌により窒素ガスに還元する方法である。この方法は、微生物反応であるため、種々の変動要因に対して分解活性が不安定である上、反応速度が遅く滞留時間を長くとる必要があり、装置の設置面積が広くなり、かつ汚泥の後処理が必要であるなどの欠点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、再処理が必要な副生物の発生がなく、小型の反応装置により処理を行い、処理水中の全窒素濃度を10mg/リットル以下にすることができる、経済的に有利なアンモニア含有排水の処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アンモニア含有排水に加圧下に高純度の酸素ガスを吹き込んで加温接触分解したのち、さらに処理水に過酸化水素を添加して加温接触分解することにより、排水中のアンモニアを効率よく処理し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)アンモニア含有排水に、3〜10kg/cm2(ゲージ圧)の加圧条件下で純度90%以上の酸素ガスを吹き込み、140〜180℃の加温条件下で貴金属担持触媒と接触させてアンモニアの70%以上を分解したのち、アンモニアが残留する処理水に残留アンモニアに対して反応当量以上の過酸化水素を添加し、140〜180℃の加温条件下で貴金属担持触媒と接触反応させることによって、アンモニア含水中のアンモニア除去率を99%以上にまで向上させるとともに、再処理が必要な副生物を発生させないことを特徴とするアンモニア含有排水の処理方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(2)純度90%以上の酸素ガスが、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式で空気中から分離した酸素ガスである第(1)項記載のアンモニア含有排水の処理方法、
(3)貴金属担持触媒が、多孔質担体に白金を0.05〜10重量%担持させたものである第(1)項又は第(2)項記載のアンモニア含有排水の処理方法、及び、
(4)多孔質担体が、比表面積10〜100m2/gのチタニア粒状物である第(3)項記載のアンモニア含有排水の処理方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法を適用することができるアンモニア含有排水としては、例えば、染料工場の排水、肥料工場の排水、半導体工場の排水、発電所の排水などを挙げることができる。本発明方法は、アンモニア性窒素を500〜2,000mg/リットルのように高濃度に含有するアンモニア含有排水の処理に適している。
本発明方法においては、第1段のアンモニアの分解を、3〜10kg/cm(ゲージ圧)の加圧条件下に純度90%以上の酸素ガスをアンモニア含有排水に吹き込み、140〜180℃の加温条件下で貴金属担持触媒と接触させることにより行う。
本発明方法において、酸素ガス吹き込みの圧力は3〜10kg/cm(ゲージ圧)であり、より好ましくは5〜10kg/cm(ゲージ圧)である。従来のアンモニア含有排水の空気酸化処理は、通常50kg/cm以上の高圧下で行うため、爆発の危険や反応容器の腐食の問題が避けられなかった。また、強いて10kg/cm以下の低圧下で空気酸化を行おうとすると、アンモニアの分解効率が悪く、装置が極端に大型化するため現実的ではなかった。本発明方法においては、純度90%以上の酸素ガスを吹き込み、加温条件下に接触分解することにより低圧下でのアンモニアの接触酸化分解が可能となった。
本発明方法においては、純度90%以上の酸素ガスを使用する。酸素ガスの純度が90%未満になると、吹き込むべき気体の容量が増加し、反応槽内における液に対する気体容積が増大して、酸素、液、触媒の3者の接触効率が低下し、アンモニアの分解効率が低下するおそれがある。本発明方法において使用する酸素ガス源に特に制限はなく、酸素ボンベ、液体酸素などを使用することができるが、PSA方式による酸素発生装置を設けることにより、容易に空気より酸素ガスを分離して、経済性よく使用することができる。
【0006】
本発明方法においては、酸素ガスを吹き込んだアンモニア含有排水を、140〜180℃の加温条件下で貴金属担持触媒と接触して分解を行う。アンモニアは式(1)のごとく酸素と反応し、窒素ガスと水が生成する。
4NH+3O → 2N+6HO …(1)
触媒を用いることにより反応が促進され、反応温度140〜180℃の温度域でアンモニアの酸化分解が可能となる。接触分解の温度が140℃未満であると、アンモニアの分解効率が低下し、反応時間が長くなり反応槽が大型化する。接触分解の温度が180℃を超えると、反応槽内の液を液状に維持するためには圧力を高める必要があり、設備費が高価になる。
本発明方法において使用する貴金属担持触媒には特に制限はないが、貴金属を多孔質担体に担持した触媒を好適に使用することができる。貴金属としては、例えば、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム、金などの貴金属を挙げることができるが、これらの中で白金が活性が高いので特に好適に使用することができる。多孔質担体としては、例えば、チタニア、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナなどを挙げることができるが、これらの中でチタニア粒状物を特に好適に使用することができる。チタニアは、耐久性、耐薬品性がよいばかりでなく、アンモニアとの親和性がよく、触媒近辺にアンモニアを引きつけ触媒反応を受けやすくする。貴金属の担体への担持量は、0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜1重量%であることがより好ましい。貴金属の担体への担持量が0.05重量%未満であると、アンモニアの分解に必要な触媒活性が不足するおそれがある。貴金属の担体への担持量が10重量%を超えると、触媒のコストが高くなり、実用的でなくなる。多孔質担体の比表面積は10〜100m/gであることが好ましい。多孔質担体の比表面積が10m/g未満であると、十分な触媒活性が得られないおそれがある。多孔質担体の比表面積が100m/gを超えると、多孔質担体の強度が低下し、破損しやすくなるおそれがある。
本発明方法において、酸素ガスを吹き込んだアンモニア含有排水の反応槽への供給速度は、SV0.1〜5h−1とすることが好ましく、SV0.5〜3h−1とすることがより好ましい。供給速度がSV0.1h−1未満であると、反応時間が長くなり反応槽が大型化する。供給速度がSV5h−1を超えると、アンモニアの分解が十分に進まず、第2段の接触分解で添加する過酸化水素の量が多くなるおそれがある。本発明方法においては、第1段の酸素ガスの吹き込みによる接触分解により、通常排水中のアンモニアの70%以上が分解除去される運転条件を設定することが好ましい。
【0007】
本発明方法においては、第1段の酸素ガスの吹き込みによる接触分解を終了した処理水に、過酸化水素を添加してさらに残留するアンモニアを酸化分解する。過酸化水素とアンモニアは式(2)のごとく反応するので、残留するアンモニアと反応当量の過酸化水素の量を計算により求め、その量を超える過酸化水素を添加する。
2NH+3H → N+6HO …(2)
本発明方法において、第2段の過酸化水素によるアンモニアの酸化接触分解は、140〜180℃の加温条件下で貴金属担持触媒と接触させることにより行う。触媒を用いることにより反応が促進され、反応温度140〜180℃の温度域でアンモニアの酸化分解が可能となる。接触分解の温度が140℃未満であると、アンモニアの分解効率が低下し、反応時間が長くなり反応槽が大型化する。接触分解の温度が180℃を超えると、反応槽内の液を液状に維持するためには圧力を高める必要があり、設備費が高価になる。
本発明方法において使用する貴金属担持触媒には特に制限はないが、貴金属を多孔質担体に担持した触媒を好適に使用することができる。貴金属としては、例えば、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム、金などの貴金属を挙げることができるが、これらの中で白金が活性が高いので特に好適に使用することができる。多孔質担体としては、例えば、チタニア、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナなどを挙げることができるが、これらの中でチタニア粒状物を特に好適に使用することができる。チタニアは、耐久性、耐薬品性がよいばかりでなく、アンモニアとの親和性がよく、触媒近辺にアンモニアを引きつけ触媒反応を受けやすくする。貴金属の担体への担持量は、0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜1重量%であることがより好ましい。貴金属の担体への担持量が0.05重量%未満であると、アンモニアの分解に必要な触媒活性が不足するおそれがある。貴金属の担体への担持量が10重量%を超えると、触媒のコストが高くなり、実用的でなくなる。多孔質担体の比表面積は10〜100m/gであることが好ましい。多孔質担体の比表面積が10m/g未満であると、十分な触媒活性が得られないおそれがある。多孔質担体の比表面積が100m/gを超えると、多孔質担体の強度が低下し、破損しやすくなるおそれがある。
本発明方法において、過酸化水素を添加した処理水の反応槽への供給速度は、SV1〜50h−1とすることが好ましく、SV5〜30h−1とすることがより好ましい。供給速度がSV1h−1未満であると、反応時間が長くなり反応槽が大型化する。供給速度がSV50h−1を超えると、アンモニアの分解除去が完全に行われないおそれがある。本発明方法においては、第1段の酸素ガスの吹き込みによる接触分解及び第2段の過酸化水素の添加による接触分解により、通常最初のアンモニア含有排水中のアンモニアの99%以上が分解除去される。
【0008】
図1は、本発明方法の一態様の工程系統図である。アンモニア含有排水は、原水槽1からポンプ2により圧送され、酸素発生機3から酸素が排水中に吹き込まれる。排水は熱交換器4で余熱の回収により予熱されたのち、さらにヒーター5で所定の温度まで加温され、触媒反応槽A6に送られて、アンモニアと酸素の接触分解反応によりアンモニアが除去される。触媒反応槽Aから流出する処理水には、残留アンモニアと反応当量以上の過酸化水素が添加され、触媒反応槽B7へ送られ、アンモニアと過酸化水素の反応により残留アンモニアがほぼ完全に除去される。触媒反応槽Bを出た処理水は、熱交換器で余熱の回収を行ったのちpH調製などの次工程に送られる。
本発明方法は、酸素ガスによる触媒分解と過酸化水素による触媒分解を接続することにより、低圧処理であってもアンモニアを高い除去率で分解し、アンモニア含有排水の効率的な処理を可能とするものである。過酸化水素は酸素より酸化力が強く、性能的には酸化剤として好ましいが、酸素ガスに比べコストが高く、過酸化水素のみによる1段分解処理方法は経済性が悪い。本発明方法は、酸素ガスによりアンモニアの大部分を除去したのち、残留アンモニアのみを過酸化水素で除去することにより、過酸化水素の使用量を少量にとどめ、しかも過酸化水素の高酸化力を活用して処理水中のアンモニア濃度を低減することができる。
本発明方法によれば、水中のアンモニアを無害な窒素ガスと水に分解除去することができ、再処理が必要な副生物は発生しない。また、アンモニアの酸化分解に必要な酸素を、空気中からPSA方式で分離して使用することにより、オンサイトで簡単に必要な酸素を供給することができる。PSA方式で分離した酸素ガスを酸化剤に用いると、アンモニアの酸化に必要な酸化剤としてのコストは、一般に亜硝酸ナトリウムを用いる場合の1/10以下、また、過酸化水素のみを用いる場合の1/20以下となる。本発明方法においては、貴金属担持触媒を用いて反応を促進するため、反応効率が高くなり、処理装置を小型化することができる。また、酸素ガスを用いるため、空気を用いる場合に比べて、対象とする排水に吹き込むガス量は理論的には1/5に低減できる。そのため、触媒反応槽内での処理対象排水と触媒の接触効率が改善される。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
アンモニア性窒素982mg/リットルを含有し、pHが4.9である発電所排水の処理を行った。
この排水に、7kg/cm(ゲージ圧)の加圧条件で酸素ガスを排水1リットル当たり17リットル(標準状態)吹き込み、155〜160℃に加温したのち、1.5mmφのチタニア担体(比表面積55m/g)に白金0.5重量%を担持した触媒70mlを充填した触媒反応槽に70ml/h(SV=1h−1)の流速で通液処理した。触媒反応槽より流出する処理水中の窒素成分は、アンモニア性窒素220mg/リットル、亜硝酸性窒素1mg/リットル、硝酸性窒素1mg/リットル以下、全窒素221mg/リットルであり、この処理による窒素の除去率は77%であった。なお、処理水のpHは2.1であった。
次いで、この処理水に過酸化水素を濃度が900mg/リットルになるよう添加し、155〜160℃に加熱したのち、上記の白金担持触媒40mlを充填した触媒反応槽に400ml/h(SV=10h−1)の流速で通液処理した。触媒反応槽より流出する処理水中の窒素成分は、アンモニア性窒素1mg/リットル、亜硝酸性窒素1mg/リットル、硝酸性窒素1mg/リットル以下、全窒素2mg/リットルであり、最初の発電所排水に対する窒素の除去率は99.8%であった。なお、処理水のpHは2.0であった。
以上の結果から、酸素ガスを吹き込んでアンモニア性窒素を接触分解したのち、処理水に過酸化水素を添加して接触分解する本発明の処理方法により、小型の装置によるアンモニア含有排水の高度処理が可能であることが確認された。
【0010】
【発明の効果】
本発明方法は、酸素ガスによるアンモニアの接触分解と過酸化水素によるアンモニアの接触分解を接続したものであり、副生物の発生を伴わず、小型の装置により、アンモニア含有排水を効率的に処理して、全窒素濃度の低い処理水とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の一態様の工程系統図である。
【符号の説明】
1 原水槽
2 ポンプ
3 酸素発生機
4 熱交換器
5 ヒーター
6 触媒反応槽A
7 触媒反応槽B

Claims (1)

  1. アンモニア含有排水に、3〜10kg/cm2(ゲージ圧)の加圧条件下で純度90%以上の酸素ガスを吹き込み、140〜180℃の加温条件下で貴金属担持触媒と接触させてアンモニアの70%以上を分解したのち、アンモニアが残留する処理水に残留アンモニアに対して反応当量以上の過酸化水素を添加し、140〜180℃の加温条件下で貴金属担持触媒と接触反応させることによって、アンモニア含水中のアンモニア除去率を99%以上にまで向上させるとともに、再処理が必要な副生物を発生させないことを特徴とするアンモニア含有排水の処理方法。
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