JP3629411B2 - エアーナイフ乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアーナイフを用いたエアーナイフ乾燥装置に関し、より具体的には、液晶表示装置等のガラス基板を乾燥するエアーナイフ乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の乾燥装置は、液晶表示装置等の製造工程において、洗浄処理後のガラス基板に付着した水滴を除去することを目的として用いられてきた。従来のエアーナイフ装置は、図3に示すように、乾燥槽106内において水平搬送される基板101をはさんで上下に配置された第1のエアーナイフ102と、第1のエアーナイフの後方に配置された同じ構成の第2のエアーナイフ103とを備えている。これら2つのエアーナイフは、ともに、基板の搬送方向に対して傾斜した状態で、平行に配置される。また、このエアーナイフの吹き出し方向の所定の位置に、搬送方向に直交する方向に排気をする排気ダクト104,105が設けられている。ナイフ状ノズルは、エアーナイフの部分であるノズルをさすが、以後の説明でとくに断らないかぎり、両者は区別しないで用いる。
【0003】
まず、第1のナイフ状ノズル102から、基板101の上下両面に向けて気体を吹き出すことにより、基板の上下両面に付着した水滴を吹き飛ばし、このとき発生するミストを排気ダクト104から吸引排気して、ミストが基板に再付着するのを防止する。第2のナイフ状ノズル103は、第1のナイフ状ノズル102で除去することができなかった水滴を、基板の上下両面にエアーを吹き出して吹き飛ばし、発生するミストを排気ダクト105にて吸引排気をする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のエアーナイフ乾燥装置では、後置された第2のエアーナイフ103の気体吹き出し方向の延長線上に第1のエアーミスト102が配置されているため、第2のエアーミストで吹き飛ばされた水滴から生成するミストが、連続して搬送されてくる基板に再付着する。すなわち、この生成したミストは第1のエアーナイフ102およびその第1のエアーナイフ上に設置された遮蔽板(図示せず)で跳ね返り基板に再付着してウォータマークとして残り、その後の製造工程で弊害を生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、ウォータマーク等の発生を防止した、乾燥能力の高いエアーナイフ乾燥装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアーナイフ乾燥装置は、被乾燥物の搬送の上流側に配置された第1のエアーナイフと、下流側に配置された第2のエアーナイフと、平面的に見て、第1のエアーナイフの吹き出し方向における所定位置に設けられた第1の排気口と、第2のエアーナイフの吹き出し方向における所定位置に設けられた第2の排気口と、第1と第2エアーナイフの上部にそれぞれ設けられた遮蔽板とを備え、第1および第2のエアーナイフは、搬送方向に沿って見て、被乾燥物に対して互いに逆方向から気体を吹き付け、かつ、平面的に見て、互いに他方の吹出口全幅についての吹出し方向の範囲内に位置しない配置を有している(請求項1)。
【0007】
この構成により、被乾燥物に付着した水滴を2つのエアーナイフで完全に吹き飛ばしたうえで、水滴を含む気体が被乾燥物の上方で乱気流を形成することがなくなる。このため、パーティクル等の不純物質を含むミストが被乾燥物に再付着することがなくなり、例えば、ガラス基板におけるウォータマークの発生を抑止することができる。上記のエアーナイフの配置では、搬送路の上方、下方の空間にノズルを配置することができるので、上方、下方空間を有効活用して搬送路の側部等に装置を広げなくてすむ。上記の第1および第2のエアーナイフは、被乾燥物の表側または裏側に配置される。言うまでもないが、両側にともに配置されていてもよい。また、上記第1および第2のエアーナイフのほかに、どのようなエアーナイフが配置されていてもよい。しかし、任意の隣接するエアーナイフが上記のように他方のエアーの流れを阻止しない配置であることが望ましい。なお、エアーナイフとは、ナイフ状の細長いノズルを含み、そのノズルからナイフ状の気体を吹き出すエアー吹出し装置をさす。また、エアーナイフから吹き出される気体は、空気、乾燥空気、その他の気体を用いることができる。
【0008】
上記本発明のエアーナイフ乾燥装置では、平面的に見て、第1のエアーナイフの吹出口は搬送装置の一方の側端の方向に向き、第2のエアーナイフの吹出口は一方の側端と対になっている他方の側端の方向に向いている。
【0009】
第1のエアーナイフで被乾燥物上の水滴を吹き飛ばし、この後、続いて第2のエアーナイフにより、第1のエアーナイフで除去しきれなかった水滴を吹き飛ばすことができる。上記両方のエアーナイフは、搬送方向に直交する方向を間に挟んで配置されているので、第2のエアーナイフで舞いあがったミストが第1のエアーナイフの背面でまともに阻止されることがなくなる。このため、気体流れの方向が少し変わることはあっても、気体流れが阻止されて乱気流を生じてまともに跳ね返る量が非常に少なくなる。このため、例えば被乾燥物である基板においては、ウォータマークの発生はいちじるしく抑制され、後の生産工程において、本工程に起因する弊害が生じなくなる。
【0010】
上記本発明のエアーナイフ乾燥装置では、第1のエアーナイフと第2のエアーナイフとは、それぞれの長手方向どうしが、90°以上の角度をなすように配置されている(請求項2)。
【0011】
この配置構成によれば、第2のエアーナイフによって生成したミストは、第1のエアーナイフの背面に触れる量がなくなり、したがって跳ね返る量はなくなる。このため、エアーナイフで吹き飛ばされ、パーティクル等を含んだミストが被乾燥物に再付着することがないので、例えば基板ではウォータマークの発生が解消され、後の生産工程において本工程に起因する弊害が生じなくなる。上記2つのエアーナイフの長手方向の角度が、搬送面側で90°未満の場合には、後置された第2のエアーナイフから吹き出した気体流が前置された第1のエアーナイフの背面に当り反射するものがある。この結果、前置エアーナイフの背部に漂っているミストは、後置エアーナイフからの気体流により例えば基板上に落下する。一方、浮遊しているミストは排気装置によって吸い込まれてゆく。なお、エアーナイフの長手方向とは、気体が吹き出る方向からノズル口を見て、そのノズル口を構成する辺のうち長いほうの辺の長さ方向をさす。
【0012】
上記本発明のエアーナイフ乾燥装置では、第1および第2のエアーナイフは、ともに、搬送面の表側に配置されて被乾燥物の表面側に気体を吹き付ける表側エアーナイフと、裏側に配置されて被乾燥物の裏面側に気体を吹き付ける裏側エアーナイフとを備え、平面的に見て、表側エアーナイフと裏側エアーナイフとは大略同じ位置に位置する(請求項3)。
【0013】
この構成により、被乾燥物の上下面に水滴が付着している場合には、被乾燥物の上下面から水滴を除去することができる。上側と下側とに配置されたノズルは、共通の1つの排気装置で排気されたほうが望ましいので、平面的に見て、両方の気体流が重なるように、配置されることが望ましい。むしろ、上側および下側のノズルに、それぞれ排気装置を配置するよりも、上記したように、両者に共通に1つの排気装置を設けるほうが普通である。
【0015】
なお、上記第1と第2排気口が設置されることにより、乾燥槽内の乱気流の発生を抑制し、ミストの飛散を防止することができる。すなわち、例えば、被乾燥物である基板上の水滴は、基板から吹き飛ばされて、そのまま排気口に吸い込まれる量が多くなり、空中に飛散して漂うミストを抑制することができる。なお、上記排気口は、表側と裏側とに設けられた対のエアーナイフに共通に1つの排気口を設けてもよく、上記したように、そのほうが普通である。また、第1の排気口と第2の排気口とを合体させて、一つの大きな排気口とした構成にしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1において、エアーナイフ乾燥装置は、乾燥槽6の内部に配置されている。乾燥槽には、洗浄後の基板1を搬入するための搬入口10と、乾燥後に基板を搬出する搬出口11が設けられている。搬入口10から搬出口11までの間には、基板1を搬送するための搬送ローラ8が設置され、搬送経路が構成されている。乾燥槽の内部に設置されたエアーナイフ乾燥装置の各エアーナイフは、基板の搬送方向に対して傾斜して配置される。図1において、前置されたエアーナイフ2は、上側と下側とにエアーナイフが配置され、基板1の上下面に向けて気体を吹き付けている。後置されたエアーナイフ3は、前置したエアーナイフ2の長手方向に対して、その長手方向が90°以上の角度をなすように配置される。エアーナイフ3も、上側と下側とにエアーナイフを有し、基板の上下面にエアーを吹き付けている。
【0018】
エアーナイフ2からの吹き出し方向には、排気ダクト5が配置され、搬送装置にその排気口端部を沿わせている。各排気ダクト4,5は、平面的に見て、基板搬送方向に沿わせて吸込口端部を配置し、搬送方向に直交する方向に向けて排気を行う。
【0019】
図2において、エアーナイフ2,3のノズル9から基板1の上下両面に向けて気体を吹き出して急速乾燥させる。エアーナイフ3は、エアーナイフ2に対して90°以上の角度で交差する配置とされている。このため、エアーナイフ3からの気体吹き出しによって発生するミストが、前方のエアーナイフ2で跳ね返ることなく、ミストが、連続して搬送されてくる基板に再付着する事態が避けられる。排気ダクト4,5は、エアーナイフ2,3からの気体吹き出しにより基板1から水滴を吹き飛ばしたときに発生するミストをそれぞれ吸込み排気する。基板上から吹き飛ばされた水滴ミストは、そのまま排気ダクトから吸い出される。このため、上記水滴ミストが、前置エアーナイフのみならず、乾燥槽壁20によって跳ね返って基板に再付着する事態も防止することができる。前置および後置のエアナイフ2,3の間の角度が、平面的に見て、搬送面側で90°未満の場合には、後置エアナイフ3から吹き出した気体流が前置エアーナイフ2の背面に当り反射する。このため、前置エアーナイフ2の背部に漂っているミストが後置エアーナイフ3からの空気流によって基板上に落下する。一方、乾燥槽内に浮遊しているミストは、排気ダクト5に吸い込まれて排気される。
【0020】
また、エアーナイフ2,3それぞれの上には、遮蔽板7が設置されており、ミストがエアーナイフの後方へ回り込み、基板に再付着することを防止している。
【0021】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
【0022】
【発明の効果】
本発明に基くエアーナイフ乾燥装置を設けることにより、被乾燥物上の水滴を完全に吹き飛ばしたうえで、パーティクル等の不純物質を含むミストが被乾燥物に再付着することを防止することができる。このため、例えば、基板に本発明を適用した場合、ウォータマークの発生を抑止し、その後での製造工程における弊害を未然に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるエアーナイフ乾燥装置の平面図である。
【図2】図1におけるA−A’断面図である。
【図3】従来のエアーナイフ乾燥装置の平面図である。
【符号の説明】
1 基板、2 前置エアーナイフ、3 後置エアーナイフ、4 前置エアーナイフに対応する排気ダクト、5 後置エアーナイフに対応する排気ダクト、6 乾燥槽、7 遮蔽板、8 搬送ローラ、9 ナイフ状ノズル、10 搬入口、11 搬出口、20 乾燥槽壁。
Claims (3)
- 被乾燥物の搬送の上流側に配置された第1のエアーナイフと、下流側に配置された第2のエアーナイフと、
平面的に見て、前記第1のエアーナイフの吹き出し方向における所定位置に設けられた第1の排気口と、前記第2のエアーナイフの吹き出し方向における所定位置に設けられた第2の排気口と、
前記第1と第2エアーナイフの上部にそれぞれ設けられた遮蔽板とを備え、
前記第1および第2のエアーナイフは、搬送方向に沿って見て、前記被乾燥物に対して互いに逆方向から気体を吹き付け、かつ、平面的に見て、互いに他方の吹出口全幅についての吹出し方向の範囲内に位置しない配置を有する、エアーナイフ乾燥装置。 - 前記第1のエアーナイフと第2のエアーナイフとは、それぞれの長手方向どうしが、90°以上の角度をなすように配置されている、請求項1に記載のエアーナイフ乾燥装置。
- 前記第1および第2のエアーナイフは、ともに、搬送面の表側に配置されて前記被乾燥物の表面側に気体を吹き付ける表側エアーナイフと、裏側に配置されて前記被乾燥物の裏面側に気体を吹き付ける裏側エアーナイフとを備え、平面的に見て、前記表側エアーナイフと裏側エアーナイフとは大略同じ位置に位置する、請求項1または2に記載のエアーナイフ乾燥装置。
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