JP3627702B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置、詳しくは、定着部材間の圧接力を変更する機構を備える画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザプリンタなどの画像形成装置では、通常、感光ドラムと転写ローラとの間を通過するときに用紙に転写されたトナーを定着させるための定着装置が備えられている。
このような定着装置は、通常、用紙の搬送方向におけるプロセスカートリッジの下流側に配設され、加熱ローラと、その加熱ローラを押圧するための加圧ローラとを備えており、加熱ローラと加圧ローラとが、互いに圧接された状態で対向配置され、用紙が加熱ローラと加圧ローラとの間を通過する間に、用紙上に転写されたトナーを熱定着させるように構成されている。
【0003】
しかるに、このような定着装置では、用紙などの普通紙と封筒などの厚紙とでは、その厚さが異なるため、たとえば、厚紙の定着時には、加熱ローラと加圧ローラとの間の圧接力を、普通紙の定着時よりも小さくなるように切り換える機構を備えるものが、種々提案されている。
たとえば、加圧ローラを加熱ローラに対して片側(一方の端部側)において常に2つのばねによって付勢して(両端部側のばねを合計すると、4つのばねによって付勢している)、普通紙の定着時と厚紙の定着時とにおいて、それら2つのばねの付勢力を切り替えるものや、あるいは、加圧ローラを支持部材によって揺動可能に支持して、常時ばねによって支持部材を付勢することによって、加圧ローラを加熱ローラに対して圧接させ、普通紙の定着時と厚紙の定着時とにおいて、ロッド部材をその支持部材に進退自在に当接させることによって、その圧接力を切り替えるものなどが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、2つのばねの付勢力を切り替えるものでは、もっともよく使用される普通紙の定着時においても、2つのばねの付勢力によって加圧ローラを加熱ローラに対して付勢しているので、互いのばねの付勢力のばらつきに起因して、もっともよく使用される普通紙の定着時において画像形成装置毎に、加圧ローラと加熱ローラとの圧接力が片側において1つのばねを用いた場合よりも大きく異なることがある。
【0005】
また、ロッド部材をその支持部材に進退自在に当接させることにより圧接力を調整するものでは、組み付け誤差や部品の公差に起因して、ロッド部材が進退するストロークにばらつきを生じ、厚紙の定着時において、画像形成装置毎に、加圧ローラと加熱ローラとの圧接力が、2つのばねの付勢力を切り替える場合よりも大きく異なることがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、各画像形成装置毎における定着部材間の圧接力のばらつきを小さくすることのできる、画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、互いに圧接可能に対向配置される2つの定着部材を有する定着装置と、定着部材間の圧接力を変更するための圧接力変更機構を備える画像形成装置において、前記圧接力変更機構は、前記定着部材間を圧接するように付勢する第1付勢手段と、前記第1付勢手段の付勢力に抗して、定着部材間の圧接力を低減する第2付勢手段とを備え、前記第2付勢手段は、第2弾性部材を備え、前記第2弾性部材による付勢力を作用させる作用状態と、前記第2弾性部材による付勢力を作用させない非作用状態とに切り替え可能に設けられていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によると、普通紙の定着時には、第2付勢手段を、非作用状態に切り替えておけば、第1付勢手段の付勢力によって定着部材間が圧接され、これによって、普通紙の良好な定着を達成することができる。一方、厚紙の定着時には、第2付勢手段を、作用状態に切り替えておけば、その第2付勢手段が、第1付勢手段の付勢力に抗して定着部材間の圧接力を低減するので、厚紙の良好な定着を達成することができる。
【0009】
そして、この構成では、第2付勢手段は、作用状態において、弾性部材の付勢力を作用させるので、たとえば、片側において常に2つのばねの付勢力を加える場合のような互いのばねの付勢力のばらつきや、ロッド部材が進退するストロークのばらつきに起因する、各画像形成装置毎の圧接力のばらつきがなく、つまり、第2付勢手段の作用状態では、第2弾性部材の付勢力のみによって、第1付勢手段の付勢力を低減するので、常に一定した圧接力の低減を図ることができる。その結果、たとえば、普通紙の定着時には、第1付勢手段の付勢力によって、また、厚紙の定着時には、第1付勢手段の付勢力と、それに抗する第2付勢手段の第2弾性部材の付勢力とによって圧接力を決定することができるので、各画像形成装置毎の定着部材間の圧接力を、普通紙の定着時には、従来の片側においてばね2つによって常に付勢していた場合よりも、厚紙の定着時には、従来のロッド部材のストロークによって圧接力を切り替えていた場合よりも、ばらつきを小さくすることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2付勢手段が操作可能に設けられていることを特徴としている。
このような構成によると、第2付勢手段を操作して、作用状態と非作用状態とに切り替えることができるので、任意のタイミングで、確実な切り替えを達成することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記定着装置によって定着された記録媒体を、その定着装置からほぼ直線的に排出するために、装置本体の側部を開閉する第1開閉カバーを備えており、前記第1開閉カバーの閉動作によって、前記第2付勢手段が作用状態から非作用状態に切り替えられるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
たとえば、厚紙を定着する場合には、腰折れを防止すべく、定着後には、そのままほぼ直線的に排出することが望ましく、そのため、第1開閉カバーを開動作し、第2付勢手段を作用状態に切り替えて、定着部材間の圧接力を低減した状態で厚紙を定着させ、その後、そのまま、定着された厚紙を直線的に排出するようにしている。しかし、次に、普通紙を定着させる場合に、第2付勢手段の非作用状態への切り替えを忘れると、普通紙の良好な定着を達成することができない。
【0013】
しかし、この構成によると、第2付勢手段は、第1開閉カバーの閉動作によって、作用状態から非作用状態に切り替えられるので、たとえ、第2付勢手段の非作用状態への切り替えを忘れても、第1開閉カバーの閉動作によって、自動的に第2付勢手段を非作用状態に切り替えることができ、より確実な定着を達成することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、各前記定着部材はローラからなり、前記第1付勢手段は、一方の前記ローラを、他方の前記ローラに対して圧接方向または圧接解除方向に移動可能に支持する移動支持部材と、一方の前記ローラが他方の前記ローラに向けて圧接されるように、前記移動支持部材を常に付勢する第1弾性部材とを備え、前記第2付勢手段は、作用状態において、前記第2弾性部材の付勢力を前記移動支持部材に作用させることを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、普通紙の定着時には、第2付勢手段を、非作用状態に切り替えておけば、第1付勢手段の第1弾性部材の付勢力によって移動支持部材が圧接方向に移動され、一方のローラが他方のローラに向けて圧接されるので、普通紙の良好な定着を達成することができる。一方、厚紙の定着時には、第2付勢手段を、作用状態に切り替えておけば、第2弾性部材が、第1弾性部材の付勢力に抗して移動支持部材を付勢するので、移動支持部材がその分圧接解除方向に移動され、一方のローラの他方のローラに対する圧接力が低減されるので、厚紙の良好な定着を達成することができる。
【0016】
そして、この構成では、第2付勢手段は、作用状態では、第2弾性部材の付勢力のみが、第1弾性部材の付勢力に抗する方向に移動支持部材を付勢するので、一定した第1弾性部材の付勢力の低減を図ることができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第2付勢手段は、画像形成装置の筐体に対して移動可能に設けられ、前記移動支持部材に当接する当接部が形成された直動ロッドと、前記直動ロッドを、前記当接部が作用位置に位置する作用状態と前記当接部が非作用位置に位置する非作用状態とに切り替える切替部材とを備え、前記切替部材は、前記直動ロッドに対して相対移動可能なスライド部材を備えており、前記第2弾性部材は、前記当接部と前記スライド部材との間に配置され、前記当接部と前記スライド部材との間が広がるように付勢していることを特徴としている。
【0017】
このような構成によると、第2付勢手段が作用状態にある場合には、当接部が移動支持部材に作用位置において当接するが、この時には、当接部スライド部材との間に配置されている第2弾性部材が、移動支持部材からの反力を受けて圧縮される。そのため、当接部が、それ以上移動支持部材を押圧することなく、実質的に第2弾性部材の付勢力のみが、第1弾性部材の付勢力に抗する方向に移動支持部材に作用される。したがって、第2付勢手段は、作用状態にある場合には、第2弾性部材の付勢力のみを、第1弾性部材の付勢力に抗する方向に移動支持部材に作用させることができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記第2付勢手段の前記第2弾性部材の弾性率が、前記第1付勢手段の前記第1弾性部材の弾性率よりも、小さく設定されていることを特徴としている。
このような構成によると、第2付勢手段の第2弾性部材の弾性率が、第1付勢手段の第1弾性部材の弾性率よりも小さく設定されているので、作用状態においては、定着部材間の圧接を解除させることなく、定着部材間の圧接力を確実に低減させることができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の発明において、前記切替部材は、前記当接部が、作用位置にある場合、前記スライド部材の位置を規定することを特徴としている。
このような構成によると、当接部が作用位置にある場合、切替部材が、スライド部材の位置を規定するので、スライド部材の位置を簡易な構成により確実に規定することができる。そして、スライド部材に第2弾性部材を当接させることにより、移動支持部材を付勢する第2弾性部材の付勢力を確実に安定させることができる。
【0020】
また、請求項8に記載の発明は、請求項5ないし7のいずれかに記載の発明において、前記切替部材は、前記直動ロッドに揺動可能に支持され、画像形成装置の筐体に当接する当接板を備えており、前記当接板は、前記当接部が非作用位置にある場合前記筐体に当接する第1部分と、前記当接部が作用位置にある場合前記筐体に当接する第2部分とを備えており、前記第1部分と前記第2部分とが、第1屈曲部分を介して連続するように形成されていることを特徴としている。
【0021】
このような構成によると、当接部が作用位置にある場合、当接板の第1部分は筐体に当接せず、第2部分が筐体に当接される。また、第1部分と第2部分との間には、第1屈曲部分が形成されているので、切替部材の作用状態および非作用状態の切り替えにおいては、第1屈曲部分が筐体に当接しても、その状態では安定しないため、当接板は、筐体に対して第2部分が当接するか、または第1部分が当接するかのいずれかに揺動される。そのため、切替部材は、当接部が作用位置にある状態において安定して保持されるので、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
【0022】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記第2部分は、この当接板が揺動する揺動軌跡に沿う湾曲形状に形成されていることを特徴としている。
このような構成によると、切替部材によって直動ロッドを作用状態から非作用状態に切り替える時に、切替部材をスムーズに揺動させることができる。そのため、より一層、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の発明において、前記当接板は、前記直動ロッドに揺動可能に支持されるための揺動軸を備え、前記揺動軸は、前記当接部が非作用位置にある場合前記スライド部材に当接する第3部分と、前記当接部が作用位置にある場合前記スライド部材に当接する第4部分とを備えており、前記第3部分と前記第4部分とが、第2屈曲部分を介して連続するように形成されていることを特徴としている。
【0024】
このような構成によると、揺動軸は、当接部が非作用位置にある場合、第3部分がスライド部材に当接され、非作用位置にある場合、第4部分がスライド部材に当接される。また、第3部分と第4部分との間には、第2屈曲部分が形成されているので、この第2屈曲部分がスライド部材に当接しても、その状態では安定せず、揺動軸は、スライド部材に対して第3部分または第4部分のいずれかが当接するように回転される。そのため、当接部は、非作用位置および作用位置のいずれかの状態において安定して保持されるので、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
【0025】
また、揺動軸は切替部材の揺動中心でもあるので、その揺動軸をこのような形状に形成することで、がたつきなく軽い力で切替部材を切り替えることができる。そのため、より一層安定した切り替えを達成することができる。
また、請求項11に記載の発明は、請求項3または5に記載の発明において、前記切替部材は、操作可能な操作レバーを備えており、前記操作レバーの操作によって、前記直動ロッドを作用状態と非作用状態とに切り替え可能に構成されており、前記操作レバーは、前記第1開閉カバーの閉動作時に、前記第1開閉カバーと当接して、前記当接部を作用位置から非作用位置に移動させるように構成されていることを特徴としている。
【0026】
このような構成によると、操作レバーの操作によって、直動ロッドを作用状態と非作用状態とに切り替えることができるので、簡易な操作による確実な切り替えを達成することができる。また、操作レバーは、第1開閉カバーの閉動作時に、第1開閉カバーと当接して、当接部を非作用位置に移動させるので、たとえ、操作レバーの切り替えを忘れても、第1開閉カバーの閉動作によって、自動的に当接部を非作用位置に移動させることができ、より確実な定着を達成することができる。
【0027】
また、請求項12に記載の発明は、請求項5ないし11のいずれかに記載の発明において、装置本体の上部を開閉する第2開閉カバーと、前記第2開閉カバーの開動作時に、前記第1付勢手段の付勢力に抗して、前記直動ロッドを押圧して、前記移動支持部材を、前記定着部材間の圧接が解除される圧接解除位置に移動させるための連動機構を備えていることを特徴としている。
【0028】
このような構成によると、第2開閉カバーが開動作されると、この開動作に連動して、連動機構が、第1付勢手段の付勢力に抗して直動ロッドを押圧し、移動支持部材を定着部材間の圧接が解除される圧接解除位置に移動させる。そのため、第2開閉カバーの開動作に連動させて、簡易かつ確実に、定着部材間の圧接を解除することができ、これら定着部材間において、記録媒体のジャムが発生した場合には、簡易かつ確実に、そのジャムとなった記録媒体を取り除くことができる。
【0029】
また、請求項13に記載の発明は、互いに圧接可能に対向配置される2つの定着部材を有する定着装置と、前記定着部材間の圧接力を変更するための圧接力変更機構と、前記定着装置によって定着された記録媒体を、その定着装置からほぼ直線的に排出するために、装置本体の側部を開閉する第1開閉カバーとを備える画像形成装置において、前記圧接力変更機構は、前記定着部材間を所定の圧接力で圧接させるための第1圧接状態と、前記定着部材間を前記所定の圧接力よりも小さい圧接力で圧接させるための第2圧接状態とに切り換えるための操作可能な切替部材を備えており、前記切替部材は、前記第1開閉カバーの閉動作時に、前記第1開閉カバーとの当接により、前記定着部材間の圧接力を、前記第2圧接状態から第1圧接状態に切り替えるように構成されていることを特徴としている。
【0030】
たとえば、厚紙を定着する場合には、腰折れを防止すべく、定着後には、そのままほぼ直線的に排出することが望ましく、そのため、第1開閉カバーを開動作し、切替部材を操作して、定着部材間の圧接力を第2圧接状態に切り替えて、その圧接力を小さくした状態で厚紙を定着させ、その後、そのまま、定着された厚紙を直線的に排出するようにしている。しかし、次に、普通紙を定着させる場合に、第1圧接状態への切り替えを忘れると、普通紙の良好な定着を達成することができない。
【0031】
しかし、この構成によると、切替部材は、第1開閉カバーの閉動作によって、定着部材間の圧接力を第2圧接状態から第1圧接状態に切り替えるので、たとえ、第1圧接状態への切り替えを忘れても、第1開閉カバーの閉動作によって、自動的に第1圧接状態に切り替えることができ、普通紙へのより確実な定着を達成することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。図1において、レーザプリンタ1は、装置本体を構成する筐体としての本体ケーシング2内に、記録媒体としての用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に所定の画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0033】
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7と、給紙トレイ6の一端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パット9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側(以下、用紙3の搬送方向上流側または下流側を、単に、上流側または下流側という場合がある。)に設けられる搬送ローラ10および11と、搬送ローラ10および11に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12とを備えている。
【0034】
用紙押圧板7は、用紙3を積層状にスタック可能とされ、給紙ローラ8に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、近い方の端部を上下方向に移動可能とし、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。そのため、用紙押圧板7は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ8に対して遠い方の端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに揺動される。給紙ローラ8および給紙パット9は、互いに対向状に配設され、給紙パット9の裏側に配設されるばね13によって、給紙パット9が給紙ローラ8に向かって押圧されている。用紙押圧板7上の最上位にある用紙3は、用紙押圧板7の裏側から図示しないばねによって給紙ローラ8に向かって押圧され、その給紙ローラ8の回転によって給紙ローラ8と給紙パット9とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。給紙された用紙3は、搬送ローラ10および11によってレジストローラ12に送られる。レジストローラ12は、1対のローラから構成されており、用紙3を所定のレジスト後に、画像形成部5に送るようにしている。
【0035】
なお、このフィーダ部4は、さらに、マルチパーパストレイ14と、マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3を給紙するためのマルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側給紙パット15aとを備えており、マルチパーパス側給紙ローラ15およびマルチパーパス側給紙パット15aは、互いに対向状に配設され、マルチパーパス側給紙パット15aの裏側に配設される図示しないばねによって、マルチパーパス側給紙パット15aがマルチパーパス側給紙ローラ15に向かって押圧されている。マルチパーパストレイ14上に積層される用紙3は、マルチパーパス側給紙ローラ15の回転によってマルチパーパス側給紙ローラ15とマルチパーパス側給紙パット15aとで挟まれた後、1枚毎に給紙される。
【0036】
画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスカートリッジ17、転写ローラ24および定着装置18などを備えている。
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20および21、反射鏡22などを備えており、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22、レンズ21の順に通過あるいは反射させて、後述するプロセスカートリッジ17の感光ドラム23の表面上に高速走査にて照射させている。
【0037】
プロセスカートリッジ17は、スキャナユニット16の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるように構成されている。このプロセスカートリッジ17は、感光ドラム23を備えるとともに、図示しない、スコロトロン型帯電器、現像ローラ、トナー収容部などを備えている。
トナー収容部には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分の重合トナーが充填されており、そのトナーが、現像ローラに一定厚さの薄層として担持される。一方、感光ドラム23は、現像ローラと対向状に回転可能に配設されており、ドラム本体が接地されるとともに、その表面がポリカーボネートなどから構成される正帯電性の感光層により形成されている。
【0038】
そして、感光ドラム23の表面は、感光ドラム23の回転に伴なって、スコロトロン型帯電器により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザービームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成され、その後、現像ローラと対向した時に、現像ローラ上に担持されかつ正帯電されているトナーが、その感光ドラム23の表面に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム23の表面のうち、レーザービームによって露光され電位が下がっている部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像が達成される。
【0039】
転写ローラ24は、感光ドラム23の下方において、本体ケーシング2側において回転可能に支持された状態で、感光ドラム23と対向するように配置されている。この転写ローラ24は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、感光ドラム23に対して所定の転写バイアスが印加されている。そのため、感光ドラム23上に担持されたトナーからなる可視像は、用紙3が感光ドラム23と転写ローラ24との間を通る間に用紙3に転写される。可視像が転写された用紙3は、搬送ベルト25を介して、定着装置18に搬送される。
【0040】
定着装置18は、プロセスカートリッジ17の側方下流側に配設され、定着部材としての加熱ローラ26と、加熱ローラ26と用紙3を挟んで対向配置される同じく定着部材としての加圧ローラ27とを備えている。加熱ローラ26は、金属製で加熱のためのハロゲンランプを備えており、本体ケーシング2内において回転可能に支持固定されるローラ軸34に支持されている。また、加圧ローラ27は、後述するローラ支持部材36(図2参照)に回転可能に支持されるローラ軸35に支持されており、常には、後述する第1ばね37(図2参照)の付勢力によって加熱ローラ26に向けて圧接されている。そして、この定着装置18においては、プロセスカートリッジ17において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ26と加圧ローラ27との間を通過する間に熱定着させるようにしている。
【0041】
定着装置18において定着された用紙3は、その後、定着装置18の下流側に設けられる搬送ローラ28および29によって、排紙ローラ30に搬送され、排紙ローラ30に送られた用紙3は、その排紙ローラ30によって排紙トレイ31上に排紙される。
また、この本体ケーシング2には、プロセスカートリッジ17を着脱するために開閉される第2開閉カバーとしてのトップカバー59が設けられている。このトップカバー59は、本体ケーシング2におけるプロセスカートリッジ17の上方において、その後端部(以下、本体ケーシング2において、マルチパーパストレイ14が設けられる側を前側、後述するリヤカバー58が設けられる側を後側とする。)が回動可能に支持されており、略水平方向に配置され本体ケーシング2を閉鎖する閉位置(この図1に示す状態)と、その前端部が上方向に配置され本体ケーシング2内を開放する開位置(図3に示すフルオープン状態)とに開閉自在に設けられている。このようなトップカバー59を設けて、このトップカバー59を開閉させることにより、プロセスカートリッジ17を容易に交換することができるとともに、そのプロセスカートリッジ17を取り外して、用紙3のジャム処理を容易に行なうことができる。また、このトップカバー59における後端部側には、次に述べる連動機構33(図2参照)の連結ロッド41(図2参照)を回動可能に支持するための取付板32が、下方に向かって突出形成されている。
【0042】
また、この本体ケーシング2の後部には、第1開閉カバーとしてのリヤカバー58が本体ケーシング2に対して開閉自在に設けられている。このリヤカバー58は、本体ケーシング2の後壁に沿うようにして、トップカバー59と別途形成されており、その下端部において揺動可能に支持されている。そして、このリヤカバー58が、開かれた時(仮想線で示す状態)には、定着装置18によって熱定着された用紙3を、定着装置18からほぼ直線的に排紙するストレートパスが形成される。また、このリヤカバー58を開く(仮想線で示す状態)ことにより、外部から後述する第1操作レバー46(図2参照)および第2操作レバー72(図7参照)の操作が可能とされ、第1操作レバー46および第2操作レバー72の操作性がより一層向上されている。
【0043】
そして、このレーザプリンタ1には、このトップカバー59の開閉に連動させて、加圧ローラ27を加熱ローラ26に対して圧接および解除させるための連動機構33が設けられている。図2ないし図6は、この連動機構33の要部構成を示す側断面図である。これら図2ないし図6を参照して、以下、連動機構33について詳述する。
【0044】
図2に示すように、この連動機構33は、移動支持部材としてのローラ支持部材36、第1弾性部材としての第1ばね37、第2付勢手段としての直動ロッド部38、第1操作レバー46、リンク部材39、支持板40および連結ロッド41を備えている。また、連動機構33のこれら各部材は、本実施形態においては、本体ケーシング2の定着装置18の両側にそれぞれ設けられているが、以下の説明では、図2ないし図6に現れる一方側のみについて述べる。
【0045】
図4において、ローラ支持部材36は、板状をなし、加熱ローラ26の下方であって加圧ローラ27の幅方向側方において、その前端部が、支持軸42を介して本体ケーシング2に揺動可能に支持されており、支持軸42の後方に設けられる軸受部43と、その軸受部43からさらに後方に向かって突出する杆状の当接杆44とが一体的に形成されている。また、軸受部43には、加圧ローラ27のローラ軸35が回転可能に支持されている。
【0046】
また、第1ばね37は、その一端が、当接杆44の基端部45に取り付けられるとともに、その他端が、基端部45のほぼ真上において、本体ケーシング2に固定されており、当接杆44の基端部45を上方向に付勢している。
そのため、図4に示すように、ローラ支持部材36は、常には、第1ばね37の付勢力によって、支持軸42を支点として上方向に揺動され、軸受部43において回転可能に支持されている加圧ローラ27を、加熱ローラ26に向けて圧接させている。
【0047】
直動ロッド部38は、ローラ支持部材36の当接杆44の上方において、略鉛直方向に配置されている。この直動ロッド部38は、ローラ支持部材36の当接杆44に対して進退可能に当接できるように、本体ケーシング2において上下方向にスライド自在に支持されており、常時は、後述する懸垂ばね64の付勢力によって、上方向に付勢されている。
【0048】
そのため、図4に示すように、懸垂ばね64の付勢力によって、この直動ロッド部38が上方向に退避され、直動ロッド部38の下端部がローラ支持部材36の当接杆44を押圧していないときには、上記したように、第1ばね37の付勢力によって、加圧ローラ27が加熱ローラ26に圧接される圧接位置に位置される。一方、図5に示すように、この直動ロッド部38が懸垂ばね64の付勢力に抗して下方向に進出され、直動ロッド部38の下端部がローラ支持部材36の当接杆44を押圧するときには、当接杆44が下方向に押動されるので、ローラ支持部材36は、第1ばね37の付勢力に抗して、支持軸42を支点として下方向に揺動され、加圧ローラ27が加熱ローラ26から離間方向に移動される圧接解除位置に位置される。つまり、この直動ロッド部38の進退によるローラ支持部材36の揺動によって、加圧ローラ27を、加熱ローラ26に対して圧接位置と圧接解除位置とに選択的に移動させることができる。
【0049】
また、第1操作レバー46は、板状をなし、直動ロッド部38の上端部の上方に配置され、直動ロッド部38の上端部の前方側において、その前端部が、支持軸47を介して本体ケーシング2に揺動可能に支持されており、その後端部が、ユーザが手動で操作するための操作部48とされている。また、この支持軸47と操作部48との間の途中部分における下面には、直動ロッド部38の上端部に当接させるための当接突部49が、下方に向かって突出形成されている。
【0050】
そして、図4に示すように、直動ロッド部38は、常には、懸垂ばね64の付勢力によって、ローラ支持部材36の当接杆44を押圧しない退避状態にあるが、図5に示すように、この第1操作レバー46を、支持軸47を支点として下方向に揺動させれば、当接突部49が直動ロッド部38の上端部を押動して、懸垂ばね64の付勢力に抗して、この直動ロッド部38を下方向に進出させることができ、これによって、ローラ支持部材36を揺動させて、加圧ローラ27を圧接位置から圧接解除位置に移動させることができる。そのため、たとえば、この第1操作レバー46の操作部48を、ユーザが指で下方向に押圧すれば、加圧ローラ27を圧接解除位置に移動させることができる。
【0051】
また、リンク部材39は、板状をなし、ローラ支持部材36と上下方向において所定の間隔を隔てて対向状に配置されており、長手方向途中の上部側が、支持軸51を介して本体ケーシング2に揺動可能に支持されている。このリンク部材39は、その後端部下面に、第1操作レバー46の上面に当接され、第1操作レバー46を介して直動ロッド部38を下方向に押動させるための押動突部50が設けられるとともに、その長手方向途中から前端部までの間に、次に述べる支持板40の係合突部55が係合されるガイド溝52が開口形成されている。
【0052】
このガイド溝52は、係合突部55を受け入れて、支持板40の揺動方向に沿う係合突部55の移動を許容するために、略L字状の長孔として形成されており、係合突部55が移動可能な移動溝部53と、トップカバー59の開状態において係合突部55を受け入れてその移動を規制するロック溝部54とが、連続して開口形成されている。より具体的には、移動溝部53は、係合突部55が移動可能なように長手方向に沿う長孔として形成されるとともに、ロック溝部54が、移動溝部53に対して、後述するトップカバー59の開動作時にリンク部材39を揺動させるための力が低減する方向(支持板40の揺動方向に沿ってガイド溝52を移動する係合突部55が支点越えする方向、より具体的には、移動溝部53の長孔の長手方向に対して斜め上方向)に屈曲形成されている。
【0053】
また、支持板40は、略矩形平板状をなし、略上下方向に配置され、その一端部には、リンク部材39のガイド溝52内に挿入される係合突部55が、そのガイド溝52内において移動可能に係合されるように突出形成されるとともに、その他端部が、リンク部材39のガイド溝52の上方であって、後述するトップカバー59の開動作時にリンク部材39が揺動することによりガイド溝52が移動する方向に配置されている支持軸56を介して、本体ケーシング2に揺動可能に支持されている。これによって、支持板40は、トップカバー59の閉状態において、リンク部材39のガイド溝52が延びる方向に対して、略直交する方向に延びるように配置され、後述する開動作時に、第1ばね37の付勢力によってリンク部材39に伝達される荷重を、受け止めることができるように構成されている。
【0054】
また、この係合突部55には、ガイド溝52との間における摺動抵抗を低減するための、ころ部材57が回転自在に設けられている。
また、図2および図3に示すように、連結ロッド41は、杆状をなし、その一端が、トップカバー59の取付板32に回動可能に取り付けられるとともに、その他端が、支持板40における係合突部55が設けられている一端部側に、回動可能に取り付けられている。これによって、連結ロッド41は、後述するトップカバー59の開動作時にリンク部材39が揺動することによりガイド溝52が移動する方向と交差して、リンク部材39の揺動軌跡の外方に向かって延びように配置される。
【0055】
次に、このように構成される連動機構33の動作について説明する。
まず、トップカバー59の閉状態においては、図2に示すように、そのトップカバー59に連動する連結ロッド41の支持板40側の端部が、より後方に移動されているので、支持板40が支持軸56を支点として後方(時計方向)に揺動された位置におり、係合突部55が、リンク部材39のガイド溝52における移動溝部53の後端に位置されている。この状態では、図4に示すように、リンク部材39は、支持軸51を支点として、ガイド溝52側が下向き、押動突部50側が上向き(時計方向)に揺動された状態となっており、これによって、リンク部材39の押動突部50が第1操作レバー46の上面から離間された状態となっているので、第1操作レバー46は、直動ロッド部38を押動しないフリー状態となっている。そのため、直動ロッド部38は、懸垂ばね64の付勢力によって、ローラ支持部材36の当接杆44を押圧しない退避状態にあるので、上記したように、第1ばね37の付勢力によって、ローラ支持部材36が、加圧ローラ27を圧接位置に移動させるように(時計方向に)揺動された状態となっている。そのため、このトップカバー59の閉状態においては、加圧ローラ27が加熱ローラ26に対して圧接された状態となっている。
【0056】
一方、トップカバー59を、この閉状態から開動作させると、図6に示すように、そのトップカバー59に連動される連結ロッド41が、トップカバー59に引かれて、連結ロッド41の支持板40側の端部が、より前方に移動されるので、支持板40が支持軸56を支点して前方(反時計方向)に揺動される。そうすると、係合突部55が、ガイド溝52の移動溝部53を、支持板40の揺動方向に沿って、その長手方向前方側に移動するため、リンク部材39は、支持軸51を支点として、ガイド溝52側が上方向、すなわち、支持板40の支持軸56に向かう方向に、また、押動突部50側が下向きに(反時計方向に)揺動される。
【0057】
そうすると、リンク部材39の押動突部50が、第1操作レバー46の上面を押圧するので、第1操作レバー46は、支持軸47を支点として下方向(反時計方向)に揺動され、これによって、当接突部49が直動ロッド部38の上端部に当接されて、直動ロッド部38が懸垂ばね64の付勢力に抗して、下方向に進出される。そして、この直動ロッド部38が下方向に進出されると、その直動ロッド部38の下端部がローラ支持部材36の当接杆44を押圧するので、上記したように、第1ばね37の付勢力に抗して、ローラ支持部材36が、加圧ローラ27を圧接解除位置に移動させるように(反時計方向に)揺動される。
【0058】
そして、図3に示すように、トップカバー59が開状態(フルオープン状態)になると、図5に示すように、支持板40の係合突部55がガイド溝52のロック溝部54内に受け入れられて、その移動が確実に規制される。そのため、トップカバー59の開状態においては、第1ばね37の付勢力に抗して、加圧ローラ27が圧接解除位置において確実に保持されるようになる。
【0059】
また、トップカバー59を、この開状態から閉動作させると、上記した逆、すなわち、そのトップカバー59に連動する連結ロッド41が、トップカバー59に押されて、その支持板40側の端部がより後方に移動され、これによって、支持板40が支持軸56を支点して後方(時計方向)に揺動される。そして、係合突部55が、リンク部材39のガイド溝52におけるロック溝部54から抜け出して、移動溝部53を、支持板40の揺動方向に沿って、その長手方向後方側に移動するため、リンク部材39は、支持軸51を支点として、ガイド溝52側が下方向に、また、押動突部50側が上方向に(時計方向に)に揺動される。そうすると、リンク部材39の押動突部50の、第1操作レバー46の上面に対する押圧が解除されるので、トップカバー59の閉状態においては、上記したように、加圧ローラ27が加熱ローラ26に対して圧接されるようになる。
【0060】
そして、このような連動機構33によれば、トップカバー59の開動作に連動させて加熱ローラ26に対する加圧ローラ27の圧接を解除できるので、これら加圧ローラ27および加熱ローラ26の間において、用紙3のジャムが発生した場合には、トップカバー59の開動作させるのみで、簡易かつ確実に、そのジャムとなった用紙3を取り除くことができる。また、ジャムとなった用紙3を取り除いた後、再びトップカバー59を閉動作させれば、その閉動作に連動させて、加圧ローラ27を加熱ローラ26に対して圧接させることができるので、簡易かつ確実に、良好な定着動作を達成することができる。
【0061】
そして、この連動機構33では、開動作時には、リンク部材39が第1操作レバー46を介して、第1ばね37の付勢力に抗して直動ロッド部38を押動させるが、この第1ばね37の付勢力によってリンク部材39に伝達される荷重は、そのリンク部材39の揺動方向、すなわち、リンク部材39のガイド溝52が移動する支持板40の支持軸56に向かう方向に伝達されるので、その荷重は、支持板40において確実に受け止められる。一方、トップカバー59に連結される連結ロッド41は、このリンク部材39のガイド溝52が移動する支持板40の支持軸56に向かう方向と交差する、リンク部材39の揺動軌跡の外側に向かう方向に延びるように配置されているので、このリンク部材39に伝達される荷重が、この連結ロッド41を介してトップカバー59に伝達されることが非常に少ない。また、トップカバー59の閉動作時においても、リンク部材39の直動ロッド部38に対する押動が解除されるので、リンク部材39には荷重が伝達されることがなく、そのため、トップカバー59にも荷重が伝達されることがない。
【0062】
そのため、トップカバー59の開閉動作と、定着装置18の加圧ローラ27および加熱ローラ26の圧接および解除とを連動させることができながら、トップカバー59には、その連動により生じる荷重が伝達されることが少ないため、強度がそれほど必要とならず、そのため、トップカバー59を簡易かつ軽量に構成して、コストダウンを図ることができる。また、トップカバー59の開閉にも、そのような荷重に相当する力が不要であり、少ない力で簡易に開閉操作を行なうことができる。
【0063】
しかも、この連動機構33では、トップカバー59の開閉時には、その開閉動作に連動して支持板40が揺動され、係合突部55が、リンク部材39のガイド溝52内で移動することにより、リンク部材39をより確実に揺動させているので、トップカバー59に、連動により生じる荷重が伝達されることが、より確実に防止されている。
【0064】
さらに、この連動機構33では、トップカバー59の開動作時には、係合突部55がガイド溝52の移動溝部53内を良好に移動して、トップカバー59が開状態になると、その係合突部55がロック溝部54に受け入れられて、その係合突部55のロック溝部54内での移動が確実に規制されるので、トップカバー59の開状態においては、加圧ローラ27を圧接解除位置において確実に保持することができる。
【0065】
また、このロック溝部54は、移動溝部53に対して、トップカバー59の開動作時にリンク部材39を揺動させるための力が低減する方向に、屈曲形成されているので、トップカバー59の開状態から閉動作する時には、ロック溝部54内の係合突部55を、このロック溝部54から移動溝部53内に移動させるための力(すなわち、図6に示す状態において、支点越えさせる力)さえ与えれば、係合突部55をガイド溝52の移動溝部53内に移動させることができ、これによって、より一層、少ない力でのトップカバー59の開閉動作を実現している。
【0066】
しかも、係合突部55には、ガイド溝52との間における摺動抵抗を低減するための、ころ部材57が回転自在に設けられているので、係合突部55は、ころ部材57によって摺動抵抗が低減された状態で、ガイド溝52内を移動される。そのため、これによっても、より一層、少ない力でのトップカバー59の開閉動作が実現されている。
【0067】
また、この連動機構33では、リンク部材39とは独立した部材として、第1操作レバー46が設けられているので、加圧ローラ27および加熱ローラ26の間において、用紙3のジャムが発生した場合には、トップカバー59を開動作せずとも、ユーザは、図1に示すように、リヤカバー58を開けて、この第1操作レバー46を指で下方に押動するのみで、加熱ローラ26に対する加圧ローラ27の圧接を解除して、そのジャムとなった用紙3を取り除くことができる。すなわち、この連動機構33では、定着装置18の加圧ローラ27および加熱ローラ26の間において、用紙3のジャムが発生した場合には、トップカバー59を開動作させるか、あるいは、第1操作レバー46を操作するかを選択して、ジャムとなった用紙3を取り除くことができるので、より状況に適した操作性の向上が図られている。
【0068】
しかも、この第1操作レバー46は、リンク部材39の押動突部50と、直動ロッド部38との間において、揺動可能に設けられているので、第1操作レバー46の配設を、簡易な構成により低コストで実現している。
なお、この実施形態では、第1操作レバー46を、リンク部材39の押動突部50と、直動ロッド部38との間において揺動可能に設けているが、この第1操作レバー46を設けることなく、リンク部材39の押動突部50によって、直動ロッド部38を直接押動させる構成としてもよい。
【0069】
また、そのような場合には、たとえば、リンク部材39と直動ロッド部38とを一体的に形成して、これらリンク部材39および直動ロッド部38を1つの押動部材として構成してもよく、さらには、リンク部材39および直動ロッド部38から構成される押動部材とローラ支持部材36とを一体的に形成して、これらリンク部材39、直動ロッド部38およびローラ支持部材36を1つの移動部材として構成してもよい。
【0070】
また、このレーザプリンタ1には、加圧ローラ27と加熱ローラ26との間の圧接力を変更するための圧接力変更機構60が設けられている。図7ないし図11は、この圧接力変更機構60の要部構成を示す側断面図である。これら図7ないし図11を参照して、以下、圧接力変更機構60について詳述する。
図7ないし図11に示すように、この圧接力変更機構60は、本実施形態においては、上記した連動機構33と同様に、本体ケーシング2の定着装置18の両側にそれぞれ設けられているが、以下の説明では、図7ないし図11に現れる一方側のみについて述べる。
【0071】
この圧接力変更機構60は、図7に示すように、上記したローラ支持部材36、第1ばね37および直動ロッド部38を備えている。なお、この圧接力変更機構60において、ローラ支持部材36および第1ばね37が第1付勢手段を構成し、直動ロッド部38が第2付勢手段を構成する。また、ローラ支持部材36および第1ばね37は、上記した構成の通りである。
【0072】
直動ロッド部38は、直動ロッド61、切替部材62、第2弾性部材としての第2ばね63および懸垂ばね64を備えている。
直動ロッド61は、本体ケーシング2に形成されている基準当接部87に対して上下方向に移動可能に設けられ、細長板状の直動部材65と、直動部材65の長手方向略中央部から後方に突出形成され、下方が傾斜する略矩形状の突出部66とが一体的に形成されることにより構成されている。直動部材65における前側には、後述するスライド部材70の薄板部82および第2ばね63が内装される開口溝部が長手方向に沿って開口形成されるとともに、後側には、後述するスライド部材70の薄板部82を上下方向にスライド可能に受け入れるスライド溝部が形成されている。また、直動部材65の下端部には、当接部90が形成されており、この当接部90の前側側方には、後述する懸垂ばね64の一端を保持するための係止突部86が鉤状に突出形成されている。
【0073】
また、突部66は、互いに所定間隔を隔てて対向配置される1対のプレート部材からなり、その間に後述するスライド部材70の厚板部81が上下方向にスライド可能に支持されている。また、突出部66における直動部材65と反対側の端部には、直動部材65の長手方向に沿って、後述する揺動軸76を回動可能に受け入れるための上下方向に延びた長孔部68が開口形成されている。
【0074】
切替部材62は、切替板部材69と、スライド部材70とを備えている。
切替板部材69は、側面視略L字状をなし、当接板71と、操作レバーとしての第2操作レバー72とが一体的に形成されることにより構成されている。
当接板71は、略矩形板状をなし、図11に示すように、平坦状に形成される上端縁部の第1部分73と、湾曲形状に形成される前側側縁部の第2部分74とが、丸みのある角部として形成される第1屈曲部分75を介して連続して形成されており、第1部分73は、次に述べる第2操作レバー72が延びる方向と略直交する方向に形成され、第2部分74は、後述する揺動軸76を揺動支点として当接板71が揺動する揺動軌跡に沿う湾曲形状に形成されている。
【0075】
また、当接板71の後部には、揺動軸76が、この当接板71と直交する内側方向に突出形成されている。
この揺動軸76は、断面略しずく状に形成されており、より具体的には、略平坦状に形成される第3部分77および第4部分78と、それらの一端側を連続させる鋭角に形成された第2屈曲部分79と、それらの他端側を連続させる円弧状に形成された円弧部分80とによって外周面が形成されており、第3部分77が当接板71の第1部分73と略平行するように形成されている。
【0076】
第2操作レバー72は、手動で操作可能な板状をなし、当接板71の後端部から、当接板71と略直交する方向に延びるように、連続して一体的に形成されている。
そして、切替板部材69は、当接板71の揺動軸76が、直動ロッド61の長孔部68に挿入されることにより、直動ロッド61に揺動可能に支持されている。
【0077】
スライド部材70は、図7に示すように、直動ロッド61の突出部66のプレート部材間にスライド可能に狭持される略三角形状の厚板部81と、直動部材65の開口溝部に内装されるとともに、スライド溝部にスライド可能に係止される略矩形状の薄板部82とが一体的に形成されることにより構成されている。厚板部81の上端面83は、平坦状に形成されるとともに、薄板部82の下端側には、後述する第2ばね63を取り付けるための突起部84が形成されている。そして、このスライド部材70は、厚板部81が突出部66のプレート部材間に挟まれ、薄板部82が開口溝部に内装されるとともに、スライド溝部に挟まれた状態で、直動ロッド61に対して上下方向に相対的にスライド可能に組み付けられている。
【0078】
第2ばね63は、直動ロッド61の直動部材65の開口溝部に内装された状態で、その一端が、スライド部材70の突起部84に係止されるとともに、その他端が、直動部材65の下端部の当接部90に係止されており、スライド部材70と当接部90との間が広がるように付勢している。また、この第2ばね63の弾性率は、上記した第1付勢手段の第1ばね37の弾性率よりも小さく設定されている。
【0079】
懸垂ばね64は、その一端が、当接部90の係止突部86に取り付けられるとともに、その他端が、垂直方向上方において、本体ケーシング2に固定されており、係止突部86を上方向に牽引するように付勢している。また、この懸垂ばね64の弾性率は、第2ばね63よりも小さく設定されている。
そのため、図7に示すように、直動ロッド部38は、常には、懸垂ばね64によって、切替部材62の当接板71が本体ケーシング2に形成されている基準当接部87に当接するように付勢されている。
【0080】
次に、このように構成される圧接力変更機構機構60の動作について説明する。
リヤカバー58の閉状態においては、図7および図11(a)に示すように、第2操作レバー72が、略鉛直方向に向くように配置されることにより、当接板71の第1部分73および揺動軸76の第3部分77が略水平方向に向くように配置される。このような状態においては、直動ロッド部38は、懸垂ばね64の付勢力によって上方向に付勢されることにより、当接板71の第1部分73が基準当接部87の下面に当接されることによって、当接部90が、ローラ支持部材36の当接杆44から離間された非作用位置に位置される。(以下、この状態を非作用状態とする。)そのため、ローラ支持部材36は、第1ばね37の付勢力のみによって、加圧ローラ27を加熱ローラ26に向けて圧接する圧接方向に揺動され、これによって、加熱ローラ26と加圧ローラ27との間が所定の圧接力で圧接される第1圧接状態が形成される。なお、この非作用状態においては、スライド部材70は、第2ばね63の付勢力によって、その薄板部82がスライド溝部の上部に付勢され、この状態において、揺動軸76の第3部分77が厚板部81の上端面83に当接されている。
【0081】
また、当接部90が非作用位置に位置されている状態においては、図11(a)に示すように、当接板71の第1部分73が、基準当接部87の下面に当接され、その位置が規定されるとともに、揺動軸76の第3部分77が、スライド部材70の上端面83に当接されている。
次いで、このような非作用状態から、厚みのある封筒などの厚紙からなる用紙3を印刷する場合には、腰折れを防止すべく、そのままほぼ直線的に排出することが望ましい。そのため、図8に示すように、リヤカバー58を閉状態から開動作させる。そうすると、図1に示すように、定着装置18によって熱定着された用紙3を、搬送ローラ28からリヤカバー58上にほぼ直線的に排紙するストレートパスが形成されるとともに、第2操作レバー72が露出され、ユーザによって手動で操作可能な状態とされる。
【0082】
そして、押圧ローラ27と加圧ローラ26との間の圧接力を、普通紙からなる用紙3を印刷する場合よりも低減するために、圧接力変更機構66の操作によって、押圧ローラ27と加圧ローラ26との間の圧接力を低減するように変更する。すなわち、この操作では、まず、ユーザが指で第2操作レバー72を後方に押し下げる。そうすると、図11(b)および図11(c)に示すように、揺動軸76を支点として、第2操作レバー72が下方に揺動されるとともに、当接板71が上方に揺動される。この時、当接板71は、懸垂ばね64の付勢力によって、基準当接部87に当接しながら揺動されるので、基準当接部87に対しては、当接板71の第1部分73が当接している状態(図11(a)に示す状態)から、第2操作レバー72が一時的に斜め方向を向く状態となった時(図11(b)に示す状態)には、一時的に第1屈曲部分75が当接し、その後、第2操作レバー72が水平方向を向く状態となった時(図11(c)に示す状態)に、第2部分74が当接されるようになる。また、これに伴なって、スライド部材70の上端面83に対しては、揺動軸76の第3部分77が当接している状態(図11(a)に示す状態)から、第1屈曲部分75が一時的に基準当接部87に当接した時(図11(b)に示す状態)には、一時的に第2屈曲部分79が当接し、その後、第2部分74が基準当接部87に当接した時(図11(c)に示す状態)に、第4部分78が当接されるようになる。
【0083】
そうすると、揺動軸76は、第2部分74と揺動軸76との対向距離と、第1部分73と揺動軸76との対向距離との差の分、下方に移動されるので、その揺動軸76が当接しているスライド部材70が下方に押圧される。そうすると、懸垂ばね64の弾性率よりも第2ばね63の弾性率が大きいことから、この第2ばね63を介して直動ロッド61が押圧され、これによって、図9に示すように、直動ロッド61が下方に移動され、当接部90がローラ支持部材36の当接杆44に当接される。
【0084】
そして、当接部90がローラ支持部材36の当接杆44に当接されると、当接部90は、第1ばね37によって付勢されているローラ支持部材36からの反力を受けるが、この時、第1ばね37の弾性率が第2ばね63の弾性率よりも大きく設定されているため、図10に示すように、第2ばね63がその反力によって圧縮される。そのため、直動ロッド61が、基準当接部87によって位置が規定されているスライド部材70に対して、上方に向かって相対的にスライド移動されるので、当接部90が、それ以上ローラ支持部材36を押圧することはなく、実質的に第2ばね63の付勢力のみが、当接部90を介してローラ支持部材36に作用されるようになる。なお、以下の説明において、このように当接部90がローラ支持部材36の当接杆44に当接されている位置を作用位置とし、実質的に第2ばね63の付勢力のみが第1ばね37の付勢力に抗する方向にローラ支持部材36に作用している状態を作用状態とする。
【0085】
そして、このような作用状態では、第2ばね63が、第1ばね37の付勢力に抗してローラ支持部材36を付勢するので、ローラ支持部材36がその分、それらの圧接を解除する圧接解除方向に移動され、押圧ローラ27の加圧ローラ26に対する圧接力が低減されるので、それらを前記所定の圧接力より小さい圧接力で圧接する第2圧接状態が形成される。その結果、この作用状態において、封筒などの厚紙からなる用紙3の良好な定着を達成することができる。
【0086】
なお、この圧接力変更機構60では、第2ばね63の弾性率が、第1ばね37の弾性率よりも小さく設定されているので、作用状態においては、押圧ローラ27と加圧ローラ26との間の圧接力が解除されることはなく、押圧ローラ27と加圧ローラ26との間の圧接力を確実に低減させることができる。
その後、厚紙からなる用紙3の印刷が終了して、通常の普通紙からなる用紙3を印刷する場合には、再び、第2操作レバー72を指で前方に押し上げればよい。そうすると、上記した逆、すなわち、揺動軸76を支点として、第2操作レバー72が上方に揺動されるとともに、当接板71が下方に揺動される。そうすると、第2ばね63の圧縮が解除されるとともに、当接部90がローラ支持部材36の当接杆44に当接している間は、第1ばね37の付勢力によって、直動ロッド61が上方に押し上げられ、当接杆44から離間すると、直動ロッド61は懸垂ばね64の付勢力によって上方向に牽引され、直動ロッド61は、当接板71の第1部分73が基準当接部87に当接するまで、上方に移動され、再び、非作用状態となり、押圧ローラ27と加圧ローラ26とが所定の圧接力で圧接される第1圧接状態が形成される。
【0087】
なお、この時には、基準当接部87に対して、当接板71の第2部分74が当接している状態(図11(c)に示す状態)から、第2操作レバー72が一時的に斜め方向を向く状態となった時(図11(b)に示す状態)には、一時的に第1屈曲部分75が当接し、その後、第2操作レバー72が鉛直方向を向く状態となった時(図11(a)に示す状態)に、第1部分73が当接されるようになる。また、これに伴なって、スライド部材70の上端面83に対しては、揺動軸76の第4部分78が当接している状態(図11(c)に示す状態)から、第1屈曲部分75が一時的に基準当接部87に当接した時(図11(b)に示す状態)には、一時的に第2屈曲部分79が当接し、その後、第1部分73が基準当接部87に当接した時(図11(a)に示す状態)に、第3部分77が当接される。
【0088】
その後、リヤカバー58を閉動作させて、通常の普通紙からなる用紙3を印刷すれば、上記したように、押圧ローラ27と加圧ローラ26との間において、所定の圧接力によって定着させた後に、排紙トレイ31上に排紙することができる。
また、このレーザプリンタ1では、厚紙からなる用紙3の印刷が終了して、通常の普通紙からなる用紙3を印刷しようとした時に、第2操作レバー72を指で前方に押し上げれることを忘れても、図10に示すように、作用状態において、第2操作レバー72は、リヤカバー58の内側面に当接しているので、その後に、リヤカバー58を閉動作させれば、第2操作レバー72は、リヤカバー58の閉動作時に、リヤカバー58と当接して、そのリヤカバー58の押圧によって非作用状態に戻されるので、たとえ、第2操作レバー72の切り替えを忘れても、リヤカバー58の閉動作によって、自動的に非作用状態に切り替えることができる。
【0089】
そして、レーザプリンタ1では、このような圧接力変更機構60を備えることで、普通紙からなる用紙3の定着時には、第2操作レバー72を、非作用状態に切り替えておけば、第1ばね37のみの付勢力によってローラ支持部材36が圧接方向に移動され、押圧ローラ27が加熱ローラに向けて所定の圧接力で圧接される第1圧接状態が形成されるので、普通紙からなる用紙3の良好な定着を達成することができる。一方、封筒などの厚紙からなる用紙3の定着時には、第2操作レバー72を、作用状態に切り替えておけば、第2ばね63が、第2ばね37の付勢力に抗してローラ支持部材63を付勢するので、ローラ支持部材63がその分、圧接解除方向に移動され、押圧ローラ27が加熱ローラに向けて所定の圧接力よりも小さな圧接力で圧接される第2圧接状態が形成されるので、封筒などの厚紙からなる用紙3の良好な定着を達成することができる。
【0090】
そして、この圧接力変更機構60では、上記したように、直動ロッド61は、作用状態では、第2ばね63の付勢力のみによってローラ支持部材63を付勢するので、簡易な構成によって、常に一定した第1ばね37の付勢力の低減を図ることができ、その結果、安定した圧接力の低減を確実に図ることができる。
すなわち、たとえば、片側において常に2つのばねの付勢力を加える場合のような互いのばねの付勢力のばらつきや、ロッド部材が進退するストロークのばらつきに起因する、圧接力のばらつきがなく、たとえば、普通紙からなる用紙3の定着時には、第1ばね37のみの付勢力によって、また、厚紙からなる用紙3の定着時には、第1ばね37の付勢力と、それに抗する第2ばね63の付勢力とによって圧接力を決定することができるので、各レーザプリンタ1毎における押圧ローラ27と加熱ローラとの間の圧接力を、普通紙の定着時には、従来の片側においてばね2つによって常に付勢していた場合よりも、ばらつきを小さくすることができ、さらに、厚紙の定着時には、従来のロット部材のストロークによって圧接力を切り替えていた場合よりも、ばらつきを小さくすることができる。
【0091】
また、この圧接力変更機構60では、ユーザが手動で第2操作レバー72を操作して、作用状態と非作用状態とに切り替えることができるので、任意のタイミングで、確実な切り替えを達成することができ、さらに、ユーザが作用状態から非作用状態への切り替えを忘れても、リヤカバー56の閉動作によって、自動的に第2操作レバー72を非作用状態に切り替える、すなわち、押圧ローラ27と加熱ローラとの間の圧接力を第2圧接状態から第1圧接状態に切り替えることができるので、普通紙からなる用紙3の厚さに対応した確実な定着を達成することができる。
【0092】
また、この圧接力変更機構60では、当接部90が作用位置にある場合において、基準当接部87に常に位置が規定されている当接板71が、スライド部材70の位置を規定するので、スライド部材70の位置を簡易な構成により確実に規定することができ、そのスライド部材70に第2ばね63を当接させることにより、ローラ支持部材63を付勢する第2ばね63の付勢力を確実に安定させることができる。
【0093】
また、この圧接力変更機構60では、第1部分73と第2部分74との間には、第1屈曲部分75が形成されているので、第2操作レバー72の作用状態および非作用状態の切り替えにおいては、第1屈曲部分75が基準当接部87に当接しても、その状態では安定しないため、当接板71は、基準当接部87に対して第2部分74が当接するか、または第1部分73が当接するかのいずれかに揺動される。そのため、第2操作レバー72は、当接部90が作用位置にある状態において安定して保持されるので、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
【0094】
しかも、この第2部分74は、この当接板71が揺動する揺動軌跡に沿う湾曲形状に形成されているので、第2操作レバー72によって直動ロッド61を作用位置から非作用位置に切り替える時に、第2操作レバー72をスムーズに揺動させることができる。そのため、より一層、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
【0095】
さらに、当接板71の揺動軸76の第3部分77と第4部分78との間には、第2屈曲部分79が形成されているので、この第2屈曲部分79がスライド部材70に当接しても、その状態では安定せず、揺動軸76は、スライド部材70に対して第3部分77または第4部分78のいずれかが当接するように回転される。そのため、直動ロッド61は、非作用位置および作用位置のいずれかの状態において安定して保持されるので、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
【0096】
また、揺動軸76は第2操作レバー72の揺動中心でもあるので、その揺動軸76をこのような形状に形成することで、がたつきなく軽い力で第2操作レバー72を切り替えることができる。そのため、より一層安定した切り替えを達成することができる。
なお、本実施形態において、圧接力変更機構60は定着装置18の両側に設けられているが、たとえば、一方が作用状態、他方が非作用状態であっても、用紙3の通過が妨げられることがなく、それに起因するジャムの発生を防止することができる圧接力に設定されている。
【0097】
また、圧接力変更機構60は、片方のみに設けて加圧ローラ27全体を加熱ローラ26に対して移動させるようにしてもよい。
【0098】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、普通紙の定着時には、第1付勢手段のみの付勢力によって、また、厚紙の定着時には、第1付勢手段の付勢力と、それに抗する第2付勢手段の第2弾性部材の付勢力とによって圧接力を決定することができるので、各画像形成装置毎の定着部材間の圧接力を、普通紙の定着時には、従来の片側においてばね2つによって常に付勢していた場合よりも、厚紙の定着時には、従来のロッド部材のストロークによって圧接力を切り替えていた場合よりも、ばらつきを小さくすることができる。
【0099】
請求項2に記載の発明によれば、任意のタイミングで、確実な切り替えを達成することができる。
請求項3に記載の発明によれば、第2付勢手段の作用状態から非作用状態への切り替えを忘れても、第1開閉カバーの閉動作によって、自動的に、第2付勢手段を作用状態から非作用状態に切り替えることができ、普通紙へのより確実な定着を達成することができる。
【0100】
請求項4に記載の発明によれば、一定した第1弾性部材の付勢力の低減を図ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、第2付勢手段が、作用状態にある場合には、第2弾性部材の付勢力のみを、第1弾性部材の付勢力に抗する方向に移動支持部材に作用させることができる。
【0101】
請求項6に記載の発明によれば、定着部材間の圧接力を確実に低減させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、スライド部材の位置を簡易な構成により確実に規定することができ、スライド部材に第2弾性部材を当接させることにより、移動支持部材を付勢する第2弾性部材の付勢力を確実に安定させることができる。
【0102】
請求項8に記載の発明によれば、切替部材は、当接部が作用位置にある状態において安定して保持されるので、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
請求項9に記載の発明によれば、切替部材をスムーズに揺動させることができる。そのため、より一層、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。
【0103】
請求項10に記載の発明によれば、当接部は、非作用位置および作用位置のいずれかの状態において安定して保持され、確実かつ安定した切り替えを達成することができる。また、がたつきなく軽い力で切替部材を切り替えることができ、より一層安定した切り替えを達成することができる。
請求項11に記載の発明によれば、簡易な操作による確実な切り替えを達成することができ、また、操作レバーの切り替えを忘れても、第1開閉カバーの閉動作によって、自動的に当接部を非作用位置に移動させることができ、より確実な定着を達成することができる。
【0104】
請求項12に記載の発明によれば、第2開閉カバーの開動作に連動させて、簡易かつ確実に、定着部材間の圧接を解除することができ、これら定着部材間において、記録媒体のジャムが発生した場合には、簡易かつ確実に、そのジャムとなった記録媒体を取り除くことができる。
請求項13に記載の発明によれば、定着部材間の圧接力が所定の圧接力である第1圧接状態への切り替えを忘れても、第1開閉カバーの閉動作によって、自動的に定着部材間の圧接力を第1圧接状態に切り替えることができ、普通紙へのより確実な定着を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置としての、レーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。
【図2】図1に示すレーザプリンタにおいて、連動機構の要部構成(トップカバーの閉状態)を示す側断面図である。
【図3】図1に示すレーザプリンタにおいて、連動機構の要部構成(トップカバーの開状態)を示す側断面図である。
【図4】図2における連動機構の要部構成(トップカバーの閉状態)の拡大側断面図である。
【図5】図3における連動機構の要部構成(トップカバーの開状態)の拡大側断面図である。
【図6】図2における連動機構の要部構成(トップカバーの開状態と閉状態との間の途中状態)の拡大側断面図である。
【図7】図1に示すレーザプリンタの圧接力変更機構の要部構成(リヤカバーが閉状態で第2操作レバーが非作用状態)の拡大側断面図である。
【図8】図7に示す圧接力変更機構の要部構成(リヤカバーが開状態で第2操作レバーが非作用状態)の拡大側断面図である。
【図9】図7に示す圧接力変更機構の要部構成(リヤカバーが開状態で第2操作レバーが作用状態と非作用状態との間の途中状態)の拡大側断面図である。
【図10】図7に示す圧接力変更機構の要部構成(リヤカバーが開状態で第2操作レバーが作用状態)の拡大側断面図である。
【図11】図7に示す圧接力変更機構の切替部材の拡大側断面図であり、(a)は、非作用状態にある時の切替部材の状態を示し、(b)は、非作用状態と作用状態との間の途中状態にある時の切替部材の状態を示し、(c)は、作用状態にある時の切替部材の状態を示す。
【符号の説明】
1 レーザプリンタ
2 本体ケーシング
3 用紙
18 定着装置
26 加熱ローラ
27 加圧ローラ
36 ローラ支持部材
37 第1ばね
38 直動ロッド部
58 リヤカバー
59 トップカバー
60 圧接力変更機構
62 切替部材
63 第2ばね
70 スライド部材
71 当接板
72 第2操作レバー
73 第1部分
74 第2部分
75 第1屈曲部分
76 揺動軸
77 第3部分
78 第4部分
79 第2屈曲部分
87 基準当接部
90 当接部

Claims (13)

  1. 互いに圧接可能に対向配置される2つの定着部材を有する定着装置と、定着部材間の圧接力を変更するための圧接力変更機構を備える画像形成装置において、
    前記圧接力変更機構は、
    前記定着部材間を圧接するように付勢する第1付勢手段と、
    前記第1付勢手段の付勢力に抗して、定着部材間の圧接力を低減する第2付勢手段とを備え、
    前記第2付勢手段は、第2弾性部材を備え、前記第2弾性部材による付勢力を作用させる作用状態と、前記第2弾性部材による付勢力を作用させない非作用状態とに切り替え可能に設けられていることを特徴とする、画像形成装置。
  2. 前記第2付勢手段が操作可能に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記定着装置によって定着された記録媒体を、その定着装置からほぼ直線的に排出するために、装置本体の側部を開閉する第1開閉カバーを備えており、
    前記第1開閉カバーの閉動作によって、前記第2付勢手段が作用状態から非作用状態に切り替えられるように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 各前記定着部材はローラからなり、
    前記第1付勢手段は、
    一方の前記ローラを、他方の前記ローラに対して圧接方向または圧接解除方向に移動可能に支持する移動支持部材と、
    一方の前記ローラが他方の前記ローラに向けて圧接されるように、前記移動支持部材を常に付勢する第1弾性部材とを備え、
    前記第2付勢手段は、作用状態において、前記第2弾性部材の付勢力を前記移動支持部材に作用させることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記第2付勢手段は、画像形成装置の筐体に対して移動可能に設けられ、前記移動支持部材に当接する当接部が形成された直動ロッドと、
    前記直動ロッドを、前記当接部が作用位置に位置する作用状態と前記当接部が非作用位置に位置する非作用状態とに切り替える切替部材とを備え、
    前記切替部材は、前記直動ロッドに対して相対移動可能なスライド部材を備えており、
    前記第2弾性部材は、前記当接部と前記スライド部材との間に配置され、前記当接部と前記スライド部材との間が広がるように付勢していることを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記第2付勢手段の前記第2弾性部材の弾性率が、前記第1付勢手段の前記第1弾性部材の弾性率よりも、小さく設定されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の画像形成装置。
  7. 記切替部材は、前記当接部が、作用位置にある場合、前記スライド部材の位置を規定することを特徴とする、請求項5または6に記載の画像形成装置。
  8. 前記切替部材は、前記直動ロッドに揺動可能に支持され、画像形成装置の筐体に当接する当接板を備えており、
    前記当接板は、前記当接部が非作用位置にある場合前記筐体に当接する第1部分と、前記当接部が作用位置にある場合前記筐体に当接する第2部分とを備えており、
    前記第1部分と前記第2部分とが、第1屈曲部分を介して連続するように形成されていることを特徴とする、請求項5ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記第2部分は、この当接板が揺動する揺動軌跡に沿う湾曲形状に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記当接板は、前記直動ロッドに揺動可能に支持されるための揺動軸を備え、
    前記揺動軸は、前記当接部が非作用位置にある場合前記スライド部材に当接する第3部分と、前記当接部が作用位置にある場合前記スライド部材に当接する第4部分とを備えており、
    前記第3部分と前記第4部分とが、第2屈曲部分を介して連続するように形成されていることを特徴とする、請求項8または9に記載の画像形成装置。
  11. 前記切替部材は、操作可能な操作レバーを備えており、前記操作レバーの操作によって、前記直動ロッドを作用状態と非作用状態とに切り替え可能に構成されており、
    前記操作レバーは、前記第1開閉カバーの閉動作時に、前記第1開閉カバーと当接して、前記当接部を作用位置から非作用位置に移動させるように構成されていることを特徴とする、請求項3または5に記載の画像形成装置。
  12. 装置本体の上部を開閉する第2開閉カバーと、
    前記第2開閉カバーの開動作時に、前記第1付勢手段の付勢力に抗して、前記直動ロッドを押圧して、前記移動支持部材を、前記定着部材間の圧接が解除される圧接解除位置に移動させるための連動機構を備えていることを特徴とする、請求項5ないし11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 互いに圧接可能に対向配置される2つの定着部材を有する定着装置と、前記定着部材間の圧接力を変更するための圧接力変更機構と、前記定着装置によって定着された記録媒体を、その定着装置からほぼ直線的に排出するために、装置本体の側部を開閉する第1開閉カバーとを備える画像形成装置において、
    前記圧接力変更機構は、前記定着部材間を所定の圧接力で圧接させるための第1圧接状態と、前記定着部材間を前記所定の圧接力よりも小さい圧接力で圧接させるための第2圧接状態とに切り換えるための操作可能な切替部材を備えており、
    前記切替部材は、前記第1開閉カバーの閉動作時に、前記第1開閉カバーとの当接により、前記定着部材間の圧接力を前記第2圧接状態から第1圧接状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする、画像形成装置。
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