JP3627419B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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- F16H61/14—Control of torque converter lock-up clutches
Description
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機を備える車両においては、減速時、たとえば走行中にアクセルペダルを離したとき(アイドルスイッチがOFFからONになったとき)の回転数が所定値以上でかつ車速が所定の範囲にあるときに、いわゆるフュエルカットが行われ、この状態から
▲1▼アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下して所定値以下となったときや
▲2▼再加速を行おうとアクセルペダルを踏み込んだとき(アイドルスイッチがONからOFFになったとき)、
いわゆるフュエルリカバーが行われる(平成5年8月 (株)山海堂発行『新電子制御ガソリン噴射』第123頁〜第124頁参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンの加減速時における空燃比の目標値からのずれは、吸気マニフォールドや吸気ポートなどに付着し、液状のまま壁面を伝ってシリンダに流れ込む、いわゆる壁流燃料の量的変化に起因するものであるため、この壁流燃料による過不足分を補正量として、いわゆる壁流補正を行うものがあり、この壁流補正は、加減速時に限らず、壁流燃料が大きく変化するフュエルカット時にも働く。たとえば、壁流燃料には直接にシリンダに流入される分が少なく比較的応答の遅いものと、直接にシリンダに流入される分が主で比較的応答の速いものとがあることから、応答の遅い壁流燃料に関する補正量として過渡補正量Kathosを、また応答の速い壁流燃料に関する補正量として気筒別増減補正量Chosnや気筒別非同期噴射パルス幅Injsetnを導入するものがある(特開平3−111639号公報参照)。
【0004】
このような壁流補正を行うものでは、フュエルカット時の壁流燃料の減少に合わせて壁流燃料を予測することで、フュエルリカバー時にフュエルカット時における壁流燃料の消失分だけ多めに増量することが可能となり、フュエルリカバー当初の空燃比を理論空燃比に近づけることができることから、図16第4段目に示すように、フュエルリカバー時にエンジン発生トルクがステップ的に立ち上がる。
【0005】
この場合に、上記▲1▼と▲2▼ではトルク要求が異なることから、現状では▲2▼の場合のフュエルリカバー時に図16第1段目の実線で示したように壁流補正を行うものの、▲1▼の場合のフュエルリカバー時には、図16第1段目の破線のように壁流補正を行っていない。▲2▼の場合のフュエルリカバー時には壁流補正によりエンジンの発生するトルクがステップ的に立ち上がって、加速要求に応じたものとなる(図16第3段目の実線参照)のに対して、▲1▼の場合のフュエルリカバー時にはエンジン発生トルクがゆるやかに立ち上がり(図16第3段目の破線参照)、トルクショックを低減するのである。
【0006】
なお、図16第1段目の実線の壁流補正ありのときの燃料噴射パルス幅Tinの波形はモデル的に表したもので、実際には図13の最下段に示したようになる。つまり、フュエルリカバー時の運転条件から定まるシリンダ空気量相当パルス幅Avtpに加えて、過渡補正量Kathosが比較的長く働き、さらに気筒別増減補正量Chosnや気筒別非同期噴射パルス幅Injsetnが短い時間だけ働く(たとえばChosnとInjsetnが各気筒1回ずつ加わる)。
【0007】
しかしながら、上記▲1▼の場合でアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下するといっても、車速(エンジン回転数)の低下は一様でなく、たとえば緩減速のほか急減速時があり、急減速からのフュエルリカバー時にもトルクをゆるやかに立ち上げたのでは、急減速時の急減な回転落ちからの回復が遅れ、エンストに至ることが考えられる。
【0008】
特に、エンジンと自動変速機を直結状態とする、いわゆるロックアップ機構が自動変速機に備えられるのものにおいて、エンジンと自動変速機が直結されている状態(ロックアップ領域)でアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーを行ったのでは、自動変速機負荷の分だけエンジン回転の上昇が遅れるので、そのフュエルリカバーを行う前にロックアップ解除信号を出力しているのであるが、ロックアップ解除信号を与えてからロックアップ機構の作動が実際に解除されるまでの応答遅れにより、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが直結状態のことがある。つまり、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合のうち急減速からのフュエルリカバー時、かつロックアップ機構の作動遅れによりエンジンと自動変速機とが直結状態にあるときには、急激な回転落ちがとまらず、エンストに至ることが考えられる。
そこで本発明は、急減速時からのフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが直結状態にあることがあっても、急激な回転落ちに伴うエンストを防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図22に示すように、エンジンの負荷と回転数に基づいて基本噴射量Tpを演算する手段31と、フュエルリカバー時の壁流燃料に関する増量補正量を演算する手段32と、この増量補正量で前記基本噴射量Tpを補正した値をフュエルリカバー時の燃料噴射量として演算する手段33と、この噴射量の燃料をエンジンに供給する手段34とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になったかどうかを判定する手段35と、この判定結果よりアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になったときそのフュエルカット後のフュエルリカバー時に、そのフュエルリカバー直前の所定期間(たとえば所定時間あるいは所定クランク角区間)当たり回転数減少量ΔNが大きくなるほど前記増量補正量が大きくなる側に修正する手段36とを設けるとともに、前記所定期間当たり回転数減少量ΔNが大きい場合でかつ自動変速機がロックアップ領域にあるとき前記増量補正量をさらに大きくする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において前記壁流燃料に関する増量補正量が、応答の早い壁流燃料に関する第1の補正量Chosnであって、エンジン回転に同期して供給する噴射量である基本噴射量Tpに加える補正量である。
【0012】
第4の発明では、第3の発明において前記所定期間当たり回転数減少量ΔNが大きい場合でかつ自動変速機がロックアップ領域にあるとき前記第1の補正量Chosnを増量側に修正する。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において前記第1の補正量Chosnに対して温度補正を行う。
【0014】
第4の発明では、第1の発明において前記壁流燃料に関する増量補正量が、応答の速い壁流燃料に関する第2の補正量Injsetnであって、急加速時にエンジン回転と非同期で噴射する非同期噴射量である。
【0015】
第5の発明では、第4の発明において基本噴射量をエンジン回転に同期して供給する同期噴射量として気筒毎に演算する手段を備え、急加速時の判定後の第1回目の吸気を救うために前記非同期噴射により噴き過ぎた分およびその第1回目の吸気でポート流速により壁流が減った分を気筒毎に予測し、前記非同期噴射直後に訪れる同期噴射タイミングでだけ前記同期噴射量からこの予測値ERACInを差し引いた値を改めて同期噴射量として気筒別に演算する。
【0016】
第8の発明では、第6または第7の発明において前記所定期間当たり回転数減少量ΔNが大きい場合でかつ自動変速機がロックアップ領域にあるとき前記非同期噴射量Injsetnを増量側に修正する。
【0017】
第6の発明では、第4または5の発明において前記非同期噴射量Injsetnに対して温度補正を行う。
【0018】
【発明の効果】
第1の発明では、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になるといっても、フュエルリカバー直前の所定期間当たりのエンジン回転数の減少量ΔNが大きくなる急減速からのフュエルリカバー時に、増量補正量が大きくなる(エンジン発生トルクが急減に立ち上がる)ので、急減速からのフュエルリカバー時の急減な回転落ちを防止することができる。また、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になる場合において、フュエルリカバー直前の所定期間当たりのエンジン回転数の減少量ΔNが小さくなる緩減速からのフュエルリカバー時には、増量補正量が小さくなる(エンジン発生トルクが緩やかに立ち上がる)ので、緩減速からのフュエルリカバー時のトルクショックを防止することができる。
【0019】
このようにして第1の発明では、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になったときそのフュエルカット後のフュエルリカバー直前の所定期間当たり回転数減少量に応じてそのフュエルリカバー時のエンジン発生トルクを制御するので、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合においても、緩減速時のリカバーショックの低減と急減速時のエンスト防止とを両立できる。
【0020】
エンジンと自動変速機を直結状態とする、いわゆるロックアップ機構が自動変速機に備えられるのものにおいて、エンジンと自動変速機が直結されている状態(ロックアップ領域)でアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーを行ったのでは、自動変速機負荷の分だけエンジン回転の上昇が遅れるので、そのフュエルリカバーを行う前にロックアップ解除信号を出力しているのであるが、ロックアップ解除信号を与えてからロックアップ機構の作動が実際に解除されるまでの応答遅れにより、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが直結状態のことがある。つまり、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合のうち急減速からのフュエルリカバー時、かつロックアップ機構の作動遅れによりエンジンと自動変速機とが直結状態にあるときには、急激な回転落ちがとまらず、エンストに至ることが考えられる。
【0021】
このとき(つまりアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合でそのフュエルリカバー直前の所定期間当たり回転数減少量ΔNが大きいときかつロックアップ領域のとき)、第1の発明では増量補正量をさらに大きくする。つまり、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーのうち急減速時からのフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが実際には直結状態にとどまることがあり、このときエンジンに対して自動変速機分が負荷増加となるのに対応して、第1の発明では増量補正量によりその負荷増加分のトルク増加を行っているのであり、これによって、ロックアップ解除信号を与えてからロックアップ機構の作動が実際に解除されるまでの応答遅れにより、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーのうち、急減速時からのフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが直結状態にあることがあっても、急激な回転落ちに伴うエンストを防止することができる。
【0022】
第2と第4の各発明ではフュエルカット時に壁流燃料がなくなっていくのに合わせて、前回噴射からの負荷相当量を噴射タイミング毎に所定割合で減少させ、その後のフュエルリカバー時に緩加速の状態であれば第2の発明において第1の補正量Chosnを用いて同期噴射を行い、またその後のフュエルリカバー時に急加速の状態であれば第4の発明において非同期噴射量Injsetnを用いて非同期噴射を行うので、その各フュエルリカバー時にエンジン発生トルクがステップ的に立ち上がるのであるが、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合にもエンジン発生トルクがステップ的に立ち上がったのでは、急激なトルク増加によりトルクショックが生じるので、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合だけ壁流補正を行わないことで、トルクをゆるやかに立ち上げているのが現状である。
【0023】
しかしながら、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合といっても、急減速からのフュエルリカバー時にトルクをゆるやかに立ち上げたのでは、急減速時の急減な回転落ちからの回復が遅れ、エンストに至ることが考えられる。
【0024】
これに対して、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合に、現状と相違して、第2の発明では第1の補正量Chosnで基本噴射量Tpを補正することによって壁流補正を行い、かつアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になったときそのフュエルカット後のフュエルリカバー時に、そのフュエルリカバー直前の所定期間当たり回転数減少量が小さくなるほど第1の補正量Chosnが大きく減量される側に、また第4の発明では急加速時に非同期噴射量Injsetnを気筒毎に直ちにエンジンに供給することによって壁流補正を行い、かつアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になったときそのフュエルカット後のフュエルリカバー時に、そのフュエルリカバー直前の所定期間当たり回転数減少量が小さくなるほど非同期噴射量Injsetnが大きく減量される側にそれぞれ修正するので、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーのうち、緩減速からのフュエルリカバー時には第1の補正量が小さくなって、その緩減速からのフュエルリカバー時のトルク増加が緩やかになり、その一方で急減速からのフュエルリカバー時には、緩減速からのフュエルリカバー時よりも第1の補正量が大きくなり、その急減速からのフュエルリカバー時のトルク増加が急激になる。
【0025】
このようにして第2、第4の各発明では、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合にも壁流補正を行うとともに、そのフュエルリカバー開始時の所定期間当たり回転数減少量ΔNに応じてエンジン発生トルクを制御することで、アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になった後のフュエルリカバーの場合に、急減速からの急減な回転落ちを避けることができるとともに緩減速からのフュエルリカバー時のトルクショックをも回避できるのである。
【0026】
第3の発明では、温度が相違しても第1の壁流補正量Chosnを、また第6の発明では温度が相違しても非同期噴射量Injsetnをそれぞれ精度良く与えることができる。
【0027】
第5の発明では、非同期噴射直後に訪れる同期噴射タイミングでもほぼ理論空燃比の混合気を与えることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1において、1はエンジン本体で、吸入空気はエアクリーナから吸気管3を通ってシリンダに供給される。燃料は、運転条件に応じて所定の空燃比となるようにコントロールユニット20よりの噴射信号に基づき燃料インジェクタ4からエンジン1の吸気ポートに向けて噴射される。
【0029】
コントロールユニット20にはクランク角センサ10からのRef信号(基準位置信号)とPos信号(1°信号)、エアフローメータ7からの吸入空気量信号、三元触媒6の上流側に設置したO2センサ12からの空燃比(酸素濃度)信号、水温センサ11からのエンジン冷却水温信号、スロットルセンサ9からの絞り弁8開度信号等が入力され、これらに基づいてコントロールユニット20では、吸入空気量Qaとエンジン回転数Nとから基本噴射パルス幅Tpを演算するとともに、加減速時には壁流補正を行う。エンジンの加減速時における空燃比の目標値からのずれは、吸気マニフォールドや吸気ポートに付着し、液状のまま壁面を伝ってシリンダに流れ込む、いわゆる壁流燃料の量的変化に起因するものであり、この壁流燃料による過不足分を補正量として燃料補正を行うのである。なお、壁流補正は、加減速時に限らず、壁流燃料が大きく変化する始動時やフュエルカット時にも働く。
【0030】
ここで、壁流燃料には直接にシリンダに流入される分が少なく比較的応答の遅いものと、直接にシリンダに流入される分が主で比較的応答の速いものとがあるので、応答の遅い壁流燃料に関する補正量として、後述する過渡補正量Kathosを、また応答の速い壁流燃料に関する補正量として、後述する気筒別増減補正量Chosn、気筒別非同期噴射パルス幅Injsetnを導入している。これらの値により、たとえば図13の最下段に示したように、フュエルリカバー直後にKathosが比較的長く働くとともに、Chosn、Injsetnが短い時間だけ働く。
【0031】
コントロールユニットで実行されるこの制御の内容を、以下のフローチャートにしたがって説明する。
【0032】
なお、以下で説明する壁流補正は特開平3−111639号公報に詳しい。ここでは、この公報を参照して本願発明に関係する部分だけを概説するとともに、フュエルカット時、フュエルリカバー時の各制御を補う。
【0033】
図2のフローチャートは、気筒別同期噴射パルス幅Tin[ms]の演算のほか、気筒別非同期噴射パルス幅Injsetn[ms]の演算と非同期噴射の実行を行わせるためのもので、一定時間毎(たとえば10ms毎)に実行する。
【0034】
なお、図2(後述する図8、図12についても)のフローにおいて、気筒別の値である場合には、記号の最後に気筒番号nを付して区別している(たとえば図2のΔAvtpn、Chosn、Tin、Injsetn、ERACIn、ERACIn(old)、CNTn、Avtpoin、Avtpoin(old)、図8のAvtpoin、Avtpoin(old)、CNTn、ERACIn、図12のCNTn)。
【0035】
また、数値に関する記号(たとえば図2、図8、図12のCNTn)の値は、特に断らないかぎり始動時に0に初期設定し、フラグ(たとえば図2、図8、図11のFFC、FRC、図12、図14、図17のFRC、図20のFLU)を表す記号は、特に断らないかぎり始動時に“0”にリセットしている。
【0036】
ステップ1ではエアフローメータ出力より得られる吸入空気流量Qs[g/s]とクランク角センサより得られるエンジン回転数N[rpm]より基本噴射パルス幅Tp[ms]を
Tp=(Qs/N)×K×Ktrm …(1)
ただし、K:定数
Ktrm:トリミング係数
の式で計算する。
【0037】
ここで、(1)式のKは理論空燃比の混合気が得られるように定めた定数、Ktrmはインジェクタ4の流量特性により定まる固有の定数である。
【0038】
ステップ2では回転数Nおよびシリンダ容積V[cc]の積N×Vと絞り弁部の総流路面積Aa[cm2]から所定のマップを参照して加重平均係数Fload[%]を求める。なお、総流路面積Aaは絞り弁の流路面積[cm2]にアイドル調整弁やエアレギュレータの流路面積[cm2]を足したものである。
【0039】
ステップ3ではシリンダ空気量相当パルス幅Avtp[ms]を
Avtp=Tp×Fload+Avtp(old)×(1−Fload)…(2)
ただし、Avtp(old):Avtpの前回値
の式により計算する。ここで、Avtpは負荷相当量である。なお、Avtp(old)の値は、後述するERACIn(old)、Avtpoin(old)、N(old)とともに、始動時に0に初期設定されている。
【0040】
ステップ4ではフュエルカット時かどうかをフラグFFCより判断する。フラグFFC=1のときはフュエルカット時であると判断してステップ15に、また、FFC=0のときはフュエルカット時でないと判断してステップ5以降に進む。
【0041】
ステップ5ではAvtpとAvtpoin(前回噴射時のAvtp(気筒別))との差ΔAvtpn(=Avtp−Avtpoin)と割込み噴射判定レベルLASNIを比較し、ΔAvtpn≦LASNIであれば、急加速時でない(つまり緩加速時であるかまたは緩減速時である)と判断しステップ6において、
Chosn=ΔAvtpn×Gztwp ;緩加速時 …(3)
ただし、Gztwp:増量ゲイン[無名数]
の式により、または
Chosn=ΔAvtpn×Gztwm ;緩減速時 …(4)
Gztwm:減量ゲイン[無名数]
の式により気筒別増減補正量Chosn[ms]を計算する。なお、ステップ6には(3)式のほうで代表させている。
【0042】
ここで、Chosnは応答の速い壁流燃料に関する補正量である。
【0043】
上記(3)式のGztwp、(4)式のGztwmは後述するように水温補正を行うためのものである。
【0044】
なお、上記の判定レベルLNSNIは小さい値とするほうが、吸入空気流量の微小変化と燃料壁流の微小変化に対して応答良く噴射できる(小さいパルスを多く噴く。また上記のChosnが小さくなる。)。ただし、後述するInjsetnが噴射弁の精度悪化ゾーンにはいらない程度の小ささとすることが望ましい。
【0045】
なお、ステップ6(後述するステップ9も)のKGZ1は本願発明で新たに導入したものであり、後で詳述する。
【0046】
ステップ7では1サイクル分(6気筒エンジンでは6気筒分)の気筒別増減補正量Chosnの計算が終了したかどうかみて、すべての気筒についてChosnの計算が終了していればステップ8に進む。
【0047】
これは、気筒毎に前回噴射からの負荷相当量ΔAvtpnが異なるので、Chosnを(急加速時はInjsetnとERACIn)を気筒別に演算する必要があるからである。たとえば点火順序を1−5−3−6−2−4としたとき、まず1番気筒についてChosnの計算が行われたとすれば、残りの5気筒についてChosnの計算がまだなので、次には5番気筒についてChosnの計算を行う。続いて、3番気筒、6番気筒、2番気筒、4番気筒の順にChosnの計算を行う。これで、すべての気筒についてChosnの計算が終了し、ステップ7からステップ8に進む。なお、Chosnの全気筒分の演算に要する時間はTinの演算間隔である10msに比べて十分に短く、全気筒分の演算が終了する前に次のTinの演算タイミングが訪れるような事態が生じることはない。
【0048】
ステップ8では気筒別同期噴射パルス幅Tin[ms]を
Tin={(Avtp+Kathos)×Tfbya×α+(Chosn−ERACIn)}×2+Ts …(5)
ただし、Kathos:過渡補正量[ms]
Tfbya:目標燃空比相当量[無名数]
α:空燃比フィードバック補正係数[無名数]
ERACIn:気筒別噴き過ぎ補正量[ms]
Ts:無効パルス幅[ms]
の式により計算して、図2のフローを終了する。
【0049】
ここで、Kathosは応答の遅い壁流燃料に関する補正量である。Tfbyaは水温増量補正係数Ktwや始動後増量補正係数Kasなどの和であり、エンジンの特に不安定な冷間始動直後はTfbyaが1.0より大きい値となって燃料増量が行われる。インジェクタに対して噴射信号が出力されたとしてもインジェクタは応答遅れをもって開くので、この応答遅れの分を考慮した値がTsである。ERACInは後述する。(5)式右辺のTsの前にある2は、シーケンシャル噴射(1気筒当たりエンジン2回転に1回の噴射)のときに必要となる値である。
【0050】
一方、ステップ5でΔAvtpn>LNSNI(急加速時)のときは、ステップ9に進み、気筒別非同期噴射パルス幅Injsetn[ms]を
Injsetn=ΔAvtpn×Gztw×Gzcyl+Ts …(6)
ただし、Gztw:非同期噴射ゲイン[無名数]
Gzcyl:非同期噴射タイミング(サイクル中)による補正ゲイン[無名数]
の式により、またステップ10において気筒別噴き過ぎ補正量ERACInを
ERACIn=ERACIn(old)+ΔAvtpn×Gztw×(Gzcyl−ERACP)…(7)
ただし、ERACIn(old):ERACInの前回値
の式によりそれぞれ計算し、(6)式のInjsetnをステップ11において直ちにI/Oポート24に出力して、非同期噴射を行わせる。
【0051】
(7)式において、右辺第1項が前回までの噴き過ぎ分、第2項が今回の噴き過ぎ分を意味する。ERACInは、非同期噴射により急加速時の判定後の第1回目の吸気を救うために噴き過ぎた分およびその第1回目の吸気でポート流速により壁流が減った分を予測するもので、非同期噴射直後の同期噴射タイミングでだけこのERACInで同期噴射を減量補正する。
【0052】
次に、(6)、(7)式のGztwとGzcylの物理的意味は次のとおりである。
【0053】
インジェクタより噴射された燃料が噴射直後の第1回目の吸気行程ですべてがシリンダへと吸入されることはなく、いちど吸気管壁に付着し、その中から蒸発した所定割合の燃料だけが吸入される。燃料噴射量をステップ変化させて噴射終了した場合に、噴射燃料のうち噴射直後の第1回目の吸気行程で吸入される燃料割合を直接率Zとおき、Zの特性を図3に示すと、Zは噴射終了タイミングと冷却水温によって大きく変わる。この噴射終了タイミングと冷却水温により変化するZを考慮するため、Zの逆数に相当するゲインを水温項と噴射タイミング項に分けると、
水温項 :Gztw=f(Tw)
噴射タイミング項:Gzcyl=f(1/T)
ただし、T:噴射タイミングと吸気行程のあいだのクランク角
として表される。
【0054】
ここで、Gztwはそれぞれの水温において噴射タイミングが吸気行程より最も遠い位置(図3では最も左の位置)のゲインを与えておき(図5参照)、GztwをGzcylによって補正する。噴射タイミングが吸気行程より最も遠い位置でGzcyl=1として、噴射タイミングが吸気行程に近づくにつれてGzcylに大きな値を与えるわけである。
【0055】
このようにして、GzcylとGztwの各ゲインを与えることで、噴射タイミングが吸気行程から近い(吸気行程までの待ち時間が短い)ほど、また冷却水温が低温であるほど、(6)式のInjsetnが大きくなり、(7)式における第2項(今回の噴き過ぎ分)もまた大きくなるのである。
【0056】
なお、吸気行程中の吸入負圧の変化が大きくなる急加速時には、ピストン動作に伴う流速に、シリンダ内の圧力変化(ほぼ吸気管圧力変化に近い)に伴う流速が上乗せされるため、シリンダ内圧力変化が吸気行程と重なるときは、ポート部流速が吸気行程以外の場合より高くなり、これによって吸気管壁に付着した燃料の蒸発が促進され、Zが大きくなる。吸気行程中においては空気量の変化分に相当する燃料が余計に必要になるのであり、この空気量変化分もGzcylに加えている。
【0057】
(7)式のERACPは、非同期噴射直後の1サイクル目をリーン化から救うために必要な燃料量を、
ΔAvtpn×Gztw×ERACP
としたときのゲインであり、上述のように、吸気行程中の噴射タイミング項Gzcylは空気量変化分と壁流増加分を合わせたものとなるので、このときのERACPの値としては空気量変化分と壁流増加分を合わせたときの基準値ERACP#を用いる。また、吸気行程以外でのGzcylは壁流増加分だけとなるので、このときのERACPの値としては壁流増加分だけのときの基準値ERACPH#を用いる。
【0058】
ステップ12ではフュエルリカバー時かどうかをフラグFRCより判断する。フラグFRC=1のとき(フュエルリカバー時)だけステップ13に進み、非同期噴射を行った気筒のカウンタCNTnに1を入れた後でステップ14に、またフラグFRC=0のとき(フュエルリカバー時でない)は直接ステップ14に進む。カウンタCNTnはフュエルリカバー条件の終了を判定するために必要となるもので、フュエルリカバー条件の終了判定については後述する。
【0059】
ステップ14では非同期噴射を行った気筒のAvtpoinの値を同じ気筒のメモリAvtpoin(old)に移した後、そのときのAvtpを、非同期噴射を行った気筒のAvtpoinに格納する。つまり、Avtpoinには非同期噴射時のエンジン負荷相当量が気筒毎に格納されるわけである。また、非同期噴射時にChosnは必要ないので、ステップ14においてChosnに“0”を入れている(リセット)。
【0060】
ステップ7ではInjsetnとERACInの計算および割込み噴射が、6気筒分についてすべて終了したかどうかみて、これが終了したらステップ8に進む。急加速時のときは、ステップ9、10、11、12、13、14の処理をすべての気筒について行うのである。
【0061】
点火順序を1−5−3−6−2−4をとする例で再び説明すると、まず1番気筒についてInjsetnとERACInの計算および割込み噴射が行われたとすれば、残りの5気筒についてInjsetnとERACInの計算および割込み噴射がまだなので、次には5番気筒についてInjsetnとERACInの計算および割込み噴射を行う。続いて、3番気筒、6番気筒、2番気筒、4番気筒の順にInjsetnとERACInの計算および割込み噴射を行う。これで、すべての気筒についてInjsetnとERACInの計算および割込み噴射が終了し、ステップ7からステップ8に進む。InjsetnとERACInの全気筒分の演算と全気筒分の非同期噴射の実行に要する時間もTinの演算間隔である10msに比べて十分に短く、全気筒分の演算が終了する前に次のTinの演算タイミングが訪れるような事態が生じることはない。
【0062】
図4のフローチャートは上記の非同期噴射ゲインGztw、増量ゲインGztwp、減量ゲインGztwmの3つを計算するためのもので、1sec毎に実行する。
【0063】
ステップ21、22、23では冷却水温Twからそれぞれ図5、図6、図7のテーブルを参照して、非同期噴射ゲインGztw[無名数]、増量ゲインGztwp[無名数]、減量ゲインGztwm[無名数]をそれぞれ求める。冷却水温が低いほど壁流燃料が多くなるので、冷却水温Twが低くなるほどChosn、Injsetn、ERACInを大きくするのである。こうして計算された2つのゲインGztwp,Gztwmが図2のステップ6で使用されてChosnが、また非同期噴射ゲインGztwが図2のステップ9、10で使用されてInjsetnとERACInが求まる。
【0064】
図8のフローチャートは噴射タイミングで実行するためのものである。シーケンシャル噴射では各気筒のRef信号の入力毎であり、6気筒エンジンではエンジン2回転で6個のRef信号が立ち上がる。つまり、クランク角で120°毎に気筒別に噴射タイミングが訪れる。
【0065】
ステップ31では気筒判別を行い、Tin(図2のステップ8で既に得ている)をステップ32においてI/Oポート24に出力し、同期噴射を行わせる。
【0066】
ステップ33では、フュエルカット時であるかどうかをみて、フュエルカット時でないときはステップ34においてそのタイミングで同期噴射を行った気筒のAvtpoinの値を同じ気筒のメモリAvtpoin(old)に移した後、そのタイミングでのAvtpを、同期噴射を行った気筒のAvtpoinに格納する。つまり、Avtpoinには同期噴射時のエンジン負荷相当量が気筒毎に格納されるわけである。Avtpoinには、図2のステップ14のところで説明したように、非同期噴射時のエンジン負荷相当量をも格納しているのであるから、結果的にAvtpoinは噴射時(同期、非同期を問わない)の負荷相当量を表すことなる。
【0067】
一方、フュエルカット時になると、ステップ35に進み、
Avtpoin=Avtpoin(old)×FCTP0# …(8)
ただし、Avtpoin(old):Avtpoinの前回値
FCTP0#:減少割合[無名数]
の式によりAvtpoinを更新した後、このAvtpoinの値を、次回制御のため同期噴射を行った気筒のメモリAvtpoin(old)に移しておく。
【0068】
フュエルカット時には1サイクル毎に壁流燃料がなくなっていくので、この壁流燃料の減少に合わせて減少割合FCTP0#を設定することで、Avtpoinを減少させてゆくのである(図13参照)。
【0069】
ステップ36、37は図2のステップ12、13と同様である。フラグFRC=1のとき(フュエルリカバー時)はステップ37に進んでその噴射タイミングで同期噴射を行った気筒のカウンタCNTnに1を入れた後でステップ38に、またフラグFRC=0のとき(フュエルリカバー時でない)は直接ステップ38に進む。
【0070】
ステップ38では、非同期噴射後の1回目であるであるかどうかみて、非同期噴射後の1回目でないときは、ステップ39に進んでERACInに“0”を入れる(リセット)。つまり、各気筒とも非同期噴射直後の第1回目の同期噴射タイミングでだけERACInが同期噴射量に加わる(非同期噴射による噴き過ぎ分が減量される)のである。
【0071】
ここで、6気筒うちの1つの気筒(特定気筒)に着目して、壁流燃料のうちの高周波分(図ではS分で略記)がどのように変化するかを図9、図10に示すと、図9では緩加速のため特定気筒において同期噴射だけが行われ、また図10では急加速のため特定気筒に3回の非同期噴射が行われている。
【0072】
特に図10を用いて、噴き過ぎ補正量である上記のERACInが具体的にどうなるかを次に説明する。なお、10msマークにt1〜t10の時刻を、また非同期噴射直前の同期噴射にア、非同期噴射にイ、ウ、エ、その直後の第1回目の同期噴射にオをつけて区別する。上記の(5)式は、簡単のため
Tin=Ten×2−Ts
ただし、Ten:気筒別有効パルス幅
とし、さらにKathosを省略し、Tfbya、αとも1.0とし、
Ten=(Avtp+Chosn−ERACIn) …(i)
の式で考える。
【0073】
▲1▼t1の時点:Chosn(>0)とTenが演算される。このときのERACIn=0である。
【0074】
▲2▼t2の時点:Injsetnが演算され、即座に噴射される。これが1回目の非同期噴射である(イ参照)。このとき、ERACInが演算されるが、ERACIn(old)=0よりERACIn=ΔAvtpn×Gztw×(Gzcyl−ERACP)である。このときのERACInをE1(>0)とする。
【0075】
▲3▼t3の時点:Chosn(>0)とTenが演算される。このとき、ERACIn=E1のままである。
【0076】
▲4▼t4の時点:Injsetnが演算され、即座に噴射される。これが2回目の非同期噴射である(ウ参照)。このとき、ERACIn=E1+ΔAvtpn×Gztw×(Gzcyl−ERACP)となるので、右辺第2項をE2(>0)とすれば、ERACIn=E1+E2である。
【0077】
▲5▼t5の時点:Chosn(>0)とTenが演算される。このときERACIn=E1+E2で、t4の時刻と同じである。
【0078】
▲6▼t6の時点:Injsetnが演算され、即座に噴射される。これが3回目の非同期噴射である(エ参照)。このとき、ERACIn=(E1+E2)+ΔAvtpn×Gztw×(Gzcyl−ERACP)となるので、右辺第3項をE3(>0)とすれば、ERACIn=E1+E2+E3である。
【0079】
▲7▼t7の時点:Chosn(=0)とTenが演算される。ERACInについては、ERACIn=E1+E2+E3で、t6の時刻と変わらない。
【0080】
▲8▼t8の時点:Chosn(=0)とTenが演算される。ERACInについては、ERACIn=E1+E2+E3で、t6の時刻と変わらない。
【0081】
なお、t8の時点は、同期噴射タイミング(t9の時点)の直前であるため、
の式で与えられる有効パルス幅Tenが次のt9の時点での同期噴射に使われる。
【0082】
▲9▼t9の時点:t9は同期噴射のタイミングで、このときt8のタイミングで演算された上記(ii)式のTenで同期噴射が行われる(オ参照)。(ii)式において、E1は1回目の非同期噴射における噴き過ぎ分、E2は2回目の非同期噴射における噴き過ぎ分、E3は3回目の非同期噴射における噴き過ぎ分であり、これらの噴き過ぎ分(つまりE1+E2+E3)を、非同期噴射の終了した直後に訪れる同期噴射タイミングで、その同期噴射量(Avtp)から減量するのである。このようにして同期噴射量を減量補正した後は、次回の非同期噴射に備えるためERACIn=0とされる。
【0083】
10t10の時点:Chosn(=0)とTenが演算される。ERACInについては、ERACIn=0である。
【0084】
このようにして、非同期噴射とその直後の第1回目の同期噴射が行われるとき、急加速の前後で各気筒とも空燃比を理論空燃比へと制御できるのである。
【0085】
次に、図11のフローチャートはフュエルリカバー条件の判定を行うための、また図12のフローチャートはフュエルリカバー条件の終了判定を行うためのもので、図2、図4、図16とは独立に一定時間毎に実行する。なお、図11のフローに続けて図12のフローを実行する。
【0086】
まず、図11のほうから説明すると、ステップ41ではフュエルカット時かどうかみて、フュエルカット時のときだけステップ42以降に進む。
【0087】
ステップ42、43、44では次の条件、
〈1〉車速VSPが所定値(たとえば8km/h)以下のとき、
〈2〉アイドルスイッチがOFFとなったとき、
〈3〉自動変速機付き車両では回転数Nが所定値以下(たとえば冷却水温に応じた所定値以下または2000rpm以下)となったとき
であるかどうかを1つずつチェックし、いずれかの条件も満たさないときはステップ45に進んでフラグFRCに“0”を入れ、いずれかの条件でも満たすとき(フュエルリカバー条件の成立時)はステップ46、47でフラグFRCに“1”をセットし、かつフラグFFCに“0”をリセットする。
【0088】
図12に移り、ステップ51ではフュエルリカバー時であるかどうかをフラグFRCにより判断し、FRC=1のとき(フュエルリカバー時)はステップ52でカウンタCNTnをみて、全気筒でカウンタCNTnが1となっているときは、ステップ53に進んでフラグFRCに“0”をリセットし、次回のフュエルリカバー制御のためステップ54においてカウンタCNTnをすべての気筒について0にリセットする。つまり、フュエルリカバーの開始より各気筒で1回の噴射(同期噴射または割込み噴射)が終わったタイミングでフュエルリカバーを終了する。
【0089】
フュエルリカバー時に噴射がどのように行われるかを上記の特定気筒について簡単に示すと、図13のように、フュエルリカバーの開始タイミングでのΔAvtpnがLASNIを超えるときは、そのΔAvtpnを用いてInjsetn、ERACInが計算され、フュエルリカバー開始後に非同期噴射が行われるとともに、非同期噴射が終了した直後の第1回目の同期噴射タイミングでだけ、同期噴射量からERACInの分が減量される。なお、フュエルリカバー時の非同期噴射は、フュエルカット中に同期噴射タイミングとなり、かつ吸気行程のあいだにフュエルリカバー信号が入った気筒から開始する。一方、フュエルリカバーの開始タイミングでのΔAvtpnがLASNI以下のときは、そのΔAvtpnを用いてChosnが計算され、フュエルリカバー開始後の同期噴射タイミングで、Chosnの加わった同期噴射量が気筒別に供給される。
【0090】
以上で特開平3−111639号公報の概説と、フュエルカット時、フュエルリカバー時の制御の説明を終える。
【0091】
さて、自動変速機を備える車両においてフュエルカット状態から▲1▼アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下して所定値以下となったときや▲2▼再加速を行おうとアクセルペダルを踏み込んだときに、いわゆるフュエルリカバーが行われるのであるが、上記のように壁流補正を行うものでは、フュエルカット時の壁流燃料の減少に合わせて壁流燃料を予測することで、フュエルリカバー時にフュエルカット時における壁流燃料の消失分だけ多めに増量することが可能となり、フュエルリカバー当初の空燃比を理論空燃比に近づけることができることから、図16第4段目に示すように、フュエルリカバー時にエンジン発生トルクがステップ的に立ち上がる。
【0092】
この場合に、上記▲1▼と▲2▼ではトルク要求が異なることから、現状では▲2▼の場合のフュエルリカバー時に図16第1段目の実線で示したように壁流補正を行うものの、▲1▼の場合のフュエルリカバー時には、図16第1段目の破線のように壁流補正を行っていない。▲2▼の場合のフュエルリカバー時には壁流補正によりエンジンの発生するトルクがステップ的に立ち上がって(図16第3段目の実線参照)、加速要求に応じたものとなるのに対して、▲1▼の場合のフュエルリカバー時にはエンジン発生トルクがゆるやかに立ち上がり(図16第3段目の破線参照)、トルクショックを低減するのである。なお、壁流補正ありのときの燃料噴射パルス幅Tinの波形(図16第1段目の実線)はモデル的に表したもので、実際には図13の最下段に示したようになる。
【0093】
しかしながら、▲1▼の場合でアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下するといっても、車速(エンジン回転数)の低下は一様でなく、たとえば緩減速のほか急減速時があり、急減速からのフュエルリカバー時にも、上記▲1▼の場合のフュエルリカバー時と同じにトルクをゆるやかに立ち上げたのでは、急減速時の急減な回転落ちからの回復が遅れ、エンストに至ることが考えられる。
【0094】
これに対処するため参考例では、現状と相違して〈1〉の場合のフュエルリカバー時(アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの場合)にも壁流補正を行うとともに、そのフュエルリカバー開始時の所定時間当たりエンジン回転数減少量に応じてそのフュエルリカバー時のエンジン発生トルクを新たに制御する。
【0095】
詳細には、図2のステップ6、9に示したように、フュエルリカバー時ゲインKGZ1を新たに導入し、上記の(3)、(4)、(6)式に代えて、
の式により気筒別増減補正量Chosn、気筒別非同期噴射パルス幅Injsetnを計算する。
【0096】
ただし、気筒別噴き過ぎ補正量ERACInの式に対してはKGZ1を導入しない(つまり従来のまま)。
【0097】
(11)、(12)、(13)式のKGZ1の演算については図14のフローチャートにより説明する。図14のフローチャートは図2よりも先に一定時間毎に実行する。
【0098】
ステップ61、62では、今回フュエルリカバー時であるかどうか、アイドルスイッチがOFFかどうかみる。今回フュエルリカバー時でありアイドルスイッチがONのときはステップ63に進み、前回はフュエルリカバー時であったかどうかみる。
【0099】
前回はフュエルリカバー時でなかった(つまりフュエルカットからフュエルリカバーへの切換時)は、ステップ64に進み、
ΔN=N(old)−N …(14)
ただし、N(old):Nの前回値
の式によりフュエルリカバーの開始タイミングにおける所定時間当たりの回転数減少量ΔN[rpm/ms]を計算し、このΔNよりステップ65において図15を内容とするテーブルを参照してフュエルリカバー時ゲインKGZ1[無名数]を求める。KGZ1は図15のように、ΔNが小さいとき(つまり緩減速時)は負の値に、これに対してΔNが大きいとき(つまり急減速時)は0となる値である。
【0100】
ステップ66では次回制御のためNの値をメモリΔN(old)に移したあと、図14のフローを終了する。
【0101】
一方、フュエルリカバー時でないときやフュエルリカバー時でもアイドルスイッチがOFFのときはKGZ1が不要であるため、ステップ61、62よりステップ67に進み、KGZ1に0を入れ、ステップ66の操作を実行したあと図14のフローを終了する。アイドルスイッチがON状態でフュエルリカバー時が継続しているときはステップ63よりステップ64、65を飛ばしてステップ66の操作を実行する。
【0102】
このようにして演算されるKGZ1を、上記の(11)、(12)、(13)式で用いると、フュエルリカバーの開始タイミングにおける所定時間当たりの回転数減少量ΔNが小さいとき(緩減速時)はChosn、Injsetnが減量補正され、これに対してΔNが大きいとき(急減速時)のChosn、Injsetnは従来と同じである。
【0103】
ただし、(11)式においてGztwp+KGZ1は、Gztwp+KGZ1≧0に制限する。このように制限するのは次の理由による。Chosnのもともとの構成において、ΔAvtpnの正負によりChosnを増量分として加えるか減量分として加えるかを決定している。これに対してGztwpはゲインを定めるだけの値であるから、Gztwp≧0である。本発明ではKGZ1が負の値で加わることがあるので(図15参照)、Gztwm+KGZ1<0となってしまったのでは、ΔAvtpnの正負によってはChosnを増量分として加えるか減量分として加えるかを決定できなくなる。そこで、Gztwp+KGZ1≧0とすることで、Chosnのもともとの構成が保持されるようにしたのである。同じ理由から(12)式ではGztwm+KGZ1をGztwm+KGZ1≧0に、また(13)式ではGztw×Gzcyl+KGZ1をGztw×Gzcyl+KGZ1≧0に制限する。
【0104】
ここで、参考例の作用を説明する。
【0105】
過渡補正量Kathosに加えて、上記の(3)、(6)式のChosnとInjsetnを用いて燃料噴射制御を行うものでは、フュエルカット時の壁流燃料の減少に合わせて壁流燃料を予測することで、フュエルリカバー時にフュエルカット時における壁流燃料の消失分だけ多めに増量することが可能となり、フュエルリカバー当初の空燃比を理論空燃比に近づけることができることからフュエルリカバー時にエンジン発生トルクがステップ的に立ち上がるのであるが(図16第4段目参照)、▲1▼アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下して所定値以下となったときのフュエルリカバー時と▲2▼再加速を行おうとアクセルペダルを踏み込んだときのフュエルリカバー時とではトルク要求が異なることから、現状では▲1▼の場合のフュエルリカバー時に限り壁流補正を行わないことで(図16第3段目線参照)、エンジン発生トルクをゆるやかに立ち上げ、トルクショックを低減している。しかしながら、上記▲1▼の場合でアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下するといっても、車速(エンジン回転数)の低下は一様でなく、たとえば緩減速のほか急減速時があり、急減速からのフュエルリカバー時にも、上記▲1▼の場合のフュエルリカバー時と同じにトルクをゆるやかに立ち上げたのでは、急減速時の急減な回転落ちからの回復が遅れ、エンストに至ることが考えられることを前述した。
【0106】
これに対して参考例では、現状と相違してアイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの場合にも壁流補正を行い、かつそのフュエルリカバーの開始タイミングでの所定時間当たり回転数減少量ΔNに応じたゲインKGZ1を新たに導入しており、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーのうち急減速時からのフュエルリカバー時(つまりΔNが大のとき)にはKGZ1=0としている。このときは、図16第5段目の実線で示すトルク特性となり、急減速からのフュエルリカバー時に急激なトルク増加が生じるため、急減速時の急減な回転落ちを避けることができる。
【0107】
その一方で、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの場合でありながら、緩減速からのフュエルリカバー時にはKGZ1に負の値を与えることにより、上記(11)式のChosn、上記(13)式のInjsetnがそれぞれ減量修正される。つまり、緩減速からのフュエルリカバー時にはChosn、Injsetnがともに通常の加速時より減少することから、その減少分だけフュエルリカバー時のトルク増加が滑らかになるのである(図16第5段目の破線参照)。
【0108】
なお、図16第5段目の破線で示したように、緩減速からのフュエルリカバー時(図ではΔNが小のとき)のトルクが階段状に大きくなっているのは、各気筒の燃焼毎にトルクが発生することに対応させたものである。図16第5段目の破線特性では、3気筒分の燃焼で実線と一致しているが、いくつの気筒分の燃焼で実線と一致するかどうかはフュエルリカバー時ゲインKGZ1により定まる。気筒数はいくつの気筒分の燃焼で実線と一致するかどうかに関係しない。
【0109】
このようにして、参考例では、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの場合にも応答の遅い壁流燃料と応答の速い壁流燃料をともに対象とする壁流補正を行い、かつフュエルリカバー時ゲインKGZ1(つまりΔN)に応じてエンジン発生トルクを制御するので、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの場合のトルク特性が図16第5段目のようになり、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの場合においても、急減速からの急減な回転落ちを避けることができるとともに緩減速からのフュエルリカバー時のトルクショックを回避できるのである。
【0110】
図17のフローチャートは本発明の第1実施形態で、参考例の図14に対応する。なお、図14と同一の部分には同一のステップ番号をつけている。
【0111】
エンジンと自動変速機を直結状態とする、いわゆるロックアップ機構が自動変速機に備えられるのものにおいて、エンジンと自動変速機が直結されている状態(ロックアップ領域)でアイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーを行ったのでは、自動変速機負荷の分だけエンジン回転の上昇が遅れるので、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーを行う前にロックアップ解除信号を出力しているのであるが、ロックアップ解除信号を与えてからロックアップ機構の作動が実際に解除されるまでの応答遅れにより、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが直結状態のことがある(図19参照)。つまり、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーの場合において、急減速からのフュエルリカバー時かつロックアップ機構の作動遅れによりエンジンと自動変速機とが直結状態にあるときには、急激な回転落ちがとまらず、エンストに至ることが考えられる。
【0112】
そこで、第1実施形態では、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーのうち、急減速からのフュエルリカバー時かつロックアップ領域のとき、急減速からのフュエルリカバー時かつロックアップ領域でないときよりもエンジン発生トルクが増す側にChosn、Injsetnを修正する。
【0113】
具体的には、図17においてステップ71、72が図14の参考例と異なっている。ステップ71ではロックアップ領域にあるかどうかをフラグFLUにより判断する。フラグFLU=1のときはロックアップ領域にあると判断し、ステップ72でΔNより図18の一点鎖線を内容とするテーブルを参照して、フュエルリカバー時ゲインKGZ2を求め、これをステップ73において、KGZ1に入れる。フラグFLU=0のとき(ロックアップ領域にないとき)は、参考例と同様にステップ71よりステップ65に進み、ΔNより図18の実線を内容とするテーブルを参照してKGZ1を求める。
【0114】
この実施形態では、図18に示したように、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーのうち、急減速時からのフュエルリカバーに際して(図ではΔNが大きいとき)、ロックアップ領域にあるときKGZ1(=KGZ2)が正の値で与えられ、ロックアップ状態にないときよりもこの正の分だけChosn、Injsetnが増量修正されることから、このときのトルク特性を図16第5段目に重ねて示すと、2点鎖線のようになる。つまり、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーのうち、急減速時からのフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが実際には直結状態にとどまることがあり、このときエンジンに対して自動変速機分が負荷増加となるのに対応して、KGZ1によりその負荷増加分のトルク増加を行っているのであり、これによって、ロックアップ解除信号を与えてからロックアップ機構の作動が実際に解除されるまでの応答遅れにより、アイドルスイッチがON状態でのフュエルリカバーのうち、急減速時からのフュエルリカバーの開始タイミングでエンジンと自動変速機とが直結状態にあることがあっても、急激な回転落ちに伴うエンストを防止することができる。
【0115】
なお、自動変速機がロックアップ領域にあるかどうかの判定は、実際には自動変速機用コントロールユニット(図示しない)の側で実行し、その判定結果を通信装置を介してエンジン制御用コントロールユニット20に送信するようにしている。
【0116】
たとえば、自動変速機用コントロールユニットでは図20のフローチャートにしたがって、ロックアップ領域かどうかの判定を行っている。ロックアップ領域は図21に示したように、絞り弁開度TVOと車速VSPをパラメータとするマップ上で与えており、そのときのTVOとVSPがロックアップ領域にあれば、ステップ71よりステップ72に進んで、ロックアップソレノイド(図示しない)にON信号(ロックアップ信号)を出力し、ロックアップ領域でないときはステップ71よりステップ74に進んで、OFF信号(ロックアップ解除信号)をロックアップソレノイドに出力する。
【0117】
なお、フュエルリカバーを行う前にロックアップ解除信号が出力されるように、フュエルリカバーの開始タイミングでの車速よりもロックアップ解除信号を出力するときの車速(この車速が図21に示す40km/h)のほうを高くしている。
【0118】
また、ロックアップ信号を出力するときはステップ73でフラグFLUを“1”にセットし、ロックアップ解除信号を出力するときはステップ75においてFLUを“0”にリセットする。このフラグFLUの値をエンジン制御用コントロールユニット20に送信するのである。
【0119】
参考例の図18ではKGZ1が−0.75、−0.25、0の3段階で示したが、これに限られるものでなく、段階の数をさらに増やしてもかまわない。また、飛び飛びの値(不連続値)とすることも必要でなく、連続値でもかまわない。
【0120】
参考例ではKGZ1≦0の場合で説明したが、要求があれば、第1実施形態と同様にKGZ1に正の値を与えることで、トルク増加を行うこともできる。
【0121】
実施形態では3つのゲインGztw、Gztwp、Gztwmが冷却水温Twに応じた値である場合で説明したが、冷却水温に限られるものでなく、壁流付着部温度を予測し、この予測温度に応じて3つのゲインGztw、Gztwp、Gztwmを求めるようにしたものに対しても本発明を適用できる。
【0122】
実施形態では応答の遅い壁流燃料に関する補正量と応答の速い壁流燃料に関する補正量を導入するもので説明したが、壁流燃料に関する補正量はこれに限定されるものでなく、他の公知の壁流燃料を行うものに対しても本発明を適用する事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図である。
【図2】気筒別燃料噴射パルス幅Tinの演算を説明するためのフローチャートである。
【図3】噴射タイミングと冷却水温に対する直接率Zの特性図である。
【図4】3つのゲインGztw、Gztwp、Gztwmの演算を説明するためのフローチャートである。
【図5】気筒別非同期噴射ゲインGztwの特性図である。
【図6】気筒別増量ゲインGztwpの特性図である。
【図7】気筒別減量ゲインGztwmの特性図である。
【図8】噴射タイミング毎に実行するフローチャートである。
【図9】緩加速時について壁流燃料のうちの高周波成分を対象とする壁流補正を説明するための波形図である。
【図10】急加速時について壁流燃料のうちの高周波成分を対象とする壁流補正を説明するための波形図である。
【図11】フュエルリカバー条件の判定を説明するためのフローチャートである。
【図12】フュエルリカバー条件の終了判定を説明するためのフローチャートである。
【図13】フュエルリカバー時について壁流燃料のうちの高周波成分を対象とする壁流補正を説明するための波形図である。
【図14】フュエルリカバー時ゲインKGZ1の演算を説明するためのフローチャートである。
【図15】フュエルリカバー時ゲインKGZ1の特性図である。
【図16】従来装置の作用とともに参考例の作用を説明するための波形図である。
【図17】第1実施形態のフュエルリカバー時ゲインKGZ1の演算を説明するためのフローチャートである。
【図18】第1実施形態のフュエルリカバー時ゲインKGZ1、KGZ2の特性図である。
【図19】第1実施形態のフュエルリカバー時の波形図である。
【図20】第1実施形態のロックアップ領域の判定を説明するためのフローチャートである。
【図21】第1実施形態のロックアップ領域を示す特性図である。
【図22】第1の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
1 エンジン
4 燃料噴射弁
7 エアフローメータ
9 絞り弁開度センサ
10 クランク角センサ
20 コントロールユニット
Claims (6)
- エンジンの負荷と回転数に基づいて基本噴射量を演算する手段と、
フュエルリカバー時の壁流燃料に関する増量補正量を演算する手段と、
この増量補正量で前記基本噴射量を補正した値をフュエルリカバー時の燃料噴射量として演算する手段と、
この噴射量の燃料をエンジンに供給する手段と
を備えるエンジンの空燃比制御装置において、
アクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になったかどうかを判定する手段と、
この判定結果よりアクセルペダルを踏み込むことなく車速が低下してフュエルカット時になったときそのフュエルカット後のフュエルリカバー時に、そのフュエルリカバー直前の所定期間当たり回転数減少量が大きくなるほど前記増量補正量が大きくなる側に修正する手段と
を設けるとともに、
前記所定期間当たり回転数減少量が大きい場合でかつ自動変速機がロックアップ領域にあるとき前記増量補正量をさらに大きくすることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。 - 前記壁流燃料に関する増量補正量は、応答の早い壁流燃料に関する第1の補正量であって、エンジン回転に同期して供給する噴射量である基本噴射量に加える補正量であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記第1の補正量に対して温度補正を行うことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 前記壁流燃料に関する増量補正量は、応答の速い壁流燃料に関する第2の補正量であって、急加速時にエンジン回転と非同期で噴射する非同期噴射量であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
- 基本噴射量をエンジン回転に同期して供給する同期噴射量として気筒毎に演算する手段を備え、
急加速時の判定後の第1回目の吸気を救うために前記非同期噴射により噴き過ぎた分およびその第1回目の吸気でポート流速により壁流が減った分を気筒毎に予測し、前記非同期噴射直後に訪れる同期噴射タイミングでだけ前記同期噴射量からこの予測値を差し引いた値を改めて同期噴射量として気筒別に演算することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの空燃比制御装置。 - 前記非同期噴射量に対して温度補正を行うことを特徴とする請求項4または5に記載のエンジンの空燃比制御装置。
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