JP3613875B2 - 真空断熱容器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は真空断熱層を有する真空断熱容器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高断熱性の外鍋内に、煮炊きした半調理の食材が入った内鍋をいれ、そのまま保温して調理する調理器具が知られている。これに用いられる外鍋として、外筒部材と内容器とからなる二重壁構造を有し、外筒部材と内容器との間に真空断熱層が形成された真空断熱容器がある。このような真空断熱容器を製造する際には、この真空断熱容器を構成する外筒部材内に別途成形加工した内容器を入れ、外筒部材の上端部と内容器の口元部、および外筒部材の下端部と内容器の底部とを合わせ、これらの接合部にろう材を配し、真空排気と共に加熱してこのろう材を溶融させ、上記接合部に流し込んでこれら接合部を塞ぎ、外筒部材と内容器との間の空隙を真空封止して断熱層とする製造方法が取られている。
上記真空断熱容器の例を図6ないし図8に示す。
図6に示す構造の真空断熱容器60においては、外筒部材61と内容器62との口元等の接合部63が外筒部材の壁面61Aに対しほぼ直角に曲げられており、接合部が鉛直(重力)方向に開口していない。このような構造の容器は、構造的な強度を有し、しかも接合部63にろう材66を配しているため真空封止時の昇温時に熱歪が生じて接合部63にクリアランスが生じても、溶融したろう材がそのクリアランスを塞ぐようになっている。
【0003】
しかし図7に示す真空断熱容器70のように、口元の接合部73における外筒部材71および内容器72の端部がそれぞれ鉛直方向に向いている場合には、構造的な強度がないため真空封止時の昇温時に外筒部材71および内容器72に熱歪が生じた場合、接合部73における外筒部材71と内容器72との間の隙間が部分的に大きくなり、この隙間からろう材76が鉛直方向に落下してしまい、真空封止が不十分となることがある。また、この例では外筒部材および内容器のそれぞれの端部が鉛直方向に向けられているが、図8に示す真空断熱容器80のように、外筒部材81の端部81Aと内容器82の底部との間に接合部83が形成され、しかもこの接合部83の開口が鉛直方向に向いている場合においても同じ不具合が生じる事がある。
【0004】
このように、接合部が鉛直方向に向いた容器として、図9に示すようなものがある。ここに示す真空断熱容器90は、電磁調理器で用いる真空断熱調理器として用いられるもので、筒状の外筒部材91と有底筒状の内容器92とから概略構成されている。この内容器92が外筒部材91内に配され、外筒部材91の上端部と内容器92の上端部(第1の接合部A)、および外筒部材91の下端部と内容器92の下部(第2の接合部B)とがそれぞれ接合されて外筒部材91と内容器92との間の空隙Sが真空断熱層とされており、胴部が二重壁構造で底部が一重壁構造となった保温性容器となっている。この真空断熱容器90においては、第2の接合部Bの開口が鉛直方向に向いた構造となっている。
この真空断熱容器90の材質としては、内容器92にフェライト系のステンレスやフェライト系のステンレスを含むクラッド鋼が、そして外筒部材91にオーステナイト系のステンレスが用いられている。
【0005】
このような真空断熱容器を製造する際に、外筒部材91と内容器92との接合部を封止する方法として、溶接を用いることができるが、溶接による方法では、外筒部材91と内容器92が同一の材質でないため溶接電流等の条件が非常に厳しく、量産に向かないという問題がある。
そこで、上記接合部を封止する方法として、ろう材封止が用いられる。以下、このろう材封止を用いた真空断熱容器の製造方法を図9および図10を参照して説明する。この方法では、外筒部材91および内容器92をそれぞれ成形加工した後、第1の接合部Aに相当する外筒部材内面または内容器外面にろう材を塗布した後、内容器92を外筒部材91内に配する。
次いで、外筒部材91と内容器92とを、第1の接合部Aにおいて巻き閉めもしくは溶接によって仮止めし、二重壁容器100を組立する。
続いて第2の接合部Bに容器外面側からろう材を塗布する。その後この二重壁容器100を、開口を下側に向けた倒立状態で真空炉内に入れ、真空引きと共に加熱する。これによって、内容器91と外筒部材91との間の空隙を真空排気すると共に、第1の接合部Aおよび第2の接合部Bをろう付けする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ろう材封止を用いた方法においては、以下に示すような問題があった。第1の接合部Aを巻き閉め等で仮止めするので、真空炉内での昇温時に、加熱により発生する外筒部材および内容器の熱歪が第2の接合部Bに集中してしまい、その結果、鉛直方向に向いた第2の接合部Bにおける内容器と外筒部材との間のクリアランス(図10中符号C)が大きくなる部分ができ、この部分において第2の接合部Bに塗布したろう材の一部が接合部の隙間から空隙S内に落ち込むことがある。このため、ろう材封止が不十分となる場合があり、より確実な真空封止方法が望まれていた。
【0007】
また、この方法では、第1の接合部Aに相当する部分の外筒部材91または内容器92にろう材を塗布した後で、外筒部材91と内容器92とを仮止めし、その後第2の接合部Bにろう材を塗布する。このように、第1の接合部Aと第2の接合部Bとにろう材を塗布する2つのろう材供給工程を続けて行うことができないため、作業効率が良くないといった問題があった。
本発明は上記の事情を鑑みてなされたもので、確実な真空封止が可能で、かつ効率良く真空断熱容器を製造し得る方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の真空断熱容器の製造方法は、下端部が内方に折り返された折り返し部が形成され、この折り返し部の周縁に少なくとも1つの切り欠きが貫通形成された外筒部材と、この外筒部材より小径の有底筒状の内容器とを成形加工する成形加工工程と、前記内容器を前記外筒部材内に空隙を保って配置し、前記内容器上端部と前記外筒部材上端部とを仮止めして、胴部が二重壁とされた二重壁容器を形成する仮止め工程と、前記二重壁容器を、前記折り返し部を上に向け、この折り返し部に形成された前記切り欠きからろう材を落とし込み、次いで前記折り返し部と前記内容器下部との隙間に、ろう材と補修部材とをほぼ全周に亙って配置するろう材配置工程と、前記二重壁容器を真空加熱炉内に入れて真空雰囲気下で所定のろう付け温度まで加熱し、前記内容器上端部と前記外筒部材上端部との接合部と、前記内容器下部と前記外筒部材下端部との接合部と、前記切り欠きとをろう付けして封止して前記外筒部材と前記内容器との間に真空断熱層を形成する真空封止工程とよりなることを特徴とする。
また、前記補修部材を、複数に分割する構成として良い。
また、前記補修部材を、ステンレスで形成してよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図4を参照して本発明の第1の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明において図9および図10で説明した従来の製造方法によって製造された真空断熱容器との共通部分については、同一符号を付してその説明を省略または簡略化する。
図1および図2は、本発明の真空断熱容器の製造方法の第1の実施例によって製造された真空断熱容器を示すものである。ここに示す真空断熱容器10は、内容器2と、外筒部材1とを一体接合してなり、これら内容器2と外筒部材1との間の空隙Sを真空断熱層とした真空断熱容器である。
【0010】
内容器2は、外筒部材1より小径の有底筒状とされ、その上端部にフランジ2Aが設けられている。
また、外筒部材1は、筒状とされ、上端部にフランジ1Aが設けられている。また、下端部には、端部が内方に折り返された折り返し部1Bが設けられている。この折り返し部1Bの周縁のやや内容器側には、切り欠き5が貫通形成されている。この切り欠き5はろう材を空隙S内に落とし込むために設けられているものである。
【0011】
また、真空断熱容器の材質としては、一般的に加工性、価格等からオーステナイト系のステンレス、例えばSUS304等がよく用いられる。しかしここに例示する真空断熱容器10の場合、内容器2には熱の発生及び熱伝導度の点からSUS430などのフェライト系のステンレスやフェライト系のステンレスを含むクラッド鋼を、一方外筒部材1には熱の伝わりを小さくするためSUS304などのオーステナイト系のステンレスを用いるのが好ましい。
【0012】
内容器2は外筒部材1内に空隙Sを保って配置されており、内容器2のフランジ2Aの先端部が、外筒部材1のフランジ1Aを巻き閉めて係止している。以下、この内容器2上端部と外筒部材1上端部との接合部を第1の接合部Aという。また、外筒部材1の折り返し部1Bが内容器2の底部近傍の外面に接した状態とされている。以下、この内容器2下部と外筒部材1下端部との接合部を第2の接合部Bという。
【0013】
また、第2の接合部Bの、折り返し部1Bと内容器2下部との隙間には、その全周に亙って、容器外面側から補修部材7がはめ込まれている。この補修部材7は第2の接合部Bを塞ぐためのもので、ステンレス等で形成された断面円形のリング状物とされ、その断面径は0.5〜2.0mmとされている。またこの補修部材7には、短棒状で、補修部材7と同一断面形状、同一断面径の、同一素材で形成された副補修部材8が外筒部材1に接して縦添えされている。この副補修部材8は、切り欠き5上に設けられており、その長さは、切り欠き5の長さよりやや長く形成されている。これら副補修部材8と補修部材7とによって切り欠き5の開口の大部分が塞がれるようになっている。
また、外筒部材1の外側面には2つの取手4が取り付けられている。なお、符号3はこの容器の蓋部材を示す。
【0014】
また、第1の接合部Aおよび第2の接合部Bには所定のろう付け温度で溶融してこれら接合部を封止するろう材6が配されて、このろう材6により内容器2と外筒部材1の間の空隙Sが封止されている。この空隙Sは真空とされ、外気との熱交換を遮断する真空断熱層となっている。
【0015】
上記のような真空断熱容器10を製造する方法を、図1ないし図4を参照して、その手順に沿って以下に説明する。
下端部に折り返し部1Bが形成され、上端部にフランジ1Aが形成された円筒状の外筒部材1をプレス、絞り加工等により成形加工し、折り返し部1Bの周縁のやや内容器側に切り欠き5を貫通形成する。この切り欠き5の幅、即ち図2に示す幅aは、3〜15mmとされる。またこの切り欠き5の長さ、即ち図3に示す長さbは、3〜25mmとされる。
また同様に、上端部にフランジ2Aが形成された有底筒状の内容器2をプレス、絞り加工等により成形加工する。ここで、内容器2のフランジ2Aの突出長さは、外筒部材1のフランジ1Aの突出長さよりやや長く設定される。このように、外筒部材1と内容器2とを成形加工する工程を成形加工工程という。
【0016】
次いで外筒部材1の外側面に取手4をスタッド溶接で取り付ける。
次いで内容器2を、その上端部のフランジ2Aが外筒部材1の上端部のフランジ1Aに重なるようにして外筒部材1内に配置する。そして内容器2のフランジ2Aの端部を下方に湾曲させてフランジ1Aを巻き閉めて係止させる。このようにして内容器2の上端部と、外筒部材1の上端部とを仮止めする仮止め工程を行う。以上のようにして胴部が二重壁となった二重壁容器30を形成する。
なお、ここで仮止めとは、衝撃が加わっても互いがずれない程度に部材同士を係止させることをいう。
【0017】
この二重壁容器30を、外筒部材1の折り返し部1Bを上に向けた状態、即ち開口を下に向けた倒立状態とした後、折り返し部1Bに形成された切り欠き5から空隙S内に固形ろう材6Aを落とし込み、この固形ろう材6Aを、このろう材が溶融時に第1の接合部Aに至るように第1の接合部Aの近傍に配置する。ここで用いる固形ろう材6Aには、ニッケル系ろう材等が好適に用いられる。またこの固形ろう材6Aの使用量は、第1の接合部Aを封止でき、図1に示すろう材6の余盛分を生じ得る量があれば十分である。また、固形ろう材6Aの形状は、球状、棒状、ワイヤ状や不定形塊状などいずれの形状でも良く、また多数の小粒状のものを使用しても良い。また、固形ろう材6Aの大きさは、切り欠き5を通過できる大きさであればよい。
【0018】
次いで、第2の接合部Bの、折り返し部1Bと内容器2下部との隙間に、この接合部Bを封止するためのぺ一スト状ろう材6Bを二重壁容器30の外面側から塗布する。このペースト状ろう材6Bには、ニッケル系ろう材等が好適に用いられる。このペースト状ろう材6Bの使用量は、第2の接合部Bおよび切り欠き5を封止でき、図1に示すろう材6の余盛分を生じ得る量があれば十分である。
次いで、図3に示すように、第2の接合部Bの、折り返し部1Bと内容器2下部との隙間に、その全周に亙るようにリング状の補修部材7をはめ込む。続いて図4に示すように、切り欠き5の開口の大部分を塞ぐようにして、副補修部材8を補修部材7に縦添えする。このように、第1および第2の接合部A、Bにろう材を配置し、補修部材7を第2の接合部Bにはめ込む工程をろう材配置工程という。
【0019】
次に、上記二重壁容器30を倒立状態のまま図示しない真空加熱炉内に設置する。この真空加熱炉としては、従来より金属魔法瓶などの製造に使用されている周知の真空加熱炉を使用してよい。この炉内を10−3Torr以下、好ましくは10−4〜10−5Torr程度に真空排気するとともに、固形ろう材6Aおよびペースト状ろう材6Bが溶融し得る温度まで加熱する。これによって、外筒部材1と内容器2の間の空隙S内の空気は上記接合部の隙間から排気される。またこの真空雰囲気中での加熱によって、第1の接合部Aおよび第2の接合部Bに配置された固形ろう材6Aおよびペースト状ろう材6Bは溶融し、それぞれの接合部に流れ込んでこれを塞ぐ。
【0020】
この加熱工程中に、外筒部材1と内容器2に熱歪が生じ、図2に示すように、第2の接合部Bに、内容器2と外筒部材1との間のクリアランスC’が大きな部分が生じることがあるが、第2の接合部Bには補修部材7が配されているので、クリアランスが大きい部分に補修部材7が滑り込んでこれを塞ぐ。
よって、溶融したろう材が上記クリアランスが大きな部分に溶融流動して流れ込んでも、補修部材7によってその隙間が小さくされているため、ろう材が接合部を通り抜けて空隙Sに落ち込むことがない。
【0021】
また切り欠き5上には補修部材7と副補修部材8とが施されてその開口の大部分が塞がれているので、上記と同様に、ろう材が切り欠き5を通り抜けて空隙Sに落ち込むことがない。また、切り欠き5の開口全体にろう材がゆきわたるようになる。
以上の操作の後、真空状態を維持したまま二重壁容器30を冷却してろう材を固化させ、これら第1および第2の接合部と切り欠き5とをろう材で閉塞させて前記外筒部材と内容器との間の空隙を真空封止し、真空断熱層を有する真空断熱容器10を得る。上記のように真空封止を行う工程を真空封止工程という。
【0022】
上記実施例の真空断熱容器の製造方法においては、真空封止前の二重壁容器30の折り返し部1Bと内容器2下部との隙間に補修部材7を配して、真空封止を行うので、熱歪によって、外筒部材1と内容器2との間のクリアランスが大きくなった場合でも、補修部材7がこのクリアランスを塞ぐため、ろう材6が空隙S内に落下することがなく、確実な真空封止が可能となる。また、切り欠き5の大部分を塞いで補修部材7と副補修部材8を配することによって、切り欠き5の開口からろう材6が空隙S内に落ち込むことがなく、また、切り欠き5の開口全体にろう材がゆきわたり、確実な真空封止が可能となる。
また、第1の接合部Aにおいて外筒部材1と内容器2とを仮止めした後、第1の接合部Aへのろう材供給と第2の接合部Bへのろう材供給とを続けて行う構成としたので、作業効率を向上させることが可能となる。
【0023】
なお、上記実施例において、外筒部材1と内容器2とを仮止めする仮止め工程は、巻き閉めによって行うとしたが、これに限らず、溶接によって行うことも可能である。
また、外筒部材1に設けた切り欠き5は、複数形成しても良く、折り返し部1Bの周方向に亙って複数設けることで、ろう材を第1の接合部Aにその全周に亙って供給するのが容易となる。また、補修部材7、副補修部材8の断面形状、断面径は、例示のものに限定されない。
【0024】
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
図5は、本発明に係る真空断熱容器の製造方法の第2の実施例によって製造された真空断熱容器20を示すものである。ここに示す真空断熱容器20が上述の第1の実施例で示した真空断熱容器10と異なるところは、真空断熱容器10において補修部材7が第2の接合部Bの全周に亙るリング状とされているのに対し、この例で示す真空断熱容器20においては、この補修部材が第2の接合部Bのほぼ半周に亙る長さの2本の補修部材17、17から構成され、この2本の補修部材17、17が第2の接合部Bのほぼ半周ずつに亙って配置されている点である。
この実施例では、補修部材7を折り返し部1Bと内容器2下部との隙間に配するのに代えて、2本の補修部材17をこの隙間にほぼ半周ごとに配置するようにしたこと以外は先の第1の実施例と同様の操作を行う。
【0025】
この実施例では、先の第1の実施例と同じく、確実な真空封止を行うことができ、かつ作業効率よく真空断熱容器を製造することができる。
さらにこの実施例では、複数に分割された短い補修部材を用いることにより、個々の補修部材が動き易くなるので、加熱による熱歪によって第2の接合部Bにその全周に亙ってクリアランスが発生しても、分割不連続部で歪を吸収することができ、クリアランスに対する順応性が大きく向上する。このため、より確実な真空封止が可能となるとともに、この容器を製造する際の作業が容易となり、加工性が向上する。
【0026】
なお、この例では、補修部材を第2の接合部Bの半周に亙る長さのもの2本から構成したが、これに限らず、全体で第2の接合部Bのほぼ全周に亙っていれば、補修部材をさらに分割して個々の長さを短くしても良い。個々の補修部材を短くすることによって上記クリアランスへの順応性が高くなり、より真空封止の信頼性を高めることができる。この補修部材の分割数は、内容器下部と外筒部材下端部との接合部の径、内外容器の肉厚等により適宜設定して良い。
【0027】
また、上記の各実施例では、外筒部材上端部と内容器上端部とを巻き閉め等で仮止めし、外筒部材の下端部に形成した折り返し部を内容器の下部に接合させたが、これとは逆に、外筒部材の上端部に折り返し部を形成し、外筒部材下端部と内容器下部とをスポット溶接等で仮止めした後、外筒部材上端部の折り返し部を内容器の上端部に接合させ、この接合部に補修部材を配するようにしても良い。すなわち、接合部分を規定するものでなく、接合開口部が鉛直方法に向いている真空断熱容器であればその製造に上記構成を適用することができる。
また本実施例は調理用の真空断熱容器の製造方法を例としたが、真空断熱ステンレス魔法瓶、真空断熱マグカップ等の製造方法にも適用できることは容易に想像することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の真空断熱容器の製造方法では、真空封止前の二重壁容器の折り返し部と内容器下部との隙間に補修部材を配して真空封止を行う構成としたので、熱歪によって、この隙間における外筒部材と内容器との間のクリアランスが大きくなった場合でも、補修部材がこのクリアランスを塞ぐため、ろう材が空隙内に落下することがなく、確実な真空封止が可能となる。
また、内容器上端部と外筒部材上端部との接合部で外筒部材と内容器とを仮止めした後、この内容器上端部と外筒部材上端部との接合部へのろう材供給と、内容器下部と外筒部材下端部との接合部へのろう材供給とを続けて行う構成としたので、作業効率を向上させることが可能となる。
【0029】
また、分割された複数の短い補修部材を用いることによって、個々の補修部材が動き易くなるため、分割不連続部で歪を吸収でき、発生するクリアランスヘの順応性が向上する。このため、より確実な真空封止が可能となるとともに、作業性、加工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の真空断熱容器の製造方法によって製造された真空断熱容器を示す側断面図である。
【図2】図1に示す真空断熱容器を示す要部断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例の真空断熱容器の製造方法での真空封止前の二重壁容器を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例の真空断熱容器の製造方法での真空封止前の二重壁容器を示す要部断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例の真空断熱容器の製造方法によって製造された真空断熱容器を示す平面図である。
【図6】従来の真空断熱容器の製造例を示す要部断面図である。
【図7】従来の真空断熱容器の製造例を示す要部断面図である。
【図8】従来の真空断熱容器の製造例を示す要部断面図である。
【図9】従来の真空断熱容器の製造例を示す側断面図である。
【図10】従来の真空断熱容器の製造方法での真空封止前の二重壁容器を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1・・・外筒部材、1B・・・折り返し部、2・・・内容器、5・・・切り欠き、6・・・ろう材、7・・・補修部材、10、20・・・真空断熱容器、17・・・補修部材、30・・・二重壁容器、S・・・空隙。
Claims (3)
- 下端部が内方に折り返された折り返し部が形成され、この折り返し部の周縁に少なくとも1つの切り欠きが貫通形成された外筒部材と、この外筒部材より小径の有底筒状の内容器とを成形加工する成形加工工程と、
前記内容器を前記外筒部材内に空隙を保って配置し、前記内容器上端部と前記外筒部材上端部とを仮止めして、胴部が二重壁とされた二重壁容器を形成する仮止め工程と、
前記二重壁容器を、前記折り返し部を上に向け、この折り返し部に形成された前記切り欠きからろう材を落とし込み、次いで前記折り返し部と前記内容器下部との隙間にろう材と補修部材とをほぼ全周に亙って配置するろう材配置工程と、
前記二重壁容器を真空加熱炉内に入れて真空雰囲気下で所定のろう付け温度まで加熱し、前記内容器上端部と前記外筒部材上端部との接合部と、前記内容器下部と前記外筒部材下端部との接合部と、前記切り欠きとをろう付けして封止して前記外筒部材と前記内容器との間に真空断熱層を形成する真空封止工程とよりなることを特徴とする真空断熱容器の製造方法。 - 前記補修部材は、複数に分割されていることを特徴とする請求項1記載の真空断熱容器の製造方法。
- 前記補修部材は、ステンレスで形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の真空断熱容器の製造方法。
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