JP3613438B2 - 継式釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は中実竿杆を有する釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
強化繊維を軸長方向に引揃えたものに樹脂を含浸させて中実状に構成された中実竿杆を穂先に使用した構造が、実公昭59−20057号公報に開示されている。これは弾性率の小さなガラス繊維をソリッド体の強化繊維として使用し、その元側部の外周に弾性率が大きな炭素繊維を使用したプリプレグを巻装して一体化させた穂先竿である。このように穂先竿として中実竿杆を使用することは従来から行われている。また、実開昭62−21862号公報にも開示がある。
然しながら、従来、大きな魚や引きの強い魚を釣る竿としては、少なくとも手元竿から穂先近くまでは中空の竿管によって構成していた。これはこれらの魚が掛った際に手元部に大きな曲げ力が作用するため、この手元部の曲げ剛性をある程度大きくして、即ち、ある程度径を大きくして魚の引きに耐えられる釣竿としなければならず、また、軽量化も達成しなければならないからである。然しながら、竿先は当然ながら細くしなければならない。そこで、少なくとも穂先近くを除いてはプリプレグを芯金に巻装して製造する中空竿管を使用し、一般にこれらを継ぎ合わせて先方を順次細くし、所定長さの釣竿を構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、手元部は中空管のため、ここが大きく撓めば、所謂、潰れ破壊が生じる。このため、手元近くはあまり撓まないように、更に大きな大きな曲げ剛性を持つように構成する。このように構成された釣竿は手元部の径が大きく、先端部は所定の細さであるから、当然にして一般には長い釣竿となる。このため魚が掛った場合の釣竿の撓み状態は、中間部から先部にかけて大きく撓むが、中間部から手元部にかけてはあまり撓まない。この手元部から中間部までの距離のために、魚が掛って撓んだ状態でも、釣人の握っている手元部から竿先までの距離が長く、魚等の負荷に起因する手元部に作用する曲げのモーメントは非常に大きく、これに耐える釣人の体力の消耗は非常に激しいものがある。
また、従来中空竿管からなる釣竿を用いて大物釣りを行う時は、大撓みに対応できて破損しない釣竿を選ぶと肉厚太径の釣竿になり、継式釣竿の時はさらに太径の釣竿になり、振込み操作において空気抵抗が大きく、シャープな感じの振り操作ができず、釣竿操作が快適でないという欠点がある。また、持ち重りの改善も行いたい。
【0004】
依って本発明は、釣竿操作が快適になる継式釣竿の提供を目指す。
また、大物魚や強い引きの作用する魚を釣る場合であって、釣人の体力が小さくても快適に釣りが行える継式釣竿の提供を目指す。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑みて請求項1において、樹脂をマトリックスとし、主として概ね軸長方向に指向する強化繊維で強化した中実竿杆の先部に中空竿管部を有する竿材を着脱可能に継ぎ合わせ、該中実竿杆はソリッド体と、該ソリッド体の外側に設けられた外層とを有し、該ソリッド体の強化繊維の弾性率を40〜65ton/mm 2 (392000〜637000N/mm 2 )、外層の強化繊維の弾性率を20〜50ton/mm 2 (196000〜490000N/mm 2 )の範囲内の値にすると共に、外層をソリッド体よりも低弾性とすることを特徴とする継式釣竿を提供する。マトリックス樹脂の概念には、熱硬化性樹脂のみならず熱可塑性樹脂も含まれる。以下同様である。上記中実竿杆が元竿の場合は、元竿の後部が中空であっても請求項1の範囲である。
【0006】
また請求項2において、前記中空竿管部を有する竿材が穂先竿であり、該穂先竿は先端側が中実竿杆であり、元側が中空竿管であり、中実竿杆の外周固定継合部は、元側方向に漸次縮径したテーパ部と、この元側に連続したストレート部とを有し、中空竿管の内周固定継合部は、先側方向に漸次拡径したテーパ部と、この元側に連続したストレート部とを有し、両固定継合部が互いに挿入継ぎ合わせされた固定継合部の外周に釣糸ガイドの装着足部を糸巻き固定し、更に該糸巻きを合成樹脂材で固定している請求項1記載の継式釣竿を提供する。
【0007】
請求項1では、釣竿の中実竿杆部は細身に形成でき、その分この先部に継ぎ合わせる竿材も細身に形成することができるから継式釣竿全体を細身に形成することが可能であり、空気抵抗を低減して振り込み操作等の釣竿操作がし易くなる。しかも先部に継ぎ合わされる竿材は中空竿管部を有するため、持ち重りを防止できる。また、掛った魚によって中実竿杆部において大撓みするように設計しても潰れないため破損が防止され、強靭で高強度の継式釣竿が提供できる。更に、撓んだ際に外層は内側のソリッド体よりも伸度が大きくなるが、ソリッド体よりも外層を低弾性とするため、より粘りのある高強度な釣竿となる。
【0008】
元竿を中実竿杆で形成すれば、細身の元部となり、その分この先部に継ぎ合わせる竿材も細身に形成することができるから継式釣竿全体が細身となって振り込み操作等の釣竿操作がし易い。しかも元竿の先部に継ぎ合わされる竿材は中空竿管部を有するため、持ち重りを防止できる。更に大物が掛っても、元竿は中実竿杆で形成されているため元竿から大撓みするように設計しても潰れず破損が防止され、強靭で高強度の釣竿が提供できると共に、釣人の体力が小さくても快適に釣りが行える。
【0009】
釣竿を中空でなく中実に形成すれば、大きく撓んでも潰れ破壊が生じない。このため、中実竿杆部を大きく撓ませるように構成することが可能となる。この場合元竿を中実に構成して、大きな魚等が掛って元竿を大きく撓ませることができ、釣人の握っている手元部から竿先までの距離が短くなり、釣人への曲げモーメントの負荷が小さくなり、釣りが非常に快適になる。即ち、本願では、中実竿杆を使用すれば潰れ破壊を防止できることに着目し、この中実竿杆の採用によってその部位(元竿等)を大きく撓ませることができ、これによって快適な釣りの行えることを出発点としている。
【0010】
1本の中実竿杆の平均テーパ率を3/1000以下に設定し、好ましくは1/1000以下、又は0.5/1000以下にする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づき説明すると、図1から図4は第1実施形態例で、図1は継式釣竿の側面図、図2は継式釣竿の分解断面側面図、図3は継合部分の拡大断面側面図、図4は中実竿杆の先端の製造過程の拡大断面側面図である。
【0012】
継式釣竿は中実竿杆である元竿1の先端に中空竿管の穂先竿2が継合されている。元竿1はソリッド体3の外周にプリプレグが巻回されて外層4が一体に重合形成されたり、ソリッド体3のみで形成され、竿尻側の外周にはグリップ10とリ−ル脚載置部材11とグリップ12が装着され、グリップ10と先端継合部1aの間に釣糸ガイド13,14が糸15で糸巻きされて糸15は合成樹脂材16で固定されている。
【0013】
穂先竿2の竿尻側の内周に継合部2aが形成され、竿尻側の外周に釣糸ガイド5、17が糸15で糸巻きされて固定され、釣糸ガイド17より前側の外周に釣糸ガイド18、19が糸15で糸巻き固定されている。釣糸ガイド5は穂先竿2に継合された中実竿杆の元竿1の先端より前側に設けられている。穂先竿2の先端に釣糸トップガイド6が固定されている。穂先竿2の竿尻側の長さaはその外周が摘める長さに形成されている。従って、長さaは30mm以上であることが望ましい。
この例では穂先竿2の全長bは継式釣竿の全長の略半分に形成されている。この穂先竿2は中空竿管で構成されているため、釣竿が大撓みに強いにも拘らず持ち重りが防止される。元竿1を構成する中実竿杆の長さLはこの例では継式釣竿の全長の略半分であるが、元竿領域において大撓みを可能にさせるために、継式釣竿の全長の1/3〜2/3程度あれば好ましい。
【0014】
元竿1のソリッド体3の成形例としては、高強度繊維の炭素繊維を結束してエポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂を含浸し、常法に従って熱硬化処理で成形されている。
穂先竿2の成形例としては、図示しない芯金に高強度の炭素繊維で補強した織布等にエポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂を含浸したプリプレグシ−トを適宜回数巻き込んだ後、その外側にテ−ピングが施され、加熱炉の中に入れられて常法に従って熱硬化処理で成形されている。前記炭素繊維の弾性は夫々30ton/mm2 が使用されている。
【0015】
元竿1のソリッド体3の外周に外層4が一体に成形される時は、予め形成されたソリッド体3の外周に高強度の炭素繊維で補強した織布等にエポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂を含浸したプリプレグシ−トを適宜回数巻き込んだ後、その外側にテ−ピングが施され、加熱炉の中に入れられて常法に従って熱硬化処理で成形される。
元竿1の外層4の先端外周には、上記外層4成形の際に、高強度繊維のガラス繊維で補強した織布等にエポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂を含浸したプリプレグシ−トが適宜数捲回されて、共に熱硬化処理されて外被層20が形成され、処理後図4の継合テ−パ線αで切削処理されて継合部1aとなる。
【0016】
前記継式釣竿が使用されて大物がかかって大たわみすると、元竿1の先端側と穂先竿2が撓んで獲物が釣り上げられる。
前記のように継式釣竿が構成されると、元竿1はソリッド体3と外層4で形成されているので、細身の元竿となり、元竿1に継合された穂先竿2も細身の穂先竿とすることが出来るから継式釣竿全体が細身となって振り込み操作等の釣竿操作がし易い。しかも穂先竿2は中空のため持ち重りを防止出来る。更に大物がかかっても、元竿1はソリッド体3と外層4で形成されているため、大たわみに対応でき、破損を防止し、強靭で高強度の釣竿が得られる。
【0017】
前記説明では、炭素繊維の弾性は、夫々30ton/mm2を使用したが、ソリッド体3は40ton/mm2〜65ton/mm2、外層4は20ton/mm2〜50ton/mm2、穂先竿2は20ton/mm2〜65ton/mm2の値を使用してもよい。ソリッド体の繊維は上記例の他、5〜80ton/mm2の範囲から任意に選択してもよい。
【0018】
ソリッド体3が40ton/mm2〜65ton/mm2、外層4が20ton/mm2〜50ton/mm2の値で、ソリッド体3より外層4を低弾性とすると、該外層は伸度が大きくなるため、ねばりのある高強度の釣竿が得られる。元竿1より穂先竿2を低弾性とすると、穂先竿がやや大径であった場合でも、大撓みが可能となり、釣竿全体が大撓みし易くなる。穂先竿2よりも元竿1を低弾性とすると、胴調子の大撓み時に元竿側で大きい負荷を受けることができ、高強度の釣竿にできる。また、元竿が撓み易いため大きな魚の負荷が作用しても竿先から手元までの距離が短くなってモーメントを小さくでき、楽に寄せ操作ができる。
【0019】
図8を参照して上記中実竿杆30の製造方法を説明する。まず、強化繊維が概ね軸長方向に指向したソリッド体3を準備する。この形態例のソリッド体3は全体が先細テーパ状であるが、全体が先太テーパ状(図8の左右を逆にした状態)であっても、また、同一太さでもよい。このソリッド体の先端から後端までの全体表面に、図示の台形状プリプレグシートP1を巻装し、次に、図示の3角形状プリプレグシートP2を巻装し、更には、図示の3角形状プリプレグシートP3を巻装する。後は、緊締テープ等によって加圧しつつ加熱成形する。
【0020】
上記各プリプレグシートの強化繊維は、何れも大部分が概ね軸長方向に指向している。これら軸長方向指向の強化繊維の弾性率は、プリプレグP1、プリプレグP2、プリプレグP3の順に大きくすると、元側(図の右側)程剛性が高くなってよい。プリプレグP1のものを、ソリッド体3の軸長方向強化繊維と同じか幾分小さな弾性率とするか、又は、ソリッド体とプリプレグP2のものとの中間の弾性率とする。プリプレグP2のものは、プリプレグP1のものより大きく、ソリッド体のものよりも大きくする。プリプレグP3のものは、プリプレグP2のものより大きく、ソリッド体のものよりも大きくする。また、プリプレグP2とプリプレグP3は、ソリッド体よりも樹脂比率を小さく、即ち、繊維比率を大きくする。この繊維比率は、少ないプリプレグ巻回によって軽量化を達成しつつ撓み剛性を確保するためである。
【0021】
各プリプレグは厚さが0.1mm程度以下の薄肉厚プリプレグシートを使用することが、プリプレグ巻回の円周方向における不均一さ(偏肉)に起因する成形時等に竿素材の曲りが生ずることを防止する点において好ましい。
上記例におけるプリプレグP1は必ずしも無くてもよい。即ち、後述の図6に示すようにソリッド体3を中実竿杆としてそのまま使用する場合もある。然しながら、一般にソリッド体は加熱成形の際に素材曲りを生ずることが多く、これを修正するために研削したり、また、一定直径の大きさに成形するよりもテーパ状に形成することの方が難しいため、成形後に研削作業を行って所望のテーパ形状に成形することも多い。こうした場合には、ソリッド体の表面では強化繊維が切断されているため強度上弱く、これを補強するために外周に、強化繊維が概ね軸長方向に指向するように配向したプリプレグシートを巻回して再度加熱成形して中実竿杆を形成することが好ましい。
【0022】
上記例では、ソリッド体の主たる強化繊維として炭素繊維を使用しており、既述の弾性率の例示以外では、ソリッド体の炭素繊維の弾性率が24ton/mm2、各プリプレグの主たる強化繊維も同様に炭素繊維であり、プリプレグP1では20ton/mm2、プリプレグP2では30ton/mm2、プリプレグP3では40ton/mm2のものとする。元竿1の強化繊維を100%炭素繊維とすることもできる。こうすれば竿の撓み剛性を高くでき易く、高強度化できる割に軽量化でき、また一種類の繊維であるため線膨張率の差が小さく、加熱成形時に竿杆の曲りも生じ難い。
【0023】
この場合、使用している樹脂は全てエポキシ樹脂であるが、他の強化繊維と共に他の樹脂を使用することもできる。ソリッド体強化繊維の弾性率は50ton/mm2以下から選択することが好ましい。この範囲では強度が大きく低下しないからである。従って、例えば、20,24,30,40,50ton/mm2から選択し、各プリプレグのそれは5〜80ton/mm2の範囲から選択する。50ton/mm2以上の炭素繊維の場合は、パン(PAN)系繊維の他、ピッチ系繊維を使用してもよい。ソリッド体の繊維も5〜80ton/mm2の範囲から任意に選択してもよい。
【0024】
図5は第2実施形態例で、穂先竿の先端側がソリッド体である中実竿杆8で形成された継式釣竿の断面側面図と一部拡大断面側面図である。第2実施形態例では、穂先竿2’が中空竿管7と中実竿杆8の継ぎ合わせ固定で形成されている。穂先竿2’と元竿1の継合は前記第1実施形態例と略同形で、元竿1の外層4の外周の継合部1aに穂先竿2’の中空竿管7の竿尻側内周の継合部7aが継合されている。中空竿管7と中実竿杆8の継ぎ合わせ固定一体化構造は、中実竿杆8の外周にプリプレグの巻回によって中空竿管7を一体化するように形成する。中空竿管7の固定継合部は先端内周にストレ−ト部7bとテ−パ部7cで形成されている。中実竿杆8の固定継合部は小径のストレ−ト部8aとテ−パ部8bで形成されている。中空竿管7と中実竿杆8の固定継合部の外周に釣糸ガイド18が糸15で糸巻きされて糸15は合成樹脂材で固定されている。
【0025】
穂先竿2’の長さdは中空竿管7の長さe+中実竿杆8の長さfで形成されている。中実竿杆8の長さfは穂先竿2’の長さdの50%以下、好ましくは30%〜10%にする。中実竿杆8は調子の軟らかい穂先竿先端側に用いることが好ましい。こうすると大撓みし易く穂先竿先端側の強度の向上が図れる。中実竿杆8の炭素繊維の弾性は5ton/mm2〜65ton/mm2が使用される。中実竿杆8の炭素繊維の弾性を5ton/mm2〜24ton/mm2の低弾性にすると更に大撓みし易く、折れ防止できる。他の構成は前記第1実施形態例と略同一である。
【0026】
図6は参考例で、元竿1がソリッド体である中実竿杆で形成された継式釣竿の要部拡大断面側面図である。ソリッド体3の先端に小径の緩いテ−パ部3aと大径の緩いテ−パ部3bで継合部1bが形成されている。ソリッド体3の継合部1bに中空竿管の穂先竿2”の継合部2bが継合されている。継合部2bは穂先竿2”の竿尻側の内周に緩いテ−パ部2cと大径の緩いテ−パ部2dで形成されている。他の構成は前記第1実施形態例と略同一である。該参考例のように元竿1と穂先竿2”が形成されると、穂先竿2”を前記第1実施形態例より細身にすることが出来る。
【0027】
図7は第3実施形態例で、継式釣竿の要部拡大断面側面図である。第3実施形態例の穂先竿2は炭素繊維の弾性を65ton/mm2とした例で、継合部2aより前側は小径部2eでその先は先細に形成されている。その他の構成は前記第1実施形態例と略同一である。第3実施形態例の穂先竿2のように細径に形成されるとシャ−プな調子の釣竿にできる。
【0028】
図9は船竿に適する継式釣竿である。船竿は釣竿を水平に近い状態に支持することが多く、魚の強い引きが作用すれば元竿に大きな曲げモーメントが作用するため、ここを中実竿杆にすることが好ましいからである。釣竿の先の方は中空にすると持ち重りの防止が図れ、操作し易い。元竿20に対して中竿22を逆並継式に継ぎ合わせ、該中竿に対して穂先竿26を並継式に継ぎ合わせている。元竿20は中実竿杆であり、中竿22は中空の竿管であり、穂先竿26は中空竿管又は中実竿杆である。元竿にはリールRを装着でき、中竿と穂先竿には釣糸ガイドGが装着されている。元竿が中実竿杆であるので、この領域は潰れ破壊が生じないため大撓みさせることができる。従って、対象魚に応じた撓み剛性に設定して模式図である図16(矢印は最も大きな撓み位置を示し、Tは継合部である)のように元竿領域から大撓みさせることができ、手元に掛る曲げモーメントを小さくして釣りを快適にすることができる。また、中竿(或いは中竿と穂先竿)が中空であるため、持ち重りを低減できる。図示していないが、元竿は中実竿杆であるため一般に小径であり、これを大きくして握り易くするためにグリップ部材を装着してもよい。
【0029】
図10は石鯛用の竿である。石鯛用の竿では、補助者が竿を補助支持する形態である、所謂、肩入れの操作で支持する部位(一般には手元端部から70cm程度の位置)や竿受け等の色々な部分に予想外の大きな負荷や衝撃が作用し易く、中実竿杆にすることで強度の向上が図れる。また、石鯛釣りでは穂先の撓み量と負荷の大きさが急激に変化し易く、この図10の例は中通し釣竿であるため穂先竿26を中実にはできないが、中通しでなければ中実竿杆にするとよい。中実竿杆の元竿20に対して中空竿管の中竿22を逆並継式に継ぎ合わせ、これに中空竿管の第2中竿24を、該第2中竿に中空竿管の穂先竿26を、夫々並継式に、又は振出式に継ぎ合わせている。元竿20にはリールRを装着しており、中竿22には釣糸導入部22Eを設けており、ここを介して、リールから引出された釣糸を竿管内部に導入させて先端のトップガイド26Tから外部に引出している。この形態の釣竿の場合も図9の場合と同様に、対象魚に応じた撓み剛性に設定して元竿領域から大撓みさせることができ、手元に掛る曲げモーメントを小さくして釣りを快適にすることができる。
【0030】
図11は中空竿管の元竿20に中実竿杆の中竿22を並継式に継ぎ合わせ、該中竿22に中空竿管の穂先竿26を逆並継式に継ぎ合わせている。この場合は、中竿22が中実竿杆であるため、大撓みさせても潰れ破壊を生じないため、模式図である図15(矢印は最も大きな撓み位置を示し、Tは継合部である)の如く中竿領域を大撓みさせるように撓み剛性を設定できる。継ぎ合わせた釣竿全長に対して、釣竿先端から概ね30%〜60%の範囲の何処かに中実竿杆部を有していればよい。従って、中竿22の他、元竿20も中実竿杆であってもよい。図11から図13まではリールや釣糸ガイドの図示省略している(勿論、リールを使用しない釣竿であってもよい)。
【0031】
また、中竿22の他、穂先竿26も中実竿杆で構成されていてもよく、図12はこの例を示す。然しながら、持ち重りの防止からすれば穂先竿26が中空竿管である図11の形態の釣竿の方が好適である。この図12の形態の場合も、中竿22が中実竿杆であるため、大撓みさせても潰れ破壊を生じないため中竿領域を大撓みさせるように撓み剛性を設定できる。また、穂先竿26も大撓み可能であるが、現実に大きな魚が掛っても穂先竿26が大撓みするのは当該魚が軽く引いている間であり、もっと大きな引き力が作用すれば、その負荷は後方の大きな竿杆部で受けるため、中竿22の方が大きく撓む。
この形態釣竿の変形例として、4本継竿であって、元側の2本が中空竿管であり、先側の2本が図12の釣竿と同様な中実竿杆の継式釣竿がある。作用効果は図12の場合と同様である。
【0032】
図13は元竿20も中竿22も穂先竿26も中実竿杆で構成され、夫々、継合部20Tと22Tにおいて並継式に継ぎ合わされた継式釣竿の参考例であり、元竿20も中実竿杆であるため細身であり、握り部としての太さを得るためと、握持感を良好にするために、ジュラコルク(商品名)等の柔軟性部材を被着させてグリップ部GPを形成している。この意味では図9と図10の元竿20も同様なグリップ部を形成することが好ましい。この図13の形態の継式釣竿では、何処の領域でも大撓みが可能であり、大撓みしても潰れ破壊しない。更には、釣竿全体が細身に形成でき、振りがシャープになる。継ぎ数は任意であるが、2本、3本、4本、又は5本継ぎ程度が一般的である。
【0033】
前後の竿杆が中実の場合の継合部の例として、図13の1点鎖線の円部分を部分断面の拡大図で示した図14を参照する。中実竿杆の元竿20の先部には、芯金等を利用してプリプレグシート(やテープ等)を所定長さ外周に一体化形成した継合部20Tが設けられている。これに中竿22の後端部が並継式に継ぎ合わされている。並継ぎのテーパ角度等は一般の中空竿管の場合と同様でよい。こうした継合形態であるため、継合部20Tを除き、その前後の直径D2と直径D1とは殆ど同じ寸法に設定可能であり、直径の差は0.5mm程度以下、好ましくは0.3mm以下にして概ね同一とし、継合部前後の撓み剛性が大きく変化しないように設定して撓みカーブを滑らかにすると好ましい。
【0034】
然しながら、釣竿の撓みは先端の釣糸に掛る荷重と、その撓み部位までの長さの積(モーメント)にも依存し、元部程モーメントは大きくなる。従って、滑らかな撓みを得るには、元部程剛性を大きく設定するが、中実竿杆同士の継合部前後の撓み剛性の差は5%〜30%程度に収めることが好ましい。また、継合部には空気抜き孔THを設けておけば、継ぎ合わせたり引き抜く作業が容易になる。この半径方向の孔THの代りに、継合部20Tの内面か、被継合部材である中竿22の外周面に軸長方向や螺旋状に溝を設けてもよい。
【0035】
中実竿杆と中空竿管との継合部の前後の撓み剛性差は、せいぜい±40%程度に収めることが好ましい。中実竿杆の前側に中空竿管を継ぎ合わせる場合には、逆並継に継ぎ合わせると剛性差を小さく設定し易い。
以上のいずれの例においても適用され得る技術を以下に列挙する(適宜な2つ以上を組み合わせてもよい)。
イ)元竿が中実竿杆の場合に、その元竿の後部の、例えば、握り部(ハンドル部)やリールシート部は強度上の肉厚が確保されていれば、軽量化のために中空に形成してもよい。
【0036】
ロ)中実竿杆のソリッド体の外に外層が形成される場合、円周方向や傾斜方向に指向した強化繊維を持たせるために、円周方向に指向した強化繊維を有するプリプレグや、テープ状のプリプレグを巻回したり、袋網状に強化繊維を編んだりしてもよい。
ハ)同じく、中実竿杆のソリッド体(内層)の外に外層が形成される場合、内外共に40ton/mm2以上の同程度の高弾性率の強化繊維を使用すると、層間剥離が防止されると共に、細身化できる。また、大撓みさせるには、内層は外層に比べて高弾性率繊維使用のプリプレグで形成し、また外層は内層よりも高強度な繊維使用のプリプレグを使用することが好ましい。
【0037】
ニ)中実竿杆の外側に、又は外層として、厚さが0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上の厚肉樹脂層を形成すれば、大撓み時の粘り感が向上する他、保護層としての役割を果たす。粘り感とは、例えば竹竿のような竿調子の感覚をいう。
ホ)中実竿杆の外側に、又は外層として、円周方向繊維層や両方から交差するように指向する傾斜状繊維(袋網も含む)を有する層を形成すれば、上記ニ)の効果の他、外側の層の裂けや剥離を防止できる。
【0038】
ヘ)外層として巻回するプリプレグの肉厚を、厚さが0.2mm以下、又は0.15mm以下の薄目とし、巻回数を10以上、好ましくは15〜30程度にすると、外層は厚肉化されるが、プリプレグが薄目であるため成形された中実竿杆の撓み性の方向性(偏り)を少なくできる他、プリプレグを巻回する際に張力を付与しつつ行うため、薄肉プリプレグであればなおさらテンションを受け易く、これを多数回巻回するので強化繊維の蛇行を防止でき、安定した高強度な釣竿を提供できる。また、大撓み時に外面の裂けや損傷が内部にまで進行することを防止できる。方向性に関しては、巻回の最初の縁位置に対する、巻回最後の縁位置を一致させるか、概ね一致するように重ね代を少なくすれば、なお一層方向性が減少する。なお、このような外層の厚肉化は、中実竿杆全長に亘るとは限らず、例えば、握り部分等のように、竿杆の元側寄りだけであってもよい。
ト)中実竿杆の後端部(継合部)は高強度繊維を使用したプリプレグで補強したり、金属製管材で強化してもよい。
【0039】
【発明の効果】
中実竿杆は潰れないため剛性バランスが採り易く、また、細身に形成できるため振りがシャープにできる等、釣竿操作も快適になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態例であり、継式釣竿の側面図である。
【図2】同継式釣竿の分解断面側面図である。
【図3】同継合部分の拡大断面側面図である。
【図4】同中実竿杆の先端部の製造過程の拡大断面側面図である。
【図5】第2実施形態例であり、穂先竿の先端側が中実竿杆で形成された継式釣竿の断面側面図と一部拡大断面側面図である。
【図6】参考例であり、元竿がソリッド体の中実竿杆で形成された継式釣竿の要部拡大断面側面図である。
【図7】第3実施形態例であり、継式釣竿の要部拡大断面側面図である。
【図8】中実竿杆の製法を説明する図である。
【図9】第4実施形態例であり、継式釣竿の側面図である。
【図10】第5実施形態例であり、継式釣竿の側面図である。
【図11】第6実施形態例であり、継式釣竿の側面図である。
【図12】第7実施形態例であり、継式釣竿の側面図である。
【図13】参考例であり、継式釣竿の側面図である。
【図14】図13の釣竿の継合部の部分断面拡大図である。
【図15】中実竿杆を使用した継式釣竿の使用中の側面図である。
【図16】中実竿杆を使用した他の継式釣竿の使用中の側面図である。
【符号の説明】
1 中実竿杆(元竿)
3 ソリッド体
4 外層
20T,22T 継合部
Claims (2)
- 樹脂をマトリックスとし、主として概ね軸長方向に指向する強化繊維で強化した中実竿杆の先部に中空竿管部を有する竿材を着脱可能に継ぎ合わせ、
該中実竿杆はソリッド体と、該ソリッド体の外側に設けられた外層とを有し、
該ソリッド体の強化繊維の弾性率を40〜65ton/mm 2 (392000〜637000N/mm 2 )、外層の強化繊維の弾性率を20〜50ton/mm 2 (196000〜490000N/mm 2 )の範囲内の値にすると共に、外層をソリッド体よりも低弾性とする
ことを特徴とする継式釣竿。 - 前記中空竿管部を有する竿材が穂先竿であり、該穂先竿は先端側が中実竿杆であり、元側が中空竿管であり、中実竿杆の外周固定継合部は、元側方向に漸次縮径したテーパ部と、この元側に連続したストレート部とを有し、中空竿管の内周固定継合部は、先側方向に漸次拡径したテーパ部と、この元側に連続したストレート部とを有し、両固定継合部が互いに挿入継ぎ合わせされた固定継合部の外周に釣糸ガイドの装着足部を糸巻き固定し、更に該糸巻きを合成樹脂材で固定している請求項1記載の継式釣竿。
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