JP5429927B2 - 釣り用穂先竿および釣竿 - Google Patents

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Description

本発明は、釣り用穂先竿、および、そのような釣り用穂先竿を有する釣竿に関する。
繊維強化樹脂によって成形される中実状の釣竿の穂先は、一般に、多数の繊維から成る繊維束に樹脂を含浸させ複数の繊維束を引き揃えたものをガイドに通して型に引き抜いて加熱硬化させることによって中実体を成形し、その後、その中実体を所望の外面形状にテーパ加工することにより得られる。
例えば特許文献1には、樹脂が含浸された炭素繊維の束を管の一端から管内に引き込み、管の内壁を利用して炭素繊維を管の長さ方向に引き揃え、この状態で樹脂を硬化させ、得られる丸棒を長さ方向にテーパを有する棒状に加工することが記載されている。
特開昭54−80372号公報
このようにして成形される穂先竿、特に先端でしなやかな曲がりが求められる磯竿の穂先竿は、その外径が非常に細く、そのため、仕掛けを付けたまま釣糸をリールに巻き取る際に、勢い誤って仕掛けをトップガイドに引っ掛け、そのまま更に巻き取ることにより穂先竿を破損させてしまう場合がある。このような仕掛けの巻き込みによる穂先竿の破損は、穂先が局部的に曲がるために起こるものであるが、こうした穂先竿の曲げ強度は、前記中実体を構成する繊維束の構造形態によって大きく影響される。
例えば、特許文献1に開示される中実体の繊維は軸長方向に配置されているため、中実体が繊維の破断伸度以上に大撓みすることができず、したがって、誤って仕掛けを巻き込んだ場合などにおいては穂先部が局部的に曲がって破損してしまう場合がある。このことは、前述したように多数の繊維が軸方向に真直ぐに引き揃えられて成る各繊維束を真直ぐに引き揃えて束ねる構造形態の繊維束においても同様である。
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、大撓みして局部的な曲がりが生じても破損し難い釣り用穂先竿および釣竿を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、補強繊維束に合成樹脂を含浸させて形成される中実状の釣り用穂先竿であって、前記繊維束を構成する繊維が前記穂先竿の長手軸方向に延在し、穂先竿の長手軸方向に沿ういずれかの位置でその長手軸方向に沿って切断した縦断面において、該縦断面に露出する繊維は、該繊維が縦断面を複数回横切るように長手軸方向に沿って波状に蛇行することにより、その長手軸方向に沿う露出長さが切断した縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さよりも短く且つ露出長さの異なるものが混在していることを特徴とする。
この構成では、前記繊維束を構成する繊維が穂先竿の長手方向に延在(穂先竿が中実杆と中空杆との連結によって形成されている場合には、中実杆の長手方向に好ましくは全長にわたって繊維が延在し、穂先竿が中実杆のみによって形成される場合には、穂先竿の好ましくは全長にわたって繊維が延在)しているにもかかわらず、切断した縦断面に露出する繊維は、その長手軸方向に沿う露出長さが切断した縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さよりも短くなっている。このことは、断面において繊維を短くしている部分、すなわち、縦断面に露出する繊維の非露出部位(その断面において露出していない部位)が、穂先竿の長手軸方向に沿って延びておらず、該長手軸方向に対して任意の方向に角度を成して(長手軸方向からそれて)延び、そのため、樹脂により隠れてしまっている(あるいは、その長手軸方向に沿う縦断面に現れない)ことを意味している。したがって、縦断面に露出する繊維自体の実際の長さ(その縦断面内での長さ)は、長手軸方向に対して傾斜している分だけ、その縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さよりも長く、結果的に、その繊維の全長も穂先竿の全長より長いことになる。つまり、上記構成では、穂先竿が曲がった際の繊維の軸方向の伸びの分だけ予め繊維の長さが長く確保された状態となっているため、その確保された分だけ穂先竿を大きく撓ませることができ、そのため、大撓みして局部的な曲がりが生じても破損し難くなる。言い換えると、穂先竿の全長よりも繊維の全長を実質的に長くすることにより、中実体としての伸縮歪みを小さくすることができ、従来の断面形態(縦断面に露出する繊維の露出長がその縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さと略同じである断面形態。したがって、繊維束を構成する繊維の全長が穂先竿の全長と略同じ)に比べて、穂先が大撓みによって破断する変位量を大きくすることができる。また、上記構成において、縦断面に露出する繊維は、露出長さの異なるものが混在しているため、穂先竿の曲げによって露出長さの長い繊維(伸びの遊度が小さい繊維)が先に破断した場合でも、露出長さの短い繊維(伸びの遊度が大きい繊維)が破断せずに残存することとなり、結果として、上記作用効果を更に促進させることができる。
なお、上記した本発明の縦断面形態は、中実体を構成する繊維束の繊維を縦断面を複数回横切るように長手軸方向に沿って波状に蛇行させることによって実現できる。その場合、繊維束は、それを構成する多数の繊維が軸方向に真直ぐに引き揃えられていてもよく或いは撚って形成されていても(繊維束自体に撚りがあっても)よい。
また、上記構成において、縦断面の切断位置は、穂先竿の長手軸方向に沿う任意の位置であり(どの位置で切断してもよい)、また、長手方向の軸心位置(横断面の中心)で切断してもよく、あるいは、軸心位置から偏心した任意の径方向位置で長手軸方向に沿って切断してもよい。また、切断する縦断面の面積も任意であり、また、切断する縦断面の長手軸方向に沿う長さも任意である。いずれにしても、上記構成を成す断面形態が長手軸方向に沿う位置に1つでも存在していれば本発明の範囲内に入る。また、上記構成において、「長手軸方向に沿う露出長さ」は、長手軸方向に対して角度を成して延びる延在長さであってもよい。また、「露出長さが異なる」とは、同一繊維で露出長さが異なること、および、異なる繊維間で互いに露出長さが異なることの両方を含む。また、「露出長さが異なる」ということは、前述したように、長手軸方向に対する繊維の角度が異なることを意味する。
また、上記構成において、縦断面に露出する繊維は、露出方向の異なるものが混在していてもよい。そのような構成によれば、穂先竿の曲がり方向が一定の方向に制限されず、穂先のあらゆる撓み方向に対応することができ、しなやかで自由度の高い撓みが可能になる。なお、「露出方向が異なるもの」とは、その縦断面で露出している繊維部分の長手軸方向に対する任意の方向での角度が互いに異なっているものを意味する。
また、上記構成では、切断した縦断面に露出する繊維全体の50%以上が穂先竿の長手軸方向に対して任意の方向に1°〜20°傾斜していることが好ましい。つまり、縦断面に現れる全ての繊維の半分以上が穂先竿の長手軸方向に対して任意の方向に1°〜20°の角度を成している(つまり、一定の角度範囲内の傾斜が得られるように繊維束同士が少なくとも例えば撚れている或る波状を成している)ことが好ましい。この構成によれば、剛性変化率を抑えて竿としての高い機能を保つことができる(後述する図9参照)。なお、長手軸方向に対する繊維の角度θは、繊維の露出長さをl、繊維の直径をrとすると、θ=Sin-1(r/l)で表わされる。
また、上記構成において、縦断面では、露出長さが0.5mm以下の繊維の比率が、露出長さが0.5mmより長い繊維の比率よりも多いことが好ましい。これによれば、傾斜角度の大きい繊維の比率が多くなるため、より大撓みしても破損することを防止できる。なお、上記構成において、縦断面に露出する繊維が穂先竿の長手軸方向に対して成す角度は、露出長さが長い繊維よりも露出長さが短い繊維の方が大きい。これは、前述したように繊維束同士が例えば撚れている(ある繊維束において、中心繊維の周りに螺旋状に巻装される繊維束がある)ことによるものであり、このように、露出長さと角度θとの間には相関関係が存在し、伸縮歪みを大きくできる部分(露出長さが短く、したがって、長手軸方向に対する傾斜角度が大きい部分)によって、撓み量を大きく確保することができ、したがって、大撓みして局部的な曲がりが生じても破損し難くなる。
なお、本発明では、上記構成の穂先竿を有する釣竿も提供される。したがって、この釣竿も、大撓みしても破損し難い前述した特徴を有する。
本発明によれば、大撓みして局部的な曲がりが生じても破損し難い釣り用穂先竿、および、そのような釣り用穂先竿を有する釣竿を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る穂先竿を有する釣竿の全体図である。 本発明の一実施形態に係る穂先竿の側面図である。 図2の穂先竿の中実体を構成する繊維芯体の断面斜視図である。 図2の穂先竿の中実体の縦断面の写真である。 図4の写真の概略的な模式図である。 従来の穂先竿の縦断面の写真である。 本発明の一実施形態に係る穂先竿の特性評価実験の説明図である。 本発明の一実施形態に係る穂先竿と従来の穂先竿との特性比較結果である。 繊維束を構成する繊維の長手軸方向に対する傾斜角度と剛性の変化率との間の関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る釣り用穂先竿の一実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明に係る外ガイド付き継式釣竿(例えば、磯竿)1の側面図であり、元竿10と、複数の中竿12と、穂持竿18と、穂先竿20とが振出式に継ぎ合わされている。無論、並継式や逆並継式であってもよい。これら各竿杆は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂をマトリックスとし、炭素繊維等の強化繊維で強化した繊維強化樹脂製竿杆である。
図2には穂先竿20が示されており、ここでの穂先竿20はそれを構成する中実体20Aの後端部20aに穂持竿18の中空体18aを接続している。以下、穂先竿を中実製という場合は、この例のように、中実体20Aが少なくともトップガイド20Gを有する穂先竿先端から最も近接している第1の外ガイドg1よりも後方にまで至っているものをいう。
各竿杆12,18,20の先端部には外ガイド12G,18G,20G(トップガイド)が固定されており、その他、穂先竿20には図2に示されるようにその途中位置に遊動式の第1および第2の外ガイドg1,g2が装着されている。従って、各竿杆を振出式に収納して仕舞うことができる。なお、図中、参照符号22はリールであり、また、参照符号12g,18gは中竿12および穂持竿18にスライド可能に設けられる遊動式のガイドである。
以下、図2を参照しつつ、穂先竿20を構成する中実体20Aの構造形態を説明する。中実体20Aの寸法形態は、先端の直径φ1(0.7mm)と、接続後端部20aを除いた前細テーパ部の基部の直径φ2(1.9mm)との差を、その間の長さL(500mm)で除したテーパ率が、0.0024である。また、トップガイド20Gに最も近接している第1の外ガイドg1の装着位置は、穂先竿20の先端90から105mm後方位置である。また、第2の外ガイドg2も中実体20Aの領域に設けている。
中実体20Aは、全ての強化繊維(補強繊維)が軸長方向指向の、所謂、ソリッド体で形成されている。従って、多数の繊維から成る繊維束を複数束集合させ、ポリエステル樹脂をマトリックスとした繊維強化樹脂製穂先竿としている。繊維としては、炭素繊維を用い、引張弾性率は10000kgf/mm(98000N/mm)〜40000kgf/mm(392000N/mm)の範囲内のものを使用する。ここでは、23500kgf/mm(230300N/mm)のものを使用している。合成樹脂比率は40〜70重量%の範囲内である。ここでは56重量%である。繊維径は約6〜10μmであり、ここでは6.5μmである。各繊維束は12000本の繊維を束ねて構成され、そのような繊維束を例えば4束集合させて中実体20Aが構成される。
具体的に、中実体20Aを構成する繊維芯体80は、図3に示されるように、4本(無論、それ以上の本数であってもよい)の繊維束50同士を互いに撚って形成されており(複数の繊維束50を集合させて全体に撚りをかけている)、各繊維束50は12000本の繊維が軸方向に真直ぐに引き揃えられて成る(複数の繊維が束状に集合して成る)。繊維束50の直径は約0.75mmであり、繊維束50を構成する各繊維(1本の繊維)の直径は前述したように6.5μmである。なお、各繊維束50は、12000本の繊維を撚って形成してもよく、そのような撚り繊維束を複数集合させて図3に示されるように全体に撚りをかけてもよい。そして、このような繊維芯体80に樹脂が含浸されて中実体20Aが形成される。
このような中実体20Aの製法としては、例えば、引き抜き成形法が挙げられる。すなわち、ボビン等から引き出した複数の炭素繊維束50を、樹脂が貯められた含浸槽中に通して通量の樹脂を含浸させた後、同心円上に配置したガイドを通して型に引き抜き(型に絞り込んで樹脂をしごき密着させ)、その際に複数本の繊維束50が軸方向に引き揃えられた繊維芯体80全体を僅かに周方向に回転させて撚りをかけながら、加熱炉に通して加熱硬化させる。そして、そのようにして成形されたものを所望の長さに切断してテーパ加工(砥石研磨加工)することにより中実体20Aが形成される。そのようにして形成された中実体20Aは、繊維束50を構成する繊維が穂先竿20の全長にわたって延在している。
中実体20A(穂先竿20)の長手軸方向に沿ういずれかの位置でその長手軸方向に沿って切断した縦断面の写真が図4に、また、その模式図が図5にそれぞれ示されている。このような縦断面は、穂先竿20の長手軸方向に沿ういずれかの任意の位置(長手方向の軸心位置(横断面の中心)、あるいは、軸心位置から偏心した任意の径方向位置)で必ず見られる。写真の白く写っている部分は、縦断面に露出する繊維の(切断された)露出部分であり、写真の黒い部分は樹脂である(繊維が写っていない部分)。また、図5の模式図には、図4の縦断面写真における繊維の特徴的な露出部分のそれぞれが輪郭付けされて描かれている。
図4の写真および図5の模式図から分かるように、この縦断面に露出する繊維は、その全てが(あるいは、少なくとも80%以上が)、その長手軸方向に沿う露出長さl1,l2,l3,l4・・・が切断した縦断面の長手軸方向の単位長さL=1.0mm(図5参照)よりも短くなっている。つまり、繊維束50を構成する繊維が穂先竿の全長にわたって延在しているにもかかわらず、切断した縦断面に露出する繊維は、その長手軸方向に沿う露出長さl1,l2,l3,l4・・・が切断した縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さLよりも短くなっている。このことは、断面において繊維を短くしている部分、すなわち、縦断面に露出する繊維の非露出部位(その断面において露出していない部位・・・図4の写真で黒く写っている部分)が、穂先竿20の長手軸方向に沿って延びておらず、該長手軸方向に対して任意の方向に角度を成して(長手軸方向からそれて)延び、そのため、樹脂により隠れてしまっている(あるいは、その長手軸方向に沿う縦断面に現れない)ことを意味している。したがって、縦断面に露出する繊維自体の実際の長さ(この縦断面内での長さ)は、長手軸方向に対して傾斜している分だけ、その縦断面の長手軸方向の長さLよりも長く、結果的に、その繊維の全長も穂先竿20の全長より長いことになる。
また、この縦断面において、繊維は、露出長さの異なるもの(したがって、この縦断面に露出している繊維部分の長手軸方向に対する傾斜角度θが互いに異なっているもの(l1,l2,l3,l4・・・)が混在している。露出長さが異なる形態としては、同一繊維がこの縦断面を複数回横切る(蛇行する)ためにその繊維の複数の部位がこの縦断面で露出してその露出長さが異なってしまっている場合や、異なる繊維間で互いに露出長さが異なっている場合などがある。また、この縦断面に露出する繊維は、露出方向(長手軸方向に対する向き)の異なるものも混在している。更に、この切断した縦断面に露出する繊維全体の50%以上は、穂先竿20の長手軸方向に対して任意の方向に1°〜20°傾斜している。すなわち、縦断面(図5)には、例えば、穂先竿20の長手軸方向に対して20°傾斜する繊維の露出部分60(露出長さl1の部分)、穂先竿20の長手軸方向に対して10°傾斜する繊維の露出部分62(露出長さl2の部分)、穂先竿20の長手軸方向に対して6°傾斜する繊維の露出部分64(露出長さl3の部分)、穂先竿20の長手軸方向に対して1°傾斜する繊維の露出部分66(露出長さl4の部分)などが一例として描かれているが、そのような1°〜20°の傾斜角を成す繊維が、縦断面に露出する繊維全体の50%以上を占める(図4の写真参照)。なお、長手軸方向に対する繊維の角度θは、繊維の露出長さをl、繊維の直径をrとすると、θ=Sin-1(r/l)で表わされる。
また、以上から分かるように、縦断面に露出する繊維が穂先竿の長手軸方向に対して成す角度は、露出長さが長い繊維よりも露出長さが短い繊維の方が大きい。これは、前述したように繊維束同士が例えば撚れている(ある繊維束において、中心繊維の周りに螺旋状に巻装される繊維束がある)ことによるものであり、このように、露出長さと傾斜角度θとの間には相関関係が存在する。
また、この縦断面では、露出長さが0.5mm以下の繊維の比率が、露出長さが0.5mmより長い繊維の比率よりも多くなっている。このような断面形態を成していれば、傾斜角度の大きい繊維の比率が多くなるため、より大撓みしても破損することを防止できる。具体的に、前記縦断面において、露出長さが0.05mm〜0.4mmの繊維の全体に占める比率は20%以上である。好ましくは、露出長さが0.05mm〜0.3mmの繊維の全体に占める比率は30%以上である。このような縦断面を有していれば、傾斜角度の大きい繊維が多くなり、大撓みによる破損防止効果が高まる。
図6には、従来の縦断面の写真、具体的には、本実施形態のように繊維束50同士を全体として撚らず、複数の繊維束が軸方向に引き揃えられて成る繊維芯体80に樹脂を含浸させた中実体の縦断面の写真が示されている。この写真から分かるように、従来構造では、縦断面に露出する繊維の露出長さがその縦断面の長手軸方向の長さと略同じである(一部に短いものも見られるが、繊維の露出長さの全て或いは80%以上が縦断面の長手軸方向長さよりも短くなっていない)。
なお、上記構成では、繊維束同士を全体として撚ることにより中実体20Aの繊維芯体80が形成されているが、繊維束の繊維が長手軸方向に沿って波打つ形態(波状形態)に形成しても図4および図5とほぼ同様の断面形態を得ることができる。そのような繊維の波状形態は、例えば、樹脂が含浸され且つ複数本の繊維束50が軸方向に引き揃えられた繊維芯体80を同心円上に配置したガイドに通して型に引き抜く際に、中心に位置する繊維束50を他の繊維束よりも強く引く抜くことで、その周囲の繊維束が波状になることにより得られる。
以上のようにして成形される本実施形態の中実体20A(穂先竿20)を、これと同じ寸法形態の従来の穂先竿(すなわち、繊維束同士を全体として撚っていないもの)と以下の比較実験を行った。図8に示されるように、比較する従来の穂先竿は、引張弾性率が230300N/mm(23500kgf/mm)の炭素繊維を使用しており、繊維径が6.5μm、炭素繊維含有率(樹脂に対する繊維の含有率)が59%である。また、繊維束を構成する繊維は12000本あり、この束を4束集合させている。一方、前述した構造を成す本実施形態の穂先竿20の方は、引張弾性率が230300N/mm(23500kgf/mm)の炭素繊維を使用しており、繊維径が6.5μm、炭素繊維含有率(樹脂に対する繊維の含有率)が56.6%である。また、繊維束を構成する繊維は12000本あり、この束を4束集合させている。テストピース(比較実験対象となった穂先竿)1〜9は全て同じものを使用した。なお、好ましい炭素繊維含有率Wfは45〜57%であり、より好ましくは55〜57%である。
図7には実験の方法が示されている。中実体穂先竿20を図示しないチャック装置に固定する。その場合、最も近接している第1の外ガイドg1の装着位置の直後から後方部をチャックする。したがって、穂先竿20は第1の外ガイドg1から前方部のみを撓ませることができる。そして、トップガイド20Gに結び付けた紐状の線材24を第1の外ガイドg1に挿通させておき、荷重を与えて線材24を長手軸の竿元側に真直ぐに引く。引く速度は100mm/分とした。こうして荷重を漸増させてトップガイドを引きつつ穂先竿20の先部を徐々に曲げて行き、破損時の線材24の引き込み長さ(巻き込み量mm)Xを測定する。
図8に示されるように、従来品(従来の穂先竿)では、46.9mm〜64.5mmの巻き込み量Xで全て破損したが、本実施形態の穂先竿20では、102mmを越える巻き込み量まで破損することなく耐えた。特に、注目すべきなのは、9個あるテストピースのうち、102〜104mmの巻き込み量で破損したのは3つだけであり、それ以外のテストピースは105mmの巻き込み量に達しても破損しなかった。
また、図9には、本実施形態の穂先竿20の構造に関する他のデータが示されている。このデータは、繊維束50を構成する繊維の長手軸方向に対する傾斜角度(前述した傾斜角度θ)と剛性の変化率との間の関係を示している。図示のように、剛性の変化率が80%以下であると、竿の機能に問題が生じる可能性があるため、本実施形態では、剛性の変化率が80%を上回るように、繊維束50を構成する繊維の長手軸方向に対する傾斜角度θを1°〜20°に設定している。なお、傾斜角度θを1°〜13.5°にとると、剛性の変化率を90%までに抑えることができるため、より好ましい。
以上説明したように、本実施形態の穂先竿20では、繊維束50を構成する繊維が穂先竿20の全長にわたって延在しているにもかかわらず、切断した縦断面に露出する繊維は、その長手軸方向に沿う露出長さが切断した縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さLよりも短くなっている。このことは、前述したように、断面において繊維を短くしている部分、すなわち、縦断面に露出する繊維の非露出部位(その断面において露出していない部位)が、穂先竿の長手軸方向に沿って延びておらず、該長手軸方向に対して任意の方向に角度を成して(長手軸方向からそれて)延び、そのため、樹脂により隠れてしまっている(あるいは、その長手軸方向に沿う縦断面に現れない)ことを意味している。したがって、縦断面に露出する繊維自体の実際の長さ(その縦断面内での長さ)は、長手軸方向に対して傾斜している分だけ、その縦断面の長手軸方向の長さLよりも長く、結果的に、その繊維の全長も穂先竿20の全長より長いことになる。つまり、本実施形態の構成では、穂先竿20が曲がった際の繊維の軸方向の伸びの分だけ予め繊維の長さが長く確保された状態となっているため、その確保された分だけ穂先竿20を大きく撓ませることができ(図8の比較実験結果からも明らかである)、そのため、大撓みして局部的な曲がりが生じても破損し難くなる。言い換えると、穂先竿の全長よりも繊維の全長を実質的に長くすることにより、中実体としての伸縮歪みを小さくすることができ、従来の断面形態(縦断面に露出する繊維の露出長がその縦断面の長手軸方向の長さと略同じである断面形態。したがって、繊維束を構成する繊維の全長が穂先竿の全長と略同じ)に比べて、穂先が大撓みによって破断する変位量を大きくすることができる。また、本実施形態の構成において、縦断面に露出する繊維は、露出長さの異なるものが混在しているため、穂先竿20の曲げによって露出長さの長い繊維(伸びの遊度が小さい繊維)が先に破断した場合でも、露出長さの短い繊維(伸びの遊度が大きい繊維)が破断せずに残存することとなり、結果として、上記作用効果を更に促進させることができる。
なお、前述した実施形態では、穂先竿20が中実状に形成されていたが、穂先竿20が中実杆と中空杆との結合によって形成されていても良い。その場合、繊維は少なくとも中実杆の全長にわたって延在され、少なくとも中実杆において前述した特徴的な縦断面が得られる。
20 穂先竿
50 繊維束
60 露出部分
L 縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さ
l 露出長さ

Claims (5)

  1. 補強繊維束に合成樹脂を含浸させて形成される中実状の釣り用穂先竿であって、
    前記繊維束を構成する繊維が前記穂先竿の長手軸方向に延在し、穂先竿の長手軸方向に沿ういずれかの位置でその長手軸方向に沿って切断した縦断面において、該縦断面に露出する繊維は、該繊維が縦断面を複数回横切るように長手軸方向に沿って波状に蛇行することにより、その長手軸方向に沿う露出長さが切断した縦断面の長手軸方向の1mmの単位長さよりも短く且つ露出長さの異なるものが混在していることを特徴とする釣り用穂先竿。
  2. 縦断面に露出する繊維は、露出方向の異なるものが混在していることを特徴とする請求項1に記載の釣り用穂先竿。
  3. 切断した縦断面に露出する繊維全体の50%以上が穂先竿の長手軸方向に対して任意の方向に1°〜20°傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釣り用穂先竿。
  4. 前記縦断面では、露出長さが0.5mm以下の繊維の比率が、露出長さが0.5mmより長い繊維の比率よりも多いことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の釣り用穂先竿。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の釣り用穂先竿を有する釣竿。
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