JP3612141B2 - ゲルコート樹脂組成物 - Google Patents
ゲルコート樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3612141B2 JP3612141B2 JP10317796A JP10317796A JP3612141B2 JP 3612141 B2 JP3612141 B2 JP 3612141B2 JP 10317796 A JP10317796 A JP 10317796A JP 10317796 A JP10317796 A JP 10317796A JP 3612141 B2 JP3612141 B2 JP 3612141B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- gel coat
- weight
- mol
- anhydride
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
- Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性および耐熱水性に優れるゲルコート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゲルコートは通常繊維強化プラスチック(FRP)の最外層であるため、空気、光、水、薬品、溶剤などに常時曝される。したがって、これらに用いられる樹脂組成物は、硬化後の耐候性、耐蝕性、耐水性、耐汚染性に優れたものが要求される。
FRPはその優れた成形性、機械的、化学的、物理的強度の故に漁船、便槽、浄化槽、浴槽、タンク、自動車外板、電気部品等の各種プラスチック製品に多用されているが、最近では大理石調の外観を有する浴槽やカウンターへの使用が大きく伸びてきている。これらのFRP製品の最外層として用いられるゲルコートは、前述した耐候性、耐蝕性、耐水性、耐汚染性のみならず良好な表面平滑性も兼ね備えている必要がある。
従来、ゲルコート樹脂組成物としては、たとえば特開平3−1943号などにも記載されているように、ビニルエステル樹脂、ビスフェノール系およびイソ系不飽和ポリエステル樹脂などが繁用されているが、ビニルエステル樹脂は揺変性を付与し難く、またビスフェノール系樹脂は耐熱水性は改良されるものの硬化膜にクラックが入りやすいし、イソ系不飽和ポリエステル樹脂は耐熱水性が不充分であるという欠点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のごとく従来ゲルコート樹脂として用いられてきたものは耐熱水性や表面平滑性はかなり改善されたものの、耐候性に優れたものがなく、したがってこれらの性質を兼ね備えた樹脂の創製が強く望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、耐候性、耐熱水性に優れたゲルコート樹脂を得るために、不飽和ポリエステル樹脂を構成する各成分、すなわち、不飽和二塩基酸や飽和二塩基酸の酸成分および多価アルコール成分の種類、使用量等について検討を重ね、多くの実験を行った結果飽和二塩基酸としてヘキサヒドロフタル酸またはその無水物とヘキサヒドロテレフタル酸の混合物を用いると耐候性、耐熱水性が著しく向上するという事実をつきとめ、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
1)(A)不飽和ポリエステル樹脂100重量部および(B)揺変性付与剤0.5〜10重量部、必要により(C)着色剤1〜50重量部を含んでなり、該(A)は(a)不飽和ポリエステル30〜70重量%と(b)エチレン性不飽和単量体70〜30重量%からなり、該(a)は(ア)酸成分と(イ)多価アルコール成分を全カルボキシル基数/全ヒドロキシル基数が1.0/1.0〜1.2となる条件で反応させて得られるものであり、該(ア)は(1)不飽和二塩基酸またはその酸無水物40〜80モル%と(2)飽和二塩基酸60〜20モルからなり、さらに該(2)は(i)ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物25〜75モル%と(ii)ヘキサヒドロテレフタル酸75〜25モル%からなるゲルコート樹脂組成物、および
2)飽和二塩基酸が(i)ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物35〜65モル%および(ii)ヘキサヒドロテレフタル酸65〜35モル%からなる前記1)記載のゲルコート樹脂組成物、である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸などが用いられる。これらは2種以上を併用してもよい。飽和二塩基酸としては、ヘキサヒドロフタル酸またはヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロテレフタル酸を併用して用いる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、水素添加ビスフェノールAなどを用いることが出来る。
使用する不飽和酸の量は40〜80モル%、望ましくは50〜70モル%であり、飽和酸のヘキサヒドロフタル酸またはその無水物とヘキサヒドロテレフタル酸の併用総量は60〜20モル%、望ましくは50〜30モル%である。ここで使用する不飽和酸の量が40モル%より小さいと硬化したゲルコート膜の耐熱水性が悪くなり、80モル%より大きいと硬化したゲルコート膜が脆くなり、クラックが入りやすくなる。
また、ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物とヘキサヒドロテレフタル酸を併用する割合は、75/25〜25/75(モル比)、望ましくは65/35〜35/65(モル比)である。ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物の使用割合が多いと、硬化物の耐熱水性が悪くなり、ヘキサヒドロテレフタル酸の使用割合が多いと、不飽和単量体に溶かしたときの溶解性が悪くなる。
使用する全酸成分と多価アルコールの割合は、全カルボキシル基数/全ヒドロキシル基数で1.0/1.0〜1.2の範囲が好ましく、1.05〜1.15の範囲がさらに好ましい。
また、重合性二重結合を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸メチルおよびその混合物などが使用できる。不飽和ポリエステルとエチレン性不飽和単量体の配合割合は、70/30〜30/70(重量比)、望ましくは60/40〜40/60(重量比)である。
エチレン性不飽和単量体の量が少ないと、ゲルコート樹脂組成物の流動性が悪くなり、多いと硬化したゲルコート膜が硬脆になり好ましくない。
【0006】
本発明においては、ゲルコートのスプレー作業性をよくするため、ゲルコート樹脂組成物に揺変性付与剤を用いる。この揺変性付与剤としては無水シリカ微粉末が好ましく、例えば日本アエロジル(株)製のアエロジル200、あるいは300などがあげある。使用量は無水シリカ微粉末の場合で、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
着色したゲルコート膜が必要な場合は、一般に用いられている無機および有機顔料が使用できる。無機顔料としては、たとえば二酸化チタン(チタンホワイト)、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄、チタンイエロー、クロムグリーン、コバルトブルー等をあげることができ、有機顔料としては、たとえばピラゾロンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサンジンバイオレット等をあげることができる。着色料の使用量は、不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し通常1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部である。
さらに必要により炭酸カルシウム、クレー、水酸化アルミニウム、ガラス粉末などの充填剤、ナフテン酸コバルト、オクトエ酸コバルトなどの硬化促進剤、ハイドロキノン、p−ブチルカテコールなどの重合禁止剤、ナフテン酸銅などの貯蔵安定剤、その他消泡剤、レベリング剤などの適量を添加してもよい。
【0007】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、各実施例における「部」は重量部を意味する。
実施例1
(i)不飽和ポリエステル樹脂の製造
ヘキサヒドロ無水フタル酸524g、ヘキサヒドロテレフタル酸498g、ネオペンチルグリコール1264g、プロピレングリコール415gを撹拌機、コンデンサー、温度計、不活性ガス導入口を有する5Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素ガスを通しながら205℃で3時間反応させて酸価32.0の反応生成物を得た。続いて反応物の温度を140℃に下げた後、フマル酸1243g、ハイドロキノン171mgを仕込み210℃で更に5時間反応させた。得られた酸価27.4の不飽和ポリエステルにスチレン2052g、5%ナフテン酸銅110mgを加え溶解させて、粘度411mPa・s(25℃)の不飽和ポリエステル樹脂Xを得た。
比較例として、同様の5Lフラスコにヘキサヒドロ無水フタル酸936g、ネオペンチルグリコール1208g、プロピレングリコール393gを仕込み、窒素ガスを通しながら205℃で3時間反応させて酸価35.4の反応生成物を得た。続いて反応物の温度を140℃に下げた後、フマル酸1200g、ハイドロキノン163mgを仕込み、210℃で更に5時間反応させた。得られた酸価24.6の不飽和ポリエステルにスチレン1952g、5%ナフテン酸銅103mgを加え溶解させて、粘度550mPa・s(25℃)の不飽和ポリエステル樹脂Yを得た。
【0008】
(ii)ゲルコート樹脂の製造
(i)で得られた不飽和ポリエステル樹脂XまたはY100部に、それぞれスチレン14部アエロジル300を3部、チタン白CR−90(石原産業(株)製)を20部加え、それぞれの混合物を3本ロールで練合・分散させ、粘度1920mPa・s(60rpm、25℃)、揺変度5.7(6rpmと60rpmの粘度比)の白色ゲルコート樹脂GXを、粘度1800mPa・s(60rpm、25℃)、揺変度5.6の白色ゲルコート樹脂GYをそれぞれ得た。
同時にイソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、ポリマール9315(武田薬品工業(株)製)を用い、上記と同じ配合・製造条件で、粘度1820mPa・s、揺変度5.3の白色ゲルコート樹脂GZを得た。
【0009】
(iii)耐候性試験
(ii)で得られた白色ゲルコート樹脂GX、GY、GZを用いてFRP積層板を作り、耐候性試験用のテストピースとした。ゲルコート樹脂の成形条件はナフテン酸コバルト(コバルト含量6重量%)0.5%、パーメックN(日本油脂(株)製)1.0%を配合した後、室温でスプレー塗装した。FRP層は450g/m2のチョップドストランドガラスマット3枚とオルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂を用いて作成した。
サンシャインウェザーメーターを用いた耐候性試験により〔表1〕の結果を得た。
【0010】
【表1】
【0011】
(iv)耐熱水性試験
実施例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂XおよびY、ポリマール9315の注形板(厚み3mm)を作り、これをテストピースとして耐熱水性試験を行った。注形後ナフテン酸コバルト(コバルト含量6重量%)0.4%、パーメックN 0.8%を配合して硬化させた後、更に100℃で3時間の後硬化を行った。試験方法は100℃の熱水に5cm角のテストピースを浸漬し、経時的に重量変化とクラックの発生状況を調べた。試験結果を〔表2〕に示す。
【表2】
【0012】
【発明の効果】
本発明になるゲルコート樹脂を用いることにより、耐候性と耐熱水性に優れたFRP成形品を得ることが出来る。
Claims (2)
- (A)不飽和ポリエステル樹脂100重量部および(B)揺変性付与剤0.5〜10重量部、必要により(C)着色剤1〜50重量部を含んでなり、該(A)は(a)不飽和ポリエステル30〜70重量%と(b)エチレン性不飽和単量体70〜30重量%からなり、該(a)は(ア)酸成分と(イ)多価アルコール成分を全カルボキシル基数/全ヒドロキシル基数が1.0/1.0〜1.2となる条件で反応させて得られるものであり、該(ア)は(1)不飽和二塩基酸またはその酸無水物40〜80モル%と(2)飽和二塩基酸60〜20モルからなり、さらに該(2)は(i)ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物25〜75モル%と(ii)ヘキサヒドロテレフタル酸75〜25モル%からなるゲルコート樹脂組成物。
- 飽和二塩基酸が(i)ヘキサヒドロフタル酸またはその無水物35〜65モル%および(ii)ヘキサヒドロテレフタル酸65〜35モル%からなる請求項1記載のゲルコート樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10317796A JP3612141B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | ゲルコート樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10317796A JP3612141B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | ゲルコート樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09263692A JPH09263692A (ja) | 1997-10-07 |
JP3612141B2 true JP3612141B2 (ja) | 2005-01-19 |
Family
ID=14347240
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10317796A Expired - Fee Related JP3612141B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | ゲルコート樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3612141B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4582420B2 (ja) * | 2000-09-05 | 2010-11-17 | Dic株式会社 | 不飽和ポリエステル樹脂を用いた被覆材、ゲルコート材及び成形品 |
-
1996
- 1996-03-28 JP JP10317796A patent/JP3612141B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09263692A (ja) | 1997-10-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2002527589A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂 | |
JPH09110948A (ja) | ビニルエステル樹脂組成物及び硬化物 | |
JPS628444B2 (ja) | ||
JP3612141B2 (ja) | ゲルコート樹脂組成物 | |
TW570935B (en) | Curable unsaturated resin composition | |
JP3307036B2 (ja) | 着色不飽和ポリエステル樹脂組成物及び塗料もしくはゲルコート剤、成形材料 | |
CN102936448B (zh) | 一种耐沾污人造石台盆表面保护材料 | |
US6359029B1 (en) | Preparation and use of cold-plastic coating compositions based on acrylate resins | |
JPS5936667B2 (ja) | ヒフクヨウジユシソセイブツ | |
JP3079593B2 (ja) | カラービヒクル用飽和ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いたカラービヒクル | |
JP2002061134A (ja) | 成形品 | |
JPS6050221B2 (ja) | 無収縮性不飽和ポリエステル樹脂組成物 | |
JP2793835B2 (ja) | 目地材 | |
JP3435841B2 (ja) | レジンコンクリート組成物 | |
JP3223540B2 (ja) | コンクリート保護材料、コンクリート保護層の製造法および表面処理されたコンクリート | |
JPH04198369A (ja) | パテ組成物 | |
JP2001335384A (ja) | コンクリート保護材料、コンクリート保護層の製造法及び表面処理されたコンクリート | |
JPH04180918A (ja) | ビニルエステル樹脂組成物、及びそれをゲルコート層とする成形品 | |
JP2004182762A (ja) | コンクリ−ト保護材料、コンクリ−ト保護層の製造方法および表面処理されたコンクリ−ト | |
JPH05140434A (ja) | 成形用樹脂組成物 | |
JPH09295846A (ja) | レジンコンクリート用樹脂組成物 | |
JPH0216112A (ja) | 熱硬化性樹脂組成物 | |
JPH0198611A (ja) | カラービヒクル用不飽和ポリエステル樹脂組成物 | |
JPH0421579A (ja) | コンクリート保護材料,コンクリートの表面処理法および表面処理されたコンクリート | |
JPS6028449A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040716 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040817 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040921 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20040921 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041019 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041022 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |