JP3608099B2 - ラベルシート - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はラベルシート、特に配送物の配送業務に使用するラベルシートに関するものである。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】
従来から配送物を配送するに当たっては、受取人住所氏名などの配送情報を記載したラベル紙片をその配送物に貼着し、ラベル紙片に記載された配送情報に基づいて配送物を届けるようにすることが行われている。そして、同一荷主から同一受取人に対して複数個口の配送物を送り届ける場合、同一の配送情報を記載した複数枚のラベル紙片を取り扱う手間を考慮して、予め複数のラベル紙片を纏め複数個口の配送物にも対応できる形態のラベルシートが利用されている。図３はそのラベルシート１を示していて、ラベルシート１は上紙２と下紙３とを剥離可能に積層してなるラベル本体４の裏面全面（下紙３の裏面全面）に粘着剤５を塗布し、該粘着剤５を剥離紙６で剥離可能に覆っているものである。ラベル本体４における上紙２と下紙３との間には、剥離可能に接着する接着力を呈しその接着力が前記粘着剤５と剥離紙６との間の貼着力より大きくなるように調整された接着手段７，８が設けられている。そして、前記ラベル本体４にあっては、上紙２の表面から剥離紙６に達する深さで入れられたミシン目からなる分離部９が設けられ、この分離部９によってラベル本体４から三つのラベル紙片１０，１１，１２が区画形成されている。各ラベル紙片１０，１１，１２に区画形成されることによって各紙片では上紙１０ａ，１１ａ，１２ａと下紙１０ｂ，１１ｂ，１２ｂとが剥離可能に積層されたものとなる。また、各上紙の表面には配送物に関する荷品名、受取人住所氏名、差出人住所氏名などの配送情報を記載する配送情報記載部１３が設けられており、この配送情報記入部１３は、荷札とするラベル紙片１０のものと、受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル紙片１１，１２のものとで使用形態により記載項目などが異なっている。
【０００３】
上記したラベルシート１を用いて一個口の配送物に貼着する場合には、一枚のラベルシート１に所要の配送情報をプリンタにて出力し、ラベルシート１の一辺に沿って各ラベル紙片１０，１１，１２に亘るように位置したスリット１４の部分から、図４（イ）に示すようにラベル紙片１０，１１，１２を連接させた状態のまま剥離して配送物に貼着するようにする。前記スリット１４は剥離紙６に達する深さに設けられている。このようにしてラベル紙片１０，１１，１２を連接させた状態で貼着した配送物からは、その配送過程で受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル紙片１１，１２の上紙１１ａや１２ａを剥ぎ取り（図４（ロ））、それらに記載されている配送情報に基づきながら配送業務が行われ、配送物の受取人側からは受領票兼荷札としたラベル紙片１１の前記上紙１１ａに受領印を受けるようにしている。
また、例えば三個口の配送物を取り扱う場合には同じ配送情報が記載されたラベルシート１を二枚用意し、一枚を一つの配送物に上述した一個口の場合と同じように貼着し、もう一枚のラベルシート１からラベル紙片１１，１２を剥ぎ、それぞれを荷札として他の二つの配送物に貼着する（図６参照）。そして、以降は同様にして先の連接状態にして三枚のラベル紙片を貼着した配送物から受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル紙片の上紙を剥ぎ取り、記載された配送情報に基づきながら三個口の配送物を纏めながら取り扱うようにする。なお、二枚のラベルシートにおける各ラベル紙片の配送情報記載部には複数個口用として用いる管理情報が設けられている。
【０００４】
しかしながら、複数個口の配送物にも対応する形態の上記ラベルシートでは、複数のラベル紙片に区画する分離部がミシン目であり、ラベル紙片同士が前記分離部を境としながらもミシン目のタイの部分（切目と切目の間の繋がり部分）で連結された状態となっているため、上述したように、一個口の配送物に貼着した後、受領票兼荷札のラベル紙片や送り状兼荷札のラベル紙片の上紙それぞれを所定の配送段階で単独で剥ぎ取ることが行い難いという不都合がある。また、複数個口用のラベルシートから任意のラベル紙片をその上紙と下紙とが一体となった状態で剥離紙から剥ぎ取るに際して、ラベル紙片の引き剥がし途中で下紙が分離部（ミシン目）で分離せずに隣位のラベル紙片における下紙に繋がった状態となり、図５に示すように引き剥がす下紙が破れるという問題がある。そして、区画されたラベル紙片を剥離紙とともに分離すると配送物に貼着するに際してその都度剥離紙を剥ぎ取る手間を生ずるという不都合もある。
この点、前記ミシン目を上紙の表面から剥離紙に達する深さのスリットに変更して分離部を構成し、ラベル紙片同士の繋がりを完全に切るようにすることが考えられたが、これでは、一個口の配送物に対してラベルシートを用いる場合に複数のラベル紙片が連接状態となって配送物に貼着できる利点が損なわれてしまう。また、ラベル紙片を区画形成するために剥離紙までに達するスリットを入れることから、ラベルシート自体の腰が弱くなり（即ち、ラベルシートがそのスリット部分から折れ曲がり易くなる）、配送情報記載部に情報を出力するプリンタへの送り込み工程やプリンタ内部での移送中に引っ掛かり易くなり、フィード適性が著しく低下するという問題もある。
そこで本発明は上記事情に鑑み、ラベルシートの剛性の低下を抑えながら、一個口に使用する際の上記上紙それぞれの剥ぎ取りや、複数個口用として使用する際のラベル紙片それぞれの剥ぎ取りが適性に行えるようにすることを課題として、ラベルシートの使用勝手を向上させることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、上紙と下紙とを剥離可能な接着力を呈する接着手段を介して剥離可能に積層してなるラベル本体の裏面に粘着剤を塗布して、該粘着剤を剥離紙で剥離可能に覆い、前記ラベル本体に、上紙に入れられたスリットと前記スリットの位置に対してラベル本体の厚さ方向に重なる位置であって下紙の表面から剥離紙の裏面に達する深さのミシン目とからなる分離部を設けて、該分離部によりラベル本体を複数のラベル紙片に区画形成し、前記複数のラベル紙片の内の少なくとも一つのラベル紙片における上紙と下紙との所定周辺部が、剥離可能であって前記接着手段の接着力より強い接着力にて接着されていることを特徴とするラベルシートを提供して、上記課題を解消するものである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明を図１から図２に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、図３から図６に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。
本発明のラベルシート１においてラベル本体４から三つのラベル紙片１０，１１，１２を区画形成するために分離部１５が設けられている。この分離部１５は、図１（ハ）の断面で示すように、上紙２の表面から下紙３の表面に達する深さのスリット１６と、前記スリット１６の位置に対してラベル本体４の厚さ方向に重なる位置であって下紙３の表面から剥離紙６の裏面に達する深さのミシン目１７とからなるものである。
このように、ラベル紙片１０，１１，１２の境となる分離部１５が上紙２のスリット１６と下紙３から剥離紙６に及ぶミシン目１７とから構成されているため、隣り合うラベル紙片同士は完全には分離されていない状態となっており、これによってラベル本体４、即ち、ラベルシート１の腰が弱らず、また、一個口としてラベルシート１を使用するに際し、従来例の図４（イ）で示されているようにスリット１４からラベル本体４の一辺を指掛かりとして剥離紙６を取り去るようにしても各ラベル紙片１０，１１，１２はバラバラにならず、連続した状態で配送物に貼着できるようになる。さらに、各ラベル紙片１０，１１，１２の上紙１０ａ，１１ａ，１２ａが前記スリット１６によって完全に分断されているため、従来例の図４（ロ）に示すごとくラベルシート１を一個口の配送物に貼着した後に、ラベル紙片１１，１２から必要に応じて上紙１０ａ，１１ａを剥ぎ取るに際しても簡単にその剥ぎ取りが行える。
【０００７】
上記ラベルシート１において複数個口用としても使用できるようにしている上記ラベル紙片１１，１２にあっては、上述したように、ラベル紙片１１や１２を単独で剥離紙６から引き剥ぐ際の下紙の破れを防ぐ工夫が行われている。図２は中段にレイアウトされた受領票兼荷札として使用できるラベル紙片１１の上紙１１ａを分離し接着手段７側を上にした状態を示すものである。図示するように、上紙１１ａと下紙１１ｂとは接着手段７，８を介して剥離可能に接着されていて、上紙１１ａの積層対向面に施された前記接着手段７と下紙１１ｂの積層対向面に施された前記接着手段８とが接合し所要の加圧力による接着条件が付与されることで剥離可能に接着する接着力を呈するように接着手段７，８が調整されている。なお、接着手段７，８間の接着力は、粘着剤と剥離紙との間の接着力より大きくなるように設定されている。
接着力の調整方法としては、例えば、上紙１１ａの積層対向面に比較的接着力の大きい接着剤を塗布し、その接着剤塗布面の上に網掛け印刷を施して設定接着力までに接着力を低下させることで接着手段７を構成している。下紙１１ｂの積層対向面に設けられる接着手段８も同様であって、下紙１１ｂの積層対向面に比較的接着力の大きい接着剤を塗布し、その接着剤塗布面の上に印刷を施して設定接着力までに接着力を低下させて構成している。そして、下紙１１ｂの上記スリット１４と対向する辺側の隅部には、ベタ印刷を行って接着力を生じさせないようにした非接着部１８が設けられており、上紙１１ａの剥ぎ取りがこの非接着部１８から行えるようにしている。
そして、図２に示されているように、上記上紙１１ａの積層対向面、即ち、接着手段７が設けられた面にあっては、その接着手段７の接着力調整用の印刷を行わない抜き部（印刷の抜き）１９が上紙１１ａの周辺部に沿って破線パターンで設けられており、この抜き部１９で表出する接着剤が直に下紙の接着手段８に接合することで、ラベル紙片１１の上紙１１ａと下紙１１ｂとの周辺部が、剥離可能であって接着手段７，８間の接着力より強い接着力にて接着されている。これによって、複数個口用としてラベル紙片１１を単独でラベルシート１から剥ぎ取るに際しては、上紙１１ａと下紙１１ｂの周辺部が内部側よりは強い接着力で接着されているため、前記下紙１１ｂとミシン目１７を境にして隣り合う他のラベル紙片１０，１２の下紙１０ｂ，１２ｂとにあっては、そのミシン目１７の部分周辺が剥がれることなく腰が強くなるように接着され、よって、ミシン目１７で確実に切断されて従来のような下紙に破れを生じさせることはない。
【０００８】
上記抜き部１９の位置は上紙１１ａの周辺部端縁に揃えるようにすることが良好であるが、その周辺部端縁から少し離れた位置に設定してもよく、抜き部のパターンも限定されるものではない。また、下紙１１ｂ側の上記非接着部１８に対応する位置にはこの抜き部１９を設けたり、また、設けないようにしたりしてもよい。そして、前記抜き部１９は接着手段８側に設けるようにすることも可能である。なお、図示していないが、複数個口用として単独で取り扱えるようにしているラベル紙片１２にあっても、同様に接着力が調整された接着手段及び抜き部が設けられている。また、荷札とするラベル紙片１０は、受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル用紙１１，１２とは異なり、必ずしも上述のような上紙と下紙の間での接着力を調整する必要はない。
【０００９】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のラベルシートによれば、上紙と下紙とを剥離可能な接着力を呈する接着手段を介して剥離可能に積層してなるラベル本体の裏面に粘着剤を塗布して、該粘着剤を剥離紙で剥離可能に覆い、前記ラベル本体に、上紙に入れられたスリットと前記スリットの位置に対してラベル本体の厚さ方向に重なる位置であって下紙の表面から剥離紙の裏面に達する深さのミシン目とからなる分離部を設けて、該分離部によりラベル本体を複数のラベル紙片に区画形成し、前記複数のラベル紙片の内の少なくとも一つのラベル紙片における上紙と下紙との所定周辺部が、剥離可能であって前記接着手段の接着力より強い接着力にて接着されていることを特徴とするものである。これによって、複数のラベル紙片を区画形成しながらも腰があってフィード適性が良好なラベルシートとなり、プリンタ内部の移送工程でこのラベルシートが曲がったり切れたりすることがなくなる。また、ラベル紙片の上紙の剥ぎ取りが簡単に行えるようになるとともに、ラベルシートを複数個口用として使用する場合のように、ラベルシートから任意のラベル紙片を剥ぎ取るに際しても、下紙側での破れを確実に防止して、ラベル紙片の剥ぎ取りを簡単に行うことができるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るラベルシートの一例を示すもので、（イ）は上紙側を示す説明図、（ロ）は剥離紙側を示す説明図、（ハ）は（イ）のＡ−Ａ線に沿った断面を示す説明図である。
【図２】一つのラベル紙片の上紙を引き剥いだ状態を示す説明図である。
【図３】従来例のラベルシートの一例を示すもので、（イ）は上紙側を示す説明図、（ロ）は剥離紙側を示す説明図、（ハ）は（イ）のＢ−Ｂ線に沿った断面を示す説明図、（ニ）は（イ）のＣ−Ｃ線に沿った断面を示す説明図である。
【図４】従来例のラベルシートにおける使用形態を示すもので、（イ）はラベル本体を剥ぎ取る状態を示す説明図、（ロ）は上紙を剥ぎ取る状態を示す説明図である。
【図５】下紙の破れを示す説明図である。
【図６】複数個口でのラベルシートの使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
１…ラベルシート ２…上紙 ３…下紙
４…ラベル本体
６…剥離紙
７，８…接着手段
１０…ラベル紙片 １０ａ…上紙 １０ｂ下紙
１１…ラベル紙片 １１ａ…上紙 １１ｂ…下紙
１２…ラベル紙片 １２ａ…上紙 １２ｂ…下紙
９，１５…分離部 １６…スリット １７…ミシン目
１９…抜き部
【発明の属する技術分野】
本発明はラベルシート、特に配送物の配送業務に使用するラベルシートに関するものである。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】
従来から配送物を配送するに当たっては、受取人住所氏名などの配送情報を記載したラベル紙片をその配送物に貼着し、ラベル紙片に記載された配送情報に基づいて配送物を届けるようにすることが行われている。そして、同一荷主から同一受取人に対して複数個口の配送物を送り届ける場合、同一の配送情報を記載した複数枚のラベル紙片を取り扱う手間を考慮して、予め複数のラベル紙片を纏め複数個口の配送物にも対応できる形態のラベルシートが利用されている。図３はそのラベルシート１を示していて、ラベルシート１は上紙２と下紙３とを剥離可能に積層してなるラベル本体４の裏面全面（下紙３の裏面全面）に粘着剤５を塗布し、該粘着剤５を剥離紙６で剥離可能に覆っているものである。ラベル本体４における上紙２と下紙３との間には、剥離可能に接着する接着力を呈しその接着力が前記粘着剤５と剥離紙６との間の貼着力より大きくなるように調整された接着手段７，８が設けられている。そして、前記ラベル本体４にあっては、上紙２の表面から剥離紙６に達する深さで入れられたミシン目からなる分離部９が設けられ、この分離部９によってラベル本体４から三つのラベル紙片１０，１１，１２が区画形成されている。各ラベル紙片１０，１１，１２に区画形成されることによって各紙片では上紙１０ａ，１１ａ，１２ａと下紙１０ｂ，１１ｂ，１２ｂとが剥離可能に積層されたものとなる。また、各上紙の表面には配送物に関する荷品名、受取人住所氏名、差出人住所氏名などの配送情報を記載する配送情報記載部１３が設けられており、この配送情報記入部１３は、荷札とするラベル紙片１０のものと、受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル紙片１１，１２のものとで使用形態により記載項目などが異なっている。
【０００３】
上記したラベルシート１を用いて一個口の配送物に貼着する場合には、一枚のラベルシート１に所要の配送情報をプリンタにて出力し、ラベルシート１の一辺に沿って各ラベル紙片１０，１１，１２に亘るように位置したスリット１４の部分から、図４（イ）に示すようにラベル紙片１０，１１，１２を連接させた状態のまま剥離して配送物に貼着するようにする。前記スリット１４は剥離紙６に達する深さに設けられている。このようにしてラベル紙片１０，１１，１２を連接させた状態で貼着した配送物からは、その配送過程で受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル紙片１１，１２の上紙１１ａや１２ａを剥ぎ取り（図４（ロ））、それらに記載されている配送情報に基づきながら配送業務が行われ、配送物の受取人側からは受領票兼荷札としたラベル紙片１１の前記上紙１１ａに受領印を受けるようにしている。
また、例えば三個口の配送物を取り扱う場合には同じ配送情報が記載されたラベルシート１を二枚用意し、一枚を一つの配送物に上述した一個口の場合と同じように貼着し、もう一枚のラベルシート１からラベル紙片１１，１２を剥ぎ、それぞれを荷札として他の二つの配送物に貼着する（図６参照）。そして、以降は同様にして先の連接状態にして三枚のラベル紙片を貼着した配送物から受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル紙片の上紙を剥ぎ取り、記載された配送情報に基づきながら三個口の配送物を纏めながら取り扱うようにする。なお、二枚のラベルシートにおける各ラベル紙片の配送情報記載部には複数個口用として用いる管理情報が設けられている。
【０００４】
しかしながら、複数個口の配送物にも対応する形態の上記ラベルシートでは、複数のラベル紙片に区画する分離部がミシン目であり、ラベル紙片同士が前記分離部を境としながらもミシン目のタイの部分（切目と切目の間の繋がり部分）で連結された状態となっているため、上述したように、一個口の配送物に貼着した後、受領票兼荷札のラベル紙片や送り状兼荷札のラベル紙片の上紙それぞれを所定の配送段階で単独で剥ぎ取ることが行い難いという不都合がある。また、複数個口用のラベルシートから任意のラベル紙片をその上紙と下紙とが一体となった状態で剥離紙から剥ぎ取るに際して、ラベル紙片の引き剥がし途中で下紙が分離部（ミシン目）で分離せずに隣位のラベル紙片における下紙に繋がった状態となり、図５に示すように引き剥がす下紙が破れるという問題がある。そして、区画されたラベル紙片を剥離紙とともに分離すると配送物に貼着するに際してその都度剥離紙を剥ぎ取る手間を生ずるという不都合もある。
この点、前記ミシン目を上紙の表面から剥離紙に達する深さのスリットに変更して分離部を構成し、ラベル紙片同士の繋がりを完全に切るようにすることが考えられたが、これでは、一個口の配送物に対してラベルシートを用いる場合に複数のラベル紙片が連接状態となって配送物に貼着できる利点が損なわれてしまう。また、ラベル紙片を区画形成するために剥離紙までに達するスリットを入れることから、ラベルシート自体の腰が弱くなり（即ち、ラベルシートがそのスリット部分から折れ曲がり易くなる）、配送情報記載部に情報を出力するプリンタへの送り込み工程やプリンタ内部での移送中に引っ掛かり易くなり、フィード適性が著しく低下するという問題もある。
そこで本発明は上記事情に鑑み、ラベルシートの剛性の低下を抑えながら、一個口に使用する際の上記上紙それぞれの剥ぎ取りや、複数個口用として使用する際のラベル紙片それぞれの剥ぎ取りが適性に行えるようにすることを課題として、ラベルシートの使用勝手を向上させることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、上紙と下紙とを剥離可能な接着力を呈する接着手段を介して剥離可能に積層してなるラベル本体の裏面に粘着剤を塗布して、該粘着剤を剥離紙で剥離可能に覆い、前記ラベル本体に、上紙に入れられたスリットと前記スリットの位置に対してラベル本体の厚さ方向に重なる位置であって下紙の表面から剥離紙の裏面に達する深さのミシン目とからなる分離部を設けて、該分離部によりラベル本体を複数のラベル紙片に区画形成し、前記複数のラベル紙片の内の少なくとも一つのラベル紙片における上紙と下紙との所定周辺部が、剥離可能であって前記接着手段の接着力より強い接着力にて接着されていることを特徴とするラベルシートを提供して、上記課題を解消するものである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明を図１から図２に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、図３から図６に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。
本発明のラベルシート１においてラベル本体４から三つのラベル紙片１０，１１，１２を区画形成するために分離部１５が設けられている。この分離部１５は、図１（ハ）の断面で示すように、上紙２の表面から下紙３の表面に達する深さのスリット１６と、前記スリット１６の位置に対してラベル本体４の厚さ方向に重なる位置であって下紙３の表面から剥離紙６の裏面に達する深さのミシン目１７とからなるものである。
このように、ラベル紙片１０，１１，１２の境となる分離部１５が上紙２のスリット１６と下紙３から剥離紙６に及ぶミシン目１７とから構成されているため、隣り合うラベル紙片同士は完全には分離されていない状態となっており、これによってラベル本体４、即ち、ラベルシート１の腰が弱らず、また、一個口としてラベルシート１を使用するに際し、従来例の図４（イ）で示されているようにスリット１４からラベル本体４の一辺を指掛かりとして剥離紙６を取り去るようにしても各ラベル紙片１０，１１，１２はバラバラにならず、連続した状態で配送物に貼着できるようになる。さらに、各ラベル紙片１０，１１，１２の上紙１０ａ，１１ａ，１２ａが前記スリット１６によって完全に分断されているため、従来例の図４（ロ）に示すごとくラベルシート１を一個口の配送物に貼着した後に、ラベル紙片１１，１２から必要に応じて上紙１０ａ，１１ａを剥ぎ取るに際しても簡単にその剥ぎ取りが行える。
【０００７】
上記ラベルシート１において複数個口用としても使用できるようにしている上記ラベル紙片１１，１２にあっては、上述したように、ラベル紙片１１や１２を単独で剥離紙６から引き剥ぐ際の下紙の破れを防ぐ工夫が行われている。図２は中段にレイアウトされた受領票兼荷札として使用できるラベル紙片１１の上紙１１ａを分離し接着手段７側を上にした状態を示すものである。図示するように、上紙１１ａと下紙１１ｂとは接着手段７，８を介して剥離可能に接着されていて、上紙１１ａの積層対向面に施された前記接着手段７と下紙１１ｂの積層対向面に施された前記接着手段８とが接合し所要の加圧力による接着条件が付与されることで剥離可能に接着する接着力を呈するように接着手段７，８が調整されている。なお、接着手段７，８間の接着力は、粘着剤と剥離紙との間の接着力より大きくなるように設定されている。
接着力の調整方法としては、例えば、上紙１１ａの積層対向面に比較的接着力の大きい接着剤を塗布し、その接着剤塗布面の上に網掛け印刷を施して設定接着力までに接着力を低下させることで接着手段７を構成している。下紙１１ｂの積層対向面に設けられる接着手段８も同様であって、下紙１１ｂの積層対向面に比較的接着力の大きい接着剤を塗布し、その接着剤塗布面の上に印刷を施して設定接着力までに接着力を低下させて構成している。そして、下紙１１ｂの上記スリット１４と対向する辺側の隅部には、ベタ印刷を行って接着力を生じさせないようにした非接着部１８が設けられており、上紙１１ａの剥ぎ取りがこの非接着部１８から行えるようにしている。
そして、図２に示されているように、上記上紙１１ａの積層対向面、即ち、接着手段７が設けられた面にあっては、その接着手段７の接着力調整用の印刷を行わない抜き部（印刷の抜き）１９が上紙１１ａの周辺部に沿って破線パターンで設けられており、この抜き部１９で表出する接着剤が直に下紙の接着手段８に接合することで、ラベル紙片１１の上紙１１ａと下紙１１ｂとの周辺部が、剥離可能であって接着手段７，８間の接着力より強い接着力にて接着されている。これによって、複数個口用としてラベル紙片１１を単独でラベルシート１から剥ぎ取るに際しては、上紙１１ａと下紙１１ｂの周辺部が内部側よりは強い接着力で接着されているため、前記下紙１１ｂとミシン目１７を境にして隣り合う他のラベル紙片１０，１２の下紙１０ｂ，１２ｂとにあっては、そのミシン目１７の部分周辺が剥がれることなく腰が強くなるように接着され、よって、ミシン目１７で確実に切断されて従来のような下紙に破れを生じさせることはない。
【０００８】
上記抜き部１９の位置は上紙１１ａの周辺部端縁に揃えるようにすることが良好であるが、その周辺部端縁から少し離れた位置に設定してもよく、抜き部のパターンも限定されるものではない。また、下紙１１ｂ側の上記非接着部１８に対応する位置にはこの抜き部１９を設けたり、また、設けないようにしたりしてもよい。そして、前記抜き部１９は接着手段８側に設けるようにすることも可能である。なお、図示していないが、複数個口用として単独で取り扱えるようにしているラベル紙片１２にあっても、同様に接着力が調整された接着手段及び抜き部が設けられている。また、荷札とするラベル紙片１０は、受領票兼荷札や送り状兼荷札とするラベル用紙１１，１２とは異なり、必ずしも上述のような上紙と下紙の間での接着力を調整する必要はない。
【０００９】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のラベルシートによれば、上紙と下紙とを剥離可能な接着力を呈する接着手段を介して剥離可能に積層してなるラベル本体の裏面に粘着剤を塗布して、該粘着剤を剥離紙で剥離可能に覆い、前記ラベル本体に、上紙に入れられたスリットと前記スリットの位置に対してラベル本体の厚さ方向に重なる位置であって下紙の表面から剥離紙の裏面に達する深さのミシン目とからなる分離部を設けて、該分離部によりラベル本体を複数のラベル紙片に区画形成し、前記複数のラベル紙片の内の少なくとも一つのラベル紙片における上紙と下紙との所定周辺部が、剥離可能であって前記接着手段の接着力より強い接着力にて接着されていることを特徴とするものである。これによって、複数のラベル紙片を区画形成しながらも腰があってフィード適性が良好なラベルシートとなり、プリンタ内部の移送工程でこのラベルシートが曲がったり切れたりすることがなくなる。また、ラベル紙片の上紙の剥ぎ取りが簡単に行えるようになるとともに、ラベルシートを複数個口用として使用する場合のように、ラベルシートから任意のラベル紙片を剥ぎ取るに際しても、下紙側での破れを確実に防止して、ラベル紙片の剥ぎ取りを簡単に行うことができるようになるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るラベルシートの一例を示すもので、（イ）は上紙側を示す説明図、（ロ）は剥離紙側を示す説明図、（ハ）は（イ）のＡ−Ａ線に沿った断面を示す説明図である。
【図２】一つのラベル紙片の上紙を引き剥いだ状態を示す説明図である。
【図３】従来例のラベルシートの一例を示すもので、（イ）は上紙側を示す説明図、（ロ）は剥離紙側を示す説明図、（ハ）は（イ）のＢ−Ｂ線に沿った断面を示す説明図、（ニ）は（イ）のＣ−Ｃ線に沿った断面を示す説明図である。
【図４】従来例のラベルシートにおける使用形態を示すもので、（イ）はラベル本体を剥ぎ取る状態を示す説明図、（ロ）は上紙を剥ぎ取る状態を示す説明図である。
【図５】下紙の破れを示す説明図である。
【図６】複数個口でのラベルシートの使用例を示す説明図である。
【符号の説明】
１…ラベルシート ２…上紙 ３…下紙
４…ラベル本体
６…剥離紙
７，８…接着手段
１０…ラベル紙片 １０ａ…上紙 １０ｂ下紙
１１…ラベル紙片 １１ａ…上紙 １１ｂ…下紙
１２…ラベル紙片 １２ａ…上紙 １２ｂ…下紙
９，１５…分離部 １６…スリット １７…ミシン目
１９…抜き部
Claims (1)
- 上紙と下紙とを剥離可能な接着力を呈する接着手段を介して剥離可能に積層してなるラベル本体の裏面に粘着剤を塗布して、該粘着剤を剥離紙で剥離可能に覆い、
前記ラベル本体に、上紙に入れられたスリットと前記スリットの位置に対してラベル本体の厚さ方向に重なる位置であって下紙の表面から剥離紙の裏面に達する深さのミシン目とからなる分離部を設けて、該分離部によりラベル本体を複数のラベル紙片に区画形成し、
前記複数のラベル紙片の内の少なくとも一つのラベル紙片における上紙と下紙との所定周辺部が、剥離可能であって前記接着手段の接着力より強い接着力にて接着されていることを特徴とするラベルシート。
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|---|---|---|---|
| JP30129997A JP3608099B2 (ja) | 1997-10-31 | 1997-10-31 | ラベルシート |
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| JP30129997A JP3608099B2 (ja) | 1997-10-31 | 1997-10-31 | ラベルシート |
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Family Applications (1)
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-
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