JP3608036B2 - 湿気硬化性ウレタン樹脂組成物及び防水材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、硬化性、貯蔵安定性に優れ、更に塗膜表面の残存タックが少ない湿気硬化性ウレタン樹脂組成物及びそれを用いた防水材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の湿気硬化型ウレタン樹脂組成物としては、特開昭57−94056号公報が知られているが、硬化時に水分とイソシアネート基が反応する際に発生する炭酸ガスのためにしばしば塗膜の膨れが発生する問題がある。膨れの原因となる炭酸ガスの発生を抑えるためにケチミン、エナミン等の湿気解離型の架橋剤が提案されており、その中でも特開平6−293821号公報、特開平7−33852号公報、特開平7−10949号公報等で提案されるオキサゾリジン化合物を用いた組成物は炭酸ガスの発生がなく比較的性能バランスのとれた材料である。
【0003】
しかし、特開平6−293821号公報等に示されるようなオキサゾリジン基が湿気により開環して活性水素を発生し、ウレタンプレポリマーと反応して硬化した塗膜においては表面の残存タックが大きく塗膜上を歩行した際にベトツキ感がある、汚れが付着しやすいという問題点があった。更に近年の工期の短縮傾向のため施工1日後には塗膜表面を歩行することが多く短期間でタックが低減する材料が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、硬化性に優れる湿気硬化性ウレタン樹脂組成物であり、更に塗膜表面の残存タックが少ないという特徴を持つ湿気硬化性ウレタン樹脂組成物及びそれを用いた防水材にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題点について、鋭意研究した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は、(A)トリレンジイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールの反応物からなる末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー、(B)ポリフェニルメタンポリイソシアネート又はそのカルボジイミド変性物、(C)(c1)末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーと、(c2)N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応させて得られる末端にオキサゾリジン基を有するウレタンオキサゾリジンプレポリマーからなり、(A)と(B)のイソシアネート当量比が90:10〜15:85であることを特徴とする湿気硬化性ウレタン樹脂組成物、好ましくはポリフェニルメタンポリイソシアネート又はそのカルボジイミド変性物(B)が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物又はカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートであること、及びそれからなる防水材を提供するものである。
【0007】
以下に本発明を更に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるトリレンジイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールの反応物からなる末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー(A)は、トリレンジイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールをイソシアネート過剰のもとで常法により調整されるプレポリマーである。
【0009】
ここで用いられるポリオキシアルキレンポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の多価アルコールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上を付加して得られるポリオール及びポリオキシテトラメチレンポリオール等が挙げられる。
【0010】
末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー(c1)は、有機ポリイソシアネートとポリオールとをポリイソシアネートの過剰のもとで化合物(A)と同様の方法で調製されるウレタンプレポリマーである。
【0011】
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネートの他、ジフェニルメタンジイソシアネート、一部をカルボジイミド化されたジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0012】
また、このポリオールとは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール及びこれらの混合ポリオールである。例えば、複合金属シアン化合物錯体を触媒として製造されたポリオールも含まれる。
【0013】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の多価アルコールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上を付加して得られるポリオール及びポリオキシテトラメチレンポリオール等が挙げられる。
【0014】
ポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパンあるいはその他の低分子ポリオールの1種又は2種以上とグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸あるいはその他の低分子ジカルボン酸やオリゴマー酸の1種又は2種以上との縮合重合体及びプロピオラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合体等が挙げられる。
【0015】
その他のポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。又、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールグリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の低分子ポリオールも挙げられる。
【0016】
(A)成分のポリオールは、好ましくは数平均分子量500〜16000で、好ましくはオキシエチレン鎖を含まないポリエーテルポリオールである。さらに好ましくは、ポリエーテルジオール及び/又はポリエーテルトリオールである。(A)成分にオキシエチレン鎖を含むポリオールを使用する場合、(C)成分のオキシエチレン鎖量を計算して、組成物のオキシエチレン鎖の含有量が(A)成分と(C)成分の合計量に対して6重量%未満であることが好ましい。
【0017】
ウレタンプレポリマー(A)の末端イソシアネート基数は、好ましくは2以上、より好ましくは2〜3である。更にイソシアネートとポリオールとのNCO/OH比は好ましくは1.4以上、更に好ましくは1.4〜5.0である。残存NCO%は、好ましくは1〜20重量%である。
【0018】
ポリフェニルメタンポリイソシアネート又はその変性物(B)は、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、市販品であるミリオネートMR−100、MR−200(日本ポリウレタン株式会社製)等の商品名で知られるクルードMDIが単独又は混合して用いられ、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物とカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく用いられる。
【0019】
本発明の末端にイソシアネート基を2個以上有するプレポリマー(A)とポリフェニルメタンポリイソシアネート又はその変性物(B)との割合は、イソシアネート(NCO)当量比が、90:10から15:85の割合であり、更に好ましくは85:15から50:50の範囲である。(B)成分の割合が、10より少ない場合((A)成分が90より多い)は、残存タック低減の効果がないし、85よりも多い((A)成分が15より少ない)場合は、JIS−A−6021に規定する破断時の伸度で十分な値が得られないし、貯蔵後の粘度上昇が大きくなる。
【0020】
ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(C)のウレタンプレポリマー(c1)のポリオールは、オキシエチレン鎖を有することが好ましい。但し、オキシエチレン鎖を有さないポリオールとオキシエチレン鎖を有するポリオールとを混合したポリオールであっても(c1)成分として使用することが出来る。また、好ましくはオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン鎖の平均含有量が、1〜30重量%のものである。オキシエチレン鎖の含有量が1%重量未満では硬化速度が低下するし、30重量%を越えても更なる硬化性の向上が期待できないうえ、耐水性が低下する傾向がある。ただし、(A)成分、(C)成分のオキシエチレン鎖量を計算して合計し、そのオキシエチレン鎖の含有量が(A)成分と(C)成分の合計量に対して6重量%未満であることが好ましい。これを越えると耐水性が劣るものとなる。
【0021】
ウレタンプレポリマー(c1)は、好ましくは数平均分子量が500〜8000のものである。分子量が、500未満の場合、下地追従性に問題があるし、分子量が8000を越える場合、硬化速度が低下するという問題がある。また、ウレタンプレポリマー(c1)の末端の平均NCO基数は2.0〜2.6が好ましい。
【0022】
2.0未満であれば硬化性が低下する傾向があるし、2.6を越えると下地追従性が低下する傾向がある。更にイソシアネートとポリオールとのNCO/OH比は好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.8〜4.0である。残存NCO%は、好ましくは1〜15重量%である。
【0023】
又、ウレタンプレポリマー(c1)とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(c2)との反応比は、NCO/0H=0.95〜3.0が好ましい。NCO/0H=0.95未満ではN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが未反応のまま残存する傾向があり、貯蔵安定性に悪影響を与える。NCO/0H=3.0を越えると硬化速度の低下と粘度の上昇の問題がある。
【0024】
また、ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(C)の合成に用いられるN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(c2)は、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類と例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のジヒドロキシアルキルアミン類との公知の縮合反応により得られる化合物である。
【0025】
ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(C)の末端オキサゾリジン基の数は好ましくは1〜3である。3を越えると硬化後の伸張性が低下し、好ましくない。尚、
ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(C)の末端にオキサゾリジン基は1個以上あれば、その他の末端がイソシアネート基であってもよいことは言うまでもない。
【0026】
プレポリマー(A)及び化合物(B)の和とウレタンオキサゾリジンプレポリマー(C)の配合比は、プレポリマー(A)と化合物(B)のNCO基の和とプレポリマー(C)が水で開環して発生する活性水素基との比が、0.4〜4.0の範囲が好ましい。4.0より大であれば炭酸ガスの発生により塗膜に膨れが発生し易くなるし、0.4未満であれば貯蔵安定性が低下する。この様な点を考慮すると(A)+(B)と(C)の混合比は、重量比で60:1〜1:30の範囲が好ましい。
【0027】
本発明の組成物は、これらの用途で使用する際に燐酸、プロピオン酸等の公知のオキサゾリジン開環触媒、3級アミン、ジブチルチンジラウレート等の公知のウレタン触媒を用いることが出来る。また必要に応じて溶剤、無機充填剤、少量のプロセスオイル、可塑剤、揺変剤、体質顔料、耐侯性の維持向上のための紫外線防止剤、安定剤等各種添加剤などを含んでいてもよい。これら混合物が均一に混合でき、且つ保存性が確保できるのに十分なる混合、混練装置により製造する事ができる。
【0028】
溶剤類としては、トルエン、キシレン、ターペン、酢酸エチル等の通常のウレタン用溶剤が使用できる。
【0029】
揺変剤は、表面処理炭酸カルシウム、ポリ塩化ビニルパウダー、微粉末シリカ、ベントナイト等があげられる。このほか本発明の組成物には石油系高沸点芳香族系留分,石油樹脂等を混合しても良い。
【0030】
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤やトリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル系可塑剤が挙げられるが、組成物全体に対して12重量%を越えて用いると残存タックが大きくなり好ましくない。
【0031】
安定剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、カオリン、ゼオライト、硅そう土、ガラスバルーン等の無機化合物の粉粒体が挙げられる。その添加量は、組成物中好ましくは1〜70、より好ましくは30〜60重量%である。
【0032】
本発明の組成物は、代表される用途として建築物の防水材に使用することができるが、例えば屋根防水材に使用する場合はコンパウンドの有機溶剤含有量が12重量%以下で粘度が18000cps以下/25℃が好ましく、更に好ましくは有機溶剤含有量が10重量%以下で粘度が15000cps以下/25℃である。防水材として用いた場合、有機溶剤含有量が12重量%を越えると硬化後の塗膜の収縮が大きく好ましくないし、粘度が18000cps/25℃を越えると塗布作業性が悪く好ましくない。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を、実施例、比較例により詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。
【0034】
<(A)成分の合成>
(ウレタンプレポリマーの作製例1)
数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール600gと数平均分子量5000、ポリプロピレンエーテルトリオール200gに2,4−トリレンジイソシアネート110g、すなわちNCO/OHの当量比1.76にて窒素気流下で80℃にて20時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が2.52%のウレタンプレポリマー(A−1)を得た。
【0035】
(ウレタンプレポリマーの作製例2)
数平均分子量3000、オキシエチレン鎖の含有量4%のポリエチレンプロピレンエーテルジオール1500gに2,4−トリレンジイソシアネート174g、すなわちNCO/OHの当量比2.00にて窒素気流下で80℃にて20時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が2.51%のウレタンプレポリマー(A−2)を得た。
【0036】
(ウレタンプレポリマーの作製例3)
ウレタンプレポリマーの作製例1において2,4−トリレンジイソシアネート110gの代わりに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート162gを用いた。すなわちNCO/OHの当量比1.80にて窒素気流下で80℃にて20時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が2.52%のウレタンプレポリマー(P−3)を得た。
【0037】
<C成分の合成>
(ウレタンオキサゾリジンプレポリマーの作製例1)
数平均分子量600、オキシエチレン鎖の含有量30%のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール20gと数平均分子量600のポリプロピレンエーテルジオール270gを混合してオキシエチレン鎖の平均含有量2.1%、平均官能基数2.07、数平均分子量600のポリオールを得た。さらに2,4トリレンジイソシアネート174g、すなわちNCO/OHの当量比2.0にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が9.07%のウレタンプレポリマー(b1−1)を得た。
【0038】
ウレタンプレポリマー(b1−1)48.7gと2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジン15.9g、すなわちNCO/OHの当量比1.05にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させ、ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(OXZ−1)を得た。本組成物のGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0039】
(ウレタンオキサゾリジンプレポリマーの作製例1)
ウレタンオキサゾリジンプレポリマーの作製例1において2,4トリレンジイソシアネート174gの代わりに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート277.5gを用いた。すなわちNCO/OHの当量比2.22にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が9.06%のウレタンプレポリマー(b1−2)を得た。更にウレタンオキサゾリジンプレポリマーの作製例1と同様の方法でウレタンオキサゾリジンプレポリマー(OXZ−2)を得た。
【0040】
<コンパウンドの配合、実施例1〜4及び比較例1〜6に適用>
次に密閉型2軸バタフライミキサー中に120℃で攪拌しながら5時間減圧乾燥し、水分を0.05%以下に調整した炭酸カルシウム(日東粉化製NS−200)320部、100℃で攪拌しながら5時間減圧乾燥し、水分を0.1%以下に調整した脂肪酸処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製:シーレッツ200)25部、キシレン80部、ジオクチルフタレート80部、酸性燐酸エステルAP−3(大八化学社製)0.6部、下表に示すウレタンプレポリマー(A)、ウレタンオキサゾリジンプレポリマー(B)及び化合物(C)をそれぞれ所定量加え均一に混合した後、20トールの減圧下で脱泡して湿気硬化型ウレタンコンパウンドを得た。
【0041】
[試験方法]
(初期粘度)
サンプル作製2日後に温度計で1分間攪拌し、25℃に調整した後、BM回転粘度計で粘度を測定する。
【0042】
(貯蔵後粘度)
密閉容器に充填したサンプルを50℃乾燥機に7日間放置後、初期粘度と同様の方法で粘度を測定する。
【0043】
(粘度比)
貯蔵後粘度÷初期粘度で計算する。
【0044】
(硬化性試験)
四方を枠で囲いスレート板(30×30cm)上に厚さ1.4mmの割合で試料を流し、23℃×65%の条件下で放置し、指で触り塗膜の動きが無くなるまでの時間を測定した。
【0045】
(残存タック試験)
硬化性試験と同様の方法で作製した試料を23℃×65%の条件で24時間及び7日間放置後、塗膜表面にカーボン紙(2.5×2.5cm)を乗せ更に底辺2.5cm×2.5cmの分銅(500g)を乗せて1分間放置し、塗膜表面に付いたカーボンの汚れを目視で観察する。
カーボンの汚れが極めて少ない場合は◎、
汚れが少ない場合は ○、
汚れが中程度の場合は △、
汚れがひどい場合は ×とする。
【0046】
(非発泡性試験)
非発泡性は四方を枠で囲ったスレート板(30×30cm)上に厚さ2mmの割合で試料を流し、50℃×90%の条件下で硬化させた後、塗膜表面のフクレ、ピンホールの有無を観察した。フクレ、ピンホールの無いものは○、フクレ、ピンホールが有るものは×とした。
【0047】
(引張物性試験)
引張物性は四方を枠で囲い離型紙を貼ったガラス板(30×30cm)上に厚さ1.5mmの割合で試料を流し、23℃×65%の条件下で14日間放置し硬化させた後、引張試験機を用い引張速度500mm/minの条件で常態の引張強度(kg/cm2)、破断伸度(%)を測定した。
【0048】
【表1】
[配合条件及び試験結果]
備考:ルプラネートMI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの1:1の混合物、NCO%=33.7%(ビーエーエスエフジャパン製)
イソネート143L :カルボジイミド変性MDI、NCO%=29.4%(ダウポリウレタン日本製)
NCO/(H) :化合物(A)と(B)のNCO当量の和と化合物(C)が解離したときに発生する活性水素の当量の比を示す。
【0049】
【表2】
[配合条件及び試験結果]
備考:2,4−TDIは2,4トリレンジイソシアネートを意味する。
【0050】
【表3】
[配合条件及び試験結果]
【0051】
比較例1の(B)成分を含まない組成物及びは残存タックが大きい結果となった。比較例2は実施例1のルプラネートMIに相当するNCO当量の2,4−TDIを加えたものであるが、実施例1に比較して残存タックが大きい結果となった。比較例3は化合物(B)を請求範囲よりも多く入れたものであり、残存タックは良好なものの防水材としての破断伸度が低く勝つ貯蔵後の粘度上昇が大きいものであった。比較例5は化合物(B)を請求範囲より少なく入れたもので残存タックが大きい結果となった。比較例5、6はA成分においてトリレンジイソシアネートの代わりに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いたものであり、比較例6は残存タックが少ないもののいずれも粘度が高く塗布作業性が悪いと予想される上に貯蔵後の粘度上昇が大きいものであった。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、硬化性、貯蔵安定性に優れる湿気硬化性ウレタン樹脂組成物であり、更に塗膜表面の残存タックが少ないという特徴を持つ湿気硬化性ウレタン樹脂組成物及びそれを用いた防水材である。
Claims (3)
- (A)トリレンジイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールの反応物からなる末端にイソシアネート基を2個以上有するプレポリマー、(B)ポリフェニルメタンポリイソシアネート又はそのカルボジイミド変性物、(C)(c1)末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーと、(c2)N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応させて得られる末端にオキサゾリジン基を有するウレタンオキサゾリジンプレポリマーからなり、前記(A)と(B)のイソシアネート当量比が90:10〜15:85であることを特徴とする湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
- ポリフェニルメタンポリイソシアネート又はそのカルボジイミド変性物(B)が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物又はカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
- 請求項1〜2のいずれか記載の組成物からなる防水材。
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