JP3985439B2 - 湿気硬化性樹脂層を有する構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下層が施工性と耐水性に優れ、上層との接着性に優れた構造体に関するものであり、駐車場防水材やフォークリフト等の重量物の通行する工場床等に有効な構造体である。
【0002】
【従来の技術】
従来の駐車場用やフォークリフト等の通行する工場床用としてはウレタン系中塗り材とウレタン系上塗り材の組み合わせやウレタン系中塗り材とFRP系上塗り材との組み合わせ等が提案されているが、いずれもウレタン系は二液混合型であり、材料の計量、混合が必要である。また、中塗り層と上塗り層の間に層間プライマーが必要であり施工に手間を要する。更に、経年で中塗り層と上塗り層の間で剥離が生じやすい等の問題があり、解決が求められている。この中で湿気硬化型ウレタン組成物としては、特開昭57−94056号公報が知られているが、硬化時に水分とイソシアネート基が反応する際に発生する炭酸ガスのためにしばしば塗膜の膨れが発生する問題がある。膨れの原因となる炭酸ガスの発生を抑えるためにケチミン、エナミン等の湿気解離型の架橋剤が提案されており、その中でも特開平6−293821号公報、特開平7−33852号公報、特開平7−10949号公報等で提案されるオキサゾリジン化合物を用いた組成物は炭酸ガスの発生がなく比較的性能バランスのとれた材料である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、湿気硬化性ウレタン系樹脂層を下層とした耐久性と上層との接着性に優れた構造体を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、下層がポリイソシアネート化合物、特に末端にイソシアネート基を2個以上有するプレポリマー(A)及び湿気で解離して活性水素を発生する化合物、特に湿気で解離して活性水素を発生する末端にオキサゾリジン基を有する化合物(B)を含有する湿気硬化性組成物から得られるものであり、また上層がJIS−A硬度70以上若しくはショアーD硬度50以上の樹脂、特にポリフェニルメタンポリイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分と天然油及び/又はその誘導体及び/又は活性水素含有ビスフェノール誘導体とからなるポリウレタン樹脂(C)であるものからなる構造体を提供する。以下に本発明を更に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の下層に使用される(B)湿気で解離して活性水素化合物を発生する化合物としては、活性水素を種々の方法でマスクし、吸湿によってNH、NH2、OH等の活性水素を発生する化合物であり、例えばケチミン、エナミン、アルジミン、オキソザリジン、水分で脱アルコールしてシラノール結合を持つ化合物等が用いられるが、この中でもオキサゾリジン基を有する化合物が好ましく用いられる。
【0006】
本発明で好ましく用いられるオキサゾリジン基を有する化合物は、(b1)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と(b2)N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応させて得られるものである。(A)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物及び(b1)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物はいずれもイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、有機ポリイソシアネート単独及び/又は有機ポリイソシアネートとポリオールをポリイソシアネートの過剰のもとで常法により調製されるウレタンプレポリマーである。
【0007】
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、一部をカルボジイミド化されたジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0008】
また、ポリオールとは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール及びこれらの混合ポリオールである。例えば、複合金属シアン化合物錯体を触媒として製造されたポリオールも含まれる。
【0009】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の多価アルコールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、オキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上を付加して得られるポリオール及びポリオキシテトラメチレンポリオール等が挙げられる。
【0010】
ポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパンあるいはその他の低分子ポリオールの1種又は2種以上とグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸あるいはその他の低分子ジカルボン酸やオリゴマー酸の1種又は2種以上との縮合重合体及びプロピオラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合体等が挙げられる。
【0011】
その他のポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。又、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールグリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の低分子ポリオールも挙げられる。
【0012】
上記ポリオールは、好ましくは数平均分子量500〜16000で、好ましくはポリオキシアルキレンポリオールであり、且つポリオキシアルキレンポリオール中にブチレンエーテル結合5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%の範囲で含有することが硬化性、耐水性の点から好ましい。
【0013】
また、ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基数は、好ましくは2以上、より好ましくは2〜3である。更にイソシアネートとポリオールとのNCO/OH比は好ましくは1.4以上、更に好ましくは1.4〜5.0である。残存NCO%は、好ましくは1〜20重量%である。
【0014】
(A)ポリイソシアネート化合物と(B)湿気で解離して活性水素化合物を発生する化合物の配合比は、(A)ポリイソシアネート化合物のNCO基と(B)水分で開環して発生する活性水素化合物の活性水素基との比が、0.4〜4.0の範囲が好ましい。その比率であれば、炭酸ガスの発生が少なく、貯蔵安定性が良好である。
【0015】
ポリイソシアネート化合物は、好ましくは数平均分子量が500〜8000のものである。その分子量であれば、下地追従性、硬化速度が良好である。また、ポリイソシアネート化合物の末端の平均NCO基数は2.0〜2.6が好ましい。
その基数であれば、硬化性、下地追従性が良好である。更にイソシアネートとポリオールとのNCO/OH比は好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.8〜4.0である。残存NCO%は、好ましくは1〜15重量%である。
【0016】
又、有機ポリイソシアネートとN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとの反応比は、NCO/OH=0.95〜3.0が好ましい。その反応比であれば、N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが十分に反応し、貯蔵安定性、硬化速度、粘度が良好である。
【0017】
また、N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b2)は、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類と例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のジヒドロキシアルキルアミン類との公知の縮合反応により得られる化合物である。
【0018】
ウレタンオキサゾリジンプレポリマーの末端オキサゾリジン基の数は好ましくは1〜3である。その基数であれば、硬化後の伸張性が良好である。尚、ウレタンオキサゾリジンプレポリマーの末端にオキサゾリジン基は1個以上あれば、その他の末端がイソシアネート基であってもよいことは言うまでもない。
【0019】
本発明の下層を構成する組成物には、これらの用途で使用する際に必要に応じてオキサゾリジンの解離触媒としての酸、有機溶剤、無機充填剤、プロセスオイル、可塑剤、揺変剤、体質顔料、耐侯性の維持向上のための紫外線防止剤、安定剤等各種添加剤などを含んでいてもよい。これら混合物が均一に混合でき、且つ保存性が確保できるのに十分なる混合、混練装置により製造する事ができる。
【0020】
解離触媒としての酸としては例えばサリチル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、、メリット酸及びこれらの酸無水物等の公知の酸が用いられるが、特に好ましくはテレフタル酸、サリチル酸が用いられる。
【0021】
溶剤類としては、トルエン、キシレン、ターペン、酢酸エチル等の通常のウレタン用溶剤が使用できる。
【0022】
揺変剤は、表面処理炭酸カルシウム、ポリ塩化ビニルパウダー、微粉末シリカ、ベントナイト等があげられる。このほか本発明の組成物には石油系高沸点芳香族系留分,石油樹脂等を混合しても良い。
【0023】
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤やトリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル系可塑剤が挙げられる。
【0024】
安定剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、硫酸アルミニウム、カオリン、硅そう土、ガラスバルーン等の無機化合物の粉粒体が挙げられる。その添加量は、組成物中に好ましくは5〜70、より好ましくは10〜60重量%である。
【0025】
本発明の構造体の上層としては、硬度がJIS−A硬度70以上、好ましくは70〜100以上の樹脂(C)、若しくは硬度がショアーD硬度50以上、好ましくは50〜90以上の樹脂(C)からなるものである。(C)硬度がJIS−A硬度70以上の樹脂は、比較的柔軟〜硬質な樹脂若しくは樹脂組成物である。また、硬度がショアーD硬度50以上の樹脂としては、比較的硬い樹脂若しくは樹脂組成物である。例えば、ウレタン系、不飽和ポリエステル等のFRP、アクリル樹脂等公知の樹脂組成物を使用することが出来るが、好ましくはポリフェニルメタンポリイソシアネートを主成分とするイソシアネート(c1)と天然油及び/又はその誘導体及び/又は活性水素含有ビスフェノール誘導体の活性水素成化合物(c2)を混合して硬化させ、硬度がショアーD硬度計で50以上の樹脂組成物が用いられる。
【0026】
尚、本発明に於けるJIS−A硬度は、ゴム硬度計定圧荷重機(例えばCL−150M、高分子計器株式会社製)に硬度計をセットし荷重1250gにて硬度の最高値を測定する。また、ショアーD硬度については、ゴム硬度計定圧荷重機(例えばCL−150M、高分子計器株式会社製)に硬度計をセットし荷重5000gにて硬度の最高値を測定する。
【0027】
上記ポリフェニルメタンポリイソシアネートを主成分とするイソシアネート(c1)としてはMR−100,MR−200(日本ポリウレタン製)やコスモネートM−50,コスモネートCX−200等の公知のポリフェニルメタンポリイソシアネート及び、又はその変性物が用いられる。
【0028】
また、活性水素化合物(c2)としては天然油及び又はその誘導体(活性水素を含有する天然油誘導体)及び又は活性水素含有ビスフェノール誘導体であり、天然油及び又はその誘導体としては具体的にはひまし油、大豆油、やし油等の天然油及び又はそれらの誘導体であり、中でも二級水酸基を有するひまし油及びその誘導体が好ましく用いられる。ここでいう天然油の誘導体としては天然油と多価アルコールとのエステル交換反応物、天然油の重合体、天然油のジシクロペンタジエン付加物等が挙げられる。
【0029】
ビスフェノール誘導体としては、活性水素を有するものであり、ビスフェノール系エポキシのアルキレンオキサイド付加物やビスフェノール系エポキシと高級脂肪酸との反応物等があげられる。その他に公知のポリオールや発泡防止のための活性アルミナ粉末、合成ゼオライト粉末等や、可塑剤、充填剤、触媒、耐候性向上のための添加剤等を含有することが出来る。製品としては大日本インキ化学工業製のプライアデックHF−3000主剤/硬化剤(ショアーD硬度65〜75)、プライアデックHF−3500主剤/硬化剤(ショアーD硬度70〜80)等が好ましく用いられる。
【0030】
尚、かかる活性水素化合物(c2)としては、上記のものが好ましいが本発明の効果を達成するものであれば他のものでも差し支えない。
【0031】
本発明は、下層に(A)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と(B)湿気で解離して活性水素化合物を含有する湿気硬化性ウレタンを用い、(C)上塗り層(上層)として硬化物の塗膜硬度がJIS−A硬度計で70以上の樹脂組成物を用いることによって、中塗り材(下層)の仕上がり性や施工性に優れ、更に中塗り材と上塗り材の接着性に優れるため過酷な条件で使用されても層間剥離を生じにくい特徴がある。好ましくは湿気で解離して活性水素化合物を発生する化合物がオキサゾリジン系化合物であり、更に好ましくは上塗り材にポリフェニルメタンポリイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分と天然油及び又はその誘導体及び又はビスフェノール誘導体を含有する活性水素成分を混合して硬化させ、硬化物の塗膜硬度がショアーD硬度計で40以上の樹脂組成物を用いることによって一層効果を発揮することができる。
【0032】
本発明の構造体に於ける好ましい各層の厚は下層が0.05〜3.0mm/m2、上層が0.05〜5.0mm/m2である。この範囲においては好ましい下地追従性等の耐久性が得られる。かかる構造体は、少なくとも上下層を有しているが、使用目的によっては上層の上に仕上層やトップコート層が積層されてもよく、また下層には基板が構成されていてもよい。
【0033】
本発明の構造体については、例えば駐車場、工場床等に使用される。特に駐車場の防水施工に適用される場合には、コンクリート等の基盤の上に下地プライマーが積層され、次いで本発明の構造体が積層され、その上に仕上層、必要により更にトップコート層が積層される。勿論、本発明の構造体の上下層の接着性を高めるために層間プライマー、例えば公知の湿気硬化型ウレタンプライマー、エポキシ系プライマー等を使用しても良い。
尚、駐車場の防水施工に於いては、コンクリート等の下地に中塗り材(本発明の下層構成材料)を塗布する前に予めウレタン系、エポキシ系等のプライマーを塗布することが好ましく、上塗り材(本発明の上層構成材料)を塗布する前に予め中塗り層の上に上記と同様のプライマーを塗布しても良い。また、上塗り層にケイ砂等を散布又は、上塗り層にブレンドしてノンスリップ仕上げ等、仕上がり性の要求仕様によって多種類の仕様を組むことが出来る。更に、耐候性を向上する目的で上塗り層の上にアクリルウレタン系、フッ素系、アクリルシリコン系等のトップコートを塗布しても良い。
【0034】
本発明の構造体は、中塗り材が施工性や耐水性に優れ、更に上塗り材との接着性に優れるため過酷な条件で使用されても層間剥離を生じにくい特徴がある。また、好ましい上塗り材としてポリフェニルメタンポリイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分と天然油及び又はその誘導体及び又はビスフェノール誘導体を含有する活性水素成分を混合して硬化させ、塗膜硬度がショアーD硬度計で50以上の樹脂組成物を用いることによって一層耐久性に優れた構造体を提供する。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を、実施例、比較例により詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。
【0036】
<(A)成分の合成>
(ポリイソシアネート化合物の作製例1)
数平均分子量2000のポリブチレンエーテルジオール600g(0.3モル)、数平均分子量3000のポリプロピレンエーテルトリオール400g(0.13モル)に2,4−トリレンジイソシアネート191.4g(1.1モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.2にて窒素気流下で80℃にて15時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が4.26%のBO成分含有ポリイソシアネート化合物(A−1)を得た。
【0037】
(ポリイソシアネート化合物の作製例2)
ポリイソシアネート化合物の作成例1において数平均分子量3000のポリプロピレンエーテルトリオール300g(0.1モル)の代わりに数平均分子量3000、オキシエチレン鎖の含有量8%のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール300g(0.1モル)を用いたこと以外は同様の方法で合成し、NCO%が4.22%のBO成分含有ポリイソシアネート化合物(A−2)を得た。
【0038】
<(B)成分の合成>
(オキサゾリジン含有ウレタン化合物の作製例1)
数平均分子量4800、オキシエチレン鎖の含有量14%のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール500g(0.104モル)と数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール500g(0.25モル)を混合してオキシエチレン鎖の平均含有量7.5%、平均官能基数2.29、数平均分子量2820のポリオールを得た。さらにヘキサメチレンジイソシアネート143.3g(0.853モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.1にて窒素気流下で80℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が3.29%、1分子当たりの末端NCO基数2.29のポリイソシアネート化合物(b1−1)を得た。
【0039】
ポリイソシアネート化合物(b1−1)140.8gと2ーイソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジン15.9g、すなわちNCO/OHの当量比1.1にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させ、オキサゾリジン含有ウレタン化合物(OXZ−1)を得た。本組成物のGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0040】
(オキサゾリジン含有ウレタン化合物の作製例2)
数平均分子量600、オキシエチレン鎖の含有量30%のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール20g(0.033モル)と数平均分子量600のポリプロピレンエーテルジオール270g(0.45モル)を混合してオキシエチレン鎖の平均含有量2.1%、平均官能基数2.07、数平均分子量600のポリオールを得た。さらに2,4トリレンジイソシアネート174g(1.0モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.0にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が9.07%、1分子当たりの末端NCO基数2.07のポリイソシアネート化合物(b1−2)を得た。
【0041】
ポリイソシアネート化合物(b1−2))48.7gと2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジン15.9g、すなわちNCO/OHの当量比1.05にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させ、オキサゾリジン含有ウレタン化合物(OXZ−2)を得た。本組成物のGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0042】
<コンパウンドの配合>
中塗り材(下層)の作成のために密閉型プラネタリーミキサー中に120℃で5時間減圧乾燥し、水分を0・05%以下に調整した炭酸カルシウム(日東粉化製NS−200)320部、120℃で5時間減圧乾燥し、水分を0・1%以下に調整した脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石カルシウム製ハクエンカCCR)30部、キシレン80部、ジオクチルフタレート(以下DOPと略)90部、テレフタル酸とDOPを重量比で1:1でロールミキサーを用いて予め混合したペースト10部、サリチル酸0.6部及び下表に示すポリイソシアネート化合物(A)、オキサゾリジン含有ウレタン化合物(B)をそれぞれ所定量加え均一に混合した後、60トールの減圧下で脱泡して湿気硬化型ウレタンコンパウンドを得た。
【0043】
(実施例1〜3、比較例1〜3)
30×30cmのコンクリート舗装板の表面に予めプライマーとしてプライアデックT−120−35(大日本インキ化学工業製)を200g/m2塗布した後、後出の表1及び2に示す中塗り材(下層)を2kg/m2塗布し、室温で7日間放置する。その上に後出の表1及び2に示す上塗り材(上層)を1.5kg/m2塗布し、室温で7日間放置して上下層からなる構造体が積層された基盤(コンクリート舗道板)を得る。
[試験方法]
(耐久性試験)
上記の積層物を60℃温水中に28日間浸漬する。サンプルを取り出し、室温で3hrs放置後、据えきり試験機NKA−187(ニッケン株式会社製)にて設置圧40kg/cm2の条件で、据えきり試験を実施し、上塗り層と中塗り層の間で剥離等の異常が生じるまでの据えきり回数を測定した。尚、据えきり回数3000回でも剥離等の異常が生じない場合は異常なしとした。
(中塗り材の硬化性)
四方を枠で囲い離型紙を貼ったガラス板(30×30cm)上に厚さ1.5mmの割合で中塗り材を流し、25℃×50%の条件下で放置し、指で触り塗膜の動きが無くなるまでの時間を測定した。
【0044】
(中塗り材の非発泡性試験)
四方を枠で囲ったスレート板(30×30cm)上に厚さ2mmの割合で中塗り材を流し、50℃×90%の条件下で硬化させた後、塗膜表面のフクレ、ピンホールの有無を観察した。フクレ、ピンホールの無いものは○、フクレ、ピンホールが有るものは×とした。
【0045】
[配合条件及び試験結果]
【表1】
PF570/E570:硬化塗膜の硬度JIS−A 92(大日本インキ化学工業製)
HF3500:硬化塗膜の硬度ショアーD 75(大日本インキ化学工業製)
【0046】
[配合条件及び試験結果]
【表2】
比較例3は中塗り材として二液硬化型ウレタン、サンシラールN(三井東圧化学株式会社製)を用いた。
【0047】
比較例1、2の中塗り材として(B)湿気で解離して活性水素化合物を発生する化合物を含まない組成物を用いた場合は硬化性、非発泡性及び耐久性に劣るものであった。比較例3の湿気硬化型ウレタンの代わりに二液硬化型ウレタンを用いたものは硬化性、耐久性に劣るものであった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の構造体は、下層が耐水性に優れ、また上層との接着性に優れるため過酷な条件で使用されても層間剥離を生じにくい特徴がある。
Claims (6)
- 下層がポリイソシアネート化合物(A)及び湿気で解離して活性水素を発生する化合物(B)を含有する湿気硬化性組成物から得られるものであり、また上層がJIS−A硬度70以上の樹脂(C)である、少なくとも二層からなる構造体。
- 下層がポリイソシアネート化合物(A)及び湿気で解離して活性水素を発生する化合物(B)を含有する湿気硬化性組成物から得られるものであり、また上層がショアーD硬度50以上の樹脂(C)である、少なくとも二層からなる構造体。
- 湿気で解離して活性水素を発生する化合物が末端にオキサゾリジン基を有する化合物からなる請求項1又は請求項2記載の構造体。
- 樹脂(C)が(c1)ポリフェニルメタンポリイソシアネートを主成分とするイソシアネート成分と(c2)天然油及び/又はその誘導体及び/又は活性水素含有ビスフェノール誘導体とを反応してなる、ショアーD硬度50以上のポリウレタン樹脂である請求項2又は請求項3記載の構造体。
- 末端にオキサゾリジン基を有する化合物が(b1)末端にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と(b2)N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応させて得られる末端にオキサゾリジン基を有するウレタンオキサゾリジンプレポリマーである請求項3又は請求項4記載の構造体。
- ポリイソシアネート化合物(A)がポリイソシアネート化合物とポリオキシアルキレンポリオールを反応させて得られる末端にイソシアネート基を2個以上有するプレポリマーであり、且つポリオキシアルキレンポリオール中にブチレンエーテル結合を5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造体。
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JP2000236859A JP3985439B2 (ja) | 2000-08-04 | 2000-08-04 | 湿気硬化性樹脂層を有する構造体 |
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