JP3603656B2 - 表示用電極基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の一面上に主電極とこの主電極に沿って形成された補助電極とを形成してなる表示素子用電極基板の製造方法に関し、液晶表示素子用の電極基板等に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
この種の表示素子用電極基板は、例えば、AFLC(反強誘電性液晶)、FLC(強誘電性液晶)、TFT(薄膜トランジスタ)、STN(超ねじれネマチック液晶)等の液晶表示素子に用いられる。一般に、液晶表示素子は、対向する透明な一対の電極基板と、これら両電極基板間に介在され両電極基板間に印加される電圧により駆動される液晶とを備える。
【0003】
近年、液晶表示素子は従来の10〜13インチのノートパソコンからCRT代替えを狙った15〜21インチの液晶モニターへ適用される等、大型化が進んでいる。
【0004】
このような大型化に伴い電極配線の抵抗増大による信号波形の鈍りが問題となっている。この信号波形の鈍りは表示ストロークを発生させたり、表示輝度のむらとなって表示品位を著しく低下させる。
【0005】
このような問題を回避するために、電極として低抵抗なITO透明電極の膜厚を厚くすることが考えられるが、透過率の点で実現は不可能である。
【0006】
本出願人は以上の点に鑑みて、次のような表示素子用電極基板の製造方法を特願平10−211443号にて提案している。即ち、基板の一面上に主電極と、該主電極に沿って形成された補助電極とを形成してなる表示素子用電極基板において、上記主電極と補助電極との間に補助電極側から主電極側に貫通する穴を有する絶縁性の平坦膜を介在し、該穴に、補助電極と主電極とを電気的に接続する導電材を充填する構成を提案している。
【0007】
この電極基板の構成によれば、いわゆる埋め込み電極構造となり、導電材の存在により電極構成の低抵抗化が実現される。
【0008】
上記特願平10−211443号には、上記電極基板の製造方法を開示しており、その製造方法としては、先ず基板の一面の全面上に補助電極となる下地金属を形成し、該下地金属をフォトリソ技術により所定の線幅にパターニングして、補助電極を形成する。次に、該補助電極上に絶縁性の平坦膜としての例えば感光性アクリル樹脂を塗布し、該アクリル樹脂のうち、上記補助電極側に対向する部分をマスキングし、該アクリル樹脂を露光、現像する。これにより、該アクリル樹脂が平坦膜となり、又、該平坦膜に、補助電極側から平坦膜上に貫通する穴が形成される。
【0009】
次に、上記補助電極を電極とした電気めっきを行うことにより、上記穴から露出するよう該穴に導電材を充填し、最後に該導電材と電気的に接続するように平坦膜上に主電極を形成するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案のものにおいては、基板の一面の全面上に補助電極となる下地金属を形成し、該下地金属をフォトリソ技術により所定の線幅にパターニングして、補助電極を形成し、該所定の線幅の補助電極に対して電気めっきにより導電材を上記穴内に充填する方法である。このため、該補助電極が所定の線幅を有し、しかも該補助電極の基板の一端から他端までの長さが長くなると、補助電極自体の配線抵抗の影響を受け易くなるので、電気めっき時の電流供給部では導電材の厚みが厚くなり、該電流供給部から離れる部位では導電材の厚みが薄くなるという現象を生じることになる。
【0011】
導電材の厚みが薄い個所では主電極との接続が不良となる場合があり、又、厚みの薄い個所を厚くするためにめっき時間を長くすると、過剰にめっき厚が厚くなる個所が発生し、主電極表面の段差を招く。
【0012】
本発明は、電気めっき時における補助電極の配線抵抗の影響を受け難くすることを狙うものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、基板の一面上に主電極と、該主電極に沿って形成され、前記主電極と電気的に接続された補助電極とを形成してなる表示素子用電極基板を製造する方法であって、
前記基板の前記一面上全面に前記補助電極を形成する工程と、
該補助電極上に絶縁性膜を形成する工程と、
該絶縁性膜に、前記補助電極側から前記絶縁性膜上に貫通する穴を形成する工程と、
前記補助電極を電極とした電気めっきを行うことにより、前記穴から露出するように、前記穴に導電材を充填する工程と、
前記絶縁性膜を剥離する工程と、
前記補助電極の内、前記導電材が位置する部分以外の領域を削除する工程と、
前記導電材の表面を含めて前記基板の前記一面上に絶縁性の平坦膜を形成する工程と、
該平坦膜に、前記導電材に対応する位置に前記導電材から前記平坦膜上に貫通する穴を形成して該穴を介して前記導電材を前記平坦膜から露出し、かつ露出面が前記穴の主電極側の開口縁部から引っ込んで段差をなすように露出させる工程と、
前記穴から露出する前記導電材と電気的に接続されるように、前記導電材の前記露出側に、前記平坦膜上に前記主電極を形成する工程と
前記主電極及び前記主電極の存在しない前記平坦膜の上に、絶縁膜を形成する工程と
を包含することを特徴としている。
【0014】
本請求項1に記載の発明によれば、補助電極を基板の一面上全面に形成した状態で電気めっきを行うため、電気めっき時の電流が該補助電極の全体から上記絶縁性膜によって規制された穴に対応する補助電極部分に供給されることになり、補助電極の配線抵抗の影響を受け難くなる。しかも、導電材の露出面が穴の主電極側の開口縁部から引っ込んで段差をなすように露出させられ、穴から露出する導電材と電気的に接続されるように、導電材の露出側に、平坦膜上に主電極が形成され、その後に、主電極及び主電極の存在しない平坦膜の上に、絶縁膜が形成される。そして、平坦膜によって主電極と補助電極との電気的接続が阻害されるのを防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記平坦膜は、感光性のアクリル樹脂であって、前記穴を介して前記導電材を露出する工程は、前記感光性アクリル樹脂を前記導電材の表面を含めて前記基板の前記一面上に塗布し、これを仮焼成し、露光及び現像して、前記導電材の上に前記平坦膜上に貫通する前記穴を開けることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示素子100の概略構成を示す説明図であり、図2は図1のA−A断面の拡大説明図である。液晶表示素子100は反強誘電性液晶を用いたマトリクス表示型の表示装置であり、透明な一対の電極基板10、20が対向して重ね合わされてなる。
【0017】
ここで、図1及び図2において、下側電極基板10は走査側電極基板で、本発明の表示素子用電極基板に相当し、上側電極基板20が信号側電極基板である。
【0018】
これら両電極基板10,20は、周縁部において図示しない帯状のシール材等を介して接着支持され、積層固定されている。又、これら両電極基板10、20の間には、図2に示すように、反強誘電性液晶30が注入されている。
【0019】
下側電極基板10は、透明ガラス基板11を有し、該基板11における第2電極基板20と対向する対向面(基板の一面)11aには、金属(例えばニッケルやクロム等)からなる複数条の補助電極(下地電極)12がストライプ状に形成されている。該補助電極12の上には、絶縁性の樹脂、ガラス等からなる平坦膜13が形成されている。
【0020】
ここで、絶縁性の樹脂やガラスとしては、感光性のアクリル樹脂や、鉛系ガラス或いはビスマス系ガラスに感光性樹脂が入ってなる感光性ガラス等を採用できる。
【0021】
該平坦膜13の上には、ITO等の透明電極材料からなる複数条の主電極(透明電極)14がストライプ状に形成されている。補助電極12は、主電極14のストライプに沿って配置されており、補助電極12の方が幅が狭く設定されている。
【0022】
このような主電極14と補助電極12との間に絶縁性の平坦膜13を介在させて成る構成を有する下側電極基板10において、図2に示すように、平坦膜13に、各補助電極12側から対応する各主電極14側に貫通する穴13aを形成し、各穴13aに、補助電極12と主電極14とを電気的に接続する導電材15を充填したことが、本実施形態の主たる特徴である。
【0023】
穴13aは、その平面形状が、両電極12,14に対応したストライプ形状をなしている。又、平面形状は特に限定されず、ストライプに沿って連続したものであってもよく、ストライプに沿って点在するものであってもよい。
【0024】
導電材15は金属等の導電性材料からなり、本例では、補助電極12を電極とした銅の電気めっきにより形成されている。そして、穴13aを介して対向する各電極12,14の面に接して両電極12,14を導通させている。ここで、図2に示すように、導電材15の露出面は、穴13aの主電極14側の開口縁部から引っ込んで段差をなしているが、この段差は1μm以内であることが好ましい。
【0025】
又、各主電極14及び該主電極14の存在しない平坦膜13の上には、短絡防止を目的とした酸化タンタル等からなる絶縁膜16が形成され、該絶縁膜16の上には、ポリイミド等からなる配向膜17が形成されている。かかる構成を有する下側電極基板10は、主電極14に対する補助電極12を平坦膜13に埋め込んだ構成となっている。
【0026】
一方、上側電極基板20は、透明のガラス基板21を有しており、このガラス基板21における第1電極基板10と対向する対向面21aに、対向面21a側から順次、カラーフィルタ層(CF層)22、該CF層22の凹凸を平坦化するための平坦化層23、ストライプ状の複数条の主電極24、短絡防止用絶縁膜25、配向膜26が積層されている。
【0027】
ここで、CF層22は、着色層と、該着色層以外からの光漏れを防止するためのブラックマスク(BM)とを有する。又、平坦膜23はアクリル樹脂等、主電極24はITO等の透明電極材料、絶縁膜25は酸化タンタル等の絶縁材料、配向膜26はポリイミド等から成る。
【0028】
又、各電極基板10,20の各々の主電極14,24は互いにストライプが直交するように対向配置され、両主電極14,24の直交して対向する領域が複数の格子状画素として構成される。該画素はCF層22とも対応しており、液晶表示素子100の駆動時に表示が行われる表示部として作用する。ここで、補助電極12は透明ではないため、漏光防止の目的で設けられるBMとして利用できる。
【0029】
両電極基板10,20間において、補助電極12に対応する部位にはストライプ状の隔壁40が挟持され、それ以外の部位には複数の球状スペーサ50が挟持されている。
【0030】
ここで、隔壁40は感光性樹脂等からなり、両内面10a、20aに接着して両電極基板10,20に対する衝撃、振動に抗するものであり、一方、スペーサ50は剛性の高いシリカ等のセラミック或いは樹脂等からなり、セルギャップを維持するためのものである。
【0031】
次にかかる構成を有する液晶表示素子100において、下側電極基板10における透明電極14を形成するまでの一製造例を説明する。
【0032】
先ず、図3(a)に示すように、ガラス基板11の対向面11aの全面に、無電解めっき法にて例えばニッケルを100nm程度成膜し、下地金属12aを形成する。なお、下地金属12aはクロムをスパッタ法により成膜してもよい。
【0033】
次に、該下地金属12aの表面全面に、図3(b)に示すように、絶縁性膜131として、例えば感光性のアクリル樹脂を4μm程度の厚さにスピナーにて塗布する。
【0034】
これを仮焼成し、所定部位をマスキングして露光及び現像して、図3(c)に示すように、下地金属膜12aの上に該下地金属膜12aから絶縁性膜131に貫通する穴131aを開ける。
【0035】
次に、下地金属12aを電極として利用し、銅の電気めっきを実施することにより、図3(d)に示すように、導電材15を充填する。
【0036】
続いて、絶縁性膜131を剥離し、下地電極12aを所定パターンにエッチングし、図3(e)のようにする。ここから、パターニングされた下地金属12aを補助電極12とする。
【0037】
次に、図4(a)に示すように、平坦膜13として、例えば感光性のアクリル樹脂を4μm程度の厚さにスピナーにて塗布する。これを仮焼成し、露光及び現像して、図4(b)に示すように、導電材15の上に平坦膜13上に貫通する穴13aを開ける。
【0038】
次に、平坦膜13の上に、ITOをスパッタにより膜厚300nm成膜し、図4(c)に示すように、主電極14の電極膜14aを形成する。ここで、電極膜14aは穴13aから露出する導電材15と接触し、電気的に接続されている。これをフォトリソグラフ技術を用いてパターニングし、導電材15と電気的に導通する主電極14を形成する。
【0039】
(他の実施形態)
液晶表示素子用電極基板としては、強誘電性液晶、その他のスメクチック液晶、或いはネマチック液晶等を用いた液晶表示素子に用いても良いことは勿論である。
【0040】
更に、本発明は、液晶表示素子用電極基板に限定されることはなく、EL素子、PDP等に適用される表示素子用電極基板にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示素子の概略構成を示す説明図である。
【図2】図1のA−A断面の拡大説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液晶表示素子の製造工程説明図である。
【図4】図3に続く製造工程説明図である。
【符号の説明】
11…ガラス基板、11a…ガラス基板の一面、12…補助電極、13…平坦膜、13a…平坦膜の穴、14…主電極、15…導電材、131…絶縁性膜、131a…絶縁性膜の穴。

Claims (2)

  1. 基板の一面上に主電極と、該主電極に沿って形成され、前記主電極と電気的に接続された補助電極とを形成してなる表示素子用電極基板を製造する方法であって、
    前記基板の前記一面上全面に前記補助電極を形成する工程と、
    該補助電極上に絶縁性膜を形成する工程と、
    該絶縁性膜に、前記補助電極側から前記絶縁性膜上に貫通する穴を形成する工程と、
    前記補助電極を電極とした電気めっきを行うことにより、前記穴から露出するように、前記穴に導電材を充填する工程と、
    前記絶縁性膜を剥離する工程と、
    前記補助電極の内、前記導電材が位置する部分以外の領域を削除する工程と、
    前記導電材の表面を含めて前記基板の前記一面上に絶縁性の平坦膜を形成する工程と、
    該平坦膜に、前記導電材に対応する位置に前記導電材から前記平坦膜上に貫通する穴を形成して該穴を介して前記導電材を前記平坦膜から露出し、かつ露出面が前記穴の主電極側の開口縁部から引っ込んで段差をなすように露出させる工程と、
    前記穴から露出する前記導電材と電気的に接続されるように前記導電材の前記露出側に、前記平坦膜上に前記主電極を形成する工程と
    前記主電極及び前記主電極の存在しない前記平坦膜の上に、絶縁膜を形成する工程と
    を包含することを特徴とする表示素子用電極基板の製造方法。
  2. 前記平坦膜は、感光性のアクリル樹脂であって、
    前記穴を介して前記導電材を露出する工程は、前記感光性アクリル樹脂を前記導電材の表面を含めて前記基板の前記一面上に塗布し、これを仮焼成し、露光及び現像して、前記導電材の上に前記平坦膜上に貫通する前記穴を開けることを特徴とする請求項1記載の表示用電極基板の製造方法。
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