JP3597263B2 - 接ぎ木苗の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の切断面個所にて接合して固定したのち、台木の茎部を苗床土に差し込むようにした接ぎ木苗の製造方法及び接ぎ木用苗の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の斜め方向の切断面個所にて接合させ、この接合個所をクリップにて固定すると言う接ぎ木方法としては、特開平2−107125号公報、特開平4−187029号公報及び特開平4−304817号公報に開示されたものがある。
【0003】
これら従来における接ぎ木方法は、いずれも、穂木苗の茎部を穂木用クランプ手段にてクランプし、この状態で前記穂木苗の茎部を前記クランプ手段の下面側において斜め方向に切断する一方、台木苗の茎部を台木用クランプ手段にてクランプし、この状態で台木苗の茎部を前記クランプ手段の上面側において斜め方向に切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の斜め切断面と、台木苗における茎部の斜め切断面とを合わせるように接合し、この接合箇所をクリップにて固定すると言うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、接ぎ木する苗が茄子科の植物である場合には、台木苗には根鉢部(茎部下端の根を取り巻く苗床土)が付いたままで、その茎部における上部側を切断し、上述のように接ぎ木完了した後は、前記根鉢部をトレイにおける鉢部に戻すようにしていた。
【0005】
他方、接ぎ木する苗が瓜科の植物である場合には、台木苗における根鉢部を除去すべく茎部の下部を切断し、この接ぎ木済み苗における台木苗の茎部を苗床土に差し込んで、茎から新たに不定根を発生させるほうが好ましい。
しかしながら、前記従来の技術では、根鉢部の付いた台木苗と穂木苗とを接合・固定した後に前記根鉢部を切断し、その後に、接ぎ木苗を苗床土に差し込んでいたから、根鉢部の処理が面倒になるという問題があった。
【0006】
本発明の第1の目的は、茄子科の植物における接ぎ木苗を製造する工程を簡単化することであり、第2の目的は、接ぎ木済み苗における台木苗の茎部を苗床土により深く差し込みできるようにすることであり、これらの目的に沿った接ぎ木苗の製造方法及び製造装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため、請求項1に記載の接ぎ木苗の製造方法の発明は、穂木苗の茎部を、穂木用クランプ手段にて把持した状態でこのクランプ手段の下面側において切断する一方、台木苗の茎部を、台木用クランプ手段にて把持した状態でこのクランプ手段の上面側及び下面側において切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合し、次いで、この接合箇所を固定し、さらに、前記両クランプ手段の下降後に、台木用クランプ手段による把持を緩めた状態で穂木用クランプ手段を再度下降させて接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むことを特徴とするものである。
【0008】
そして、請求項2に記載の接ぎ木苗の製造装置の発明は、穂木苗の茎部を把持する穂木用クランプ手段と、該穂木用クランプ手段の下面側で穂木苗の茎部を切断する切断手段と、台木苗の茎部を把持する台木用クランプ手段と、該台木用クランプ手段の上面側及び下面側において台木苗の茎部を切断する切断手段と、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合すべく前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動させる移送手段と、前記接合箇所にクリップを供給して固定するクリップ搬送手段と、前記クリップによる固定箇所の下方に苗床土を有するトレイを搬送するトレイ搬送手段と、接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むべく前記両クランプ手段を下降させる移送手段とを備えたものである。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の接ぎ木苗の製造装置において、前記クランプ手段を下降させる移送手段は、両クランプ手段の下降後に、台木用クランプ手段を緩めた状態で穂木用クランプ手段を再度下降させるように構成したものである。
【0010】
【発明の効果】
下部クランプ手段にて把持した台木の茎部は、当該下部クランプ手段の上下面にて切断されることにより、台木の根鉢部が予め除去されることになり、当該根鉢部の後処理が簡単となる。そして、下部クランプ手段の上側における台木茎部の切断面と上部クランプ手段にて把持された穂木の茎部の切断面とを接合して固定した後、上下クランプ手段を一斉に下降させれば、接ぎ木済苗における茎部の下端が苗床土に差し込まれるので、瓜科の植物に対する接ぎ木苗の製造工程が簡単となる。
その場合、請求項1の発明の方法によれば、上下クランプ手段を一斉に下降させた後、下部クランプ手段による接ぎ木済苗の茎部の把持を緩めた状態で再度上部クランプ手段を下降させるから、接ぎ木済苗の茎部が苗床土に差し込まれる深さが深くなり、接ぎ木苗の育成の向上が図れる。
【0011】
そして、請求項2の発明の接ぎ木苗の製造装置は、穂木苗の茎部を把持する穂木用クランプ手段と、該穂木用クランプ手段の下面側で穂木苗の茎部を切断する切断手段と、台木苗の茎部を把持する台木用クランプ手段と、該台木用クランプ手段の上面側及び下面側において台木苗の茎部を切断する切断手段と、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合すべく前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動させる移送手段と、前記接合箇所にクリップを供給して固定するクリップ搬送手段と、前記クリップによる固定箇所の下方に苗床土を有するトレイを搬送するトレイ搬送手段と、接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むべく前記両クランプ手段を下降させる移送手段とを備えているから、これらの手段により、接ぎ木苗の製造工程が自動化され、接ぎ木苗を大量に、且つ迅速に製造することができるという効果を奏する。
【0012】
さらに、請求項3の発明の接ぎ木苗の製造装置によれば、請求項2の発明の効果に加えて接ぎ木苗の育成の向上が図れるという効果を奏するのである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体化した実施の形態を、図面について説明する。
図1は苗接ぎ木装置1の全体を示す概略平面図、図2は概略正面図、図3は各作業の機構の移動範囲を示す概略平面図である。
本発明による接ぎ木苗製造装置1は、図1に示すように、穂木苗用搬送ライン2と台木苗用搬送ライン3と接ぎ木済苗搬送ライン4とを平面視で平行状に配置する。この各搬送ライン2,3,4は、いずれもベルトコンベヤ等の周知構成の搬送手段からなり、各搬送ライン2,3,4のうち穂木苗用搬送ライン2及び台木苗用搬送ライン3の上面に載置される各トレイ5には、穂木苗H及び台木苗Dがそれぞれ複数本(X方向に6本列、Y方向に12本列)を収納できる鉢部20が平面視マトリックス状に形成されている。また、前記接ぎ木済苗搬送ライン4の上面に載置される各トレイ5′には、予め苗床土(養土)を入れた鉢部20′が平面視マトリックス状に形成されている。
【0014】
そして、図1において左端にある穂木苗用搬送ライン2と中央にある台木苗用搬送ライン3とではトレイ5を、図1の矢印Y方向に前記鉢部20の間隔P1毎に間欠的に搬送され、苗のクランプ移送手段7、切断手段8、クリップ搬送手段9等を配置した門型フレーム6の下方個所で後述する各種作業を実行し、接ぎ木用のクリップ10により台木苗Dの根元側と穂木苗Hの先端側とを接ぎ木された接ぎ木済苗Sを、接ぎ木済苗搬送ライン4において、その上面のトレイ5′における各鉢部20′内に充填されている苗床土(養土)に突き刺するように植え付けたのち、前記両搬送ライン2,3におけるトレイ5の搬送方向と逆向き(反矢印Y方向)に前記ピッチP1にて間欠搬送するものである。
【0015】
また、接ぎ木済苗搬送ライン4の側方であって、門型フレーム6の下方には、不要となった台木苗Dにおける茎部上端の子葉を集めるための廃棄箱12が設置され、更にまた、その廃棄箱12の上方近傍には、クリップ10を1個づつクリップ搬送手段9に供給するためのクリップフイーダ11が配置されている。なお、符号13は、前記各手段7,8,9等の駆動用の圧縮エア源となるコンプレッサ、符号14は、作業を制御するための電気的制御回路等の制御用中央処理装置である。
【0016】
後に詳述するクランプ移送手段7は、前記穂木苗用搬送ライン2上のトレイ5における6本の穂木苗Hの茎部と、前記台木苗用搬送ライン3上のトレイ5における6本の台木苗Dの茎部とを、上下一対のクランプ手段15,16にて一挙に把持(クランプ)するものであり、この上下一対の両クランプ手段15,16のうち下部クランプ手段16の下面には、根切り用の切断手段80が設けられている。この根切り用の切断手段80では、穂木苗Hの茎部及び台木苗Dの茎部が茎の軸線とほぼ直交するよう切断して根鉢部を切り離すものである。
【0017】
前記各クランプ手段15,16にて前記各穂木苗Hの茎部及び台木苗Dの茎部を把持(クランプ)すると同時に、または把持して後速やかに、前記根切り用の切断手段80にて前記下部クランプ手段16の下面側において切断したのち、前記上部クランプ手段15を支持して移送する移送手段としての上部移送フレーム17、及び前記下部クランプ手段16を支持して移送する移送手段としての下部移送フレーム18は、一体的に適宜高さだけ上昇することにより、この上下両クランプ手段15,16にて把持した穂木苗H及び台木苗Dを、その各々のトレイ5から上方に一斉に持ち上げる。このとき、穂木苗H及び台木苗Dにおける根鉢部(根部及び養土)は、その各々のトレイ5に残される。
【0018】
次いで、トレイ5の上方に空間にて上下両クランプ手段15,16の間に設けた茎の切断手段としての斜め切断機構8におけるカッター刃19を押し進めることにより、前記各穂木苗Hにおける茎部及び各台木苗Dにおける茎部を、斜め方向に切断するのである。
なお、この斜め方向の切断に先立って、前記各穂木苗Hの茎部及び各台木苗Dの茎部に対する両クランプ手段15,16による把持(クランプ)を一時的に緩めても良い。このようにすると、前記各穂木苗H及び各台木苗Dは、その自重で、当該穂木苗Hにおける子葉及び台木苗Dの子葉が、前記上部クランプ手段15の上面に接触する状態になるまで落下することになるから、前記各穂木苗H及び各台木苗Dに対する両クランプ手段15,16による把持を子葉から離れた部分で行うようにしても、前記カッター刃19による斜め方向の切断部を子葉に近付けることができる。
【0019】
次いで、下部クランプ手段16の下部移送フレーム18が、前記各穂木苗Hの茎部を台木苗用搬送ライン3におけるトレイ5の上に位置させ、前記各台木苗Dの茎部を接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5上に位置させるように、距離L1(1ライン幅分)だけ横移動したのち、前記各穂木苗Hの茎部に対する把持を解除することにより、当該茎部を落下させて捨てる。
【0020】
他方、上部クランプ手段15の上部移送フレーム17が、前記各穂木苗Hの子葉側茎部を接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5′上に位置させ、前記各台木苗Dの子葉側茎部を廃棄箱12上に位置させるように、距離L2(前記距離L1の二倍)だけ横移動したのち、前記各台木苗Dの子葉側茎部に対する把持を解除することにより、当該茎部を、廃棄箱12に落下させて捨てる。
【0021】
この上部クランプ手段15の上部移送フレーム17の距離L2の横移動により、各穂木苗Hにおける子葉側茎部と、各台木苗Dにおける茎部とを、接ぎ木済苗搬送ライン4上の部位において、その斜め方向の切断面を合わせるように接合することができる。この状態で、前記接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5′の上方にて、前記穂木苗Hと台木苗Dとの接合部を、クリップ搬送手段9に予め装填されたクリップ10にて挟持して固定することにより、接ぎ木済苗Sとする。前記クランプ移送手段7の下降動により、前記上下両クランプ手段15,16を一斉にH1の距離だけ下降させると、前記各接ぎ木済苗Sの台木苗の茎部分が前記接ぎ木済苗搬送ライン4の上面に載置されたトレイ5′における各鉢部20′内に充填されている苗床土(養土)20aに差し込まれようにして植え付けできるのである(図14参照)。
【0022】
この場合、前記下部クランプ手段16の下面がトレイ5′の上面に当接するまでしか、下降できないとすると、下部クランプ手段16の下面から下向きに突出する台木苗Dの茎部分の長さH2が短ければ、その茎部分が苗床土(養土)20aに差し込まれまる深さが不十分となり、茎部から発生する不定根の量が不足して接ぎ木苗の育成が芳しくない。
【0023】
そこで、前記上下両クランプ手段15,16を一斉に下降動させた後、下部クランプ手段16による台木苗Dの茎部分の把持を緩めた状態にして、上部クランプ手段15のみを下部クランプ手段16上面に接近させるように再度下降させて、接ぎ木済苗Sをトレイ5′における各鉢部20′の苗床土20aに差し込むようにすれば、台木苗Dの茎部分をより深く苗床土20aに差し込み、接ぎ木苗の育成を向上させることができる。この場合、下部クランプ手段16の開き緩めにてクリップ10の下面が下部クランプ手段16の上面に当接する迄の距離H3だけ上部クランプ手段15のみを再下降動させても良いし、下部クランプ手段16の開き量を大きくして、当該下部クランプ手段16の開いた空間に前記クリップ10が嵌まり込むようにすれば、前記距離H3より大きい距離だけ上部クランプ手段15のみを再下降動させることができて、台木苗Dの茎部分の苗床土20aへの差し込み量を一層深くすることができるのである。
【0024】
なお、前記実施の形態では、クリップ10により穂木と台木との接合部を固定したが、パイプ状のクリップにて固定する場合には、下部クランプ手段16の開き空間を少なくしても、当該パイプ状クリップを下部クランプ手段16の上面より下方にまで下降させることが容易となる。
次に、前記クランプ移送手段7の細部構成について、図4〜図9を参照しながら説明する。このクランプ移送機構7の昇降枠21は、門型フレーム6の上面板に固定した昇降用エアシリンダ等の第1昇降アクチュエータ22にて、穂木苗用搬送ライン2及び台木苗用搬送ライン3の上面に対して大きく上下動する。昇降枠21には、距離L1だけ横移動する横移動用エアシリンダ等の第1横移動アクチュエータ23を介して12対の下部クランプ手段16が備えられた下部移送フレーム18が装着されている。
【0025】
また、昇降枠21の前面の上下ガイドレール24には横移動用エアシリンダ等の第2横移動アクチュエータ25を上下動自在に配置し、この第2横移動アクチュエータ25を、昇降枠21に固定されたエアシリンダ等の第2昇降アクチュエータ26にて小さい距離だけ上下動するように装着されている。この第2横移動アクチュエータ25にて、12対の上部クランプ手段15が備えられた上部移送フレーム17が距離L2だけ横移動するように構成されている。
【0026】
この構成から理解できるように、第1昇降アクチュエータ22を作動させると、上下クランプ手段15,16を一斉に昇降でき、第2昇降アクチュエータ26を作動させると、下部クランプ手段16に対して上部クランプ手段15が相対的に昇降するから、前述の接ぎ木済み苗Sをより深く苗床土20aに差し込むべく、上部クランプ手段15のみを下降させることができるのである。
【0027】
図4で理解できるように、台木苗Dの茎部及び穂木苗Hの茎部を把持(クランプ)する下部クランプ手段16の基部は、斜め切断機構8から遠い側に位置し、台木苗Dの茎部及び穂木苗Hの茎部を把持(クランプ)する上部クランプ手段15の基部は前記斜め切断機構8に近い側に位置している。上部クランプ手段15の左右支持体15a,15bの拡狭移動機構と、下部クランプ手段16の左右支持体16a,16bの拡狭移動機構とは同じであるので、下部クランプ手段16における拡狭移動機構にて代表して説明すると、図7に示すように、下部移送フレーム18における上下一対の横長のガイド軸30には、左右一対の摺動支持片31a,31bと左右一対の摺動支持片32a,32bを左右摺動自在に被嵌し、一対の摺動支持片31a,31bには前記下部クランプ手段16の12本の左支持体16aが一定間隔(P2)にて取付く横杆33を固着する。他方の一対の摺動片32a,32bには、前記12本の右支持体16bが一定間隔(P2)にて取付く横杆34を固着する。
【0028】
そして、図6及び図7において、下部移送フレーム18の左端に設けた拡狭移動用アクチュエータ35のピストンロッド35aを摺動支持片31aに固定する一方、下部移送フレーム18の右端に設けた拡狭移動用アクチュエータ36のピストンロッド36aを摺動支持片32bに固定する。この構成により、左右両拡狭移動用アクチュエータ35,36のピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が狭まるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bにて台木苗Dの茎部及び穂木苗Hの茎部を左右から把持することになる。
【0029】
反対にピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が拡がるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bは前記茎を放すように拡がるのである。
一方、上部移送フレーム17においても、拡狭移動用アクチュエータ35,36及び横杆38,39を介して左右支持体15a,15bを左右移動させて、この先端の挟持片40a,40bにて台木苗Dの茎部及び穂木Hの茎部をクランプしたり、このクランプを解除したりするものである。なお、図6では上部移送フレーム17等は図示省略している。
【0030】
なお、挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)は、図7及び図9に示すように、断面L字状に形成され、水平板部の内辺には茎を囲むように案内できる平面視略V字状の案内溝41が形成されており、前記挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)には、挟持するときの茎の損傷を防止するためのスポンジ等の軟質弾性体42が固着されている。
【0031】
次に、図4、図5、図8及び図9に基づいて斜め切断機構8について説明する。斜め切断機構8におけるカッター刃19は、前記クランプ移送手段7と対向した位置に台木苗D及び穂木苗Hの搬送方向上流側から各茎部に対して接近することにより、図9に示すように、当該茎部を斜め方向に切断する。
前記クランプ移送手段7にて把持されて所定高さまで持ち上げられた台木苗D及び穂木苗Hを12本一挙に切断するとき、各苗の茎部がカッター刃19の押し切りに対して逃げ移動しないようにするため、上部クランプ手段15と下部クランプ手段16との上下間にて、左右一対の把持片43a,43bにて茎部の位置を拘束した後に、カッター刃19を図5の矢印Y方向に押し進める。
【0032】
切断用フレーム44は、前記門型フレーム6に対して高さ位置不変に保持され、切断用フレーム44には、前記12本の左把持片43aの基部を支持する横杆45と右把持片43bの基部を支持する横杆46とが左右移動可能に支持されている。そして、切断用フレーム44に取付けられたエアシリンダ等の把持移動用アクチュエータ47の左側から突出するピストンロッド47aを前記横杆46に連結する一方、右側から突出するピストンロッド47bを前記横杆45に連結する。これにより、両ピストンロッド47a,47bが互いに突出すると、左右両把持片93a,43bの左右間隔が縮まり苗の茎を左右から把持する。反対に両ピストンロッド47a,47bが互いに後退すると、左右両把持片43a,43bの左右間隔が拡がるのである。
【0033】
他方、切断用フレーム44に前後方向(矢印Y方向)に移動可能に支持された支持フレーム48には12本の丸棒、角棒、板状等のカッター軸49を一定間隔(P2)にて突出させ、カッタアクチュエータ50により支持フレーム48を(矢印Y方向)移動させるものである。
次に、図10〜図13を参照しながらクリップ搬送手段9の詳細構成について説明する。
【0034】
従来から構成が公知な振動式のパーツフイーダ等からなるクリップフイーダ11に、洗濯はさみ式の合成樹脂製等のクリップ10をランダムに入れると、上面開放型の供給通路11a内でクリップ10が、その二股状の茎掴み部10aが供給口11bに近い先頭となり、二股状の開閉操作部10b、10bが後になるように姿勢が揃えられて一列状に並べられる(図12(a)参照)。なお、符号10cは茎掴み部10aを常時閉じ方向に付勢するためのリングばねである。
【0035】
クリップ搬送手段9は、図10及び図11に示すように、前記門型フレーム6の下面に設けた支持枠体60に対してその下面側に吊支される移動枠体61がX方向及びY方向に移動可能となるように構成されている。即ち、支持枠体60の下面に固定したX方向に長手のガイドレール62に対して移動枠体61の上部吊支体61aを左右方向(X方向)に移動自在に吊支し、支持枠体60の下面側に設けた従動プーリ63と駆動プーリ64とにタイミングベルト65を巻掛けし、駆動プーリ64は門型フレーム6上に固定した正逆回転可能なステップモータ66にて駆動され、タイミングベルト65と前記上部吊支体61aとを連結金具69にて連結する。また、上部吊支体61aの下面に設けた前後方向(Y方向)のガイドレール67に対して移動枠体61を移動自在に吊支し、門型フレーム6下面に固定した駆動アクチュエータ68のピストンロッド(図示せず)を移動枠体61に連結して、ピストンロッドが突出動すれば、移動枠体61が前記クランプ移送手段7の前面に対して接近するように移動させられる(図10の二点鎖線参照)。
【0036】
前記移動枠体61には、6対の左右ハンド体70a,70bからなるクリップホルダ70が、クランプ移送機構7における上部クランプ手段15及び上部クランプ手段16の設置間隔と等しい一定間隔(P2)にて配置されている。
6本の右ハンド体70bの基部を固定した横杆71と、同じく6本の左ハンド体70aの基部を固定した横杆72とは、移動枠体60に対して互い左右移動可能に装着されている。
【0037】
他方、各クリップホルダ70における左右ハンド体70a,70bには互いに内向きに開口するY方向に長手の案内溝76,76が形成されており、この案内溝76,76にクリップ10におけるリングばね10cが挿通して姿勢保持されながら、クリップ10の先端である茎掴み部10aが保持部77まで移動できる。
【0038】
そして、後述するように左右ハンド体70a,70bの間隔がP4に保持された状態で、前記クリップフイーダ11における供給通路11aの供給口11bの前方に位置するとき、供給通路11a上に沿って配置したエアシリンダ等のクリップ供給用アクチュエータ78におけるピストンロッド78a先端の押し体79がクリップ10を前方に押し出してクリップホルダ70に受け継ぎさせる(図12(a)参照)。一つのクリップホルダ70に対して1つのクリップ10の受け継ぎを終了すると、ステップモータ66を作動させ、移動枠体60全体をピッチP2だけ横方向(X方向)に間欠移動させて、空状態のクリップホルダ70を供給口11bの前方に位置させ、このクリップホルダ70にクリップ10を受け継がせるという作業を繰り返して、6つのクリップホルダ70の全てにクリップ10が供給されると、前記台木苗Dと穂木苗Hとの斜め切断個所を接合させた状態のクランプ移送機構7の前方に向かって移動枠体61を大きくX方向に移動させるのである。
【0039】
なお、移動枠体61に固定したエアシリンダ等の第1クリップ用アクチュエータ73における左側から突出するピストンロッド73aを第2クリップ用アクチュエータ74に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ74のピストンロッド74aを前記横杆71に連結する一方、右側から突出するピストンロッド73bを第2クリップ用アクチュエータ75に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ75のピストンロッド75aを前記横杆72に連結する。これにより、両ピストンロッド73a,73bが互いに突出すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP3(図12(b)の状態参照)まで縮まり、クリップ10における左右の開閉操作部10b,10bの間隔を狭くし、茎掴み部10aが拡がった状態に保持できる。両ピストンロッド73a,73bが互いに後退すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図12(a)の状態参照)まで拡がり、クリップフイーダ11における供給口11bからクリップ10を受け継ぐ待機姿勢となる。そして、この拡がった状態で第2クリップ用アクチュエータ74,75を作動させてピストンロッド74a,75aを突出動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP5(図12(c)の状態参照)まで拡がり、クリップ10における茎掴み部10aにて接ぎ木苗Sの接合部を左右から掴んで固定する。ピストンロッド74a,75aを後退動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図12(b)の状態参照)まで狭くなるように復帰するのである。
【0040】
なお、図1及び図2に一点鎖線で示す安全カバー体90は、門型フレーム6の上部及び周囲側面を覆うものであって、接ぎ木苗製造作業中に、作業者が、上下及び左右に移動するクランプ移送手段7や切断手段8等に不注意に接近して怪我しないように保護するためのものある。安全カバー体90の少なくとも前後側面は、内側のクランプ移送手段7や切断手段8等の作動状況が観察できるように透明も合成樹脂材であることが好ましい。また、作業者は、ともすれば、前記安全カバー体90を取り外して作業を行い勝ちであるので、前記門型フレーム6の上面等に安全カバー体90に対する支持部材91を複数箇所設け、この支持部材91のうちの1つ乃至複数の箇所には作業者から見えない箇所に、安全カバー体90を除去すると感知するセンサ(図示せず)を設け、安全カバー体90の除去すれば、センサの検出信号により、本実施例の接ぎ木苗製造装置の作動を停止させるように、前記制御中央処理装置14を構成することが好ましい。この場合のセンサの種類としては、安全カバー体90の重量を検出する重量センサや、安全カバー体90の支持部材91への接触の有無を感知する接触センサ等の複数種類のセンサにて構成しても良いのである。
【0041】
以上の構成により、クランプ移送機構7にて、6本の穂木苗H及び6本の台木苗Dを上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16にてクランプしたのち、その各々の根鉢部を根切り用カッター機構80にて切断することでトレイ5に残した状態で持ち上げ、この状態で、各穂木苗Hの茎部及び各台木苗Dの茎部を、前記上部クランプ手段15の下面側(下部クランプ手段16の上面側)において斜め方向に切断し、次いで、上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16にての相対的な横移動によって、各穂木苗Hの茎部を、各台木苗Dの茎部に合わせ接合し、この接合部を、クリップ10にて固定して、6本の接ぎ木苗Sとなし、さらに、上下両クランプ手段15,16を一斉に下降させることより、各接ぎ木苗Sを、トレイ5′における各鉢部20′内の苗床土20aに差し込むように植え付けると言う作業を連続して行うのである。
【0042】
なお、前記一斉に上下両クランプ手段15,16を過去させた後、下部クランプ手段16による把持を一時的に緩めた状態のまま上部クランプ手段15のみを再度適宜距離だけ下降させることによって、苗床土20aへの差し込み深さをより深くできるから接ぎ木苗の育成が向上するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による接ぎ木苗製造装置の概略平面図である。
【図2】前記接ぎ木苗製造装置の概略正面図である。
【図3】門型フレーム部分におけるクランプ移送機構と、切断機構と、クリップ搬送機構との移動範囲を示す説明図である。
【図4】クランプ移送手段と、切断手段との側面図である。
【図5】クランプ移送手段及び切断手段の一部切欠き平面図である。
【図6】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き正面図である。
【図7】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き斜視図である。
【図8】切断手段の要部斜視図である。
【図9】茎部を切断する時における部品の位置関係を示す要部拡大断面図である。
【図10】クリップ搬送手段を示す断面図であって、図11におけるX−X視断面図である。
【図11】図10のXI −XI 視側面図である。
【図12】(a)はクリップフイーダからクリップホルダへのクリップ受け継ぎ状態を示す平断面図、(b)はクリップにおける茎掴み部を開いた状態を示す平面図、(c)はクリップにて茎を掴む状態を示す平面図である。
【図13】図12(a)のXIII−XIII視拡大断面図である。
【図14】接ぎ木済苗を苗床土に差し込む作用説明図である。
【符号の説明】
H 穂木苗
D 台木苗
S 接ぎ木済苗
1 接ぎ木苗装置
2 穂木苗用搬送ライン
3 台木苗用搬送ライン
4 接ぎ木済苗用搬送ライン
5,5′ トレイ
6 門型フレーム
7 クランプ搬送手段
8 斜め切断手段
9 クリップ搬送手段
10 クリップ
15 上部クランプ手段
16 下部クランプ手段
17 上部移送フレーム
18 下部移送フレーム
19 カッター刃
80 根切り用カッター手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の切断面個所にて接合して固定したのち、台木の茎部を苗床土に差し込むようにした接ぎ木苗の製造方法及び接ぎ木用苗の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の斜め方向の切断面個所にて接合させ、この接合個所をクリップにて固定すると言う接ぎ木方法としては、特開平2−107125号公報、特開平4−187029号公報及び特開平4−304817号公報に開示されたものがある。
【0003】
これら従来における接ぎ木方法は、いずれも、穂木苗の茎部を穂木用クランプ手段にてクランプし、この状態で前記穂木苗の茎部を前記クランプ手段の下面側において斜め方向に切断する一方、台木苗の茎部を台木用クランプ手段にてクランプし、この状態で台木苗の茎部を前記クランプ手段の上面側において斜め方向に切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の斜め切断面と、台木苗における茎部の斜め切断面とを合わせるように接合し、この接合箇所をクリップにて固定すると言うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、接ぎ木する苗が茄子科の植物である場合には、台木苗には根鉢部(茎部下端の根を取り巻く苗床土)が付いたままで、その茎部における上部側を切断し、上述のように接ぎ木完了した後は、前記根鉢部をトレイにおける鉢部に戻すようにしていた。
【0005】
他方、接ぎ木する苗が瓜科の植物である場合には、台木苗における根鉢部を除去すべく茎部の下部を切断し、この接ぎ木済み苗における台木苗の茎部を苗床土に差し込んで、茎から新たに不定根を発生させるほうが好ましい。
しかしながら、前記従来の技術では、根鉢部の付いた台木苗と穂木苗とを接合・固定した後に前記根鉢部を切断し、その後に、接ぎ木苗を苗床土に差し込んでいたから、根鉢部の処理が面倒になるという問題があった。
【0006】
本発明の第1の目的は、茄子科の植物における接ぎ木苗を製造する工程を簡単化することであり、第2の目的は、接ぎ木済み苗における台木苗の茎部を苗床土により深く差し込みできるようにすることであり、これらの目的に沿った接ぎ木苗の製造方法及び製造装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため、請求項1に記載の接ぎ木苗の製造方法の発明は、穂木苗の茎部を、穂木用クランプ手段にて把持した状態でこのクランプ手段の下面側において切断する一方、台木苗の茎部を、台木用クランプ手段にて把持した状態でこのクランプ手段の上面側及び下面側において切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合し、次いで、この接合箇所を固定し、さらに、前記両クランプ手段の下降後に、台木用クランプ手段による把持を緩めた状態で穂木用クランプ手段を再度下降させて接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むことを特徴とするものである。
【0008】
そして、請求項2に記載の接ぎ木苗の製造装置の発明は、穂木苗の茎部を把持する穂木用クランプ手段と、該穂木用クランプ手段の下面側で穂木苗の茎部を切断する切断手段と、台木苗の茎部を把持する台木用クランプ手段と、該台木用クランプ手段の上面側及び下面側において台木苗の茎部を切断する切断手段と、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合すべく前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動させる移送手段と、前記接合箇所にクリップを供給して固定するクリップ搬送手段と、前記クリップによる固定箇所の下方に苗床土を有するトレイを搬送するトレイ搬送手段と、接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むべく前記両クランプ手段を下降させる移送手段とを備えたものである。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の接ぎ木苗の製造装置において、前記クランプ手段を下降させる移送手段は、両クランプ手段の下降後に、台木用クランプ手段を緩めた状態で穂木用クランプ手段を再度下降させるように構成したものである。
【0010】
【発明の効果】
下部クランプ手段にて把持した台木の茎部は、当該下部クランプ手段の上下面にて切断されることにより、台木の根鉢部が予め除去されることになり、当該根鉢部の後処理が簡単となる。そして、下部クランプ手段の上側における台木茎部の切断面と上部クランプ手段にて把持された穂木の茎部の切断面とを接合して固定した後、上下クランプ手段を一斉に下降させれば、接ぎ木済苗における茎部の下端が苗床土に差し込まれるので、瓜科の植物に対する接ぎ木苗の製造工程が簡単となる。
その場合、請求項1の発明の方法によれば、上下クランプ手段を一斉に下降させた後、下部クランプ手段による接ぎ木済苗の茎部の把持を緩めた状態で再度上部クランプ手段を下降させるから、接ぎ木済苗の茎部が苗床土に差し込まれる深さが深くなり、接ぎ木苗の育成の向上が図れる。
【0011】
そして、請求項2の発明の接ぎ木苗の製造装置は、穂木苗の茎部を把持する穂木用クランプ手段と、該穂木用クランプ手段の下面側で穂木苗の茎部を切断する切断手段と、台木苗の茎部を把持する台木用クランプ手段と、該台木用クランプ手段の上面側及び下面側において台木苗の茎部を切断する切断手段と、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合すべく前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動させる移送手段と、前記接合箇所にクリップを供給して固定するクリップ搬送手段と、前記クリップによる固定箇所の下方に苗床土を有するトレイを搬送するトレイ搬送手段と、接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むべく前記両クランプ手段を下降させる移送手段とを備えているから、これらの手段により、接ぎ木苗の製造工程が自動化され、接ぎ木苗を大量に、且つ迅速に製造することができるという効果を奏する。
【0012】
さらに、請求項3の発明の接ぎ木苗の製造装置によれば、請求項2の発明の効果に加えて接ぎ木苗の育成の向上が図れるという効果を奏するのである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体化した実施の形態を、図面について説明する。
図1は苗接ぎ木装置1の全体を示す概略平面図、図2は概略正面図、図3は各作業の機構の移動範囲を示す概略平面図である。
本発明による接ぎ木苗製造装置1は、図1に示すように、穂木苗用搬送ライン2と台木苗用搬送ライン3と接ぎ木済苗搬送ライン4とを平面視で平行状に配置する。この各搬送ライン2,3,4は、いずれもベルトコンベヤ等の周知構成の搬送手段からなり、各搬送ライン2,3,4のうち穂木苗用搬送ライン2及び台木苗用搬送ライン3の上面に載置される各トレイ5には、穂木苗H及び台木苗Dがそれぞれ複数本(X方向に6本列、Y方向に12本列)を収納できる鉢部20が平面視マトリックス状に形成されている。また、前記接ぎ木済苗搬送ライン4の上面に載置される各トレイ5′には、予め苗床土(養土)を入れた鉢部20′が平面視マトリックス状に形成されている。
【0014】
そして、図1において左端にある穂木苗用搬送ライン2と中央にある台木苗用搬送ライン3とではトレイ5を、図1の矢印Y方向に前記鉢部20の間隔P1毎に間欠的に搬送され、苗のクランプ移送手段7、切断手段8、クリップ搬送手段9等を配置した門型フレーム6の下方個所で後述する各種作業を実行し、接ぎ木用のクリップ10により台木苗Dの根元側と穂木苗Hの先端側とを接ぎ木された接ぎ木済苗Sを、接ぎ木済苗搬送ライン4において、その上面のトレイ5′における各鉢部20′内に充填されている苗床土(養土)に突き刺するように植え付けたのち、前記両搬送ライン2,3におけるトレイ5の搬送方向と逆向き(反矢印Y方向)に前記ピッチP1にて間欠搬送するものである。
【0015】
また、接ぎ木済苗搬送ライン4の側方であって、門型フレーム6の下方には、不要となった台木苗Dにおける茎部上端の子葉を集めるための廃棄箱12が設置され、更にまた、その廃棄箱12の上方近傍には、クリップ10を1個づつクリップ搬送手段9に供給するためのクリップフイーダ11が配置されている。なお、符号13は、前記各手段7,8,9等の駆動用の圧縮エア源となるコンプレッサ、符号14は、作業を制御するための電気的制御回路等の制御用中央処理装置である。
【0016】
後に詳述するクランプ移送手段7は、前記穂木苗用搬送ライン2上のトレイ5における6本の穂木苗Hの茎部と、前記台木苗用搬送ライン3上のトレイ5における6本の台木苗Dの茎部とを、上下一対のクランプ手段15,16にて一挙に把持(クランプ)するものであり、この上下一対の両クランプ手段15,16のうち下部クランプ手段16の下面には、根切り用の切断手段80が設けられている。この根切り用の切断手段80では、穂木苗Hの茎部及び台木苗Dの茎部が茎の軸線とほぼ直交するよう切断して根鉢部を切り離すものである。
【0017】
前記各クランプ手段15,16にて前記各穂木苗Hの茎部及び台木苗Dの茎部を把持(クランプ)すると同時に、または把持して後速やかに、前記根切り用の切断手段80にて前記下部クランプ手段16の下面側において切断したのち、前記上部クランプ手段15を支持して移送する移送手段としての上部移送フレーム17、及び前記下部クランプ手段16を支持して移送する移送手段としての下部移送フレーム18は、一体的に適宜高さだけ上昇することにより、この上下両クランプ手段15,16にて把持した穂木苗H及び台木苗Dを、その各々のトレイ5から上方に一斉に持ち上げる。このとき、穂木苗H及び台木苗Dにおける根鉢部(根部及び養土)は、その各々のトレイ5に残される。
【0018】
次いで、トレイ5の上方に空間にて上下両クランプ手段15,16の間に設けた茎の切断手段としての斜め切断機構8におけるカッター刃19を押し進めることにより、前記各穂木苗Hにおける茎部及び各台木苗Dにおける茎部を、斜め方向に切断するのである。
なお、この斜め方向の切断に先立って、前記各穂木苗Hの茎部及び各台木苗Dの茎部に対する両クランプ手段15,16による把持(クランプ)を一時的に緩めても良い。このようにすると、前記各穂木苗H及び各台木苗Dは、その自重で、当該穂木苗Hにおける子葉及び台木苗Dの子葉が、前記上部クランプ手段15の上面に接触する状態になるまで落下することになるから、前記各穂木苗H及び各台木苗Dに対する両クランプ手段15,16による把持を子葉から離れた部分で行うようにしても、前記カッター刃19による斜め方向の切断部を子葉に近付けることができる。
【0019】
次いで、下部クランプ手段16の下部移送フレーム18が、前記各穂木苗Hの茎部を台木苗用搬送ライン3におけるトレイ5の上に位置させ、前記各台木苗Dの茎部を接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5上に位置させるように、距離L1(1ライン幅分)だけ横移動したのち、前記各穂木苗Hの茎部に対する把持を解除することにより、当該茎部を落下させて捨てる。
【0020】
他方、上部クランプ手段15の上部移送フレーム17が、前記各穂木苗Hの子葉側茎部を接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5′上に位置させ、前記各台木苗Dの子葉側茎部を廃棄箱12上に位置させるように、距離L2(前記距離L1の二倍)だけ横移動したのち、前記各台木苗Dの子葉側茎部に対する把持を解除することにより、当該茎部を、廃棄箱12に落下させて捨てる。
【0021】
この上部クランプ手段15の上部移送フレーム17の距離L2の横移動により、各穂木苗Hにおける子葉側茎部と、各台木苗Dにおける茎部とを、接ぎ木済苗搬送ライン4上の部位において、その斜め方向の切断面を合わせるように接合することができる。この状態で、前記接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5′の上方にて、前記穂木苗Hと台木苗Dとの接合部を、クリップ搬送手段9に予め装填されたクリップ10にて挟持して固定することにより、接ぎ木済苗Sとする。前記クランプ移送手段7の下降動により、前記上下両クランプ手段15,16を一斉にH1の距離だけ下降させると、前記各接ぎ木済苗Sの台木苗の茎部分が前記接ぎ木済苗搬送ライン4の上面に載置されたトレイ5′における各鉢部20′内に充填されている苗床土(養土)20aに差し込まれようにして植え付けできるのである(図14参照)。
【0022】
この場合、前記下部クランプ手段16の下面がトレイ5′の上面に当接するまでしか、下降できないとすると、下部クランプ手段16の下面から下向きに突出する台木苗Dの茎部分の長さH2が短ければ、その茎部分が苗床土(養土)20aに差し込まれまる深さが不十分となり、茎部から発生する不定根の量が不足して接ぎ木苗の育成が芳しくない。
【0023】
そこで、前記上下両クランプ手段15,16を一斉に下降動させた後、下部クランプ手段16による台木苗Dの茎部分の把持を緩めた状態にして、上部クランプ手段15のみを下部クランプ手段16上面に接近させるように再度下降させて、接ぎ木済苗Sをトレイ5′における各鉢部20′の苗床土20aに差し込むようにすれば、台木苗Dの茎部分をより深く苗床土20aに差し込み、接ぎ木苗の育成を向上させることができる。この場合、下部クランプ手段16の開き緩めにてクリップ10の下面が下部クランプ手段16の上面に当接する迄の距離H3だけ上部クランプ手段15のみを再下降動させても良いし、下部クランプ手段16の開き量を大きくして、当該下部クランプ手段16の開いた空間に前記クリップ10が嵌まり込むようにすれば、前記距離H3より大きい距離だけ上部クランプ手段15のみを再下降動させることができて、台木苗Dの茎部分の苗床土20aへの差し込み量を一層深くすることができるのである。
【0024】
なお、前記実施の形態では、クリップ10により穂木と台木との接合部を固定したが、パイプ状のクリップにて固定する場合には、下部クランプ手段16の開き空間を少なくしても、当該パイプ状クリップを下部クランプ手段16の上面より下方にまで下降させることが容易となる。
次に、前記クランプ移送手段7の細部構成について、図4〜図9を参照しながら説明する。このクランプ移送機構7の昇降枠21は、門型フレーム6の上面板に固定した昇降用エアシリンダ等の第1昇降アクチュエータ22にて、穂木苗用搬送ライン2及び台木苗用搬送ライン3の上面に対して大きく上下動する。昇降枠21には、距離L1だけ横移動する横移動用エアシリンダ等の第1横移動アクチュエータ23を介して12対の下部クランプ手段16が備えられた下部移送フレーム18が装着されている。
【0025】
また、昇降枠21の前面の上下ガイドレール24には横移動用エアシリンダ等の第2横移動アクチュエータ25を上下動自在に配置し、この第2横移動アクチュエータ25を、昇降枠21に固定されたエアシリンダ等の第2昇降アクチュエータ26にて小さい距離だけ上下動するように装着されている。この第2横移動アクチュエータ25にて、12対の上部クランプ手段15が備えられた上部移送フレーム17が距離L2だけ横移動するように構成されている。
【0026】
この構成から理解できるように、第1昇降アクチュエータ22を作動させると、上下クランプ手段15,16を一斉に昇降でき、第2昇降アクチュエータ26を作動させると、下部クランプ手段16に対して上部クランプ手段15が相対的に昇降するから、前述の接ぎ木済み苗Sをより深く苗床土20aに差し込むべく、上部クランプ手段15のみを下降させることができるのである。
【0027】
図4で理解できるように、台木苗Dの茎部及び穂木苗Hの茎部を把持(クランプ)する下部クランプ手段16の基部は、斜め切断機構8から遠い側に位置し、台木苗Dの茎部及び穂木苗Hの茎部を把持(クランプ)する上部クランプ手段15の基部は前記斜め切断機構8に近い側に位置している。上部クランプ手段15の左右支持体15a,15bの拡狭移動機構と、下部クランプ手段16の左右支持体16a,16bの拡狭移動機構とは同じであるので、下部クランプ手段16における拡狭移動機構にて代表して説明すると、図7に示すように、下部移送フレーム18における上下一対の横長のガイド軸30には、左右一対の摺動支持片31a,31bと左右一対の摺動支持片32a,32bを左右摺動自在に被嵌し、一対の摺動支持片31a,31bには前記下部クランプ手段16の12本の左支持体16aが一定間隔(P2)にて取付く横杆33を固着する。他方の一対の摺動片32a,32bには、前記12本の右支持体16bが一定間隔(P2)にて取付く横杆34を固着する。
【0028】
そして、図6及び図7において、下部移送フレーム18の左端に設けた拡狭移動用アクチュエータ35のピストンロッド35aを摺動支持片31aに固定する一方、下部移送フレーム18の右端に設けた拡狭移動用アクチュエータ36のピストンロッド36aを摺動支持片32bに固定する。この構成により、左右両拡狭移動用アクチュエータ35,36のピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が狭まるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bにて台木苗Dの茎部及び穂木苗Hの茎部を左右から把持することになる。
【0029】
反対にピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が拡がるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bは前記茎を放すように拡がるのである。
一方、上部移送フレーム17においても、拡狭移動用アクチュエータ35,36及び横杆38,39を介して左右支持体15a,15bを左右移動させて、この先端の挟持片40a,40bにて台木苗Dの茎部及び穂木Hの茎部をクランプしたり、このクランプを解除したりするものである。なお、図6では上部移送フレーム17等は図示省略している。
【0030】
なお、挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)は、図7及び図9に示すように、断面L字状に形成され、水平板部の内辺には茎を囲むように案内できる平面視略V字状の案内溝41が形成されており、前記挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)には、挟持するときの茎の損傷を防止するためのスポンジ等の軟質弾性体42が固着されている。
【0031】
次に、図4、図5、図8及び図9に基づいて斜め切断機構8について説明する。斜め切断機構8におけるカッター刃19は、前記クランプ移送手段7と対向した位置に台木苗D及び穂木苗Hの搬送方向上流側から各茎部に対して接近することにより、図9に示すように、当該茎部を斜め方向に切断する。
前記クランプ移送手段7にて把持されて所定高さまで持ち上げられた台木苗D及び穂木苗Hを12本一挙に切断するとき、各苗の茎部がカッター刃19の押し切りに対して逃げ移動しないようにするため、上部クランプ手段15と下部クランプ手段16との上下間にて、左右一対の把持片43a,43bにて茎部の位置を拘束した後に、カッター刃19を図5の矢印Y方向に押し進める。
【0032】
切断用フレーム44は、前記門型フレーム6に対して高さ位置不変に保持され、切断用フレーム44には、前記12本の左把持片43aの基部を支持する横杆45と右把持片43bの基部を支持する横杆46とが左右移動可能に支持されている。そして、切断用フレーム44に取付けられたエアシリンダ等の把持移動用アクチュエータ47の左側から突出するピストンロッド47aを前記横杆46に連結する一方、右側から突出するピストンロッド47bを前記横杆45に連結する。これにより、両ピストンロッド47a,47bが互いに突出すると、左右両把持片93a,43bの左右間隔が縮まり苗の茎を左右から把持する。反対に両ピストンロッド47a,47bが互いに後退すると、左右両把持片43a,43bの左右間隔が拡がるのである。
【0033】
他方、切断用フレーム44に前後方向(矢印Y方向)に移動可能に支持された支持フレーム48には12本の丸棒、角棒、板状等のカッター軸49を一定間隔(P2)にて突出させ、カッタアクチュエータ50により支持フレーム48を(矢印Y方向)移動させるものである。
次に、図10〜図13を参照しながらクリップ搬送手段9の詳細構成について説明する。
【0034】
従来から構成が公知な振動式のパーツフイーダ等からなるクリップフイーダ11に、洗濯はさみ式の合成樹脂製等のクリップ10をランダムに入れると、上面開放型の供給通路11a内でクリップ10が、その二股状の茎掴み部10aが供給口11bに近い先頭となり、二股状の開閉操作部10b、10bが後になるように姿勢が揃えられて一列状に並べられる(図12(a)参照)。なお、符号10cは茎掴み部10aを常時閉じ方向に付勢するためのリングばねである。
【0035】
クリップ搬送手段9は、図10及び図11に示すように、前記門型フレーム6の下面に設けた支持枠体60に対してその下面側に吊支される移動枠体61がX方向及びY方向に移動可能となるように構成されている。即ち、支持枠体60の下面に固定したX方向に長手のガイドレール62に対して移動枠体61の上部吊支体61aを左右方向(X方向)に移動自在に吊支し、支持枠体60の下面側に設けた従動プーリ63と駆動プーリ64とにタイミングベルト65を巻掛けし、駆動プーリ64は門型フレーム6上に固定した正逆回転可能なステップモータ66にて駆動され、タイミングベルト65と前記上部吊支体61aとを連結金具69にて連結する。また、上部吊支体61aの下面に設けた前後方向(Y方向)のガイドレール67に対して移動枠体61を移動自在に吊支し、門型フレーム6下面に固定した駆動アクチュエータ68のピストンロッド(図示せず)を移動枠体61に連結して、ピストンロッドが突出動すれば、移動枠体61が前記クランプ移送手段7の前面に対して接近するように移動させられる(図10の二点鎖線参照)。
【0036】
前記移動枠体61には、6対の左右ハンド体70a,70bからなるクリップホルダ70が、クランプ移送機構7における上部クランプ手段15及び上部クランプ手段16の設置間隔と等しい一定間隔(P2)にて配置されている。
6本の右ハンド体70bの基部を固定した横杆71と、同じく6本の左ハンド体70aの基部を固定した横杆72とは、移動枠体60に対して互い左右移動可能に装着されている。
【0037】
他方、各クリップホルダ70における左右ハンド体70a,70bには互いに内向きに開口するY方向に長手の案内溝76,76が形成されており、この案内溝76,76にクリップ10におけるリングばね10cが挿通して姿勢保持されながら、クリップ10の先端である茎掴み部10aが保持部77まで移動できる。
【0038】
そして、後述するように左右ハンド体70a,70bの間隔がP4に保持された状態で、前記クリップフイーダ11における供給通路11aの供給口11bの前方に位置するとき、供給通路11a上に沿って配置したエアシリンダ等のクリップ供給用アクチュエータ78におけるピストンロッド78a先端の押し体79がクリップ10を前方に押し出してクリップホルダ70に受け継ぎさせる(図12(a)参照)。一つのクリップホルダ70に対して1つのクリップ10の受け継ぎを終了すると、ステップモータ66を作動させ、移動枠体60全体をピッチP2だけ横方向(X方向)に間欠移動させて、空状態のクリップホルダ70を供給口11bの前方に位置させ、このクリップホルダ70にクリップ10を受け継がせるという作業を繰り返して、6つのクリップホルダ70の全てにクリップ10が供給されると、前記台木苗Dと穂木苗Hとの斜め切断個所を接合させた状態のクランプ移送機構7の前方に向かって移動枠体61を大きくX方向に移動させるのである。
【0039】
なお、移動枠体61に固定したエアシリンダ等の第1クリップ用アクチュエータ73における左側から突出するピストンロッド73aを第2クリップ用アクチュエータ74に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ74のピストンロッド74aを前記横杆71に連結する一方、右側から突出するピストンロッド73bを第2クリップ用アクチュエータ75に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ75のピストンロッド75aを前記横杆72に連結する。これにより、両ピストンロッド73a,73bが互いに突出すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP3(図12(b)の状態参照)まで縮まり、クリップ10における左右の開閉操作部10b,10bの間隔を狭くし、茎掴み部10aが拡がった状態に保持できる。両ピストンロッド73a,73bが互いに後退すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図12(a)の状態参照)まで拡がり、クリップフイーダ11における供給口11bからクリップ10を受け継ぐ待機姿勢となる。そして、この拡がった状態で第2クリップ用アクチュエータ74,75を作動させてピストンロッド74a,75aを突出動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP5(図12(c)の状態参照)まで拡がり、クリップ10における茎掴み部10aにて接ぎ木苗Sの接合部を左右から掴んで固定する。ピストンロッド74a,75aを後退動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図12(b)の状態参照)まで狭くなるように復帰するのである。
【0040】
なお、図1及び図2に一点鎖線で示す安全カバー体90は、門型フレーム6の上部及び周囲側面を覆うものであって、接ぎ木苗製造作業中に、作業者が、上下及び左右に移動するクランプ移送手段7や切断手段8等に不注意に接近して怪我しないように保護するためのものある。安全カバー体90の少なくとも前後側面は、内側のクランプ移送手段7や切断手段8等の作動状況が観察できるように透明も合成樹脂材であることが好ましい。また、作業者は、ともすれば、前記安全カバー体90を取り外して作業を行い勝ちであるので、前記門型フレーム6の上面等に安全カバー体90に対する支持部材91を複数箇所設け、この支持部材91のうちの1つ乃至複数の箇所には作業者から見えない箇所に、安全カバー体90を除去すると感知するセンサ(図示せず)を設け、安全カバー体90の除去すれば、センサの検出信号により、本実施例の接ぎ木苗製造装置の作動を停止させるように、前記制御中央処理装置14を構成することが好ましい。この場合のセンサの種類としては、安全カバー体90の重量を検出する重量センサや、安全カバー体90の支持部材91への接触の有無を感知する接触センサ等の複数種類のセンサにて構成しても良いのである。
【0041】
以上の構成により、クランプ移送機構7にて、6本の穂木苗H及び6本の台木苗Dを上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16にてクランプしたのち、その各々の根鉢部を根切り用カッター機構80にて切断することでトレイ5に残した状態で持ち上げ、この状態で、各穂木苗Hの茎部及び各台木苗Dの茎部を、前記上部クランプ手段15の下面側(下部クランプ手段16の上面側)において斜め方向に切断し、次いで、上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16にての相対的な横移動によって、各穂木苗Hの茎部を、各台木苗Dの茎部に合わせ接合し、この接合部を、クリップ10にて固定して、6本の接ぎ木苗Sとなし、さらに、上下両クランプ手段15,16を一斉に下降させることより、各接ぎ木苗Sを、トレイ5′における各鉢部20′内の苗床土20aに差し込むように植え付けると言う作業を連続して行うのである。
【0042】
なお、前記一斉に上下両クランプ手段15,16を過去させた後、下部クランプ手段16による把持を一時的に緩めた状態のまま上部クランプ手段15のみを再度適宜距離だけ下降させることによって、苗床土20aへの差し込み深さをより深くできるから接ぎ木苗の育成が向上するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による接ぎ木苗製造装置の概略平面図である。
【図2】前記接ぎ木苗製造装置の概略正面図である。
【図3】門型フレーム部分におけるクランプ移送機構と、切断機構と、クリップ搬送機構との移動範囲を示す説明図である。
【図4】クランプ移送手段と、切断手段との側面図である。
【図5】クランプ移送手段及び切断手段の一部切欠き平面図である。
【図6】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き正面図である。
【図7】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き斜視図である。
【図8】切断手段の要部斜視図である。
【図9】茎部を切断する時における部品の位置関係を示す要部拡大断面図である。
【図10】クリップ搬送手段を示す断面図であって、図11におけるX−X視断面図である。
【図11】図10のXI −XI 視側面図である。
【図12】(a)はクリップフイーダからクリップホルダへのクリップ受け継ぎ状態を示す平断面図、(b)はクリップにおける茎掴み部を開いた状態を示す平面図、(c)はクリップにて茎を掴む状態を示す平面図である。
【図13】図12(a)のXIII−XIII視拡大断面図である。
【図14】接ぎ木済苗を苗床土に差し込む作用説明図である。
【符号の説明】
H 穂木苗
D 台木苗
S 接ぎ木済苗
1 接ぎ木苗装置
2 穂木苗用搬送ライン
3 台木苗用搬送ライン
4 接ぎ木済苗用搬送ライン
5,5′ トレイ
6 門型フレーム
7 クランプ搬送手段
8 斜め切断手段
9 クリップ搬送手段
10 クリップ
15 上部クランプ手段
16 下部クランプ手段
17 上部移送フレーム
18 下部移送フレーム
19 カッター刃
80 根切り用カッター手段
Claims (3)
- 穂木苗の茎部を、穂木用クランプ手段にて把持した状態でこのクランプ手段の下面側において切断する一方、台木苗の茎部を、台木用クランプ手段にて把持した状態でこのクランプ手段の上面側及び下面側において切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合し、次いで、この接合箇所を固定し、
さらに、前記両クランプ手段の下降後に、台木用クランプ手段による把持を緩めた状態で穂木用クランプ手段を再度下降させて接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むことを特徴とする接ぎ木苗の製造方法。 - 穂木苗の茎部を把持する穂木用クランプ手段と、該穂木用クランプ手段の下面側で穂木苗の茎部を切断する切断手段と、
台木苗の茎部を把持する台木用クランプ手段と、該台木用クランプ手段の上面側及び下面側において台木苗の茎部を切断する切断手段と、
穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合すべく前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動させる移送手段と、
前記接合箇所にクリップを供給して固定するクリップ搬送手段と、前記クリップによる固定箇所の下方に苗床土を有するトレイを搬送するトレイ搬送手段と、接ぎ木済苗の茎部を苗床土に差し込むべく前記両クランプ手段を下降させる移送手段とを備えたことを特徴とする接ぎ木苗の製造装置。 - 前記クランプ手段を下降させる移送手段は、両クランプ手段の下降後に、台木用クランプ手段を緩めた状態で穂木用クランプ手段を再度下降させるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の接ぎ木苗の製造装置。
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