JP3566378B2 - 苗の接ぎ木方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の切断面個所にて接合して固定するようにした苗の接ぎ木方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の斜め方向の切断面個所にて接合させ、この接合個所をクリップにて固定すると言う接ぎ木方法としては、特開平2−107125号公報、特開平4−187029号公報及び特開平4−304817号公報に開示されたものがある。
【0003】
これら従来における接ぎ木方法は、いずれも、穂木苗の茎部を穂木用クランプ手段にてクランプし、この状態で前記穂木苗の茎部を前記クランプ手段の下面側において斜め方向に切断する一方、台木苗の茎部を台木用クランプ手段にてクランプし、この状態で台木苗の茎部を前記クランプ手段の上面側において斜め方向に切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の斜め切断面と、台木苗における茎部の斜め切断面とを合わせるように接合し、この接合箇所をクリップにて固定すると言うものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、接ぎ木する苗が茄子科の植物である場合には、台木苗及び穂木苗のいずれにおいても、茎部の斜め方向の切断を当該茎部の上端における子葉から多少離れた部分で行うようにしても良いが、接ぎ木する苗が瓜科の植物である場合には、台木苗及び穂木苗のいずれにおいても、茎部の斜め方向の切断はできるだけ子葉に近い部分において行うようにしなければならないのである。
【0005】
これに対して、前記した従来の方法では、台木苗における茎部の切断は、当該茎部をクランプした台木用クランプ手段の上面側において行うので、その子葉の近い部分において行うことができる。
しかし、その反面、穂木苗の方は、その茎部を穂木用クランプ手段にてクランプし、この穂木用クランプ手段の下面側において茎部の切断を行うものであり、その茎部を穂木用クランプ手段にてクランプするとき、茎部の上端における子葉を当該クランプ手段にて傷めることがないようにすることのために、子葉から可成り離れ部分においてクランプしなければならないから、茎部の切断を、子葉に近い部分において行うことができないのである。
【0006】
従って、前記した従来における接ぎ木方法は、茄子科の植物には適用できても、瓜科の植物には適用できないことになる。
本発明は、茄子科の植物における接ぎ木にも確実に適用できるようにした接ぎ木方法を提供することを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明は、
「穂木苗の茎部を、穂木用クランプ手段にてクランプした状態でこのクランプ手段の下面側において切断する一方、台木苗の茎部を、台木用クランプ手段にてクランプした状態でこのクランプ手段の上面側において切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合し、この接合箇所を固定するようにした接ぎ木方法において、前記穂木苗の茎部を穂木用クランプ手段にてクランプした状態で、そのクランプを一時的に緩める動作を行い、この緩め動作後において前記穂木の茎部に対する前記の切断を行うことを特徴とする。」
ものである。
【0008】
【作 用】
このように、穂木苗の茎部を穂木用クランプ手段にてクランプした状態で、そのクランプを一時的に緩める動作を行うことにより、穂木苗は、その茎部の上端における子葉が、穂木用クランプ手段の上面に接触する状態になるまで落下することになるから、この落下した分だけ、茎部の切断部を当該茎部の上端における子葉に近付けることができる。
【0009】
【発明の効果】
つまり、本発明によると、前記穂木用クランプ手段によるクランプに際しては、子葉から離れた部分を、当該子葉を損傷することなくクランプできるものでありながら、茎部の切断部を、茎部の上端における子葉に近付けることができるから、瓜科の植物に対しても、確実に適用できる効果を有する。
【0010】
また、「請求項2」のようにすることにより、穂木及び台木の両方における茎部の切断を、当該茎部の上端における子葉に近付けることができるのである。
【0011】
【実施例】
次に、本発明の具体化した実施例を、図面について説明する。
図1は苗接ぎ木装置1の全体を示す概略平面図、図2は概略正面図、図3は各作業の機構の移動範囲を示す概略平面図である。
本発明による苗接ぎ木装置1は、図1に示すように、穂木苗用搬送ライン2と台木苗用搬送ライン3と接ぎ木済苗搬送ライン4とを平面視で平行状に配置する。この各搬送ライン2,3,4は、いずれもベルトコンベヤ等の周知構成の搬送手段からなり、各搬送ライン2,3,4のうち穂木苗用搬送ライン2及び台木苗用搬送ライン3の上面に載置される各トレイ5には、穂木苗H及び台木苗Dがそれぞれ複数本(X方向に6本列、Y方向に12本列)を収納できる鉢部20が平面視マトリックス状に形成されている。また、前記接ぎ木済苗搬送ライン4の上面に載置される各トレイ5′には、予め養土を入れた鉢部20′が平面視マトリックス状に形成されている。
【0012】
そして、図1において左端にある穂木苗用搬送ライン2と中央にある台木苗用搬送ライン3とではトレイ5を、図1の矢印Y方向に前記鉢部20の間隔P1毎に間欠的に搬送され、苗のクランプ移送機構7、切断機構8、クリップ搬送機構9等を配置した門型フレーム6の下方個所で後述する各種作業を実行し、接ぎ木用のクリップ10により台木苗Dの根元側と穂木苗Hの先端側とを接ぎ木された接ぎ木済苗Sを、接ぎ木済苗搬送ライン4において、その上面のトレイ5′における各鉢部20′内に充填されている養土に突き刺するように植え付けたのち、前記両搬送ライン2,3におけるトレイ5の搬送方向と逆向き(反矢印Y方向)に前記ピッチP1にて間欠搬送するものである。
【0013】
また、接ぎ木済苗搬送ライン4の側方であって、門型フレーム6の下方には、不要となった台木苗Dにおける茎部D′上端の子葉D″を集めるための廃棄箱12が設置され、更にまた、その廃棄箱12の上方近傍には、クリップ10を1個づつクリップ搬送機構9に供給するためのクリップフイーダ11が配置されている。なお、符号13は、前記各機構7,8,9等の駆動用の圧縮エア源となるコンプレッサ、符号14は、作業を制御するための電気的制御回路等の制御用中央処理装置である。
【0014】
後に詳述するクランプ移送機構7は、前記穂木苗用搬送ライン2上のトレイ5における6本の穂木苗Hの茎部H′と、前記台木苗用搬送ライン3上のトレイ5における6本の台木苗Dの茎部D′とを、上下一対のクランプ手段15,16にて一挙にクランプするものであり、この上下一対の両クランプ手段15,16のうち下部クランプ手段16の下面には、根切り用カッター機構80が設けられている。
【0015】
前記上部クランプ手段15を支持する上部移送フレーム17、及び前記下部クランプ手段16を支持する下部移送フレーム18は、前記各クランプ手段15,16にて前記各穂木苗Hの茎部H′及び台木苗Dの茎部D′をクランプする同時に前記根切り用カッター機構80にて前記下部クランプ手段16の下面側において切断したのち、一体的に適宜高さだけ上昇することにより、この上下両クランプ手段15,16にてクランプした穂木苗H及び台木苗Dを、図16に示すように、その各々のトレイ5から上方に一斉に持ち上げ(このとき、穂木苗H及び台木苗Dにおける根部及び養土は、その各々のトレイ5に残される)、次いで、トレイ5の上方に空間にて上下両クランプ手段15,16の間に設けた斜め切断機構8におけるカッター刃19を押し進めることにより、前記各穂木苗Hにおける茎部H′及び各台木苗Dにおける茎部D′を、図17に示すように、斜め方向に切断するのである。
【0016】
この斜め方向の切断に先立って、前記各穂木苗Hの茎部H′及び各台木苗Dの茎部D′に対する両クランプ手段15,16によるクランプを一時的に緩めると言う動作を行うのである。
すると、前記各穂木苗H及び各台木苗Dは、その自重量で、当該穂木苗Hにおける子葉H″及び台木苗Dの子葉D″が、前記上部クランプ手段15の上面に接触する状態になるまで落下することになるから、前記各穂木苗H及び各台木苗Dに対する両クランプ手段15,16によるクランプを子葉H″,D″から離れた部分で行うようにしても、前記カッター刃19による斜め方向の切断部を子葉H″,D″に近付けることができる。
【0017】
次いで、下部クランプ手段16の下部移送フレーム18が、前記各穂木苗Hの茎部H′を台木苗用搬送ライン3におけるトレイ5の上に位置し、前記各台木苗Dの茎部D′を接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5上に位置するように、距離L1(1ライン幅分)だけ横移動したのち、前記各穂木苗Hの茎部H′に対するクランプを解除することにより、当該茎部H′を落下して捨てる。
【0018】
他方、上部クランプ手段15の上部移送フレーム17が、前記各穂木苗Hの子葉H″を接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5′上に位置し、前記各台木苗Dの子葉D″を廃棄箱12上に位置するように、距離L2(前記距離L1の二倍)だけ横移動したのち、前記各台木苗Dの子葉D″に対するクランプを解除することにより、当該子葉D″を、廃棄箱12に落下して捨てる。
【0019】
この上部クランプ手段15の上部移送フレーム17の距離L2の横移動により、各穂木苗Hにおける子葉H″と、各台木苗Dにおける茎部D′とを、接ぎ木済苗搬送ライン4上の部位において、図18に示すように、その斜め方向の切断面を合わせるように接合することができ、この状態で、前記接ぎ木済苗搬送ライン4のトレイ5′の上方にて、前記穂木苗Hと台木苗Dとの接合部を、クリップ搬送機構9に予め装填されたクリップ10にて挟持して固定することにより、図19に示すように、接ぎ木済苗Sとし、この各接ぎ木済苗Sを、前記クランプ移送機構7の下降動により、前記接ぎ木済苗搬送ライン4の上面に載置されたトレイ5′における各鉢部20′内に充填されている養土に差し込むようにして植え付けるのである。
【0020】
次に、前記クランプ移送機構7の細部構成について、図4〜図9を参照しながら説明する。このクランプ移送機構7の昇降枠21は、門型フレーム6の上面板に固定した昇降用エアシリンダ等の第1昇降アクチュエータ22にて、穂木苗用搬送ライン2及び台木苗用搬送ライン3の上面に対して大きく上下動する。昇降枠21には、距離L1だけ横移動する横移動用エアシリンダ等の第1横移動アクチュエータ23を介して12対の下部クランプ手段16が備えられた下部移送フレーム18が装着されている。
【0021】
また、昇降枠21の前面の上下ガイドレール24に横移動用エアシリンダ等の第2横移動アクチュエータ25を上下動自在に配置し、この第2横移動アクチュエータ25を、昇降枠21に固定されたエアシリンダ等の第2昇降アクチュエータ26にて小さい距離だけ上下動するように装着されている。この第2横移動アクチュエータ25にて、12対の上部クランプ手段15が備えられた上部移送フレーム17が距離L2だけ横移動するように構成されている。
【0022】
図4で理解できるように、台木苗Dの茎部D′及び穂木苗Hの茎部H′をクランプする下部クランプ手段16の基部は、斜め切断機構8から遠い側に位置し、台木苗Dの茎部D′及び穂木苗Hの茎部H′をクランプする上部クランプ手段15の基部は前記斜め切断機構8に近い側に位置している。上部クランプ手段15の左右支持体15a,15bの拡狭移動機構と、下部クランプ手段16の左右支持体16a,16bの拡狭移動機構とは同じであるので、下部クランプ手段16における拡狭移動機構にて代表して説明すると、図7に示すように、下部移送フレーム18における上下一対の横長のガイド軸30には、左右一対の摺動支持片31a,31bと左右一対の摺動支持片32a,32bを左右摺動自在に被嵌し、一対の摺動支持片31a,31bには前記下部クランプ手段16の12本の左支持体16aが一定間隔(P2)にて取付く横杆33を固着する。他方の一対の摺動片32a,32bには、前記12本の右支持体16bが一定間隔(P2)にて取付く横杆34を固着する。
【0023】
そして、図6及び図7において、下部移送フレーム18の左端に設けた拡狭移動用アクチュエータ35のピストンロッド35aを摺動支持片31aに固定する一方、下部移送フレーム18の右端に設けた拡狭移動用アクチュエータ36のピストンロッド36aを摺動支持片32bに固定する。この構成により、左右両拡狭移動用アクチュエータ35,36のピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が狭まるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bにて台木苗Dの茎部D′及び穂木苗Hの茎部H′を左右からクランプすることになる。
【0024】
反対にピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が拡がるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bは前記茎を放すように拡がるのである。
一方、上部移送フレーム17においても、拡狭移動用アクチュエータ35,36及び横杆38,39を介して左右支持体15a,15bを左右移動させて、この先端の挟持片40a,40bにて台木苗Dの茎部D′及び穂木Hの茎部H′をクランプしたり、このクランプを解除したりするものである。なお、図6では上部移送フレーム17等は図示省略している。
【0025】
なお、挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)は、図7及び図9に示すように、断面L字状に形成され、水平板部の内辺には茎を囲むように案内できる平面視略V字状の案内溝41が形成されており、前記挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)には、挟持するときの茎の損傷を防止するためのスポンジ等の軟質弾性体42が固着されている。
【0026】
次に、図4、図5、図8及び図9に基づいて斜め切断機構8について説明する。斜め切断機構8におけるカッター刃19は、前記クランプ移送機構7と対向した位置に台木苗D及び穂木苗Hの搬送方向上流側から各茎部D′,H′に対して接近することにより、図9に示すように、当該茎部D′,H′を斜め方向に切断する。
【0027】
前記クランプ移送機構7にてクランプされて所定高さまで持ち上げられた台木苗D及び穂木苗Hを12本一挙に切断するとき、各苗の茎部D′,H′がカッター刃19の押し切りに対して逃げ移動しないようにするため、上部クランプ手段15と下部クランプ手段16との上下間にて、左右一対の把持片43a,43bにて茎部D′,H′の位置を拘束した後に、カッター刃19を図5の矢印Y方向に押し進める。
【0028】
前記切断用フレーム44は、前記門型フレーム6に対して高さ位置不変に保持され、切断用フレーム44には、前記12本の左把持片43aの基部を支持する横杆45と右把持片43bの基部を支持する横杆46とが左右移動可能に支持されている。そして、切断用フレーム44に取付けられたエアシリンダ等の把持移動用アクチュエータ47の左側から突出するピストンロッド47aを前記横杆46に連結する一方、右側から突出するピストンロッド47bを前記横杆45に連結する。これにより、両ピストンロッド47a,47bが互いに突出すると、左右両把持片93a,43bの左右間隔が縮まり苗の茎を左右から把持する。反対に両ピストンロッド47a,47bが互いに後退すると、左右両把持片43a,43bの左右間隔が拡がるのである。
【0029】
他方、切断用フレーム44に前後移動(矢印Y方向)に移動可能に支持された支持フレーム48には12本の丸棒、角棒、板状等のカッター軸49を一定間隔(P2)にて突出させ、カッタアクチュエータ50により支持フレーム48を(矢印Y方向)移動させるものである。
次に、図10〜図15を参照しながらクリップ搬送機構9の詳細構成について説明する。
【0030】
従来から構成が公知な振動式のパーツフイーダ等からなるクリップフイーダ11に、洗濯はさみ式の合成樹脂製等のクリップ10をランダムに入れると、上面開放型の供給通路11a内でクリップ10が、その二股状の茎掴み部10aが供給口11bに近い先頭となり、二股状の開閉操作部10b、10bが後になるように姿勢が揃えられて一列状に並べられる(図12(a)参照)。なお、符号10cは茎掴み部10aを常時閉じ方向に付勢するためのリングばねである。
【0031】
クリップ搬送機構9は、図10及び図11に示すように、前記門型フレーム6の下面に設けた支持枠体60に対してその下面側に吊支される移動枠体61がX方向及びY方向に移動可能となるように構成されている。即ち、支持枠体60の下面に固定したX方向に長手のガイドレール62に対して移動枠体61の上部吊支体61aを左右方向(X方向)に移動自在に吊支し、支持枠体60の下面側に設けた従動プーリ63と駆動プーリ64とにタイミングベルト65を巻掛けし、駆動プーリ64は門型フレーム6上に固定した正逆回転可能なステップモータ66にて駆動され、タイミングベルト65と前記上部吊支体61aとを連結金具69にて連結する。また、上部吊支体61aの下面に設けた前後方向(Y方向)のガイドレール67に対して移動枠体61を移動自在に吊支し、門型フレーム6下面に固定した駆動アクチュエータ68のピストンロッド(図示せず)を移動枠体61に連結して、ピストンロッドが突出動すれば、移動枠体61が前記クランプ移送機構7の前面に対して接近するように移動させられる(図10の二点鎖線参照)。
【0032】
前記移動枠体61には、6対の左右ハンド体70a,70bからなるクリップホルダ70が、クランプ移送機構7における上部クランプ手段15及び上部クランプ手段16の設置間隔と、等しい一定間隔(P2)にて配置されている。
6本の右ハンド体70bの基部を固定した横杆71と、同じく6本の左ハンド体70aの基部を固定した横杆72とは、移動枠体60に対して互い左右移動可能に装着されている。
【0033】
他方、各クリップホルダ70における左右ハンド体70a,70bには互いに内向きに開口するY方向に長手の案内溝76,76が形成されており、この案内溝76,76にクリップ10におけるリングばね10cが挿通して姿勢保持されながら、クリップ10の先端である茎掴み部10aが保持部77まで移動できる。
【0034】
そして、後述するように左右ハンド体70a,70bの間隔がP4に保持された状態で、前記クリップフイーダ11における供給通路11aの供給口11bの前方に位置するとき、供給通路11a上に沿って配置したエアシリンダ等のクリップ供給用アクチュエータ78におけるピストンロッド78a先端の押し体79がクリップ10を前方に押し出してクリップホルダ70に受け継ぎさせる(図12(a)参照)。一つのクリップホルダ70に対して1つのクリップ10の受け継ぎを終了すると、ステップモータ66を作動させ、移動枠体60全体をピッチP2だけ横方向(X方向)に間欠移動させて、空状態のクリップホルダ70を供給口11bの前方に位置させ、このクリップホルダ70にクリップ10を受け継がせるという作業を繰り返して、6つのクリップホルダ70の全てにクリップ10が供給されると、前記台木苗Dと穂木苗Hとの斜め切断個所を接合させた状態のクランプ移送機構7の前方に向かって移動枠体61を大きくX方向に移動させるのである。
【0035】
なお、移動枠体61に固定したエアシリンダ等の第1クリップ用アクチュエータ73における左側から突出するピストンロッド73aを第2クリップ用アクチュエータ74に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ74のピストンロッド74aを前記横杆71に連結する一方、右側から突出するピストンロッド73bを第2クリップ用アクチュエータ75に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ75のピストンロッド75aを前記横杆72に連結する。これにより、両ピストンロッド73a,73bが互いに突出すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP3(図12(b)の状態参照)まで縮まり、クリップ10における左右の開閉操作部10b,10bの間隔を狭くし、茎掴み部10aが拡がった状態に保持できる。両ピストンロッド73a,73bが互いに後退すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図12(a)の状態参照)まで拡がり、クリップフイーダ11における供給口11bからクリップ10を受け継ぐ待機姿勢となる。そして、この拡がった状態で第2クリップ用アクチュエータ74,75を作動させてピストンロッド74a,75aを突出動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP5(図12(c)の状態参照)まで拡がり、クリップ10における茎掴み部10aにて接ぎ木苗Sの接合部を左右から掴んで固定する。ピストンロッド74a,75aを後退動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図12(b)の状態参照)まで狭くなるように復帰するのである。
【0036】
そして、前記のように、接ぎ木苗Sの接合部をクリップ10にて掴んで固定するに際しては、接ぎ木苗Sの反対側の部位に、断面横向きコ字状の受け杆81を配設して、この受け杆81の上下一対の支持板81a,81bに設けたV型溝81a′,81b′にて茎部の背面側を支持することに加えて、前記両支持板81a,81bの間に配設した接合部支持板82にて接合部の背面側を支持するように構成することにより、クリップ10による固定時において茎部を損傷することを確実に低減できる。なお、このように接合部支持板82を設ける場合には、前記クリップ10の先端部には、当該接合部支持板82が嵌まる溝を10dを刻設すると言う構成にする。
【0037】
以上の構成により、クランプ移送機構7にて、6本の穂木苗H及び6本の台木苗Dを上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16にてクランプしたのち、その各々の根部を根切り用カッター機構80にて切断することでトレイ5に残した状態で持ち上げ、この状態で、前記のクランプを一時的に緩めることによって、各穂木苗H及び各台木苗Dを、その子葉H″,D″が前記上部クランプ手段15の上面に接触するように落下したのち、各穂木苗Hの茎部H′及び各台木苗Dの茎部D′を、前記上部クランプ手段15の下面側において斜め方向に切断し、次いで、各穂木苗Hの茎部H′及び各台木苗Dの子葉D″を捨てたのち、前記上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16にての相対的な横移動によって、各穂木苗Hの子葉H″を、各台木苗Dの茎部D′に合わせ接合し、この接合部を、クリップ10にて固定して、6本の接ぎ木苗Sとなし、この各接ぎ木苗Sを、トレイ5′におけるた各鉢部20′内の養土に差し込むように植え付けると言う作業を連続して行うのである。
【0038】
なお、実施例は、台木苗Dにおける根部を根切り用カッター機構80にして切り捨て、この台木苗Dにおける茎部D′のみを取り出して、この茎部D′に対して、穂木苗Hにおける子葉H″を接ぎ木する場合を示したが、本発明は、これに限らず、穂木苗Hから子葉H″のみを切り取り、これを、子葉D″のみを切り取った台木苗Dにおける茎部D′に対して接ぎ木する場合にも適用できることは言うまでもなく、この場合には、台木苗Dの全体を持ち上げ、その先端における子葉D″を切除して、これに穂木苗Hの子葉H″を接合固定し、この根付き接ぎ木苗を、前記接ぎ木済苗搬送ライン4の上面に載置されたトレイに供給するように構成するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による接ぎ木苗装置の概略平面図である。
【図2】前記接ぎ木苗装置の概略正面図である。
【図3】門型フレーム部分におけるクランプ移送機構と、切断機構と、クリップ搬送機構との移動範囲を示す説明図である。
【図4】クランプ移送機構と、切断機構との側面図である。
【図5】クランプ移送機構及び切断機構の一部切欠き平面図である。
【図6】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き正面図である。
【図7】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き斜視図である。
【図8】切断機構の要部斜視図である。
【図9】茎部を切断する時における部品の位置関係を示す要部拡大断面図である。
【図10】クリップ搬送機構を示す断面図で図11におけるX−X視断面図である。
【図11】図10のXI −XI 視側面図である。
【図12】(a)はクリップフイーダからクリップホルダへのクリップ受け継ぎ状態を示す平断面図、(b)はクリップにおける茎掴み部を開いた状態を示す平面図、(c)はクリップにて茎を掴む状態を示す平面図である。
【図13】図12(a)のXIII−XIII視拡大断面図である。
【図14】図12(b)のXIV −XIV 視断面図である。
【図15】図14のXV−XV視断面図である。
【図16】穂木苗及び台木苗を根から切断して持ち上げた状態を示す図である。
【図17】穂木苗及び台木苗の茎部を斜め方向に切断している状態を示す図である。
【図18】穂木苗の子葉と台木苗の茎部とを接合した状態を示す図である。
【図19】穂木苗の子葉と台木苗の茎部とを接合した接ぎ木苗を示す図である。
【符号の説明】
H 穂木苗
H′ 穂木苗の茎部
H″ 穂木苗の子葉
D 台木苗
D′ 台木苗の茎部
D″ 台木苗の子葉
S 接ぎ木済苗
1 接ぎ木苗装置
2 穂木苗用搬送ライン
3 台木苗用搬送ライン
4 接ぎ木済苗用搬送ライン
5,5′ トレイ
6 門型フレーム
7 クランプ搬送機構
8 斜め切断機構
9 クリップ搬送機構
10 クリップ
15 上部クランプ手段
16 下部クランプ手段
17 上部移送フレーム
18 下部移送フレーム
19 カッター刃
80 根切り用カッター機構
Claims (2)
- 穂木苗の茎部を、穂木用クランプ手段にてクランプした状態でこのクランプ手段の下面側において切断する一方、台木苗の茎部を、台木用クランプ手段にてクランプした状態でこのクランプ手段の上面側において切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合し、この接合箇所を固定するようにした接ぎ木方法において、前記穂木苗の茎部を穂木用クランプ手段にてクランプした状態で、そのクランプを一時的に緩める動作を行い、この緩め動作後において前記穂木の茎部に対する前記の切断を行うことを特徴とする苗の接ぎ木方法。
- 穂木苗の茎部を、穂木用クランプ手段にてクランプした状態でこのクランプ手段の下面側において切断する一方、台木苗の茎部を、台木用クランプ手段にてクランプした状態でこのクランプ手段の上面側において切断し、次いで、前記穂木用クランプ手段と、台木用クランプ手段とを相対的に移動することによって、穂木苗における茎部の切断面と、台木苗における茎部の切断面とを合わせるように接合し、この接合箇所を固定するようにした接ぎ木方法において、前記穂木苗の茎部を穂木用クランプ手段にてクランプした状態及び前記台木苗の茎部を台木用クランプ手段にてクランプした状態で、これらのクランプを一時的に緩める動作を行い、この緩め動作後において前記穂木の茎部に対する前記の切断、及び前記台木の茎部に対する前記の切断を行うことを特徴とする苗の接ぎ木方法。
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-
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