JP3667805B2 - 苗の接ぎ木方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の切断面を合わせて接合して固定するようにした苗の接ぎ木方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、台木苗の茎部と穂木苗の茎部とを、その両者の切断面を合わせて接合したのち、この接合状態に固定すると言う接ぎ木方法は、先行技術としての特開平4−304817号公報に記載されている。
この先行技術による接ぎ木方法は、穂木苗用搬送ラインにて搬送される穂木苗の子葉を、当該穂木苗の茎部を切断して摘み取る一方、台木苗用搬送ラインにて搬送される台木苗における子葉をその茎部で切断することで除去し、次いで、前記穂木苗における子葉の茎部を前記台木苗における根付き茎部に、これらの切断面を合わせ接合固定して根付き接ぎ木苗とし、この根付き接ぎ木苗を、前記穂木苗用搬送ライン及び台木苗用搬送ラインとは別に設けた接ぎ木苗用搬送ラインに載せて送り出すようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、前記先行技術による接ぎ木方法は、穂木苗を搬送するための穂木苗用搬送ラインと、台木苗を搬送するための台木苗用搬送ラインとを必要とすることに加えて、接ぎ木した苗、つまり接ぎ木苗を送り出すための接ぎ木苗用搬送ラインを必要し、換言すると、三つの苗用搬送ラインを必要とするので、装置が著しく大型化するばかりか、装置の価格が高くなり、接ぎ木に要するコストがアップすると言う問題があった。
【0004】
本発明は、この問題を解消するようにした接ぎ木方法を提供することを技術的課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の接ぎ木方法は、
「穂木苗を列状に搬送する穂木苗用搬送ラインと、台木苗を列状に搬送する台木苗用搬送ラインと、前記両搬送ラインに向かって昇降動するとともに横方向に往復動するように構成した上下一対のクランプ手段とにより苗を接ぎ木する方法であって、
前記穂木苗用搬送ラインにて搬送される穂木苗の子葉を、当該穂木苗の茎部を前記両クランプ手段のうち上部クランプ手段にてクランプした状態で摘み取る一方、台木苗用搬送ラインにて搬送される台木苗を、前記両クランプ手段にてその茎部をクランプした状態で、前記両クランプ手段の上昇動により持ち上げ、この持ち上げた状態で前記台木苗における茎部を前記両クランプ手段の間の部分で切断し、
次いで、前記持ち上げた状態での前記両クランプ手段の横方向への移動により、前記両クランプ手段のうち上部クランプ手段にてクランプされている穂木苗における子葉付き茎部と、前記両クランプ手段のうち下部クランプ手段にてクランプされている台木苗における根付き茎部とを接合して、この接合部をクリップにて固定して根付き接ぎ木苗とし、
次いで、前記根付き接ぎ木苗を、前記両クランプ手段の下降動にて、前記台木苗用搬送ラインに載置することを特徴とする。」
ものである。
【0006】
【発明の作用・効果】
本発明は、このように、台木苗における根付き茎部に対して穂木苗における子葉の茎部を合わせ接合固定することによって根付き接ぎ木苗とすると、この根付き接ぎ木苗を、前記台木苗を搬送するための台木苗用搬送ラインに載置するものであって、前記台木苗用搬送ラインを、台木苗を搬送供給するための搬送ラインと、前記根付き接ぎ木苗を送り出すための根付き接ぎ木苗用搬送ラインとに共用することができ、換言すると、苗用搬送ラインを、前記先行技術における接ぎ木苗用搬送ラインを廃止して、二本にすることができるから、装置が著しく小型化するばかりか、装置の価格を安価にでき、接ぎ木に要するコストを大幅に低減できる効果を有する。
【0007】
【実施例】
次に、本発明の具体化した実施例を、図面について説明する。
図1は苗接ぎ木装置1の全体を示す概略平面図、図2は概略正面図である。
本発明による苗接ぎ木装置1は、図1に示すように、穂木苗用搬送ライン2と台木苗用搬送ライン3とを平面視で平行状に配置する。この各搬送ライン2,3は、いずれもベルトコンベヤ等の周知構成の搬送手段からなり、各搬送ライン2,3,4のうち前記穂木苗用搬送ライン2の上面に載置される各トレイ4には、穂木苗Hがそれぞれ複数本(X方向の6本列、Y方向に12本列)を収容できる鉢部4′が、また、前記台木苗用搬送ライン3の上面に載置される各トレイ5には、台木苗Dがそれぞれ複数本(X方向に6本列、Y方向に12本列)を収納できる鉢部5′が各々平面視マトリックス状に形成されている。
【0008】
そして、図1において穂木苗用搬送ライン2と台木苗用搬送ライン3とは、その各々におけるトレイ4,5を、図1の矢印Y方向に前記鉢部4′,5′の間隔P1毎に間欠的に搬送され、苗のクランプ移送機構7、切断機構8、クリップ搬送機構9等を配置した門型フレーム6の下方個所で後述する各種作業を実行し、接ぎ木用のクリップ10により台木苗Dの根元側と穂木苗Hの先端側とを接ぎ木された根付き接ぎ木済苗Sを、前記台木苗用搬送ライン3において空になったトレイ5の鉢部5′内に装填するものである。
【0009】
また、台木苗搬送ライン3の側方であって、門型フレーム6の下方には、不要となった台木苗Dにおける茎部D′上端の子葉D″を集めるための廃棄箱12が設置され、更にまた、その廃棄箱12の上方近傍には、苗の茎部を挟持するためのクリップ10を1個づつクリップ搬送機構9に供給するためのクリップフイーダ11が配置されている。
【0010】
後に詳述するクランプ移送機構7は、前記穂木苗用搬送ライン2上のトレイ5における6本の穂木苗Hの茎部H′と、前記台木苗用搬送ライン3上のトレイ5における6本の台木苗Dの茎部D′とを、上下一対のクランプ手段15,16にて一挙にクランプするものであり、この上下一対の両クランプ手段15,16のうち下部クランプ手段16の下面には、前記各穂木苗Hにおける根部を切断するための根切り用カッター機構80が設けられている。
【0011】
前記上部クランプ手段15を支持する上部移送フレーム17、及び前記下部クランプ手段16を支持する下部移送フレーム18は、前記各クランプ手段15,16にて前記各穂木苗Hの茎部H′及び台木苗Dの茎部D′をクランプしたのち、一体的に適宜高さだけ上昇することにより、この上下両クランプ手段15,16にてクランプした穂木苗H及び台木苗Dを、図13に示すように、その各々のトレイ4,5から上方に一斉に持ち上げる。この場合において、各穂木苗Hを、その茎部H′の付け根を根切り用カッター機構80にて切断することにより、根なしの状態で持ち上げる一方、各台木苗Dを、その根部をトレイ5における鉢部5′から引き抜き、根付きの状態で持ち上げるようにする。
【0012】
次いで、各トレイ4,5の上方に空間にて上下両クランプ手段15,16の間に設けた斜め切断機構8におけるカッター刃19を押し進めることにより、前記各穂木苗Hにおける茎部H′及び各台木苗Dにおける茎部D′を、図14に示すように、斜め方向に切断する。
そして、下部クランプ手段16の下部移送フレーム18が、図15に示すように、前記各穂木苗Hの茎部H′を台木苗用搬送ライン3におけるトレイ5の上に位置し、前記各台木苗Dの根付き茎部D′を前記クリップ搬送機構9の箇所に位置するように、距離L1(1ライン幅分)だけ横移動する。
【0013】
他方、上部クランプ手段15の上部移送フレーム17が、前記各穂木苗Hの子葉H″を前記クリップ搬送機構9の箇所に位置するように、前記距離L1の二倍だけ横移動することにより、各穂木苗Hの子葉H″における茎部H′と、各台木苗Dにおける根付き茎部D′とを、前記クリップ搬送機構9の箇所において、図16に示すように、その斜め方向の切断面を合わせるように接合したのち、前記各穂木苗Hと各台木苗Dとの接合部を、クリップ搬送機構9に予め装填されたクリップ10にて挟持して固定して、6本の根付き接ぎ木済苗Sとする。
【0014】
次いで、前記上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16が、各根付き接ぎ木済苗Sをクランプした状態で、図17に示すように、当該各根付き接ぎ木済苗Sが台木苗用搬送ライン3におけるトレイ5の上に位置するように戻し横移動したのち、少し下降動して、これら両上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16によるクランプを一斉に解除することにより、前記各根付き接ぎ木済苗Sを、前記台木苗用搬送ライン3におけるトレイ5に対して、当該各根付き接ぎ木済苗Sの根部がトレイ5における各鉢部5′内に嵌まるように供給する一方、各台木苗Dにおいて不要になった子葉D″を、廃棄箱12内に落下して捨てるのである。
【0015】
次に、前記クランプ移送機構7の細部構成について、図3〜図8を参照しながら説明する。このクランプ移送機構7の昇降枠21は、門型フレーム6の上面板に固定した昇降用エアシリンダ等の第1昇降アクチュエータ22にて、穂木苗用搬送ライン2及び台木苗用搬送ライン3の上面に対して大きく上下動する。昇降枠21には、距離L1だけ横移動する横移動用エアシリンダ等の第1横移動アクチュエータ23を介して12対の下部クランプ手段16が備えられた下部移送フレーム18が装着されている。
【0016】
また、昇降枠21の前面の上下ガイドレール24に横移動用エアシリンダ等の第2横移動アクチュエータ25を上下動自在に配置し、この第2横移動アクチュエータ25を、昇降枠21に固定されたエアシリンダ等の第2昇降アクチュエータ26にて小さい距離だけ上下動するように装着されている。この第2横移動アクチュエータ25にて、12対の上部クランプ手段15が備えられた上部移送フレーム17が、前記距離L1の二倍の距離だけ横移動するように構成されている。
【0017】
図3で理解できるように、台木苗Dの茎部D′及び穂木苗Hの茎部H′をクランプする下部クランプ手段16の基部は、斜め切断機構8から遠い側に位置し、台木苗Dの茎部D′及び穂木苗Hの茎部H′をクランプする上部クランプ手段15の基部は前記斜め切断機構8に近い側に位置している。上部クランプ手段15の左右支持体15a,15bの拡狭移動機構と、下部クランプ手段16の左右支持体16a,16bの拡狭移動機構とは同じであるので、下部クランプ手段16における拡狭移動機構にて代表して説明すると、図6に示すように、下部移送フレーム18における上下一対の横長のガイド軸30には、左右一対の摺動支持片31a,31bと左右一対の摺動支持片32a,32bを左右摺動自在に被嵌し、一対の摺動支持片31a,31bには前記下部クランプ手段16の12本の左支持体16aが一定間隔(P2)にて取付く横杆33を固着する。他方の一対の摺動片32a,32bには、前記12本の右支持体16bが一定間隔(P2)にて取付く横杆34を固着する。
【0018】
そして、図5及び図6において、下部移送フレーム18の左端に設けた拡狭移動用アクチュエータ35のピストンロッド35aを摺動支持片31aに固定する一方、下部移送フレーム18の右端に設けた拡狭移動用アクチュエータ36のピストンロッド36aを摺動支持片32bに固定する。この構成により、左右両拡狭移動用アクチュエータ35,36のピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が狭まるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bにて台木苗Dの茎部D′及び穂木苗Hの茎部H′を左右からクランプすることになる。
【0019】
反対にピストンロッド35a,36aを突出動させると、左右支持体16a,16bの左右間隔が拡がるように横杆33,34が横移動し、左右支持体16a,16b先端の挟持片37a,37bは前記茎を放すように拡がるのである。
一方、上部移送フレーム17においても、拡狭移動用アクチュエータ35,36及び横杆38,39を介して左右支持体15a,15bを左右移動させて、この先端の挟持片40a,40bにて台木苗Dの茎部D′及び穂木Hの茎部H′をクランプしたり、このクランプを解除したりするものである。なお、図5では上部移送フレーム17等は図示省略している。
【0020】
なお、挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)は、図6及び図8に示すように、断面L字状に形成され、水平板部の内辺には茎を囲むように案内できる平面視略V字状の案内溝41が形成されており、前記挟持片37a,37b(挟持片40a,40bも同じ)には、挟持するときの茎の損傷を防止するためのスポンジ等の軟質弾性体42が固着されている。
【0021】
次に、図3、図4、図7及び図8に基づいて斜め切断機構8について説明する。この斜め切断機構8におけるカッター刃19は、前記クランプ移送機構7と対向した位置に台木苗D及び穂木苗Hの搬送方向上流側から各茎部D′,H′に対して接近することにより、図8に示すように、当該茎部D′,H′を斜め方向に切断する。
【0022】
前記クランプ移送機構7にてクランプされて所定高さまで持ち上げられた台木苗D及び穂木苗Hを12本一挙に切断するとき、各苗の茎部D′,H′がカッター刃19の押し切りに対して逃げ移動しないようにするため、上部クランプ手段15と下部クランプ手段16との上下間にて、左右一対の把持片43a,43bにて茎部D′,H′の位置を拘束した後に、カッター刃19を図4の矢印Y方向に押し進める。
【0023】
前記切断用フレーム44は、前記門型フレーム6に対して高さ位置不変に保持され、切断用フレーム44には、前記12本の左把持片43aの基部を支持する横杆45と右把持片43bの基部を支持する横杆46とが左右移動可能に支持されている。そして、切断用フレーム44に取付けられたエアシリンダ等の把持移動用アクチュエータ47の左側から突出するピストンロッド47aを前記横杆46に連結する一方、右側から突出するピストンロッド47bを前記横杆45に連結する。これにより、両ピストンロッド47a,47bが互いに突出すると、左右両把持片93a,43bの左右間隔が縮まり苗の茎を左右から把持する。反対に両ピストンロッド47a,47bが互いに後退すると、左右両把持片43a,43bの左右間隔が拡がるのである。
【0024】
他方、切断用フレーム44に前後移動(矢印Y方向)に移動可能に支持された支持フレーム48には12本の丸棒、角棒、板状等のカッター軸49を一定間隔(P2)にて突出させ、カッタアクチュエータ50により支持フレーム48を(矢印Y方向)移動させるものである。
次に、図9〜図12を参照しながらクリップ搬送機構9の詳細構成について説明する。
【0025】
従来から構成が公知な振動式のパーツフイーダ等からなるクリップフイーダ11に、洗濯はさみ式の合成樹脂製等のクリップ10をランダムに入れると、上面開放型の供給通路11a内でクリップ10が、その二股状の茎掴み部10aが供給口11bに近い先頭となり、二股状の開閉操作部10b、10bが後になるように姿勢が揃えられて一列状に並べられる(図11(a)参照)。なお、符号10cは茎掴み部10aを常時閉じ方向に付勢するためのリングばねである。
【0026】
クリップ搬送機構9は、図9及び図10に示すように、前記門型フレーム6の下面に設けた支持枠体60に対してその下面側に吊支される移動枠体61がX方向及びY方向に移動可能となるように構成されている。即ち、支持枠体60の下面に固定したX方向に長手のガイドレール62に対して移動枠体61の上部吊支体61aを左右方向(X方向)に移動自在に吊支し、支持枠体60の下面側に設けた従動プーリ63と駆動プーリ64とにタイミングベルト65を巻掛けし、駆動プーリ64は門型フレーム6上に固定した正逆回転可能なステップモータ66にて駆動され、タイミングベルト65と前記上部吊支体61aとを連結金具69にて連結する。また、上部吊支体61aの下面に設けた前後方向(Y方向)のガイドレール67に対して移動枠体61を移動自在に吊支し、門型フレーム6下面に固定した駆動アクチュエータ68のピストンロッド(図示せず)を移動枠体61に連結して、ピストンロッドが突出動すれば、移動枠体61が前記クランプ移送機構7の前面に対して接近するように移動させられる(図9の二点鎖線参照)。
【0027】
前記移動枠体61には、6対の左右ハンド体70a,70bからなるクリップホルダ70が、クランプ移送機構7における上部クランプ手段15及び上部クランプ手段16の設置間隔と、等しい一定間隔(P2)にて配置されている。
6本の右ハンド体70bの基部を固定した横杆71と、同じく6本の左ハンド体70aの基部を固定した横杆72とは、移動枠体60に対して互い左右移動可能に装着されている。
【0028】
他方、各クリップホルダ70における左右ハンド体70a,70bには互いに内向きに開口するY方向に長手の案内溝76,76が形成されており、この案内溝76,76にクリップ10におけるリングばね10cが挿通して姿勢保持されながら、クリップ10の先端である茎掴み部10aが保持部77まで移動できる。
【0029】
そして、後述するように左右ハンド体70a,70bの間隔がP4に保持された状態で、前記クリップフイーダ11における供給通路11aの供給口11bの前方に位置するとき、供給通路11a上に沿って配置したエアシリンダ等のクリップ供給用アクチュエータ78におけるピストンロッド78a先端の押し体79がクリップ10を前方に押し出してクリップホルダ70に受け継ぎさせる(図11(a)参照)。一つのクリップホルダ70に対して1つのクリップ10の受け継ぎを終了すると、ステップモータ66を作動させ、移動枠体60全体をピッチP2だけ横方向(X方向)に間欠移動させて、空状態のクリップホルダ70を供給口11bの前方に位置させ、このクリップホルダ70にクリップ10を受け継がせるという作業を繰り返して、6つのクリップホルダ70の全てにクリップ10が供給されると、前記台木苗Dと穂木苗Hとの斜め切断個所を接合させた状態のクランプ移送機構7の前方に向かって移動枠体61を大きくX方向に移動させるのである。
【0030】
なお、移動枠体61に固定したエアシリンダ等の第1クリップ用アクチュエータ73における左側から突出するピストンロッド73aを第2クリップ用アクチュエータ74に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ74のピストンロッド74aを前記横杆71に連結する一方、右側から突出するピストンロッド73bを第2クリップ用アクチュエータ75に連結し、該第2クリップ用アクチュエータ75のピストンロッド75aを前記横杆72に連結する。これにより、両ピストンロッド73a,73bが互いに突出すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP3(図11(b)の状態参照)まで縮まり、クリップ10における左右の開閉操作部10b,10bの間隔を狭くし、茎掴み部10aが拡がった状態に保持できる。両ピストンロッド73a,73bが互いに後退すると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図11(a)の状態参照)まで拡がり、クリップフイーダ11における供給口11bからクリップ10を受け継ぐ待機姿勢となる。そして、この拡がった状態で第2クリップ用アクチュエータ74,75を作動させてピストンロッド74a,75aを突出動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP5(図11(c)の状態参照)まで拡がり、クリップ10における茎掴み部10aにて接ぎ木苗Sの接合部を左右から掴んで固定する。ピストンロッド74a,75aを後退動させると、左右両ハンド体70a,70bの左右間隔がP4(図11(b)の状態参照)まで狭くなるように復帰するのである。
【0031】
以上の構成により、クランプ移送機構7にて、穂木苗用搬送ライン2上面のトレイ4における6本の穂木苗H及び台木苗用搬送ライン3上面のトレイ5における6本の台木苗Dを、上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16にて同時にクランプしたのち、各穂木苗Hを根切りした状態で、各台木苗Dを根付きの状態で、その各々のトレイ4,5から持ち上げ、この状態で、各穂木苗Hの茎部H′及び各台木苗Dの茎部D′を、前記上部クランプ手段15及び下部クランプ手段16の間において斜め方向に切断し、次いで、各穂木苗Hにおける子葉H″の茎部H′を、各根付き台木苗Dにおける茎部D′に対して、その斜め方向の切断面が合うように接合し、この接合部を、クリップ10にて固定して、6本の根付き接ぎ木苗Sとなし、この各根付き接ぎ木苗Sを、前記台木苗用搬送ライン3におけるトレイ5に対して、当該各根付き接ぎ木済苗Sの根部がトレイ5における各鉢部5′内に嵌まるように供給し、この根付き接ぎ木済苗S入りトレイ5を、台木苗用搬送ライン3にて送り出すと言う作業を連続して行うのである。
【0032】
なお、前記斜め切断機構8には、そのカッター刃19による切断の回数をカウントするカウンター81を備えると共に、このカウンター81にてカウントした切断回数が、例えば5000回と言うように適宜回数を越えると作動するようにした警報器82とを設ける。
すなわち、前記斜め切断機構8におけるカッター刃19の切れ味は、切断回数の増加と共に低下し、そのまま切断を継続していると、切断面での苗の活着性が低下することになる。
【0033】
そこで、前記したように、カッター刃19による切断回数が適宜回数を越えると、これを警報器82にて、カッター刃19を交換することの必要があることを警報するように構成することで、カッター刃19の交換忘れによる活着性の低下を未然に防止できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による接ぎ木苗装置の概略平面図である。
【図2】前記接ぎ木苗装置の概略正面図である。
【図3】クランプ移送機構と、切断機構との側面図である。
【図4】クランプ移送機構及び切断機構の一部切欠き平面図である。
【図5】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き正面図である。
【図6】下部移送フレームと下部クランプ手段との一部切欠き斜視図である。
【図7】斜め切断機構の要部斜視図である。
【図8】茎部を切断する時における部品の位置関係を示す要部拡大断面図である。
【図9】クリップ搬送機構を示す断面図で図10におけるIX−IX視断面図である。
【図10】図9のX−X視側面図である。
【図11】(a)はクリップフイーダからクリップホルダへのクリップ受け継ぎ状態を示す平断面図、(b)はクリップにおける茎掴み部を開いた状態を示す平面図、(c)はクリップにて茎を掴む状態を示す平面図である。
【図12】図11(a)のXII −XII 視拡大断面図である。
【図13】穂木苗及び台木苗を持ち上げた状態を示す図である。
【図14】穂木苗及び台木苗の茎部を斜め方向に切断している状態を示す図である。
【図15】根付き台木苗を横移動した状態を示す図である。
【図16】穂木苗の子葉と台木苗の茎部とを接合した接ぎ木苗を示す図である。
【図17】接ぎ木苗を台木苗用搬送ライン上まで横移動した状態を示す図である。
【符号の説明】
H 穂木苗
H′ 穂木苗の茎部
H″ 穂木苗の子葉
D 台木苗
D′ 台木苗の茎部
D″ 台木苗の子葉
S 接ぎ木済苗
1 接ぎ木苗装置
2 穂木苗用搬送ライン
3 台木苗用搬送ライン
4 穂木苗用トレイ
5 台木苗用トレイ
6 門型フレーム
7 クランプ搬送機構
8 斜め切断機構
9 クリップ搬送機構
10 クリップ
15 上部クランプ手段
16 下部クランプ手段
17 上部移送フレーム
18 下部移送フレーム
19 カッター刃
80 根切り用カッター機構
Claims (1)
- 穂木苗を列状に搬送する穂木苗用搬送ラインと、台木苗を列状に搬送する台木苗用搬送ラインと、前記両搬送ラインに向かって昇降動するとともに横方向に往復動するように構成した上下一対のクランプ手段とにより苗を接ぎ木する方法であって、
前記穂木苗用搬送ラインにて搬送される穂木苗の子葉を、当該穂木苗の茎部を前記両クランプ手段のうち上部クランプ手段にてクランプした状態で摘み取る一方、台木苗用搬送ラインにて搬送される台木苗を、前記両クランプ手段にてその茎部をクランプした状態で、前記両クランプ手段の上昇動により持ち上げ、この持ち上げた状態で前記台木苗における茎部を前記両クランプ手段の間の部分で切断し、
次いで、前記持ち上げた状態での前記両クランプ手段の横方向への移動により、前記両クランプ手段のうち上部クランプ手段にてクランプされている穂木苗における子葉付き茎部と、前記両クランプ手段のうち下部クランプ手段にてクランプされている台木苗における根付き茎部とを接合して、この接合部をクリップにて固定して根付き接ぎ木苗とし、
次いで、前記根付き接ぎ木苗を、前記両クランプ手段の下降動にて、前記台木苗用搬送ラインに載置することを特徴とする苗の接ぎ木方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04170895A JP3667805B2 (ja) | 1995-03-01 | 1995-03-01 | 苗の接ぎ木方法 |
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JP04170895A JP3667805B2 (ja) | 1995-03-01 | 1995-03-01 | 苗の接ぎ木方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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