JP3596181B2 - 温水式暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は温水流量を流量制御弁により制御して室内への吹出空気温度を調整する温水式暖房装置に関するもので、自動車用空調装置の温水式暖房装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、温水式暖房装置を含む自動車用空調装置の吹出空気の温度制御方式として、暖房用熱交換器への温水流量を制御して、吹出空気温度を制御する方式のものが知られている。ところで、自動車用空調装置においては、上記暖房用熱交換器を含む温水回路に、温水(エンジン冷却水)を循環させる手段として、走行用エンジンで駆動されるウオータポンプを使用しているので、エンジン回転数の変動とともにウオータポンプの回転数も変動して、暖房用熱交換器への温水圧力が大きく変動する。
【0003】
この温水圧力の変動は、熱交換器への温水流量を変動させるので、熱交換器吹出空気温度を変動させる要因となる。
そこで、本発明者らは、先に、特開平8−67128号公報等において、熱交換器吹出空気温度の変動を抑制する温水式暖房装置を提案している。この従来の装置は、水冷式の走行用エンジンから供給される温水と空気とを熱交換して空気を加熱する暖房用熱交換器と、エンジンから暖房用熱交換器に供給される温水流量を制御するための流量制御弁と、暖房用熱交換器をバイパスして温水を流すバイパス回路とを備えている。
【0004】
そして、このバイパス回路に、エンジンから供給される温水の圧力上昇に応じて、バイパス回路の開度を増大する圧力応動弁を設け、この圧力応動弁により暖房用熱交換器前後の差圧の上昇(熱交換器への温水流量の増加)を抑制して、熱交換器吹出空気温度の変動を抑制するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来装置に基づいて、本発明者らが図13に示す弁装置(公知のものでない)を実際に試作して、実験検討したところ、図14に示すように、流量制御弁開度θが中間開度位置(開度θ=70°程度)に到達したときに、熱交換器吹出空気温度が急激に落ち込むという現象が発生して、熱交換器吹出空気温度、ひいては車室内温度の制御性が悪化するという問題が生じることが判明した。
【0006】
そこで、本発明は上記点に鑑みて、流量制御弁の所定開度位置における熱交換器吹出空気温度の落ち込みを抑制することを目的とする。
本発明者らは、上記した熱交換器吹出空気温度の急激な落ち込み現象が発生する原因について、試作品の実験検討を通じて考察したところ、次の理由であることが判明した。
【0007】
まず、図13に示す試作品の概略構成を説明すると、流量制御弁4は回動可能なロータとして構成された弁体13を有し、エンジンからの温水を温水入口パイプ19より弁体13に備えられた制御流路170を通して、X印の方向(紙面下向き方向)に流して、暖房用熱交換器3に流入させる。この暖房用熱交換器3の出口から流出した温水を温水入口パイプ26からハウジング14内に導入し、このハウジング14内を経由した後に、温水出口パイプ28からエンジン側へ温水を還流させている。
【0008】
また、エンジン回転数が上昇して温水圧力が高くなると、バイパス回路5に備えた定差圧弁(圧力応動弁)6の弁体30が開弁して、温水入口パイプ19からの温水の一部を、弁体13の制御流路170を通してバイパス回路5側へ逃がすことにより、暖房用熱交換器3への温水流量の増加を抑制するようにしている。
ところが、弁体13の制御流路170における温水流れの形態について精査したところ、以下の現象が発生することが分かった。すなわち、流量制御弁4の弁体13が所定の中間開度位置に到達したときには、図13に示すように、温水入口パイプ19からの温水が弁体13の制御流路170の入口側開口部171およびバイパス側開口部172を通って、略直線的にバイパス回路5側へ速い流速でもって噴出する。
【0009】
ここで、図13の矢印Yはこのバイパス回路5側への温水の流れを示すものであり、図13における弁体13の開度θは60°である。定差圧弁6の弁体30は弁体13に近接して配置されているので、上記した噴出温水の動圧(ジェット動圧)が定差圧弁6の弁体30に直接的に加わる。
これにより、弁体30のリフト量(開度)が過大となり、その結果、バイパス回路5を流れるバイパス側温水の流量が増大する。ここで、本発明者らの実験、検討によると、噴出温水の動圧により弁体30のリフト量が過大となる現象は、弁体30の弁座33と、弁体13の中心位置との距離Lが60mm以内という、条件(両弁4、6が近接配置される形態)の下で、比較的顕著に発生することが分かった。
【0010】
定差圧弁6の弁体30下流側には、上記バイパス側温水と、暖房用熱交換器3出口から流出した戻り温水(温水入口パイプ26からの温水)とが合流する合流部Oが配置されているが、この合流部Oにおいて、バイパス側温水の流量増大によって、暖房用熱交換器3出口からの戻り温水が堰止められ、暖房用熱交換器3への温水流量が減少する。この結果、図14に示す熱交換器吹出空気温度の急激な落ち込みが発生することが分かった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1〜4記載の発明では、上記のごとく、弁体(13)の制御流路(170)のバイパス側開口部(172)から噴出する温水の動圧により圧力応動弁(6)のリフト量が過大になるという現象に注目して、上記目的の達成手段を案出している。
すなわち、請求項1〜4記載の発明では、圧力応動弁(6)の弁体(30)の弁座(33)と、流量制御弁(4)の弁体(13)の中心位置との距離Lが60mm以内という、両弁(4、6)が近接配置される形態を有する温水式暖房装置であって、
前記流量制御弁(4)の弁体(13)は回動可能な円柱状のロータとして構成されており、前記円柱状の弁体(13)を回動可能に収納するハウジング(14、14a)が前記流量制御弁(4)に設けられており、
前記ハウジング(14、14a)に、前記温水供給源(1)からの温水が流入する温水入口(19)、前記暖房用熱交換器(3)に温水を供給する温水出口(20)、および前記バイパス回路(5)に連通するバイパス開口(21)が設けられており、
前記円柱状の弁体(13)内部を貫通して制御流路(170)が形成され、
前記制御流路(170)は、前記温水入口(19)からの温水が流入する入口側開口部(171、171a)と、前記入口側開口部(171、171a)に連通して前記バイパス開口(21)に温水を流出させるバイパス側開口部(172)と、前記入口側開口部(171、171a)に連通して前記温水出口(20)に温水を流出させる出口側開口部(173、173a)とを有し、
前記入口側開口部(171、171a)と前記バイパス側開口部(172)は前記円柱状の弁体(13)の円周面に形成され、
前記出口側開口部(173、173a)は前記円柱状の弁体(13)の軸方向の一端面に形成され、
前記温水入口(19)および前記バイパス開口(21)は前記ハウジング(14、14a)の円周面に、前記入口側開口部(171、171a)および前記バイパス側開口部(172)に対応して形成されており、
前記温水出口(20)は前記ハウジング(14、14a)の軸方向の一端面に前記出口側開口部(173、173a)に対応して形成されており、
前記流量制御弁(4)は、前記制御流路(170)により前記温水入口(19)から流入する温水を前記温水出口(20)と前記バイパス開口(21)に振り分ける3方弁として構成されており、
前記制御流路(170)において、前記入口側開口部(171、171a)と前記バイパス側開口部(172)との間で、前記温水入口(19)からの温水が屈曲した流れを形成するようにしたことを特徴としている。
【0012】
これにより、流量制御弁(4)の弁体(13)に近接配置された圧力応動弁(6)の弁体(30)に、温水入口(19)から高い動圧成分を持った温水流れが直接的に加わることがなくなり、温水入口(19)からの温水の動圧を減少させて、温水の流れの流速を平均化した後に、圧力応動弁(6)の弁体(30)部分を温水が通過するので、圧力応動弁(6)のリフト量が過大になることを阻止でき、その結果、流量制御弁の所定開度位置にて、熱交換器吹出空気温度が落ち込むのを効果的に抑制できる。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図6は本発明の第1実施形態を示すもので、本発明を自動車用空調装置の温水式暖房装置に適用した例を示す。図1は温水回路を示すもので、1は自動車走行用の水冷式エンジン、2はエンジン1により駆動されるウオータポンプで、エンジン1の冷却水回路(温水回路)に水を循環させるものである。3はエンジン1から供給される温水と送風空気とを熱交換して、送風空気を加熱する暖房用熱交換器(ヒータコア)、4は流量制御弁で、温水出入口を3つ有する三方弁タイプのものである。
【0015】
5は暖房用熱交換器3と並列に設けられたバイパス路、6は定差圧弁(圧力応動弁)であり、その前後の差圧が予め定めた所定値に達すると開弁するものであって、エンジン1の回転数変動によりウオータポンプ2の回転数が変動しても、暖房用熱交換器3の前後差圧を一定に近づける役割を果たすものである。
7は温度センサで、熱交換器3が設置される自動車用空調装置の通風ダクト(ヒータケース)8内において、熱交換器3の空気下流側で、かつ車室内への各種吹出口(図示せず)の分岐点直前の部位に設置される。この温度センサ7は、サーミスタよりなり、車室内に吹き出す温風温度を検出するものである。
【0016】
前記吹出口としては、周知のごとく車室内の乗員顔部に向けて空気を吹き出すフェイス吹出口、自動車前面窓ガラスに空気を吹き出して窓ガラスの曇りを除去するデフロスタ吹出口、乗員の足元に空気を吹き出すフット吹出口等が設けられている。
9は車室内温度制御の目標温度(乗員の希望温度)を設定するための温度設定器で、乗員により手動操作可能なスイッチ、あるいは可変抵抗器等よりなる。10は外気温度、温水温度、日射量等の車室内温度制御に関係する環境因子の物理量を検出するセンサ群である。11はこれらのセンサ7、10及び温度設定器9等からの入力信号に基づいて温度制御信号を出力する空調制御装置で、マイクロコンピュータ等よりなる。
【0017】
12はこの空調制御装置11からの温度制御信号により制御されるサーボモータで、流量制御弁4の弁体13を回転駆動するための弁体作動手段を構成する。ここで、弁体作動手段としては、サーボモータ12のような空調制御装置11により制御される電気的アクチュエータに限らず、周知のレバー、ワイヤ等を用いた手動操作機構であってもよい。
【0018】
上記弁体13は本例では樹脂材料にて円柱状形状に成形され、やはり樹脂にて円筒状に成形された弁ハウジング14内に回動可能に配置され、収納されている。従って、弁体13は回動可能なロータとして構成されている。
上記弁ハウジング14には、エンジン1からの温水が流入する温水入口パイプ19、この温水入口パイプ19から流入した温水を熱交換器3に向けて流出させる温水出口パイプ20、及び熱交換器3のバイパス回路5に向けて温水を流出させるバイパス出口パイプ21が一体成形されている。
【0019】
円柱状の弁体13には、上記各パイプ19、20、21の開口面積を所定の相関関係を持って調整する制御流路170が形成されている。また、弁体13を回動操作するためのシャフト13a(後述の図3参照)はハウジング14の外部に突出するようになっており、そして、前記したサーボモータ12のような電気的アクチュエータ、またはレバー、ワイヤ等を用いた手動操作機構に連結され、これらの機器により弁体13を回動操作できるようにしてある。
【0020】
なお、流量制御弁4により熱交換器3への温水流量を微少流量に制御する微少能力時(例えば、弁開度30°以下、本例では弁開度は最大95°に設定)には、温水入口パイプ19の開口面積及び温水出口パイプ20の開口面積を双方とも絞っている2段絞りの状態(図1の微少能力時はその2段絞りの状態を模式的に示す)になっており、かつ温水入口パイプ19と温水出口パイプ20の絞り部の中間(図1のア部)はほぼ全開状態にあるバイパス出口パイプ21によって十分大きな開口面積でバイパス回路5に連通しているので、暖房用熱交換器3前後の差圧を十分小さくできる。
【0021】
上記した図1では、温水回路を理解し易いようにするために、流量制御弁4に対して定差圧弁6を別体として図示しているが、実際には、流量制御弁4にバイパス路5および定差圧弁6が一体化されている。すなわち、共通のハウジング14内に、流量制御弁4、バイパス路5および定差圧弁6が一体に構成されている。次に、この一体化構造を図2、図3に基づいて具体的に説明する。
【0022】
図2、図3において、流量制御弁4の弁体13は樹脂材料にて円柱状の形状に成形され、弁ハウジング14もやはり樹脂にて成形されている。弁ハウジング14は第1収納部14aを有しており、この第1収納部14aは図2の紙面垂直方向に略筒状に延びるように成形されている。この第1収納部14a内に円柱状の弁体13が回動可能に配置され、収納されている。
【0023】
また、弁ハウジング14には、第1収納部14aに隣接して、定差圧弁6を収納する第2収納部14bが一体成形されている。そして、これら第1、第2収納部14a、14bの上部開口端部には、図3に示す樹脂製の蓋板14cがねじ(図示せず)等により脱着可能に取付られており、この蓋板14cにより第1、第2収納部14a、14bの上部開口端部が密封されている。
【0024】
上記弁ハウジング14のうち、第1収納部14aには、エンジン1からの温水が流入する第1温水入口パイプ19、この温水入口パイプ19から流入した温水を熱交換器3に向けて流出させる第1温水出口パイプ20、及び熱交換器3のバイパス回路5に向けて温水を流出させるバイパス用開口21が一体成形されている。
【0025】
ここで、本例では、第1収納部14aの円周面に第1温水入口パイプ19とバイパス用開口21とを、略直交する位置関係で配置するとともに、第1温水出口パイプ20は、第1収納部14aの軸方向の一端面(図3の底面側)に配置してある。
さらに、第2収納部14bには、熱交換器3から流出した戻り温水が流入する第2温水入口パイプ26及びエンジン1に温水を戻す第2温水出口パイプ28が一体成形されている。従って、熱交換器3のバイパス回路5は第2収納部14b内に形成されることになる。
【0026】
定差圧弁6は、バイパス用開口21を開閉する弁体30を有し、この弁体30には、コイルスプリング(ばね手段)32のばね力が閉弁方向(図2の下方)に作用している。このコイルスプリング32の上端部は座板27により支持されており、この座板27は、スプリング力により第2収納部14bの内壁面に圧着している。この座板27の中心部には円筒部27aが形成されており、この円筒部27aには弁体30と一体の軸部31の上端部が摺動可能に嵌合して、弁体30の上下動を案内する。
【0027】
そして、弁体30前後の差圧、すなわち、バイパス用開口21と第2温水入口パイプ26との温水差圧が所定値に達すると、スプリング32のばね力に抗して弁体30が図5の上方へリフトして弁座33から開離し、弁体30が開弁するようになっている。
上記のごとくして、2つの弁4、6は共通のハウジング14内に近接配置されており、本例では、円柱状の弁体13の中心と、弁体30が閉弁時に着座する弁座33との距離Lは40mmに設定されている。
【0028】
一方、円柱状の弁体13の軸方向端部には、弁体13を回動操作するためのシャフト13aが一体に成形されている。このシャフト13aは蓋板14cを貫通して弁ハウジング14の外部に突出している。このシャフト13aの外部への突出端部に扇形ギヤ13bの回転中心部を一体に連結し、この扇形ギヤ13bの外周部のギヤ面13cに、サーボモータ12により回転駆動される減速ギヤ(図示せず)が噛み合い、サーボモータ12の回転動力が扇形ギヤ13bを介してシャフト13aに伝達されるようになっている。
【0029】
40、41、42はゴム等の弾性材からなるシール部材で、その全体形状は図4に示すように矩形状に成形されており、その中央部に穴部40a、41a、42aを有している。これらのシール部材のうち、シール部材40、42は弁体13の外周面と弁ハウジング14の第1収納部14aの内周面との間に配置されており、また、シール部材41は、弁体13と第1収納部14aの相互の軸方向の一端面間に配置されている。
【0030】
このシール部材40、41、42は弁体13の制御流路170を介することなく、直接パイプ19、20、バイパス用開口21間で温水が流通してしまうことを防ぐとともに、上記穴部40a、41a、42aと弁体13の制御流路170との連通形状により温水流路の絞りを構成するものである。
本実施形態では、上記弁体13の開度(弁体回転角)に応じて、制御流路170により図5に示す所定の相関関係を持って各パイプ19、20、バイパス用開口21の開口面積A1、A2、A3を制御するように構成してある。ここで、A1は第1温水入口パイプ19の開口面積であり、A2は第1温水出口パイプ20の開口面積であり、A3はバイパス用開口21の開口面積である。
【0031】
この図5に示す相関関係を実現するために、上記弁体13の制御流路170とシール部材40、41、42の穴部40a、41a、42aの具体的形状は図6に示すごとく設定されている。
図6(a)は図3の矢印B方向からみたシール部材41の穴部41aと制御流路170の開口形状を示し、図6(b)は弁体13の円周面の展開形状を示し、図6(c)は弁体13の軸方向中央位置における断面形状を示している。そして、図6では、弁体開度を0°から全開の95°までの9段階に変化させた場合における、制御流路170と各穴部40a、41a、42aとの連通状態の変化を示している。
【0032】
図6(b)、(c)および図2に示すように、弁体13の円周面には、制御流路170の入口側開口部171、171aおよびバイパス側開口部172を配置し、この入口側開口部171、171aおよびバイパス側開口部172により温水入口パイプ19及びバイパス用開口21の開口面積A1、A3を調整する。
この入口側開口部171、171aは、シール部材40の円形の穴部40a(図4参照)との連通形状を変化させるものであって、入口側開口部171は図示のごとき嘴形状であり、弁体開度が30°付近を超えると嘴形状の先端部分から穴部40aに連通するようになっている。つまり、嘴形状の入口側開口部171は、弁体13が略1/3(=30°/95°)以上の中間開度にあるとき、穴部40aに連通して温水が流入する。
【0033】
また、この嘴形状の入口側開口部171は図2、図6(c)に図示されているように、バイパス側開口部172と略180°反対側の位置に配置さている。
これに対し、入口側開口部171aはφ2相当の微小な円形穴形状であり、弁体開度が0の時(暖房停止時)にも穴部40aに連通するようになっている。この入口側開口部171aは弁体開度が40°を若干超えると、穴部40aとの連通を遮断する。
【0034】
また、バイパス側開口部172は長方形の一辺を円弧状にした形状であり、一方、このバイパス側開口部172が連通するシール部材42の穴部42aは円形の一部に凹部を形成した形状になっており、この穴部42aの凹部は、弁体開度が最大暖房能力位置の開度(95°)およびその近傍になったとき、入口側開口部171aと穴部42aとの連通を防止するためのものである。
【0035】
また、弁体13の軸方向の一端面には、制御流路170の出口側開口部として2個の開口部173、173a(図6(a)、図2参照)を配置し、この出口側開口部173、173aにより温水出口パイプ20の開口面積A2を調整する。この出口側開口部173、173aはシール部材41の穴部41aとの連通形状を変化させるものであって、この穴部41aは、図4、図6(a)に示すように、弁体13の回動中心を通過する細長形状であり、弁体13の回動中心部位は一段と細くした形状にしてある。
【0036】
一方、弁体13の出口側開口部173、173aは、弁体13の最大冷房位置(弁体開度=0°)において、前記穴部41aを中間に挟むように配置されている。そして、この2個の出口側開口部173、173aのうち、1つの開口部173のみに、弁体13が微小流量制御域の回動位置(例えば弁体開度=40°以下の開度位置)にあるとき、穴部24aと連通する微小開口部173′を形成している。
【0037】
ところで、制御流路170は円柱状の弁体13内部を貫通して形成されており、これにより、入口側開口部171、171aをバイパス側開口部172および出口側開口部(173、173a)に連通させている。そして、弁体13が前述の30°以上の中間開度にあるときは、制御流路170において、温水入口パイプ19からの温水の流れを一旦屈曲させた後に、この温水をバイパス開口21側へ流出させるようにしてある。
【0038】
このために、具体的は、図2の矢印Cに示すように、温水入口パイプ19からの温水を嘴状の入口側開口部171を経て制御流路170内に流入させ、制御流路170の内壁面174に衝突させ、ここで、温水の流れをバイパス側開口部172に向かう方向に鋭角状に屈曲させている。つまり、温水は入口側開口部171とバイパス側開口部172との間で屈曲した流れを形成するようにしてある。
【0039】
ところで、以上の説明から理解されるように、弁体13の入口側開口部171、171aとシール部材40の穴部40aとにより、温水入口パイプ19からの温水の絞り部を形成し、弁体13の出口側開口部173、173aとシール部材41の穴部41aとにより、温水出口パイプ20への温水の絞り部を形成し、弁体13のバイパス側開口部172とシール部材42の穴部42aとにより、バイパス用開口21への絞り部を形成している。図4、5において、符号A1〜A3はこの各絞り部の開口面積を示す。
【0040】
なお、図2、3において、暖房用熱交換器3は、その下方部に温水の入口側タンク3aを有し、その上方部に温水の出口側タンク3bを有しており、そしてこの上下の両タンク3a、3bの間に、多数の並列配置された偏平チューブとコルゲートフィンとからなるコアー部3cが形成されている。ここで、コアー部3cは入口側タンク3aから出口側タンク3bへの一方向のみに温水が流れる一方向流れ(全パス)タイプとして構成されている。
【0041】
次に、上記構成において作動を説明する。最大暖房能力時には、流量制御弁4の弁体13がサーボモータ12または手動操作機構により最大開度の位置(例えば、弁開度:95°の位置)まで回動される。
これにより、弁体13の制御流路170の入口側開口部171が温水入口パイプ19のシール部材40の穴部40aと最大面積で重畳するとともに、制御流路170の出口側開口部173、173aが温水出口パイプ20のシール部材41の穴部41aと最大面積で重畳し、この両パイプ19、20を全開する。一方、制御流路170のバイパス側側開口部172はバイパス用開口21のシール部材42の穴部42aと連通しないので、バイパス用開口21は全閉状態となる。
【0042】
その結果、エンジン1からの温水は最大流量で熱交換器3側に流入して、バイパス回路5には温水が流れない。これにより、熱交換器3は最大暖房能力を発揮できる。
次に、最大冷房時(自動車用空調装置に冷房機能が装備されていないときは、送風のみの暖房停止時となる)には、流量制御弁4の弁体13がサーボモータ12または手動操作機構により開度零の位置(具体的には図5、6の弁体開度:0°の位置)まで回動される。この開度零の位置では、弁体13の制御流路170のバイパス側側開口部172の大部分がバイパス用開口21のシール部材42の穴部42aと重畳してこのバイパス用開口21を開口する。また、制御流路170の出口側開口部173、173aが温水出口パイプ20のシール部材41の穴部41aと連通せず,温水出口パイプ20を全閉する。
【0043】
一方、制御流路170の入口側開口部171、171aにおいては、図6(b)の最上部に示すように、入口側開口部171aのみが温水入口パイプ19のシール部材40の穴部40aと重畳して連通する。これにより、温水入口パイプ19を全閉とせず、入口側開口部171aによりφ2丸穴相当の最小開口面積を設定する。
【0044】
上記の弁体位置により、温水入口パイプ19からバイパス用開口21への温水の流れを継続できるので、温水の流れの急遮断によるウオータハンマ現象の音の発生を防止できるとともに、φ2丸穴相当以上の開口面積の確保により流水音の発生も防止できる。また、温水回路中の鋳砂は通常、φ1以下の微小物であるので、上記大きさの最小開口を設定することにより、鋳砂等の異物による流量制御弁流路の閉塞も十分防止できる。
【0045】
次に、微少能力時には、弁体13が図5の弁体開度30°以下の位置に回動されるので、制御流路170の入口側開口部171aと出口側開口部173の微小開口部173′が温水入口パイプ19及び温水出口パイプ20の双方の穴部40a、41aに対して小面積で重畳し、温水入口パイプ19の開口面積A1及び温水出口パイプ20の開口面積A2を双方とも絞っている2段絞りの状態(図1の微少能力時はその2段絞りの状態を模式的に示す)となり、かつ温水入口パイプ19と温水出口パイプ20の絞り部の中間部(図1のア部)は全開状態にあるバイパス用開口21によって十分大きな開口面積A3でバイパス回路5に連通しているので、この中間部アの圧力を下げることができる。
【0046】
その結果、暖房用熱交換器3前後の差圧を十分小さくできるので、弁開度(弁体回転角)の変化に対する温水流量の変化(最終的には車室内への吹出空気温度の変化)を、特別小さな開口面積を必要とせずに、緩やかすることができる。すなわち、吹出空気温度の制御ゲインを低減できる。
この制御ゲインの低減により、車室内への吹出空気温度をきめ細かく制御できるとともに、温水入口パイプ19及び温水出口パイプ20の開口面積を特別小さな開口面積に設定する必要がなくなるため、鋳砂等の異物による流量制御弁流路の閉塞を十分防止できる。
【0047】
次に、中間能力時においては、弁体13が図5の弁体開度30°〜60°の回動範囲にわたって、回動され、この弁体回動範囲では、温水入口側絞り部開口面積A1および温水出口側絞り部開口面積A2がほぼ同等の大きさで増加するとともに、バイパス側絞り部開口面積A3が次第に減少する。これにより、暖房用熱交換器3への温水流量を増加させて、吹出空気温度を次第に高める。
【0048】
このような弁体回動位置においても、上記2段絞りにより、同様に制御ゲインを低減して、車室内への吹出空気温度をきめ細かく制御できる。また、絞り部開口面積の増加により、鋳砂等の異物による流路閉塞の恐れがなくなるので、この状態では、温水入口側の絞り部開口面積A1と温水出口側の絞り部開口面積A2を同等に設定してある。
【0049】
次に、中間能力時〜大能力時においては、弁体13が図5の弁開度60°を越える回動位置から95°未満の回動位置にわたって、回動されることにより、上記両開口面積A1、A2がさらに増加するとともに、バイパス側絞り部開口面積A3が減少する。これにより、暖房用熱交換器3への温水流量をさらに増加させて、吹出空気温度を高める。
【0050】
ところで、自動車用空調装置の温水供給源をなすエンジン1は、自動車の走行条件の変化に伴って回転数が大幅に変化するので、エンジン1からの温水供給圧は走行条件の変化により大幅に変化し、これが流量制御弁4による温水流量制御、ひいては吹出空気温度制御に対する大きな外乱要素となる。
そこで、本実施形態にあっては、エンジン1からの温水供給圧の変化による暖房用熱交換器3への温水流量の変動をバイパス回路5に設けた定差圧弁6により低減するようにしている。つまり、定差圧弁6においては、エンジン1からの温水供給圧が上昇して、弁体30前後の差圧がスプリング32により定まる所定圧より高くなると、弁体30が図1の下方へ移動して開弁し、弁体30と弁座33との間の隙間が上記差圧に応じて変動することより、定差圧弁6はその出入口36、37間の圧力差を一定値に維持するように作用し、これにより、エンジン1の回転数変動による暖房用熱交換器3の吹出空気温度の変動を抑制している。
【0051】
また、本実施形態にあっては、図3に示すように流量制御弁4の温水入口パイプ19に対して、温水出口パイプ20を直交配置するとともに、弁体13においても、制御流路170の入口側開口部171、171aに対して出口側開口部173、173aを直交配置して、温水入口パイプ19からの温水を入口側開口部171、171aを通して制御流路170の内壁面174に衝突させた後に、図2の紙面下方側へ方向転換させている。
【0052】
そして、出口側開口部173、173aより温水を温水出口パイプ20側へ流出させている。従って、入口側開口部171、171aを通して制御流路170内に流入してくる温水の動圧が直接的に、温水出口パイプ20側の流路に加わることがない。そのため、この入口側からの温水の動圧が直接的に、温水出口パイプ20側の流路に加わることに起因する、暖房用熱交換器3への温水流量増加をも抑制できる。
【0053】
従って、エンジン1の回転数上昇により上記入口側温水の動圧が上昇して、暖房用熱交換器3の吹出空気温度が上昇することも抑制できる。
一方、図7は前述した図13に示す試作品(本発明の比較品)と、本第1実施形態における温水入口パイプ19からバイパス回路5に向かう温水流れの形態を比較して示すものであり、図7上段の試作品においては、流量制御弁4の中間開度時(図示の例は弁体開度θ=60°のとき)に、温水入口パイプ19からの温水が弁体13の制御流路170の入口側開口部171およびバイパス側開口部172を通って、略直線的にバイパス回路5側へ速い流速でもって噴出する。
【0054】
そして、この噴出温水の動圧(ジェット動圧)が定差圧弁6の弁体30に直接的に加わるため、弁体30のリフト量(開度)が過大となり、その結果、定差圧弁6の弁体30下流側において、上記バイパス側温水と、暖房用熱交換器3出口から流出した戻り温水(温水入口パイプ38からの温水)とが合流する際に、バイパス側温水の流量増大によって、暖房用熱交換器3出口からの戻り温水が堰止められ、暖房用熱交換器3への温水流量が減少する。
【0055】
このことが原因となって、図14に示すように、弁体開度θ=70°付近にて、熱交換器吹出空気温度が急激に落ち込むという減少が発生する。
これに対して、本第1実施形態によれば、図7下段および図2に示すように、流量制御弁4の中間開度時(図7の例は弁体開度θ=60°付近、図2はθ=40°付近)に、温水入口パイプ19からの温水を弁体13の入口側開口部171から制御流路170に流入させるとき、制御流路170の内壁面174に衝突させて、この温水の流れを図2の矢印Cのごとく鋭角状に屈曲させる。
【0056】
そして、このように流れを一旦屈曲させた後に、この温水を制御流路170を通過して、バイパス開口部172よりバイパス開口21側へ流出させる。
これにより、流量制御弁4の弁体13に定差圧弁6の弁体(30)が近接配置(本例では、図2のL寸法=40mm)されていても、定差圧弁6の弁体30に、温水入口パイプ19から高い動圧成分を持った温水流れが直接的に加わることがなくなり、温水入口パイプ19からの温水の動圧を減少させて、温水の流れの流速を平均化した後に、定差圧弁6の弁体30部分を温水が通過する。 その結果、定差圧弁6のリフト量が過大になることを阻止できるため、流量制御弁4の中間開度位置にて、熱交換器吹出空気温度が落ち込みのを効果的に抑制できる。
【0057】
図8は本発明の実施形態による熱交換器吹出空気温度と、流量制御弁4の弁体13の開度θとの関係を示す実験データであり、実験条件は、エンジン回転数:750rpm、熱交換器3の吸込空気温度:10°Cであり、また、熱交換器3としては前述の一方向流れ(全パス)タイプのものを用いており、定差圧弁6の弁体30の弁座33と、流量制御弁4の弁体13の中心位置との距離Lは40mmである。
【0058】
図8において、▲1▼は熱交換器3の温水入口側部分の4か所における吹出空気温度の平均値であり、▲2▼は熱交換器3の温水出口側部分の4か所における吹出空気温度の平均値である。▲3▼は熱交換器3への温水入口温度で、▲4▼は熱交換器3からの温水出口温度である。
熱交換器吹出空気温度は、上記▲1▼、▲2▼に示すように、流量制御弁4の弁体13の開度θの増加とともに上昇する特性となり、試作品の場合のように、流量制御弁開度θ=70°付近で急激に落ち込むことがないので、車室内温度を良好に制御できる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、本発明による流量制御弁4、定差圧弁6及びサーボモータ12を熱交換器3と別体として構成したが、第2実施形態では、図9、10に示すすように、流量制御弁4、定差圧弁6及びサーボモータ12を熱交換器3に予め一体化している。このように、これらの部材(3、4、6、12)を一体化することにより、この一体構造物を通風ダクト(ヒータケース)8に対して一度に組み付けることができ、組付性を向上できるとともに、熱交換器部分の形状の小型化を図ることができる。
【0059】
図9、10において、定差圧弁6、流量制御弁4部分は、第4実施形態と同じであるので、説明を省略して、熱交換器3およびサーボモータ12との結合関係を説明すると、暖房用熱交換器3のコアー部3cは入口側タンク3aから出口側タンク3bへの一方向(矢印D方向)のみに温水が流れる一方向流れ(全パス)タイプとして構成されており、コアー部3cには、多数の並列配置された偏平チューブ3dとコルゲートフィン3eが備えられている。
【0060】
そして、暖房用熱交換器3の出口側タンク3bの一端と、流量制御弁4の弁ハウジング14の第2収納部14bに一体成形された第2温水入口パイプ26との間を温水配管50により接続している。また、弁ハウジング14の第1収納部14aに一体成形された温水出口パイプ20は、暖房用熱交換器3の入口側タンク3aの一端に直接結合されている。
【0061】
なお、図10では、サーボモータ12部分の図示を省略している。サーボモータ12の回転は、図9に示す減速ギヤー機構12aを介して、流量制御弁4の弁体13のシャフト13aに連結された扇形ギヤ13bに伝達される。
以上の構成により、第2実施形態では、流量制御弁4に定差圧弁6及びサーボモータ12等を一体化しておき、さらにこれらを熱交換器3に一体化することができる。
(第3実施形態)
図11、12は第3実施形態を示すものであり、第1、第2実施形態との相違点を説明すると、流量制御弁4の弁ハウジング14の第1収納部14aにおいて、第1温水出口パイプ20を円柱状弁体13の円周面に対応する位置に設けている。これに伴って、円柱状弁体13における出口側開口部173を弁体13の円周面に設けている。
【0062】
また、本例では、円形の入口側開口部171aを弁体13の制御流路170の内壁面174に対向するように配置している。このため、円形の入口側開口部171aからの温水が図11の矢印Dのように制御流路170の内壁面174に衝突してから方向転換する。
これにより、2つの入口側開口部171、171aからの温水がいずれも制御流路170の内壁面174に衝突して方向転換する流れとなる。そのため、第1温水出口パイプ20を円柱状弁体13の円周面に対応する位置に設ける配置構成であっても、弁体13の全開度範囲にて、入口側温水の動圧が第1温水出口パイプ20側流路に直接加わることがない。従って、この入口側温水の動圧による熱交換器吹出空気温度の変動を抑制できる。
(他の実施形態)
なお、本発明は自動車用の温水式暖房装置に限らず、暖房用熱交換器3に加わる温水圧力が変動する温水式暖房装置であれば、家庭用等の種々の用途の暖房装置にも適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す温水回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態における流量制御弁と定差圧弁との一体化構成を示す一部断面上面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】第1実施形態における流量制御弁の弁体部分の斜視図である。
【図5】第1実施形態における流量制御弁の弁体の開度特性図である。
【図6】(a)は流量制御弁の弁体およびシール部材の底面側の開口形状を示す底面図、(b)は弁体の円周面の展開図、(c)は弁体およびシール部材の断面図である。
【図7】第1実施形態と試作品(比較品)において流量制御弁と定差圧弁での温水の流れ形態を示す断面図である。
【図8】第1実施形態における熱交換器吹出空気温度と流量制御弁開度との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態を示すもので、流量制御弁部分を一体化した熱交換器の上面図である。
【図10】図9の一部断面正面図である。
【図11】本発明の第3実施形態における流量制御弁と定差圧弁との一体化構成を示す一部断面上面図である。
【図12】図11の要部の拡大断面図である。
【図13】本発明の比較品(試作品)を示す一部断面上面図である。
【図14】図13の比較品における熱交換器吹出空気温度と流量制御弁開度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1……エンジン、3……暖房用熱交換器、4……流量制御弁、5……バイパス回路、6……定差圧弁(圧力応動弁)、13、30……弁体、
14…ハウジング、19…温水入口パイプ(温水入口)、20…温水出口パイプ(温水出口)、21…バイパス開口、170…制御流路。
Claims (4)
- 温水供給源(1)から供給される温水と空気とを熱交換して空気を加熱する暖房用熱交換器(3)と、
前記温水供給源(1)から前記暖房用熱交換器(3)に供給される温水流量を制御する弁体(13)を有する流量制御弁(4)と、
前記暖房用熱交換器(3)をバイパスして温水を流すバイパス回路(5)と、
このバイパス回路(5)に設けられ、前記温水供給源(1)から供給される温水の圧力上昇に応じて前記バイパス回路(5)の開度を増大する弁体(30)を有する圧力応動弁(6)とを備え、
前記圧力応動弁(6)の弁体(30)が閉弁時に着座する弁座(33)と、前記流量制御弁(4)の弁体(13)の中心位置との距離Lが60mm以内になるように、前記圧力応動弁(6)と前記流量制御弁(4)が近接配置されており、
前記流量制御弁(4)の弁体(13)は回動可能な円柱状のロータとして構成されており、前記円柱状の弁体(13)を回動可能に収納するハウジング(14、14a)が前記流量制御弁(4)に設けられており、
前記ハウジング(14、14a)に、前記温水供給源(1)からの温水が流入する温水入口(19)、前記暖房用熱交換器(3)に温水を供給する温水出口(20)、および前記バイパス回路(5)に連通するバイパス開口(21)が設けられており、
前記円柱状の弁体(13)内部を貫通して制御流路(170)が形成され、
前記制御流路(170)は、前記温水入口(19)からの温水が流入する入口側開口部(171、171a)と、前記入口側開口部(171、171a)に連通して前記バイパス開口(21)に温水を流出させるバイパス側開口部(172)と、前記入口側開口部(171、171a)に連通して前記温水出口(20)に温水を流出させる出口側開口部(173、173a)とを有し、
前記入口側開口部(171、171a)と前記バイパス側開口部(172)は前記円柱状の弁体(13)の円周面に形成され、
前記出口側開口部(173、173a)は前記円柱状の弁体(13)の軸方向の一端面に形成され、
前記温水入口(19)および前記バイパス開口(21)は前記ハウジング(14、14a)の円周面に、前記入口側開口部(171、171a)および前記バイパス側開口部(172)に対応して形成されており、
前記温水出口(20)は前記ハウジング(14、14a)の軸方向の一端面に前記出口側開口部(173、173a)に対応して形成されており、
前記流量制御弁(4)は、前記制御流路(170)により前記温水入口(19)から流入する温水を前記温水出口(20)と前記バイパス開口(21)に振り分ける3方弁として構成されており、
前記制御流路(170)において、前記入口側開口部(171、171a)と前記バイパス側開口部(172)との間で、前記温水入口(19)からの温水が屈曲した流れを形成するようにしたことを特徴とする温水式暖房装置。 - 前記弁体(13)の開度(θ)が全開に対して1/3以上の中間開度にあるとき、前記温水の流れを一旦屈曲させた後に、この温水を前記バイパス開口(21)側へ流出させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の温水式暖房装置。
- 前記ハウジングは、その内部に前記流量制御弁(4)、前記バイパス回路(5)および前記圧力応動弁(6)が一体に構成される共通のハウジング(14、14a、14b)であることを特徴とする請求項1または2に記載の温水式暖房装置。
- 水冷式の走行用エンジン(1)を有する自動車に搭載され、
前記温水供給源が前記水冷式の走行用エンジン(1)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の温水式暖房装置。
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