JP3780600B2 - 温水式暖房装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は温水流量を制御する流量制御弁を用いて吹出空気温度を制御する温水式暖房装置に関するもので、水冷式エンジンより駆動されるウォータポンプにて、エンジンで加熱された温水を温水回路に循環するようにした車両用温水式暖房装置に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、温水式暖房装置を含む車両用空調装置の吹出空気の温度制御方式として、暖房用熱交換器への温水流量を制御して、吹出空気温度を制御する方式のものが知られている。ところで、車両用空調装置においては、上記暖房用熱交換器を含む温水回路に、温水(エンジン冷却水)を循環させる手段として、走行用エンジンで駆動されるウオータポンプを使用しているので、エンジン回転数の変動とともにウオータポンプの回転数も変動して、暖房用熱交換器への温水圧力が大きく変動する。
【0003】
この温水圧力の変動は、熱交換器への温水流量を変動させるので、熱交換器吹出空気温度を変動させる要因となる。
そこで、本発明者らは、先に、特開平8−72529号公報等において、熱交換器吹出空気温度の変動を抑制する温水式暖房装置を提案している。この従来の装置は、水冷式の走行用エンジンから供給される温水と空気とを熱交換して空気を加熱する暖房用熱交換器と、エンジンから暖房用熱交換器に供給される温水流量を制御するための流量制御弁と、暖房用熱交換器をバイパスして温水を流すバイパス回路とを備えている。
【0004】
そして、このバイパス回路に、エンジンから供給される温水の圧力上昇に応じて、バイパス回路の開口面積(開度)を増大する圧力応動弁を設け、この圧力応動弁により暖房用熱交換器前後の差圧の上昇(熱交換器への温水流量の増加)を抑制して、熱交換器吹出空気温度の変動を抑制するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らが上記公報で提案されている流量制御弁と圧力応動弁とを有する弁装置を実際に試作して、実験検討したところ、エンジン回転数の広範な変動(アイドル時から高回転時で、750rpm〜6000rpm程度の変動)に対して、圧力応動弁を単純に追加設置するだけでは、熱交換器吹出空気温度の変動を十分吸収できないことが分かった。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、エンジン回転数の変動による熱交換器吹出空気温度の変動を低回転域から高回転域まで良好に吸収できる温水式暖房装置を提供することを目的とする。
上記した吹出空気温度の変動を十分吸収できない原因について、本発明者らは実際に試作品を製作して実験検討して考察したところ、以下の理由であることが判明した。
【0007】
まず、図16に基づいて本発明者らによる試作品の概略構成を説明すると、流量制御弁4は円柱状ロータとして構成された弁体4aをハウジング14内に回動可能に設け、エンジン1からの温水をハウジング14の温水入口パイプ19より弁体4aに備えられた制御流路170を通して、X印の方向(紙面下向き方向)に流して、暖房用熱交換器7の入口に流入させる。この暖房用熱交換器7の出口から流出した温水を連結配管50を経て、温水入口パイプ26からハウジング14内に導入し、このハウジング14内を経由した後に、温水出口パイプ28からウォータポンプ2を経てエンジン1に温水を還流させている。
【0008】
また、エンジン回転数が上昇して温水圧力が高くなると、バイパス回路5に備えた圧力応動弁6の弁体30がコイルスプリング32のばね力に抗して上方へリフトし開弁する。この弁体30の開弁により、温水入口パイプ19からの温水の一部を、弁体4aの制御流路170を通してバイパス回路5側へ逃がすことにより、暖房用熱交換器7への温水流量の増加を抑制するようにしている。
【0009】
ところが、バイパス回路5における温水流れの形態について精査したところ、以下の現象が発生することが分かった。すなわち、流量制御弁4の弁体4aが所定の中間開度位置に到達したときには、図16に示すように、温水入口パイプ19からの温水が弁体4aの制御流路170の入口側開口部171およびバイパス側開口部172を通って、バイパス回路5の圧力応動弁6の弁体30に向かって速い流速でもって噴出する。
【0010】
ここで、図16の矢印Yはこのバイパス回路5側の温水の流れを示すものであり、圧力応動弁6の弁体30は弁体4aに近接して配置されている。具体的には、弁体30の弁座33と弁体4aの回転中心との距離は60mm以内の短距離である。そのため、上記した噴出温水の動圧(ジェット動圧)が圧力応動弁6の弁体30に直接的に加わる。しかも、ウォータポンプ2の圧送する温水の圧力はエンジン回転数の上昇に対して、図17に示すように上昇するので、圧力応動弁6の弁体30に加わる噴出温水の動圧はエンジン回転数の上昇とともに増大することになる。
【0011】
その結果、エンジン高回転時には、噴出温水の動圧により弁体30のリフト量が過大となり、バイパス側温水流量が過度に増加する現象が発生することが分かった。
そして、圧力応動弁6の弁体30下流側には、上記バイパス側温水と、暖房用熱交換器7出口から流出した戻り温水(温水入口パイプ26からの温水)とが合流する合流部Oが配置されているが、この合流部Oにおいて、バイパス側温水が暖房用熱交換器7からの戻り温水に対して直交状に合流することにより、戻り温水の流れに対して堰止め作用を及ぼすので、この堰止め作用は暖房用熱交換器7への温水流量を減少させる方向に作用する。
【0012】
その結果、エンジン高回転時には、バイパス側温水流量の過度な増大によって、暖房用熱交換器7への温水流量が大幅に減少してしまい、熱交換器吹出空気温度が設定温度よりも低下してしまうことが分かった。
そこで、上記の不具合を解消すべく、本発明者らは、まず圧力応動弁6の弁体30に対向するコイルスプリング32のばね定数(N/cm)を大きくしたものについて検討したところ、図18の▲1▼に示すように、ウォータポンプ圧力の上昇に対して、圧力応動弁6の弁体30のリフト量の増加割合が小さくなり、バイパス回路5の開口面積の増加割合が小さくなる。その結果、図19の▲1▼に示すように、エンジン高回転時には熱交換器の吹出空気温度を目標温度に近似できる。
【0013】
しかし、エンジン低回転時には、ばね定数の大きいコイルスプリング32によって弁体30のリフト量が必要以上に制限されてしまい、その結果、バイパス回路5の開口面積の不足が発生する。そのため、熱交換器への温水流量が過剰となり、熱交換器の吹出空気温度が目標温度に比してかなり高くなってしまうことが分かった。
【0014】
これに対して、コイルスプリング32のばね定数(N/cm)を小さくすると、図18の▲2▼に示すように、ウォータポンプ圧力の上昇に対して、圧力応動弁6の弁体30のリフト量の増加割合が大きくなり、バイパス回路5の開口面積の増加割合が大きくなる。その結果、図19の▲2▼に示すように、エンジン低回転時には、熱交換器の吹出空気温度を目標温度に近似できる。
【0015】
しかし、エンジン高回転時には、コイルスプリング32のばね定数が小さいため、温水圧力の上昇に伴って弁体30のリフト量が過剰となり、バイパス回路5の開口面積が過剰となる。そのため、前記した合流部Oにおいて、バイパス側温水流量が増大して、暖房用熱交換器7からの戻り温水に対する堰止め作用が増大する。その結果、エンジン高回転時には、暖房用熱交換器7への温水流量が過度に減少して、熱交換器の吹出空気温度が図19の▲2▼に示すように目標温度に比してかなり低下してしまうことが分かった。
【0016】
さらに、圧力応動弁6の設計に際して、図18の▲2▼のように、コイルスプリング32のばね定数をエンジン回転数の低回転領域で、所要のバイパス開口面積が得られるように低めに設定すると、エンジン回転数の高回転領域ではウオータポンプ吐出圧の増大により、ばね圧縮量が必然的に大きくなり、このばね圧縮量の増大によりスプリングの座屈等の不具合を発生しやすい。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記した実験検討事項から、熱交換器吹出空気温度の変動を抑制するためには、図18の破線▲3▼に示すように、圧力応動弁(6)により増大されるバイパス回路(5)の開口面積の増加割合がエンジン(1)の低回転領域では大となり、エンジン(1)の高回転領域では小となる非線形の開口増加特性を設定すれば、よいことが分かった。
【0018】
すなわち、請求項1〜6記載の発明によると、バイパス回路(5)の圧力応動弁(6)に、上記の非線形の開口増加特性を設定することにより、エンジン(1)の低回転領域では、ウォータポンプ圧力の上昇に対するバイパス回路(5)の開口面積の増加割合を大きくして、バイパス回路(5)の開口面積不足に起因する熱交換器吹出空気温度の過度な上昇を防止できる。一方、エンジン(1)の高回転領域では、ウォータポンプ圧力の上昇に対するバイパス回路(5)の開口面積の増加割合を小さくして、バイパス側温水流量の増大を抑制できるので、暖房用熱交換器(7)からの戻り温水に対する堰止め効果によって暖房用熱交換器(7)への温水流量が過度に減少することを防止でき、その結果、熱交換器吹出空気温度がエンジン高回転時に目標温度よりもかなり低下してしまうという現象を防止できる。
【0019】
その結果、エンジン回転数の変動による熱交換器吹出空気温度の変動を低回転域から高回転域まで良好に吸収できる。
特に、請求項2記載の発明では、バイパス回路(5)の圧力応動弁(6)に、上記の非線形の開口増加特性を設定することに加えて、
エンジン(1)から暖房用熱交換器(7)に供給される温水流量を制御して、暖房用熱交換器(7)の吹出空気温度を調整する流量制御弁(4)に、
暖房用熱交換器(7)への温水の流れを絞る第1の絞り(40a′)および第2の絞り(41a′)と、この第1の絞り(40a′)および第2の絞り(41a′)の開口面積を変化させる弁体(4a)とを備え、
暖房用熱交換器(7)をバイパスして温水を流すバイパス回路(5)の一端を前記第1の絞り(40a′)と前記第2の絞り(41a′)との間に接続することを特徴としている。
【0020】
これによると、ウォータポンプ圧力に対して、流量制御弁(4)の第1の絞り(40a′)と第2の絞り(41a′)との抵抗比により定まる圧力まで減圧された温水圧力がバイパス回路(5)の圧力応動弁(6)に作用するので、エンジン回転数の変動に対して圧力応動弁(6)に作用する温水圧力の変動が大幅に減少する。
【0021】
従って、ウォータポンプ圧力が直接作用する圧力応動弁(6)に比較すると、圧力応動弁(6)の設計が非常に容易となる。
また、流量制御弁(4)の開度が変化しても、第1の絞り(40a′)と第2の絞り(41a′)との抵抗比により、圧力応動弁(6)に作用する温水圧力を略同一に維持することが可能となる。従って、流量制御弁(4)の開度変化の影響を受けずに、上記の非線形の開口増加特性による吹出空気温度の変動吸収効果を常に良好に発揮できる。
【0022】
そして、本発明では、請求項3のように、圧力応動弁(6)に、バイパス回路(5)の開口面積を調整する弁体(30)と、この弁体(30)にばね力を作用させるばね手段(32)とを備えるとともに、このばね手段(32)を、エンジン(1)の低回転領域ではばね定数が小となり、エンジン(1)の高回転領域ではばね定数が大となる非線形ばねで構成するとよい。
【0023】
この請求項3記載の発明によると、ばね手段(32)としてエンジン(1)の高回転領域ではばね定数が大となる非線形ばねを用いることにより、ウオータポンプ吐出圧が増大しても、ばね圧縮量の使用範囲の増加を抑制して、スプリングの自励振動による騒音の発生やスプリングの座屈等の不具合を防止できる。
また、本発明では、請求項4のように、圧力応動弁(6)に、エンジン(1)の低回転領域で開弁する第1の弁体(30a)と、エンジン(1)の高回転領域で開弁する第2の弁体(30b)とを備え、
エンジン(1)の低回転領域では第1の弁体(30a)の開弁によりバイパス回路(5)の開口面積の増加割合を大とし、エンジン(1)の回転領域では第2の弁体(30b)の開弁によりバイパス回路(5)の開口面積の増加割合を小とすることにより実施してもよい。
【0024】
そして、上記請求項4の発明においては、請求項5のように第1の弁体(30a)にばね力を作用させる第1のばね手段(32a)のばね定数を小とし、第2の弁体(30b)にばね力を作用させる第2のばね手段(32b)のばね定数を大とすることにより、実施できる。
また、本発明では、請求項6のように、圧力応動弁(6)に、バイパス回路(5)の開口面積を調整する弁体(30)と、この弁体(30)にばね力を作用させるばね手段(32)と、前記弁体(30)により開放される通路穴(33a)とを備え、この通路穴(33a)の形状を、前記非線形の開口増加特性を満足する形状とすることにより実施することができる。
【0025】
請求項6記載の発明によると、圧力応動弁(6)の弁体(30)やばね手段(32)として特別のものを使用することなく、通常のものを使用して、上述の作用効果を発揮できる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載する具体的手段との対応関係を示す。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図10は本発明の第1実施形態を示すもので、図1、2は本発明装置の温水回路および温水流量制御装置の具体的構造を示している。1は自動車走行用の水冷式エンジン、2はエンジン1により駆動されるウオータポンプで、エンジン1の冷却水回路(温水回路)1aにエンジン冷却水(温水)を循環させるものである。
【0027】
3は本発明による流量制御装置であって、温水出入口を3つ有する三方弁タイプの流量制御弁4と、バイパス回路5と、バイパス回路5に設けられた圧力応動弁(バイパス弁)6とを一体に構成している。
ここで、バイパス回路5は温水回路1aにおいて暖房用熱交換器(ヒータコア)7と並列に設けられるものである。圧力応動弁6はエンジン1から供給される温水の圧力上昇に応じて、バイパス回路5の開度を増大することより、エンジン1の回転数変動によりウオータポンプ2の回転数が変動しても、暖房用熱交換器7の前後差圧を一定に近づける役割を果たすものである。
【0028】
また、暖房用熱交換器7は図示しない空調ユニットの空気通路(通風ダクト)内に設置されて、エンジン1から供給される温水と送風空気とを熱交換して、送風空気を加熱するものである。この暖房用熱交換器7による加熱量の調整は、流量制御弁4により暖房用熱交換器7への温水量を調整することにより行うことができ、この温水量の調整により吹出空気温度を調整できる。
【0029】
車両用空調装置では、この温度調整後の空気をフェイス吹出口から車室内の乗員顔部に向けて吹き出したり、フット吹出口から乗員の足元に吹き出したり、デフロスタ吹出口から車両窓ガラスに向けて吹き出すようになっている。
図1、2から理解されるように、流量制御弁4は樹脂材料にて円柱状に成形された弁体4aを有しており、弁体4aには温水流量制御用の制御流路170が形成されており、この制御流路170の詳細は後述する。また、流量制御装置3は、やはり樹脂にて成形された弁ハウジング14を有している。この弁ハウジング14のうち、略円筒状に成形された第1収納部14a内に円柱状弁体4aが回動可能に配置され、収納されている。従って、弁体4aは回動可能なロータとして構成されている。
【0030】
また、弁ハウジング14には、第1収納部14aに隣接して、圧力応動弁6を収納する第2収納部14bが一体成形されている。圧力応動弁6は第2収納部14bに対して図1の上下方向にリフト可能に配置され、収納されている。
そして、これら第1、第2収納部14a、14bの上部開口端部には、図2に示す樹脂製の蓋板14cがねじ(図示せず)等により脱着可能に取付られており、この蓋板14cにより第1、第2収納部14a、14bの上部開口端部が密封されている。
【0031】
上記弁ハウジング14のうち、第1収納部14aには、エンジン1からの温水が流入する第1温水入口パイプ19、この温水入口パイプ19から流入した温水を熱交換器7の入口に向けて流出させる第1温水出口パイプ20、及び熱交換器7のバイパス回路5に向けて温水を流出させるバイパス用開口21が一体成形されている。
【0032】
ここで、本例では、第1収納部14aの円周面に第1温水入口パイプ19とバイパス用開口21とを、略直交する位置関係で配置するとともに、第1温水出口パイプ20は、第1収納部14aの軸方向の一端面(図2の底面側)に配置してある。
さらに、第2収納部14bには、熱交換器7の出口から流出した戻り温水が流入する第2温水入口パイプ26及びエンジン1に温水を戻す第2温水出口パイプ28が一体成形されている。従って、熱交換器7のバイパス回路5は第2収納部14b内に形成されることになる。
【0033】
圧力応動弁6は、バイパス用開口21を開閉する弁体30を有し、この弁体30は円板部の中心部をバイパス用開口21側へ突出させた形状になっている。この弁体30には、コイルスプリング(ばね手段)32のばね力が閉弁方向(図1の下方)に作用している。ここで、コイルスプリング32は図1の下方から上方に向かってコイル径が次第に減少する円錐状の形状にしてあり、この円錐状の形状を設定することにより、コイルスプリング32は図3に示すようにそのばね圧縮量の増加に伴ってばね力が非線形に急増する非線形ばねを構成している。
【0034】
つまり、本例のコイルスプリング32のばね定数(N/cm)は、ばね圧縮量の小さい領域では小となり、ばね圧縮量の大きい領域では、ばね定数(N/cm)が大となる特性を有している。
このコイルスプリング32の上端部は座板27により支持されており、この座板27は、ばね力により第2収納部14bの内壁面に圧着している。この座板27の中心部には円筒部27aが形成されており、この円筒部27aには弁体30と一体の軸部31の上端部が摺動可能に嵌合して、弁体30の上下動を案内する。また、第2温水入口パイプ26からの戻り温水とバイパス回路5からのバイパス側温水は、軸部31近傍の部位Oにて略直交状に合流した後に、第2温水出口パイプ28側へ流れるようになっている。
【0035】
そして、弁体30前後の差圧、すなわち、バイパス用開口21と第2温水入口パイプ26との温水差圧が所定値に達すると、コイルスプリング32のばね力に抗して弁体30が図1の上方へリフトして弁座33から開離し、弁体30が開弁するようになっている。ここで、弁座33はバイパス用開口21を形成する内壁面に一体成形されている。
【0036】
円柱状の弁体4aの軸方向端部(図2の上端部)には、弁体4aを回動操作するためのシャフト4bが一体に成形されている。このシャフト4bは蓋板14cを貫通して弁ハウジング14の外部に突出している。このシャフト4bの外部への突出端部に扇形ギヤ4cの回転中心部を一体に連結している。この扇形ギヤ4cの駆動機構を図1、2には示していないが、扇形ギヤ4cの外周ギヤ面4dには、後述の図11(第2実施形態)に示す減速ギヤ機構12aを連結し、さらにこの減速ギヤ機構12aをサーボモータからなる電気アクチュエータ12により駆動することにより、弁体4aを回転駆動する。なお、電気アクチュエータ12の回転量は図示しない空調用電子制御装置により制御される。
【0037】
ここで、シャフト4bの外部への突出端部に扇形ギヤ4cの代わりに、マニュアル操作用のリンクレバー(操作手段)の回転中心部を一体に連結し、このリンクレバーを周知のレバー、ワイヤ等を用いた操作力伝達機構を介して、図示しない空調操作パネルのマニュアル式の温度調整部材に連結し、これにより、車室内の計器盤近傍に設置される空調操作パネルの温度調整部材(具体的にはレバー部材、ダイヤル部材等)を乗員が手動操作することにより、弁体4aを回動操作するようにしてもよい。
【0038】
40、41、42はゴム等の弾性材からなるシール部材で、その全体形状は図4に示すように矩形状に成形されており、その中央部に穴部40a、41a、42aを有している。これらのシール部材のうち、シール部材40、42は円柱状弁体4aの外周面と弁ハウジング14の第1収納部14aの内周面との間に配置されており、また、シール部材41は、弁体4aと第1収納部14aの相互の軸方向の一端面間に配置されている。
【0039】
このシール部材40、41、42は弁体4aの制御流路170を介することなく、直接パイプ19、20、バイパス用開口21間で温水が流通してしまうことを防ぐとともに、上記穴部40a、41a、42aと弁体4aの制御流路170との連通形状により温水流路の絞りを構成するものである。
本実施形態では、上記弁体4aの開度(弁体回転角)に応じて、制御流路170により図5に示す所定の相関関係を持って各パイプ19、20、バイパス用開口21の開口面積A1、A2、A3を制御するように構成してある。ここで、A1は第1温水入口パイプ19の開口面積であり、A2は第1温水出口パイプ20の開口面積であり、A3はバイパス用開口21の開口面積である。
【0040】
この図5に示す相関関係を実現するために、上記弁体4aの制御流路170とシール部材40、41、42の穴部40a、41a、42aの具体的形状は図6に示すごとく設定されている。
図6(a)は図2の矢印B方向からみたシール部材41の穴部41aと制御流路170の開口形状を示し、図6(b)は弁体4aの円周面の展開形状を示し、図6(c)は弁体4aの軸方向中央位置における断面形状を示している。そして、図6では、弁体開度を0°から95°(最大開度)までの9段階に変化させた場合における、制御流路170と各穴部40a、41a、42aとの連通状態の変化を示している。
【0041】
図6(b)、(c)および図1に示すように、弁体4aの円周面には、制御流路170の入口側開口部171、171aおよびバイパス側開口部172を配置し、この入口側開口部171、171aおよびバイパス側開口部172により温水入口パイプ19及びバイパス用開口21の開口面積A1、A3を調整する。
この入口側開口部171、171aは、シール部材40の円形の穴部40a(図4参照)との連通形状を変化させるものであって、入口側開口部171は図示のごとき嘴状の細長開口部分171′を有する形状であり、弁体開度が30°を超えると嘴状の細長開口部分171′の先端部分から穴部40aに連通するようになっている。また、入口側開口部171aはφ2相当の微小の円形穴形状であり、弁体開度が0の時(暖房停止時)にも穴部40aに連通するようになっている。この入口側開口部171aは弁体開度が40°を超えると、穴部40aとの連通を遮断する。
【0042】
また、バイパス側開口部172は長方形の一辺を円弧状にした形状であり、一方、このバイパス側開口部172が連通するシール部材42の穴部42aは円形の一部に凹部を形成した形状になっており、この穴部42aの凹部は、弁体開度が最大暖房能力位置の開度(95°)およびその近傍になったとき、入口側開口部171aと穴部42aとの連通を防止するためのものである。
【0043】
また、弁体4aの軸方向の一端面には、制御流路170の出口側開口部として2個の開口部173、173a(図6(a)、図1参照)を配置し、この出口側開口部173、173aにより温水出口パイプ20の開口面積A2を調整する。
この出口側開口部173、173aはシール部材41の穴部41aとの連通形状を変化させるものであって、この穴部41aは、図4、図6(a)に示すように、弁体4aの回動中心を通過する細長形状であり、弁体4aの回動中心部位は一段と細くした形状にしてある。
【0044】
一方、弁体4aの出口側開口部173、173aは、弁体4aの最大冷房位置(弁体開度=0°)において、前記穴部41aを中間に挟むように配置されている。そして、この2個の出口側開口部173、173aのうち、1つの開口部173のみに、弁体4aが所定開度以下の小流量制御域の回動位置(例えば弁体開度=40°以下の開度位置)にあるとき、穴部41aと連通する微小開口部173′を形成している。
【0045】
以上の説明から理解されるように、弁体4aの入口側開口部171、171aとシール部材40の穴部40aとにより、温水入口パイプ19からの温水の絞り(第1の絞り)を形成し、弁体4aの出口側開口部173、173aとシール部材41の穴部41aとにより、温水出口パイプ20への温水の絞り(第2の絞り)を形成し、弁体4aのバイパス側開口部172とシール部材42の穴部42aとにより、バイパス用開口21への絞り(第3の絞り)を形成している。図4、5において、符号A1〜A3はこの各絞りの開口面積を示す。
【0046】
また、バイパス回路5のバイパス用開口21は、上記第3の絞りを経て、弁体4aの制御流路170に連通しているので、上記第1の絞りと上記第2の絞りとの中間の部位に連通することになる。
なお、図1、2において、暖房用熱交換器7は、その下方部に温水の入口側タンク7aを有し、その上方部に温水の出口側タンク7bを有しており、そしてこの上下の両タンク7a、7bの間に、多数の並列配置された偏平チューブとコルゲートフィンとからなるコアー部7cが形成されている。ここで、コアー部7cは入口側タンク7aから出口側タンク7bへの一方向のみに温水が流れる一方向流れ(全パス)タイプとして構成されている。
【0047】
なお、図1、2には図示しないが、本発明による流量制御弁4および圧力応動弁6を有する流量制御装置3を、前述の図16に示すごとく熱交換器7に予め一体化しておいて、その後にこれらの一体構造物を空調装置の空気通路(通風ダクト)に対して組み付けることにより、組付性の向上、熱交換器部分の形状の小型化を図ることができる。
【0048】
次に、上記構成において作動を説明する。いま、流量制御弁4の弁体4aが最大暖房位置(最大開度の位置)に回動操作されると、本例では弁体4aが図5、6に示す弁開度:95°の位置まで回動される。
これにより、弁体4aの制御流路170の入口側開口部171が温水入口パイプ19のシール部材40の穴部40aと最大面積で重畳するとともに、制御流路170の出口側開口部173、173aが温水出口パイプ20のシール部材41の穴部41aと最大面積で重畳し、この両パイプ19、20を全開する。一方、制御流路170のバイパス側側開口部172はバイパス用開口21のシール部材42の穴部42aと連通しないので、バイパス用開口21は全閉状態となる。
【0049】
その結果、エンジン1からの温水は最大流量で熱交換器7側に流入して、バイパス回路5には温水が流れない。これにより、熱交換器7は最大暖房能力を発揮できる。
次に、最大冷房時(自動車用空調装置に冷房機能が装備されていないときは、送風のみの暖房停止時となる)には、流量制御弁4の弁体4aが開度零の位置(具体的には図5、6の弁体開度:0°の位置)まで回動される。この開度零の位置では、弁体4aの制御流路170のバイパス側側開口部172の大部分がバイパス用開口21のシール部材42の穴部42aと重畳してこのバイパス用開口21を開口する。また、制御流路170の出口側開口部173、173aが温水出口パイプ20のシール部材41の穴部41aと連通せず,温水出口パイプ20を全閉する。
【0050】
一方、制御流路170の入口側開口部171、171aにおいては、図6(b)の最上部に示すように、入口側開口部171aのみが温水入口パイプ19のシール部材40の穴部40aと重畳して連通する。これにより、温水入口パイプ19を全閉とせず、入口側開口部171aによりφ2丸穴相当の最小開口面積を設定する。
【0051】
上記の弁体位置により、温水入口パイプ19からバイパス用開口21への温水の流れを継続できるので、温水の流れの急遮断によるウオータハンマ現象の音の発生を防止できるとともに、φ2丸穴相当以上の開口面積の確保により流水音の発生も防止できる。
また、温水回路中の鋳砂は通常、φ1以下の微小物であるので、上記大きさの最小開口を設定することにより、鋳砂等の異物による流量制御弁流路の閉塞を十分防止できる。
【0052】
次に、微少能力時には、弁体4aが図5の弁体開度30°以下の位置に回動されるので、制御流路170の入口側開口部171aと出口側開口部173の微小開口部173′が温水入口パイプ19及び温水出口パイプ20の双方の穴部40a、41aに対して小面積で重畳し、温水入口パイプ19の開口面積A1及び温水出口パイプ20の開口面積A2を双方とも絞っている2段絞りの状態となる。しかも、温水入口パイプ19と温水出口パイプ20の絞り部の中間部(図1の中間流路174部)は全開状態にあるバイパス用開口21によって十分大きな開口面積A3でバイパス回路5に連通しているので、この中間流路174の圧力を下げることができる。
【0053】
その結果、暖房用熱交換器7前後の差圧を十分小さくできるので、弁開度(弁体回転角)の変化に対する温水流量の変化(最終的には車室内への吹出空気温度の変化)を、特別小さな開口面積を必要とせずに、緩やかすることができる。すなわち、吹出空気温度の制御ゲインを低減できる。
この制御ゲインの低減により、車室内への吹出空気温度をきめ細かく制御できるとともに、温水入口パイプ19及び温水出口パイプ20の開口面積を特別小さな開口面積に設定する必要がなくなるため、鋳砂等の異物による流量制御弁流路の閉塞を十分防止できる。
【0054】
次に、中間能力時においては、弁体4aが図5の弁体開度30°〜60°の回動範囲にわたって、回動され、この弁体回動範囲では、温水入口側絞り部開口面積A1および温水出口側絞り部開口面積A2がほぼ同等の大きさで増加するとともに、バイパス側絞り部開口面積A3が次第に減少する。これにより、暖房用熱交換器7への温水流量を増加させて、吹出空気温度を次第に高める。
【0055】
このような弁体回動位置においても、上記2段絞りにより、同様に制御ゲインを低減して、車室内への吹出空気温度をきめ細かく制御できる。また、絞り部開口面積の増加により、鋳砂等の異物による流路閉塞の恐れがなくなるので、この状態では、温水入口側の絞り部開口面積A1と温水出口側の絞り部開口面積A2を同等に設定してある。
【0056】
次に、中間能力時〜大能力時においては、弁体4aが図5の弁開度60°を越える回動位置から95°未満の回動位置にわたって、回動されることにより、上記両開口面積A1、A2がさらに増加するとともに、バイパス側絞り部開口面積A3が減少する。これにより、暖房用熱交換器7への温水流量をさらに増加させて、吹出空気温度を高める。
【0057】
ところで、車両用空調装置の温水供給源をなすエンジン1とウオータポンプ2は、自動車の走行条件の変化に伴って回転数が大幅に変化するので、エンジン1からの温水供給圧は走行条件の変化により図17に示すごとく大幅に変化し、これが流量制御弁4による温水流量制御、ひいては吹出空気温度調整に対する大きな外乱要素となる。
【0058】
そこで、暖房用熱交換器7のバイパス回路5に圧力応動弁6を設けている。この圧力応動弁6においては、エンジン1からの温水供給圧が上昇して、弁体30前後の差圧がスプリング32により定まる所定圧より高くなると、弁体30が図1の上方へ移動して開弁し、弁体30と弁座33との間の隙間(開口面積)が上記差圧に応じて変動することより、圧力応動弁6はその弁体30前後の圧力差を一定値に維持するように作用する。
【0059】
このような圧力応動弁6の作用により、エンジン1からの温水供給圧の変化による暖房用熱交換器7への温水流量の変動をある程度、抑制することができるが、本実施形態ては、特に、圧力応動弁6の弁体30に対向するばね手段としてのコイルスプリング32として、図3に示す非線形はね特性を有するものを用いている。それにより、エンジン回転数の低い領域(すなわち、圧力応動弁6前後の差圧が小さい領域)では、コイルスプリング32のばね圧縮量が小となり、ばね定数(N/cm)が小となる。一方、エンジン回転数の高い領域(すなわち、圧力応動弁6前後の差圧が大きい領域)では、ばね圧縮量が大となり、ばね定数(N/cm)が大となる。
その結果、圧力応動弁6の弁体30のリフトにより増大されるバイパス回路5の開口面積の増加割合が図18の破線▲3▼に示すように、エンジン1の低回転領域では大となり、エンジン1の高回転領域では小となる非線形の開口増加特性を設定することができる。
【0060】
このように、エンジン1の低回転領域では、ウォータポンプ圧力の上昇に対するバイパス回路5の開口面積の増加割合を大きくすることにより、バイパス回路5の開口面積不足に起因する熱交換器吹出空気温度の過度な上昇を防止できる。
一方、エンジン1の高回転領域では、ウォータポンプ圧力の上昇に伴って、弁体4aのバイパス側開口部172およびシール部材42の穴部42aを通して噴出する温水の動圧が大となり、この温水の動圧が圧力応動弁6の弁体30に直接的に加わるので、弁体30のリフト量(開度)が過大になろうとする。しかし、エンジン1の高回転領域では、コイルスプリング32のばね定数(N/cm)が大となり、弁体30のリフト量を制約するので、ウォータポンプ圧力の上昇に対するバイパス回路5の開口面積の増加割合を小さくすることができる。
【0061】
従って、エンジン1の高回転領域におけるバイパス側温水流量の増大を抑制できるため、バイパス側温水と暖房用熱交換器7からの戻り温水との合流部Oにおいて、戻り温水に対する堰止め作用によって暖房用熱交換器7への温水流量が過度に減少することを防止でき、その結果、熱交換器吹出空気温度がエンジン高回転時に目標温度よりもかなり低下してしまうという現象を防止できる。
【0062】
以上の作用を圧力応動弁6が果たすことにより、エンジン回転数の変動による熱交換器吹出空気温度の変動を低回転域から高回転域まで良好に吸収できる。
さらに、本実施形態によると、圧力応動弁6を有するバイパス回路5と、流量制御弁4との組み合わせについて、次のごとき特徴を持つことにより、圧力応動弁6による、熱交換器吹出空気温度の変動吸収効果を一層向上できる。
【0063】
すなわち、図7は本実施形態による温水回路1aを模式的に示すものであり、流量制御弁4に、暖房用熱交換器7への温水の流れを絞る第1、第2の絞り40a′、41a′からなる2段絞りを設けるとともに、この2段絞りの中間点に、バイパス回路5の一端(入口)を接続している。なお、第1の絞り40a′は前述した通り、シール部材40の穴部40aと弁体4aの入口側開口部171、171aとにより形成されるもので、第2の絞り41a′はシール部材41の穴部41aと弁体4aの出口側開口部173、173aとにより形成されるものである。
【0064】
これに対し、図8は比較例であり、流量制御弁4′として、暖房用熱交換器7への温水の流れを1つの絞りのみで絞る、通常の1段絞りタイプのものを用いている。
図8の比較例によると、エンジン1のウォータポンプ2の温水吐出圧力が直接圧力応動弁6に加わるので、圧力応動弁6の前後差圧ΔPは図9に示すようにエンジン回転数の変動(アイドル→6000rpm)に対して、ΔP1 という大きな変動を起こす。
【0065】
一方、本実施形態によると、ウォータポンプ圧力に対して、流量制御弁4の第1の絞り40a′と第2の絞り41a′との抵抗比により定まる圧力まで減圧された温水圧力がバイパス回路5の圧力応動弁6に作用するので、エンジン回転数の変動(アイドル→6000rpm)に対して圧力応動弁6の前後差圧ΔPの変動は、上記ΔP1 より大幅に小さいΔP2 となる。
【0066】
従って、ウォータポンプ圧力が直接作用する比較例の圧力応動弁6に比較すると、本実施形態の圧力応動弁6はその前後差圧ΔPの変動が小さいので、その分だけ、設計が非常に容易となる。
また、流量制御弁4が上記のごとき2段絞り構造であるため、前述の図5に示すように、流量制御弁4の開度が変化しても、温水入口開口面積A1と熱交換器入口開口面積A2との比、換言すると、第1の絞り40a′と第2の絞り41a′との抵抗比の変化が僅少となるように設定することができる。そのため、流量制御弁4の開度が変化しても、圧力応動弁6の前後差圧ΔPを略一定値に維持することが可能となる。
【0067】
図10の実線aは、本実施形態によるエンジンアイドル時の圧力応動弁前後差圧ΔPを示し、破線bは本実施形態によるエンジン回転数:6000rpm時の圧力応動弁前後差圧ΔPを示しており、いずれも、流量制御弁4の開度θの変化に対して前後差圧ΔPが略一定値に維持されることを示している。
従って、圧力応動弁6のコイルスプリング32の初期ばね力(ばねセット値)を、実線aで示される前後差圧ΔPに対応する値に設定すると、エンジンアイドル時には圧力応動弁6は閉弁状態となる。そして、エンジン回転数の上昇により前後差圧ΔPが実線aから破線bに向かって上昇すると、前後差圧ΔPがコイルスプリング32の初期ばね力に打ち勝つので、圧力応動弁6が開弁する。この圧力応動弁6の開度は前後差圧ΔPとコイルスプリング32のばね力との差に応じた値となり、流量制御弁4の開度変化の影響を受けない。
【0068】
これに対し、比較例による1段絞りの流量制御弁4′を用いる場合は、エンジンアイドル時の圧力応動弁前後差圧ΔPが実線c、エンジン回転数:6000rpm時の圧力応動弁前後差圧ΔPが破線dのごとく変化し、流量制御弁開度θが減少するに伴って前後差圧ΔPが著しく増大する。
従って、いま、仮に、圧力応動弁6のコイルスプリング32の初期ばね力を、流量制御弁開度θ=θ1 における圧力応動弁前後差圧ΔPに対応する値に設定すると、流量制御弁開度θ=θ1 〜θ2 の範囲では、前後差圧ΔPの変化があるにもかかわらず、圧力応動弁6は閉弁したままとなる。また、流量制御弁開度θ=θ1 〜θ0 の範囲では、前後差圧ΔPの上昇に応じて圧力応動弁6の開度が増加する。
【0069】
このように、比較例によると、同じアイドル時であっても、流量制御弁4の開度変化の影響を受けて、圧力応動弁6の開度が大きく変化することになる。特に、コイルスプリング32を構成する非線形ばねは、図3の特性から理解されるように、アイドル時のような低圧力域でのばね圧縮量の変化が大きいので、圧力応動弁6の開度変化をより一層助長させる。
【0070】
以上の結果、比較例によると、エンジン回転数が同一であっても、流量制御弁4の開度変化の影響を受けて、圧力応動弁6の開度が大きく変化してしまうので、圧力応動弁6による、熱交換器吹出空気温度の変動吸収効果をうまく発揮できない。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、圧力応動弁6として、1つの弁体30と1つの非線形ばねからなるコイルスプリング32とを組み合わせたものを用いて、非線形のバイパス開口特性を設定しているが、第2実施形態では図11に示すように圧力応動弁6として、2つの弁体30a、30bと2つのコイルスプリング(ばね手段)32a、32bとを組み合わせたものを用いている。
【0071】
すなわち、図11の第2実施形態において、第1の弁体30aは略円錐台の形状であり、軸部31と一体に成形されている。第2の弁体30bは略円筒状の形状に成形され、その中央通路穴30cに対して第1の弁体30aが軸方向に相対変位可能に配置されている。図11の状態では、第1の弁体30aの外周面が第2の弁体30bの中央通路穴30cの内壁面に圧着して中央通路穴30cを閉塞している状態を示しており、また、第2の弁体30bの外周面が弁座33の内壁面に圧着している状態を示している。
【0072】
従って、この状態では、第1、第2の2つの弁体30a、30bによりパイパス開口21、すなわちパイパス回路5の入口部が全閉されている。
そして、第1、第2の2つのコイルスプリング32a、32bのばね特性は図12に示すように設定され、それぞれ、ばね力とばね圧縮量とが線形に変化する線形ばねから構成されているが、第1コイルスプリング32aのばね定数(N/cm)が小で、第2コイルスプリング32bのばね定数(N/cm)が大になっている。
【0073】
このように、2つのコイルスプリング32a、32bのばね特性を設定しているため、図13に示すように、ウォータポンプ圧力(エンジン回転数)の低い領域では、ばね定数の小さい第1コイルスプリング32aを圧縮しながら第1の弁体30aが前後差圧の増加により図11の上方へリフトして、第2の弁体30bの中央通路穴30cが開放される。このとき、第1コイルスプリング32aのばね定数の小さいため、前後差圧の増加に対する第1弁体30aのリフト量の増加割合が大となる。そのため、エンジン1の低回転領域では、バイパス開口面積の増加割合を大きくすることができる。
【0074】
ウォータポンプ圧力の上昇により圧力応動弁6の前後差圧がばね定数の大きい第2コイルスプリング32bの初期ばね力を上回ると、第2の弁体30bが図11の上方へリフトし、弁座33の内側通路をも開放する。このときには、第1の弁体30aによるバイパス開口面積の増加が飽和してくるので、これ以後の、バイパス開口面積の増加は第2の弁体30bに支配される。
【0075】
そして、第2の弁体30bに作用する第2コイルスプリング32bのばね定数が大きいため、前後差圧の増加に対する第1弁体30aのリフト量の増加割合が小となる。そのため、エンジン1の高回転領域では、バイパス開口面積の増加割合を小さくすることができる。
これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0076】
(第3実施形態)
上述した第1、第2実施形態では、圧力応動弁6におけるばね手段(32、32a、32b)のばね定数をエンジン1の低回転領域と高回転領域とで変化させているが、第3実施形態では、図14に示すように、ばね定数が変化しない通常の1つの線形ばねからなるコイルスプリング32を用いて、第1、第2実施形態と同様の作用効果を発揮しようとするものである。
【0077】
このため、第3実施形態では、圧力応動弁6の弁体30とともにバイパス回路5のパイパス開口面積を決定する弁座33の通路穴33aの形状を工夫している。すなわち、弁座33の通路穴33aを弁体30のリフト方向(図14の上方)に対して湾曲状に凹んだ形状に成形している。これにより、圧力応動弁6の弁体30が線形ばねからなるコイルスプリング32によって、前後差圧の上昇に対して線形にリフトしても、弁座33の湾曲状に凹んだ通路穴33aの形状により、パイパス開口面積の変化を図15に示すように、非線形の開口増加特性とすることができ、この結果、第1、第2実施形態と同様の作用効果を発揮できる。
【0078】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、圧力応動弁6のばね手段としてコイルスプリング32、32a、32bを使用しているが、コイルスプリング32の代わりにゴムのような弾性部材を用い、この弾性部材をその厚み方向に弾性変形させることにより、圧力応動弁6によるバイパス開口面積を温水圧力変化に対応して調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す温水回路図で、流量制御弁と圧力応動弁とを一体化した流量制御装置の断面構造図を含む。
【図2】図1のA−A矢視断面図を含む温水回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態の圧力応動弁のコイルスプリングのばね特性図である。
【図4】本発明の第1実施形態における流量制御弁の弁体部分の分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態における流量制御弁の開度特性を示すグラフである。
【図6】(a)は第1実施形態の流量制御弁の弁体とシール部材の開口形状を示す底面図、(b)は流量制御弁の弁体の円周面展開図、(c)は流量制御弁の弁体とシール部材の断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の温水回路を模式的に示す回路図である。
【図8】本発明の比較例の温水回路を模式的に示す回路図である。
【図9】圧力応動弁の前後差圧とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
【図10】圧力応動弁の前後差圧と流量制御弁の弁体開度との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態を示す温水回路図で、流量制御弁と圧力応動弁とを一体化した流量制御装置の断面構造図を含む。
【図12】本発明の第2実施形態における圧力応動弁のコイルスプリングのばね特性図である。
【図13】本発明の第2実施形態におけるバイパス開口面積とウォータポンプ圧力との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第3実施形態を示す温水回路図で、流量制御弁と圧力応動弁とを一体化した流量制御装置の断面構造図を含む。
【図15】本発明の第3実施形態におけるバイパス開口面積とウォータポンプ圧力との関係を示すグラフである。
【図16】本発明者が試作検討した試作品を示す温水回路図で、流量制御弁と圧力応動弁とを一体化した流量制御装置の断面構造図を含む。
【図17】エンジンのウォータポンプ圧力とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
【図18】図16の試作品におけるバイパス開口面積とウォータポンプ圧力との関係を示すグラフである。
【図19】図16の試作品における吹出空気温度とエンジン回転数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…エンジン、1a…温水回路、2…ウォータポンプ、4…流量制御弁、
4a…弁体、5…バイパス回路、6…圧力応動弁、7…暖房用熱交換器、
30、30a、30b…弁体、32、32a、32b…コイルスプリング、
40a′…第1の絞り、41a′…第2の絞り。

Claims (6)

  1. 水冷式のエンジン(1)と、このエンジン(1)により駆動されるウォータポンプ(2)とを有し、前記エンジン(1)にて加熱された温水が前記ウォータポンプ(2)により循環する温水回路(1a)と、
    この温水回路(1a)に設置され、この温水回路(1a)の温水と空気とを熱交換して空気を加熱する暖房用熱交換器(7)と、
    この暖房用熱交換器(7)をバイパスして温水を流すバイパス回路(5)と、
    このバイパス回路(5)に設けられ、前記エンジン(1)から供給される温水の圧力上昇に応じて、前記バイパス回路(5)の開口面積を増大する圧力応動弁(6)と、
    前記エンジン(1)から前記暖房用熱交換器(7)に供給される温水流量を制御して、前記暖房用熱交換器(7)の吹出空気温度を調整する流量制御弁(4)とを備え、
    前記バイパス回路(5)から流出したバイパス側温水と、前記暖房用熱交換器(7)から流出した戻り温水とを合流させる合流部(O)において、前記バイパス側温水により前記戻り温水に対して堰止め作用が働くようになっており、
    前記エンジン(1)の回転数が低回転領域より高回転領域に変化する際に、前記圧力応動弁(6)により増大される前記バイパス回路(5)の開口面積の増加割合が前記エンジン(1)の低回転領域では大となり、前記エンジン(1)の高回転領域では小となる非線形の開口増加特性を有していることを特徴とする温水式暖房装置。
  2. 水冷式のエンジン(1)と、このエンジン(1)により駆動されるウォータポンプ(2)とを有し、前記エンジン(1)にて加熱された温水が前記ウォータポンプ(2)により循環する温水回路(1a)と、
    この温水回路(1a)に設置され、この温水回路(1a)の温水と空気とを熱交換して空気を加熱する暖房用熱交換器(7)と、
    この暖房用熱交換器(7)をバイパスして温水を流すバイパス回路(5)と、
    このバイパス回路(5)に設けられ、前記エンジン(1)から供給される温水の圧力上昇に応じて、前記バイパス回路(5)の開口面積を増大する圧力応動弁(6)と、
    前記エンジン(1)から前記暖房用熱交換器(7)に供給される温水流量を制御して、前記暖房用熱交換器(7)の吹出空気温度を調整する流量制御弁(4)とを備え、
    この流量制御弁(4)には、前記暖房用熱交換器(7)への温水の流れを絞る第1の絞り(40a′)および第2の絞り(41a′)と、この第1の絞り(40a′)および第2の絞り(41a′)の開口面積を変化させる弁体(4a)が備えられており、
    前記バイパス回路(5)の一端は前記第1の絞り(40a′)と前記第2の絞り(41a′)との間に接続されており、
    前記エンジン(1)の回転数が低回転領域より高回転領域に変化する際に、前記圧力応動弁(6)により増大される前記バイパス回路(5)の開口面積の増加割合が前記エンジン(1)の低回転領域では大となり、前記エンジン(1)の高回転領域では小となる非線形の開口増加特性を有していることを特徴とする温水式暖房装置。
  3. 前記圧力応動弁(6)は、前記バイパス回路(5)の開口面積を調整する弁体(30)と、この弁体(30)にばね力を作用させるばね手段(32)とを有しており、
    このばね手段(32)を、エンジン(1)の低回転領域ではばね定数が小となり、エンジン(1)の高回転領域ではばね定数が大となる非線形ばねで構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の温水式暖房装置。
  4. 前記圧力応動弁(6)に、前記エンジン(1)の低回転領域で開弁する第1の弁体(30a)と、前記エンジン(1)の高回転領域で開弁する第2の弁体(30b)とを備え、
    前記エンジン(1)の低回転領域では前記第1の弁体(30a)の開弁により前記バイパス回路(5)の開口面積の増加割合を大とし、前記エンジン(1)の回転領域では前記第2の弁体(30b)の開弁により前記バイパス回路(5)の開口面積の増加割合を小としたことを特徴とする請求項1または2に記載の温水式暖房装置。
  5. 前記第1の弁体(30a)にばね力を作用させる第1のばね手段(32a)のばね定数を小とし、前記第2の弁体(30b)にばね力を作用させる第2のばね手段(32b)のばね定数を大としたことを特徴とする請求項4に記載の温水式暖房装置。
  6. 前記圧力応動弁(6)は、前記バイパス回路(5)の開口面積を調整する弁体(30)と、この弁体(30)にばね力を作用させるばね手段(32)と、前記弁体(30)により開放される通路穴(33a)とを有しており、
    この通路穴(33a)の形状を、前記非線形の開口増加特性を満足する形状としたことを特徴とする請求項1または2に記載の温水式暖房装置。
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