JP3595390B2 - キニザリン化合物、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なキニザリン化合物、その製造方法、該化合物よりなる色素、該化合物を含有してなる光記録媒体、カラーフィルターおよびインクジェット用インク組成物に関するものである。
【0002】
本発明の新規なキニザリン系化合物は、480nm〜850nmの橙々色〜赤色〜青色〜緑色〜近赤外領域に吸収を有し溶解性に優れており、また耐光性あるいは耐熱性にも優れているので、光エレクトロニクス情報分野における可視領域あるいは近赤外領域に吸収をもつ表示材料あるいは記録材料として、例えば、インクジェット用インク、撮像管に用いる色分解フィルター、液晶表示用カラーフィルター、光学用カラーフィルター、改ざん偽造防止用バーコード用インク、ゲスト・ホスト型液晶表示用二色性色素、偏光板用二色性色素、コンパクトディスク等に対応する光記録媒体等に用いる際に優れた効果を発揮する。特にマゼンタ系あるいはシアン系着色剤として用いる際に優れた効果を発揮する。
【0003】
さらに本発明は、溶解性に優れかつ堅牢性の高い橙々色〜赤色〜青色〜緑色域の高級着色剤として、例えば繊維の染色、自動車用塗料、建材用塗料、版材の着色剤、筆記具インキ、ガラスフレークの着色剤、眼鏡レンズの着色剤等に用いる際に優れた効果を発揮する。
【0004】
【従来の技術】
近年、有機色素は光エレクトロニクス・情報記録分野において、情報表示画像あるいはそれらのハードコピーのカラー化が進むにつれその機能性が着目され、表示材料あるいは記録材料として、例えば、昇華転写用色素、インクジェット用インク、撮像管に用いる色分解フィルター、液晶表示用カラーフィルター、光学用カラーフィルター、カラートナー、改ざん偽造防止用バーコード用インク、ゲスト・ホスト型液晶表示用二色性色素、偏光板用二色性色素等の可視領域に吸収をもつ、いわゆる可視光線吸収機能性色素の開発要求が高まっている。
【0005】
特に近年、コンピューターグラフィックスを含めて電子画像を扱う用途が急激に増えており、よって例えばビデオムービーや電子スチルカメラのテレビ画像などの電子画像をカラーハードコピーとして記録することが求められている。
【0006】
その中で、昇華転写用色素を基材シートに塗布して熱転写シートとし、これを感熱ヘッドで選択的に加熱し染着可能な記録紙に転写する、いわゆる感熱昇華転写記録方式は階調再現性および色再現性の優れたフルカラー画像の得られる重要な記録法として注目されている。
【0007】
これら熱転写シートとしては通常、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色を用いる。しかしながら、従来提案されてきた色素は、感熱昇華転写記録用として必要とする条件である(1)色相、(2)インキ溶媒およびインキ用バインダー樹脂に対する溶解性または相溶性、(3)耐熱性、(4)転写性並びに(5)耐光性のすべてを満足させるものは極めて少なく、感熱昇華転写記録用色素として最適条件を満たした色素の出現が期待されてきた。
【0008】
なかでも光、熱、温度等に対して元来安定であり堅牢性に優れているアントラキノン系化合物については、マゼンタ色素またはシアン色素としての吸収波長に制御するべく、また溶媒あるいは樹脂に溶解するべく数多く検討されている。
【0009】
たとえば、特開昭60−122192号、特開昭60−131293号、特開昭60−159091号、特開昭61−227093号、特開昭60−253595号、特開昭62−25092号、特開昭62−97886号、特開昭63−288787号、特開昭63−288788号、特開昭63−288789号、特開平1−174490号、特開平4−21490号等には、1−アミノ−4−ヒドロキシアントラキノン化合物の2位に各種の官能基を導入したマゼンタ色素が開示されている。しかしながら、溶解性を有するものもあるが、吸収波長あるいは耐光性が満足できない。
【0010】
また、例えば、特開昭59−227948号、特開昭60−31559号、特開昭60−53563号、特開昭60−122192号、特開昭60−131292号、特開昭60−131294号、特開昭60−151097号、特開昭60−172591号、特開昭61−57391号、特開昭61−193887号、特開昭61−255897号、特開昭62−138291号、特開平1−178495号、特開平1−221287号、特開平1−255594号、特開平1−258995号、特開平1−258996号、特開平2−9685号、特開平2−43093号、特開平2−132462号、特開平2−175293号、特開平4−122695号、特開平4−270689号等には、アミノ基、アルキルアミノ基、アリルアミノ基および各種の官能基を導入したアントラキノン系シアン色素が開示されている。しかしながら、溶解性を有するものもあるが、吸収波長あるいは耐光性が満足できない。
【0011】
電子写真法は、一般には、光導電性感光体上に、帯電、露光により静電荷の電気的潜像を形成し、次いでこの電気的潜像をトナーにより現像し、得られたトナー画像を必要に応じて転写紙等に転写し、加熱、加圧などにより定着し可視画像を形成する方法である。このためのトナーとしては、通常カーボンブラック等の黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散させたものが多く使用されている。しかしながら、近年、コンピユーターグラフィックスを含めて電子画像を扱う用途が急激に増えてきたことなどから電子写真方式においてもカラー化が進められてきており、バインダー樹脂中にイエロー、マゼンタおよびシアンの各色染料および/または顔料を溶融あるいは分散せしめてなるカラートナーが製造されている。
【0012】
従来、フルカラー用トナーを製造する方法としては、バインダー樹脂と着色剤とを溶融、混練し、粉砕した後、分級して所定の粒度分布のものを得る方法が一般的である。この際、通常着色剤として顔料が用いられるが、顔料による着色では着色剤はただ単にバインダー樹脂中に分散しているだけであるために、透明性が劣るという問題点がある。特にオーバーヘッドプロジェクター用の透明シート等に画像を形成した場合には、投影画像が薄暗くなってしまい、色調も濁ってしまう。透明性の問題は、顔料粒子の粒径をサブミクロン程度にすることで、ある程度は改善できるが、顔料をサブミクロン程度に粉砕するのは難しく、またその顔料をバインダー樹脂中に均一に微分散する必要があるが、その分散も非常に難しいのが現状である。
【0013】
そのため、バインダー樹脂に溶解性のある染料の使用が数多く検討されているが、染料を着色剤に用いると、主に耐光性が悪くなるという問題点がある。そこで、バインダー樹脂に混和性が高く、かつ耐光性の高い色素の使用が数多く検討されている。例えばアントラキノン系シアン色素では、特開平1−237667号、特開平1−284865号、特開平2−47668号、特開平2−110573号、特開平2−132462号、特開平3−87754号、特開平5−107812号等が開示されている。しかしながら、透明性、色調、耐光性の全てを満足するものがないのが現状である。
【0014】
近年、半導体レーザーを光源として用いるコンパクトディスク、レーザーディスク、光メモリーディスク、光カード等の光記録媒体の開発が活発である。特に、CD,PHOTO−CDあるいはCD−ROMは、大容量、高速アクセスのデジタル記録媒体として音声、画像、コードデーターなどの保存再生用に、大量に利用されている。これらのシステムはいずれも半導体レーザーに感受するいわゆる近赤外吸収色素を必要とし、それら色素に関して特性の良好なものが求められている。
【0015】
光記録媒体に用いる際に要求される基本的な特性としては、(1)用途に応じて必要とする吸収波長に制御されていること。(2)実用上、蒸着あるいは樹脂への分散といった煩雑な工程を用いないで色素を薄膜化する方法、すなわちスピンコートなどの簡便でかつ生産性に優れた方法で塗工でき、かつ基板を侵さない溶媒に対しての溶解性に優れていること。
【0016】
(3)反射率が高いこと。(4)耐熱性、耐光性が良好であること。
【0017】
(5)感度が高いこと。(6)製造方法などにおいて経済性に優れた化合物であること。などが挙げられる。
【0018】
これらの特性を満足させるべく近年有機系色素を用いた光記録媒体が検討され、フタロシアニン色素、ポリメチン色素、スクワリウム色素、アントラキノン色素等が提案されている。しかしながらこれまでに提案されている色素は、上記特性をすべて満足するものではない。
【0019】
例えば、特開昭58−169152号、特開昭62−21584号および特開昭63−102988号には、アントラキノン化合物を用いる方法が提案されている。しかしながら、これらの化合物は、特に耐光性に乏しく実用的には使用できない。
【0020】
カラーフィルターは、通常ガラス、プラスチック、撮像素子、薄膜トランジスター等の基板の上に複数色に着色された薄膜による微細な着色画素を順次繰り返し形成し、さらに必要によりその上に保護膜を設けた構成になっている。そして、その着色画素の形成法としては、さまざまな方法が提案されている。カラーフィルターの構成成分である色素は大きく分けて顔料系と染料系に分けられる。顔料系の製造方法としては例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド樹脂やポバール系樹脂に顔料を分散させた着色層を用いる顔料分散法、エポキシ系樹脂に顔料を分散させたインクを用いる印刷法、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂に顔料を分散させた着色層を用いる電着法が実用化されている。この他に新規な方法として顔料とレジストを塗った三色のフィルムをそれぞれガラス基板に張り付けて、はがすとカラーフィルターが形成されるという転写法や、顔料分散シリカのゾルを使ってゾル−ゲル法によりポリシランフィルムを選択的に着色する方法等も提案されている。しかしながら、いずれ方法においても顔料の樹脂に対する分散性が十分でないため、カラーフィルターにしたときの透過率が不十分であったり、コントラストが悪いといった点が問題となっている。一方、染料系ではゼラチン等の可染性樹脂を用いて染色する染色法が実用化されており、色彩の点では前記顔料系に比べて優れているが、耐熱性、耐久性、耐薬品性が悪いといった点が問題となっている。したがって、従来の染料系の色彩を保持してかつ耐久性の高い材料が求められている。
【0021】
また、インクジェット用のインクは、多くの場合、臨界的なプリント特性を与えている。すなわち、水性のインクジェット用インクは、一般的に紙になじまず、紙に対して浸透性および乾燥性が乏しい。一方、油性のインクは紙になじみやすいが、表面張力が乏しいため、大きすぎるインクドットを生じ、プリント品質が低下するという欠点があった。一方それに対し、固形あるいは半固形タイプのインクは、コントラストの良好なプリントが得られるという特徴があり、将来展望が期待されているが、固形あるいは半固形タイプのインク用の色素として、特に耐光性、色調の両面を同時に満足するものがないのが現状である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、新規なキニザリン化合物、その製造方法、該化合物よりなる色素、該化合物を含有してなる電子写真用カラートナー組成物、感熱昇華転写記録用シート、光記録媒体、カラーフィルターおよびインクジェット用インク組成物を提供することにある。
【0023】
本発明の他目的は、480〜700nmの吸収波長域において目的に応じた吸収波長の制御が可能であり、用途に応じた溶媒あるいは樹脂に対して溶解性に優れ、また耐光性に優れた可視光線吸収材料としてアントラキノン系化合物の一種である新規なキニザリン系化合物を提供することにある。
【0024】
また、本発明のさらに他の目的は、該キニザリン系化合物を効率良く製造する方法を提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、可視光線吸収材料等に使用される該化合物よりなる色素を提供することにある。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、600〜850nmの吸収波長域において目的に応じた吸収波長制御が可能であり、また用途に応じた溶媒、例えば、アルコール性溶媒等に対して溶解性に優れ、かつ耐光性、耐熱性の高い新規なアントラキノン化合物を用いることによって、吸収波長、感度、反射率、耐光性に優れた新規な光記録媒体、特に780nmあるいは680nmのレーザーを使用するCD対応の光記録媒体を提供することにある。
【0027】
本発明の別の目的は、耐光性に優れ、かつ濁りがなく透明感があり、かつ色調の点でも優れたカラーフィルターを提供することにある。
【0028】
本発明のさらに別の目的は、コントラストの良好なプリントが得られ、かつ耐光性および色調の点でも優れた記録画像の得られるインクジェット用インク組成物を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
これらの諸目的は、下記(1)〜(16)により達成される。
【0030】
(1) つぎの構造式(1)
【0031】
【化3】
【0032】
(ただし、式中、W,X,YおよびZのうち、1〜3個かつXおよびY位の少なくとも一方が一般式(2)
【0033】
【化4】
【0034】
[ただし、式中、Aは各々独立に−COOR 1 (R 1 は水素原子または炭素原子数1〜18、好ましくは1〜12個のアルキル基)、スルホン酸基、シアノ基、炭素原子数1〜8個のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基およびハロゲン原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものであり、またaは0〜5の整数である]で表されるアニリノ基および−NHR 2 (ただし、R 2 は炭素原子数1〜12個のアルキル基である)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の第二級アミノ基であり、かつ5,6,7および8位の残位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの少なくとも1つがハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基およびフェニルチオ基よりなる群より選ばれた少なくとも1種のもので置換されているキニザリン化合物。
【0035】
(2) キニザリン骨格の5,6,7および8位の1〜3個かつ6および7位の少なくとも一方が第二級アミノ基であり、かつ5,6,7および8位の残位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの全てがフッ素原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基およびフェニルチオ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもので置換されている前記(1)に記載のキニザリン化合物。
【0036】
(3) 該第二級アミノ基の少なくとも1個が、置換基を有していてもよいアニリノ基 である前記(1)または(2)に記載のキニザリン化合物。
【0037】
(4) 該アニリノ基の2および6位が共に置換されている前記(3)に記載のキニザリン化合物。
【0038】
(5) 水素原子および第二級アミノ基以外の残位の全てがフッ素原子である前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のキニザリン化合物。
【0039】
(6) 水素原子および第二級アミノ基が1〜2個であり、アルコキシ基またはフェノキシ基が1〜2個、かつ水素原子が少なくとも1個であるとともに残位の基がフッ素原子である前記(2)〜(5)のいずれか一つに記載のキニザリン化合物。
【0040】
(7) 前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のキニザリン化合物が1個の第二級アミノ基を有してなるマゼンタ色素。
【0041】
(8) 前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のキニザリン化合物が2個の第二級アミノ基を有してなるシアン色素。
【0042】
(9) 前記(1)〜(6)に記載のキニザリン化合物を基板上に設けられた記録層に含有してなる光記録媒体。
【0043】
(10) 前記(7)に記載のマゼンタ色素および前記(8)に記載のシアン色素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の色素とビヒクルを含有してなるインクジェット用インク組成物。
【0044】
(11) 該ビヒクルがワックスを含むことを特徴とする前記(10)に記載のインクジェット用インク組成物。
【0045】
(12) 前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のキニザリン化合物をフィルター基材に含有してなるカラーフィルター。
【0046】
(13) 前記(7)に記載のマゼンタ色素および前記(8)に記載のシアン色素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の色素をフィルター基材に含有してなるカラーフィルター。
【0048】
(14) キニザリン骨格の5,6,7および8位の1〜3個かつ6および7位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの少なくとも1つがハロゲン原子であるキニザリン化合物と、第一級アミン化合物とを反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のキニザリン化合物(ただし、置換基がアルキルチオ基、フェニル基、アルコキシ基およびフェノキシ基を除く)の製造方法。
【0049】
(15) キニザリン骨格の5,6,7および8位の1〜3個かつ6および7位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの少なくとも1つがハロゲン原子であるキニザリン化合物と、第一級アミン化合物とを反応させ、ついで脂肪族メルカプト化合物、フェニルチオール、脂肪族ヒドロキシ化合物およびフェノールよりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとを反応させることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のキニザリン化合物の製造方法。
【0050】
(16) 無水フタル酸骨格の3,4,5および6位の1〜3個かつ4および5位の少なくとも一方が第二級アミノ基であるとともに残位の少なくとも1つが水素原子、残りの少なくとも1つがハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基およびフェニルチオ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもので置換されている無水フタル酸誘導体と、ハイドロキノンまたは1,4−ジメトキシベンゼンを反応させることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のキニザリン化合物の製造方法。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明によるキニザリン化合物は、一般式(1)
【0052】
【化5】
【0053】
(ただし、式中、W,X,YおよびZのうち、1〜3個かつXおよびYの少なくとも一方が第二級アミノ基であるとともに、残位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの少なくとも1つがハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基およびフェニルチオ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基で置換されているものである。)で表わされる化合物である。
【0054】
前記第二級アミノ基の少なくとも1個は、置換基を有していてもよいアニリノ基であると、耐光性が良好であることから好ましい。また該アニリノ基の置換基は、エステル化されていてもよいカルボキシル基、スルホン酸基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものである。一例を挙げると、例えば一般式(2)
【0055】
【化6】
【0056】
[ただし、式中、Aは各々独立に−COOR1 (R1 は水素原子または炭素原子数1〜18、好ましくは1〜12個のアルキル基)、スルホン酸基、シアノ基、炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜6個のアルキル基、炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜6個のアルコキシ基およびハロゲン原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものであり、またaは0〜5の整数、好ましくは1〜3の整数である。]で表わされるアニリノ基である。この場合、該アニリノ基の2および6位が共に置換されているものが溶解性が優れていることから好ましい。また、一般式(3)において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子および臭素原子を意味し、好ましくはフッ素原子および塩素原子である。
【0057】
また、前記アニリノ基以外の第二級アミノ基としては、例えば−NHR2 (ただし、R2 は炭素原子数1〜18個、好ましくは1〜12個のアルキル基である。)がある。
【0058】
また、前記のいくつかのアルキル基のうち、炭素原子数1〜6個のアルキル基とは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、直鎖または分岐鎖のペンチル基、直鎖または分岐鎖のヘキシル基を意味する。炭素原子数1〜8個のアルキル基とは、上記のアルキル基の他に、直鎖または分岐鎖のヘプチル基、直鎖または分岐鎖のオクチル基を意味する。炭素原子数1〜12のアルキル基とは、上記のアルキル基の他に、直鎖または分岐鎖のノニル基、直鎖または分岐鎖のデシル基、直鎖または分岐鎖のウンデシル基、直鎖または分岐鎖のドデシル基を意味する。炭素原子数1〜18個のアルキル基とは、上記のアルキル基の他に、直鎖または分岐鎖のトリデシル基、直鎖または分岐鎖のテトラデシル基、直鎖または分岐鎖のペンタデシル基、直鎖または分岐鎖のヘキサデシル基、直鎖または分岐鎖のヘプタデシル基、直鎖または分岐鎖のオクタデシル基などを意味する。
【0059】
また、前記一般式(3)中のAの中に含まれているアルコキシ基のうち、炭素原子数1〜6のアルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、ターシャリーブチルオキシ基、直鎖または分岐鎖のペンチルオキシ基、直鎖または分岐鎖のヘキシルオキシ基を意味する。炭素原子数1〜8個のアルコキシ基とは、上記のアルコキシ基の他に、直鎖または分岐鎖のヘプチルオキシ基、直鎖または分岐鎖のオクチルオキシ基などを意味する。
【0060】
また、一般式(2)における残位の基となりうるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜12個のアルコキシ基、エーテル結合を1〜5個持ちかつ総炭素数2〜12個のアルコシキ基、および複素環を持つアルキル基を持った総炭素数3〜12個のアルコキシ基であり、前記のアルコキシ基および前記のアルコキシ基以外に、直鎖または分枝鎖のペンチルオキシ基、直鎖または分枝鎖のヘキシルオキシ基、直鎖または分枝鎖のヘプチルオキシ基、直鎖または分枝鎖のオクチルオキシ基、直鎖または分枝鎖のノニルオキシ基、直鎖または分枝鎖のデシルオキシ基、直鎖または分枝鎖のウンデシルオキシ基および直鎖または分枝鎖のドデシルオキシ基、および、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、3´,6´−オキサヘプチルオキシ基、3´,6´−オキサオクチルオキシ基、3´,6´,9´−オキサデシルオキシ基、3´,6´,9´−オキサウンデシルオキシ基、3´,6´,9´,12´−オキサトリデシルオキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基、4´,8´,12´−オキサトリデシルオキシ基、4´,8´,12´,16´−オキサヘプタデシルオキシ基、および、テトラヒドロフルフリルオキシ基、4−モルフォリノエトキシ基、1−ピペラジンエトキシ基などを意味する。
【0061】
また、同じく一般式(2)における残位の基となり得る置換されていてもよいフェノキシ基とは、無置換およびベンゼン核に炭素原子数1〜4個のアルキル基または炭素原子数1〜4個のアルコキシ基またはハロゲン原子が1〜2個置換したフェノキシ基であり、フェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、m−メチルフェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、o−エチルフェノキシ基、m−エチルフェノキシ基、p−エチルフェノキシ基、o−プロピルフェノキシ基、m−プロピルフェノキシ基、p−プロピルフェノキシ基、o−イソプロピルフェノキシ基、m−イソプロピルフェノキシ基、p−イソプロピルフェノキシ基、o−ブチルフェノキシ基、m−ブチルフェノキシ基、p−ブチルフェノキシ基、o−ターシャルブチルフェノキシ基、m−ターシャルブチルフェノキシ基、p−ターシャルブチルフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基、m−メトキシフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、o−エトキシフェノキシ基、m−エトキシフェノキシ基、p−エトキシフェノキシ基、o−プロピオキシフェノキシ基、m−プロピオキシフェノキシ基、p−プロピオキシフェノキシ基、o−イソプロピオキシフェノキシ基、m−イソプロピオキシフェノキシ基、p−イソプロピオキシフェノキシ基、o−ブトキシフェノキシ基、m−ブトキシフェノキシ基、p−プトキシフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,6−ジプロピルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジブチルフェノキシ基、2,6−ジターシャルブチルフェノキシ基、2,6−ジメトキシフェノキシ基、2,6−ジエトキシフェノキシ基、2,6−ジプロピオキシフェノキシ基、2,6−ジイソプロピオキシフェノキシ基、2,6−ジブトキシフェノキシ基、2,6−ジクロロフェノキシ基、2−クロロ−6−メチルフェノキシ基、2−クロロ−6−エチルフェノキシ基などを意味する。
【0062】
また、同じく一般式(2)における残位の基となり得るハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子または臭素原子を意味し、好ましくはフッ素原子である。特にフッ素原子を付与させることによって溶媒あるいは樹脂への溶解性に効果を助長できる。
【0063】
また、一般式(2)中の炭素原子数1〜12個のアルキルチオ基とは、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、ターシャルブチルチオ基、直鎖または分枝鎖のペンチルチオ基、直鎖または分枝鎖のヘキシルチオ基、直鎖または分枝鎖のヘプチルチオ基、直鎖または分枝鎖のオクチルチオ基などを意味する。
【0064】
また、同じく一般式(2)中の置換されていてもよいフェニルチオ基とは、無置換およびベンゼン核にメチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、カルボキシル基、シアノ基、フルオロ基等が1〜4個置換したフェニルチオ基であり、チオフェノール基、o−トルエンチオール基、m−トルエンチオール基、p−トルエンチオール基、o−ヒドロキシチオフェノール基、m−ヒドロキシチオフェノール基、p−ヒドロキシフェノール基、o−メトキシチオフェノール基、m−メトキシチオフェノール基、p−メトキシチオフェノール基、4−カルボキシ−2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール基、4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール基などを意味する。
【0065】
本発明ではアントラキノン化合物の一種であるキニザリン化合物の骨格中の5,6,7または8位のいずれかに、以下具体的に挙げる(a)タイプおよび(b)タイプおよび(c)タイプのアミン系の置換基および(d)タイプ、(e)タイプの置換基を組み合わせて導入したものである。
【0066】
(a)タイプ
アニリノ基、o−エトキシカルボニルアニリノ基、p−エトキシカルボニルアニリノ基、m−エトキシカルボニルアニリノ基、o−ブトキシカルボニルアニリノ基、p−ブトキシカルボニルアニリノ基、m−ブトキシカルボニルアニリノ基、o−オクチルオキシカルボニルアニリノ基、p−オクチルオキシカルボニルアニリノ基、m−オクチルオキシカルボニルアニリノ基、o−オクタデシルオキシカルボニルアニリノ基、p−オクタデシルオキシカルボニルアニリノ基、m−オクデシルオキシカルボニルアニリノ基、o−シアノアニリノ基、p−シアノアニリノ基、m−シアノアニリノ基、o−ニトロアニリノ基、p−ニトロアニリノ基、m−ニトロアニリノ基、o−メトキシアニリノ基、p−メトキシアニリノ基、m−メトキシアニリノ基、o−メチルアニリノ基、p−メチルアニリノ基、m−メチルアニリノ基、o−ターシャルブチルアニリノ基、p−ターシャルブチルアニリノ基、m−ターシャルブチルアニリノ基、o−フルオロアニリノ基、p−フルオロアニリノ基、m−フルオロアニリノ基、2,3,5,6−テトラフルオロアニリノ基、4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロアニリノ基、2−メチル−4−シアノアニリノ基、2−メチル−4−ニトロアニリノ基、2−メチル−4−カルボキシアニリノ基、2−メチル−4−メトキシカルボニルアニリノ基、2−ブチル−4−ニトロアニリノ基、2−ブチル−4−カルボキシアニリノ基、2−メトキシ−4−シアノアニリノ基、2−メトキシ−4−ニトロアニリノ基、2−メトキシ−4−カルボキシアニリノ基、2−メトキシ−4−メトキシカルボニルアニリノ基、2,6−ジフルオロアニリノ基、
【0067】
(b)タイプ
2,6−ジメチルアニリノ基、2,6−ジエチルアニリノ基、2,6−ジプロピルアニリノ基、2,6−ジイソプロピルアニリノ基、2,6−ジブチルアニリノ基、2,6−ジイソブチルアニリノ基、2,6−ジタ−シャルブチルアニリノ基、2,6−ジヘキシルアニリノ基、2,6−ジオクチルアニリノ基、2,6−ジメトキシアニリノ基、2,6−ジエトキシアニリノ基、2,6−ジプロポキシアニリノ基、2,6−ジイソプロポキシアニリノ基、2,6−ジブトキシアニリノ基、2,6−イソブトキシアニリノ基、2,6−ジターシャルブトキシアニリノ基、2,6−ジヘキシルオキシアニリノ基、2,6−ジオクチルオキシアニリノ基、2,6−ジエチル−3−クロロアニリノ基、2,6−ジクロロアニリノ基、2,6−ジブロモアニリノ基、2−メチル−6−シアノアニリノ基、2−メチル−6−ニトロアニリノ基、2−メチル−6−カルボキシアニリノ基、2−メチル−6−メトキシカルボニルアニリノ基、2−メトキシ−6−メチルアニリノ基、2−クロロ−6−メチルアニリノ基、
4−シアノ−2,6−ジメチルアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジエチルアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジプロピルアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジイソプロピルアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジブチルアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジイソブチルアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジターシャルブチルアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジメトキシアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジエトキシアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジプロポキシアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジイソプロポキシアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジブトキシアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジイソブトキシアニリノ基、4−シアノ−2,6−ジターシャルブトキシアニリノ基、
4−ニトロ−2,6−ジメチルアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジエチルアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジプロピルアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジイソプロピルアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジブチルアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジイソブチルアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジターシャルブチルアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジメトキシアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジエトキシアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジプロポキシアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジイソプロポキシアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジブトキシアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ジイソブトキシアニリノ基、4−ニトロ−2,6−ターシャルブトキシアニリノ基、
4−エトキシカルボニル−2,6−ジメチルアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジエチルアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジプロピルアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジイソプロピルアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジブチルアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジイソブチルアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジターシャルブチルアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジメトキシアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジエトキシアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジプロポキシアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジイソプロポキシアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジブトキシアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジイソブトキシアニリノ基、4−エトキシカルボニル−2,6−ジターシャルブトキシアニリノ基、
【0068】
(c)タイプ
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ターシャルブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、
【0069】
(d)タイプ
フェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、m−メチルフェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基、m−メトキシフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、ターシャリーブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、
メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、3´,6´−オキサヘプチルオキシ基、3´,6´−オキサオクチルオキシ基、3´,6´,9´−オキサデシルオキシ基、3´,6´,9´−オキサウンデシルオキシ基、3´,6´,9´,12´−オキサトリデシルオキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基、4´,8´,12´−オキサトリデシルオキシ基、4´,8´,12´,16´−オキサヘプタデシルオキシ基、テトラヒドロフルフリルオキシ基、
【0070】
(e)タイプ
メチルチオ基、エチルチオ基,プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、
チオフェノール基、o−トルエンチオール基、m−トルエンチオール基、p−トルエンチオール基、o−ヒドロキシチオフェノール基、m−ヒドロキシチオフェノール基、p−ヒドロキシチオフェノール基、o−メトキシチオフェノール基、m−メトキシチオフェノール基、p−メトキシチオフェノール基、4−カルボキシ−2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール基、4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール基、
【0071】
本発明者らは、用途に応じて必要な特性を付与させるのに上記の(a)〜(d)タイプの置換基を下記の目的別にキニザリン骨格の5,6,7および/または8位に導入し、残位に好ましくはフッ素原子を含有させることによって可能であることを見いだしたのである。
【0072】
すなわち(a)、(b)および(c)タイプの置換基は、主に吸収波長を長波長側にシフトさせる目的の場合に用いるのが好ましく[特に(b)タイプを用いるのが好ましい]、置換基の種類あるいは置換基の数によってシフトの幅を変えることができる。すなわち480nm〜850nmの吸収波長の範囲において置換基の種類あるいは置換基の数によって吸収波長を制御することができる。
【0073】
(d)タイプの置換基は、主に溶解度を大きく向上させる目的に使用する場合に導入するのが好ましい。これらを用いることによってアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系の溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系の溶媒、クロロホルム、ジクロルエタンなどのハロゲン系の溶媒などに高濃度に溶解させることができる。置換基の数としては、多いほど溶解性の効果が大きい。
【0074】
(e)タイプの置換基は、小幅な吸収波長の制御と同時に溶解性を付与させる目的の場合に導入するのが好ましい。
【0075】
これらの置換基を組み合わせて導入することによって、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系の溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系の溶媒、クロロホルム、ジクロルエタンなどのハロゲン系の溶媒などに高濃度に溶解させることができると同時に、480nm〜850nmの吸収波長の範囲において置換基の種類あるいは置換基の数によって吸収波長を制御することができる。特に赤色系統の可視域の物を得る場合は、通常(a)タイプの置換基を1個と(d)タイプの置換基を1個もしくは2個組み合わせたものを導入させるか、あるいは(b)タイプの置換基を1個導入させるのが好ましい。
【0076】
また特に青色系統の可視域の物を得る場合は、(a)タイプの置換基を1個、(c)タイプの置換基を1個と(d)タイプの置換基を1個もしくは2個組み合わせたものを導入させるか、あるいは通常(a)タイプの置換基を2個と(d)タイプの置換基を1個もしくは2個組み合わせたものを導入させるか、あるいは(b)タイプの置換基を2個導入させるのが好ましい。
【0077】
また特に、青色系統より長波長(近赤外域)のものを得る場合は、通常(a)(b)あるいは(c)タイプの置換基を2個もしくは3個と、必要に応じて(d)タイプまたは(e)タイプの置換基を1個もしくは2個組み合わせて導入させるのが好ましい。
【0078】
また、これら(a)〜(e)タイプの置換基を導入する際、キニザリン骨格の5,8位よりも6,7位に導入した方が、耐光性が優れていることから、先に6,7位に置換基を導入して行くことが好ましい。
【0079】
これらのキニザリン化合物の具体例を挙げると、次のとおりである。
【0080】
A.第二級アミノ基(アニリノ基)1個と残位が水素原子の例
(1)6−アニリノキニザリン、
(2)6−(o−エトキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(3)6−(m−エトキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(4)6−(p−エトキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(5)6−(o−ブトキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(6)6−(m−ブトキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(7)6−(p−ブトキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(8)6−(o−オクチルオキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(9)6−(m−オクチルオキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(10)6−(p−オクチルオキシカルボニルアニリノ)キニザリン、
(11)6−(o−シアノアニリノ)キニザリン、
(12)6−(m−シアノアニリノ)キニザリン、
(13)6−(p−シアノアニリノ)キニザリン、
(14)6−(o−ニトロアニリノ)キニザリン、
(15)6−(m−ニトロアニリノ)キニザリン、
(16)6−(p−ニトロアニリノ)キニザリン、
(17)6−(o−メトキシアニリノ)キニザリン、
(18)6−(m−メトキシアニリノ)キニザリン、
(19)6−(p−メトキシアニリノ)キニザリン、
(20)6−(2,6−ジメチルアニリノ)キニザリン、
(21)6−(2,6−ジエチルアニリノ)キニザリン、
(22)6−(2,6−ジプロピルアニリノ)キニザリン、
(23)6−(2,6−ジイソプロピルアニリノ)キニザリン、
(24)6−(2,6−ジブチルアニリノ)キニザリン、
(25)6−(2,6−ジターシャリーブチルアニリノ)キニザリン、
(26)6−(2,6−ジクロロアニリノ)キニザリン、
(27)6−(2−クロロ−6−メチルアニリノ)キニザリン、
(28)6−(2−メチル−6−ニトロアニリノ)キニザリン、
(29)6−(2−メチル−6−カルボキシアニリノ)キニザリン、
(30)6−(2,3,4,5−テトラフルオロアニリノ)キニザリン、
【0081】
B.第二級アミノ基(アニリノ基およびアルキルアミノ基)2個と残位がアルコキシ基および水素原子の例
(31)6−アニリノ−7−ブチルアミノ−8(もしくは5)−オクチルオキシキニザリン、
(32)6−(m−エトキシカルボニルアニリノ)−7−ブチルアミノ−5(もしくは8)−ブトキシキニザリン、
(33)6−(p−エトキシカルボニルアニリノ)−7−ブチルアミノ−8(もしくは5)−オクチルオキシキニザリン、
(34)6−(m−エトキシカルボニルアニリノ)−7−ブチルアミノ−8(もしくは5)−オクチルオキシキニザリン、
C.第二級アミノ基(アニリノ基)2個と残位がアルコキシ基および水素原子の例
(35)6,7−ビス(m−エトキシカルボニルアニリノ)−5−オクチルオキシキニザリン、
(36)6,7−ビス(p−エトキシカルボニルアニリノ)−5−オクチルオキシキニザリン、
(37)6,7−ビス(2,6−ジエチルアニリノ)−5−ブトキシキニザリン、
(38)6,7−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリノ)−5−ブトキシキニザリン、
(39)6,7−ビス(2,6−ジエチル−3−クロロアニリノ)−5−ブトキシキニザリン、
(40)6,7−ビス(2,6−ジエチル−3−クロロアニリノ)−5−オクチルオキシキニザリン、
(41)6,7−ビス(2−エトキシカルボニル−6−メチルアニリノ)−5−ブトキシキニザリン、
(42)6,7−ビス(2−エトキシカルボニル−6−メチルアニリノ)−5−オクチルオキシキニザリン、
(43)6,7−ビス(2,6−ジエチルアニリノ)キニザリン、
(44)6,7−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリノ)キニザリン、
【0082】
本発明の新規キニザリン化合物は、例えば前記の二つの方法によって製造することができる。ひとつの製造方法は、前記一般式(3)
【0083】
【化7】
【0084】
(ただし、式中R0 はハロゲン原子を表わし、nは0〜3の整数を表わす。)で示される5,6,7および8位、または5,6および7位、または5,6および8位、または5および6位、または5および7位、または6および7位、または6位、または7位がハロゲンによって置換されたキニザリン(ただし、5,6,7および8位のうち少なくとも1つは水素原子)を出発原料として用い、それらに芳香族系アミノ化合物および/または脂肪族系アミノ化合物を反応させ、ついで必要により芳香族系ヒドロキシ化合物、脂肪族系ヒドロキシ化合物、芳香族系メルカプト化合物または脂肪族系メルカプト化合物から選ばれた反応求核物質を各々単独にあるいは順次にまたは同時に反応させハロゲン原子を求核置換せしめるものである。
【0085】
これらの反応求核物質のうち第一級アミン化合物としては、例えば、一般式(4)
【0086】
【化8】
【0087】
[ただし、式中、Aは各々独立に−COOR1 (R1 は水素原子または炭素原子数1〜18個、好ましくは1〜12個のアルキル基)、スルホン酸基、シアノ基、炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜6個のアルキル基、炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜6個のアルコキシ基およびハロゲン原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものであり、またaは0〜5の整数、好ましくは1〜3の整数である。]で表わされるアニリン化合物であり、この場合、該アニリン化合物の2および6位が共に置換されているものが好ましい。また、その他の第一級アミン化合物としては、例えば、NHR2 (ただし、R2 は水素原子、炭素原子数1〜18個、好ましくは1〜12個のアルキル基である。)がある。
【0088】
この際、通常は有機溶媒中で反応せしめるが、該有機溶媒としてはニトロベンゼン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの不活性溶媒、あるいはピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホン、スルホランなどの非プロトン極性溶媒、あるいはα−クロロナフタレン、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、あるいはベンゼン、トルエン、キシレンなどを用いることができる。または該有機溶媒を用いないで前記のアミノ化合物、ヒドロキシ化合物などの反応求核物質それ自身を溶媒として用いることもできる。
【0089】
また縮合剤としてトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどの有機塩基類やフッ化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩基を用いるのが良い。またはアニリン、トルイジン、アニシジン、n−ブチルアミン、n−オクチルアミンなどのアミノ化合物において反応求核物質それ自身に縮合剤としての性質が有る場合は必ずしも前記縮合剤を用いる必要はない。あるいは反応求核物質それ自身の反応性が強い場合、必ずしも縮合剤を必要としない。反応温度としては20〜200℃、好ましくは、反応溶媒等によっても異なるが、芳香族系アミノ化合物の置換反応については50〜180℃、脂肪族系アミノ化合物の置換反応については20〜100℃、芳香族系ヒドロキシ化合物の置換反応については20〜120℃、脂肪族系ヒドロキシ化合物の置換反応については50〜180℃、芳香族系メルカプト化合物の置換反応については20〜100℃、あるいは脂肪族系メルカプト化合物の置換反応については50〜180℃の範囲で行なうのが良い。
【0090】
なお、出発原料である5,6,7および8位または、5,6および7位、または5,6および8位、または5および6位、または5および7位、または6および7位、または6位、または7位がハロゲンによって置換されたキニザリンの合成は、例えば一般に良く知られた、いわゆるフリーデル−クラフツ反応により、3、4、5、および6位、3、4および5位、3、4および6位、3および4位、4および5位、3および5位、または4位、または5位がハロゲンにより置換された無水フタル酸あるいはフタル酸(好ましくは無水フタル酸)と例えばハイドロキノンまたはジメトキシハイドロキノン類(好ましくはジメトキシハイドロキノン)とから、例えばアシル化剤として無水塩化アルミニウムを用いて合成できる。例えば、5,6,7および8位のハロゲンがフッ素原子の場合の例が、当発明者によって見出された方法(特開昭61−112041号に開示、特願平5−261293号に記載)により行うことができる。他のハロゲンに関しても、該フッ素原子の場合と同様にして合成できる。
【0091】
もうひとつの製造方法は、無水フタル酸骨格の3,4,5および6位の1〜3個かつ4および5位の少なくとも一方が第二級アミノ基であると共に残位の少なくとも1つが水素原子、残りの少なくとも1つがハロゲン原子、アルコキシ基、置換されていてもよいフェノキシ基、アルキルチオ基および置換されていてもよいフェニルチオ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもので置換されている無水フタル酸誘導体と、ハイドロキノンまたは1,4−ジメトキシベンゼンとを反応させることによるキニザリン化合物の製造方法である。
【0092】
すなわち、一般式(5)
【0093】
【化9】
【0094】
(ただし、式中、W,X,YおよびZのうち、1〜3個かつXおよびYの少なくとも一方が前記一般式(2)のアニリノ基およびNHR 2 (R 2 は前記のとおり)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の第二級アミノ基であるとともに残位の少なくとも1つが水素原子、残りの少なくとも1つがハロゲン原子、アルコキシ基、置換されていてもよいフェノキシ基、アルキルチオ基およびフェニルチオ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基で置換されたものである。)で表わされる無水フタル酸誘導体と、ハイドロキノンまたは1,4−ジメトキシベンゼンとを反応させることによるキニザリン化合物の製造方法である。
【0095】
無水フタル酸のベンゼン核の一部あるいは全部がハロゲン原子、芳香族系アミノ化合物、脂肪族系アミノ化合物、芳香族系ヒドロキシ化合物、脂肪族系ヒドロキシ化合物、芳香族系メルカプト化合物または脂肪族系メルカプト化合物から選ばれた化合物で置換された無水フタル酸またはフタル酸の誘導体は、テトラクロル無水フタル酸、テトラフルオロ無水フタル酸またはテトラフルオロフタル酸などのハロゲン化無水フタル酸またはハロゲン化フタル酸と所望の芳香族系アミノ化合物、脂肪族系アミノ化合物、芳香族系ヒドロキシ化合物、脂肪族系ヒドロキシ化合物、芳香族系メルカプト化合物または脂肪族系メルカプト化合物から選ばれた反応求核物質とを各々単独にあるいは複数のものを順次にまたは同時に反応させハロゲン原子を求核置換せしめることにより製造される。
【0096】
反応温度としては20〜200℃、好ましくは、反応溶媒等によっても異なるが、芳香族系アミノ化合物の置換反応については50〜180℃、脂肪族系アミノ化合物の置換反応については20〜100℃、芳香族系ヒドロキシ化合物の置換反応については20〜120℃、脂肪族系ヒドロキシ化合物の置換反応については50〜180℃、芳香族系メルカプト化合物の置換反応については20〜100℃、あるいは脂肪族系メルカプト化合物の置換反応については50〜180℃の範囲で行なうのが良い。この際、通常は有機溶媒中で反応せしめるが、該有機溶媒としてはニトロベンゼン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの不活性溶媒、あるいはピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホン、スルホランなどの非プロトン極性溶媒、あるいはα−クロロナフタレン、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、あるいはベンゼン、トルエン、キシレンなどを用いることができる。または該有機溶媒を用いないで前記のアミノ化合物、ヒドロキシ化合物などの反応求核物質それ自身を溶媒として用いることもできる。
【0097】
また縮合剤としてトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどの有機塩基類やフッ化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩基を用いるのが良い。またはアニリン、トルイジン、アニシジン、n−ブチルアミン、n−オクチルアミンなどのアミノ化合物において反応求核物質それ自身に縮合剤としての性質が有る場合は必ずしも前記縮合剤を用いる必要はない。あるいは反応求核物質それ自身の反応性が強い場合、必ずしも縮合剤を必要としない。
【0098】
または無水フタル酸のベンゼン核の一部あるいは全部がハロゲン原子、芳香族系アミノ化合物、脂肪族系アミノ化合物、芳香族系ヒドロキシ化合物、脂肪族系ヒドロキシ化合物、芳香族系メルカプト化合物または脂肪族系メルカプト化合物から選ばれた化合物で置換された無水フタル酸またはフタル酸の誘導体は、石川ら、有機合成協会誌、第21巻第8号(1971年)792頁または本研究者ら、特願平4−28185号などの方法に従って予めフタロニトリルのベンゼン核の一部あるいは全部が所望のハロゲン原子、芳香族系アミノ化合物、脂肪族系アミノ化合物、芳香族系ヒドロキシ化合物、脂肪族系ヒドロキシ化合物、芳香族系メルカプト化合物、あるいは脂肪族系メルカプト化合物で置換されたフタロニトリルを通常の方法に従って加水分解して得ることができる。
【0099】
前記キニザリン化合物が1個の第二級アミノ基を有する場合には、該キニザリン化合物は、マゼンタ色素として有用である。また、前記キニザリン化合物が2個の第二級アミノ基を有する場合には、該キニザリン化合物はシアン色素として有用である。
【0100】
さらに、本発明は、前記キニザリン化合物を基板上に設けられた記録層に含有してなる光記録媒体である。
【0101】
本発明はまた、透明な樹脂製基板、該基板上に設けられた記録層と金属の反射層からなるコンパクトディスク対応の追記型光記録媒体において、該記録層が前記キニザリン化合物を含有してなる光記録媒体である。
【0102】
この際に用いるディスク基板としては、信号の記録、または読みだしを行うための光が透過するものが好ましい。光の透過率としては85%以上であってかつ光学異方性の小さいものが望ましい。例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂などからなる基板が挙げられる。これらの中で光学特性成形のしやすさあるいは機械的強度などからポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0103】
この基板上に前記した色素がまず形成されて、その上に金属の反射膜層が形成される。反射層として使用する金属は、Al,Ag,Au,Cu,Ptなどが挙げられ、この反射層は通常、真空蒸着、スパッター法などの方法により形成される。
【0104】
この発明の光記録媒体において前記色素を含む記録層を基板上に成膜させるためには、通常塗布法を用いるのが良い。方法としてはスピンコート法、ディップ法あるいはロールコート法によって可能である。特にスピンコート法が好ましい。その際使用する有機溶剤は、基板を侵さないものを用いる。例えば、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族、脂環式炭化水素系あるいはメチルアルコール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのアルコール系の溶媒が好ましい。本発明の前記色素は、アルコール系に特に良く溶解するので、これらの溶媒を用いるのが良い。
【0105】
この発明のCDは、プレーヤーに対しての互換性の観点から基板を通しての読みだしレーザ光に対する反射率は60%以上であることが必要とされる。これらはそれぞれの色素にあわせて膜厚を最適化することによって可能である。通常50nm〜300nmが良い。
【0106】
さらに、本発明は、前記マゼンタ色素および前記シアン色素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の色素とビヒクルとを含有してなるインクジェット用インク組成物である。
【0107】
インクジェット記録はシステムによって、連続噴射型、間欠噴射型、オンデマンド型、インキミスト型があり、またインキジェット用インクは、水系、水−溶剤系、溶剤系、固形タイプなどが開発されており、一般的には、水系のものが主流である。その中で特に固形タイプのインクは、通常の場合常温において固状あるいは半固状で、インクジェット装置により加熱され、液状となり噴射し、加熱されたインク液が目標物に接触し固化して記録されるものであるが、OHPフィルムからティッシュペーパーまで印字が可能であり、またコントラストの良好なプリントが得られるという特徴があり、将来展望が期待されているが、固形インク用の色素として、特に耐光性、色調の両面を同時に満足するものがないのが現状である。
【0108】
本発明の色素は、溶剤溶解性が高く、かつ耐光性が非常に高く色相の点でも優れていることから、これらのどの方式においても優れた効果を示すが、その中でも溶剤系、固形あるいは半固形タイプのインク用色素、特に固形あるいは半固形タイプのインク用色素として適している。
【0109】
また、本発明の色素は、ファインケミカル1991年vol,20、No.21、P15にも記載されている。ポリマー粒子を絶縁性媒体中に分散させ電解の印加により粘度を変化させインクの吐出を制御しインクジェット記録を行なうというような、インクの電気粘性効果を利用した新システムのインクの着色剤にも使用できる。
【0110】
また本発明に使用できるビヒクルとしては、例えば乾性油タイプのインクの場合、樹脂にはロジン変性フェノール樹脂、石油系樹脂、アルキド樹脂等、乾性油には、あまに油、きり油、合成乾性油、溶剤には石油系溶剤が使用できる。また有機溶剤系インクの場合、樹脂にはポリアミド樹脂、ビニル系ニトロセルロース樹脂、アクリル系樹脂等、溶剤にはトルエン、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤が使用できる。また水系、水−溶剤系インクの場合、樹脂にはマレイン酸系樹脂、アクリル系樹脂等、溶剤には、水、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤等が使用できる。また、固形あるいは半固形タイプのインクの場合、ビヒクルとしてオレイン酸等の脂肪酸にワックスを添加剤として用いたものや、ベンジルエーテルを含むオレイン酸等の脂肪酸にワックスを添加剤として用いたもの、またはワックスを主たる成分として使用することができる。
【0111】
また固形あるいは半固形タイプのインクのビヒクル成分として適用するワックスとしては、公知のものはすべて挙げられるが、木ろう、カンデリラワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、各種低分子量ポリエチレン、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラミックスワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、脂肪酸エステルワックス、脂肪酸アミドワックス、長鎖アクリレート(例えばステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレートなど)、あるいは長鎖メタアクリレート(例えばステアリルメタアクリレート、ベヘニルメタアクリレートなど)など長鎖アクリレートあるいは長鎖メタアクリレートの重合体またはそれら長鎖アクリレートあるいは長鎖メタアクリレートを含むアクリルまたはメタアクリル共重合体、またはその他ビニル基を持つモノマーとの共重合体等から得られるワックスを単独あるいは混合して用いることができる。また、適当な割合でこれらのワックスをグラフトなどの複合化をして用いることもできる。
【0112】
また、ワックスの使用量は、インク組成物に対して0.5〜99.0重量%、色素の使用量はインク組成物に対して0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0113】
また、本発明は、キニザリン化合物から選ばれた少なくとも1種の色素をフィルター基材に含有させてなるカラーフィルターである。
【0114】
本発明のカラーフィルターの製造方法としては、以下のような方法が挙げられる。
【0115】
(1)本発明のキニザリン化合物を単独または他の色素と混合し、加熱により溶融した熱可塑性樹脂と混合する方法。
【0116】
(2)本発明のキニザリン化合物を単独または他の色素と混合し、樹脂と共に溶剤に溶解して混合した後溶剤を発揮させる方法。
【0117】
(3)本発明のキニザリン化合物を単独または他の色素を混合し、樹脂の前駆体である重合性ビニル化合物と混合し、この混合液を重合して製造方法。
【0118】
本発明では、前記樹脂組成物を着色レジストとして用いるカラーフィルターに優れた効果が発揮できることを本発明者らは見いだした。
【0119】
本発明のカラーフィルターの製造方法としては特に制限はなく、従来提案されている顔料系の製造方法に適用可能である。本発明のキニザリン化合物は樹脂に対する溶解性が高いため、いずれの方法に適用した場合にも透明感があり、高コントラストなカラーフィルターを製造することができる。従来の方法に本発明のキニザリン化合物を適用した方法として以下の方法が挙げられる。
【0120】
(1)本発明のキニザリン化合物を含む樹脂組成物を用いてレジスト化し、これを透明基板上に塗布し、露光、現像を行って1色目の着色パターンを形成する。この工程を3回繰り返して3色パターンを得る方法。
【0121】
(2)本発明のキニザリン化合物を含むポリイミド系樹脂組成物をエッチング法によって着色パターンを得る方法。
【0122】
(3)本発明のキニザリン化合物を含むエポキシ系樹脂組成物を着色インキとして用い、オフセット印刷機にて直接ガラス基板上に色パターンを形成する。この工程を3回繰り返して3色パターンを得る方法。
【0123】
(4)ガラス基板に所定形状にパターニングされたITO電極を一方の電極にして本発明のキニザリン化合物を含む樹脂組成物からなる電着液に浸漬して電極上に1色目の着色膜を析出される。この工程を3回繰り返してパターンを形成する方法。
【0124】
以上の従来法に適用できるほか、新規な製造方法として提案された以下の方法にも適用できる。
【0125】
(5)色素とレジストを塗った三色のフィルムをそれぞれガラス基板に張り付けて、はがすとカラーフィルターが形成されるという方法。
【0126】
(6)着色シリカのゾルを使ってゾル−ゲル法によりポリシランフィルムを選択的に着色する方法。
【0127】
上記(1)の方法において、色素層のパターニングは光学的に透明な基板上で行なうことができ、用いる基板としては、色素層のパターニングが可能であり、形成されたカラーフィルターが所定の機能を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ガラス板、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルメタクリレート、ポリエステル、ブチラール、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン共重合樹脂などの樹脂フィルムもしくは板が挙げられる。またパターン状の色素層をカラーフィルターとして適用されるものと一体に形成させることも可能である。
【0128】
本発明のカラーフィルターの製造方法において、上記の本発明の色素と共に使用する光感応型レジスト用樹脂としては、光により硬化する樹脂あるいは光硬化性樹脂であれば良い。すなわち、文献等で公知の光感応基を含有する樹脂であればよい(「記録用材料と感光性樹脂」日本学術振興会編学会出版センター刊、「フォトポリマーハンドブック」フォトポリマー懇話会編工業調査会刊)。
【0129】
例えば、(a)感光基を有する水溶性感光性樹脂、例えばスチルバゾリウム基を有するポリビニルアルコール樹脂、
(b)感光基を有する油溶性感光性樹脂、例えばケイ皮酸系光架橋型感光性樹脂、ビスアジド系光分解架橋型感光性樹脂、O−キノンジアジド系分解極性変化型感光性樹脂など、
(c)光架橋性樹脂と光架橋剤を含有する樹脂組成物
(イ)光架橋性樹脂、例えば、ゼラチン、カゼイン、グルーなどの動物性タンパク系樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、これらの共重合体などのビニル重合系樹脂、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミンなどの開環重合系樹脂、水溶性ナイロンなどの縮合系樹脂、ブチラール樹脂、スチレンマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、ポリエステル、フェノール系樹脂、ポリウレタンなどの油溶性樹脂、
(ロ)光架橋剤の例
重クロム酸塩、クロム酸塩、ジアゾ化合物、ビスアジド化合物など
(d)光架橋性樹脂と重合性単量体と開始剤とからなる樹脂組成物
(イ)(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、N−ビニルビロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリロニトリルなどの重合性単量体、
(ロ)開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイソアルキルエーテルなどの光分解型開始剤、ベンゾフェノン、アントラキノン、2−フェニルアクリジンなどの水素移動型開始剤、ベンズアンスロン/トリエタノールアミン、メチレンブルー/ベンゼンスルフィン酸塩、四塩化炭素/マンガンカルボニルなどの電子移動型縮合系開始剤等。
【0130】
好ましくは、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、さらに好ましくはアクリル系樹脂を含有してなるレジスト樹脂が挙げられる。
【0131】
例えば、好ましいアクリル樹脂としては具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
【0132】
【0133】
これらの具体的な製造例を下記に示す。
【0134】
製造例(1)
樹脂(1)の製造例
1リットル四ツ口フラスコにジエチレングリコールジメチルエーテル175.0部とスチレン8.8部とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル43.8部とメタクリル酸26.3部とメタクリル酸エチル96.3部を仕込み90℃に加熱し、事前にジエチルグリコールジメチルエーテル145.0部とスチレン8.8部とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル43.8部とメタクリル酸26.3部とメタクリル酸エチル96.3部とナイパーBMT(日本油脂社製)2.92部を混合溶解したものを3時間で滴下し、90℃にて3時間反応させた。さらに、ナイパーBMT1.75部をジエチレングリコールジメチルエーテル10部で溶解させたものを添加し、1時間反応を続け樹脂(1)のジエチレングリコールジメチルエーテル溶液を得た。
【0135】
樹脂(2)の製造例
1リットル四ツ口フラスコに酢酸セロソルブ175.0部とスチレン113.8部とジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート19.6部とアクリル酸41.3部を仕込み90℃に加熱し、事前に酢酸セロソルブ175.0部とスチレン113.8部とジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート19.6部とアクリル酸41.3部とナイパーBMT(日本油脂社製)2.92部を混合溶解したものを3時間で滴下し、90℃にて3時間反応させた。さらに、ナイパーBMT1.75部をジエチレングリコールジメチルエーテル10部で溶解させたものを添加し、1時間反応を続け樹脂(2)の酢酸セロソルブ溶液を得た。
【0136】
樹脂(3)の製造例
1リットル四ツ口フラスコに酢酸セロソルブ175.0部とメタクリル酸ベンジル144.7部とメタクリル酸30.3部を仕込み90℃に加熱し、事前に酢酸セロソルブ175.0部とメタクリル酸ベンジル144.7部とメタクリル酸30.3部とナイパーBMT(日本油脂社製)2.92部を混合溶解したものを3時間で滴下し、90℃にて3時間反応させた。さらに、ナイパーBMT1.75部をジエチレングリコールジメチルエーテル10部で溶解させたものを添加し、1時間反応を続け樹脂(3)の酢酸セロソルブ溶液を得た。
【0137】
そしてこれらのアクリル系樹脂と各種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーおよび光重合開始剤からなる組み合わせのレジスト樹脂が好ましい。レジスト樹脂中の光重合開始剤としてはベンゾインアルキルエーテル系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、フェニルケトン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラキノン系化合物などが挙げられる。
【0138】
好ましいレジスト樹脂としては具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
【0139】
【0140】
これらのレジスト樹脂は、対応するバインダー樹脂の溶液にモノマーおよび光重合開始剤を添加・溶解させ、均一な溶液とした後、溶媒を揮発させることによって製造できる。
【0141】
本発明のカラーフィルター用の色素には、必要に応じて前記キニザリン化合物以外に公知の顔料や染料を混合させることができるが、樹脂に対する溶解性の点から染料が好ましい。特に好ましくは耐光性に優れた含フッ素型染料、例えば含フッ素フタロシアニン系化合物が好ましい。
【0142】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0143】
実施例において製造した化合物の理化学的性質を下記表に示す。これらの表中、溶解性は、1重量%未満を△、1〜3重量%程度を○、3重量%以上を◎で示す。
【0144】
実施例1
100cc四ツ口フラスコに2,6−イソプロピルアニリン70gと6−フルオロキニザリン3g(11.6ミリモル)を仕込み230℃で約3時間反応させた。反応終了後、反応溶液をアセトン約400cc、水約500ccの混合液中に投入し、濃塩酸で酸性にした後生成した固形物を濾過し、水で洗浄後乾燥し粗生成物5.4gを得た。その後シリカゲル(ワコーゲルC−200)を用いてカラム精製し6−(2,6−イソプロピルアニリノ)キニザリン[色素(23)]4.1g(収率84.4モル%)を得た。その物性値および化合物を特定する分析値を以下に示す。
【0145】
【0146】
実施例2
100cc四ツ口フラスコに2,6−ジクロロアニリン70gと6−フルオロキニザリン3g(11.6ミリモル)を仕込み250℃で約5時間反応させた。反応終了後、反応溶液をアセトン約400cc、水約500ccの混合液中に投入し濃塩酸で酸性にした後生成した固形分を濾過し、水で洗浄後乾燥し粗生成物3.8gを得た。その後シリカゲル(ワコーゲルC−200)を用いてカラム精製し6−(2,6−ジクロロアニリノ)キニザリン[色素(26)]2.6g(収率56.0モル%)を得た。その物性値および化合物を特定する分析値を以下に示す。
【0147】
【0148】
実施例3
6−(2,6−ジクロロアニリノ)キニザリン[色素(26)]を4部およびスチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名、ハイマーTB1000F、(三洋化成株式会社製))97部を熱ロールで約150℃の温度で溶融混練を行い、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉末を分級して3〜20μmを選別してトナーとした。
【0149】
このトナー4部にキャリア(50〜150μmのフェライト粉にシリコン樹脂をコーティングしたもの)100部を均一に混合し現像剤とした。この現像剤を用いて乾式普通紙電子写真複写機[商品名、FT−4060、(株式会社リコー製)]で複写を行ったところ、カブリのない鮮明なシアン色画像が得られた。また、その複写画像の耐光性をキセノンランプ耐光性試験機(SUNTEST CPS Heraeus社製)(ブラックパネル温度63℃)を用いて耐光性試験し、米国マクベス社製造、デンシトメーターRD−914型を用いて色濃度を測定し、100時間後の色濃度の残像率で評価したが、初期の色濃度を100%とすると、92%以上の色濃度残存率を示し、耐光性は良好であった。
【0150】
実施例4
(1)インキ組成物の調製方法
マゼンダ色素(26) 3部
ポリビニルブチラール樹脂
(BLS−S 積水化学株式会社製) 4部
メチルエチルケトン 47部
トルエン 47部
【0151】
上記組成の色素混合物をガラスビーズを使用し、ペイントシェイカーを用いて約30分混合処理し、該インキを調製した。
【0152】
(2)転写シートの作製方法
上記インキを背面にシリコーングラフト共重合体(株式会社日本触媒製)(約1μm)で耐熱処理を施した5.7μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(EMBLET、ユニチカ製)に、乾燥膜厚が約1μmとなるように塗布し乾燥した。
【0153】
(3)被転写材
被転写材には、三菱ビデオプリントパック(CK−10P、三菱電機株式会社製)のプリント用紙を使用した。
【0154】
(4)転写記録
上記転写シートのインキ塗布面と被転写材の色素受容面とを重ね合わせ転写シートの裏面からヘッド印加電圧10V、印字時間4.0msecの条件でサーマルヘッドで記録を行い、表1の結果を得た。色濃度は、米国マクベス社製造、デンシトメーターRD−914型を用いて測定した。
【0155】
(5)耐光性
得られた記録画像をキセノンランプ耐光性試験機(SUNTEST CPS Heraeus社製)(ブラックパネル温度63℃)を用いて耐光性試験し、100時間後の色濃度の残存率で評価し表1に示す。
【0156】
(6)保存安定性
得られた記録画像を50℃の雰囲気中に50時間放置し、画像の変化を観察した結果を表1に示す。画像の鮮明さが変化せず、また表面を白紙で摩擦しても白紙が着色せず保存安定性は良好であった。
【0157】
実施例5
色素を表1に示す色素にかえた以外は実施例4と同様の方法でインキ組成物の調製、転写シートの作製、および転写記録を行った。その結果を表1に示す。また、実施例4と同様にして耐光性を測定し、保存安定性を観察した。その結果を表1に示す。
【0158】
【表1】
【0159】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の新規化合物は、主として、第二級アミノ基をキニザリン骨格の5,6,7および8位の1〜3個かつ6および7位の少なくとも一方に導入することによって、480nm〜850nmの吸収波長域において目的に応じた吸収波長制御が可能であり、また有機溶媒に対する高度な溶解性が付与でき、しかも従来のキニザリン系色素に比べて特定の位置に置換基を有するために、キニザリン骨格が元来保有している耐光性が維持でき、そのことにより、可視光線吸収色素あるいは、近赤外吸収色素として従来の技術では実用化できなかった分野にも使用できる。
【0160】
さらに、本発明のシアンおよび/またはマゼンタ色系昇華転写シートの構成に使用する前記キニザリン系色素は、色素の溶剤ならびにバインダー樹脂に対する溶解性がきわめて良好であり、シアンおよび/またはマゼンタ色としての色相にすぐれており、感熱昇華転写色素に用いる際にマゼンタ色素およびシアン色素としてすぐれた特性を有しているので有効に使用できる。
【0161】
また、本発明の新規キニザリン化合物を用いることによって、吸収特性、溶解性、耐光性、反射率、感度、および経済性にすぐれているので、特にそれらの特性を必要としているCD、PHOTO−CDまたはCD−ROMのプレーヤに対して互換性、共用性を有する追記型光記録媒体に用いる際にすぐれた効果が発揮できる。
【0162】
さらに、本発明のキニザリン化合物を用いることによって、耐光性に優れかつ濁りがなく、透明感があり、また色調の点でも優れたカラーフィルターが得られる。また、本発明のキニザリン化合物を用いることによって、コントラストの良好なプリントが得られ、かつ耐光性および色調の点でも優れた記録画像の得られるインクジェット用インク組成物が得られる。
Claims (16)
- つぎの構造式(1)
- キニザリン骨格の5,6,7および8位の1〜3個かつ6および7位の少なくとも一方が第二級アミノ基であり、かつ5,6,7および8位の残位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの全てがフッ素原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基およびフェニルチオ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもので置換されている請求項1に記載のキニザリン化合物。
- 該第二級アミノ基の少なくとも1個が、置換基を有していてもよいアニリノ基である請求項1または2に記載のキニザリン化合物。
- 該アニリノ基の2および6位が共に置換されている請求項3に記載のキニザリン化合物。
- 水素原子および第二級アミノ基以外の残位の全てがフッ素原子である請求項1〜4のいずれか一つに記載のキニザリン化合物。
- 水素原子および第二級アミノ基が1〜2個であり、アルコキシ基またはフェノキシ基が1〜2個、かつ水素原子が少なくとも1個であるとともに残位の基がフッ素原子である請求項2〜5のいずれか一つに記載のキニザリン化合物。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載のキニザリン化合物が1個の第二級アミノ基を有してなるマゼンタ色素。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載のキニザリン化合物が2個の第二級アミノ基を有してなるシアン色素。
- 請求項1〜6に記載のキニザリン化合物を基板上に設けられた記録層に含有してなる光記録媒体。
- 請求項7に記載のマゼンタ色素および請求項8に記載のシアン色素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の色素とビヒクルを含有してなるインクジェット用インク組成物。
- 該ビヒクルがワックスを含むことを特徴とする請求項10に記載のインクジェット用インク組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載のキニザリン化合物をフィルター基材に含有してなるカラーフィルター。
- 請求項7に記載のマゼンタ色素および請求項8に記載のシアン色素よりなる群から選ばれた少なくとも1種の色素をフィルター基材に含有してなるカラーフィルター。
- キニザリン骨格の5,6,7および8位の1〜3個かつ6および7位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの少なくとも1つがハロゲン原子であるキニザリン化合物と、第一級アミン化合物とを反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のキニザリン化合物(ただし、置換基がアルキルチオ基、フェニル基、アルコキシ基およびフェノキシ基を除く)の製造方法。
- キニザリン骨格の5,6,7および8位の1〜3個かつ6および7位の少なくとも1つが水素原子であり、残りの少なくとも1つがハロゲン原子であるキニザリン化合物と、第一級アミン化合物とを反応させ、ついで脂肪族メルカプト化合物、フェニルチオール、脂肪族ヒドロキシ化合物およびフェノールよりなる群から選ばれた少なくとも1種のものとを反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のキニザリン化合物の製造方法。
- 無水フタル酸骨格の3,4,5および6位の1〜3個かつ4および5位の少なくとも一方が第二級アミノ基であるとともに残位の少なくとも1つが水素原子、残りの少なくとも1つがハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基、アルキルチオ基およびフェニルチオ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のもので置換されている無水フタル酸誘導体と、ハイドロキノンまたは1,4−ジメトキシベンゼンを反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のキニザリン化合物の製造方法。
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