JP3699150B2 - アントラキノン化合物、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なアントラキノン化合物、その製造方法、該化合物を含有してなる電子写真用カラートナー組成物、感熱昇華転写記録用シート、カラーフィルターおよびインクジェット用インク組成物に関するものである。
【0002】
本発明の新規なアントラキノン系化合物は、400nm〜500nmの黄色領域に吸収を有し溶解性に優れており、また耐光性あるいは耐熱性にも優れているので、光エレクトロニクス情報分野における可視領域に吸収をもつ表示材料あるいは記録材料として、例えば、昇華転写用色素、インクジェット用インク、撮像管に用いる色分解フィルター、液晶表示用カラーフィルター、光学用カラーフィルター、カラートナー、改ざん偽造防止用バーコード用インク、ゲスト・ホスト型液晶表示用二色性色素、偏光板用二色性色素等に用いる際に優れた効果を発揮する。
【0003】
さらに本発明は、溶解性に優れかつ堅牢性の高い黄色の高級着色剤として、例えば繊維の染色、自動車用塗料、建材用塗料、版材の着色剤、筆記具インキ、ガラスフレークの着色剤、眼鏡レンズの着色剤等に用いる際に優れた効果を発揮する。
【0004】
【従来の技術】
近年、有機色素は光エレクトロニクス・情報記録分野において、情報表示画像あるいはそれらのハードコピーのカラー化が進むにつれその機能性が着目され、表示材料あるいは記録材料として、例えば、昇華転写用色素、インクジェット用インク、撮像管に用いる色分解フィルター、液晶表示用カラーフィルター、光学用カラーフィルター、カラートナー、改ざん偽造防止用バーコード用インク、ゲスト・ホスト型液晶表示用二色性色素、偏光板用二色性色素等の可視領域に吸収をもつ、いわゆる可視光線吸収機能性色素の開発要求が高まっている。
【0005】
特に近年、コンピューターグラフィックスを含めて電子画像を扱う用途が急激に増えており、よって例えばビデオムービーや電子スチルカメラのテレビ画像などの電子画像をカラーハードコピーとして記録することが求められている。
【0006】
その中で、昇華転写用色素を基材シートに塗布して熱転写シートとし、これを感熱ヘッドで選択的に加熱し染着可能な記録紙に転写する、いわゆる感熱昇華転写記録方式は階調再現性および色再現性の優れたフルカラー画像の得られる重要な記録法として注目されている。
【0007】
これら熱転写シートとしては通常、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色を用いる。しかしながら、従来提案されてきた色素は、感熱昇華転写記録用として必要とする条件である(1)色相、(2)インキ溶媒およびインキ用バインダー樹脂に対する溶解性または相溶性、(3)耐熱性、(4)転写性並びに(5)耐光性のすべてを満足させるものは極めて少なく、感熱昇華転写記録用色素として最適条件を満たした色素の出現が期待されてきた。
【0008】
なかでも光、熱、温度等に対して元来安定であり堅牢性に優れているアントラキノン系化合物については、イエロー色素としての吸収波長に制御するべく、また溶媒あるいは樹脂に溶解するべく検討されている。
【0009】
たとえば、特開平6−99668号には各種の官能基を導入したアントラキノン系イエロー色素が開示されている。しかしながら、溶解性、色調あるいは耐光性の全てを満足するものが得られていないのが現状である。
【0010】
電子写真法は、一般には、光導電性感光体上に、帯電、露光により静電荷の電気的潜像を形成し、次いでこの電気的潜像をトナーにより現像し、得られたトナー画像を必要に応じて転写紙等に転写し、加熱、加圧などにより定着し可視画像を形成する方法である。このためのトナーとしては、通常カーボンブラック等の黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散させたものが多く使用されている。しかしながら、近年、コンピユーターグラフィックスを含めて電子画像を扱う用途が急激に増えてきたことなどから電子写真方式においてもカラー化が進められてきており、バインダー樹脂中にイエロー、マゼンタおよびシアンの各色染料および/または顔料を溶融あるいは分散せしめてなるカラートナーが製造されている。
【0011】
従来、フルカラー用トナーを製造する方法としては、バインダー樹脂と着色剤とを溶融、混練し、粉砕した後、分級して所定の粒度分布のものを得る方法が一般的である。この際、通常着色剤として顔料が用いられるが、顔料による着色では着色剤はただ単にバインダー樹脂中に分散しているだけであるために、透明性が劣るという問題点がある。特にオーバーヘッドプロジェクター用の透明シート等に画像を形成した場合には、投影画像が薄暗くなってしまい、色調も濁ってしまう。透明性の問題は、顔料粒子の粒径をサブミクロン程度にすることで、ある程度は改善できるが、顔料をサブミクロン程度に粉砕するのは難しく、またその顔料をバインダー樹脂中に均一に微分散する必要があるが、その分散も非常に難しいのが現状である。
【0012】
そのため、バインダー樹脂に溶解性のある染料の使用が数多く検討されているが、染料を着色剤に用いると、主に耐光性が悪くなるという問題点がある。そこで、バインダー樹脂に混和性が高く、かつ耐光性の高い色素の使用が数多く検討されている。例えばアントラキノン系イエロー色素では、特開平1−227162号、特開平2−48676号等が開示されている。しかしながら、透明性、色調、耐光性の全てを満足するものがないのが現状である。
【0013】
カラーフィルターは、通常ガラス、プラスチック、撮像素子、薄膜トランジスター等の基板の上に複数色に着色された薄膜による微細な着色画素を順次繰り返し形成し、さらに必要によりその上に保護膜を設けた構成になっている。そして、その着色画素の形成法としては、さまざまな方法が提案されている。例えば、フォトリソグラフィ法、印刷法、電着法、蒸着法等が実用化されている。
【0014】
このようにして製造されるカラーフィルターは、大別して三原色、すなわち、赤、緑および青からなるものと、捕色系、すなわち、シアン、黄色およびマゼンタもしくはそのうちの2色と透明層とからなるものがあるが、いずれの場合においてもカラーフィルターの分光特性が、カラー液晶ディスプレーおよびカラー用固体撮像素子の色再現性の良否を決定していることはいうまでもなく、優れた分光特性を有するカラーフィルターを得るべくさまざまな染料、顔料もしくはそれらの組合わせが試みられている。
【0015】
しかしながら、透明感や耐光性が不足していたり、所望の色調にならなかったり、再現性が十分でないという欠点を有している。
【0016】
また、インクジェット用のインクは、多くの場合、臨界的なプリント特性を与えている。すなわち、水性のインクジェット用インクは、一般的に紙になじまず、紙に対して浸透性および乾燥性が乏しい。一方、油性のインクは紙になじみやすいが、表面張力が乏しいため、大きすぎるインクドットを生じ、プリント品質が低下するという欠点があった。一方それに対し、固形あるいは半固形タイプのインクは、コントラストの良好なプリントが得られるという特徴があり、将来展望が期待されているが、固形あるいは半固形タイプのインク用の色素として、特に耐光性、色調の両面を同時に満足するものがないのが現状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、新規なアントラキノン化合物、その製造方法、該化合物を含有してなる電子写真用カラートナー組成物、感熱昇華転写記録用シート、カラーフィルターおよびインクジェット用インク組成物を提供することにある。
【0018】
本発明の他目的は、黄色領域、すなわち400〜500nmの吸収波長域において目的に応じた吸収波長の制御が可能であり、用途に応じた溶媒あるいは樹脂に対して溶解性に優れ、また耐光性に優れた可視光線吸収材料として新規なアントラキノン系化合物を提供することにある。
【0019】
また、本発明のさらに他の目的は、該アントラキノン系化合物を効率良く製造する方法を提供することにある。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、バインダー樹脂に対する溶解性または混和性のある色素を用いることによりイエロー色カラートナーとして、透明性、色調および耐光性の全てを満足する電子写真用カラートナー組成物を提供することにある。
【0021】
本発明の他目的は感熱昇華転写記録用シートにおけるイエロー色素として必要な(1)色相、(2)インキ溶媒およびインキ用バインダー樹脂に対する溶解性または相溶性、(3)耐熱性、(4)転写性、ならびに(5)耐光性の全ての条件を満足する色素および該色素を含有してなる感熱昇華転写記録用シートを提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、耐光性に優れ、かつ濁りがなく透明感があり、かつ色調の点でも優れたカラーフィルターを提供することにある。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、コントラストの良好なプリントが得られ、かつ耐光性および色調の点でも優れた記録画像の得られるインクジェット用インク組成物を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
これらの諸目的は、つぎの構造式(1)
【0025】
【化4】
【0026】
(ただし、式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基またはハロゲン原子を表わす)で表わされるアントラキノン化合物により達成される。
【0027】
これらの諸目的は、つぎの構造式(2)
【0028】
【化5】
【0029】
(ただし、式中、Rは水素原子またはメチル基であり、またXは置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基またはハロゲン原子を表わす)で表わされるフェノール化合物と、テトラフルオロ無水フタル酸またはテトラフルオロフタル酸とを反応させることを特徴とするつぎの構造式(1)
【0030】
【化6】
【0031】
(ただし、式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基またはハロゲン原子を表わす)で表わされるアントラキノン化合物の製造方法によっても達成される。
【0032】
これらの諸目的は、前記アントラキノン化合物の少なくとも1種を含有してなる電子写真用カラートナー組成物によっても達成される。
【0033】
これらの諸目的は、前記アントラキノン化合物の少なくとも1種を含有する色材層を有してなる感熱昇華転写記録用シートによっても達成される。
【0034】
これらの諸目的は、前記アントラキノン化合物の少なくとも1種を含有してなるインクジェット用インク組成物によっても達成される。
【0035】
本発明はまた、ワックスを含むことを特徴とする前記インクジェット用インク組成物である。
【0036】
これらの諸目的は、前記アントラキノン化合物の少なくとも1種をフィルター基材に含有してなるカラーフィルターによっても達成される。
【0037】
【作用】
本発明によるアントラキノン化合物は、つぎの構造式(1)
【0038】
【化7】
【0039】
(ただし、式中、Xは置換されていてもよい炭素数原子数1〜12のアルキル基またはハロゲン原子を表わす)で表わされるアントラキノン化合物である。
【0040】
前記構造式(1)における置換されていてもよいアルキル基とは、アルキル部分の炭素原子数が1〜12、好ましくは1〜4の置換または非置換のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0041】
このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基、直鎖または分枝鎖のペンチル基、直鎖または分枝鎖のヘキシル基、直鎖または分枝鎖のへプチル基、直鎖または分枝鎖のオクチル基、直鎖または分枝鎖のノニル基、直鎖または分枝鎖のデシル基、直鎖または分枝鎖のウンデシル基、直鎖または分枝鎖のドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などがある。
【0042】
また、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などを意味し、好ましくはフッ素原子または塩素原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0043】
また、構造式(1)における5,6,7,8位のフッ素原子は、溶媒あるいは樹脂への溶解性を助長する効果がある。
【0044】
これらのアントラキノンの具体例を挙げると、次のとおりである。
【0045】
(1)1−ヒドロキシ−4−メチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(2)1−ヒドロキシ−4−エチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(3)1−ヒドロキシ−4−プロピル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(4)1−ヒドロキシ−4−イソプロピル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(5)1−ヒドロキシ−4−ブチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(6)1−ヒドロキシ−4−ターシャルブチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(7)1−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(8)1−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(9)1−ヒドロキシ−4−ヒドロキシエチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(10)1−ヒドロキシ−4−メトキシメチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(11)1−ヒドロキシ−4−エトキシメチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(12)1−ヒドロキシ−4−メトキシエチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(13)1−ヒドロキシ−4−エトキシエチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(14)1−ヒドロキシ−4−フルオロ−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(15)1−ヒドロキシ−4−クロロ−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
(16)1−ヒドロキシ−4−ブロモ−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン、
本発明の新規なアントラキノン化合物は、例えば前記の方法によって製造することができる。その方法は、前記構造式(2)
【0046】
【化8】
【0047】
(ただし、式中、Rは水素原子またはメチル基であり、またXは前記のとおりである)で表わされるフェノール化合物とテトラフルオロ無水フタル酸またはテトラフルオロフタル酸とを反応させることにより行なわれる。
【0048】
前記構造式(2)においてRが水素原子の場合は、次の構造式(3)
【0049】
【化9】
【0050】
(ただし、式中、Xは前記のとおりである)で表わされるフェノール誘導体であり、またRがメチル基の場合は、次の構造式(4)
【0051】
【化10】
【0052】
(ただし、式中、Xは前記のとおりである)で表わされるアニソール誘導体である。
【0053】
この反応は、例えば、本願発明者らによって見いだされた方法(特願平5−261293号に記載)、テトラフルオロ無水フタル酸またはテトラフルオロフタル酸(好ましくはテトラフルオロ無水フタル酸)とフェノール誘導体あるいはアニソール誘導体を無水塩化アルミニウムを触媒とし、ニトリル系溶媒を溶媒としてフリーデルフラフツ反応させる方法により合成できる。あるいは、無水塩化アルミニウムに塩化ナトリウムを適宜混合し、溶融塩条件下にフリーデルクラフツ反応させる方法(特公昭63−34141号、米国特許3947594号などに記載)に準じて、テトラフルオロ無水フタル酸とフェノール誘導体あるいはアニソール誘導体をフリーデルクラフツ反応させる方法により合成できる。
【0054】
この際、通常は有機溶媒中で反応せしめるが、該有機溶媒としてはニトロベンゼン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの不活性溶媒、あるいはピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホン、スルホランなどの非プロトン極性溶媒、あるいはα−クロロナフタレン、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、あるいはベンゼン、トルエン、キシレンなどを用いることができる。反応温度としては100〜250℃、好ましくは、170〜230℃である。
【0055】
また、本発明は、アントラキノン化合物の少なくとも1種を含有してなる電子写真用カラートナー組成物である。
【0056】
本発明のカラートナーに使用できるバインダー樹脂としては、公知のものはすべて挙げられるが、例えばポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−クロルスチレン、アミノスチレン等のスチレン及びその誘導体あるいはスチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、メタクリル酸およびメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類の単独または共重合体、アクリル酸およびメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル類の単独または共重合体、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、マレイン酸およびマレイン酸エステル類、無水マレイン酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系単量体の単独あるいは、他の単量体との共重合体、エチレン、プロピレン等のオレフィン系化合物の単独あるいは共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が単独あるいは混合して使用できる。
【0057】
また、トナーの重要な性能の一つに帯電性が挙げられるが、トナーの帯電制御は、バインダー樹脂、アントラキノン化合物それ自身で行っても良いが、必要に応じて色調を変化させないような帯電制御剤を添加しても良い。本発明のカラートナーに適用する帯電制御剤としては、公知のものはすべて挙げられるが、例えばサリチル酸金属錯体類、有機ホウ素塩類、4級アンモニウム塩類、アルミニウム化合物、シリコーン誘導体、亜鉛化合物、イミダゾール金属錯体類、ピリジニウム塩などが使用できる。
【0058】
帯電制御剤の添加量はバインダー樹脂に対して0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部が適当である。これらの帯電制御剤は、バインダー樹脂中に混合添加して用いることができ、また各種の方法でトナー粒子の表面に付着せしめる形で用いることもできる。
【0059】
その他、本発明のカラートナーには、トナーの電気的特性を制御する目的で、固体電解質、高分子電解質、電荷移動錯体、酸化スズなど金属酸化物等の導電体、半導体あるいは強誘電体、磁性体などを添加することもでき、また、熱特性等の各種物理的特性を調節する目的で、各種可塑剤、離型剤などの添加剤を添加することもできる。またさらには、トナーにTiO2 、Al2 O3 、SiO2 等の微粉末またはコロイダルシリカ等の無機微粒子や、樹脂微粒子等の有機微粒子を添加し、トナーの流動性、耐凝集性の向上を図ることもできる。
【0060】
本発明のカラートナーの製造方法としては、従来から用いられている一般的な方法あるいは各種の方法が適用できる。例えば一般的方法として、バインダー樹脂、アントラキノン化合物、および場合により各種添加剤をボールミルや各種ミキサー等を用いて均一に混合し、次いで混合物を加圧ニーダー、エクストルーダー、ロールミル等を用いて溶融混練し、その後その混練物を、ハンマーミルなどで粗粉砕し、さらにエアージェット方式による微粉砕機などで微粉砕し、得られた微粉末を分級することによりカラートナーとする方法を用いることができる。また、その他の方法として一つにはアントラキノン化合物の存在下でエマルジョン重合法、懸濁重合法、分散重合法、シード重合法などの重合方法により重合性モノマーを重合し、所定の平均粒子径を有せしめた着色樹脂微粒子を得ることによりカラートナーとする方法を用いることができる。さらにもう一つとしては、通常のトナーの製法と同様の粉砕分級法、あるいはエマルジョン重合法、懸濁重合法、分散重合法、シード重合法などの重合方法により重合性モノマーを重合し、所定の平均粒子系を有せしめた樹脂微粒子を予め合成し、この粒子をアントラキノン化合物により着色あるいは染色することによりカラートナーとする方法などを用いることもできる。
【0061】
またバインダー樹脂と前記アントラキノン化合物との比率は、バインダー樹脂100重量部に対し、アントラキノン化合物0.1〜10重量部、好ましくは1〜6重量部である。
【0062】
さらに本発明のカラートナーは、キャリアと混合して電子写真用現像剤として使用できる。その際のキャリアとしては、公知の鉄粉系、ニッケル粉、ガラスビーズ、フェライト粉の他、これらの粉体にスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレン、サルファイド樹脂等あるいはその混合体を表面にコーティングしたもの等が使用できる。
【0063】
また、本発明は、基材上に、前記アントラキノン化合物の少なくとも1種を含有する色材層を有してなる感熱昇華転写記録用シートである。
【0064】
本発明のアントラキノン化合物を用いて転写シートを作成する方法としては、アントラキノン化合物、バインダー樹脂および溶剤より構成される感熱転写記録用インキを転写シート基材上に塗布し乾燥する。インキ中のアントラキノン化合物の濃度としては通常1〜5重量%である。
【0065】
インク調製のためのバインダー樹脂としては、従来公知のものがいずれも使用でき、好ましくはエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどのビニル系樹脂などが挙げられる。この中で特にポリビニルブチラールが、耐熱性、染料の移行性などの点から好ましい。
【0066】
インキ調製のための媒体としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、リグロイン、シクロヘキサン、ケロシンなどの炭化水素類などが使用できる。
【0067】
インキを塗布する転写シートの基材としては、従来公知の耐熱性および強度の良好なものであれば使用できるが、好ましくはポリエステルフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリスルホンフイルム、ポリカーボネートフイルム、アラミドフイルム、ポリビニールアルコールフイルム、セロファンなどであり、特に好ましいものはポリエステルフイルムである。それらの厚さとしては2〜20μm、好ましくは3〜10μm程度が適当である。
【0068】
インキを転写シート基材に塗布する方法としては、バーコーター、ロールコーター、グラビヤコーター、ナイフコーターなどを用いて行うことができ、インキの塗布層の厚さは乾燥後0.1〜5μm、好ましくは0.4〜2.0μmが良い。
【0069】
なお被記録材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン系ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸などのビニル系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン、プロピレンなどのオレフィンと他のビニルポリマーの共重合体系樹脂;アイオノマー、セルロースジアセテートなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリイミドなどからなる繊維、織布、フイルム、シート、成型物などが挙げられる。
【0070】
特に好ましいものは、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートからなる繊維、織布、フイルム、シート、加工紙などである。
【0071】
さらに、本発明は、アントラキノン化合物の少なくとも1種を含有してなるインクジェット用インク組成物である。
【0072】
インクジェット記録はシステムによって、連続噴射型、間欠噴射型、オンデマンド型、インキミスト型があり、またインキジェット用インクは、水系、水−溶剤系、溶剤系、固形タイプなどが開発されており、一般的には、水系のものが主流である。その中で特に固形タイプのインクは、通常の場合常温において固状あるいは半固状で、インクジェット装置により加熱され、液状となり噴射し、加熱されたインク液が目標物に接触し固化して記録されるものであるが、OHPフィルムからティッシュペーパーまで印字が可能であり、またコントラストの良好なプリントが得られるという特徴があり、将来展望が期待されているが、固形インク用の色素として、特に耐光性、色調の両面を同時に満足するものがないのが現状である。
【0073】
本発明のアントラキノン化合物は、溶剤溶解性が高く、かつ耐光性が非常に高く色相の点でも優れていることから、これらのどの方式においても優れた効果を示すが、その中でも溶剤系、固形あるいは半固形タイプのインク用色素、特に固形あるいは半固形タイプのインク用色素として適している。
【0074】
また、本発明のアントラキノン化合物は、ファインケミカル1991年vol,20、No.21、P15にも記載されているようにポリマー粒子を絶縁性媒体中に分散させ電界の印加により粘度を変化させインクの吐出を制御しインクジェット記録を行なうというような、インクの電気粘性効果を利用した新システムのインクの着色剤にも使用できる。
【0075】
また本発明に使用できるビヒクルとしては、例えば乾性油タイプのインクの場合、樹脂にはロジン変性フェノール樹脂、石油系樹脂、アルキド樹脂等、乾性油には、あまに油、きり油、合成乾性油、溶剤には石油系溶剤が使用できる。また有機溶剤系インクの場合、樹脂にはポリアミド樹脂、ビニル系ニトロセルロース樹脂、アクリル系樹脂等、溶剤にはトルエン、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤が使用できる。また水系、水−溶剤系インクの場合、樹脂にはマレイン酸系樹脂、アクリル系樹脂等、溶剤には、水、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤等が使用できる。また、固形あるいは半固形タイプのインクの場合、ビヒクルとしてオレイン酸等の脂肪酸にワックスを添加剤として用いたものや、ベンジルエーテルを含むオレイン酸等の脂肪酸にワックスを添加剤として用いたもの、またはワックスを主たる成分として使用することができる。
【0076】
また固形あるいは半固形タイプのインクのビヒクル成分として適用するワックスとしては、公知のものはすべて挙げられるが、木ろう、カンデリラワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、各種低分子量ポリエチレン、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラミックスワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、脂肪酸エステルワックス、脂肪酸アミドワックス、長鎖アクリレート(例えばステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレートなど)、あるいは長鎖メタアクリレート(例えばステアリルメタアクリレート、ベヘニルメタアクリレートなど)など長鎖アクリレートあるいは長鎖メタアクリレートの重合体またはそれら長鎖アクリレートあるいは長鎖メタアクリレートを含むアクリルまたはメタアクリル共重合体、またはその他ビニル基を持つモノマーとの共重合体等から得られるワックスを単独あるいは混合して用いることができる。また、適当な割合でこれらのワックスをグラフトなどの複合化をして用いることもできる。
【0077】
また、ワックスの使用量は、インク組成物に対して0.5〜99.0重量%、アントラキノン化合物の使用量はインク組成物に対して0.5〜10重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0078】
また、本発明は、前記アントラキノン化合物の少なくとも1種をフィルター基材に含有させてなるカラーフィルターである。
【0079】
本発明のカラーフィルターの製造方法としては、以下のような方法が挙げられる。
【0080】
(1)本発明のアントラキノン化合物1重量部に対して、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂1〜100重量部を混合し、射出成形、延伸などの方法により作製する方法。
【0081】
(2)本発明のアントラキノン化合物1重量部に対して例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等のバインダー1〜100重量部とともに溶剤に溶解し、キャスト、スピンコート等により成膜化するか、あるいは、蒸着により基板状に成膜化する方法。
【0082】
(3)本発明のアントラキノン化合物1重量部に対して、光感応性樹脂1〜100重量部に溶解させておき、基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化し、光照射よりパターニングする方法等が挙げられる。
【0083】
上記(3)の方法において、アントラキノン化合物含有層のパターニングは光学的に透明な基板上で行なうことができ、用いる基板としては、アントラキノン化合物含有層のパターニングが可能であり、形成されたカラーフィルターが所定の機能を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ガラス板、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルメタクリレート、ポリエステル、ブチラール、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン共重合樹脂などの樹脂フィルムもしくは板が挙げられる。またパターン状の色素層をカラーフィルターとして適用されるものと一体に形成させることも可能である。
【0084】
本発明のカラーフィルターの製造方法において、上記の本発明のアントラキノン化合物と共に使用する光感応型レジスト用樹脂としては、光により硬化する樹脂あるいは光硬化性樹脂であれば良い。すなわち、文献等で公知の光感応基を含有する樹脂であればよい(「記録用材料と感光性樹脂」日本学術振興会編学会出版センター刊、「フォトポリマーハンドブック」フォトポリマー懇話会編工業調査会刊)。
【0085】
例えば、(a)感光基を有する水溶性感光性樹脂、例えばスチルバゾリウム基を有するポリビニルアルコール樹脂、
(b)感光基を有する油溶性感光性樹脂、例えばケイ皮酸系光架橋型感光性樹脂、ビスアジド系光分解架橋型感光性樹脂、O−キノンジアジド系分解極性変化型感光性樹脂など、
(c)光架橋性樹脂と光架橋剤を含有する樹脂組成物
(イ)光架橋性樹脂、例えば、ゼラチン、カゼイン、グルーなどの動物性タンパク系樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、これらの共重合体などのビニル重合系樹脂、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミンなどの開環重合系樹脂、水溶性ナイロンなどの縮合系樹脂、ブチラール樹脂、スチレンマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、ポリエステル、フェノール系樹脂、ポリウレタンなどの油溶性樹脂、
(ロ)光架橋剤の例
重クロム酸塩、クロム酸塩、ジアゾ化合物、ビスアジド化合物など
(d)光架橋性樹脂と重合性単量体と開始剤とからなる樹脂組成物
(イ)(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、N−ビニルビロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリロニトリルなどの重合性単量体、
(ロ)開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイソアルキルエーテルなどの光分解型開始剤、ベンゾフェノン、アントラキノン、2−フェニルアクリジンなどの水素移動型開始剤、ベンズアンスロン/トリエタノールアミン、メチレンブルー/ベンゼンスルフィン酸塩、四塩化炭素/マンガンカルボニルなどの電子移動型縮合系開始剤等。
【0086】
好ましくは、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を含有してなるレジスト樹脂が挙げられる。
【0087】
また、本発明のアントラキノン化合物は、色調がイエロー色であるためそのままイエロー色のカラーフィルターにも使えるが、他の色素、例えば特開平6−279694号あるいは特願平6−237521号に記載のキニザリン系マゼンタ色素あるいはシアン色素と混合して赤色あるいは緑色のフィルターを作る際の調色用にも使用できる。
【0088】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0089】
実施例において製造した化合物の理化学的性質を下記表に示す。これらの表中、溶解性は5〜10重量%程度を○、10重量%以上を◎で示す。
【0090】
実施例1
300ccのセパラブルフラスコに3,4,5,6−テトラフルオロ無水フタル酸10g(0.045モル)とp−クロロアニソール6g(0.042モル)と無水塩化アルミニウム55g(0.41モル)を投入し、氷冷しながらベンゾニトリル20mlを加え攪拌した。均一に攪拌した後昇温し、約210℃で3時間攪拌反応させる。室温まで冷却後氷水中に投入し、濃塩酸約50ccを加え攪拌した。その後、処理液をメチルエチルケトンで抽出し、メチルエチルケトンを留去し粗生成物約4.1gを得た。その後シリカゲル(ワコーゲルC−200)を用いてカラム精製し、1−ヒドロキシ−4−クロロ−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン2.8g(収率20.1モル%)を得た。その物性値および化合物を特定する分析値を表1および表2に示す。また、その赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
【0091】
実施例2
実施例1においてp−クロロアニソールの代わりにp−メトキシトルエン5.13g(0.042モル)を用いた以外は実施例1と同様に操作し、粗生成物3.4gを得た。その後シリカゲル(ワコーゲルC−200)を用いてカラム精製し、1−ヒドロキシ−4−メチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン2.3g(収率17.7%)を得た。その物性値および化合物を特定する分析値を表1および表2に示す。また、その赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
実施例3
1−ヒドロキシ−4−クロロ−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノンを4部およびスチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名、ハイマーTB1000F、(三洋化成株式会社製))97部を熱ロールで約150℃の温度で溶融混練を行い、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉末を分級して3〜20μmを選別してトナーとした。
【0095】
このトナー4部にキャリア(50〜150μmのフェライト粉にシリコン樹脂をコーティングしたもの)100部を均一に混合し現像剤とした。この現像剤を用いて乾式普通紙電子写真複写機[商品名、FT−4060、(株式会社リコー製)]で複写を行ったところ、カブリのない鮮明なイエロー色画像が得られた。また、その複写画像の耐光性をキセノンランプ耐光性試験機(SUNTEST CPS Heraeus社製)(ブラックパネル温度63℃)を用いて耐光性試験し、米国マクベス社製造、デンシトメーターRD−914型を用いて色濃度を測定し、100時間後の色濃度の残像率で評価したが、初期の色濃度を100%とすると、90%以上の色濃度残存率を示し耐光性は良好であった。
【0096】
実施例4
アントラキノン化合物を表3に示すアントラキノン化合物に代えた以外は実施例3と同様の方法でトナーを作製し、複写テストを行い耐光性を評価したところ、実施例3と同様にカブリのない鮮明なイエロー色画像が得られた。また、その複写画像の耐光性を表3に示すが、90%以上の色濃度残存率を示し良好であった。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例5
(1)インキ組成物の調製方法
1−ヒドロキシ−4−クロロ−5,6,7,8−
テトラフルオロアントラキノン 3部
ポリビニルブチラール樹脂(BLS−S 積水化学株式会社製) 4部
メチルエチルケトン 47部
トルエン 47部
上記組成の混合物をガラスビーズを使用し、ペイントシェイカーを用いて約30分混合処理し、該インキを調製した。
【0099】
(2)転写シートの作製方法
上記インキを背面にシリコーングラフト共重合体(株式会社日本触媒製)(約1μm)で耐熱処理を施した5.7μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(EMBLET、ユニチカ製)に、乾燥膜厚が約1μmとなるように塗布し乾燥した。
【0100】
(3)被転写材
被転写材には、三菱ビデオプリントパック(CK−10P、三菱電機株式会社製)のプリント用紙を使用した。
【0101】
(4)転写記録
上記転写シートのインキ塗布面と被転写材の色素受容面とを重ね合わせ転写シートの裏面からヘッド印加電圧10V、印字時間4.0msecの条件でサーマルヘッドで記録を行い、表11の結果を得た。色濃度は、米国マクベス社製造、デンシトメーターRD−914型を用いて測定した。
【0102】
(5)耐光性
得られた記録画像をキセノンランプ耐光性試験機(SUNTEST CPS Heraeus社製)(ブラックパネル温度63℃)を用いて耐光性試験し、100時間後の色濃度の残存率で評価し表4に示す。
【0103】
(6)保存安定性
得られた記録画像を50℃の雰囲気中に50時間放置し、画像の変化を観察した結果を表11に示す。画像の鮮明さが変化せず、また表面を白紙で摩擦しても白紙が着色せず保存安定性は良好であった。
【0104】
実施例6
アントラキノン化合物を表4に示すアントラキノン化合物に代えた以外は実施例5と同様の方法でインキ組成物の調製、転写シートの作製、および転写記録を行った。その結果を表11に示す。また、実施例5と同様にして耐光性を測定し、保存安定性を観察した。その結果を表4に示す。
【0105】
【表4】
【0106】
実施例7〜12(1)記録インクの調製
以下の表5に示すような配合で、各成分を熱溶融下において十分に混合溶解し、冷却し記録インクを調製した。
【0107】
(2)記録
次いで、市販の固形インク用インクジェットプリンターの一部を改良したものを用いて、得られた記録インクを挿入し、インクジェット記録を行なった結果、いずれの場合も非常に鮮明でコントラストが高く、かつ色調の良好な記録画像が得られた。また、下記の方法により耐光性の評価を行なった。
【0108】
(3)耐光性の評価
記録された画像を、キセノンランプ耐光性試験機(SUNTEST CPS Heraeus社製)(ブラックパネル温度63℃)を用いて耐光性試験し、米国マクベス社製造、デンシトメーターRD・914型を用いて色濃度を測定し、100時間後の色濃度の残存率で評価したが、初期の濃度を100%とすると、いずれの場合も90%以上の色濃度残像率を示し耐光性は良好であった。
【0109】
その結果を表5に示す。
【0110】
【表5】
【0111】
実施例13
クロロホルム300部にポリメチルメタアクリレート97部と1−ヒドロキシ−4−クロロ−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノン3部を溶解したものを、ガラス基板上にキャストし、乾燥しカラーフィルターを作製した。
【0112】
以上のようにして作製したフィルターは、アントラキノン化合物が溶解しているため、濁りがなく透明感のある鮮明なイエロー色の色調であった。また、キセノンランプ耐光性試験機(SUNTEST CPS Heraeus社製)(ブラックパネル温度63℃)を用いて約100時間耐光性試験を行なったが、色調の変化は全く見られず耐光性は良好であった。
【0113】
実施例14
実施例13において、1−ヒドロキシ−4−クロロ−5,6,7,8,−テトラフルオロアントラキノンの代りに1−ヒドロキシ−4−メチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノンを用いた以外は全く同様に操作して、カラーフィルターを作製した。
【0114】
以上のようにして作製したフィルターは、アントラキノン化合物が溶解しているため濁りがなく澄明感のある鮮明なイエロー色の色調であった。また、キセノンランプ耐光性試験機(SUNTEST CPS Heraeus社製)(ブラックパネル温度63℃)を用いて約100時間耐光性試験を行なったが、色調の変化は全く見られず耐光性は良好であった。
【0115】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の新規化合物は、色調として透明性のある美しいイエロー色を示し、応じた吸収波長制御が可能であり、また、フッ素原子を有することから従来のアントラキノン系色素に比べて有機溶媒あるいは樹脂に対する高度な溶解性が付与でき、また、高い耐光性が維持できることから、可視光線吸収色素として従来の技術では実用化できなかった分野にも使用できる。
【0116】
また、本発明によるトナーは、特に透明性が高いことから、イエロー色として鮮やかであり、よってカラー画像において色再現性にすぐれた良好なる色調を持つ画像が得られ、かつ耐光性が良好で、連続複写においても常に安定した画像が得られるものである。
【0117】
さらに、本発明のイエロー色系昇華転写シートの構成に使用する前記アントラキノン化合物は、溶剤ならびにバインダー樹脂に対する溶解性がきわめて良好であり、イエロー色としての色調に優れており、また、耐光性や転写性に優れることから、感熱昇華転写色素に用いる際にイエロー色素としてすぐれた特性を有しているので有効に使用できる。
【0118】
さらに、本発明のアントラキノン化合物は鮮やかなイエロー色を示すことから、これらを用いることによって、耐光性に優れかつ濁りがなく、透明感があり、また色調の点でも優れたカラーフィルターが得られる。また、本発明のアントラキノン化合物は鮮やかなイエロー色を示すことから、これらを用いることによって、コントラストの良好なプリントが得られ、かつ耐光性および色調の点でも優れた記録画像の得られるインクジェット用インク組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明のアントラキノン化合物の一つである1−ヒドロキシ−4−クロロ−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノンの赤外線吸収スペクトルである。
【図2】 本願発明のアントラキノン化合物の一つである1−ヒドロキシ−4−メチル−5,6,7,8−テトラフルオロアントラキノンの赤外線吸収スペクトルである。
Claims (5)
- ワックスを含むことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用インク組成物。
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