JP4380069B2 - 感熱転写記録材料、感熱転写記録方法、インク、トナー及びカラーフィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の色素を用いる感熱転写記録材料、感熱転写記録方法、インク、トナー及びカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、カラーハードコピーを得る方法として、インクジェット、電子写真、感熱転写、ハロゲン化銀感光材料などによるカラー画像記録が検討されている。これらの中でも、感熱転写記録は、操作や保守が容易であること、装置の小型化、低コスト化が可能なこと、更にランニングコストが安いこと等の利点を有している。
【0003】
この感熱転写記録においては、感熱転写記録材料(以下、感熱転写材料とも記す)に用いられる色素が重要である。得られた画像の安定性、特に定着や耐光性を改良する目的で、キレート化可能な熱拡散性色素(以下、後キレート色素と記す)を用いる感熱転写材料及び画像形成方法が提案されており、例えば特開昭59−78893号、同59−109349号、同60−2398号公報等に記載されている。上記特許で開示される後キレート色素を用いて形成された画像は、耐光性や定着性に優れているが、感熱転写材料の感度や材料自体の保存性の点では十分に満足するものではなく、又、後キレート色素とキレート色素の間での色相差が大きいため、画像形成時のキレート反応が不十分な場合には未反応の後キレート色素の吸収が残存したり、形成されたキレート色素自体の不整吸収があったりするため、フルカラー画像を得る場合には、色再現の点で更に改良される必要があった。
【0004】
特に特開平3−143684号、同3−143686号、特願平9−257947号、特願平11−60123号には、ピラゾロピリミジン−7オン母核を有する色素を用いた感熱転写記録材料の記載がある。これらの色素は、上記の如き問題点を或る程度改善しているものの、未だ十分なレベルとは言えず、特に高温高湿下での保存性(耐熱湿性)および光照射下での保存性(耐光性)が不十分であり、更なる改良が望まれていた。
【0005】
また、上記金属キレート色素をインクジェット用のインクに使用する場合、種々の記録方式(1:ピエゾ素子の電気−機械変換により液滴を圧力吐出させる方式、2:電気−熱変換により気泡を発生させて液滴を圧力吐出させる方式、3:静電力により液滴を吸引吐出させる方式など)に適合すること、高い記録濃度を有し色調が良好であること、耐光性や耐熱性及び耐水性といった画像堅牢性に優れること、被記録媒体に対して定着が速く記録後に滲まないこと、インクとしての保存性に優れていること、安全性に問題がないこと、安価であることなどが要求される。このような観点から種々のインクジェット用記録液が提案、検討されているが、要求の多くを同時に満足するような記録液はきわめて限られている。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを用いたカラー画像記録においては、例えばC.I.インデックスに記載されている従来から公知のC.I.ナンバーを有する染料、顔料が広く検討されてきたが、これらは耐光性のような堅牢性や、色調の鮮明性に欠けるといった色再現性に関する分光吸収特性について問題を有していた。
【0006】
更に、上記色素をカラートナーに使用する場合、電子写真方式を利用したカラーコピア、カラーレーザープリンターにおいては、一般に樹脂粒子中に着色材分散させてなるトナー、又は樹脂粒子表面に着色剤を付着させてなるトナーが用いられている。樹脂表面に着色材を付着させる方法は、表面のみの着色であるため十分な着色効果を得ることは難しい。また、着色材の表面から離脱することで帯電性能が変化したり、定着ローラー表面を汚染するという問題も発生する。そのため、粒子内部に着色材を分散させたトナーが広く用いられている。かかるカラートナーに要求される性能として、色再現性と、Over Head Projector(以下OHP)における画像の透過性、耐光性が挙げられる。顔料を着色材として粒子に分散させたトナーが特開昭62-157051号、同62-255956号及び特開平6-118715号公報に開示されているが、これらのトナーは耐光性には優れるが、不溶性であるため凝集しやすく、透明性の低下や透過色の色相変化が問題となっている。一方、染料を着色材として使用したトナーが特開平3-276161号、同2-207274号、同2-207273号公報に開示されているが、これらのトナーは逆に透明性が高く、色相変化はないものの、耐光性に問題がある。
【0007】
また、カラーフィルタは高い透明性が必要とされるために、染料を用いて着色する染色法と呼ばれる方法が行われてきた。たとえば、被染色性の感光性物質をガラス等の基板に塗布し、続いて一つのフィルタ色のパターン露光を行い、未露光部分を現像工程で洗い取って残ったパターン部分を該フィルタ色の染料で染色するといった操作を全フィルタ色について順次繰り返すことにより、カラーフィルタを製造することができる。この方法は染料を使用するために透過率が高く、カラーフィルタの光学特性は優れているが、耐光性や耐熱性等に限界があり、諸耐性に優れかつ透明性の高い色材が望まれていた。そこで、染料の代わりに耐光性や耐熱性が優れる有機顔料が用いられるようになったが、顔料を用いたカラーフィルタでは染料のような光学特性を得ることは困難であった。
【0008】
上記のそれぞれの用途に使用可能な色素には、共通して次のような性質を具備していることが望まれている。即ち、色再現性上好ましい色相を有すること、最適な分光吸収特性を有すること、耐光性、耐熱性、耐湿性、対薬品性などの画像堅牢性が良好であること、モル吸光計数が大きいこと等が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感度、色再現性、画像保存性に優れた画像を得るための感熱転写記録材料及び該記録材料を用いた感熱転写記録方法を提供することにある。また別の目的はそれぞれの用途に応じて適切な分光吸収特性および画像堅牢性を有したインクジェット記録用インク、カラートナー、カラーフィルターを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、ピラゾロピリミジン−7−オン母核を有する新規な色素を用いることにより、本発明の目的を達成し得ることを見出した。
【0011】
即ち、本発明の上記目的は下記構成によって達成される。
(1)一般式(I)で表される色素を少なくとも1種含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
【0012】
【化3】
【0013】
〔式中、R11及びR12はそれぞれ、置換又は無置換の脂肪族基を表し、R13は置換基を表す。nは0又は1〜4の整数を表し、nが2以上の時、複数のR13は同じでも異なってもよい。R14 は2級のアルキル基を表す。R15、R16は炭素数3から8のアルキル基を表す。〕
(2)前記一般式(I)で表される色素が、下記一般式(II)で表される色素であることを特徴とする(1)記載の感熱転写記録材料。
(3)前記色素が、支持体上に設けられた色素供与層に含有されることを特徴とする(2)記載の感熱転写記録材料。
(4)一般式(II)で表される色素の分子量が400から500であることを特徴とする、(2)または(3)に記載の感熱転写記録材料。
【0014】
【化4】
【0015】
〔式中、R21及びR22はそれぞれ、置換又は無置換の脂肪族基を表し、R23は置換基を表す。nは0又は1〜4の整数を表し、nが2以上の時、複数のR23は同じでも異なってもよい。R24、R25はいずれもアルキル基を表す。R26は分岐アルキル基を表し、R27はメチル基を除くアルキル基を表す。〕
(5)支持体上に前記一般式(I)または(II)で表される色素の少なくとも1種を含有する色素供与層を有する色素供与材料に受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
(6)支持体上に前記一般式(I)または(II)で表される色素の少なくとも1種を含有する色素供与層を有する色素供与材料に、支持体上に金属イオン含有化合物を含む色素受像層を有する受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、前記色素と前記金属イオン含有化合物とから得られる金属キレート色素により画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
(7)前記一般式(I)または(II)で表される色素と金属イオン含有化合物との反応により生成する金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするインク。
(8)前記一般式(I)または(II)で表される色素と金属イオン含有化合物との反応により生成する金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするトナー。
(9)前記一般式(I)または(II)で表される色素と金属イオン含有化合物との反応により生成する金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするカラーフィルター。
【0016】
一般式(I)において、R11およびR12は置換または無置換の脂肪族基を表し、R11およびR12は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、i-プロピル基、t-ブチル基、n-ドデシル基、および1-ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2. 2. 1]ヘプチル基、およびアダマンチル基等)、およびアルケニル基(例えば2-プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えばフェニル基、オルト-トリル基、オルト-アニシル基、1-ナフチル基、9-アントラニル基等)、複素環基(例えば2-テトラヒドロフリル基、2-チオフェニル基、4-イミダゾリル基、および2-ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n-ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4-ジ-t-アミルフェノキシカルボニル基、1-ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、および2-ピリジルオキシカルボニル基、1-フェニルピラゾリル-5-オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばジメチルカルバモイル基、4-(2, 4-ジ-t-アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1-ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、2-エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、2, 4-ジ-t-アミルフェノキシ基、4-(4-ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば4-ピリジルオキシ基、2-ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えばN, N-ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N-フェニルウレタン基、N-(p-シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n-ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基)、アミノ基(例えばジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n-ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p-t-オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n-ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p-トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(例えばN, N-ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N-フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基)、ウレイド基(例えばN, N-ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N-フェニルウレイド基、N-(p-シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、およびp-トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、4-(2, 4-ジ-t-アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、t-オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基等)、および複素環チオ基(例えば1-フェニルテトラゾール-5-チオ基、5-メチル-1, 3, 4-オキサジアゾール-2-チオ基等)等が挙げられる。
【0017】
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1-プロピン、2-ブチン、1-ヘキシン等が挙げられる。
【0018】
R11、R12で非芳香族性の環状構造(例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成するのも好ましい。
R13は上記のアルキル基を置換しうる基と同様の基が挙げられる。上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。n は0及び1〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR13は同じでも異なっていてもよい。
【0019】
R14は2級のアルキル基であり、その例としては、i−プロピル基、sec−ブチル基などが挙げられる。R14として最も好ましい置換基はイソプロピル基である。R14のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子のみからなる置換基で置換されているものが特に好ましい。
【0020】
R15は炭素数3から8のアルキル基であり、その例としては、n-プロピル基、i-プロピル基、t-ブチル基、n-ドデシル基、および1-ヘキシルノニル基等が挙げられる。R15は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、3-ヘプチル基などが挙げられる。R15として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert-ブチル基である。R15のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子のみからなる置換基で置換されているものが特に好ましい。
【0021】
R16は炭素数3から8のアルキル基を表し、その例としてはn-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、3-ヘプチル基などが挙げられる。R16として特に好ましい置換基は炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基であり、最も好ましくはn-プロピル基、n-ブチル基である。なお、R16のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子のみからなる置換基で置換されているものが特に好ましい。
【0022】
一般式(II)において、R21およびR22は置換または無置換の脂肪族基を表し、R21およびR22は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基の例としては前記一般式(I)のR11およびR12と同様である。
【0023】
R23は前記一般式(I)におけるR13と同様である。R24およびR25はアルキル基を表し、その例としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、3-ヘプチル基などが挙げられる。R24およびR25で特に好ましい置換基は直鎖のアルキル基である。
R26は分岐アルキル基(2級または3級アルキル基を含む)を表し、2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、3-ヘプチル基などが挙げられる。R26として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert-ブチル基である。R26の分岐アルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されているものが特に好ましい。
R26の分岐アルキル基の合計炭素数は3ないし20であることが好ましく、更に好ましくは3ないし15であり、最も好ましくは3ないし8である。
【0024】
R27はアルキル基を表し、その例としてはエチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、3-ヘプチル基などが挙げられる。R27として特に好ましい置換基は炭素数2以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはエチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基であり、最も好ましくはn-プロピル基、n-ブチル基である。なお、R27のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子のみからなる置換基で置換されてじるものが特に好ましい。
【0025】
一般式(I)および(II)において、該色素を熱によって転写し像を得る、所謂熱転写方式の画像形成方法に用いるためには、色素の転写性が良好である必要がある。一般的には、色素の転写性はその分子量が低いほど良好であるとされているが、分子量が低すぎても経時でのにじみの観点で不利になる場合がある。本発明において、発明者らは鋭意検討の結果、色素の分子量が特定の範囲にあるものは、経時でのにじみの点で有利であることを見いだし、色素の分子量は、好ましくは400-600であり、さらに好ましくは400-500である。
【0026】
以下に本発明中の一般式(I)および(II)で表される色素及び参考となる色素の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
本発明の化合物は、例えば例示化合物27の場合、以下のスキームに従って合成することができる。
【0034】
【化11】
【0035】
(例示化合物27の合成)
アミノピラゾール(1)38gとケトエステル(2)50.7gを150mlのキシレンに溶解し、溶媒を留去しながら7時間加熱した。得られた油状生成物に酢酸エチル150mlを加えると結晶が析出したので、これをロ別し色素前駆体(3)を35g得た。
【0036】
色素前駆体(3)4.62gに酢酸エチル75mlを加え、さらに炭酸カリウム6.96gqを水10mlに溶解した溶液を加えて45℃の湯浴中ではげしく攪拌しながら、アニリン類縁体(4)6.48gを水15mlに溶解した溶液と、過硫酸ナトリウム14.4gおよび炭酸ナトリウム12.8gを水50mlに溶解した溶液とを、少量ずつ交互に添加した。添加終了後さらに45℃で1時間はげしく攪拌をつづけた後、反応液を冷却した。析出した結晶をロ別し例示化合物27の金属光沢を有する緑色結晶を5.6g得た。(収率74%) 構造はNMRスペクトルおよび質量スペクトルにより確認した。また、例示化合物27のアセトン溶液中におけるλmaxは605nmであった。
【0037】
なお、その他の例示化合物についても同様の方法で合成することができる。
本発明の感熱転写記録材料は、本発明の色素を有する色素供与層を支持体上に有する構成を有する。色素供与層は、色素をバインダーと共に溶剤中に溶解することにより、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることにより色素供与層形成用塗布液を調製し、支持体上に塗布して適宜に乾燥することで形成できる。色素供与層の厚さは、乾燥膜厚で0.1〜10μmが好ましい。
【0038】
バインダーとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ニトロセルロース、エチルセルロース等の溶剤可溶性ポリマーが好ましい。これらのバインダーは1種又は2種以上を有機溶媒に溶解して用いるだけでなく、ラテックス分散の形で使用してもよい。バインダーの使用量は、支持体1m 2 当たり0.1〜20gが好ましい。
【0039】
有機溶媒としては、アルコール類(エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、芳香族類(トルエン、キシレン等)、エステル類(酢酸エチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。
【0040】
支持体としては、寸法安定性が良く、記録の際感熱ヘッド等の加熱に耐えるものであればよいが、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネートのような耐熱性のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。支持体の厚さは2〜30μmが好ましい。
【0041】
又、支持体には、バインダーとの接着性の改良や色素の支持体への転写、染着を防止する目的で選択されたポリマーから成る下引層を有することが好ましい。更に、支持体の裏面(感熱転写層と反対側)には、ヘッドが支持体に粘着するのを防止する目的でスリッピング層を有してもよい。
【0042】
本発明の感熱転写記録材料は、後述する受像材料に普通紙の如く受像層を特に設けていないものを用いる目的で、色素供与層上又は別層として特開昭59−106997号に記載されるような熱溶融性化合物を含有する熱溶融性層を有してもよい。この熱溶融性化合物としては、65〜150℃の温度で溶融する無色又は白色の化合物が好ましく、例えばカルナバ蝋、蜜蝋、カンデリンワックス等のワックス類が用いられる。
【0043】
尚、熱溶融性層には、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリエステル、酢酸ビニル等のポリマーが含有されてもよい。
本発明の感熱転写材料をフルカラー画像記録に適用するには、イエロー画像を形成できる熱拡散性イエロー色素を含有するイエロー感熱転写層、マゼンタ画像を形成できる熱拡散性マゼンタ色素を含有するマゼンタ感熱転写層、シアン画像を形成できる熱拡散性シアン色素を含有するシアン感熱転写層の合計3層を支持体上の同一表面上に順次繰り返して塗設することが好ましい。又、必要に応じて、他に黒色画像形成物質を含む感熱転写層の合計4層が同一表面上に順次繰り返して塗設されてもよい。
【0044】
本発明の感熱転写記録方法においては、支持体上に前記一般式(I)および(II)で表される色素の少なくとも1種を含有する色素供与層を有する色素供与材料に、受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、色素を転写して画像を形成する。
【0045】
更に本発明の色素と金属イオン含有化合物とを組み合わせて用いるのが好ましい。即ち、支持体上に前記一般式(I)および(II)で表される色素の少なくとも1種を含有する色素供与層を有する色素供与材料に、支持体上に金属イオン含有化合物を含む色素受像層を有する受像材料を重ね、前記感熱転写記録材料を画像情報に応じて加熱し、色素と金属イオン含有化合物との反応により金属キレート色素画像を形成する。この金属イオン含有化合物は、受像材料中に存在させてもよいし、感熱転写記録材料の熱溶融性層中に存在させてもよい。
【0046】
金属イオン含有化合物は、金属イオンの無機又は有機の塩及び金属錯体が挙げられ、中でも有機酸の塩及び錯体が好ましい。
金属としては、周期律表の第V〜VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl,Co,Cr,Cu,Fe,Mg,Mn,Mo,Ni,Sn,Ti及びZnが好ましく、特にNi,Cu,Cr,Co及びZnが好ましい。
【0047】
金属イオン含有化合物の具体例としては、Ni 2+ ,Cu 2+ ,Cr 2+ ,Co 2+ 及びZn 2+ と酢酸やステアリン酸等の脂肪族酸との塩、又は安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボン酸との塩などが挙げられる。又、下記一般式(III)で表される錯体は特に好ましく用いることができる。
【0048】
【化12】
一般式(III)
【0049】
式中、Mは金属イオンを表す。好ましいMとしてNi 2+ ,Cu 2+ ,Cr 2+ ,Co 2+ ,Zn 2+ が挙げられる。Q1,Q2,Q3は各々、Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なってもよい。これらの配位化合物としては、例えばキレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。
【0050】
Yは有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニル硼素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等が挙げられる。
aは1、2又は3を表し、bは1、2又は0を表し、cは1又は0を表すが、これらは一般式(III)で表される錯体が4座配位か6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1,Q2,Q3の配位子の数によって決定される。
【0051】
pは0、1又は2を表す。p=0は、Qで表される配位化合物がアニオン性化合物であり、Qで表されるアニオン性化合物とMで表される金属カチオンとが電気的に中和された状態であることを意味する。
【0052】
アニオン性化合物としては下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
【0053】
【化13】
一般式(IV)
【0054】
式中、R5及びR6は、各々同じであっても異なってもよいアルキル基又はアリール基を表し、R7はアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。
【0055】
金属イオン含有化合物の添加量は、通常、受像材料又は熱溶融性層に対し0.5〜20g/m 2 が好ましく、1〜15g/m 2 がより好ましい。
金属錯体色素による画像を形成する受像材料は、一般に、紙、プラスチックフィルム、又は紙−プラスチックフィルム複合体を支持体とし、その上に受像層としてポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマー(酢酸ビニル等)との共重合樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート等の1種又は2種以上から成るポリマー層を形成して成る。
【0056】
受像材料は、必要に応じて、受像層中に酸化防止剤、離型剤等を含有してもよく、又受像層の上に保護層を設けてもよく、更に支持体と受像層の間に接着や断熱あるいはクッション効果を目的として中間層を設けてもよい。更に支持体の裏面(受像層と反対側)には、帯電防止層、ブロッキング防止を目的として無機又は有機の非昇華性微粒子を含む背面層を設けてもよい。又、支持体両面に受像層を設けていてもよい。尚、支持体そのものを受像材料にすることもある。
【0057】
感熱転写記録方法にはサーマルヘッドによる加熱が一般的であるが、通電加熱やレーザーを用いた加熱でもよい。サーマルヘッド等による熱の付与は、感熱転写記録材料の背面側からでも、又、受像材料の背面側でも特に制限なく行われてよいが、色素の転写速度及び画像濃度等を考慮した場合、色素供与材料の背面側から行うのが好ましい。又、色素の転写前、転写中あるいは転写後に、更に加熱して色素転写の促進、金属イオン含有化合物との反応促進、転写色素の定着促進を図ることができる。
【0058】
次に、図1及び図2を参照して本発明の感熱転写記録方法の一例を説明する。
図1の感熱転写記録材料において、受像材料3は、支持体1上に金属イオン含有化合物を含む受像層2が設けられた構成であり、色素供与材料6は、支持体4上に本発明に係る色素を含む色素供与層5が設けられた構成である。受像材料3及び色素供与材料6には、それぞれ支持体との間に中間層を設けてもよい。
【0059】
感熱転写記録方法としては、受像材料3及び色素供与材料6を重ね合わせ、色素供与材料6の背面側からサーマルヘッド7に担持された発熱抵抗体8により画像情報に応じた熱を与え、その後、両材料を剥離する。その際、色素供与層5中の色素と受像層2中の金属イオン含有化合物との反応により金属錯体色素画像が形成される。
【0060】
又、図2の感熱転写記録材料において、上記図1の感熱転写記録材料の色素供与材料6(4+5)上に金属イオン含有化合物を含む熱溶融性層9を積層して成る感熱転写記録材料10と、前述した普通紙の如く受像層を特に設けていない受像材料3を重ね合わせ、図1の感熱転写記録方法と同様にサーマルヘッド7を用い、その後、両材料を剥離して画像形成を行う。この方法の場合、サーマルヘッド7による熱付与の際、感熱転写記録材料10上の色素供与層5及び熱溶融性層9との間で、色素と金属イオン含有化合物との反応により金属錯体色素画像が生成し、その後、受像材料3上に画像が受容される。
【0061】
本発明の化合物を含有するインクは水系インクジェット記録液、油系インクジェット記録液、固体(相変化)インクジェット記録液等の種々のインクジェット記録液に用いることが出来る。
【0062】
水系インクジェット記録液は、本発明の化合物の他に溶剤として水と水溶性有機溶媒を一般に使用する。水溶性有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0063】
上記のような水系インクジェット記録液において、色素はその溶媒系に可溶であればそのまま溶解して用いることができる。一方、そのままでは不溶の固体である場合、本発明の化合物を種々の分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等)を用いて微粒子化するか、あるいは可溶である有機溶媒に色素を溶解した後に、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。さらに、そのままでは不溶の液体または半溶融状物である場合、そのままかあるいは可溶である有機溶媒に溶解して、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。このような水系インクジェット記録液の具体的調整法については、例えば特開平5−148436、同5−295312、同7−97541、同7−82515、同7−118584等の明細書に記載の方法を参照することができる。
【0064】
油系インクジェット記録液は、本発明の色素の他に溶媒として有機溶媒を使用する。
油系インクジェット記録液の溶媒の例としては、アルコール類(例えば、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニルアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2-メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸-3-ヘキセニル等)、エーテル類(例えば、ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えば、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えば、N,N-ジエチルドデカンアミド等)が挙げられる。
【0065】
上記のような油系インクジェット記録液において、色素はそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。 又、上記した、水溶性の有機溶媒をさらに含んでもよい。
【0066】
このような油系インクジェット記録液の具体的調整法については、特開平3−231975、特表平5−508883等の明細書に記載の方法を参照することができる。
【0067】
固体(相変化)インクジェット記録液は、本発明の化合物の他に溶媒として室温で固体であり、かつインクの加熱噴射時には溶融した液体状である相変化溶媒を使用する。
このような相変化溶媒としては、天然ワックス(例えば、密ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等)、ポリエチレンワックス誘導体、塩素化炭化水素、有機酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、チグリン酸、2-アセトナフトンベヘン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等)、有機酸エステル(例えば、上記した有機酸のグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等のアルコールとのエステル等)、アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレアフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール等)、ケトン(例えば、ベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ヘプタトリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等)、アミド(例えば、オレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N,N'-エチレンビスラウリン酸アミド、N,N'-エチレンビスステアリン酸アミド、N,N'-エチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-メチレンビスステアリン酸アミド、N,N'-エチレンビスベヘン酸アミド、N,N'-キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N'-ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'-ジオレイルセバシン酸アミド、N,N'-システアリルセバシン酸アミド、N,N'-ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N'-ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド、オレイン酸2量体/エチレンジアミン/ステアリン酸(1:2:2のモル比)のような2量体酸とジアミンと脂肪酸の反応生成物テトラアミド等)、スルホンアミド(例えば、パラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等)、シリコーン類(例えば、シリコーンSH6018(東レシリコーン)、シリコーンKR215、216、220(信越シリコーン)等)、クマロン類(例えば、エスクロンG、90(新日鐵化学)等)、コレステロール脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等)、糖類脂肪酸エステル(ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等)が挙げられる。
【0068】
固体インクの固体−液体相変化における相変化温度は、60℃以上であることが好ましく、80〜150℃であることがより好ましい。
上記のような固体インクジェット記録液において、加熱した溶融状態の溶媒に本発明の色素をそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
【0069】
このような固体インクジェット記録液の具体的調整法については、特開平5−186723、同7−70490等の明細書に記載の方法を参照することができる。
【0070】
上記したような水系、油系、固体の各インクジェット記録液は、その飛翔時の粘度として40cps以下が好ましく、30cps以下であることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録液は、その飛翔時の表面張力として20dyn/cm以上が好ましく、30〜80dyn/cmであることが、より好ましい。
【0071】
本発明の色素は、全インクジェット記録液量の0.1〜25重量%の範囲で使用されることが好ましく、0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
【0072】
本発明のインクジェット記録液においては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、粘度調製剤、表面張力調製剤、比抵抗調製剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤等を添加することもできる。
【0073】
本発明のインクジェット記録液は、その使用する記録方式に関して特に制約はないが、特にオンデマンド方式のインクジェットプリンタ用のインクとして好ましく使用することができる。オンデマンド型方式としては、電気、機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気、熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。
【0074】
本発明の化合物をトナー用色素として用いる場合、トナーを調製する際に用いるバインダー樹脂としては一般に使用される全てのバインダーが使用出来る。例えば、スチレン系樹脂・アクリル系樹脂・スチレン/アクリル系樹脂・ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0075】
本発明においては、トナーに対して流動性向上、帯電制御等を目的として無機微粉末、有機微粒子を外部添加しても良い。表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1重量%〜20重量%添加するのが好ましい。
【0076】
離型剤としては、従来使用されている離型剤は全て使用することができる。具体的には、低分子量ポリプロピレン・低分子量ポリエチレン・エチレン-プロピレン共重合体等のオレフィン類、マイクロクリスタリンワックス・カルナウバワックス・サゾールワックス・パラフィンワックス等があげられる。これらの添加量はトナー中に1〜5重量%添加することが好ましい。
【0077】
荷電制御剤としては、必要に応じて添加しても良いが、発色性の点から無色のものが好ましい。例えば4級アンモニウム塩構造のもの、カリックスアレン構造を有するものなどがあげられる。
【0078】
キャリアとしては、鉄・フェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆した樹脂被覆キャリアのいずれを使用してもよい。このキャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μmが好ましい。
【0079】
本発明のトナーが適用される画像形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば感光体上に繰り返しカラー画像を形成した後に転写を行い画像を形成する方法や、感光体に形成された画像を逐次中間転写体等へ転写し、カラー画像を中間転写体等に形成した後に紙等の画像形成部材へ転写しカラー画像を形成する方法等があげられる。
【0080】
本発明のカラーフィルターは、本発明の色素(I)、(II)を含む着色組成物を用いて作成することができる。着色組成物は、本発明の色素を透明樹脂に分散させて作成できる。分散には、二本ロールミル、三本ロールミル、サンドミル、ニーダー等の各種分散手段を使用できる。
【0081】
本発明の色素化合物を分散させて着色組成物にする為の樹脂ワニスとしては、従来公知のカラーフィルター用着色組成物に使用されるワニスが用いられる。又、分散媒体としては、樹脂ワニスに適切な溶剤或は水系媒体が使用される。又、必要に応じて従来公知の添加剤、例えば、分散助剤、平滑化剤及び密着化剤等が添加使用される。
【0082】
樹脂ワニスとしては、感光性の樹脂ワニスと非感光性樹脂ワニスが使用される。感光性樹脂ワニスとしては、例えば、紫外線硬化性インキ、電子線硬化性インキ等に用いられる感光性樹脂ワニスであり、非感光性樹脂ワニスとしては、例えば、凸版インキ、平版インキ、凹版グラビヤインキ、孔版スクリーンインキ等の印刷インキに使用するワニス、電着塗装に使用するワニス、電子印刷や静電印刷の現像剤に使用するワニス、熱転写リボンに使用するワニス等のいずれもが使用できる。
【0083】
感光性樹脂ワニスの例としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリメタクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂等、及び不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等のワニスであり、更に、反応性希釈剤としてモノマーが加えられたワニスが挙げられる。本発明の化合物と上記のワニスにベンゾインエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を加え、従来公知の方法により煉肉することにより、本発明の感光性着色組成物とすることが出来る。又、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を使用して熱重合性着色組成物とすることが出来る。上記の感光性着色組成物を用いてカラーフィルターのパターンを形成する場合には、透明基板上に該感光性着色組成物をスピンコート、低速回転コーターやロールコーターやナイフコーター等を用いて全面コーティングを行うか、或は各種の印刷方法による全面印刷又はパターンよりやや大きな部分印刷を行い、予備乾燥後フォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を使用して露光を行ってパターンを焼き付けする。次いで現像及び洗浄を行い、必要に応じポストベークを行うことによりカラーフィルターのパターンを形成することができる。
【0084】
非感光性の樹脂のワニスの例としては、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレン系(共)重合体、ポリビニールブチラール系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ樹脂変性ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルポリオールウレタン系樹脂、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の水溶性塩、水溶性アミノアルキッド系樹脂、水溶性アミノポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂等が挙げられ、単独或は組み合わせて使用される。
【0085】
上記の非感光性着色組成物を用いてカラーフィルターのパターンを形成する場合には、透明基板上に該非感光性着色組成物、例えば、カラーフィルター用印刷インキを用いて上記した各種の印刷方法にて直接基板に着色パターンを印刷する方法、カラーフィルター用水性電着塗装組成物を用いて電着塗装により基板に着色パターンを形成させる方法、電子印刷方法や静電印刷方法を用いたり、或は転写性基材に上記の方式等で一旦着色パターンを形成させてからカラーフィルター用基板に転写する方法等が挙げられる。次いで常法に従い必要に応じてベーキングを行ったり、表面の平滑化の為の研磨を行ったり、表面の保護の為のトップコーティングを行う。又、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGBカラーフィルターを得る。
【0086】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1−1
(インクの調製)
下記の原料を混合して本発明の色素を含有する均一な溶液のインクを得た。色素の溶解性は良好であり、インク化適性も良好であった。
【0087】
例示化合物1 0.72g
ポリビニルアセトアセタール樹脂
(KY−24:電機化学工業製) 1.08g
メチルエチルケトン 26.4ml
トルエン 1.6ml
(色素供与材料の作製)
上記インクを、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)ベース上にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が2.3g/m 2 になるように塗布・乾燥し、PETフィルム上に色素供与層を設けて成る色素供与材料1を作製した。尚、該PETベースの裏面には、スティッキング防止層としてシリコン変性ウレタン樹脂(SP−2105:大日精化製)を含むニトロセルロース層が設けられている。
【0088】
色素供与材料1の色素を表1に示す色素に代えた以外は同様にして、色素供与材料2〜12を作製した。
(受像材料の作製)
紙の両面にポリエチレンをラミネートした支持体(片側のポリエチレン層に白色顔料(二酸化チタン)と青味剤を含む)の上に、下記組成の塗布液を乾燥後の塗布量が7.2gになるように塗布・乾燥し、受像材料1を作製した。
【0089】
金属イオン含有化合物(MS−1) 4.0g
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1:積水化学工業製) 6.0g
ポリエステル変成シリコン 0.3g
【0090】
【化14】
【0091】
さらに上記受像材料1からMS−1を除いたほかは全て同様にして金属イオン含有化合物を含まない受像材料2を作成した。
(感熱転写記録)
前記色素供与材料と受像材料とを重ね合わせ、感熱ヘッドを色素供与材料の裏面から当ててサーマルプリンターで画像記録を行い、階調性の優れた画像1〜20を得た。
【0092】
得られた画像の最大濃度、記録材料の感度、画像保存性及び色再現性について下記に従って評価した。
《最大濃度》
濃度計X−rite310TR(X−rite社製)により画像の最大反射濃度(通常、印加時間が最大の部分)を測定した。
《感度》
色素供与材料13および受像材料1で形成される画像21の濃度が1.0となる時の印加エネルギーを1とした時の各記録材料の相対的な印加エネルギーを求めた。数字が小さいほど感度が高いことを示す。
《耐光性》
耐光性は、得られた画像に対してキセノンフェードメーターで14日間光照射した後の色素残存率で示す。尚、色素残存率は、光照射前の濃度をD0、光照射後の濃度をDとして(D/D0)×100(%)で表す。
《色再現性》
得られたシアン画像の色調を目視で評価した。評価は1〜5の5段階評価で行い、数字が大きいほど優れていることを示す。
【0093】
結果を併せて表1に示す。
【0094】
【表1】
表1
【0095】
【化15】
【0096】
表1に示す通り、本発明の色素を用いた感熱転写記録材料(表1中の画像番号NO7〜26に記載の感熱転写記録材料)は感度が高く、且つ高濃度で色再現性の良好な画像を得ることが出来る。また、前述した本発明の感熱転写記録方法の好ましい態様をとることにより、さらに堅牢な画像を作成することが可能となる。なお、表1中の画像番号NO1〜6は参考例としての色素(例示3、5、12)を用いた感熱転写材料である。
実施例2(インクジェット記録用インク)
例示化合物27と前記実施例1の金属イオン含有化合物MS-1をそれぞれアセトン溶液とし、例示化合物27とMS-1とがモル比1:5となるように混合した溶液の濃縮物を調製し、これをキレート色素とした。
【0097】
該キレート色素を常法にしたがって以下に記載の組成を有するインク組成物I-1に調製し、さらにシアン色素として下に記載の銅フタロシアニン化合物Cを用いたほかはI-1と同様の組成をもつインク組成物I-2を調製した。
(インク組成物I-1の組成)
シアン色素:キレート色素 1.4重量%
ジエチレングリコール 19重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 9重量%
界面活性剤Surfynol 465 (Air Products and Chemicals Inc. 製) 0.6重量%
イオン交換水 70重量%
【0098】
【化16】
【0099】
調製したインク組成物I-1およびI-2を用いて、インクジェットプリンタMJ−5000C(セイコーエプソン株式会社製、電気、機械変換方式)によりインクジェット用専用紙スーパーファイン専用紙MJSP1(セイコーエプソン社製)上に記録したサンプルを作成し、その色調を目視評価したところ、本発明の化合物を含有するインク組成物I-1を用いて得られたサンプルは鮮やかなシアン色を示したが、インク組成物I-2を用いて得られたサンプルはやや彩度に乏しく色調も青色に近かった。被記録媒体としてスーパーファイン専用紙MJSP1のかわりに、専用光沢フィルムMJSP4(セイコーエプソン社製)を使用した場合にも同様の結果が得られた。このように本発明の化合物を金属キレート色素として用いたインクジェット記録用インクを用いることで、色調に優れた記録画像を得ることができる。
実施例3(カラートナー)
前記実施例2と同様にして例示化合物27と金属イオン含有化合物MS-1よりキレート色素を調製した。ポリエステル樹脂100部、着色剤を下記に示す添加部数、ポリプロピレン3部とを、混合、練肉、粉砕、分級し、平均粒径8.5μmの粉末を得た。更にこの粉末100部と、シリカ微粒子(粒子径12nm、疎水化度60)1.0部とをヘンシェルミキサーで混合し、表2に示す試料NO30〜33のカラートナーを得た。
【0100】
〈キャリアの製造〉
スチレン/メチルメタクリレート=6/4の共重合体微粒子40g、比重5.0、重量平均径45μm、1000エルステッドの外部磁場を印加したときの飽和磁化が25emu/gのCu−Znフェライト粒子1960gを高速撹拌型混合機に投入し、品温30℃で15分間混合した後、品温を105℃に設定し、機械的衝撃力を30分間繰り返し付与し、冷却しキャリアを作成した。
〈現像剤の作成〉
上記キャリア418.5gと、各トナー31.5gとをV型混合機を用いて20分間混合し、実写テスト用の現像剤を作成した。
《評価装置、条件》
実施例に於いては、画像形成装置としてKonica 9028(コニカ社製)を用いて実写評価を行った。
《評価項目、方法》
テストは本発明のカラートナーを用いた現像剤によって、上記画像形成方法により紙およびOHP上に、それぞれ反射画像(紙上の画像)および透過画像(OHP画像)を作成し以下に示す方法で評価した。なお、トナー付着量は0.7±0.05(mg/cm 2 )の範囲で評価した。
彩 度 :
Macbeth Color-Eye 7000を用いて、作成した紙上の画像の彩度を測定し、比較した。
耐 光 性:
スガ試験機社製「キセノンロングライフウェザーメーター」(キセノンアークランプ、70000ルックス、44.0℃)による7日間の暴露試験を行った後、同じくMacbeth Color-Eye 7000により試験前の画像との色差を測定し、比較した。
透明性:
OHP画像の透明性については下記方法にて評価した。日立製作所製「330型自記分光光度計」によりトナーが担持されていないOHP用シートをリファレンスとして画像の可視分光透過率を測定し、イエロー570nm、マゼンタ650nm、シアン500nmでの分光透過率を求め、OHP画像の透明性の尺度とした。
色相変化:
Macbeth Color-Eye 7000を用いて、作成した紙およびOHP画像の色相差を測定し、比較した。
《評価結果》
以上の、結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
表2
【0102】
表2から明らかなように、本発明の化合物を用いて調製したカラートナーを用いることにより予め着色剤を加工しなくても忠実な色再現と高いOHP品質を示すので、本発明のカラートナーはフルカラートナーとして使用するのに適している。さらに耐光性が良好なので長期にわたって保存ができる画像を提供することが可能である。
【0103】
実施例4(カラーフィルター)
前記実施例2および3と同様にして例示化合物27と金属イオン含有化合物MS-1よりキレート色素を調製した。RGBカラーフィルターを得る為に、下記の方法によりガラス板上に赤色(R)モザイク状パターン、緑色(G)モザイク状パターン及び青色(B)モザイク状パターンを形成させた。下記に示した成分を使用して、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のカラーフィルター用感光性コーティング剤を調製した。使用した感光性ポリイミド樹脂ワニスは、光増感剤を含む感光性ポリイミド樹脂ワニスである。
【0104】
【化17】
【0105】
シランカップリング剤処理を行ったガラス板をスピンコーターにセットし、上記のR−1の赤色のカラーフィルター用感光性コーティング剤を最初300rpmで5秒間、次いで2000rpmで5秒間の条件でスピンコートした。次いで80℃で15分間プリベークを行い、モザイク状のパターンを有するフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯を用い900mJ/cm 2 の光量で露光を行った。次いで専用現像液及び専用リンスで現像及び洗浄を行い、ガラス板上に赤色のモザイク状パターンを形成させた。引き続いて緑色モザイク状パターン及び青色のモザイク状パターンを上記のG−1の緑色及びB−1の青色のカラーフィルター用感光性コーティング剤を用いて上記の方法に準じて塗布及び焼き付けを行い、次いで常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGBカラーフィルターを得た。上記で得られたカラーフィルターは優れた分光カーブ特性を有し、耐光性及び耐熱性等の堅牢性に優れ、又、光の透過性にも優れた性質を有し、液晶カラーディスプレイ用カラーフィルターとして優れた性質を有していた。
また上記の組み合わせの代わりに例示化合物22を用いて同様に調製したキレート色素を使用した場合でも同様の結果が得られた。
【0106】
【発明の効果】
本発明による感熱転写記録材料及び該記録材料を用いた感熱転写記録方法によれば、高感度記録が可能な画像であって、2次吸収の少ない色再現上好ましい色相の画像であり、かつ耐光性等の画像保存性に優れた画像を得ることができる。また本発明の化合物と金属イオン含有化合物より調製したキレート色素を用いることにより優れた色調を有するインクジェット記録用インクを得ることができ、該キレート色素を用いて、忠実な色再現と高いOHP品質を示しフルカラートナーとして優れた特性を有するばかりでなく高い画像保存性をも示すカラートナーが得られ、さらには該キレート色素を用いて優れた分光カーブ特性と高い堅牢性や優れた光透過性を有するカラーフィルターを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱転写記録方法の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の感熱転写記録方法の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 受像層
3 受像材料
4 支持体
5 色素供与層
6 色素供与材料
7 サーマルヘッド
8 発熱抵抗体
9 熱溶融性層
10 感熱転写記録材料
Claims (9)
- 前記色素が、支持体上に設けられた色素供与層に含有されることを特徴とする請求項2記載の感熱転写記録材料。
- 前記一般式(II)で表される色素の分子量が400から500であることを特徴とする、請求項2または3項に記載の感熱転写記録材料。
- 支持体上に前記一般式(I)または(II)で表される色素の少なくとも1種を含有する色素供与層を有する色素供与材料に受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
- 支持体上に前記一般式(I)または(II)で表される色素の少なくとも1種を含有する色素供与層を有する色素供与材料に、支持体上に金属イオン含有化合物を含む色素受像層を有する受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、前記色素と前記金属イオン含有化合物とから得られる金属キレート色素により画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
- 前記一般式(I)または(II)で表される色素と金属イオン含有化合物との反応により生成する金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするインク。
- 前記一般式(I)または(II)で表される色素と金属イオン含有化合物との反応により生成する金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするトナー。
- 前記一般式(I)または(II)で表される色素と金属イオン含有化合物との反応により生成する金属キレート色素を少なくとも1種含有することを特徴とするカラーフィルター。
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