JP3799863B2 - 感熱転写記録材料及び感熱転写記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱転写記録材料及び感熱転写記録方法に関し、詳しくは高濃度で色再現性が良好で、画像安定性が良好な画像を得る為の画像記録材料、及びこの感熱転写記録材料を用いて、効率的に色再現性及び画像安定性の良好な画像を記録することができる感熱転写記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、カラーハードコピーを得る方法として、インクジェット、電子写真、感熱転写、ハロゲン化銀感光材料などによるカラー画像記録が検討されている。これらの中でも、感熱転写記録は、操作や保守が容易であること、装置の小型化、低コスト化が可能なこと、更にランニングコストが安いこと等の利点を有している。
【0003】
この感熱転写記録においては、感熱転写記録材料(以下、感熱転写材料とも記す)に用いられる色素が重要である。得られた画像の安定性、特に定着や耐光性を改良する目的で、キレート化可能な熱拡散性色素(以下、後キレート色素と記す)を用いる感熱転写材料及び画像形成方法が提案されており、例えば特開昭59−78893号、同59−109349号、同60−2398号等に記載されている。上記特許で開示される後キレート色素を用いて形成された画像は、耐光性や定着性に優れているが、感熱転写材料の感度や材料自体の保存性の点では十分に満足するものではなく、又、後キレート色素とキレート色素の間での色相差が大きいため、画像形成時のキレート反応が不十分な場合には未反応の後キレート色素の吸収が残存したり、形成されたキレート色素自体の不整吸収があったりするため、フルカラー画像を得る場合には、色再現の点で更に改良される必要があった。
【0004】
特に特開平3−143684号、同3−143686号、特願平9−257947号には、ピラゾロピリミジン−7オン母核を有する色素を用いた感熱転写記録材料の記載がある。これらの色素は、上記の如き問題点を或る程度改善しているものの、未だ十分なレベルとは言えず、又、色再現性及び高温高湿下での保存性(耐熱湿性)が不十分であり、更なる改良が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、定着性や画像保存性に優れた画像を得るための感熱転写記録材料及び該記録材料を用いた感熱転写記録方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、ピラゾロピリミジン−7−オン母核を有する新規な色素を用いた感熱転写記録材料により、本発明の目的を達成し得ることを見い出し本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明の上記目的は下記構成によって達成される。
【0008】
(1)色素として、一般式(I)で表される色素のみを含有する感熱転写記録材料。
【0009】
【化2】
【0010】
式中、R1及びR2は各々、置換又は無置換のアルキル基を表し、又、互いに結合してピロリジン、モルホリン、チオモルホリンから選ばれる環を形成してもよい。R3は置換基を表す。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の時、複数のR3は同じでも異なってもよい。R4は炭素数2以上の直鎖アルキル基、シクロアルキル基、3級でない分岐アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアミノ基を表し、R5及びR6は各々、水素原子、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアシルアミノ基を表す。又、R 5 及びR 6 が共にアルキル基の場合、互いに結合してシクロアルケン環状構造を形成してもよい。
【0011】
(2)前記一般式(I)におけるR4又はR5がオルト位に置換基を有するアリール基である(1)に記載の感熱転写記録材料。
【0012】
(3)前記一般式(I)におけるR4、R5及びR6のうち少なくとも一つが3級でない分岐アルキル基である(1)に記載の感熱転写記録材料。
【0013】
(4)支持体上に、色素として前記一般式(I)で表される色素のみを含有する色素供与層を有する色素供与材料に受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、画像を形成する感熱転写記録方法。
【0014】
(5)支持体上に、色素として前記一般式(I)で表される色素のみを含有する色素供与層を有する色素供与材料に、支持体上に金属イオン含有化合物を含む色素受像層を有する受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、前記色素と前記金属イオン含有化合物との反応により金属キレート色素画像を形成する感熱転写記録方法。
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
まず、一般式(I)で表される新規色素について説明する。
【0017】
一般式(I)において、R1及びR2で表される置換又は無置換のアルキル基は炭素数2〜10の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等で置換されてもよい。又、R1とR2が互いに結合してピロリジン、ピペリジン、(チオ)モルホリンから選ばれる環を形成してもよい。
【0018】
R3で表される置換基としては、ベンゼン環に置換し得る基であれば特に制限されないが、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表すが1が好ましい。
【0019】
R4は炭素数2以上の直鎖アルキル基、シクロアルキル基、3級でない分岐アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアミノ基を表すが、炭素数2以上の直鎖アルキル基としては、エチル、ブチル、ペンチル、オクチル等の各基が挙げられ、分岐アルキル基としては、i−プロピル、i−ブチル、2−エチルヘキシル等の各基が挙げられる。R4において本発明から除かれる3級アルキル基とは、当業界では明らかなことだが、ピラゾロピリミジン環に隣接した炭素が3級のもの(t−ブチル、t−ペンチル、t−オクチル等)を指し、その他の炭素が3級のもの(neo−ペンチル、neo−ヘキシル、2−t−ブトキシエチル等)は、本発明に含まれる。
【0020】
R4で表されるアリール基及びアルコキシ基は、それぞれ後記のR5及びR6で表される基と同義である。R 4 で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ等が、アミノ基としては、ジメチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、n−ドデシルアミノ等のアルキルアミノ基、アニリノ、p−t−オクチルアニリノ等のアリールアミノ基が挙げられる。
【0021】
R4としては、上記置換基の中でも、3級でない分岐アルキル基、オルト位に置換基を有するアリール基(o−クロロフェニル、o−トリル、o−アニシル、2,6−ジクロロフェニル、o−(2−エトキシエトキシ)フェニル、o−ブトキシフェニル、メシチル等)が好ましい。
【0022】
R5及びR6で表される水素原子以外の置換基としては、直鎖又は分岐のアルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、ドデシル、1−ヘキシルノニル等)、アリール基(フェニル、o−トリル、o−アニシル、1−ナフチル、9−アントラニル等)、アルコキシ基(メトキシ、2−エトキシエトキシ等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ミリストイルアミノ等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ等のアリールカルボニルアミノ基)が挙げられる。
【0023】
上記置換基の中でも、R5及びR6としては、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基が好ましい。又、R5 及びR6 が共にアルキル基の場合、互いに結合してシクロアルケン環状構造(シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン等)を形成してもよく、これも好ましい。
【0024】
以下に本発明中の一般式(I)で表される色素の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
本発明のピラゾロピリミジン−7−オン母核の色素は下記のように合成できる。
【0036】
合成例(例示化合物55の合成)
【0037】
【化13】
【0038】
(中間体1の合成)
水素化ナトリウム(60重量%)126gをトルエン1100mlに懸濁し、そこにo−トルイル酸メチル273g、アセトニトリル140gの混合物を室温で滴下した。滴下終了後、60℃で加熱しながら10時間攪拌した。反応液を室温に冷却し、水に空け、酢酸を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗を繰り返し、溶媒を減圧下で溜去して得られる残留物をi−プロパノールで再結晶し、中間体1の結晶を299g得た。核磁器共鳴スペクトル、マススペクトルで構造を確認した。
【0039】
(中間体2の合成)
288gの中間体1をエタノール1900mlに溶解し、ヒドラジン1水和物を100g加え12時間加熱・還流した。反応液を室温まで冷却した後、水に空け、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗を繰り返し、溶媒を減圧下で溜去して中間体2を淡褐色のオイルとして300g得た。更なる精製は行わず、そのまま次工程へ用いた。
【0040】
(中間体4の合成)
60.4gの中間体2と73.7gの中間体3をブタノール450mlに溶解し、触媒量のp−トルエンスルホン酸を加え25時間加熱・還流した。反応液を室温まで冷却した後、水に空け、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗を繰り返し、溶媒を減圧下で溜去して得られる残留物をアセトニトリルで再結晶し、中間体4の結晶を78.1g得た。核磁器共鳴スペクトル、マススペクトルで構造を確認した。
【0041】
(例示化合物55の合成)
2.50gの中間体4を酢酸エチル75mlに溶解し、5%炭酸カリウム水溶液100ml、4−(N,N−ジエチルアミノ)アニリン塩酸塩2.09gを加え、過硫酸アンモニウム6.08gを含む水溶液を滴下した。滴下終了後、有機層は水洗を繰り返し、溶媒を減圧下で溜去してえられる残留物をアセトニトリルで再結晶し、例示化合物55の結晶を3.10g得た。核磁器共鳴スペクトル、マススペクトルで構造を確認した。
【0042】
例示化合物55と100倍モルの金属イオン含有化合物(MS−1)との混合物のアセトン溶液での吸収極大は620nm(吸光係数=52,000)であった。
【0043】
MS−1:Ni2+[C7H15COCH(COOCH3)=CH(CH3)O-]2
尚、その他の例示化合物についても同様の方法で合成することができる。
【0044】
本発明の感熱転写材料は、支持体上に本発明の色素を有する感熱転写層から構成される。感熱転写層は、色素をバインダーと共に溶剤中に溶解することにより、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることにより感熱転写層形成用インク液を調製し、支持体上に塗布して適宜に乾燥することで形成できる。感熱転写層の厚さは、乾燥膜厚で0.1〜10μmが好ましい。
【0045】
バインダーとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ニトロセルロース、エチルセルロース等の溶剤可溶性ポリマーが好ましい。これらのバインダーは1種又は2種以上を有機溶媒に溶解して用いるだけでなく、ラテックス分散の形で使用してもよい。バインダーの使用量は、支持体1m2当たり0.1〜20gが好ましい。
【0046】
有機溶媒としては、アルコール類(エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、芳香族類(トルエン、キシレン等)、エステル類(酢酸エチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。
【0047】
支持体としては、寸法安定性が良く、記録の際感熱ヘッド等の加熱に耐えるものであればよいが、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネートのような耐熱性のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。支持体の厚さは2〜30μmが好ましい。
【0048】
又、支持体には、バインダーとの接着性の改良や色素の支持体への転写、染着を防止する目的で選択されたポリマーから成る下引層を有することが好ましい。更に、支持体の裏面(感熱転写層と反対側)には、ヘッドが支持体に粘着するのを防止する目的でスリッピング層を有してもよい。
【0049】
本発明の感熱転写材料は、後述する受像材料に普通紙の如く受像層を特に設けていないものを用いる目的で、感熱転写層上又は別層として特開昭59−106997号に記載されるような熱溶融性化合物を含有する熱溶融性層を有してもよい。この熱溶融性化合物としては、65〜150℃の温度で溶融する無色又は白色の化合物が好ましく、例えばカルナバ蝋、蜜蝋、カンデリンワックス等のワックス類が用いられる。
【0050】
尚、熱溶融性層には、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリエステル、酢酸ビニル等のポリマーが含有されてもよい。
【0051】
本発明の感熱転写材料をフルカラー画像記録に適用するには、イエロー画像を形成できる熱拡散性イエロー色素を含有するイエロー感熱転写層、マゼンタ画像を形成できる熱拡散性マゼンタ色素を含有するマゼンタ感熱転写層、シアン画像を形成できる熱拡散性シアン色素を含有するシアン感熱転写層の合計3層を支持体上の同一表面上に順次繰り返して塗設することが好ましい。又、必要に応じて、他に黒色画像形成物質を含む感熱転写層の合計4層が同一表面上に順次繰り返して塗設されてもよい。
【0052】
本発明の感熱転写記録方法においては、支持体上に、色素として前記一般式(I)で表される色素のみを含有する色素供与層を有する色素供与材料に、受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、色素を転写して画像を形成する。
【0053】
更に本発明の色素と金属イオン含有化合物とを組み合わせて用いるのが好ましい。即ち、支持体上に、色素として前記一般式(I)で表される色素のみを含有する色素供与層を有する色素供与材料に、支持体上に金属イオン含有化合物を含む色素受像層を有する受像材料を重ね、前記色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、色素と金属イオン含有化合物との反応により金属キレート色素画像を形成する。この金属イオン含有化合物は、受像材料中に存在させてもよいし、色素供与材料の熱溶融性層中に存在させてもよい。
【0054】
金属イオン含有化合物は、金属イオンの無機又は有機の塩及び金属錯体が挙げられ、中でも有機酸の塩及び錯体が好ましい。
【0055】
金属としては、周期律表の第V〜VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl,Co,Cr,Cu,Fe,Mg,Mn,Mo,Ni,Sn,Ti及びZnが好ましく、特にNi,Cu,Cr,Co及びZnが好ましい。金属イオン含有化合物の具体例としては、Ni2+,Cu2+,Cr2+,Co2+及びZn2+と酢酸やステアリン酸等の脂肪族酸との塩、又は安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボン酸との塩などが挙げられる。又、下記一般式(II)で表される錯体は特に好ましく用いることができる。
【0056】
一般式(II) [M(Q1)a(Q2)b(Q3)c]p+(Y-)p
式中、Mは金属イオン、好ましくはNi2+,Cu2+,Cr2+,Co2+,Zn2+を表す。
【0057】
Q1,Q2,Q3は各々、Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なってもよい。これらの配位化合物としては、例えばキレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。
【0058】
Yは有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニル硼素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等が挙げられる。
【0059】
aは1、2又は3を表し、bは1、2又は0を表し、cは1又は0を表すが、これらは一般式(II)で表される錯体が4座配位か6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1,Q2,Q3の配位子の数によって決定される。
【0060】
pは0、1又は2を表す。p=0は、Qで表される配位化合物がアニオン性化合物であり、Qで表されるアニオン性化合物とMで表される金属カチオンとが電気的に中和された状態であることを意味する。
【0061】
アニオン性化合物としては下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
【0062】
一般式(III) O-C(R5)=CH(R7)COR6
式中、R5及びR6は、各々同じであっても異なってもよいアルキル基又はアリール基を表し、R7はアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。
【0063】
金属イオン含有化合物の添加量は、通常、受像材料又は熱溶融性層に対し0.5〜20g/m2が好ましく、1〜15g/m2がより好ましい。
【0064】
金属錯体色素による画像を形成する受像材料は、一般に、紙、プラスチックフィルム、又は紙−プラスチックフィルム複合体を支持体とし、その上に受像層としてポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマー(酢酸ビニル等)との共重合樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート等の1種又は2種以上から成るポリマー層を形成して成る。
【0065】
受像材料は、必要に応じて、受像層中に酸化防止剤、離型剤等を含有してもよく、又、受像層の上に保護層を設けてもよく、更に支持体と受像層の間に接着や断熱あるいはクッション効果を目的として中間層を設けてもよい。更に支持体の裏面(受像層と反対側)には、帯電防止層、ブロッキング防止を目的として無機又は有機の非昇華性微粒子を含む背面層を設けてもよい。又、支持体両面に受像層を設けていてもよい。尚、支持体そのものを受像材料にすることもある。
【0066】
感熱転写記録方法にはサーマルヘッドによる加熱が一般的であるが、通電加熱やレーザーを用いた加熱でもよい。サーマルヘッド等による熱の付与は、色素供与材料又は熱転写材料の背面側からでも、又、受像材料の背面側でも特に制限なく行われてよいが、色素の転写速度及び画像濃度等を考慮した場合、色素供与材料の背面側から行うのが好ましい。又、色素の転写前、転写中あるいは転写後に、更に加熱して色素転写の促進、金属イオン含有化合物との反応促進、転写色素の定着促進を図ることができる。
【0067】
次に、図1及び図2を参照して本発明の感熱転写記録方法の一例を説明する。
【0068】
図1の感熱転写記録材料において、受像材料3は、支持体1上に金属イオン含有化合物を含む受像層2が設けられた構成であり、色素供与材料6は、支持体4上に本発明に係る色素を含む色素供与層5が設けられた構成である。受像材料3及び色素供与材料6には、それぞれ支持体との間に中間層を設けてもよい。
【0069】
感熱転写記録方法としては、受像材料3及び色素供与材料6を重ね合わせ、色素供与材料6の背面側からサーマルヘッド7に担持された発熱抵抗体8により画像情報に応じた熱を与え、その後、両材料を剥離する。その際、色素供与層5中の色素と受像層2中の金属イオン含有化合物との反応により金属錯体色素画像が形成される。
【0070】
又、図2の感熱転写記録材料において、上記図1の感熱転写記録材料の色素供与材料6(4+5)上に金属イオン含有化合物を含む熱溶融性層9を積層して成る感熱転写記録材料10と、前述した普通紙の如く受像層を特に設けていない受像材料3を重ね合わせ、図1の感熱転写記録方法と同様にサーマルヘッド7を用い、その後、両材料を剥離して画像形成を行う。この方法の場合、サーマルヘッド7による熱付与の際、感熱転写記録材料10上の色素供与層5及び熱溶融性層9との間で、色素と金属イオン含有化合物との反応により金属錯体色素画像が生成し、その後、受像材料3上に画像が受容される。
【0071】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0072】
実施例1
(インクの調製)
下記の原料を混合して本発明の色素を含有する均一な溶液のインクを得た。色素の溶解性は良好であり、インク化適性も良好であった。
【0073】
例示色素1 0.72g
ポリビニルアセトアセタール樹脂
(KY−24:電機化学工業製) 1.08g
メチルエチルケトン 26.4ml
トルエン 1.6ml
(感熱転写記録材料の作製)
上記インクを、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)ベース上にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が2.3g/m2になるように塗布・乾燥し、PETフィルム上に感熱転写層を設けて成る感熱転写記録材料1を作製した。尚、該PETベースの裏面には、スティキング防止層としてシリコン変性ウレタン樹脂(SP−2105:大日精化製)を含むニトロセルロース層が設けられている。
【0074】
記録材料1の色素を表1に示す色素に代えた以外は同様にして、記録材料2〜20を作製した。
【0075】
(受像材料の作製)
紙の両面にポリエチレンをラミネートをラミネートした支持体(片側のポリエチレン層に白色顔料(二酸化チタン)と青味剤を含む)の上に、下記組成の塗布液を乾燥後の塗布量が7.2gになるように塗布・乾燥し、受像材料1を作製した。
【0076】
金属イオン含有化合物(MS−1:前出) 4.0g
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1:積水化学工業製) 6.0g
ポリエステル変成シリコン 0.3g
(感熱転写記録)
前記記録材料と受像材料とを重ね合わせ、感熱ヘッドを記録材料の裏面から当ててサーマルプリンターで画像記録を行い、階調性の優れた画像1〜20を得た。
【0077】
得られた画像の最大濃度、記録材料の感度、画像保存性及び色再現性について下記に従って評価した。
【0078】
《最大濃度》
濃度計X−rite310TR(X−rite社製)により画像の最大反射濃度(通常、印加時間が最大の部分)を測定した。
【0079】
《感度》
記録材料18で形成される画像18の濃度が1.0となる時の印加エネルギーを1とした時の各記録材料の相対的な印加エネルギーを求めた。数字が小さいほど感度が高いことを示す。
【0080】
《耐湿熱性》
得られた画像を85℃・60%RH(相対湿度)で7日間放置した時の色素の保存安定性を評価した。7日放置後の色素残存率で示す。尚、色素残存率は、放置前の濃度をD0、放置後の濃度をDとして(D/D0)×100(%)で表す。
【0081】
《色再現性》
得られたシアン画像の色調を目視で評価した。評価は1〜5の5段階評価で行い、数字が大きいほど優れていることを示す。
【0082】
結果を併せて表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【化14】
【0085】
表1に示す通り、本発明の色素を用いた記録材料は感度が高く、高濃度で画像保存性の良好な画像を得ることが出来る。又、前述の様に本発明のより好ましい形態を用いることにより色再現性及び耐熱湿性が更に向上することが解る。
【0086】
実施例2
実施例1の受像材料1から金属イオン含有化合物(MS−1)を除いた以外は受像材料1と同じ組成の受像材料2を作製した。これを用いて前記画像1〜18の定着性を調べた。
【0087】
《定着性》
画像の受像面と上記受像材料2の受像面を重ね合わせ、40℃で20kg/m2の加重を加えて48時間放置した後、引き剥がして受像材料2への色素の転移を目視で観察した。
【0088】
その結果、本発明の記録方法で記録した画像1〜17は、何れも受像材料2への色素転移は認められなかったが、画像18では色素の転移が認められた。即ち、本発明の記録方法に従えば定着性の優れた画像が得られることが解る。
【0089】
実施例3
(インクの調製)
下記の原料を混合して本発明の色素を含有する均一な溶液のインクを得た(実施例1と同組成)。
【0090】
例示色素1 0.72g
ポリビニルアセトアセタール樹脂(KY−24:前出) 1.08g
メチルエチルケトン 26.4ml
トルエン 1.6ml
(感熱転写記録材料の作製)
上記インクを、厚さ4.5μmのPETベース上にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が2.3g/m2になるように塗布・乾燥し、PETフィルム上に感熱転写層を形成してなる感熱転写記録材料21を作製した。尚、上記PETベースの裏面には、スティキング防止層としてシリコン変性ウレタン樹脂(SP−2105:前出)を含むニトロセルロース層が設けられている。
【0091】
記録材料21の色素を表2に示す色素に代えた以外は同様にして、記録材料22〜40を作製した。
【0092】
(受像材料の作製)
紙の両面にポリエチレンをラミネートをラミネートした支持体(片側のポリエチレン層に白色顔料(TiO2)と青味剤を含む)の上に、下記組成の塗布液を乾燥後の塗布量が7.2g/m2になるように塗布・乾燥し、受像材料3を作製した。
【0093】
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1:前出) 6.0g
ポリエステル変成シリコン 0.3g
(感熱転写記録)
前記記録材料と受像材料とを重ね合わせ、感熱ヘッドを記録材料の裏面から当ててサーマルプリンターで画像記録を行い、階調性の優れた画像21〜40を得た。
【0094】
得られた画像の最大濃度、記録材料の感度、画像保存性及び色再現性について実施例1と全く同じ方法に従って評価した。ただし、感度は記録材料38で形成される画像の濃度が1.0となる時の印加エネルギーを1とした時の相対感度である。
【0095】
結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
表2が示す通り、本発明の色素を用いた記録材料は感度が高く、高濃度で画像保存性の良好な画像を得ることが出来る。又、前述の様に本発明のより好ましい形態を用いることにより色再現性及び耐熱湿性が更に向上することが解る。
【0098】
【発明の効果】
本発明による感熱転写記録材料及び該記録材料を用いた感熱転写記録方法によれば、定着性や耐光性等の画像保存性に優れた画像を得ることができ、インクシートの保存性が良好で、かつ高感度記録が可能で、2次吸収の少ない色再現上好ましい色相の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱転写記録方法の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の感熱転写記録方法の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 受像層
3 受像材料
4 支持体
5 色素供与層
6 色素供与材料
7 サーマルヘッド
8 発熱抵抗体
9 熱溶融性層
10 感熱転写記録材料
Claims (5)
- 色素として、一般式(I)で表される色素のみを含有することを特徴とする感熱転写記録材料。
- 前記一般式(I)におけるR4又はR5がオルト位に置換基を有するアリール基であることを特徴とする請求項1記載の感熱転写記録材料。
- 前記一般式(I)におけるR4、R5及びR6のうち少なくとも一つが3級でない分岐アルキル基であることを特徴とする請求項1記載の感熱転写記録材料。
- 支持体上に、色素として前記一般式(I)で表される色素のみを含有する色素供与層を有する色素供与材料に受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
- 支持体上に、色素として前記一般式(I)で表される色素のみを含有する色素供与層を有する色素供与材料に、支持体上に金属イオン含有化合物を含む色素受像層を有する受像材料を重ね、該色素供与材料を画像情報に応じて加熱し、前記色素と前記金属イオン含有化合物との反応により金属キレート色素画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
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