JP3593435B2 - トルクコンバータのロックアップダンパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トルクコンバータのロックアップ機構に含まれる、入力側回転体から出力側回転体に伝わる振動を減衰するためのロックアップダンパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にダンパー機構は、入力側回転体から出力側回転体にトルクを伝達しつつ、入力側回転体から出力側回転体に伝わる振動を減衰する。このダンパー機構の一例として、トルクコンバータ内部に配置されているロックアップ機構に含まれるダンパー(以下、ロックアップダンパーと称す)がある。
【0003】
トルクコンバータは、3種の羽根車(インペラ,タービン,ステータ)を内部に有し、内部の作動油によりトルクを伝達する装置である。インペラはトルクが入力されるフロントカバーに固定されており、インペラからステータを介してタービンに流れる作動油によりインペラからタービンに伝達されるトルクがタービンに連結されるトランスミッションのメインドライブシャフトに伝えられる。
【0004】
ロックアップ機構は、フロントカバー(入力側回転体)とタービン(出力側回転体)との間に配置されており、フロントカバーとタービンとを機械的に連結してトルクを作動油を介せず直接伝達するためのものである。
通常、このロックアップ機構は、フロントカバーに圧接可能なピストン部材と、ピストン部材に固定されるドライブ部材と、ドライブ部材に支持されるコイルスプリングと、コイルスプリングによって回転方向にピストン部材と弾性的に連結されるドリブン部材とを有している。ドリブン部材はタービンに固定されている。これらのロックアップ機構を構成する部材はまた、入力された振動を減衰するロックアップダンパーを構成する。
【0005】
ロックアップ機構が作動すると、ピストン部材がフロントカバーと摺動あるいは圧接し、トルクはフロントカバーからピストン部材に伝達され、コイルスプリングを介してタービンに伝わる。このとき、ロックアップ機構は、トルクを伝達するとともにロックアップダンパーによって捩り振動を減衰する。ここでは、コイルスプリングがドライブ部材とドリブン部材との間で圧縮を繰り返すことによって、捩り振動が減衰される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近、トルクコンバータの軸方向寸法の低減のために、弾性部材をスペースに比較的余裕のあるトルクコンバータの外周部に配置するロックアップダンパーが使われることが多くなっている。但し、弾性部材をトルクコンバータの外周部に配置すると、内周部あるいは中間部に配置する場合よりもロックアップダンパーの捩り可能な角度が小さくなってしまう。この欠点を解消する方法として、中間部材などを介して2つの弾性部材を直列に配置することが考えられる。これにより、直列に連結された弾性部材は圧縮可能量が大きくなり、所定の捩り角度を確保することができる。また、バネ定数の異なる2つの弾性部材を直列に組み合わせれば、ロックアップダンパーの捩り特性を2段階等の特性を持たせることにより向上させることができる。
【0007】
上記のようなロックアップダンパーでは、ドライブ部材とドリブン部材との所定角度以上の相対回転を規制するためにストッパー機構を設ける必要がある。すなわち、ある程度以上のトルクを伝達する時にはストッパー機構が働き、所定角度以上のドライブ部材とドリブン部材との相対回転が禁止されるようにしなければならない。このストッパー機構として、例えば弾性部材であるコイルスプリングを密着するまで使用して、密着したコイルスプリングをストッパー機構として兼用することが考えられる。
【0008】
しかし、このようにコイルスプリングをストッパー機構として使用すると、伝達される最大のトルク負荷に対して十分な耐久強度を有するコイルスプリングを採用する必要があり、コイルスプリングの選択の幅が狭まる。これにより、ダンパー特性が制約されたり、コイルスプリングのコストが高くなる。特に最近では、ロックアップ機構の耐久性の向上が要望されており、コイルスプリングにかかる負荷を低減する必要がある。
【0009】
一方、弾性部材(コイルスプリング)をストッパー機構として使わない場合には別個にストッパー機構を設ける必要があるが、別個にストッパー機構を設けると部品点数や作業工数が増加して製作コストが上昇する。
本発明の課題は、トルクコンバータのロックアップダンパーにおいて、製作コストの上昇を抑えつつ弾性部材にかかる負荷を低減するようなストッパー機構を設け、設計上の弾性部材の選択の幅を広げ、車両の必要に応じた捩り特性の設定を容易にすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のトルクコンバータのロックアップダンパーは、入力側回転体から出力側回転体に正回転方向へのトルクを機械的に伝達するトルクコンバータのロックアップ機構に含まれる、入力側回転体から出力側回転体に伝わる振動を減衰するトルクコンバータのロックアップダンパーであって、入力側部材と、出力側部材と、第1弾性部材と、第2弾性部材と、中間部材とを備えている。入力側部材には入力側回転体からトルクが入力される。出力側部材は出力側回転体にトルクを出力する。第1弾性部材は入力側部材と出力側部材との間に配置される。第2弾性部材は、第1弾性部材よりも小さい弾性係数を有しており、入力側部材あるいは出力側部材と第1弾性部材との間に配置される。中間部材は、支持部と、係止部とを有している。中間部材の支持部は、第1弾性部材と第2弾性部材との間に配置され、第1及び第2弾性部材を円周方向に支持する。中間部材の係止部は、入力側部材が出力側部材に対して正回転方向に捩れるときに、第2弾性部材の許容変形量以上の変形を抑えるように入力側部材あるいは出力側部材に対する所定の角度以上の回転を規制するためのものであって、入力側部材あるいは出力側部材に係止し得る。
入力側部材が出力側部材に対して負回転方向に捩れるときに、第1弾性部材の変形が停止する時に第2弾性部材は線間密着して変形を停止する。
【0011】
入力側回転体から入力側部材に伝達されたトルクは、中間部材の支持部を介して円周方向に連結されている第1及び第2弾性部材に伝わる。そして、トルクはこれらの弾性部材から出力側部材に伝達され、出力側回転体に出力される。トルクとともにロックアップダンパーに入力される捩り振動は、各弾性部材の圧縮の繰り返しや他の部材との摩擦摺動等により吸収・減衰される。
【0012】
ここでは、中間部材を介して2つの弾性部材を直列に配置しており、ロックアップダンパーは広い捩り角特性を有することになる。これにより、特にトルクコンバータの軸方向寸法の低減のために弾性部材をトルクコンバータの外周部に配置するような場合、すなわち、弾性部材の圧縮可能量を大きくとる必要がある場合にも、所定の捩り角特性を確保できる。
【0013】
また、本請求項のロックアップダンパーの中間部材には第1係止部が設けられており、この第1係止部が入力側部材あるいは出力側部材に係止し得る構造となっている。そして、第1係止部と入力側部材あるいは出力側部材との係止によって、入力側部材が出力側部材に対して正回転方向に捩れるときに中間部材と入力側部材あるいは出力側部材との所定の角度以上の相対回転が規制され、第2弾性部材の許容変形量以上の変形が抑えられる。すなわち、ここでは、トルクコンバータのロックアップダンパーに作用するトルクのうち弾性部材の寿命に影響を与えるような大きなトルクは入力側部材が出力側部材に対して正回転方向に捩れるときに作用すること、及び第1弾性部材は弾性係数が大きく耐久強度に余裕がありストッパーとして兼用しても十分な寿命を確保できることが多いことを考慮して、ロックアップダンパーの一方の回転方向の捩りに対する第2弾性部材のみの保護を図っている。したがって、両回転方向に対して第2弾性部材を保護しようとする場合や第1弾性部材をも保護しようとする場合に必要となるストッパー構造に較べて、本請求項の構造は簡易なものである。これにより、製作コストの上昇を抑えたストッパー機構により耐久性の低い第2弾性部材の許容変形量以上の変形が抑えられ、設計上の第2弾性部材の選択の幅が広がり、車両の必要に応じた捩り特性の設定が容易となる。例えば、第2弾性部材の剛性をより低く設定し、微少捩り振動の吸収性を向上させることも可能となる。
【0014】
請求項2に記載のトルクコンバータのロックアップダンパーでは、請求項1において、中間部材は、入力側部材が出力側部材に対して負回転方向に捩れるときに第1弾性部材の変形を抑えるように入力側部材あるいは出力側部材に対する所定の角度以上の回転を規制するための入力側部材あるいは出力側部材に係止し得る第2係止部をさらに有する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に、本発明の一実施形態としてのロックアップダンパーを含むトルクコンバータのロックアップ機構1を示す。図2及び図3の左側にエンジン(図示せず)が配置され、図2及び図3の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。図1は、後述するドリブンプレート5の環状部5aを除いたロックアップ機構1をトランスミッション側から見た一部断面図である。また、図1に記載の回転方向において、回転方向(向き)R1がエンジン及びトルクコンバータの正回転方向であり、回転方向(向き)R2が負回転方向である。
【0020】
トルクコンバータは一般的な構造であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図2において、トルクコンバータのフロントカバー50(入力側回転体)とタービン52(出力側回転体)が図示されている。フロントカバー50はエンジンのクランクシャフトに連結される部材であり、図示していないインペラとともにトルクコンバータの作動油室を形成する。フロントカバー50の外周側内壁面には、平坦な環状の摩擦面51が形成されている。タービン52は、図示しないインペラと軸方向に対向する羽根車であり、主に、タービンシェル53と、タービンシェル53に固定された複数のタービンブレード54とから構成されている。タービンシェル53の内周部は、タービンハブを介してトランスミッションのメインドライブシャフト(図示せず)に連結されている。
【0021】
ロックアップ機構1は、フロントカバー50からトルクを機械的にタービン52に伝達しつつ、入力された捩じり振動を吸収・減衰するための機構である。すなわち、ロックアップ機構1は、クラッチ機能とダンパー機能(ロックアップダンパー)とを有している。ロックアップ機構1は、図2に示すように、フロントカバー50とタービン52との間の空間に配置されている。
【0022】
このロックアップ機構1は、主にピストン2とドライブプレート3とからなる入力側部材と、主にドリブンプレート5からなる出力側部材と、入力側部材と出力側部材との間に配置される第1,第2コイルスプリング(第1,第2弾性部材)7,8及びインターミディエイトプレート(中間部材)4とから構成されている。
【0023】
入力側部材は、ピストン2と、ドライブプレート3と、ストップピン9とから構成されている。
ピストン2は、トルクコンバータ本体内の油圧を制御することでフロントカバー50側に接近あるいはフロントカバー50から離反するクラッチ部材である。ピストン2は、円板状の部材であって、内周突出部11と外周突出部12とを有している。内周突出部11及び外周突出部12はトランスミッション側に突出する筒状部分である。内周突出部11はタービンハブ(図示せず)の外周面に相対回転自在にかつ軸方向に移動可能に支持されている。ピストン2のエンジン側の側面には、フロントカバー50の摩擦面51に対向する円板状の摩擦フェーシング2aが固定されている。
【0024】
ドライブプレート3は、ピストン2に固定され、第1,第2コイルスプリング7,8を回転方向に支持するための部材である。ドライブプレート3は、ピストン2のエンジン側外周部(外周突出部12の内周側)において回転方向に等間隔で4か所に配置されている。図1及び図2に示すように、ドライブプレート3は、回転方向に延びる固定部13と、固定部13の外周部からトランスミッション側に延びる内周係合部14と、内周係合部14から半径方向外方に延びるとともにエンジン側に凹んだ凹部15と、凹部15からさらに半径方向外方に延びる外周係合部16とから構成されている。内周係合部14と凹部15と外周係合部16は、それぞれが第1,第2コイルスプリング7,8の端面に装着される後述する第1,第2スプリングシート30,31の内周側、半径方向中間部、外周側に当接可能な入力側係止部になっている。固定部13にはリベット10が貫通する孔が形成されている。ドライブプレート3は、図2に示すようにリベット10によってピストン2に一体に固定され、入力側の部材として機能している。入力側係止部が第1,第2コイルスプリング7,8の端面の半径方向の位置が異なる複数箇所を支持しているため、第1,第2コイルスプリング7,8の端部の支持が安定する。外周係合部16の外周面は、ピストン2の外周突出部12の内周面に当接している。これにより、ドライブプレート3の位置決めが容易になるとともに、ドライブプレート3の半径方向外方への変形が抑えられる。
【0025】
ストップピン9は、リベット10と半径方向にほぼ同じ位置に、回転方向にはほぼ隣接するドライブプレート3の中間に配置されており、図3に示すようにピストン2に固定されている。
第1,第2コイルスプリング7,8は、インターミディエイトプレート4を介し連結されて1組となっており、回転方向に等間隔で4か所に設けられ、4組の第1,第2コイルスプリング7,8が並列に作用するようになっている。第1コイルスプリング7は、第2コイルスプリング8より剛性が高い。これにより、ロックアップダンパーに2段階の捩り特性が得られている。各組の第1コイルスプリング7はインターミディエイトプレート4の中間支持部21を間に挟み第2コイルスプリング8に対して正回転方向R1側に配置されている。第1コイルスプリング7の正回転方向R1側端には第1スプリングシート30が設けられている。第1スプリングシート30は円板状の支持部と、支持部からコイルスプリング内に延びる係合部とから構成されている。第1スプリングシート30の支持部の背面は、ドライブプレート3の内周係合部14、凹部15及び外周係合部16からなる入力側係止部に支持される。第2コイルスプリング8の負回転方向R2側端には第2スプリングシート31が設けられている。第2スプリングシート31は第1スプリングシート30と同様の構造を有しており、同じくドライブプレート3に支持される。
【0026】
インターミディエイトプレート4は、第1コイルスプリング7と第2コイルスプリング8との間で動作する中間部材であり、図4に示すように、リング20と、中間支持部(支持部)21と、リング20の内周側に形成される第1爪部(係止部)20a及び第2爪部20bとから構成されている。
中間支持部21は、第1コイルスプリング7の負回転方向R2側端と第2コイルスプリング8の正回転方向R1側端との間に配置され、第1,第2コイルスプリング7,8の間でトルク伝達を可能にする。この中間支持部21は、半径方向内側に向かって回転方向幅が狭くなる三角形状を有しており、回転方向両側面は傾斜した第1,第2支持面21a,21bとなっている。このように第1,第2支持面21a,21bが傾斜しているため、第1,第2支持面21a,21bと第1,第2コイルスプリング7,8との偏当たりが抑えられる。したがって、第1,第2コイルスプリング7,8やインターミディエイトプレート4の寿命が延びる。中間支持部21の回転方向両側には回転方向に突出する第1,第2突出部21c,21dが形成されている。第1,第2突出部21c,21dは、それぞれ第1,第2支持面21a,21bから垂直に円周方向に延びており、第1コイルスプリング7の負回転方向R2側端の内部,第2コイルスプリング8の正回転方向R1側端の内部に挿入されている。また、第1,第2突出部21c,21dは、図3に示すように、各第1,第2コイルスプリング7,8の内周面に当接している。4つの中間支持部21は、連結部として機能するリング20により互いに連結されている。これにより、各中間支持部21の半径方向外側への移動が制限される。この結果、第1コイルスプリング7の負回転方向R2側端と第2コイルスプリング8の正回転方向R1側端の半径方向外方への移動が制限される。
【0027】
第1爪部20a及び第2爪部20bは、リング20の内周側に円周方向に等間隔に、それぞれ4か所に形成されている。第1爪部20aは、入力側部材が出力側部材に対して正回転方向R1に捩れるときに第2コイルスプリング8の強度的に許容される変形量以上の変形を抑えるように入力側部材のストップピン9に係止してインターミディエイトプレート4と入力側部材との所定角度以上の相対回転を規制するものである。この第1爪部20aは、ストップピン9の正回転方向R1前方に配置されており、ロックアップダンパー作動時にストップピン9に係止し得る。第2爪部20bは、ストップピン9の正回転方向R1後方に配置されており、ロックアップダンパー作動時にストップピン9に係止し得る。
【0028】
なお、インターミディエイトプレート4は他の部材に直接支持されていないため、他の部材との摩擦抵抗が生じにくい。
出力側部材は、ドリブンプレート5とサポートリング6とから構成されている。ドリプンプレート5はタービン52のタービンシェル53に固定された部材であり、タービンシェル53に溶接された環状部5aと、環状部5aからエンジン側に延び中間支持部21を介して1組となる第1,第2コイルスプリング7,8と隣接する他の第1,第2コイルスプリング7,8の組との間に挿入される4つの係止部5bとを有している。係止部5bは、ドライブプレート3の凹部15内に延び、回転方向両端が第1スプリングシート30と第2スプリングシート31とに当接している。すなわち、係止部5bは出力側係止部として機能する。
【0029】
サポートリング6は、円環状の板金製プレート部材であり、筒状部25と、筒状部25のトランスミッション側端から内周側に延びる円板状部26から主に構成されている。円板状部26の内周縁には、回転方向に等間隔で4か所に切欠き係合部27が形成されている。この切欠き係合部27内にドリブンプレート5の係止部5bが挿入・係合している。これにより、サポートリング6はドリブンプレート5とともに一体回転する。なお、係止部5bと切欠き係合部27との係合は軸方向には着脱自在であり、組立性が考慮されている。切欠き係合部27が形成された部分においては、円板状部26の一部がトランスミッション側に折り曲げられたスプリング当接部28となっている。スプリング当接部28は、第1スプリングシート30と第2スプリングシート31とに当接している。すなわち、スプリング当接部28は、ドリブンプレート5の係止部5bとともに、出力側係止部を構成している。スプリング当接部28と係止部5bが第1,第2コイルスプリング7,8に装着される第1,第2スプリングシート30,31の半径方向の異なる位置を支持しているため、入力側係止部と同様に、第1,第2コイルスプリング7,8の端部の支持が安定する。筒状部25は、外周突出部12の内周側で、第1,第2コイルスプリング7,8の外周を覆うように配置されている。筒状部25はピストン2の外周突出部12に接近しているが、両者の間には隙間が確保されている。筒状部25は第1,第2コイルスプリング7,8の外周側を覆うことにより、これらの半径方向外側への飛び出し等を防止している。図1に示すように、自由状態においては筒状部25と第1,第2コイルスプリング7,8の外周部との間に半径方向の隙間が確保されている。また、筒状部25とインターミディエイトプレート4の中間支持部21との間にも半径方向の隙間が確保されている。
【0030】
なお、ドリブンプレート5とサポートリング6とが別体の部材で構成されているため、部品点数は増えるものの個々の部品の構成が簡単になる。そのため、1個の部材として構成するより全体の加工が容易となっている。
次に動作について説明する。
エンジン側のクランクシャフトのトルクは、図示しないフレキシブルプレートを介してフロントカバー50に入力される。このトルクは、図示しないインペラに伝達される。インペラが回転すると作動油がタービン52側に流れ、タービン52を回転させる。タービン52のトルクは、図示しないタービンハブを介してメインドライブシャフトに出力される。
【0031】
トルクコンバータの速度比が上がりメインドライブシャフトが所定の回転速度になると、ピストン2とフロントカバー50との間の作動油がメインドライブシャフトの内部を通ってドレンされる。この結果、油圧差によって、ピストン2がフロントカバー50の摩擦面51に圧接される。これにより、フロントカバー50のトルクはロックアップ機構1を介してタービン52に伝達される。つまり、フロントカバー50とタービン52とが機械的に連結され、フロントカバー50のトルクがインペラを介さず直接にメインドライブシャフトに出力される。
【0032】
ロックアップ連結状態では、ドライブプレート3の入力側係止部(内周係合部14、凹部15、外周係合部16)がインターミディエイトプレート4により連結されている第1,第2コイルスプリング7,8を正回転方向R1に押し、第1コイルスプリング7がドリブンプレート5の出力側係止部(係止部5b、スプリング当接部28)を押す。これにより、ピストン2からドリブンプレート5にトルクが伝達される。
【0033】
ロックアップ連結状態において、ロックアップ機構1は、トルクを伝達するとともに、フロントカバー50から入力される捩じり振動を吸収・減衰する。具体的には、第1コイルスプリング7と第2コイルスプリング8がドライブプレート3とドリブンプレート5との間で伸縮することにより、捩じり振動を吸収・減衰する。
【0034】
ここでは、第1コイルスプリング7と第2コイルスプリング8とは直列に連結され作用するために、入力側部材と出力側部材との相対回転可能な角度が大きくなり、第1,第2コイルスプリング7,8をトルクコンバータ及びロックアップ機構1の外周部に配置しているにもかかわらず広い捩じり角特性が確保されている。また、第1コイルスプリング7の剛性(ばね定数)と第2コイルスプリング8の剛性とが異なっており図9に示すような2段階の捩り特性を有しているため、入力される捩じり振動の振幅や周波数に応じて効率良く振動を減衰できる。
【0035】
次に、ロックアップ機構1の捩じり動作について、図5から図9の模式図を用いてさらに詳細に説明する。なお、ここでは、入力側部材であるドライブプレート3とストップピン9が固定されているとし、これらに対して出力側部材であるドリブンプレート5が捩じれていく動作として説明する。
まず、ドリブンプレート5が図5に示す中立状態から負回転方向R2側に捩じれる場合を考える。この場合は、ドリブンプレート5が第1コイルスプリング7を負回転方向R2側に押していく。この力は第1コイルスプリング7のばね反力として中間支持部21を介して第2コイルスプリング8に伝えられる。捩じり角度の小さな範囲では、剛性の低い第2コイルスプリング8が主に圧縮され、第1コイルスプリング7は僅かしか圧縮されない。捩じり角度が大きくなると、図6に示すようにインターミディエイトプレート4の第1爪部20aがストップピン9に当接し、インターミディエイトプレート4とドライブプレート3との相対回転が停止する。中立状態では第1コイルスプリング7が寸法m1、第2コイルスプリング8が寸法n1であったものが、このときには第1コイルスプリング7がより短い寸法m2、第2コイルスプリング8がより短い寸法n2となる。そして、インターミディエイトプレート4の中間支持部21とドライブプレート3との間で圧縮されていた第2コイルスプリング8は、インターミディエイトプレート4とドライブプレート3とが相対回転しなくなるため、これ以上圧縮されなくなる。すなわち、剛性が低く大きな力が作用すると部材の寿命へ大きく影響する第2コイルスプリング8は寸法n2以下には圧縮されない。したがって、寸法n2を第2コイルスプリング8の強度的に許容できる寸法に設定することで第2コイルスプリング8の寿命を確保できる。このときの状態を図9に示す捩り特性図に対応させると、捩り角度θ1に相当する。さらに捩じれていくと、インターミディエイトプレート4の中間支持部21とドリブンプレート5との間にある第1コイルスプリング7が圧縮されていく(図7参照)。このときの状態を図9に示す捩り特性図に対応させると、捩り角度θ2に相当する。捩り角度がθ2よりも大きくなっていくと最終的には第1コイルスプリング7がストッパーとして働くことになるが、通常のトルクコンバータの使用では捩り角度θ2以上に捩れることがないように第1コイルスプリング7の剛性が設定されるので、ここでは第1コイルスプリング7は強度的に問題のない寸法m3までしか圧縮しない。
【0036】
次に、ドリブンプレート5が図5に示す中立状態から正回転方向R1側に捩じれる場合を考える。この場合は、ドリブンプレート5が第2コイルスプリング8を正回転方向R1側に押していく。この力は第2コイルスプリング8のばね反力として中間支持部21を介して第1コイルスプリング7に伝えられる。捩じり角度の小さな範囲では、剛性の低い第2コイルスプリング8が主に圧縮され、第1コイルスプリング7は僅かしか圧縮されない。捩じり角度が大きくなると、図8に示すようにインターミディエイトプレート4の第2爪部20bがストップピン9に当接し、インターミディエイトプレート4とドライブプレート3との相対回転が停止する。このときの状態を図9に示す捩り特性図に対応させると、捩り角度θ3に相当する。自由状態におけるストップピン9と第2爪部20bとの距離は、このときに第2コイルスプリング8が圧縮により密着状態になるように設定されている。したがって、ドリブンプレート5とインターミディエイトプレート4とは密着状態の第2コイルスプリング8によって、インターミディエイトプレート4とドライブプレート3とは第2爪部20bとストップピン9との当接によって、それぞれ相対回転不能となり、ドリブンプレート5とドライブプレート3との相対回転が不能となる。すなわち、これ以上捩られるようなトルクが作用すると、第2コイルスプリング8がスットパーとして働くことになり、第2コイルスプリング8の寿命を低下させることになる。しかし、通常のトルクコンバータの使用においてはこのようにドリブンプレート5がドライブプレート3に対して正回転方向R1側に角度θ3以上捩れることはなく、この場合に別個のストッパー機構を設けて第2コイルスプリング8を保護する必要は少ない。このため、本実施形態では、コスト低下や部品点数削減の観点からストップピン9と第1及び第2爪部20a,20bのみを設けてそれ以外のストッパー機構は設けていない。なお、第2爪部20bは、通常の使用態様では捩り角度θ3以上に捩られることはないため、一応のストッパーとして設けられているものではあるがこれを省略した構造とすることもできる。このときには、捩り角度θ3以上に捩られると、第1コイルスプリング7がさらに圧縮され最終的には第1コイルスプリング7もストッパーとして働くことになる。
【0037】
なお、図9における捩り特性K1は第1コイルスプリング7と第2コイルスプリング8とのばね特性が合成されて生じる捩り特性であり、捩り特性K2は第1コイルスプリング7の寸法m2から寸法m3までのばね特性から生じる捩り特性である。
[他の実施形態]
上記実施形態ではストップピン9を入力側部材としているが、第1コイルスプリング7と第2コイルスプリング8との配置を入れ替えて、ストップピン9に相当する係止部材(出力側係止部)を出力側に設けることもできる。このような構造としても、入力側部材が出力側部材に対して正回転方向R1に大きく捩れるときに第2爪部(係止部)20bがストッパーとして働くため、第2コイルスプリング8は保護される。
【0038】
【発明の効果】
本発明では、トルクコンバータのロックアップダンパーに作用するトルクのうち弾性部材の寿命に影響を与えるような大きなトルクは入力側部材が出力側部材に対して正回転方向に捩れるときに作用すること、及び第1弾性部材は弾性係数が大きく耐久強度に余裕がありストッパーとして兼用しても十分な寿命を確保できることが多いことを考慮して、ロックアップダンパーの一方の回転方向の捩りに対する第2弾性部材のみの保護を図っている。したがって、両回転方向に対して第2弾性部材を保護しようとする場合や第1弾性部材をも保護しようとする場合に必要となるストッパー構造に較べて、本発明の構造は簡易なものとすることができる。これにより、製作コストの上昇を抑えたストッパー機構により耐久強度が劣る第2弾性部材の許容変形量以上の変形が抑えられ、設計上の第2弾性部材の選択の幅が広がり、車両の必要に応じた捩り特性の設定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのトルクコンバータのロックアップ機構の一部断面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】図1のIII −III 断面図。
【図4】インターミディエイトプレートの平面図。
【図5】ロックアップダンパーの模式図。
【図6】ロックアップダンパーの模式図。
【図7】ロックアップダンパーの模式図。
【図8】ロックアップダンパーの模式図。
【図9】ロックアップダンパーの捩り角特性図。
【符号の説明】
1 ロックアップ機構
3 ドライブプレート(入力側部材)
4 インターミディエイトプレート(中間部材)
5 ドリブンプレート(出力側部材)
7 第1コイルスプリング(第1弾性部材)
8 第2コイルスプリング(第2弾性部材)
9 ストップピン(入力側係止部)
20a 第1爪部(係止部)
21 中間支持部(支持部)
50 フロントカバー(入力側回転体)
52 タービン(出力側回転体)
Claims (2)
- 入力側回転体から出力側回転体に正回転方向へのトルクを機械的に伝達するトルクコンバータのロックアップ機構に含まれる、前記入力側回転体から前記出力側回転体に伝わる振動を減衰するトルクコンバータのロックアップダンパーであって、
前記入力側回転体からトルクが入力される入力側部材と、
前記出力側回転体にトルクを出力する出力側部材と、
前記入力側部材と前記出力側部材との間に配置される第1弾性部材と、
前記第1弾性部材よりも小さい弾性係数を有し、前記入力側部材あるいは前記出力側部材と前記第1弾性部材との間に配置される第2弾性部材と、
前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に配置され前記第1及び第2弾性部材を円周方向に支持する支持部と、前記入力側部材が前記出力側部材に対して正回転方向に捩れるときに前記第2弾性部材の許容変形量以上の変形を抑えるように前記入力側部材あるいは前記出力側部材に対する所定の角度以上の回転を規制するための前記入力側部材あるいは前記出力側部材に係止し得る第1係止部とを有する中間部材とを備え、
前記入力側部材が前記出力側部材に対して負回転方向に捩れるときに、前記第1弾性部材の変形が停止する時に前記第2弾性部材は線間密着して変形を停止する、
トルクコンバータのロックアップダンパー。 - 前記中間部材は、前記入力側部材が前記出力側部材に対して負回転方向に捩れるときに前記第1弾性部材の変形を抑えるように前記入力側部材あるいは前記出力側部材に対する所定の角度以上の回転を規制するための前記入力側部材あるいは前記出力側部材に係止し得る第2係止部をさらに有する、請求項1に記載のトルクコンバータのロックアップダンパー。
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