JP4892630B1 - 流体継手用ロックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルスプリングに起因する振動を確実に抑制できる流体継手用のロックアップ装置を、提供することにある。
【解決手段】本ロックアップ装置7は、複数組の第1弾性部材32それぞれは、半径方向における所定の位置において円周方向に並べて配置されている。また、複数組の第1弾性部材32それぞれは、フロート部材42に対して相対回転可能である。1組の第1弾性部材32は、複数のバネ部材32a,32bから構成されている。複数のバネ部材32a,32bそれぞれは、円周方向に連続して直列に配置されている。フロート部材42は、第1弾性部材32の半径方向への移動を規制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ロックアップ装置、特に、トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するための流体継手用のロックアップ装置に関する。
トルクコンバータには、トルクをフロントカバーからタービンに直接伝達するためのロックアップ装置が設けられている場合が多い。このロックアップ装置は、ピストンと、ドライブプレートと、複数の外周側のトーションスプリングと、ドリブンプレートと、複数の内周側のトーションスプリングと、中間部材と、を備えている(特許文献1を参照)。ピストンは、フロントカバーに連結可能である。ドライブプレートは、ピストンに連結されている。複数の外周側のトーションスプリングは、ドライブプレートからトルクが入力される。ドリブンプレートは、タービンに連結されている。複数の内周側のトーションスプリングは、外周側のトーションスプリングの内周側に配置され、ドリブンプレートにトルクを伝達する。中間部材は、ドライブプレート及びドリブンプレートと相対回転可能であり、トルクを外周側のトーションスプリングから内周側のトーションスプリングへと伝達する。
特開2001-82577号公報
ロックアップ装置において、エンジンから入力されるトルク変動を効率良く吸収・減衰するためには、タンパーの広捩じり角化が有効である。そこで、特許文献1に示されたロックアップ装置では、外周部と内周部にそれぞれトーションスプリングを配置し、外周側のトーションスプリングと内周側のトーションスプリングとを中間部材によって直列に連結することによって、ダンパーの捩じり角度が広く設計されている。
近年では、特性をさらに向上させることによる低燃費化が要求されている。例えば、上記の従来の技術に加えて、特許3717772号公報の技術を用いた場合を考える。この場合、外周側のトーションスプリングと内周側のトーションスプリングとを中間部材によって直列に連結するだけでなく、2つの外周側のトーションスプリングもフロート部材を介して直列に連結することができる。これにより、ダンパーの捩じり角度をより広く設計することができ、上記の要求を満足することができる。
しかしながら、このように、ダンパーの捩じり角度を広くした場合、フロート部材を介して2つの外周側のトーションスプリングを直列に連結することによる固有モードが発生するおそれがある。例えば、フロート部材を2つの外周側のトーションスプリングに介在させることによって、高回転数域において固有モードが顕在化する可能性が高くなり、この固有モードがエンジンの常用回転数域に現れると、不快な振動や振動音等が発生してしまうおそれがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ロックアップ装置としての振動レベルを、許容範囲内に収めることにある。
請求項1に係る流体継手用のロックアップ装置は、トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するための流体継手用のロックアップ装置である。このロックアップ装置は、入力回転部材と、出力回転部材と、複数組の第1弾性部材と、フロート部材とを、備えている。複数組の第1弾性部材は、入力回転部材と出力回転部材との相対回転によって回転方向に圧縮される。複数組の第1弾性部材それぞれは、半径方向における所定の位置において円周方向に並べて配置されている。また、複数組の第1弾性部材それぞれは、フロート部材に対して相対回転可能である。1組の第1弾性部材は、複数のバネ部材から構成されている。複数のバネ部材それぞれは、円周方向に連続して直列に配置されている。フロート部材は、バネ部材(第1弾性部材)の半径方向への移動を規制する。
このロックアップ装置では、エンジンからのトルクが入力回転部材に入力されると、このトルクは、複数組の第1弾性部材を介して、出力回転部材へと伝達される。ここでは、複数組の第1弾性部材それぞれは、半径方向における所定の位置において円周方向に並べて配置されている。ここでは、複数組の第1弾性部材は、フロート部材に対して相対回転可能であり、フロート部材によって半径方向への移動が規制されている。この状態において、トルクが各組の第1弾性部材に入力されると、各組の第1弾性部材を構成する複数のバネ部材が、円周方向に直列に作用する。
ここで、本ロックアップ装置の効果を説明するための基本情報として、従来のロックアップ装置の振動レベルについての概要を示しておく。フロート部材が存在する場合のロックアップ装置の振動曲線(回転数−振動レベルの曲線;図5の実線を参照)を、考えると、この振動曲線では、ロックアップ装置の固有モード(一次モード)が、例えばロックアップ回転数Na未満で出現する。そして、ロックアップ回転数Naより大きな回転数の領域において、フロート部材の固有モードが出現する。以下では、フロート部材の固有モードが出現する回転数Nfを、フロート部材の振動成分が卓越する回転数、すなわちフロート部材の共振回転数と呼ぶ。
このような従来のロックアップ装置では、フロート部材が振動系に組み込まれているために、フロート部材の固有モードが出現する。具体的には、従来のロックアップ装置では、フロート部材を2つのバネ部材に係合させることによって、2つのバネ部材を円周方向に直列に作用させているために、フロート部材の固有モードが出現する。これに対して、本ロックアップ装置では、フロート部材は、第1弾性部材の半径方向への移動を規制しているものの、第1弾性部材には係合させていない。具体的には、複数のバネ部材それぞれが、フロート部材を介することなく、円周方向に連続して直列に配置されている。また、複数のバネ部材それぞれが、フロート部材に対して相対回転可能である。これにより、本ロックアップ装置では、フロート部材の振動成分を振動系から取り除くことができる。すなわち、本ロックアップ装置では、フロート部材による共振を、振動系から取り除くことができる。これにより、本ロックアップ装置7では、振動レベルを、許容範囲内に収めることができる。
請求項2に係る流体継手用のロックアップ装置では、請求項1に記載の装置において、複数のバネ部材それぞれの両端部と、フロート部材とが、相対回転可能である。
ここでは、複数のバネ部材それぞれの両端部と、フロート部材とが、相対回転可能になっているので、複数のバネ部材それぞれが、フロート部材を介することなく、円周方向に連続して直列に作用する。このため、本ロックアップ装置では、フロート部材の振動成分、すなわちフロート部材による共振を、振動系から取り除くことができる。これにより、本ロックアップ装置7では、振動レベルを、許容範囲内に収めることができる。
請求項3に係る流体継手用のロックアップ装置では、請求項1又は2に記載の装置において、入力回転部材、複数組の第1弾性部材、出力回転部材の順に、トルクが伝達される。
ここでは、入力回転部材、複数組の第1弾性部材、出力回転部材の順に、トルクが伝達される。すなわち、トルクが、フロート部材を介在させることなく、入力回転部材から出力回転部材へと複数組の第1弾性部材を介して伝達される。このため、このため、本ロックアップ装置では、フロート部材の振動成分、すなわちフロート部材による共振を、振動系から取り除くことができる。これにより、本ロックアップ装置7では、振動レベルを、許容範囲内に収めることができる。
請求項4に係る流体継手用のロックアップ装置では、請求項1から3のいずれかに記載の装置において、複数のバネ部材それぞれが、シート部材を介して、円周方向に連続して直列に配置されている。
ここでは、複数のバネ部材それぞれが、シート部材を介して、円周方向に連続して直列に配置されているので、複数のバネ部材それぞれを、円周方向に連続して直列に作用させることができる。これにより、トルク変動を複数のバネ部材それぞれに確実に伝達することができる。また、トルク変動を各バネ部材において効率良く吸収・減衰することができる。
請求項5に係る流体継手用のロックアップ装置では、請求項1から3のいずれかに記載の装置において、複数のバネ部材それぞれが、円周方向に直接的に連続して直列に配置されている。
ここでは、複数のバネ部材それぞれが、円周方向に直接的に連続して直列に配置されている。例えば、複数のバネ部材において、隣接する端部を、互いに当接させることによって、複数のバネ部材それぞれが、円周方向に連続して直列に配置されている。より具体的には、複数のバネ部材において、隣接する座巻き部を、互いに当接させることによって、複数のバネ部材それぞれが、円周方向に連続して直列に配置されている。このように、本ロックアップ装置では、スプリングシートのような特別な部材が不用であるので、部品点数を減らすことができるとともに、複数のバネ部材を容易に組み付けることができる。
請求項6に係る流体継手用のロックアップ装置では、請求項1から5のいずれかに記載の装置において、バネ部材が、直線状のコイルスプリング及びアーク状のコイルスプリングのいずれか一方から、構成されている。ここでは、直線状のコイルスプリング及びアーク状のコイルスプリングのいずれか一方が、バネ部材として用いられるので、様々なバリエーションの捩り特性を、容易に設計することができる。
請求項7に係る流体継手用のロックアップ装置は、請求項1から6のいずれかに記載の装置において、複数の第2弾性部材と、中間部材とを、さらに備えている。複数の第2弾性部材は、複数組の第1弾性部材の内周側及び外周側のいずれか一方に配置され、出力回転部材にトルクを伝達する。中間部材は、トルクを第1弾性部材から第2弾性部材に伝達するために、入力回転部材に相対回転可能に配置されている。
ここでは、複数の第2弾性部材と中間部材とをさらに備え、エンジンからのトルクが、中間部材を介して第1弾性部材から第2弾性部材へと伝達される。このようにして、ダンパーの捩じり角度を広くしたとしても、本ロックアップ装置では、フロート部材の振動成分、すなわちフロート部材による共振を、振動系から取り除くことができるので、振動レベルを許容範囲内に収めることができる。
以上のような本発明によれば、ロックアップ装置としての振動レベルを、許容範囲内に収めることができる。
本発明の一実施形態によるロックアップ装置を備えたトルクコンバータの断面部分図。 前記ロックアップ装置の正面部分図。 従来のロックアップ装置の振動モデル。 従来のロックアップ装置の捩り特性を示す概念図。 従来のロックアップ装置の振動レベルを示す概念図。 前記ロックアップ装置の振動モデル。 前記ロックアップ装置の振動レベルを示す概念図。 本発明の他の実施形態によるロックアップ装置のスプリングシートを示す図(その1)。 本発明の他の実施形態によるロックアップ装置のスプリングシートを示す図(その2)。
図1は、本発明の一実施形態としてのロックアップ装置が採用されたトルクコンバータ1の断面部分図である。図1の左側にはエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。図2はロックアップ装置の正面部分図である。なお、図1に示すO−Oがトルクコンバータ及びロックアップ装置の回転軸線である。
[トルクコンバータの全体構成]
トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置であり、入力側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラー3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7とから構成されている。
フロントカバー2は、円板状の部材であり、その外周部には軸方向トランスミッション側に突出する外周筒状部10が形成されている。インペラー3は、フロントカバー2の外周筒状部10に溶接により固定されたインペラーシェル12と、その内側に固定された複数のインペラーブレード13と、インペラーシェル12の内周側に設けられた筒状のインペラーハブ14とから構成されている。タービン4は、流体室内でインペラー3に対向して配置されている。タービン4は、タービンシェル15と、タービンシェル15に固定された複数のタービンブレード16と、タービンシェル15の内周側に固定されたタービンハブ17とから構成されている。タービンハブ17は外周側に延びるフランジ17aを有しており、このフランジ17aにタービンシェル15の内周部が複数のリベット18によって固定されている。また、タービンハブ17の内周部には、図示しないトランスミッションの入力シャフトがスプライン係合している。
ステータ5は、インペラー3とタービン4の内周部間に配置され、タービン4からインペラー3へと戻る作動油を整流するための機構である。ステータ5は、主に、円板状のステータキャリア20と、その外周面に設けられた複数のステータブレード21とから構成されている。ステータキャリア20は、ワンウエイクラッチ22を介して図示しない固定シャフトに支持されている。なお、フロントカバー2とタービンハブ16との軸方向間にはスラストワッシャ25が設けられ、タービンハブ17とステータキャリア20との間、及びステータキャリア20とインペラーシェル12との間には、それぞれスラストベアリング26,27が設けられている。
[ロックアップ装置]
ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間の環状の空間に配置されている。ロックアップ装置7は、主に、ピストン30と、ドライブプレート31と、それぞれ複数の外周側及び内周側のトーションスプリング32,33と、外周側のトーションスプリング32と内周側のトーションスプリング33とを連結する中間部材34と、ドリブンプレート35と、を有している。
ここでは、ピストン30とドライブプレート31とが、入力回転部材に対応し、ドリブンプレート35が、出力回転部材に対応している。また、外周側のトーションスプリング32が第1弾性部材に対応し、内周側のトーションスプリング33が第2弾性部材に対応している。
<ピストン>
ピストン30は、円板状のプレート部材であり、フロントカバー2とタービン4との間の空間を軸方向に2分割するように配置されている。ピストン30の外周部は平坦な摩擦連結部30aとなっており、この摩擦連結部30aの軸方向エンジン側には摩擦フェーシング37が設けられている。この摩擦フェーシング37に対向して、フロントカバー2には平坦な摩擦面が形成されている。また、ピストン30の内周縁には軸方向トランスミッション側に延びる内周筒状部30bが設けられている。内周筒状部30bの内周面はタービンハブ17の外周面に対して軸方向及び回転方向に移動可能に支持されている。なお、内周筒状部30bの先端がタービンハブ17の一部に当接した状態では、軸方向トランスミッション側へのピストン30の移動が、規制されている。内周筒状部30bとタービンハブ17の外周面との間にはシールリング38が設けられている。
このようにして、フロントカバー2とピストン30との間には、空間Aが形成されている。空間Aの外周部は摩擦フェーシング37がフロントカバー2に当接した状態で遮断され、空間Aの内周部は、スラストワッシャ25に形成された溝を介して入力シャフトに形成された油路に連通している。
<ドライブプレート>
ドライブプレート31は、板金製の環状の部材であり、ピストン30における摩擦連結部30aの軸方向トランスミッション側に配置されている。このドライブプレート31の内周部が複数のリベット40によってピストン30に固定されている。また、ドライブプレート31の外周部には、軸方向トランスミッション側に延びる複数の係止部31aが形成されている。複数の係止部31aは円周方向に所定の間隔をあけて形成されており、外周側トーションスプリング32の端面を支持している。さらに、ドライブプレート31のピストン取付部の上方には、軸方向トランスミッション側に延びる支持部31bが形成されている。この支持部31bによって外周側トーションスプリング32の内周側が支持されている。
<外周側トーションスプリング>
図2に示すように、複数の外周側トーションスプリング32それぞれは、同じ自由長に形成されている。また、複数の外周側トーションスプリング32それぞれは、半径方向における所定の位置において円周方向に並べて配置されている。複数組の外周側トーションスプリング32それぞれは、複数の外周側トーションスプリング32から構成されている。ここでは、1組2個で合計8個の外周側トーションスプリング32が設けられている。各組外周側トーションスプリング32において、2個の外周側トーションスプリング32は、互いに直列に作用するように並べて配置されている。
また、複数の外周側トーションスプリング32それぞれの両端部には、シート部材例えばスプリングシート52が、装着されている。詳細には、スプリングシート52は、シート部52aと突出部52bとを有している。シート部52aには、外周側トーションスプリング32の端部が当接する。突出部52bは、シート部52aから筒状に延びた部分であり、外周側トーションスプリング32の座巻きの内部に圧入される。
各組2個の外周側トーションスプリング32それぞれは、スプリングシート52を介して、互いに直列に並べて配置されている。また、各組2個の外周側トーションスプリング32が直列に並べて配置された状態においては、直列に並べた2個の外周側トーションスプリング32の両端部のスプリングシート52が、ドライブプレート31に当接している。
なお、図2では、1組2個の外周側トーションスプリング32それぞれを、記号32a,32bで示している。また、図2に示したR1方向とは、エンジンの主回転方向に対応している。
外周側トーションスプリング32の近傍、例えば外周側トーションスプリング32の外周側には、外周側トーションスプリング32の半径方向への移動を規制するために、フロート部材42が設けられている。フロート部材42は、断面C字状で環状の部材であり、ドライブプレート31の支持部31bの上方に配置されている。詳細には、フロート部材42は、ドライブプレート31と相対回転可能に配置されている。フロート部材42の外周部は、外周側トーションスプリング32の外周部を支持している。すなわち、フロート部材42によって、外周側トーションスプリング32の外周側への飛び出しが、規制されている。
また、フロート部材42と、外周側トーションスプリング32とは、互いに円周方向に相対回転可能になっている。具体的には、フロート部材42と、各外周側トーションスプリング32の両端部とは、相対回転可能である。より具体的には、フロート部材42と、各外周側トーションスプリング32の両端部に装着されたスプリングシート52とは、相対回転可能である。このため、本ロックアップ装置7では、各組2個の外周側トーションスプリング32は、フロート部材42を介することなく、円周方向に直列に作用する。これにより、トルクは、フロート部材42を介することなく、ドライブプレート31、外周側トーションスプリング32(32a,32b)、中間部材34へと伝達される。
以上のように、各組2個の外周側トーションスプリング32の円周方向両端部、すなわち円周方向に直列に並んだ状態における2個の外周側トーションスプリング32a,32bの両端部が、スプリングシート52を介して、ドライブプレート31の係止部31aによって支持されている。また、各組2個の外周側トーションスプリング32の円周方向中央部、すなわち円周方向に直列に並んだ状態における2個の外周側トーションスプリング32a,32bの中央部においては、各スプリングシート52が、互いに当接している。これにより、各組2個の外周側トーションスプリング32は、フロート部材を介することなく互いに直列に作用し、ドライブプレート31からのトルクを、中間部材34へと伝達する。
<中間部材>
中間部材34は、ピストン30とタービンシェル15との間に配置された環状かつ円板状のプレート部材である。中間部材34は第1プレート44と第2プレート45とから構成されている。第1プレート44と第2プレート45とは軸方向に間隔を開けて配置されている。第1プレート44が軸方向エンジン側に配置され、第2プレート45が軸方向トランスミッション側に配置されている。第1プレート44と第2プレート45とは、外周部が複数のストッパピン46によって互いに相対回転不能でかつ軸方向に移動不能に連結されている。第1プレート44及び第2プレート45には、それぞれ軸方向に貫通する窓部44a,45aが形成されている。窓部44a,45aは、図1及び図2から明らかなように、円周方向に延びて形成されており、内周部と外周部には、軸方向に切り起こされた切り起こし部が形成されている。
また、第1プレート44の外周端には、外周側トーションスプリング32にまで延びる複数の係止部44bが形成されている。複数の係止部44bは第1プレート44の先端を軸方向エンジン側に折り曲げて形成されたものである。この複数の係止部44bは、円周方向に所定の間隔をあけて配置されており、2つの係止部44bの間に、直列に作用する1組の外周側トーションスプリング32が配置されている。
<内周側トーションスプリング>
複数の内周側トーションスプリング33のそれぞれは、中間部材34の両プレート44,45の窓部44a,45a内に配置されている。そして、各内周側トーションスプリング33は、窓部44a,45aによって円周方向両端及び半径方向両側が支持されている。さらに、各内周側トーションスプリング33は、窓部44,45の切り起こし部によって軸方向への飛び出しが規制されている。
<ドリブンプレート>
ドリブンプレート35は、環状かつ円板状の部材であり、内周部がタービンシェル15とともにリベット18によってタービンハブ17のフランジ17aに固定されている。このドリブンプレート35は、第1プレート44と第2プレート45との間に、両プレート44,45に対して相対回転可能に配置されている。そして、ドリブンプレート35の外周部には、第1及び第2プレート44,45の窓部44a,45aに対応して、窓孔35aが形成されている。窓孔35aは軸方向に貫通する孔であり、この窓孔35aに内周側トーションスプリング33が配置されている。また、ドリブンプレート35の外周部には、図2の破線で示すように、円周方向に長い複数の切欠き35bが形成されている。そして、この切欠き35bをストッパピン46が軸方向に貫通している。したがって、ドリブンプレート35と中間部材34を構成する両プレート44,45とは、この切欠き35bが形成された角度範囲内で相対回転が可能である。
[動作]
次に、動作について説明する。エンジン側のクランクシャフトからのトルクはフロントカバー2に入力される。これにより、インペラー3が回転し、作動油がインペラー3からタービン4へ流れる。この作動油の流れによりタービン4は回転し、タービン4のトルクは図示しない入力シャフトに出力される。
トルクコンバータ1の速度比があがり、入力シャフトが一定の回転速度になると、空間Aの作動油が入力シャフト内部の油路を通ってドレンされる。この結果、ピストン30がフロントカバー2側に移動させられる。この結果、ピストン30の摩擦フェーシング37がフロントカバー2の摩擦面に押し付けられ、フロントカバー2のトルクはロックアップ装置7に出力される。
ロックアップ装置7において、トルクは、ピストン30、ドライブプレート31、外周側トーションスプリング32(32a,32b)、中間部材34、内周側トーションスプリング33、ドリブンプレート35の順に伝達され、タービンハブ17に出力される。特に、ロックアップ装置7では、トルクの伝達経路に、フロート部材42が存在していない。
ロックアップ装置7においては、トルクを伝達すると共にフロントカバー2から入力されるトルク変動を吸収・減衰する。具体的には、ロックアップ装置7において捩り振動が発生すると、外周側トーションスプリング32と内周側トーションスプリング33とがドライブプレート31とドリブンプレート35との間で直列に圧縮される。さらに、外周側トーションスプリング32においても、各組の外周側トーションスプリング32が直列に圧縮される。このため、捩り角度を広くすることができる。さらに、円周方向距離を長くとれる外周側トーションスプリング32を、直列に作用させているので、より広い捩り角度を確保することができる。このことは、捩り特性をより低剛性化できることを意味し、振動吸収・減衰性能をより向上させることができる。
なお、ドリブンプレート35に形成された切欠き35bの端面にストッパピン46が当接するまでは、外周側トーションスプリング32と内周側トーションスプリング33が作用し、ストッパピン46が切欠き35bの端面に当接した後は、外周側トーションスプリング32だけが作用する(内周側トーションスプリング33は作用しない)。したがって、このロックアップ装置7は2段の捩り特性を有している。
ここで、外周側トーションスプリング32は遠心力によって外周側に移動しようとする。このために、外周側トーションスプリング32の外周側への移動を規制する部材が必要になる。この実施形態では、外周側トーションスプリング32の外周部をフロート部材42によって支持することによって、外周側トーションスプリング32の外周側への移動を規制している。
このようなフロート部材42を用いた場合、フロート部材42と外周側トーションスプリング32との間には、摩擦抵抗Fが発生する。ここで、フロート部材42の慣性トルクTkが、上記の摩擦抵抗F以下である場合(Tk≦F;Tk(Nm)=I(kgm)×ω(rad/m))、フロート部材42は、フロート部材42を除いたロックアップ装置7とともに回転する。ここで、Iは慣性モーメントであり、ωは各加速度である。一方で、フロート部材42の慣性トルクTkが、上記の摩擦抵抗Fより大きくなった場合(Tk>F)、フロート部材42と外周側トーションスプリング32とが摺動し、フロート部材42を除いたロックアップ装置7は、フロート部材42に対して相対回転可能になる。
ここで、上記のように、フロート部材42の慣性トルクTkは慣性モーメントIに比例するので、慣性モーメントIが大きくなるように、フロート部材42を形成することが望ましい。例えば、フロート部材42の板厚を厚くすることによって、フロート部材42の慣性モーメントIを大きくすることができる。このように、フロート部材42の慣性モーメントIが大きくすることによって、低い回転数において、フロート部材42を除いたロックアップ装置7と、フロート部材42とを、相対回転可能にすることができる。
このように、フロート部材42の慣性トルクTkが、上記の摩擦抵抗Fより大きくなった場合は、フロート部材42を除いたロックアップ装置7は、フロート部材42に対して相対回転可能になるため、ロックアップ装置7の振動系からフロート部材42の振動成分を取り除くことができる。すなわち、本ロックアップ装置7では、従来のロックアップ装置7において発生していたフロート部材による共振を、取り除くことができる。これにより、本ロックアップ装置7では、図7に示すように、振動レベルを、許容範囲内に収めることができる。
[ロックアップ装置の特性及び効果]
ここでは、まず、本ロックアップ装置7の説明を行う前に、各組の2個の外周側トーションスプリング32が、フロート部材42を介して、直列に作用する場合の説明を行う。これは、従来のロックアップ装置に相当する。従来のロックアップ装置は、各組の2個の外周側トーションスプリング32がフロート部材42を介して直列に作用する点を除くと、他の構成は、本ロックアップ装置7と同じである。この場合の捩り特性も、上述したような2段の捩り特性を有する。この2段の捩り特性を示すモデル図を、図3に示す。図3に示す記号Eはエンジンを示し、記号Tはトランスミッションを示す。また、記号Dr、記号F、記号M、及び記号Dvは、それぞれが、ドライブプレート、フロート部材、中間部材、ドリブンプレートを示す。さらに、この場合の捩り特性の概念図及びロックアップ装置の振動レベル(変動レベル)の概念図を、図4及び図5に示す。
この場合、ドリブンプレート35に形成された切欠き35bの端面にストッパピン46が当接するまでは、外周側トーションスプリング32及び内周側トーションスプリング33が作動する。このため、全体剛性Ko1は、「Ko1=1/(2/K11+1/K12)」となる(図4を参照)。ここで、K11は、各組の2個の外周側トーションスプリング32それぞれの剛性であり、K12は、内周側トーションスプリング33の剛性である。そして、ドリブンプレート35に形成された切欠き35bの端面にストッパピン46が当接した後は、外周側トーションスプリング32だけが作動する。このため、全体剛性Ko2は、「Ko2=K11/2」となる。
図5を参照すると、従来のロックアップ装置では、ロックアップ回転数Na未満において、ロックアップ装置の固有モード(一次モード)が設定されている。そして、回転数が大きくなるにつれて、振動レベル(変動量)は低下する。しかし、所定の回転数に近づくと、振動レベルが再び上昇する。この回転数が、フロート部材の共振回転数Nfである。従来のロックアップ装置では、この共振回転数Nfにおける振動レベルが、許容レベルより高くなるおそれがある。
図5における振動レベルは、トランスミッションの回転変動に対応し、図5における回転数は、エンジン回転数に対応する。また、図5におけるNoは、ロックアップ装置の固有モードが卓越する固有振動数に対応し、Nfはフロート部材のモードが卓越する共振回転数に対応する。また、Soは、振動レベルの許容値の上限を示す。さらに、図5の縦軸及び横軸の単位は、rpmである。なお、ここに示した説明は、図7に対しても適用される。
一方で、本ロックアップ装置7の場合、各組の2個の外周側トーションスプリング32と、フロート部材42とが相対回転可能になっている。この場合の2段の捩り特性を示すモデル図を、図6に示す。図6に示した記号は、図3で説明した記号の意味と同じである。また、この場合のロックアップ装置7の振動レベル(変動レベル)の概念図を、図7に示す。
次に、本ロックアップ装置7の説明を行う。本ロックアップ装置7では、ドリブンプレート35に形成された切欠き35bの端面にストッパピン46が当接するまでは、外周側トーションスプリング32及び内周側トーションスプリング33が作動する。そして、ドリブンプレート35に形成された切欠き35bの端面にストッパピン46が当接した後は、外周側トーションスプリング32だけが作動する。
本ロックアップ装置7の全体剛性は、各組の2個の外周側トーションスプリング32がフロート部材42によって直列に作用する場合の全体剛性と同じであるので、本ロックアップ装置7においても、図7に示すように、ロックアップ回転数Na未満において、ロックアップ装置7の固有モード(一次モード)を維持することができる。また、本ロックアップ装置7では、フロート部材42がロックアップ装置7の振動系には関与しないので、回転数が大きくなったとしても、フロート部材42の共振の発生を抑制することができる(図7の実線を参照)。これにより、本ロックアップ装置7では、図7に示すように、振動レベルを、許容レベル未満に収めることができる。
[他の実施形態]
(a)本発明は、以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。例えば、前記実施形態では弾性部材を直線状のコイルスプリングによって構成したが、他の弾性部材を用いても良い。例えば、直線状のコイルスプリングに代えて、アーク状のコイルスプリングを用いても良い。この場合、様々なバリエーションの捩り特性を、容易に設計することができる。また、外周側及び内周側トーションスプリングを構成するコイルスプリングの数や長さ等については、前記実施形態に限定されない。さらに、フロート部材42は、トーションスプリング(弾性部材)の外周側への移動を規制するためのものであって、その形状は前記実施形態に限定されない。
(b)前記実施形態では、各外周側トーションスプリング32の両端部にスプリングシート52が装着される場合の例を示した。しかしながら、スプリングシート52の形状及び装着形態は、前記実施形態に限定されず、どのようにしても良い。
例えば、図8に示すように、各組2個の外周側トーションスプリング32において、一方の外周側トーションスプリング32aと、他方の外周側トーションスプリング32bとを、1つのスプリングシート152によって互いに連結するようにしても良い。この場合、スプリングシート152によって2個の外周側トーションスプリング32を一体に連結した状態で、2個の外周側トーションスプリング32を、ドライブプレート31において隣接した係止部31aの間に、装着することができる。これにより、図9に示したスプリングシート152を用いた場合、前記実施形態に示した別体のスプリングシート52を用いた場合と比較して、ロックアップ装置の組み立て効率を向上することができる。
また、図9に示すように、2つの外周側トーションスプリング32a,32bが接触する、スプリングシート252の面252a,252bが、傾斜していても良い。この場合、たとえば、スプリングシート252に形成された2つの面252a,252bがなす角度が、所定の角度αになるように、スプリングシート252が形成されている。このようにスプリングシート252を形成することによって、各組2個の外周側トーションスプリング32a,32bそれぞれの圧縮方向を、外周側トーションスプリング32の軸方向に適切に誘導することができる。これにより、各組2個の外周側トーションスプリング32a,32bが、フロート部材42に接触しづらくなるので、外周側トーションスプリング32a,32bとフロート部材42との間に作用する摩擦力を、低減することができる。これにより、ロックアップ装置の振動レベルを、低減することができる。
(c)前記実施形態では、各外周側トーションスプリング32の両端部にスプリングシート52が装着される場合の例を示した。しかしながら、各組2個の外周側トーションスプリング32を直列に作用させることができれば、スプリングシート32は必ずしも用いる必要はない。例えば、各組2個の外周側トーションスプリング32の端部を、互いに直接的に当接させるようにしても良い。より具体的には、各組2個の外周側トーションスプリング32の座巻き部を、互いに直接的に当接させても良い。この場合、スプリングシートのような特別な部材が不用となるので、部品点数、及びスプリングシートの設置に要する工程を減らすことができる。
本発明は、トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するための流体継手用のロックアップ装置に、利用可能である。
1 トルクコンバータ
2 フロントカバー
4 タービン
7 ロックアップ装置
30 ピストン
31 ドライブプレート
32 外周側トーションスプリング
33 内周側トーションスプリング
34 中間部材
35 ドリブンプレート
42 フロート部材
52 スプリングシート
152 スプリングシート(他の実施形態)
252 スプリングシート(他の実施形態)

Claims (7)

  1. トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するための流体継手用のロックアップ装置であって、
    入力回転部材と、
    出力回転部材と、
    前記入力回転部材と前記出力回転部材との相対回転によって回転方向に圧縮される複数組の第1弾性部材と、
    前記第1弾性部材の半径方向への移動を規制するフロート部材と、
    を備え、
    複数組の前記第1弾性部材それぞれは、半径方向における所定の位置において円周方向に並べて配置され、前記フロート部材に対して相対回転可能であり、
    1組の前記第1弾性部材は複数のバネ部材から構成され、複数のバネ部材それぞれは、円周方向に連続して直列に配置される、
    流体継手用のロックアップ装置。
  2. 複数の前記バネ部材それぞれの両端部と、前記フロート部材とは、相対回転可能である、
    請求項1に記載の流体継手用のロックアップ装置。
  3. 入力回転部材、複数組の第1弾性部材、出力回転部材の順に、トルクが伝達される、
    請求項1又は2に記載の流体継手用のロックアップ装置。
  4. 複数の前記バネ部材それぞれは、シート部材を介して、円周方向に連続して直列に配置される、
    請求項1から3のいずれかに記載の流体継手用のロックアップ装置。
  5. 複数の前記バネ部材それぞれは、円周方向に直接的に連続して直列に配置される、
    請求項1から3のいずれかに記載の流体継手用のロックアップ装置。
  6. 前記バネ部材は、直線状のコイルスプリング及びアーク状のコイルスプリングのいずれか一方から、構成される、
    請求項1から5のいずれかに記載の流体継手用のロックアップ装置。
  7. 複数組の前記第1弾性部材の内周側及び外周側のいずれか一方に配置され、前記出力回転部材にトルクを伝達する複数の第2弾性部材と、
    トルクを前記第1弾性部材から前記第2弾性部材に伝達するために、前記入力回転部材に相対回転可能に配置された中間部材と、
    をさらに備える請求項1から6に記載の流体継手用のロックアップ装置。
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