JP2016151306A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロックアップ装置において、フロート部材の軸方向の移動規制及び捩り特性の多段化を、簡単な構成で実現する。
【解決手段】この装置は、ドライブプレート11と、ハブフランジ12と、外周側及び内周側のトーションスプリング16,17と、外周側と内周側のトーションスプリング16,17を直列に連結する中間部材14と、フロート部材18と、角度規制部22と、移動規制部24と、を備えている。フロート部材18は、外周側トーションスプリング16に相対回転可能であり、外周側トーションスプリング16の径方向の移動を規制する。角度規制部22は、ドライブプレート11及び中間部材14に形成され、ドライブプレート11と中間部材14との相対回転角度を所定の角度に規制する。移動規制部24は、中間部材14に形成され、フロート部材18の軸方向の移動を規制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、動力伝達装置、特に、エンジンからトランスミッションに動力を伝達するための動力伝達装置に関する。
トルクコンバータにおいては、燃費低減のためにロックアップ装置が設けられている。ロックアップ装置は、フロントカバーとタービンとの間に配置されており、フロントカバーとタービンとを機械的に連結して両者の間でトルクを直接伝達するものである。
ロックアップ装置は、例えば特許文献1に示されるように、ピストンとダンパ機構とを有している。ピストンは、摩擦部材を有しており、油圧の作用によってフロントカバーに押し付けられ、フロントカバーからトルクが伝達される。また、ダンパ機構は、それぞれ複数の外周側トーションスプリング及び内周側トーションスプリングと、外周側トーションスプリングと内周側トーションスプリングとを連結する中間部材と、を有している。
また、外周側トーションスプリングの径方向の移動を規制するために、フロート部材が設けられている。フロート部材は、ピストンと、ピストンに固定されたドライブプレートと、によって軸方向の移動が規制されている。
特開2012−122584号公報
特許文献1に示されたようなロックアップ装置では、外周及び内周にトーションスプリングを配置し、捩り特性を多段化している。このため、例えば外周側のトーションスプリングの圧縮を、所定の捩り角度で停止させる必要がある。このため、一般的には、ストップピン等を用いたストッパ機構が必要になる。
本発明の課題は、フロート部材の軸方向の移動規制及び捩り特性の多段化を、簡単な構成で実現することにある。
(1)本発明の一側面に係る動力伝達装置は、エンジンからトランスミッションに動力を伝達するための装置であって、エンジンからの動力が入力される入力側回転部材と、トランスミッションに動力を出力する出力側回転部材と、外周側弾性部材及び内周側弾性部材と、中間部材と、フロート部材と、角度規制部と、移動規制部と、を備えている。外周側弾性部材及び内周側弾性部材は入力側回転部材と出力側回転部材とを相対回転可能に連結する。中間部材は、入力側回転部材及び出力側回転部材に相対回転可能に配置され、外周側弾性部材と内周側弾性部材とを直列に作動させる。フロート部材は、入力側回転部材、出力側回転部材、中間部材、及び外周側弾性部材に相対回転可能であり、外周側弾性部材の径方向の移動を規制する。角度規制部は、入力側回転部材及び中間部材に形成され、入力側回転部材と中間部材との相対回転角度を所定の角度に規制する。移動規制部は、中間部材に形成され、フロート部材の軸方向の移動を規制する。
この装置では、入力側回転部材に入力された動力は、外周側弾性部材及び内周側弾性部材を介して出力側回転部材に伝達される。このとき、外周側弾性部材と内周側弾性部材とは中間部材によって直列に作動する。このとき、外周側弾性部材及び内周側弾性部材の作動によってトランスミッション側に伝達される回転速度変動が抑えられる。
ここでは、中間部材を利用して、入力側回転部材と中間部材との相対回転角度を規制する角度規制部と、フロート部材の軸方向の移動を規制する移動規制部と、を構成している。したがって、簡単な構成で、捩り特性の多段化及びフロート部材の移動規制を実現できる。
(2)本発明の別の側面に係る動力伝達装置では、入力側回転部材は円板状のドライブプレートを有し、中間部材はドライブプレートに対向して配置された円板状の第1中間プレートを有している。そして、角度規制部は爪とストッパ部とを有する。爪は、ドライブプレートに形成され、第1中間プレート側に延びている。ストッパ部は、第1中間プレートに形成され、ドライブプレートの爪が当接可能である。
(3)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、移動規制部は、第1中間プレートのストッパ部が形成されていない部分に形成され、フロート部材の側面に当接する当接部を有している。
(4)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、中間部材は、ドライブプレートと第1中間プレートとの間に第1中間プレートと軸方向に対向して配置され、第1中間プレートに相対回転不能にかつ軸方向移動不能に固定された第2中間プレートをさらに有している。そして、内周側弾性部材は第1中間プレート及び第2中間プレートによって径方向及び軸方向に支持されている。
(5)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、出力側回転部材は、円板状のプレートであり、第1中間プレートと第2中間プレートとの軸方向間に配置され、内周側弾性部材を収容する収容部を有している。
(6)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、フロート部材は回転時に外周側弾性部材に対して摺動するように配置されている。また、この装置はダンパ装置をさらに備え、ダンパ装置は、フロート部材に対して相対回転自在なイナーシャ部材を含み、フロート部材に装着されている。
ここでは、イナーシャ部材を有するダンパ装置が、外周側弾性部材に対して自由に回転するフロート部材に装着されている。すなわち、フロート部材は外周側弾性部材に係合されていない。このため、従来装置で発生していたダンパ装置の共振が発生せず、特に低回転数域での回転速度変動をより抑えることができる。
(7)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、ダンパ装置は、フロート部材に固定されたベースプレートと、ベースプレートに対して相対回転自在に配置されたイナーシャ部材と、ベースプレートとイナーシャ部材とを連結するダンパと、を有する。
(8)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、中間部材に装着され、フロート部材が軸方向の一方に移動するのを規制する規制部材をさらに備えている。
(9)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、規制部材は、固定部と、径方向支持部と、軸方向支持部と、を有する。固定部は中間部材に固定される。径方向支持部は、固定部の外周端部から軸方向に延びる筒状に形成され、フロート部材及びダンパ装置を径方向に位置決めする。軸方向支持部は、径方向支持部の先端部から外周側に延び、フロート部材及びダンパ装置を軸方向に位置決めする。
(10)本発明のさらに別の側面に係る動力伝達装置では、外周側弾性部材は回転方向に延びるコイルスプリングである。また、フロート部材は、コイルスプリングの外周部に接触可能であり、コイルスプリングの径方向の移動を規制する。
以上のような本発明では、弾性部材の径方向の移動を規制するフロート部材が設けられた装置において、簡単な構成で、フロート部材の軸方向の移動規制及び捩り特性の多段化を実現することができる。
本発明の一実施形態によるロックアップ装置の断面構成図。 図1の部分図。 図1の拡大部分図。 ドライブプレートの正面部分図。 第1中間プレートの正面部分図。 第2中間プレートの正面部分図。 ダイナミックダンパ装置の断面構成図。 捩り特性を示す図。 本発明の他の実施形態によるロックアップ装置の断面構成部分図。
図1は、本発明に係る動力伝達装置の一実施形態であるロックアップ装置1の断面図である。図1では、装置の一部(回転軸線の一方側のみ)を示しており、図1において、装置1の左側には、エンジンからトルクが入力されるフロントカバー2(二点鎖線で一部を示している)が配置され、右側にはインペラ、タービン、ステータを含むトルクコンバータ本体(タービン3の一部のみを示している)が配置されている。タービン3は、内周部がリベット4を介して出力ハブ5に固定されている。出力ハブ5の内周部にはスプライン孔5aが形成されており、このスプライン孔5aにトランスミッションの入力軸が係合される。
[全体構成]
ロックアップ装置1は、エンジンからトランスミッションに動力を伝達するための動力伝達装置の一種である。ロックアップ装置1は、ピストン10及びドライブプレート(入力側回転部材の一例)11と、ハブフランジ(出力側回転部材の一例)12と、中間部材14と、複数の外周側トーションスプリング16と、複数の内周側トーションスプリング17と、フロート部材18と、ダイナミックダンパ装置20と、を備えている。
また、このロックアップ装置1は、角度規制部22と、移動規制部24と、を有している。角度規制部22は、ドライブプレート11と中間部材14との相対回転角度を所定の角度に規制する。移動規制部24は、フロート部材18の軸方向の移動を規制する。
[ピストン10]
ピストン10は、円板状のプレートであり、フロントカバー2のタービン側(図1の右側)に配置されている。ピストン10は、出力ハブ5に相対回転可能かつ軸方向移動可能に支持されている。ピストン10は、フロントカバー2側に移動することによって、フロントカバー2と摩擦係合して一体的に回転する。
ピストン10は、円板部10a、摩擦材26、及び筒状部10b、を有している。円板部10aは、円板状であって、中央に開口を有している。円板部10aは外周部に平坦部10cを有している。この平坦部10cのフロントカバー2側の面に、摩擦材26が固定されている。摩擦材26は環状である。この摩擦材26がフロントカバー2に押し付けられることによって、フロントカバー2からピストン10にトルクが伝達される。
筒状部10bは、円板部10aの内周端からタービン3側に延びている。この筒状部10bが、出力ハブ5の外周面に軸方向移動自在及び相対回転自在に支持されている。
なお、出力ハブ5の外周面には、シール部材28が装着されている。このシール部材28によって、ピストン10の内周面と出力ハブ5との間がシールされている。また、ピストン10は、筒状部10bの先端が出力ハブ5の段付き部の側面に当接することによって、タービン3側への軸方向移動が規制されている。
[ドライブプレート11]
ドライブプレート11は、ピストン10に固定されており、外周側トーションスプリング16と係合するプレートである。詳細には、ドライブプレート11は、ピストン10の外周部において、ピストン10のタービン3側の側面に固定されている。
ドライブプレート11は、円板状に形成されており、内周部11aがピストン10のタービン3側の面にリベット30により固定されている。ドライブプレート11は、複数の係合部11bを有している。具体的には、各係合部11bは、ドライブプレート11の外周部をタービン3側に折り曲げることによって形成されている。各係合部11bは、周方向に間隔をあけて形成されている。各係合部11bは各外周側トーションスプリング16の両端に係合している。
[ハブフランジ12]
ハブフランジ12は、円板状のプレートであり、内周端部が出力ハブ5にリベット4により固定されている。ハブフランジ12は、円周方向に所定の間隔で開口であるスプリング収容部12aを有しており、このスプリング収容部12aに内周側トーションスプリング17が収容されている。また、ハブフランジ12の外周端部には、外周側に開く複数の切欠き12bが形成されている。この切欠き12bについては後述する。
また、ハブフランジ12の内周部において、リベット4によって固定された部分の外周側には、筒状の支持部12cが形成されている。
[中間部材14]
中間部材14は、ピストン10のタービン3側に配置されており、ドライブプレート11及びハブフランジ12と相対回転可能である。中間部材14は、第1中間プレート35と第2中間プレート36とを有している。これらの中間プレート35,36の軸方向間に、ハブフランジ12が配置されている。
第1及び第2中間プレート35,36は、外周側トーションスプリング16と内周側トーションスプリング17とを直列に連結する。第2中間プレート36は、第1中間プレート35と一体的に回転する。詳細には、第2中間プレート36は、ストップピン38によって第1中間プレート35に固定されている。
第1及び第2中間プレート35,36はピストン10とタービン3との間に配置された環状かつ円板状の部材である。第1中間プレート35と第2中間プレート36とは、軸方向に間隔をあけて対向して配置されている。第1中間プレート35がタービン3側に配置され、第2中間プレート36がフロントカバー2側に配置されている。
第1中間プレート35は円板部35aを有する。円板部35aの外周部には、角度規制部22及び移動規制部24が形成されている。角度規制部22及び移動規制部24については後述する。
図2に示すように、第2中間プレート36は、円板状の本体部36aと、複数の係合部36bとを有している。図2は、図1の一部を抽出して示した図である。各係合部36bは、外周側トーションスプリング16に係止する。各係合部36bは、本体部36aの外周端部からフロントカバー2側に向かって延びている。各係合部36bは円周方向に互いに間隔をあけて配置されている。2つの係合部36bの間に、1つの外周側トーションスプリング16が配置されている。
第1中間プレート35及び第2中間プレート36において、ハブフランジ12のスプリング収容部12aに対応する位置には、軸方向に貫通する窓部35c,36cが形成されている。窓部35c,36cは、円周方向に延びて形成されており、内周部と外周部には、軸方向に切り起こされた切り起こし部が形成されている。この両プレート35,36の窓部35c,36c内に内周側トーションスプリング17が配置されている。そして、内周側トーションスプリング17は窓部35c,36cによって円周方向両端及び径方向両側が支持されている。さらに、内周側トーションスプリング17は窓部35c,36cの切り起こし部によって径方向及び軸方向への飛び出しが規制されている。
なお、第1中間プレート35の内周端面は、ハブフランジ12の支持部12cの外周面に当接している。このような構成によって、中間部材14全体が径方向に位置決めされている。
ここで、ストップピン38は、ハブフランジ12の切欠き12bを軸方向に貫通している。そして、切欠き12bの円周方向の幅は、ストップピン38の径に比較して十分に長く形成されている。したがって、中間部材14とハブフランジ12とは、ストップピン38がハブフランジ12の切欠き12bの円周方向の端面に当接するまで、相対回転が可能である。言い換えれば、中間部材14とハブフランジ12との相対回転は、ストップピン38とハブフランジ12の切欠き12bの端面とによって所定の角度範囲に規制されている。
[第1及び第2連結プレート41,42]
ハブフランジ12と第1及び第2中間プレート35,36との間には、第1及び第2連結プレート41,42が配置されている。より詳細には、ハブフランジ12と第1中間プレート35との間には第1連結プレート41が配置されている。また、ハブフランジ12と第2中間プレート36との間には第2連結プレート42が配置されている。第1及び第2連結プレート41,42は、第1中間プレート35、第2中間プレート36、及びハブフランジ12と相対回転可能である。なお、第1連結プレート41と第2連結プレート42とは互いに連結されているが、連結されていなくてもよい。
第1及び第2連結プレート41,42は、少なくとも2つの内周側トーションスプリング17を直列に連結する。第1及び第2連結プレート41,42は、環状かつ円板状のプレートであり、周方向に延びる複数の収容孔を有している。この各収容孔に内周側トーションスプリング17が収容されている。
なお、第1連結プレート41の内周端面は、ハブフランジ12の支持部12cの外周面に当接している。これにより、第1及び第2連結プレート41,42は径方向に位置決めされている。
[外周側及び内周側トーションスプリング16,17]
外周側トーションスプリング16は、ドライブプレート11と中間部材14の第2中間プレート36とを相対回転可能に連結する。内周側トーションスプリング17は、外周側トーションスプリング16の内周側に配置され、第1及び第2中間プレート35,36とハブフランジ12とを相対回転可能に連結する。前述のように、外周側トーションスプリング16と内周側トーションスプリング17とは、中間部材14によって直列に連結される。また、複数の内周側トーションスプリング17のうちの1組2個のスプリングは、第1及び第2連結プレート41,42によって直列に連結される。
内周側トーションスプリング17は、大スプリング17aと、大スプリング17aの内部に配置された小スプリング17bと、を有している。小スプリング17bは大スプリング17aのスプリング長より短く設定されている。したがって、小スプリング17bは、大スプリング17aより遅れて作動することになる。
[フロート部材18]
フロート部材18は、環状のプレート部材である。図3に拡大して示すように、フロート部材18は、円板部18aと、支持部18bと、を有する。円板部18aは環状かつ円板状である。円板部18aの内周端は、フロントカバー2側に折り曲げられ、筒状に形成された位置決め部18cを有している。支持部18bは、円板部18aの外周部をフロントカバー2側に折り曲げて形成されている。支持部18bは筒状であり、この支持部18bに外周側トーションスプリング16が収容されている。
フロート部材18は、ドライブプレート11、ハブフランジ12、及び中間部材14に対して相対回転可能である。また、フロート部材18の支持部18bと外周側トーションスプリング16とは係合していない。したがって、フロート部材18と外周側トーションスプリング16とは、摺動によって連れ回りすることはあるが、同期して回転しない。
[角度規制部22]
角度規制部22を、図2〜図6を用いて説明する。なお、図4はドライブプレート11をタービン3側に視た正面部分図、図5は第1中間プレート35をタービン3側から視た正面部分図、図6は第2中間プレート36をフロントカバー2側から視た正面部分図である。
図2〜図6に示すように、角度規制部22は、ドライブプレート11と、第1及び第2中間プレート35,36とによって形成されている。具体的には、ドライブプレート11には、係合部11bの内周側において、タービン3側に突出する複数の爪11cが形成されている。一方、図6に示すように、第2中間プレート36には、2つの係合部36bの間に、円周方向に長い切欠き36dが形成されている。また、図3及び図5に示すように、第1中間プレート35の外周部には、円板部35aよりもフロントカバー2側にオフセットして形成された複数のストッパ部35bが形成されている。このストッパ部35bと第2中間プレート35の係合部36bとは、円周方向において同じ位置に設けられており、かつ円周方向の幅は同じである。
そして、ドライブプレート11の爪11cは、第2中間プレート36の切欠き36dを軸方向に通過し、さらに第1中間プレート35のストッパ部35bと軸方向において重なる位置まで延びている。
以上のような構成では、ドライブプレート11と第1及び第2中間プレート35,36とは、爪11cが係合部36b及びストッパ部35bの円周方向の端面に当接するまで相対回転が可能である。言い換えれば、爪11cが係合部36b及びストッパ部35bに当接したときに、捩り特性の屈曲点になる。
[移動規制部24及び規制部材45]
移動規制部24は、第1中間プレート35の外周部によって形成されている。具体的には、第1中間プレート35の外周部において、ストッパ部35bが形成されていない部分に当接部35eが形成されている。当接部35eは、図3に示すように、円板部35aからタービン3側にオフセットして形成されている。そして、この当接部35eが、フロート部材18のフロントカバー2側の側面に当接し、フロート部材18のフロントカバー2側への軸方向の移動を規制している。
また、第1中間プレート35のタービン3側の側面には、規制部材45がリベット46により固定されている。規制部材45は、フロート部材18のタービン3側への軸方向の移動を規制する部材である。図3に示すように、規制部材45は、第1規制部45aと第2規制部45bと、取付部45cとを有している。なお、規制部材45は、1枚の環状かつ円板状のプレートから形成されている。
第1規制部45aは、軸方向において第1中間プレート35と間隔をあけて配置されている。詳細には、第1規制部45aは、第1中間プレート35とタービン3との間に配置されている。第1規制部45aは、第2規制部45bから外周側に延びている。
第2規制部45bは、第1規制部45aの内周端から第1中間プレート35に向かって延び、筒状に形成されている。この第2規制部45bの外周面に、フロート部材18の位置決め部18cが支持されている。
取付部45cは、第2規制部45bから内周側に延び、第1中間プレート35に固定されている。
以上のように、移動規制部24と規制部材45の第1規制部45aとによって、フロート部材18の軸方向の移動が規制されている。また、第2規制部45bによって、フロート部材18及びダイナミックダンパ装置20が径方向に位置決めされている。
[ダイナミックダンパ装置20]
ダイナミックダンパ装置20は、フロート部材18の内周部にリベット50によって取り付けられている。図7に示すように、ダイナミックダンパ装置20は、ベースプレート52と、第1イナーシャ部材54と、第2イナーシャ部材55と、第1蓋部材56と、第2蓋部材57と、複数のコイルスプリング58と、ストップピン59と、を有している。
ベースプレート52は、環状であり、フロート部材18にリベット50により固定されている。詳細は省略するが、ベースプレート52は、円周方向に並べて配置された複数の収容部を有している。各収容部は円周方向に延び、各収容部の間には、複数の円周方向に延びる長孔が形成されている。
第1及び第2イナーシャ部材54,55は、ベースプレート52を軸方向において挟むように配置され、ベースプレート52に対して相対回転可能である。第1及び第2イナーシャ部材54,55は複数の収容部を有している。各収容部は、ベースプレート52の各収容部に対応する位置に配置されている。また、第1及び第2イナーシャ部材54,55は、ベースプレート52の長孔の円周方向中央位置に対応する位置に貫通孔を有している。
第1及び第2蓋部材56,57は、環状であって、第1及び第2イナーシャ部材54,55の軸方向外側に配置されている。第1及び第2蓋部材56,57には、第1及び第2イナーシャ部材54,55の貫通孔に対応する位置に貫通孔が形成されている。
複数のコイルスプリング58は、それぞれベースプレート52及び両イナーシャ部材54,55の収容部に収容されている。そして、コイルスプリング58の両端部はベースプレート52及び両イナーシャ部材54,55の収容部の円周方向端部に当接している。
ストップピン59は、軸方向の中央部に大径胴部59aを有し、その両側に小径胴部59bを有している。
大径胴部59aは、両イナーシャ部材54,55の貫通孔より大径で、かつベースプレート52の長孔の径(径方向寸法)よりも小径である。また、大径胴部59aの厚みは、ベースプレート52の厚みより若干厚く形成されている。
小径胴部59bは両イナーシャ部材54,55の貫通孔及び両蓋部材56,57の貫通孔を挿通している。そして、小径胴部59bの頭部をかしめることによって、ベースプレート52の軸方向両側にイナーシャ部材54,55及び両蓋部材56,57が固定されている。
以上のような構成により、ベースプレート52は、両イナーシャ部材54,55及び両蓋部材56,57に対して、ストップピン59がベースプレート52の長孔で移動し得る範囲で相対回転が可能である。そして、ストップピン59の大径胴部59aが長孔の端部に当接することによって、両者の相対回転が禁止される。
[動作]
ロックアップ装置1がオン(トルク伝達状態)になると、トルクは、フロントカバー2→ピストン10→ドライブプレート11→外周側トーションスプリング16→中間部材14→内周側トーションスプリング17→ハブフランジ12の経路で伝達され、出力ハブ5を介してトランスミッション側に出力される。
ロックアップ装置1においては、トルクを伝達するとともに、フロントカバー2から入力される回転速度変動を吸収・減衰する。具体的には、ロックアップ装置1において捩り振動が発生すると、外周側トーションスプリング16と内周側トーションスプリング17とがドライブプレート11とハブフランジ12との間で直列に作動する。これらのトーションスプリング16,17の作動及び各部の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)によって、回転速度変動が減衰される。
[ダイナミックダンパ装置7の動作]
外周側トーションスプリング16が圧縮されると、円周方向の中央部分が径方向外方に膨らむように変形する。また、遠心力によって、外周側トーションスプリング16は径方向外方に移動しようとする。
以上のような状況では、外周側トーションスプリング16の外周部とフロート部材18の支持部18bの内周面とが摺動し、両者の間に摩擦抵抗が生じる。このため、フロート部材18は、外周側トーションスプリング16の回転方向と同方向に、外周側トーションスプリング16の捩じり角度のほぼ1/2の回転角度だけ連れ回ることになる。
一方、フロート部材18にはダイナミックダンパ装置20が装着されているので、各イナーシャ部材54,55及び各蓋部材56,57を含む慣性要素が、回転速度変動によって振動する方向と逆方向に作用することになる。これにより、フロート部材18から外周側トーションスプリング16の回転速度変動を直接減衰させるとともに、フロート部材18と規制部材45との間に発生する摩擦力分だけトランスミッション側に伝達される回転速度変動を直接減衰させる。
[捩り特性]
外周側トーションスプリング16及び内周側トーションスプリング17による捩り特性について、図8を用いて説明する。なお、ここでは、捩り角度が正側のみについて説明する。
まず、入力されるトルクが0〜T1の範囲では、外周側トーションスプリング16及び内周側トーションスプリング17の大スプリング17aが圧縮される。この場合の捩り特性は低剛性である。
入力されるトルクがT1になり、ドライブプレート11と中間部材14との相対回転角度がθ1になると、ドライブプレート11の爪11cが第2中間プレート36の係合部36b及び第1中間プレート35のストッパ部35bに当接する。したがって、入力されるトルクがT1以上では、外周側トーションスプリング16は作動せず、内周側トーションスプリング17の大スプリング17aのみが作動することになる。このため、捩り角度がθ1以上では、捩り特性は、捩り角度0〜θ1の低剛性の捩り特性よりも高い剛性の中剛性となる。
入力されるトルクがさらに多くなってT2になると、内周側トーションスプリング17において、大スプリング17aに加えて小スプリング17bも圧縮される。このため、捩り角度がθ2以上では、捩り特性は、捩り角度θ1〜θ2の中剛性の捩り特性よりも高い剛性の高剛性となる。
そして、最終的には、ストップピン38がハブフランジ12の外周に形成された切欠き12bの円周方向端面に当接し、すべてのトーションスプリング16,17の作動が停止する。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)前記実施形態では、ダイナミックダンパ装置20が設けられたロックアップ装置に本発明を適用したが、ダイナミックダンパ装置が設けられていないロックアップ装置についても本発明を同様に適用することができる。
(b)ドライブプレート11と第2中間プレート36とによって形成される角度規制部及び移動規制部の構成は、前記実施形態に限定されない。
(c)前記実施形態では、中間部材14において、第2中間プレート36側に、外周側トーションスプリング16に係合する係合部36bを設けたが、この係合部を第1中間プレート側に設けてもよい。
この場合の例を図9に示している。図9において、第1中間プレート135は、外周部に前記実施形態と同様に、ストッパ部135b及び当接部135eが形成されている。そして、ストッパ部135bは、さらに外周側に延び、先端部がフロントカバー2側に折り曲げられて、係合部135fとなっている。この係合部135fが外周側トーションスプリング16の端面に当接している。
なお、この場合の第2中間プレート136は、外周端部に切欠き136dが形成されているだけで、前記実施形態における係合部は形成されていない。そして、この切欠き136dをドライブプレート11の爪11cが軸方向に通過している。
11 ドライブプレート(入力側回転部材)
11c 爪
12 ハブフランジ(出力側回転部材)
14 中間プレート
16 外周側トーションスプリング
17 内周側トーションスプリング
18 フロート部材
20 ダイナミックダンパ装置
22 角度規制部
24 移動規制部
35 第1中間プレート
35b ストッパ部
52 ベースプレート
54,55 イナーシャ部材
58 コイルスプリング

Claims (10)

  1. エンジンからトランスミッションに動力を伝達するための動力伝達装置であって、
    エンジンからの動力が入力される入力側回転部材と、
    前記トランスミッションに動力を出力する出力側回転部材と、
    前記入力側回転部材と前記出力側回転部材とを相対回転可能に連結する外周側弾性部材及び内周側弾性部材と、
    前記入力側回転部材及び前記出力側回転部材に相対回転可能に配置され、前記外周側弾性部材と前記内周側弾性部材とを直列に作動させる中間部材と、
    前記入力側回転部材、前記出力側回転部材、前記中間部材、及び前記外周側弾性部材に相対回転可能であり、前記外周側弾性部材の径方向の移動を規制するフロート部材と、
    前記入力側回転部材及び前記中間部材に形成され、前記入力側回転部材と前記中間部材との相対回転角度を所定の角度に規制する角度規制部と、
    前記中間部材に形成され、前記フロート部材の軸方向の移動を規制する移動規制部と、
    を備えた動力伝達装置。
  2. 前記入力側回転部材は円板状のドライブプレートを有し、
    前記中間部材は前記ドライブプレートに対向して配置された円板状の第1中間プレートを有し、
    前記角度規制部は、
    前記ドライブプレートに形成され、前記第1中間プレート側に延びる爪と、
    前記第1中間プレートに形成され、前記ドライブプレートの爪が当接可能なストッパ部と、
    を有する、
    請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記移動規制部は、前記第1中間プレートの前記ストッパ部形成されていない部分に形成され、前記フロート部材の側面に当接する当接部を有している、請求項2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記中間部材は、前記ドライブプレートと前記第1中間プレートとの間に前記第1中間プレートと軸方向に対向して配置され、前記第1中間プレートに相対回転不能にかつ軸方向移動不能に固定された第2中間プレートをさらに有し、
    前記内周側弾性部材は前記第1中間プレート及び前記第2中間プレートによって径方向及び軸方向に支持されている、
    請求項3に記載の動力伝達装置。
  5. 前記出力側回転部材は、円板状のプレートであり、前記第1中間プレートと前記第2中間プレートとの軸方向間に配置され、前記内周側弾性部材を収容する収容部を有している、請求項4に記載の動力伝達装置。
  6. 前記フロート部材は回転時に前記外周側弾性部材に対して摺動するように配置されており、
    前記フロート部材に対して相対回転自在なイナーシャ部材を含み、前記フロート部材に装着されたダンパ装置をさらに備えた、
    請求項1から5のいずれかに記載の動力伝達装置。
  7. 前記ダンパ装置は、
    前記フロート部材に固定されたベースプレートと、
    前記ベースプレートに対して相対回転自在に配置されたイナーシャ部材と、
    前記ベースプレートと前記イナーシャ部材とを連結するダンパと、
    を有する、
    請求項6に記載の動力伝達装置。
  8. 前記中間部材に装着され、前記フロート部材が軸方向の一方に移動するのを規制する規制部材をさらに備えた、請求項1から7のいずれかに記載の動力伝達装置。
  9. 前記規制部材は、
    前記中間部材に固定される固定部と、
    前記固定部の外周端部から軸方向に延びる筒状に形成され、前記フロート部材及び前記ダンパ装置を径方向に位置決めする径方向支持部と、
    前記径方向支持部の先端部から外周側に延び、前記フロート部材及び前記ダンパ装置を軸方向に位置決めするための軸方向支持部と、
    を有する、請求項8に記載の動力伝達装置。
  10. 前記外周側弾性部材は回転方向に延びるコイルスプリングであり、
    前記フロート部材は、前記コイルスプリングの外周部に接触可能であり、前記コイルスプリングの径方向の移動を規制する、
    請求項1から9のいずれかに記載の動力伝達装置。
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