JP5951081B2 - トルクコンバータのロックアップ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロックアップ装置、特に、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置されたトルクコンバータのロックアップ装置に関する。
トルクコンバータにおいては、燃費低減のためにロックアップ装置が設けられている。ロックアップ装置は、タービンとフロントカバーとの間に配置されており、フロントカバーとタービンとを機械的に連結して両者の間でトルクを直接伝達するものである。
ロックアップ装置は、一般に、ピストンと、複数のトーションスプリングを有するダンパ機構と、を有している。ピストンは、油圧の作用によってフロントカバーに押し付けられ、フロントカバーからトルクが伝達される。そして、ピストンは、複数のトーションスプリングによって、タービンに連結された出力側の部材に弾性的に連結されている。このようなロックアップ装置では、ピストンに伝達されたトルクは、複数のトーションスプリングを介して出力側の部材に伝達され、さらにタービンに伝達される。
また、特許文献1のロックアップ装置では、イナーシャ部材を含むダイナミックダンパ装置を設けることによって、エンジンの回転変動を抑えるようにしている。この特許文献1のダイナミックダンパ装置は、タービンシェルにプレートが固定されており、このプレートに相対回転可能にイナーシャ部材が装着されている。また、プレートとイナーシャ部材との間にはコイルスプリングが設けられている。
特許第5555784号公報
特許文献1のダイナミックダンパ装置では、ダイナミックダンパ装置をタービンシェルに溶接して固定している。このため、製造工程が多く、煩雑である。また、ダイナミックダンパ装置を構成するための部材の数も増え、コスト削減の妨げになる。
本発明の課題は、簡単な構成で、かつ製造コストを抑えることができるダイナミックダンパ装置を提供することにある。
本発明の一側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置は、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置されている。このロックアップ装置は、クラッチ部と、入力側プレートと、出力側プレートと、ダンパ部と、ダイナミックダンパ装置と、を備えている。クラッチ部はフロントカバーからトルクが入力される。入力側プレートはクラッチ部からトルクが入力される。出力側プレートは、入力側プレートと相対回転自在であり、タービンに連結されている。ダンパ部は、入力側プレートと出力側プレートとを回転方向に弾性的に連結する。ダイナミックダンパ装置は、出力側プレートの外周部に設けられ、回転速度変動を減衰する。
この装置では、フロントカバーから入力されたトルクは、クラッチ部を介して入力側プレートに入力され、ダンパ部及び出力側プレートを介してタービンに出力される。出力側プレートの外周部にはダイナミックダンパ装置が設けられており、このダイナミックダンパ装置によって回転速度変動を抑えることができる。
ここでは、出力側プレートの外周部にダイナミックダンパ装置を設けているので、タービンシェルに溶接する等の作業が不要になる。したがって、構成及び製造工程が簡単になる。また、従来装置のように、タービンシェルに固定された別部材としてのプレートが不要になり、コストを抑えることができる。
本発明の別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、出力側プレートは、軸方向に対向して配置され互いに連結された第1プレート及び第2プレートを有している。入力側プレートは、第1プレートと第2プレートとの軸方向間に配置されている。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、ダイナミックダンパ装置はトルクコンバータのトーラス中心より外周側に配置されている。
トルクコンバータの外周側には、一般的に比較的広い空間が形成されている。そこで、この空間にダイナミックダンパ装置を配置することによって、装置全体の軸方向寸法を短縮することができる。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、ダイナミックダンパ装置は、第1イナーシャリング及び第2イナーシャリングと、複数の弾性部材と、を有している。第1イナーシャリング及び第2イナーシャリングは、出力側プレートの外周部を軸方向において挟むように、かつ出力側プレートと相対回転自在に配置され、互いに相対回転不能に連結されている。複数の弾性部材は、出力側プレートと第1及び第2イナーシャリングとを回転方向に弾性的に連結する。
ここでは、出力側プレートの外周部をダイナミックダンパ装置の一部として利用しているので、前述のように、従来装置のような別部材としてのプレートが不要になる。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、第1及び第2イナーシャリングは弾性部材を収容する窓部を有している。窓部は、弾性部材の回転方向の両端に当接する端面と、弾性部材の軸方向の移動を規制する規制部と、を有している。
ここでは、第1及び第2イナーシャリングの窓部に弾性部材が収容されている。そして、窓部の端面に、弾性部材の端面が当接している。また、窓部の規制部によって、弾性部材の軸方向の移動が規制されている。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、弾性部材は円弧状のコイルスプリングである。
ここでは、ダイナミックダンパ装置の弾性部材は円弧状のコイルスプリング(いわゆるアークスプリング)である。このため、比較的低い回転数域においてヒステリシストルクを発生することができ、低い回転数域においても回転速度変動を効果的に抑えることができる。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、弾性部材は、トルクコンバータのトーラスより外周側で、かつ軸方向においてトーラスと重なる位置に配置されている。
この装置では、ダイナミックダンパ装置の弾性部材がトルクコンバータのトーラスより外周側の空間に配置されており、しかも軸方向においてトーラスと重なる位置に配置されている。このため、装置全体の軸方向寸法を短縮することができる。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、ダンパ部は、外周側ダンパ部と、内周側ダンパ部と、を有している。外周側ダンパ部は、フロントカバーからのトルクが入力される複数の外周側トーションスプリングを有する。内周側ダンパ部は、外周側ダンパ部の内周側に配置され、出力側プレートにトルクを伝達する複数の内周側トーションスプリングを有する。また、入力側プレートは、環状に形成されており、外周部に外周側トーションスプリングに係合する複数の外周側係合部を有し、内周部に内周側トーションスプリングに係合する内周側係合部を有する。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、外周側トーションスプリング及び内周側トーションスプリングの少なくとも一方は、円弧状のコイルスプリングである。
ここでは、外周側トーションスプリング及び内周側トーションスプリングの少なくとも一方が円弧状に形成されているので、捩じり特性の低剛性化及び捩じり角度の広角度化が実現できる。
本発明のさらに別の側面に係るトルクコンバータのロックアップ装置では、フロントカバーに固定されるとともに一部が外周側トーションスプリングに係合し、フロントカバーからのトルクを外周側トーションスプリングに伝達するドライブプレートをさらに備えている。
以上のように、本発明では、ロックアップ装置のダイナミックダンパ装置を、簡単な構成で、かつ製造コストを抑えて実現することができる。
本発明の一実施形態によるトルクコンバータの断面構成図。 図1のロックアップ装置を抽出して示す図。 ストッパ機構の断面構成図。 図1のダイナミックダンパ装置を抽出して示す図。 ダイナミックダンパ装置の正面部分図。
[全体構成]
図1に本発明の一実施形態によるトルクコンバータ1を示している。図1の左側にはエンジンが配置され、図1の右側にはトルクコンバータ及びトランスミッションが配置されている。図1に示すO−Oがトルクコンバータの回転軸である。
トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置である。トルクコンバータ1は、エンジン側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラ3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7と、から構成されている。
フロントカバー2は、円板状の部材であり、その外周部にはトランスミッション側に突出する外周筒状部10が形成されている。インペラ3は、フロントカバー2の外周筒状部10に溶接により固定されたインペラシェル3aと、インペラシェル3aの内側に固定された複数のインペラブレード3bと、複数のインペラブレード3bを支持するコア3cと、を有している。また、インペラ3は、インペラシェル3aの内周側に設けられたインペラハブ12を有している。
タービン4は流体室内でインペラ3に対向して配置されている。タービン4は、タービンシェル4aと、タービンシェル4aの内側に固定された複数のタービンブレード4bと、複数のタービンブレード4bを支持するコア4cと、を有している。また、タービン4は、タービンシェル4aの内周側に固定されたタービンハブ13を有している。タービンハブ13は、外周側に延びるフランジ13aと、エンジン側に延びる筒状部13bと、を有している。タービンハブ13のフランジ13aに、タービンシェル4aの内周部が複数のリベット14によって固定されている。また、タービンハブ13の内周部には、図示しないトランスミッションの入力シャフトがスプライン係合している。
ステータ5は、インペラ3とタービン4の内周部間に配置され、タービン4からインペラ3へと戻る作動油を整流するための機構である。ステータ5は主に、ステータキャリア5aと、その外周面に設けられた複数のステータブレード5bと、ステータブレード5bの外周部に形成されたコア5cと、を有している。ステータキャリア5aは、ワンウエイクラッチ15を介して固定シャフト(図示せず)に支持されている。
なお、図1では、トーラスの中心を符号「C」で示している。このトーラスの中心Cは、インペラ3、タービン4、及びステータ5の各コア3c,4c,5cで囲まれる空間の中心である。
[ロックアップ装置7の全体構成]
図2に、図1のロックアップ装置7を抽出して示している。ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間の空間に配置されている。ロックアップ装置7は、ピストン20と、ドライブプレート21と、複数の外周側トーションスプリング(外周側ダンパ部)22と、ドリブンプレート(1対の出力側プレート)23と、複数の内周側トーションスプリング(内周側ダンパ部)24と、中間部材25(入力側プレート)と、ダイナミックダンパ装置26と、を有している。
[ピストン20]
ピストン20は、円板状のプレートであり、フロントカバー2のトランスミッション側に配置されている。ピストン20の内周端には、トランスミッション側に延びる筒状部20aが形成されている。ピストン20の筒状部20aは、タービンハブ13の筒状部13bの外周面に軸方向移動自在及び相対回転自在に支持されている。また、ピストン20の外周部には平坦部20bが形成されている。平坦部20bのフロントカバー2側の面には、環状の摩擦材28が固定されている。この摩擦材28がフロントカバー2に押し付けられることによって、フロントカバー2からピストン20にトルクが伝達される。すなわち、ピストン20と摩擦材28とによってクラッチ部が構成されている。
[ドライブプレート21]
ドライブプレート21は、ピストン20の外周部において、トランスミッション側の側面に固定されている。具体的には、ドライブプレート21は、円板状に形成されており、内周部21aがピストン20のトランスミッション側の面にリベット30により固定されている。
図2に示すように、ドライブプレート21の外周部には複数の係合部21bが形成されている。係合部21bは、ドライブプレート21の中間部をトランスミッション側にプレス加工した部分と、外周端部をトランスミッション側でかつ内周側に折り曲げ加工した部分と、を有している。係合部21bは外周側トーションスプリング22の円周方向の両端に係合している。
なお、ドライブプレート21において、係合部21bが形成された部分以外の部分には、スプリング支持部21cが形成されている。スプリング支持部21cは、ドライブプレート21の外周部及び径方向中間部をトランスミッション側に折り曲げて形成されており、外周側トーションスプリング22の外周側及び内周側を支持している。
外周側トーションスプリング22の内周側を支持するスプリング支持部21cの一部には、複数のストッパ用の当接部21dが形成されている。当接部21dは、スプリング支持部21cの一部を内周側に折り曲げて形成されたものである。
[外周側トーションスプリング22]
複数の外周側トーションスプリング22のそれぞれは、円弧状に形成されたアークスプリングである。より詳細には、外周側トーションスプリング22は、このロックアップ装置7に組み込まれていない自由状態で、円弧状を維持する形状である。
ここで、外周側トーションスプリング22はアークスプリングであるので、外周側トーションスプリング22が作動する際に、ドライブプレート21の外周側のスプリング支持部21cと外周側トーションスプリング22とが比較的強く接触する。したがって、外周側トーションスプリング22とドライブプレート21との間に生じるヒステリシストルクは比較的大きくなる。
[ドリブンプレート23]
ドリブンプレート23は、エンジン側に配置された第1プレート32と、トランスミッション側に配置された第2プレート33と、を有している。第1プレート32及び第2プレート33は円板状に形成されている。
第1プレート32の内周部と第2プレート33の内周部とは、タービンハブ13のフランジ13aにリベット14により固定されている。また、両プレート32,33の外周部は、ストップピン35によって、軸方向に所定の間隔をあけて固定されている。すなわち、第1プレート32及び第2プレート33は、互いに固定された内周部以外は、軸方向に隙間をあけて対向して配置されている。ここでは、両プレート32,33は、タービンハブ13に対して相対回転不能で、かつ軸方向に移動不能である。
第1プレート32及び第2プレート33の径方向中間部には、窓部32a,33aが形成されている。窓部32a,33aの外周縁及び内周縁は、軸方向外側に切り起こされている。この窓部32a,33aによって、内周側トーションスプリング24の軸方向及び径方向の移動が規制されている。
[内周側トーションスプリング24及び中間部材25]
中間部材25は、ドライブプレート21とタービン4との軸方向間で、かつ第1プレート32と第2プレート33との軸方向間に配置されている。中間部材25は、ドライブプレート21及び外周側トーションスプリング22を介してフロントカバー2からトルクが入力される。中間部材25は、ドライブプレート21及びドリブンプレート23に対して相対回転自在である。
中間部材25は、環状かつプレート状の部材であり、複数の外周側係合部25aと、複数の長孔25bと、スプリング収容用の複数の開口(内周側係合部)25cと、を有している。
外周側係合部25aは、中間部材25の外周端部に円周方向に所定の間隔で設けられている。外周側係合部25aは、中間部材25の外周端部をエンジン側に折り曲げて形成されたものである。外周側係合部25aは、隣接する2つの外周側トーションスプリング22の間に配置されており、一方の外周側トーションスプリング22の一端と他方の外周側トーションスプリング22の他端とに係合している。
複数の長孔25bは、外周側係合部25aの内周側に、円周方向に所定の間隔で形成されている。長孔25bは、円周方向に長く、円弧状に形成されている。この長孔25bを、ストップピン35が貫通している。したがって、ストップピン35が長孔25bの内部で移動可能な範囲で、ドリブンプレート23と中間部材25とは相対回転が可能である。言い換えれば、ストップピン35が長孔25bの端面に当接することによって、ドリブンプレート23と中間部材25との相対回転が禁止される。
複数の開口25cは、長孔25bのさらに内周側に、円周方向に所定の間隔で形成されている。この開口25cに、内周側トーションスプリング24が収容されている。開口25cの端面が、内周側トーションスプリング24の端面に当接する内周側係合部となっている。
[ストッパ機構]
このロックアップ装置7は、ドライブプレート21とドリブンプレート23(具体的には第1プレート32)との相対回転角度を規制するためのストッパ機構40を有している。ストッパ機構40は、図3に拡大して示すように、ドライブプレート21のスプリング支持部21cの一部に設けられた当接部21dと、ドリブンプレート23の第1プレート32の外周端に形成されたストッパ爪32bと、を有している。当接部21dとストッパ爪32bとは、径方向において重なる位置に形成されている。
当接部21dは、前述のように、スプリング支持部21cの一部を内周側に折り曲げて形成されたものである。当接部21dは円周方向に所定の間隔で形成されている。したがって、隣接する当接部21dの間でストッパ爪32bが移動可能な範囲で、ドライブプレート21とドリブンプレート23との相対回転が可能である。言い換えれば、ストッパ爪32bが当接部21dに当接することで、両者の相対回転が禁止される。
[ダイナミックダンパ装置26]
ダイナミックダンパ装置26は、ドリブンプレート23を構成する第2プレート33の外周部に設けられている。図4に示すように、ダイナミックダンパ装置26は、第1イナーシャリング41と、第2イナーシャリング42と、複数のコイルスプリング(弾性部材)43と、を有している。
第2プレート33は、トルクコンバータ本体6の外周よりもさらに外周側に延びている。また、第2プレート33の外周部は、他の部分からトランスミッション側にオフセットされた平坦部33bを有している。そして、この平坦部33bには、円周方向に所定の間隔で開口33cが形成されている。
第1イナーシャリング41及び第2イナーシャリング42は、第2プレート33の平坦部33bを軸方向において挟むように、かつ第2プレート33と相対回転自在に配置されている。第1イナーシャリング41と第2イナーシャリング42とは、図5に示すように、開口33cが形成されていない部分において、リベット44によって互いに固定されている。したがって、第1イナーシャリング41と第2イナーシャリング42とは、相対回転不能で、かつ軸方向に相対移動不能である。
第1イナーシャリング41及び第2イナーシャリング42は同じ形状である。具体的には、第1及び第2イナーシャリング41,42は、環状でかつプレート状に形成されている。各イナーシャリング41,42は、図5に示すように、4つの大窓部41a,42aと、2つの小窓部41b,42bと、を有している。大窓部41a,42a及び小窓部41b,42bはそれぞれ回転軸を挟んで対向した位置に配置されている。
大窓部41a,42aには、バネ長の比較的長い大コイルスプリング43aが収容されている。また、小窓部41b,42bには、大コイルスプリング43aよりバネ長の短い小コイルスプリング43bが収容されている。大コイルスプリング43a及び小コイルスプリング43bは、自由状態で円弧状に形成されたアークスプリングである。
なお、各窓部41a,42a,41b,42bの端面は、各コイルスプリング43a,43bの端面が当接している。また、各窓部41a,42a,41b,42bの外周縁及び内周縁は、軸方向外側に切り起こされている。この切り起こし部によって、内部に収容された大コイルスプリング43a及び小コイルスプリング43bの径方向及び軸方向の移動が規制されている。
図4から明らかなように、コイルスプリング43は、トルクコンバータ本体6のトーラスの中心Cより外周側に配置されている。また、コイルスプリング43は、軸方向においてトーラスと重なる位置に配置されている。
[動作]
ロックアップ装置7が作動していないクラッチオフ状態では、エンジンからのトルクはフロントカバー2からインペラ3に伝達される。インペラ3のインペラブレード3bにより駆動された作動油は、タービン4を回転させる。このタービン4のトルクはタービンハブ13を介して図示しないトランスミッションの入力シャフトに伝達される。
車両の速度が所定の速度以上になると、ピストン20がフロントカバー2側に移動させられ、摩擦材28がフロントカバー2の摩擦面に押し付けられる。これによりクラッチオン状態になり、フロントカバー2のトルクは、ピストン20からドライブプレート21を介して外周側トーションスプリング22に伝達される。外周側トーションスプリング22に伝達されたトルクは、中間部材25を介して内周側トーションスプリング24に伝達される。内周側トーションスプリング24に伝達されたトルクは、ドリブンプレート23を介してタービンハブ13に伝達される。
[ダイナミックダンパ装置26の動作]
ドリブンプレート23の回転によって、ダイナミックダンパ装置26が作動し、このダイナミックダンパ装置26の作用によってエンジンの回転速度変動が抑制される。すなわち、ドリブンプレート23の第2プレート33の回転と、第1及び第2イナーシャリング41,42の回転とは、コイルスプリング43の作用によって位相にズレが生じる。具体的には、所定のエンジン回転数において、第1及び第2イナーシャリング41,42は、第2プレート33を含むドリブンプレート23の回転速度変動を打ち消す位相で変動する。この位相のズレによって、トランスミッションの回転速度変動を吸収することができる。
ここで、ダイナミックダンパ装置26のコイルスプリング43はアークスプリングである。このため、ダイナミックダンパ装置26においては、比較的大きいヒステリシストルクが発生する。したがって、ダイナミックダンパ装置による共振ピークを、より抑えることができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)前記実施形態では、外周側トーションスプリング及び内周側トーションスプリングの両方をアークスプリングとしたが、これらのトーションスプリングは、特にアークスプリングに限定されない。
(b)前記実施形態では、外周側トーションスプリング及び内周側トーションスプリングの両方が設けられた場合について説明したが、いずれか一方のみが設けられている場合にも、本発明を同様に適用できる。
(c)前記実施形態では、ピストンのフロントカバー側の面に摩擦部材を設けたが、複数の摩擦部材からなるクラッチ部を設け、このクラッチ部を介してフロントカバーからトーションスプリングにトルクを伝達する装置にも、本発明を同様に適用できる。
1 トルクコンバータ
2 フロントカバー
3 インペラ
4 タービン
7 ロックアップ装置
20 ピストン
21 ドライブプレート
22 外周側トーションスプリング
23 ドリブンプレート
25 中間部材
26 ダイナミックダンパ装置
28 摩擦部材
32 第1プレート
33 第2プレート
41 第1イナーシャリング
42 第2イナーシャリング
43 コイルスプリング

Claims (4)

  1. エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置されたロックアップ装置であって、
    前記フロントカバーからトルクが入力されるクラッチ部と、
    前記クラッチ部からトルクが入力される入力側プレートと、
    前記入力側プレートと相対回転自在であり、前記タービンに連結された出力側プレートと、
    前記入力側プレートと前記出力側プレートとを回転方向に弾性的に連結するダンパ部と、
    前記出力側プレートの外周部に設けられ、回転速度変動を減衰するダイナミックダンパ装置と、
    を備え、
    前記ダイナミックダンパ装置は、
    前記出力側プレートの外周部を軸方向において挟むように、かつ前記出力側プレートと相対回転自在に配置され、互いに相対回転不能に連結された第1イナーシャリング及び第2イナーシャリングと、
    前記出力側プレートと前記第1及び第2イナーシャリングとを回転方向に弾性的に連結する複数の弾性部材と、
    を有している、
    トルクコンバータのロックアップ装置。
  2. 前記第1及び第2イナーシャリングは前記弾性部材を収容する窓部を有し、
    前記窓部は、前記弾性部材の回転方向の両端に当接する端面と、前記弾性部材の軸方向の移動を規制する規制部と、を有している、
    請求項1に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  3. 前記弾性部材は円弧状のコイルスプリングである、請求項1又は2に記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
  4. 前記弾性部材は、前記トルクコンバータのトーラスの中心より外周側で、かつ軸方向において前記トーラスと重なる位置に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載のトルクコンバータのロックアップ装置。
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