JP4930867B1 - トルクコンバータ用ロックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このロックアップ装置7は、フロート部材42によって円周方向に直列に作用する少なくとも2つの第1弾性部材32において、いずれか1つの第1弾性部材32の自由長を、他の第1弾性部材32の自由長より短くすることによって、自由長が短い第1弾性部材32aの剛性K1を、他の第1弾性部材32の剛性K2より大きく設定する。
【選択図】図2
Description
トルクコンバータ1は、エンジン側のクランクシャフト(図示せず)からトランスミッションの入力シャフトにトルクを伝達するための装置であり、入力側の部材に固定されるフロントカバー2と、3種の羽根車(インペラー3、タービン4、ステータ5)からなるトルクコンバータ本体6と、ロックアップ装置7とから構成されている。
ロックアップ装置7は、フロントカバー2とタービン4との間の環状の空間に配置されている。ロックアップ装置7は、主に、ピストン30と、ドライブプレート31と、それぞれ複数の外周側及び内周側のトーションスプリング32,33と、外周側のトーションスプリング32と内周側のトーションスプリング33とを連結する中間部材34と、ドリブンプレート35と、を有している。
ピストン30は、円板状のプレート部材であり、フロントカバー2とタービン4との間の空間を軸方向に2分割するように配置されている。ピストン30の外周部は平坦な摩擦連結部30aとなっており、この摩擦連結部30aの軸方向エンジン側には摩擦フェーシング37が設けられている。この摩擦フェーシング37に対向して、フロントカバー2には平坦な摩擦面が形成されている。また、ピストン30の内周縁には軸方向トランスミッション側に延びる内周筒状部30bが設けられている。内周筒状部30bの内周面はタービンハブ17の外周面に対して軸方向及び回転方向に移動可能に支持されている。なお、内周筒状部30bの先端がタービンハブ17の一部に当接した状態では、軸方向トランスミッション側へのピストン30の移動が、規制されている。内周筒状部30bとタービンハブ17の外周面との間にはシールリング38が設けられている。
ドライブプレート31は、板金製の環状の部材であり、ピストン30における摩擦連結部30aの軸方向トランスミッション側に配置されている。このドライブプレート31の内周部が複数のリベット40によってピストン30に固定されている。また、ドライブプレート31の外周部には、軸方向トランスミッション側に延びる複数の係止部31aが形成されている。複数の係止部31aは円周方向に所定の間隔をあけて形成されており、外周側トーションスプリング32の端面を支持している。さらに、ドライブプレート31のピストン取付部の上方には、軸方向トランスミッション側に延びる支持部31bが形成されている。この支持部31bによって外周側トーションスプリング32の内周側が支持されている。
複数の外周側トーションスプリング32それぞれは、半径方向における所定の位置において円周方向に並べて配置されている。複数の外周側トーションスプリング32は、複数対の外周側トーションスプリング32から構成されている。ここでは、1組2個で合計8個の外周側トーションスプリング32が設けられている。
中間部材34は、ピストン30とタービンシェル15との間に配置された環状かつ円板状のプレート部材である。中間部材34は第1プレート44と第2プレート45とから構成されている。第1プレート44と第2プレート45とは軸方向に間隔を開けて配置されている。第1プレート44が軸方向エンジン側に配置され、第2プレート45が軸方向トランスミッション側に配置されている。第1プレート44と第2プレート45とは、外周部が複数のストッパピン46によって互いに相対回転不能でかつ軸方向に移動不能に連結されている。第1プレート44及び第2プレート45には、それぞれ軸方向に貫通する窓部44a,45aが形成されている。窓部44a,45aは、図1及び図2から明らかなように、円周方向に延びて形成されており、内周部と外周部には、軸方向に切り起こされた切り起こし部が形成されている。
複数の内周側トーションスプリング33のそれぞれは、中間部材34の両プレート44,45の窓部44a,45a内に配置されている。そして、各内周側トーションスプリング33は、窓部44a,45aによって円周方向両端及び半径方向両側が支持されている。さらに、各内周側トーションスプリング33は、窓部44,45の切り起こし部によって軸方向への飛び出しが規制されている。
ドリブンプレート35は、環状かつ円板状の部材であり、内周部がタービンシェル15とともにリベット18によってタービンハブ17のフランジ17aに固定されている。このドリブンプレート35は、第1プレート44と第2プレート45との間に、両プレート44,45に対して相対回転可能に配置されている。そして、ドリブンプレート35の外周部には、第1及び第2プレート44,45の窓部44a,45aに対応して、窓孔35aが形成されている。窓孔35aは軸方向に貫通する孔であり、この窓孔35aに内周側トーションスプリング33が配置されている。また、ドリブンプレート35の外周部には、図2の破線で示すように、円周方向に長い複数の切欠き35bが形成されている。そして、この切欠き35bをストッパピン46が軸方向に貫通している。したがって、ドリブンプレート35と中間部材34を構成する両プレート44,45とは、この切欠き35bが形成された角度範囲内で相対回転が可能である。
次に、動作について説明する。エンジン側のクランクシャフトからのトルクはフロントカバー2に入力される。これにより、インペラー3が回転し、作動油がインペラー3からタービン4へ流れる。この作動油の流れによりタービン4は回転し、タービン4のトルクは図示しない入力シャフトに出力される。
ここでは、まず、本ロックアップ装置7の説明を行う前に、各組の2個の外周側トーションスプリング32それぞれの自由長及び剛性が同一に設定されている場合の説明を行う。これは、従来のロックアップ装置に相当し、外周側トーションスプリング32を除いた他の構成は、本ロックアップ装置と同じであるものとする。この場合の捩り特性も、上述したような2段の捩り特性を有する。この2段の捩り特性を示すモデル図を、図3に示す。図3に示す記号Eはエンジンを示し、記号Tはトランスミッションを示す。また、記号Dr、記号F、記号M、及び記号Dvは、それぞれが、ドライブプレート、フロート部材、中間部材、ドリブンプレートを示す。さらに、この場合の捩り特性の概念図及びロックアップ装置の振動レベル(変動レベル)の概念図を、図4及び図5に示す。
一般的なロックアップ装置では、各組の2個の外周側トーションスプリング32の自由長の合計が、所定の長さに設定される。例えば、円周方向に隣接する2つのドライブプレート31の係止部31aの間の円周方向長さから、フロート部材42の折り曲げ部42aの円周方向の長さを減算した長さが、上記の所定の長さに対応する。このように、各組の2個の外周側トーションスプリング32の長さの合計を所定の長さに設定するということは、各外周側トーションスプリング32の調整に対して制限があるということを意味する。
(a)本発明は、以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。例えば、前記実施形態では弾性部材をコイルスプリングによって構成したが、他の樹脂等によって形成された弾性部材を用いても良い。また、外周側及び内周側トーションスプリングを構成するコイルスプリングの数や長さ等については、前記実施形態に限定されない。さらに、フロート部材は、少なくとも2つのトーションスプリング(弾性部材)を同一円周上において直列に配置するためのものであって、その形状は前記実施形態に限定されない。
(b)前記実施形態では、自由長の短い外周側トーションスプリング32aが、入力側に配置される場合の例を示した。これは、例えば、エンジンの気筒数が少ない場合、例えば8気筒未満のエンジンを用いた場合を、想定したものである。一方で、エンジンの気筒数が多い場合、例えば8気筒以上のエンジンを用いた場合を、想定すると、フロート部材42の共振回転数Nfが、常用回転数域においてロックアップ回転数Naの近傍に現れるおそれがある。例えば、図5における|Nf−Na|の値が小さくなってしまい、ロックアップ回転数Naにおいてフロート部材42の共振の影響を強く受けてしまうおそれがある。このような場合には、自由長の長い第1弾性部材32bを入力側に配置することによって、フロート部材42の共振回転数Nfをロックアップ回転数Naより低い回転数域に設定する。これにより、常用回転数域(>Na)におけるフロート部材の共振の影響を、排除することができる。すなわち、ロックアップ装置7としての振動レベルを、許容範囲内に収めることができる。
(c)前記実施形態では、フロート部材42により支持されるトーションスプリング32a,32bが、外周側に配置される場合の例を示したが、フロート部材42により支持されるトーションスプリング32a,32bの配置は、前記実施形態に限定されず、どのようにしても良い。例えば、図1及び図2における、外周側トーションスプリング32a,32bと、内周側トーションスプリング33との半径方向の配置を、反転しても良い。この場合の一例を、図9に示す。図9では、外周側に、トーションスプリング133が配置され、内周側に、トーションスプリング132a,132bが配置される。内周側のトーションスプリング132a,132bは、フロート部材142を介して、直列に配置されている。
2 フロントカバー
4 タービン
7 ロックアップ装置
30 ピストン
31 ドライブプレート
32 外周側トーションスプリング
33 内周側トーションスプリング
34 中間部材
35 ドリブンプレート
42 フロート部材
K1 外周側トーションスプリングの剛性
K2 外周側トーションスプリングの剛性
I1 フロート部材の慣性2次モーメント
I2 中間部材の慣性2次モーメント
Claims (5)
- トルクを伝達するとともに捩り振動を吸収・減衰するためのトルクコンバータ用のロックアップ装置であって、
入力回転部材と、
出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材との相対回転によって回転方向に圧縮される複数の第1弾性部材と、
複数の前記第1弾性部材の中の少なくとも2つの前記第1弾性部材を、円周方向に直列に作用させるために、前記入力回転部材に相対回転可能に配置されたフロート部材と、
を備え、
複数の前記第1弾性部材それぞれは、半径方向における所定の位置において円周方向に並べて配置され、
前記フロート部材によって円周方向に直列に作用する前記少なくとも2つの第1弾性部材において、いずれか1つの前記第1弾性部材の自由長を、他の前記第1弾性部材の自由長より短くすることによって、いずれか1つの前記第1弾性部材の剛性を、他の前記第1弾性部材の剛性より大きく設定する、
トルクコンバータ用のロックアップ装置。 - 複数の前記第1弾性部材の内周側及び外周側のいずれか一方に配置され、前記出力回転部材にトルクを伝達する複数の第2弾性部材と、
トルクを前記第1弾性部材から前記第2弾性部材に伝達するために、前記入力回転部材に相対回転可能に配置された中間部材と、
をさらに備える請求項1に記載のトルクコンバータ用のロックアップ装置。 - 前記フロート部材によって円周方向に直列に作用する前記少なくとも2つの第1弾性部材において、自由長の短い前記第1弾性部材が、前記入力回転部材によってトルクが入力される側に配置される、
請求項1又は2に記載のトルクコンバータ用のロックアップ装置。 - 前記フロート部材によって円周方向に直列に作用する前記少なくとも2つの第1弾性部材において、自由長の長い前記第1弾性部材が、前記入力回転部材によってトルクが入力される側に配置される、
請求項1又は2に記載のトルクコンバータ用のロックアップ装置。 - 前記フロート部材によって円周方向に直列に作用する前記少なくとも2つの第1弾性部材の自由長の合計が一定になるように、前記少なくとも2つの第1弾性部材それぞれの自由長が、設定される、
請求項1から4のいずれかに記載のトルクコンバータ用のロックアップ装置。
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