JP4956496B2 - 捩り振動低減装置 - Google Patents
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このように、各部の構造が複雑になると、加工コストの増大や、装置の重量増を招くことにもなり、好ましくない。
また、このような課題は、トルクコンバータのロックアップ装置に限らず、トーションスプリングのようなばね部材を利用して動力伝達時の捩り振動を吸収し減衰する各種の装置(捩り振動低減装置)において生じるものである。
このように、本装置の場合、入力側回転部材及び出力側回転部材の回転中心から外向きに、入力側回転部材の内周規制部,ばね部材,中間部材の円環状の連結部が順に配置され、ばね部材及び中間部材が協働して入力側回転部材によって径方向に移動を規制される構造であり、中間部材のみでばね部材の径方向移動を規制し、中間部材の径方向移動規制は入力側回転部材により行なう構造に比べて、入力側回転部材や中間部材を複雑な形状に加工する必要がなくなり、中間部材の半径方向移動を規制するためのコストが増大することや装置の重量増を抑えることができる。
まず、本発明の一実施形態にかかる捩り振動低減装置(ロックアップダンパ)をそなえたロックアップ装置付きのトルクコンバータを説明する。
図1は本実施形態にかかるトルクコンバータ1の縦断面図であり、(a)はトルクコンバータ1の回転軸心線CLを中心とした半部のみを示す全体断面図、(b),(c),(d)はいずれもその要部断面図である。なお、図1(a)は各部材の配置関係を示すもので各部材の断面は同一の回転方向位相のものではないが、図1(b),(c),(d)は各部材の断面を同一の回転方向位相のもので示している。
フロントカバー2は、前端面の円板部2aとこの円板部2aの外周端から後方側に延長する円筒部2bとで構成されている。円板部2aは、その中心部2c及び外周部2dがこれらの中間部に比較して後方側に屈曲形成され、中心部2cの中心位置に前方側(エンジン側)に突出する軸部5が形成されている。また、外周部2dにエンジン等の回転駆動源の部材(クランクシャフト)と連結する連結部を構成するナット6が円周方向に所定間隔で固定されている。
このようなトルクコンバータ本体10の前方側にロックアップ装置20が備えられる。
図2は本実施形態にかかる捩り振動低減装置(ロックアップダンパ)の要部を示す正面図[図2(a)]及び断面図[図2(b)]であり、図3は図2(a)の部分拡大図、図4はその捩り振動低減装置の要部分解斜視図、図5〜図7はその捩り振動低減装置の入力側回転部材(ドライブプレート),出力側回転部材(ドリブンプレート),及び中間部材(イコライザープレート)をそれぞれ示す正面図,断面図である。
そして、このドライブプレート22の複数のトルク伝達部22bの回転方向間には、図1〜図5に示すように、それぞればね収容部22iが形成されている。本実施形態では、ばね収容部22iは4つ形成されている。これらの各ばね収容部22i内には、円周方向に延びるコイルスプリングであるトーションスプリング24が何れも圧縮状態で収容されている。各ばね収容部22i内には1対のトーションスプリング24a,24bが回転方向に直列に作用するように配置されており、全体で合計8個のトーションスプリングが用いられている。なお、ここでいう1個のトーションスプリングとは、コイルスプリング単体の物のみならず、コイルスプリング内にさらに小コイルスプリングや弾性体を組みあわせたものをもいう。また、各ばね収容部22i内において、イコライザープレート25の爪部25aを挟んで、回転方向R1側(図2,図3参照)のトーションスプリングをトーションスプリング24aとし、回転方向R2側(図2,図3参照)のトーションスプリングをトーションスプリング24bとする。
なお、円弧状に形成されるばね収容部22i内に、自然の状態では直線状のトーションスプリング24を収容するには、トーションスプリング24を円弧状空間に合わせて湾曲させなくてはならないためトーションスプリング24にこの湾曲に応じたストレスが溜まるため、可能な限りこのトーションスプリング24の湾曲を小さくしたい。このためには、ばね収容部22iの円弧長さを小さくすればよいが、ばね収容部22iの円弧長さを小さくするとトーションスプリング24の弾性ストロークが小さくなり、ドライブプレート22とドリブンプレート23との相対回転を僅かしか許容することができない。
また、イコライザープレート25の内環連結部25c及び各爪部25aの各内周側先端部25dは、トーションスプリング24の一側(前方、エンジン側)に配置されると共に、イコライザープレート25の各爪部25aの外周側先端部25eは、トーションスプリング24の他側(後方、変速機構側)に配置されている。この結果、各爪部25aは、トーションスプリング24の内側で且つ一側(前方、エンジン側)からトーションスプリング24の外側で且つ他側(後方、変速機構側)に向けて軸方向に対して斜め外向きに傾斜して延びるように配置されている。
本発明の一実施形態にかかる捩り振動低減装置付きロックアップ装置は上述のように構成されているので、ロックアップ装置によりトルク伝達を行なう時には、ピストン21を前方(エンジン側)に移動させてピストン21に張られた摩擦フェーシング26をフロントカバー2の平坦な摩擦面に圧接させることで、ピストン21をフロントカバー2と一体に回転させる。これにより、ピストン21に一体に結合されたドライブプレート22が回転し、このドライブプレート22からドリブンプレート23へトルクが伝達される。
例えば、図1(d)において、イコライザープレート25が内周方向(図中下方)に移動しようとすると、イコライザープレート25の連結部(外環連結部)25bがトーションスプリング24の外周側に当接し、これにより、トーションスプリング24が内周方向(図中下方)に移動して、ドライブプレート22の突起部(内周規制部)22fに当接して移動を阻止される。したがって、イコライザープレート25の内周方向への移動も阻止される。
また、本装置では、イコライザープレート25において、トーションスプリング24を回転方向に連結する各爪部25aが、各トーションスプリング24の内側(内周側)で且つその一側(前方、エンジン側)から各トーションスプリング24の外側(外周側)で且つその他側(後方、変速機構側)に向けて延びるように、軸方向にも径方向にも斜めに傾斜した方向に延びるように配置されている。
また、このような爪部25aの配置は、イコライザープレート25において、トーションスプリング24の外周側に位置する円環状の(外環連結部)25bと各爪部25aとの接続部分(爪部25aの外周側先端部25e)をトーションスプリング24の外周面から離隔して配置することが容易になる。このため、かかる接続部分の形状自由度が高まり、各爪部25aのかかる接続部分近傍(外周側先端部25e付近)の幅Wを広くして接続部分の剛性や強度を高めることも容易になる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、図1等に示すドライブプレート22,ドリブンプレート23,イコライザープレート25の各部断面形状等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形しうる。
また、ドライブプレート22のばね収容部22iの個数や、各ばね収容部22iに収容されるトーションスプリング24の個数も、限定されるものではない。
2 フロントカバー
3 リヤカバー
4 コンバータカバー
7 空間
7A 第1油圧室
7B 第2油圧室
10 トルクコンバータ本体
11 ポンプインペラ
12 タービンランナー
13 ステータ
14 ワンウェイクラッチ
15 タービンシェル
15a リベット
16 タービンブレード
17 タービンハブ
17a フランジ
20 ロックアップ装置
21 ピストン
21a 内周側筒状部
21b 摩擦連結部
21c かしめ
22 ドライブプレート(入力側回転部材)
22a 環状部
22b 環状屈曲部
22c トルク伝達部
22d 環状連結部
22e 半抜き部(対向部)
22f 突起部(内周規制部)
22g 軸方向規制面
22h トルク伝達部22cの両端面
22i ばね収容部
23 ドリブンプレート(出力側回転部材)
23a 環状部
23b 爪(ばね部材圧縮部)
24,24a,24b トーションスプリング(ばね部材)
25 イコライザープレート(中間部材、スプリングホルダー)
25a 爪部
25b 円環状の連結部(外環連結部)
25c 円環状の連結部(内環連結部)
25d 爪部25aの内周側先端部
25e 爪部25aの外周側先端部
26 摩擦フェーシング
Claims (2)
- 円周方向に沿って複数個のばね支持部が設けられ、該ばね支持部の間に複数個のばね部材が環状に且つ直列に配置されて収容される入力側回転部材と、
前記入力側回転部材と対向し同軸上に配置され、前記ばね支持部との間で前記複数個のばね部材を圧縮するばね部材圧縮部を備えた出力側回転部材と、を備え、
前記入力側回転部材と前記出力側回転部材との間でトルクの伝達を行い、前記ばね部材の弾性によって捩り振動を吸収する捩り振動低減装置において、
前記入力側回転部材に、前記ばね部材の内周側で該ばね部材の径方向移動を規制する内周規制部が形成されるとともに、
前記直列配置された前記複数個のばね部材の相互間に介装されて該ばね部材相互を回転方向に連結する複数個の爪部と、これらの複数個の爪部の各外周側先端部を連結すると共に該ばね部材の外周側で該ばね部材の径方向移動を規制する円環状の連結部とからなり、
前記入力側回転部材及び前記出力側回転部材との相対回転を許容されるように配設された中間部材を備え、
前記中間部材に、前記複数個の爪部の各内周側先端部を連結する内環連結部が設けられ、前記入力側回転部材には、前記内環連結部と半径方向にクリアランスを持って対向する複数個の対向部が周方向に並べて形成されている
ことを特徴とする、捩り振動低減装置。 - 前記中間部材の前記内環連結部及び前記爪部の前記内周側先端部は、前記複数個のばね部材の一側に配置されると共に、前記中間部材の前記爪部の前記外周側先端部は、前記複数個のばね部材の他側に配置され、
前記爪部は、前記複数個のばね部材の内側で且つ前記一側から前記複数個のばね部材の外側で且つ前記他側に延びるように配置されている
ことを特徴とする、請求項1記載の捩り振動低減装置。
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