JP4173275B2 - 弾性連結機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性連結機構、特に、トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するための弾性連結機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に弾性連結機構は、入力回転部材から出力回転部材にトルクを伝達しつつ、入力回転部材から出力回転部材に伝わる捩り振動を吸収・減衰する。このような弾性連結機構が用いられる構造として、例えば、トルクコンバータ内部に配置されるロックアップ装置が知られている。
【0003】
トルクコンバータは、3種の羽根車(インペラー,タービン,ステータ)を内部に有し、内部の作動油を介してトルクを伝達する装置である。インペラーは入力側回転体としてのフロントカバーに固定されている。タービンは流体室内でインペラーに対向して配置されている。インペラーが回転すると、インペラーからタービンに作動油が流れ、タービンを回転させることでトルクを出力する。
【0004】
ロックアップ装置は、タービンとフロントカバーとの間の空間に配置されており、フロントカバーとタービンを機械的に連結することでフロントカバーからタービンにトルクを直接伝達するための機構である。
【0005】
通常、このロックアップクラッチは、フロントカバーに押し付けられることが可能な円板状のピストンと、ピストンの外周部に固定されるリティーニングプレートと、リティーニングプレートにより回転方向及び外周側を支持されるトーションスプリングと、トーションスプリングの両端を回転方向に支持するドリブンプレートとを有している。ドリブンプレートはタービンのタービンシェル等に固定されている。
【0006】
ロックアップ装置が連結状態になると、トルクはフロントカバーからピストンに伝達され、さらにトーションスプリングを介してタービンに伝えられる。また、ロックアップ装置の弾性連結機構においては、トーションスプリングがリティーニングプレートとドリブン部材との間で回転方向に圧縮され、捩り振動を吸収・減衰する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のロックアップ装置では、トルク変動がロックアップ装置に入力されると、ピストン及びリティーニングプレートとドリブンプレートとが相対回転し、トーションスプリングが回転方向に圧縮される。このダンパー作動時に、トーションスプリングは遠心力によって半径方向外方に移動しており、リティーニングプレートとの間で摺動抵抗(ヒステリシストルク)が生じさせる。特に、近年においてトーションスプリングは捩じり振動吸収性能を高めるため低剛性化・広捩じり角度化が進んでいるため、ばね圧縮時に回転方向中間部が半径方向外側に迫り出し易くなっている。以上の場合には、トーションスプリング等の摩耗の問題以外に、ヒステリシスによって捩り振動吸収性能が低下してしまう問題がある。
【0008】
本発明の目的は、弾性部材を有する弾性連結機構において、弾性部材と他の部材の摺動抵抗を減らすことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の弾性連結機構は、トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するための機構であり、入力回転部材と、出力回転部材と、弾性部材と、サポート部材とを備えている。弾性部材は入力回転部材と出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。サポート部材は入力回転部材及び出力回転部材に相対回転可能に配置されている。サポート部材は、弾性部材の外周側を支持する筒状の外周側支持部と、弾性部材の内周側を支持する筒状内周側支持部と、外周側支持部と内周側支持部とを連結する連結部とを有している。連結部は軸方向に貫通する孔を有している。入力回転体および出力回転体のうち一方には、孔に挿入されサポート部材を回転方向に案内するとともに入力回転体および出力回転体のうち一方に対するサポート部材の軸方向への移動を規制する案内部材が固定されている。
【0010】
この弾性連結機構では、入力回転部材と出力回転部材が相対回転すると、弾性部材が回転方向に圧縮される。このとき、サポート部材は弾性部材の圧縮とともに回転方向に移動する。したがって、弾性部材と他の部材との摺動抵抗が少なくなる。
【0011】
請求項2に記載の弾性連結機構は、請求項1において、案内部材の先端部の半径方向寸法が孔の半径方向寸法よりも大きい。
【0012】
請求項3に記載の弾性連結機構は、請求項2において、案内部材が、半径方向に弾性変形可能なように並んで配置され1対のプレート部材を有している。プレート部材は、孔に挿入される1対の第1部分と、先端部を形成する1対の第2部分と、を有している。
【0013】
請求項4に記載の弾性連結機構は、請求項1から3のいずれかにおいて、案内部材が、弾性部材の端部を回転方向に支持可能である。
【0014】
請求項5に記載の弾性連結機構では、請求項1から4のいずれかにおいて、連結部は弾性部材の軸方向片側に配置されている。
【0015】
請求項6に記載の弾性連結機構では、請求項1から5のいずれかにおいて、連結部は環状に形成されている。
【0016】
請求項7に記載の弾性連結機構は、トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するための機構であり、入力回転部材と、出力回転部材と、弾性部材と、サポート部材と、を備えている。入力回転部材は、環状の入力部材と、入力部材に固定されたドライブ部材と、を有している。弾性部材は、入力回転部材と出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。サポート部材は、弾性部材の外周側を支持する筒状の外周側支持部と、弾性部材の内周側を支持する筒状の内周側支持部と、外周側支持部と内周側支持部とを連結する連結部とを有している。ドライブ部材は、弾性部材の端部を回転方向に支持可能であり外周側支持部と内周側支持部との半径方向間に少なくとも一部が入り込んでいる複数の支持部を有している。サポート部材は、入力回転部材及び出力回転部材に相対回転可能に配置されており、入力部材とドライブ部材の支持部との軸方向間に挟み込まれている。
【0017】
請求項8に記載の弾性連結機構は、請求項7において、連結部が入力部材とドライブ部材との軸方向間に挟み込まれている。
【0018】
請求項9に記載の弾性連結機構は、請求項8において、ドライブ部材が、入力部材に固定される環状の固定部と、固定部から半径方向外側へ延びる複数の支持部と、を有している。連結部は、入力部材と支持部との間に挟みこまれている。
【0019】
請求項10に記載の弾性連結機構は、請求項9において、ドライブ部材が複数の支持部を回転方向に連結する環状の外周部をさらに有している。
【0020】
請求項11に記載の弾性連結機構は、トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するための機構であって、入力回転部材と出力回転部材と弾性部材と環状の中間部材とを備えている。弾性部材は、入力回転部材と出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。中間部材は、弾性部材を内部に収容し、入力回転部材及び出力回転部材に対して相対回転可能に配置されている。入力回転部材及び出力回転部材は、中間部材内に所定範囲で回転方向に移動可能に挿入され、弾性部材の回転方向端に当接する爪部を各々有している。中間部材は、弾性部材の外周側を支持する筒状の外周側支持部と、弾性部材の内周側を支持する筒状の内周側支持部と、外周側支持部および内周側支持部のエンジン側を連結する第1連結部と、外周側支持部および内周側支持部のトランスミッション側を連結する第2連結部と、を有している。弾性部材は、外周側支持部、内周側支持部、第1連結部および第2連結部により形成される空間に収容されている。中間部材は、外周側支持部、内周側支持部、第1連結部および第2連結部を含み互いに固定された2つの部材を有している。
この弾性連結機構では、入力回転部材と出力回転部材が相対回転すると、弾性部材が回転方向に圧縮される。このとき、中間部材は弾性部材の圧縮とともに回転方向に移動するが、弾性部材は中間部材内に配置されているため、弾性部材と他の部材との摺動抵抗が少なくなる。 請求項12に記載の弾性連結機構は、請求項11において、第1連結部が軸方向に貫通する第1孔を有している。第2連結部は軸方向に貫通する第2孔を有している。入力回転部材は、第1孔に挿入され弾性部材の第1端部を回転方向に支持可能な第1部材を有している。出力回転部材は、第2孔に挿入され弾性部材の第2端部を回転方向に支持可能な第2部材を有している。
【0021】
請求項13に記載のトルクコンバータのロックアップ装置は、フロントカバーとタービンとの軸方向間に配置された請求項1〜12のいずれかに記載の弾性連結機構を備えている。入力回転部材はフロントカバーと摺動可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
(1)トルクコンバータの基本構造
図1は本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバータ1の縦断面概略図である。トルクコンバータ1は、エンジンのクランクシャフト2からトランスミッションの入力シャフト3にトルクを伝達するための装置である。図1の左側に図示しないエンジンが配置され、図1の右側に図示しないトランスミッションが配置されている。図1に示すO−Oがトルクコンバータ1の回転軸である。また、矢印R1がトルクコンバータ1の回転方向駆動側を表しており、矢印R2がその反対側を表している。
【0023】
トルクコンバータ1は、主に、フレキシブルプレート4とトルクコンバータ本体5とから構成されている。フレキシブルプレート4は、円板状の薄い部材からなり、トルクを伝達するとともにクランクシャフト2からトルクコンバータ本体5に伝達される曲げ振動を吸収するための部材である。したがって、フレキシブルプレート4は、回転方向にはトルク伝達に十分な剛性を有しているが、曲げ方向には剛性が低くなっている。
【0024】
トルクコンバータ本体5は、3種の羽根車(インペラー21、タービン22、ステータ23)からなるトーラス形状の流体作動室6と、ロックアップ装置7とから構成されている。
【0025】
フロントカバー11は、円板状の部材であり、フレキシブルプレート4に近接して配置されている。フロントカバー11の内周端にはセンターボス16が溶接により固定されている。センターボス16は、軸方向に延びる円筒形状の部材であり、クランクシャフト2の中心孔内に挿入されている。
【0026】
フレキシブルプレート4の内周部は複数のボルト13によってクランクシャフト2の先端面に固定されている。フロントカバー11の外周側かつエンジン側面には、円周方向に等間隔で複数のナット12が固定されている。このナット12内に螺合するボルト14がフレキシブルプレート4の外周部をフロントカバー11に固定している。
【0027】
フロントカバー11の外周部には、軸方向トランスミッション側に延びる外周側筒状部11aが形成されている。この外周側筒状部11aの先端にインペラー21のインペラーシェル26の外周縁が溶接によって固定されている。この結果、フロントカバー11とインペラー21とによって、内部に作動油が充填された流体室が形成されている。インペラー21は、主に、インペラーシェル26と、その内側に固定された複数のインペラーブレード27と、インペラーシェル26の内周部に固定されたインペラーハブ28とから構成されている。
【0028】
タービン22は流体室内でインペラー21に対して軸方向に対向して配置されている。タービン22は、主に、タービンシェル30と、そのインペラー側の面に固定された複数のタービンブレード31と、タービンシェル30の内周縁に固定されたタービンハブ32とから構成されている。タービンシェル30とタービンハブ32とは複数のリベット33によって固定されている。
【0029】
タービンハブ32の内周面には、入力シャフト3に係合するスプラインが形成されている。これによりタービンハブ32は入力シャフト3と一体回転するようになっている。
【0030】
ステータ23は、タービン22からインペラー21に戻る作動油の流れを整流するための機構である。ステータ23は樹脂やアルミ合金等で鋳造により一体に製作された部材である。ステータ23はインペラー21の内周部とタービン22の内周部と間に配置されている。ステータ23は、主に、環状のステータシェル35と、シェル35の外周面に設けられた複数のステータブレード36とから構成されている。ステータシェル35はワンウェイクラッチ37を介して筒状の固定シャフト39に支持されている。固定シャフト39は入力シャフト3の外周面とインペラーハブ28の内周面との間を延びている。
【0031】
以上に述べた各羽根車21,22,23の各シェル26,30,35によって、流体室内にトーラス形状の流体作動室6が形成されている。なお、流体室内においてフロントカバー11と流体作動室6の間には環状の空間9が確保されている。
【0032】
図に示すワンウェイクラッチ37はラチェットを用いた構造であるが、ローラやスプラグを用いた構造であってもよい。
【0033】
フロントカバー11の内周部とタービンハブ32との軸方向間には第1スラストベアリング41が配置されている。この第1スラストベアリング41が設けられた部分において、半径方向に作動油が連通可能な第1ポート17が形成されている。第1ポート17は、入力シャフト3内に設けられた油路と、第1油圧室A(後述)と、タービン22とフロントカバー11との間の空間内とを連通させている。また、タービンハブ32とステータ23の内周部(具体的にはワンウェイクラッチ37)との間には第2スラストベアリング42が配置されている。この第2スラストベアリング42が配置された部分において、半径方向両側に作動油が連通可能な第2ポート18が形成されている。すなわち、第2ポート18は、入力シャフト3及び固定シャフト39の間の油路と、流体作動室6とを連通させている。さらに、ステータ23(具体的にはシェル35)とインペラー21(具体的にはインペラーハブ28)との軸方向間には第3スラストベアリング43が配置されている。この第3スラストベアリング43が配置された部分において、半径方向両側に作動油が連通可能な第3ポート19が形成されている。すなわち、第3ポート19は、固定シャフト39及びインペラーハブ28との間の油路と、流体作動室6とを連通させている。なお、各油路は、図示しない油圧回路に接続されており、独立して第1〜第3ポート17〜19に作動油の供給・排出が可能となっている。
(2)ロックアップ装置の構造
ロックアップ装置7は、タービン22とフロントカバー11との間の空間9に配置されており、必要に応じて両者を機械的に連結するための機構である。ロックアップ装置7はフロントカバー11とタービン22との軸方向間の空間に配置されている。ロックアップ装置7は全体が円板状になっており、空間9を概ね軸方向に分割している。ここでは、フロントカバー11とロックアップ装置7との間の空間を第1油圧室Aとし、ロックアップ装置7とタービン22との間の空間を第2油圧室Bとする。
【0034】
ロックアップ装置7は、クラッチ及び弾性連結機構の機能を有し、主に、ピストン51と、ドライブプレート52と、ドリブンプレート53と、複数のトーションスプリング54と、スプリングホルダー55とから構成されている。
【0035】
ピストン51は、クラッチ連結・遮断を行うための部材であり、さらには弾性連結機構としてのロックアップ装置7における入力部材として機能する。ピストン51は中心孔が形成された円板形状である。ピストン51は、空間9を概ね軸方向に分割するように空間9内の半径全体にわたって延びている。ピストン51の外周縁には軸方向トランスミッション側に延びる外周側筒状部51aが形成されている。ピストン51の内周縁には軸方向トランスミッション側に延びる内周側筒状部51bが形成されている。内周側筒状部51bはタービンハブ32の外周面によって回転方向及び軸方向に移動可能に支持されている。なお、タービンハブ32の外周面には、内周側筒状部51bに当接することでピストン51の軸方向トランスミッション側への移動を制限するためのフランジ32aが形成されている。さらに、タービンハブ32の外周面には内周側筒状部51bの内周面に当接する環状のシールリング32bが設けられている。これにより、ピストン51の内周縁において軸方向のシールがされている。さらに、ピストン51の外周側には摩擦連結部51cが形成されている。摩擦連結部51cは、半径方向に所定の長さを有する環状部分であり、軸方向両面が軸方向に対して垂直な面となっている平面形状である。摩擦連結部51cの軸方向エンジン側には環状の摩擦フェーシング56が張られている。このように、ピストン51とフロントカバー11の平坦な摩擦面とによって、ロックアップ装置7のクラッチが構成されている。
【0036】
ドライブプレート52は、ピストン51の外周部の軸方向トランスミッション側に配置されている。なお、この実施形態ではドライブプレート52は回転方向に間隔をあけて配置された複数の板金製部材からなるが、環状の部材であってもよい。各ドライブプレート52は平板部52aとそこから軸方向トランスミッション側に延びる1対のトルク伝達爪52b,52cを有している。平板部52aは、ピストン51の摩擦連結部51cの軸方向トランスミッション側面に当接し、例えば溶接によって固定されている。各トルク伝達爪52b,52cは半径方向に並んで配置されている。ここでは外周側の爪をトルク伝達爪52bとし、内周側の爪をトルク伝達爪52cとする。なお、各トルク伝達爪52b,52cは先端側部分が根元側部分より相手の爪から半径方向に離れる側にずれて位置するにように中間部分で曲げられており、その結果、トルク伝達爪52bの半径方向外方には軸方向エンジン側を向く段差面52eが形成され、トルク伝達爪52cの半径方向外方には軸方向エンジン側を向く52fが形成されている。
【0037】
各トルク伝達爪52b,52cの回転方向間はそれぞれがばね収容部52dとなっている。この実施形態では4個のばね収容部52dが形成されている。
【0038】
このばね収容部52d内に各トーションスプリング54が収容されている。トーションスプリング54は回転方向に延びるコイルスプリングである。すなわち全体で合計4個のトーションスプリングが用いられている。なお、ここでいう1個のトーションスプリングとは、コイルスプリング単体の物のみならず、コイルスプリング内にさらに小コイルスプリングや弾性体を組みあわせたものをもいう。
【0039】
ドリブンプレート53はトーションスプリング54からのトルクをタービン22に伝達するための部材である。ドリブンプレート53は、タービン22のタービンシェル30の外周側に設けられた板金製の環状部材である。ドリブンプレート53は主に、環状部53aと、複数の爪53bとから構成されている。環状部53aは例えば溶接によってタービンシェル30に固定されている。複数の爪53bは、環状部53aの外周縁から軸方向エンジン側に折り曲げられている。爪53bはドリブンプレート52のトルク伝達爪52b,52cに対応しており、1対のトルク伝達爪52b,52c内に軸方向トランスミッション側から挿入されている。このようにして、爪53bは各ばね収容部52dに配置されたトーションスプリング54の回転方向両端に当接している。
【0040】
スプリングホルダー55は、トーションスプリング54の半径方向に支持するための部材であり、ドライブプレート52及びドリブンプレート53に対して相対回転可能に配置されている。スプリングホルダー55は、主に、外周側支持部55aと、内周側支持部55bと、連結部55cとから構成されている。連結部55cは、概ね円板状の部分であり、ピストン51の摩擦連結部51cに対して軸方向トランスミッション側に当接して配置されている。外周側支持部55aは連結部55cの外周縁から軸方向トランスミッション側に延びる筒状の部分である。外周側支持部55aはトーションスプリング54の外周側に近接して配置されている。内周側支持部55bは連結部55cの内周縁から軸方向トランスミッション側に延びる筒状の部分である。内周側支持部55bはトーションスプリング54の内周側に近接している。
【0041】
以上より、スプリングホルダー55は縦断面において軸方向片側が開いたC字形状又はコの字形状となっている。
【0042】
スプリングホルダー55の連結部55cにおいてトルク伝達爪52b,52cに対応する部分には円周方向に長いスリット57が形成されている。このスリット57内をトルク伝達爪52bは軸方向に延びており、これによりスプリングホルダー55はピストン51及びドライブプレート52に対して所定角度範囲で相対回転可能になっている。なお、スリット57の半径方向各縁には互いに近づくように半径方向に延びる突起57a,57bが回転方向に沿ってそれぞれ形成されている。各突起57a,57bはトルク伝達爪52b,52cに半径方向からそれぞれ当接しており、さらに段差面52e,52fにそれぞれ軸方向エンジン側から当接している。このようにしては、スプリングホルダー55はドライブプレート52から軸方向トランスミッション側に外れることがないようよう保持されている。また、スプリングホルダー55はドライブプレート52によって半径方向の位置決めをされている。このように、スプリングホルダー55はドライブプレート52によってガイドされた状態でトーションスプリング54の圧縮に伴い回転方向に移動するようになっている。言い換えると、スプリングホルダー55はドライブプレート52によって相対回転自在にかつ半径方向外方への移動が制限されるように支持されている。このような構造によって、スプリングホルダー55は遠心力によって半径方向外側に移動するトーションスプリング54の荷重を支持することができる。
【0043】
なお、スプリングホルダー55をドライブプレート52に取り付ける際には、トルク伝達爪52b,52cの先端をスリット57内に挿入し、スプリングホルダー55のスリット57を半径方向に広げた状態にする。そのままトルク伝達爪52b,52cの挿入を進めていくと、スリット57の突起57a,57bはトルク伝達爪52b,52cの先端側部分の半径方向外側面に当接した状態で移動し、やがてトルク伝達爪52b,52cの根元側部分にはまり込む。この結果、図2に示す係合状態が得られる。
(3)トルクコンバータの動作
エンジン始動直後には、第1ポート17及び第3ポート19からトルクコンバータ本体5内に作動油が供給され、第2ポート18から作動油が排出される。第1ポート17から供給された作動油は第1油圧室Aを外周側に流れ、第2油圧室Bを通過して流体作動室6内に流れ込む。このため、第1油圧室Aと第2油圧室Bとの油圧差によってピストン51は軸方向エンジン側に移動している。すなわち摩擦フェーシング56はフロントカバー11から離れ、ロックアップが解除されている。
【0044】
このようにロックアップ解除されているときには、フロントカバー11とタービン22との間のトルク伝達はインペラー21とタービン22との間の流体駆動によって行われている。
(4)ロックアップ装置の動作
トルクコンバータ1の速度比が上がり、入力シャフト3が一定の回転数に達すると、第1ポート17から第1油圧室Aの作動油が排出される。この結果、第1油圧室Aと第2油圧室Bとの油圧差によって、ピストン51がフロントカバー11側に移動させられ、摩擦フェーシング56がフロントカバー11の平坦な摩擦面に押し付けられる。この結果、フロントカバー11のトルクは、ピストン51からドライブプレート52及びトーションスプリング54を介してドリブンプレート53に伝達される。さらにトルクはドリブンプレート53からタービン22に伝達される。すなわち、フロントカバー11が機械的にタービン22に連結され、フロントカバー11のトルクがタービン22を介して直接入力シャフト3に出力される。
【0045】
以上に述べたロックアップ連結状態において、ロックアップ装置7は、トルクを伝達するとともにフロントカバー11から入力される捩り振動を吸収・減衰する。具体的には、フロントカバー11からロックアップ装置7に捩り振動が入力されると、トーションスプリング54がドライブプレート52とドリブンプレート53との間で回転方向に圧縮される。さらに具体的には、トーションスプリング54はドライブプレート52のトルク伝達爪52b,52cとドリブンプレート53の爪53bとの間で回転方向に圧縮される。このとき、スプリングホルダー55はトーションスプリング54によって圧縮方向に移動し、ドライブプレート52及びドリブンプレート53と相対回転する。
【0046】
以上のように捩り振動が入力されてトーションスプリング54が圧縮を繰り返す際に、遠心力によってトーションスプリング54は半径方向外側に移動し、スプリングホルダー55の外周側支持部55aに摺動する。しかし、スプリングホルダー55はトーションスプリング54とともに回転方向に移動する部材であるため、両部材間での摺動抵抗は大幅に少なくなっている。したがって、捩り振動吸収性能が十分に維持されている。
(5)サポート部材の有利な効果
a)スプリングホルダー55は、ドライブプレート52のトルク伝達爪52b,52cによって半径方向移動を制限されながら、外周側支持部55aによってトーションスプリング54の外周側を支持している。このように、スプリングホルダー55によってトーションスプリング54の外周側への移動を制限することによって、円板状のピストン51の外周側筒状部51aはトーションスプリング54の荷重を受ける機能を有していない。したがってピストン51の外周側筒状部51aを省略することができる。
【0047】
b)スプリングホルダー55はトーションスプリング54の圧縮とともに回転方向に移動する。したがって、トーションスプリング54と他の部材との摺動抵抗が少なくなる。この結果、トーションスプリング54の摩耗が少なくなくなり、さらに不要なヒステリシスによる捩じり振動吸収性能の低下が生じにくい。
(6)他の実施形態
a)第2実施形態(図5〜図7)
本実施形態のロックアップ装置7の基本的な構造は前記実施形態と同様である。したがって、ここでは異なる点のみについて説明する。
【0048】
前記実施形態では、ばね収容部52d内には1つのコイルスプリングからなるトーションスプリング54が配置されていたが、本実施形態では回転方向に並んで直列に作用するように1対のトーションスプリング54a,54bが配置されている。すなわち全体で合計8個のトーションスプリングが用いられている。
【0049】
スプリングホルダー55には、トルク伝達部55dが形成されている。トルク伝達部55dは、第1トルク伝達部55dに対応して連結部55cに形成されており、軸方向エンジン側に凸になるように切り起こされている。トルク伝達部55dは各ばね収容部52d内に配置された1対のトーションスプリング54a,54bの回転方向間に配置されている。このようにスプリングホルダー55が1対のトーションスプリング54a,54bに対するトルク伝達部55dを有することで、スプリングホルダー55は中間フロート体として機能している。
【0050】
b)第3実施形態(図8〜図13)
本実施形態では、トルクコンバータの構造及びロックアップ装置の基本構造は前記第1及び第2実施形態と同様であるので、ここでは異なる点のみを説明する。
【0051】
ドライブプレート62は、ピストン61の外周部の軸方向トランスミッション側に配置されている。ドライブプレート62は板金製の環状の部材である。ドライブプレート62は環状部62aとそこから外周側に延びるトルク伝達部62bと連結部62cとから構成されている。環状部62aはピストン61の軸方向トランスミッション側面に当接し、複数のかしめ61dによってピストン61に固定されている。トルク伝達部62bは環状部62aから外周側に延びている。より具体的には、トルク伝達部62bは、半径方向内側から外側に向かって、軸方向トランスミッション側に凸になるように滑らかに湾曲し、次に軸方向エンジン側に凸になるように滑らかに湾曲し、さらに軸方向トランスミッション側に筒状に延びている。トルク伝達部62bの先端(外周端)は環状の連結部62cによって互いに連結されている。また、環状部62aの外周縁には、複数の係合部62eが形成されている。係合部62eは環状部62aの外周縁から外周側かつ軸方向トランスミッション側に延びる突起である。さらに、複数のトルク伝達部62bの回転方向間はそれぞれがばね収容部62dとなっている。このばね収容部62d内には、円周方向に延びるコイルスプリングであるトーションスプリング64が収容されている。各ばね収容部62dには1対のトーションスプリング64a,64bが回転方向に直列に作用するように配置されている。なお、各ばね収容部62dにおいて、回転方向R1側のトーションスプリングをトーションスプリング64aとし、回転方向R2側のトーションスプリングをトーションスプリング64bとする。
【0052】
ドリブンプレート63はトーションスプリング64からのトルクをタービン22に伝達するための部材である。ドリブンプレート63は、タービン22のタービンシェル30の外周側に設けられた板金製の環状部材である。ドリブンプレート63は主に環状部63aと複数の爪63bとから構成されている。環状部63aは例えば溶接によってタービンシェル30に固定されている。複数の爪63bは環状部63aの。内周縁から軸方向エンジン側に折り曲げられている。爪63bは、ドリブンプレート62のトルク伝達部62bに対応しており、トルク伝達部62bの軸方向エンジン側に凸になるように湾曲した部分内に軸方向トランスミッション側から挿入されている。このようにして、爪63bは各ばね収容部62dに配置された1対のトーションスプリング64a,64bの回転方向両端に当接している。また、ドリブンプレート63には複数のストッパー爪63cが形成されている。ストッパー爪63cは環状部63aの内周縁から半径方向内側に延びている。前述の係合部62eは各ストッパー爪63cの回転方向間の隙間63d内に配置されている。これにより、ドライブプレート62とドリブンプレート63の相対回転が大きくなりストッパー爪63cが回転方向いずれかの係合部62eに当接するとトーションスプリング64の圧縮すなわちダンパー機構の動作は停止する。
【0053】
スプリングホルダー65は、トーションスプリング64の半径方向に支持するための部材であり、ドライブプレート62及びドリブンプレート63に対して相対回転可能に配置されている。スプリングホルダー65は、主に、外周側支持部65aと、内周側支持部65bと、連結部65cとから構成されている。連結部65cは、概ね円板状の部分であり、ピストン61の摩擦連結部61cに対して軸方向トランスミッション側に当接して配置されている。すなわち、連結部65cはピストン61の摩擦連結部61cとドライブプレート62のトルク伝達部62bとの軸方向間に配置されている。外周側支持部65aは連結部65cの外周縁から軸方向トランスミッション側に延びる筒状の部分である。外周側支持部65aはトーションスプリング64の外周側に近接して配置されている。なお、外周側支持部65aはトルク伝達部62bの筒状部分よりさらに外周側に配置されている。内周側支持部65bは連結部65cの内周縁から軸方向トランスミッション側に延びる筒状の部分である。内周側支持部65bはトルク伝達部62bの軸方向エンジン側に凸となるように滑らかに湾曲した部分に対して軸方向エンジン側から挿入されている。また、内周側支持部65bはトーションスプリング64の内周側に近接している。
【0054】
図13に示すように、スプリングホルダー65には、第1及び第2トルク伝達部65d,65eが形成されている。第1トルク伝達部65dは、内周側支持部65bの一部が半径方向外側に切り起こされた部分であり、各ばね収容部62d内の1対のトーションスプリング64a,64bの回転方向間に配置されている。また、第2トルク伝達部65eは第1トルク伝達部65dに対応して連結部65cに形成された軸方向エンジン側に凸になるように切り起こされて形成されたものである。第2トルク伝達部65eは各ばね収容部62d内に配置された1対のトーションスプリング64a,64bの間に配置されている。このようにスプリングホルダー65が1対のトーションスプリング64a,64bに対するトルク伝達部65d,65eを有することで、スプリングホルダー65は中間フロート体として機能している。
【0055】
本実施形態においても前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
c)第4実施形態(図14〜図17)
本実施形態では、トルクコンバータの構造及びロックアップ装置の基本構造は前記第1〜3実施形態と同様であるので、ここでは異なる点のみを説明する。
【0057】
第1〜第3実施形態ではトーションスプリングは軸方向片側が開いたスプリングホルダー内に配置されているが、本実施形態ではトーションスプリングは軸方向も閉じられた中空形状の中間部材内に配置されている。言い換えると、本実施形態の構造は、第1〜第3実施形態のスプリングホルダーの構造を有した上でさらに軸方向反対側の支持部を設けた構造であると解してもよい。この構造によって、本実施形態では前記実施形態と同様の効果が得られた上に、さらに優れた効果を得ることができる。
【0058】
スプリングホルダー75は、トーションスプリング74を内部に収容して支持するための部材であり、さらに本実施形態では複数のトーションスプリング74を回転方向に直列に連結するための中間フロート体(遊動子)としても機能している。スプリングホルダー75は、ピストン71の摩擦連結部71cの軸方向トランスミッション側すなわち外周側筒状部71aの内周側に、各部分に当接しながら相対回転可能に配置されている。スプリングホルダー75は、第1部材76と第2部材77とから構成されている。第1部材76及び第2部材77は環状の板金製部材であり、両者によって環状の閉空間を形成している。
【0059】
第1部材76はピストン71の摩擦連結部71cから軸方向トランスミッション側に離れて配置されている。第1部材76は、平板状の内周部76aと、内周部76aから軸方向トランスミッション側にわずかに湾曲しながら外周側に延びる概ね平板状の外周部76bとから構成されている。内周部76aには第2部材77に固定されるための複数のかしめ部76cが形成されている。外周部76bには回転方向に延びる複数のスリット76dが形成されている。
【0060】
第2部材77は第1部材76の軸方向エンジン側に配置されている。第2部材77は、平板状の内周部77aと、内周部77aから断面C字状に軸方向エンジン側に湾曲しながら外周側に延びる外周部77bとから構成されている。内周部77aは第1部材76の内周部76aに当接している。内周部76aから延びる前述のかしめ部76cは、内周部77aに形成された孔77c内に挿入されている。この係合によって第1部材76と第2部材77は互いに固定されている。外周部77bは、内周部77aから延びる湾曲部77dと、そこから軸方向トランスミッション側に延びる筒状部77eとから構成されている。湾曲部77dは第1部材76の外周部76bに対して軸方向に間隔を空けて対向しており、その軸方向エンジン側面はピストン71の摩擦連結部71cに対して当接している。また、湾曲部77dには回転方向に延びる複数のスリット77fが形成されている。スリット77fは、第1部材76のスリット76dに対応して形成されているが、スリット76dに対してわずかに内周側にずれている。筒状部77eはピストン71の外周側筒状部71aの内周面に当接しており、その先端は第1部材76の内周縁に外周側から当接している。以上の説明から明らかなように、主に、第1部材76の外周部76bと第2部材77の外周部77bとによって環状空間が確保されている。
【0061】
さらに、第2部材77の外周部77bには、円周方向に並んだ複数のトルク伝達部77gが形成されている。トルク伝達部77gは、湾曲部77dの一部を絞り加工によって軸方向トランスミッション側に突出させた構造であって、湾曲部77d内を回転方向に区分するように半径方向に延びている。また、トルク伝達部77gは、スリット76d,77fに対してそれらの回転方向中間位置に配置されている。
【0062】
ピストン71の外周側筒状部71aの先端には、内周側に延びる環状の爪71dが形成されている。爪71dは、ローリング加工で形成されており、スプリングホルダー75の外周部軸方向トランスミッション側面に当接している。このようにして、スプリングホルダー75はピストン71から軸方向トランスミッション側に抜け出ることが防止されている。すなわち、スプリングホルダー75はピストン71の摩擦連結部71cと爪71dとによって軸方向に支持され、さらに外周側筒状部71aによって半径方向に支持されている。
【0063】
ドライブプレート72は、ピストン71の外周部の軸方向トランスミッション側に配置されている。ドライブプレート72は板金製の部材であり、回転方向に複数配置されている。各ドライブプレート72は固定部72aとそこから外周側に延びる爪部72とから構成されている。固定部72aはピストン71の軸方向トランスミッション側面に当接し、複数のかしめ71eによってピストン71に固定されている。爪部72は、固定部72aの外周縁から軸方向エンジン側に延び、スプリングホルダー75のスリット77f内に延びている。なお、ドライブプレートは、固定部72a同士が互いに固定された環状の部材から構成されていてもよい。
【0064】
ドリブンプレート73はトーションスプリング74からのトルクをタービン22に伝達するための部材である。ドリブンプレート73は、タービン22のタービンシェル30の外周側に設けられた板金製の環状部材である。ドリブンプレート73は主に環状部73aと複数の爪部73bとから構成されている。環状部73aは例えば溶接によってタービンシェル30に固定されている。複数の爪部73bは環状部73aの外周縁から軸方向エンジン側に折り曲げられ延びており、スプリングホルダー75のスリット76d内に延びている。爪部73bは爪部72bの外周側に配置され、両者は回転方向に干渉しないようになっている。爪部72b,73bは回転方向に同一の幅を有しており、各爪部72b,73bからなる対同士の回転方向間がばね収容部78となっている。この実施形態では合計4つのばね収容部78が確保されている。
【0065】
このばね収容部78内には、円周方向に延びるコイルスプリングであるトーションスプリング74が収容されている。各ばね収容部78には1対のトーションスプリング74a,74bが回転方向に直列に作用するように配置されている。なお、各ばね収容部78において、回転方向R1側のトーションスプリングをトーションスプリング74aとし、回転方向R2側のトーションスプリングをトーションスプリング74bとする。爪部72b,73bは、各ばね収容部78に配置された1対のトーションスプリング74a,74bの回転方向両端、さらに詳細にはトーションスプリング74aの回転方向R1側端及びトーションスプリング74bの回転方向R2側端に当接又は近接している。
【0066】
スプリングホルダー75のトルク伝達部77gは、各ばね収容部78内に収容された1対のトーションスプリング74a,74bの回転方向間に配置され、さらに詳細にはトーションスプリング74aの回転方向R2側端及びトーションスプリング74bの回転方向R1側端に当接又は近接している。このようにスプリングホルダー75が1対のトーションスプリング74a,74bに対するトルク伝達部77gを有することで、スプリングホルダー75は中間フロート体(遊動子)として機能している。
【0067】
スプリングホルダー75はトーションスプリング74の圧縮とともに回転方向に移動する。したがって、トーションスプリング74と他の部材との摺動抵抗が少なくなる。この結果、トーションスプリング74の摩耗が少なくなくなり、さらに不要なヒステリシスによる捩じり振動吸収性能の低下が生じにくい。
【0068】
特に、スプリングホルダー75はトーションスプリング74を完全に内部に収納しているため、トーションスプリング74が他の部材と摺動することが無くなっている。
【0069】
さらに、トーションスプリング74の支持をスプリングホルダー75のみによって行っているため、ドライブプレート72やドリブンプレート73にスプリング保持のための特別な構造を設ける必要が無くなり、それら部材の構造が単純になり、強度向上や薄肉化のメリットがある。
【0070】
本実施形態の変形例として、スプリングホルダーが中間フロート体の機能を有しておらず単なるばね保持部材としての機能しか有していなくてもよい。また、スプリングホルダーは軸方向トランスミッション側が開放されており、トーションスプリングが直接ピストンに摺動する構造であってもよい。
【0071】
さらに、スプリングホルダーの半径方向位置決めは、スプリングホルダーの内周側部分や他の部分で行ってもよい。その場合はピストンの外周側筒状部を省略できる。
【0072】
c)変形例
本発明に係る弾性連結機構は、前記実施形態のトルクコンバータのロックアップ装置に限定されない。また、本発明に係る弾性連結機構は他の種類のトルク伝達装置にも採用できる。
【0073】
【発明の効果】
本発明に係る弾性連結機構では、弾性部材の圧縮とともに回転方向に移動するサポート部材を設けているため、弾性部材と他の部材との摺動抵抗が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバータの縦断面概略図。
【図2】 図1の部分拡大図。
【図3】 ロックアップ装置の各部材の斜視図。
【図4】 ロックアップ装置の部分断面図。
【図5】 第2実施形態におけるロックアップ装置の各部材の斜視図。
【図6】 ロックアップ装置の部分断面図。
【図7】 ロックアップ装置の部分断面図。
【図8】 本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバータの縦断面概略図。
【図9】 ロックアップ装置の部分平面図。
【図10】 ロックアップ装置を構成する各部材の分解斜視図。
【図11】 図9のXI−XI断面図。
【図12】 図9のXII−XII断面図。
【図13】 スプリングホルダーの部分斜視図。
【図14】 本発明の第4実施形態が採用されたトルクコンバータの縦断面概略図。
【図15】 図14の部分拡大図。
【図16】 図15に対応する図であり、異なる位置の断面図。
【図17】 ロックアップ装置の部分斜視図。
【符号の説明】
11 フロントカバー
7 ロックアップ装置(弾性連結機構)
51 ピストン
52 ドライブプレート(入力回転部材)
53 ドリブンプレート(出力回転部材)
54 トーションスプリング(弾性部材)
55 スプリングホルダー(サポート部材)
55a 外周側支持部
55b 内周側支持部
55c 連結部
Claims (13)
- トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するための弾性連結機構であって、
入力回転部材と、
出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する弾性部材と、
前記弾性部材の外周側を支持する筒状の外周側支持部と、前記弾性部材の内周側を支持する筒状の内周側支持部と、前記外周側支持部と前記内周側支持部とを連結する連結部とを有し、前記入力回転部材及び前記出力回転部材に相対回転可能に配置されたサポート部材と、を備え、
前記連結部は、軸方向に貫通する孔を有しており、
前記入力回転体および出力回転体のうち一方には、前記孔に挿入され、前記サポート部材を回転方向に案内するとともに、前記入力回転体および出力回転体のうち一方に対する前記サポート部材の軸方向への移動を規制する案内部材が固定されている、
弾性連結機構。 - 前記案内部材の先端部の半径方向寸法は、前記孔の半径方向寸法よりも大きい、
請求項1に記載の弾性連結機構。 - 前記案内部材は、半径方向に弾性変形可能なように並んで配置され1対のプレート部材を有しており、
前記プレート部材は、前記孔に挿入される1対の第1部分と、前記先端部を形成する1対の第2部分と、を有している、
請求項2に記載の弾性連結機構。 - 前記案内部材は、前記弾性部材の端部を回転方向に支持可能である、
請求項1から3のいずれかに記載の弾性連結機構。 - 前記連結部は前記弾性部材の軸方向片側に配置されている、
請求項1から4のいずれかに記載の弾性連結機構。 - 前記連結部は環状に形成されている、
請求項1から5のいずれかに記載の弾性連結機構。 - トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するための弾性連結機構であって、
環状の入力部材と、前記入力部材に固定されたドライブ部材と、を有する入力回転部材と、
出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する弾性部材と、
前記弾性部材の外周側を支持する筒状の外周側支持部と、前記弾性部材の内周側を支持する筒状の内周側支持部と、前記外周側支持部と前記内周側支持部とを連結する連結部とを有し、前記入力回転部材及び前記出力回転部材に相対回転可能に配置されたサポート部材と、を備え、
前記ドライブ部材は、前記弾性部材の端部を回転方向に支持可能であり前記外周側支持部と前記内周側支持部との半径方向間に少なくとも一部が入り込んでいる複数の支持部を有しており、
前記サポート部材は、前記入力部材と前記ドライブ部材の前記支持部との軸方向間に挟み込まれている、
弾性連結機構。 - 前記連結部は、前記入力部材と前記ドライブ部材との軸方向間に挟み込まれている、
請求項7に記載の弾性連結機構。 - 前記ドライブ部材は、前記入力部材に固定される環状の固定部と、前記固定部から半径方向外側へ延びる複数の前記支持部と、を有しており、
前記連結部は、前記入力部材と前記支持部との間に挟みこまれている、
請求項8に記載の弾性連結機構。 - 前記ドライブ部材は、前記複数の支持部を回転方向に連結する環状の外周部をさらに有している、
請求項9に記載の弾性連結機構。 - トルクを伝達するとともに捩じり振動を吸収・減衰するための弾性連結機構であって、
入力回転部材と、
出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する弾性部材と、
前記弾性部材を内部に収容し、前記入力回転部材及び前記出力回転部材に対して相対回転可能に配置された環状の中間部材とを備え、
前記入力回転部材及び出力回転部材は、前記中間部材内に所定範囲で回転方向に移動可能に挿入され、前記弾性部材の回転方向端に当接する爪部を各々有しており、
前記中間部材は、前記弾性部材の外周側を支持する筒状の外周側支持部と、前記弾性部材の内周側を支持する筒状の内周側支持部と、前記外周側支持部および内周側支持部のエンジン側を連結する第1連結部と、外周側支持部および内周側支持部のトランスミッション側を連結する第2連結部と、を有しており、
前記弾性部材は、前記外周側支持部、内周側支持部、第1連結部および第2連結部により形成される空間に収容されており、
前記中間部材は、前記外周側支持部、内周側支持部、第1連結部および第2連結部を含み互いに固定された2つの部材を有している、
弾性連結機構。 - 前記第1連結部は、軸方向に貫通する第1孔を有しており、
前記第2連結部は、軸方向に貫通する第2孔を有しており、
前記入力回転部材は、前記第1孔に挿入され前記弾性部材の第1端部を回転方向に支持可能な第1部材を有しており、
前記出力回転部材は、前記第2孔に挿入され前記弾性部材の第2端部を回転方向に支持可能な第2部材を有している、
請求項11に記載の弾性連結機構。 - フロントカバーとタービンとの軸方向間に配置された請求項1〜12のいずれかに記載の弾性連結機構を備え、
前記入力回転部材は、前記フロントカバーと摺動可能である、
トルクコンバータのロックアップ装置。
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