JP3589688B2 - 自転車用のブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自転車の車体に固定のブレーキ台座の支軸部に、ブシュを有するボス部を相対回動自在に外嵌して、このボス部に連設のブレーキアームを前記支軸部に対して揺動自在に取り付ける自転車用のブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記ブレーキ装置において、従来、たとえば実開昭50−67558号公報に示されるように、ブレーキアームのボス部に内嵌しているブシュの一端側がボス部から突出し、この突出端がブシュがブレーキ台座の座面に接触するようにしてブレーキアームをブレーキ台座に組み付けるようになっていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】
ブレーキ操作をすると、ブレーキシューが回動している車輪に接触することに起因して、ブレーキアームをブレーキ台座の支軸部に対して動かす方向の操作力が発生するが、これにもかかわらずブレーキアームがガタ付きにくいようにするためには、ブレーキ台座がブレーキアームをずれ動かないように強固に支持するように構成する必要がある。このためには、従来の場合、ブレーキ台座の座面がブシュを介してブレーキアームを受け止め支持するようになっていることから、ブレーキアームがブシュとの間でずれ動かないように、ブシュをブレーキアームのボス部に容易には滑り動かないように強く圧入しておく必要があった。この結果、ブシュをブレーキアームに組み付ける際、ボス部に圧入した後のブシュにリーマ加工を施すなど、ボス部への圧入に起因してブシュの内周側に発生した歪みを取り除く作業を行い、ブレーキアームをブレーキ台座に容易に組み付けられるようにするとともに、ブレーキアームがスムーズに回動することを可能にしていた。本発明の目的は、ブレーキアームをガタ付きにくいとともにスムーズに回動する状態に容易に組み付けられながら、比較的容易に作成できるブレーキ装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明による自転車用のブレーキ装置にあっては、目的達成のために、冒頭に記したものにおいて、
前記ブレーキアームのボス部に、前記ブレーキ台座の座面に直接、または間座を介して接触させる当て付け端面を備え、前記ブレーキアームが前記ブレーキ台座に組み付くと、前記ブシュの車体側端面が前記ボス部の当て付け端面と面一、または、当て付け端面より内側に位置する状態で前記ブシュを前記ボス部に内嵌してあることを特徴とする。
【0005】
ブシュがボス部に容易には滑り動かないように組み付く構成を採用して実施してもよいが、請求項2の構成を採用するとつぎのように有利である。
【0006】
ブシュとしては、筒ブシュを採用して実施してもよいが、請求項3のブシュを採用するとつぎのように有利である。
【0007】
【作用】
ブレーキ台座の座面がボス部の当て付け端面に直接あるいは間座を介して接触して、ブシュを介在部材としないでブレーキアームを受け止め支持するようにして使用できる。このため、ブシュをブレーキアームのボス部に比較的容易に滑動するなど、嵌合が従来より緩くて嵌め込みに起因する歪みが発生しないようにして組み付けながら、ブレーキ台座がブレーキアームをガタ付きにくいように強固に支持するようにできる。
【0008】
請求項2の構成を採用すると、ブシュがボス部に軽く押し込むだけで嵌まり込む。
【0009】
請求項3の構成を採用すると、ブシュを板体によって比較的安価に作成できる。さらには、ブシュの自由状態では板状態の端縁間に隙間が存在する筒状に形成し、ブシュを径が縮小するように弾性変形させながらボス部に嵌め込み、嵌まり込んだブシュは弾性復元力でボス部に圧接して保持されるようにできる。
【0010】
【発明の効果】
ブシュを歪まないようにして組み付けながら、ブレーキアームをブレーキ台座によって強固に支持させられることにより、ブレーキアームをガタ付きにくいように、かつ、スムーズに回動するように組み付けて軽く静かにブレーキ操作できるようにでき、さらには、ブレーキアームが台座にスムーズに組み付いて楽に組み付け作業できるようにできた。
その上、ブシュのボス部への組み付けが楽にできるとともに、ブシュの歪み取りを行う必要がなくてコストや作業能率の面で有利に生産できるようになった。
【0011】
請求項2の構成を採用すると、ブシュのブレーキアームへの組み付けがより一層楽にできることから、ブシュ組み付け作業の面から一層生産性が向上する。
【0012】
請求項3の構成を採用すると、ブシュを安価に作成できるとともにブレーキアームを一層楽に組み付けできることから、ブシュのコスト面および組み付け面から一層生産性が向上する。しかも、その割りにはブシュの組み付け保持が確実にできることから、ブシュがずれ動きにくいとか脱落しにくくて持ち運びがしやすいとか台座への組み付けがしやすいなど有利なものになる。
【0013】
【実施例】
図1に示すように、自転車用車体1の車輪Wの両横側に位置する箇所に、ブレーキシュー2が締め付けねじ3によって取り付けられたブレーキアーム4を軸芯Xまわりで揺動可能に取り付けるとともに、左右一対のブレーキアーム4,4それぞれの基端部に図3に示す如くバネケース5を介してリターンバネ6が作用するように構成して、自転車用のカンチレバー形キャリパーブレーキ装置を構成してある。
すなわち、一方のブレーキアーム4のワイヤ固定ねじ7を備えるワイヤ連結部に、ブレーキレバー装置(図示せず)からのブレーキワイヤ8を連結するとともに、このブレーキワイヤ8が摺動可能に挿通しているガイドパイプ9の一端側に連結具10を介して連結されている連動ワイヤ11を他方のブレーキアーム4に連結し、ブレーキワイヤ8を引っ張り操作する。すると、ガイドパイプ9の連結具10側とは反対側の端部がブレーキアーム4に当接してガイドパイプ9が突っ張り作用し、連結具10においてブレーキワイヤ8のブレーキアーム側とブレーキレバー装置側との方向が変化している箇所から一方のブレーキアーム4のワイヤ連結部までの距離と、他方のブレーキアーム4の連動ワイヤ連結部までの距離とが等しくなることから、ブレーキワイヤ8が左右のブレーキアーム4,4に均等に引っ張り作用する。このために、左右いずれものブレーキアーム4が車体1の内側に揺動し、左右のブレーキシュー2,2が車輪WのリムRに当接して制動作用するようにブレーキ入りになる。この状態からブレーキワイヤ8を緩め操作すると、左右いずれものブレーキアーム4がリターンバネ6のために車体1の外側に揺動し、左右のブレーキシュー2,2が車輪WのリムRから離れて制動作用を解除するようにブレーキ切りになる。
【0014】
左右のブレーキアーム4,4を車体1に取り付けるに、図2に示す如く車体1にブレーキ台座12を溶接によって固定し、このブレーキ台座12に図3に示す組み付け構造によって組み付けるように構成してある。
すなわち、ブレーキアーム4の基端側にブレーキアーム4との一体成形によって連設した筒状のボス部4aを、このボス部4aに内嵌するとともにブレーキ台座12の円筒形の支軸部12aに外嵌するように構成したブシュ13を介して前記支軸部12aに相対回動可能に外嵌し、前記支軸部12aの内周側に螺着した取り付けねじ14の頭部が間座15を介して前記ボス部4aに作用するストッパー作用により、ボス部4aの支軸部12aからの抜け止めを行うようにしてある。そして、ブシュ13が図4に明示する如く全長にわたってボス部4aの内側に位置していることによって、ブシュ13の車体側の端面13aがブレーキ台座12の座面12bに接触しないように構成するとともに、ブレーキアーム4のボス部4aの車体側端部に備えてある当て付け端面4bが、取り付けねじ14による締め付け力のためにブレーキ台座12の座面12bに直接に接触するように構成してある。
【0015】
前記ブシュ13は、図5に示す如く一対の波形板縁13b,13c、複数の貫通孔13dを備えた板状体を図6に示す筒状に湾曲形成することによって作成してある。すなわち、自由状態では波形板縁13bと13cとが隙間17をもって噛み合い、外径Dがブレーキアーム4のボス部4aの内径より少し大きい筒状になるように形成してある。つまり、波形板縁13bと13cとが近接して外径が自由状態より縮小するように弾性変形させながらボス部4aに嵌め込み、自由状態の外径Dに復元しようとする弾性復元力でボス部4aの内周面に圧接するようにして組み付け、嵌め込み抵抗がほとんどないようにしながら、かつ、嵌め込みに起因する歪みが発生しないようにしながら組み付けできるようにし、しかも、圧接によって容易には脱落しないように固定できるようにしてある。さらに、貫通孔13dにより、ブレーキ台座12の支軸部12aに臨む開口を有するグリース溜まり室を形成し、ブレーキアーム4が長期に渡ってスムーズに作動するように多量のグリースを貯留できるようにしてある。
【0016】
要するに、前記ブシュ13は、板状体の弾性復元力によってボス部4aに圧接していることから、ボス部4aに対して前記軸芯Xと同じ軸芯であるボス部軸芯に沿う方向に比較的に滑動しやすい嵌合具合で組み付いている。すなわち、ブシュ13の両端側がボス部4aから突出して前記間座15および前記座面12bに接触するように構成した場合には、ブレーキシュー2がリムRに接触して車輪Wの回動力がブレーキアーム4に作用すると、ブレーキアーム4がブシュ13に対して滑り動くこととなる圧接程度の嵌合具合で組み付いている。しかしながら、取り付けねじ14が間座15を介してボス部4aに受け止め作用し、ブレーキ台座12の座面12bがボス部4aに直接に受け止め作用して、ブレーキ台座12がブシュ13を介さないでブレーキアーム4を支持することから、ブレーキシュー2がリムRに接触して車輪Wの回動力がブレーキアーム4に作用しても、ブレーキアーム4がブレーキ台座12との間でガタ付きにくいように、ブレーキ台座12がブレーキアーム4を強固に支持するのである。
【0017】
〔別実施例〕
図7は、ブレーキアーム4をブレーキ台座12に組み付けるための別実施構造を示す。
すなわち、ブレーキ台座12の支軸部12aに外嵌するようにリング形状に形成した間座16を、ブレーキアーム4のボス部4aと、ブレーキ台座12の座面12bとの間に介装し、取り付けねじ14を締め付け操作するに伴い、前記ボス部4aの当て付け端面4bが間座16を介して前記座面12bに接触するように構成してある。そして、当て付け端面4bと座面12bとが間座16を介して接触しても、ブシュ13の車体側の端面13aは前記当て付け端面4bよりボス部4aの内側に位置していることによって前記間座16には接触しないようにしてある。この組み付け構造においても、ブレーキ台座12の座面12bが間座16を介して前記当て付け端面4bに接触し、ブレーキ台座12の座面12bがブシュ13を介さないでブレーキアーム4に受け止め作用する点においては図3の組み付け構造と同じである。このために、図3の組み付け構造と同様に、ブレーキ台座12がブレーキアーム4をガタ付きにくいように強固に支持するとともに、ブシュ13をボス部4aに組み込み歪みが発生しないように緩く嵌め込むことを可能にする。
【0018】
図3および図7に示す実施例においては、ブシュとして、板状体を湾曲させた板金製ブシュを採用しているが、これに替え、スリットがない円筒形に形成した筒ブシュを採用して実施してもよい。さらに、これらのブシュを採用するに当たり、上記実施例に示すようにブシュの車体側端面13aがボス部の当て付け端面4bよりボス部の内側に位置するように形成して実施する他、ボス部の当て付け端面4bと面一に位置するように形成して実施してもよい。この場合にも、ブレーキ台座の座面12bがボス部の当て付け端面4bに直接または間座を介して接触し、ブシュを介さないでブレーキアームを受け止め支持することになり、ボス部内に入り込んでいる場合と同様の効果を発揮するのである。
【0019】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】自転車用カンチレバー形キャリパーブレーキ装置全体の正面図
【図2】ブレーキアームの車体への取り付け状態での側面図
【図3】ブレーキアームのブレーキ台座への組み付け構造を示す断面図
【図4】ブレーキアームのボス部の断面図
【図5】ブシュの展開図
【図6】ブシュの自由状態での斜視図
【図7】ブレーキアームのブレーキ台座への別実施組み付け構造を示す断面図
【符号の説明】
1 車体
4 ブレーキアーム
4a ボス部
4b 当て付け端面
12 ブレーキ台座
12a 支軸部
12b 座面
13 ブシュ
16 間座
X ボス部軸芯
Claims (3)
- 自転車の車体に固定のブレーキ台座(12)の支軸部(12a)に、ブシュ(13)を有するボス部(4a)を相対回動自在に外嵌して、このボス部(4a)に連設のブレーキアーム(4)を前記支軸部(12a)に対して揺動自在に取り付ける自転車用のブレーキ装置であって、前記ブシュ(13)は、一対の波形板縁(13b),(13c)を備えた板状体を一対の波形板縁(13b),(13c)が隙間をもって噛み合い且つ外径(D)がブレーキアーム(4)のボス部(4a)の内径より大きくなるよう筒状に湾曲して形成され、前記ブレーキアーム(4)のボス部(4a)に、前記ブレーキ台座(12)の座面(12b)に直接、または間座を介して接触させる当て付け端面(4b)を備え、前記ブレーキアーム(4)が前記ブレーキ台座(12)に組み付くと、前記ブシュ(13)の車体側端面(13a)が前記ボス部(4a)の当て付け端面(4b)と面一、または、当て付け端面(4b)より内側に位置する状態で前記ブシュ(13)を前記ボス部(4a)に内嵌してある自転車用のブレーキ装置。
- 前記ブシュ(13)を、前記ボス部(4a)に対してボス部軸芯(X)に沿う方向に滑動可能に内嵌してある請求項1記載の自転車用のブレーキ装置。
- 前記ブシュ(13)が、複数の貫通孔(13d)をさらに備えてなる請求項1又は2記載の自転車用のブレーキ装置。
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